説明

カーブミラー

【課題】低コストで製作でき、しかも角度調整を容易かつ確実に行うことができるカーブミラーを提供すること。
【解決手段】前面が開口した枠体2と、枠体2の上記前面開口部に設けられた鏡面板1と、枠体2と鏡面板1との間に設けられた円筒状の支柱3とを有し、枠体2と鏡面板1との間の間隔よりも支柱3の外径を大きくすることにより、鏡面板1を湾曲させたことを特徴とする。好ましくは、支柱3を本体柱14とその内部に回転自在に嵌合した埋め込み柱15とから構成するのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点や道の曲がり角などに設置されるカーブミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カーブミラーは、カーブや交差点の死角を鏡によって映し出すことで死角の危険を排除する目的で設置される。ほとんどの場合、設置場所に支柱を立て、その先端にカーブミラーが取り付けられている。
【0003】
カーブミラーはステンレスなどの金属板や合成樹脂板を凸面鏡状に曲げ加工して製作した鏡面板の外側を枠で覆って支持したものがほとんどである。
【0004】
さらに、カーブミラーは、肉眼では死角となる方向をミラーによって目視することで死角の状況確認ができるようにするものであるから、設置したときに死角となる場所を映すために角度調整をする必要がある。また、カーブミラーは野ざらし状態であるから、設置後に強風や衝撃などによって角度が変わってしまい、必要な部分が見えなくなることがある。このような場合は、カーブミラーの角度を調整しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開2006−183420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、素材を凸面鏡にするための曲げ加工が面倒であり、そのためのコストが全体に占める割合は非常に大きいものであった。また、カーブミラーの角度を調整するときは、支柱を中心にカーブミラーを左右に回動させることになるが、鏡面と回動中心との間に距離があるため、障害物があると角度を合わせにくいという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題点を解消し、低コストで製作でき、しかも角度調整を容易かつ確実に行うことができるカーブミラーを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、前面が開口した枠体と、枠体の上記前面開口部に設けられた鏡面板と、枠体と鏡面板との間に設けられた円筒状の支柱とを有し、枠体と鏡面板との間の間隔よりも支柱の外径を大きくすることにより、鏡面板を湾曲させたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記枠体は後枠と両側枠とを有するとともに、上記両側枠の前端には中空部が設けられ、中空部には上記開口部に設けられた鏡面板の両端部に嵌合する嵌合溝を形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、上記支柱は、上記枠体の内部の中央に圧入された本体柱と本体柱の内部に回転可能に嵌合した埋め込み柱とから構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3において、上記埋め込み柱には、上記枠体の外から本体柱に打ち込まれた固定ねじとの干渉を避ける逃げ部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、枠体と鏡面体との間の中央に円筒状の支柱を圧入すると、鏡面板の中央が外側に押圧されて撓むから湾曲し、鏡面板はカーブミラー本体となる。同時に、枠体は支柱に取り付けられる。したがって、カーブミラーを低コストで製作でき、しかも鏡面板の角度調整をするときは、支柱の中心が回動中心になるから、鏡面が大きく動くことがなく、カーブミラーの角度の調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、枠体の両側枠の前端に形成された中空部は強度が高く、中空部の嵌合溝に鏡面板の両端部を嵌合させた構造であるから、鏡面板の両端部は固定されていないので、本体柱からの押圧力を受けたときに、鏡面板は全体的に均一に湾曲しやすいので、良好な鏡面が得られる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、本体柱の内部に埋め込み柱を回転可能に嵌合したから、角度調整時には埋め込み柱を固定しておき、埋め込み柱を中心にして本体柱と枠体とを一体にした状態で回転させればよい。埋め込み柱は固定し、回転させる必要がないので、カーブミラーの角度調整作業を容易に行うことができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、埋め込み柱には、枠体の外から本体柱に打ち込まれた固定ねじとの干渉を避ける逃げ部が形成されているので、埋め込み柱は、固定ねじによって枠体に固定された本体柱とはフリーの状態となるので、埋め込み柱と本体柱とを相対的に回転させることができる。したがって、埋め込み柱を中心にして本体柱と枠体とを一体にした状態で回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のカーブミラーの正面図
【図2】図1のA−A線上の断面図
【図3】上記カーブミラーの背面図
【図4】上記カーブミラーの側面図
【図5】上記カーブミラーの角度を調整した状態の断面図
【図6】上記カーブミラーの高さを調整した状態の正面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図4はカーブミラーを示すもので、カーブミラーは、鏡面板1を前面に設けた枠体2と支柱3とから構成されている。
【0018】
枠体2は後枠2aと両側枠2bとからコ字形に形成され、前側が開口して上、中、下の三段に配置された基枠4を連結したものである。
【0019】
図2および図3に示されるように、基枠4は強度の高い細長の金属板の両端を直角に屈曲させた後枠部5と両側枠部6とによって構成されている。基枠4は上部、中央部及び下部の3段に配置され、長尺の連結体7と補強材13を介して連結されている。後枠部5は後枠2aであり、側枠部6の前側には略方形の連結体7が固定され、側枠部5と連結体7とによって側枠2bが形成されている。
【0020】
連結体7はアルミニウムの押出形材で中空に形成され、その背面側には突片8が形成され、この突片8と基枠4の側枠部6とはねじ10によって一体的に結合している。また、連結体7の中空部7aの相対する側面には鏡面板1の両端部に嵌合する第1の嵌合溝11が開口形成されている。外側の隣り合う側面には後述の補強材を嵌合するための第2の嵌合溝12が形成されている。
【0021】
補強材13はL字型のアルミニウムの押出形材で、その両側縁は連結体7に形成された第2の嵌合溝12に嵌合している。補強材13と連結体7とはねじ止め、接着等によって結合させればよい。
【0022】
なお、枠体2の構成は上記のものに限定されない。後枠と両側枠とが一体的に形成され、前部に開口部を有するものであれば、他の構成であってもよい。また、枠体の形状もコ字形に限定されない。円弧状であってもよい。
【0023】
鏡面板1は、表面に鏡面加工を施したステンレス板でもよく、あるいはアクリル等の透明な合成樹脂板の背面に薄いアルミニウムの薄層を形成したものであってもよい。なお、枠体2よりも鏡面板1の強度のほうが小さくなるように設定されている。
【0024】
支柱3は円筒状の本体柱14と本体柱14の内部に嵌合された埋め込み柱15とから構成されている。埋め込み柱15は本体柱14に対して回転可能になっている。また、本体柱14の外径は、枠体2の後枠2aと第1の嵌合溝11との間の距離、すなわち枠体2の後枠2aと鏡面板1との間の間隔(距離)Lよりも大きい。そして、本体柱14は両側枠2bの第1の嵌合溝11に嵌合した鏡面板1と後枠2aとの間に圧入される。これにより、後枠2aに対して強度の劣る鏡面板1は円弧状に湾曲するから、カーブミラーが形成される。
【0025】
本体柱14は枠体2と一体に固定されているが、埋め込み柱15は本体柱14と枠体2に対して独立に設けられている。
【0026】
すなわち、枠体2の後枠2aの外から本体柱14に向けて固定ねじ16がねじ込まれ、カーブミラー本体は本体柱14に固定されている。これに対し、埋め込み柱15の後部には凹部17が形成され、本体柱14の内面との間に空間が形成されている。そして、固定ねじ16の先端は凹部17内に留まり、埋め込み柱15には届かないように形成されている。このように、凹部17は固定ねじ16との干渉を避ける逃げ部を構成している。
【0027】
なお、枠体2の上端にはキャップ18が取り付けられている。キャップ18の固定ねじ20は枠体2の連結体7のビスホール21にねじ込まれている。
【0028】
次に、支柱3は本体柱14と埋め込み柱15とから構成されているが、埋め込み柱15は長く、本体柱14は短く形成されている。埋め込み柱15の下部は道路等の地盤に埋め込み固定されている。そして、埋め込み柱15には短筒状の仮止め部材22が嵌合されている。仮止め部材22に、は図4に示されるように、蝶ナット23が螺合されている。また、本体柱14の下部には位置固定用のビス穴24が形成されている。
【0029】
上述の構成によれば、カーブミラー本体は、枠体2内に本体柱14を嵌挿させると同時に形成されるから、予め鏡面板を凸面鏡状に加工する必要はない。また、枠体2の両側枠2bの前端に形成された連結体7は強度が高く、連結体7の嵌合溝12に鏡面板1の両端部を嵌合させた構造であるから、鏡面板1の両端部は固定されていないので、本体柱14からの押圧力を受けたときに、鏡面板1は全体的に均一に湾曲しやすいので、良好な鏡面が得られる。
【0030】
さらに、カーブミラーは通りのコーナーの近くに人や自転車がいるかどうかを確認できればよいから、湾曲しているだけでその効果は得られる。したがって、カーブミラーを低コストで製作できる。
【0031】
次に、カーブミラーの角度を調整するときは、図5に示されるように、枠体2を左右に必要な角度だけ回動させればよい。この場合、枠体2は本体柱14の中心である埋め込み柱15の中心のまわりに回動するが、埋め込み柱15は回転しないので、本体柱14は、固定ねじ16が埋め込み柱15の凹部17内で動ける可動範囲内で回動し、この範囲内で調整可能となる。埋め込み柱15は、固定ねじ16によって枠体2に固定された本体柱14とはフリーの状態となるので、埋め込み柱15と本体柱14とを相対的に回転させることができる。したがって、埋め込み柱15を中心にして本体柱14と枠体2とを一体にした状態で回転させることができる。そして、鏡面板1の角度調整をするときは、本体柱14の中心が回動中心になるから、鏡面が大きく動くことがなく、カーブミラーの角度の調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0032】
また、上記支柱3の長さを調整したり、カーブミラーの位置を固定したりするときは、図6に示されるように、仮止め部材22を本体柱14の下部に当てた状態で埋め込み柱15に沿って持ち上げる。所定の位置で蝶ナット23を締め込めば枠体2はその位置に仮止めされる。そこで、本体柱14のビス穴から固定用のタッピングネジ25を挿入し、埋め込み柱15にねじ込み固定すればよい。なお、上述のように固定したカーブミラーの角度を調整するときも、タッピングネジ25を外し、埋め込み柱15に対して枠体2とともに本体柱14を回動調整した後、本体柱14からタッピングネジ25を埋め込み柱15にねじ込み固定すればよい。
【0033】
ところで、本体柱14を鏡面板1の裏側から押圧して湾曲させる際、鏡面板1が押圧部分のみが急激に曲がるのを防止するために、図2に示されるように、本体柱14の前面にガイド板26を固定しておいてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 鏡面板
2 枠体
2a 後枠
2b 側枠
3 支柱
4 基枠
7 連結体
12 嵌合溝
13 補強材
14 本体柱
15 埋め込み柱
17 凹部(逃げ部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口した枠体と、枠体の上記前面開口部に設けられた鏡面板と、枠体と鏡面板との間に設けられた円筒状の支柱とを有し、枠体と鏡面板との間の間隔よりも支柱の外径を大きくすることにより、鏡面板を湾曲させたことを特徴とするカーブミラー。
【請求項2】
上記枠体は後枠と両側枠とを有するとともに、上記両側枠の前端には中空部が設けられ、中空部には上記開口部に設けられた鏡面板の両端部に嵌合する嵌合溝を形成したことを特徴とする、請求項1に記載のカーブミラー。
【請求項3】
上記支柱は、上記枠体の内部の中央に圧入された本体柱と本体柱の内部に回転可能に嵌合した埋め込み柱とから構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のカーブミラー。
【請求項4】
上記埋め込み柱には、上記枠体の外から本体柱に打ち込まれた固定ねじとの干渉を避ける逃げ部が形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のカーブミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−255313(P2012−255313A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129807(P2011−129807)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(594168193)
【出願人】(504200179)
【出願人】(596137575)
【Fターム(参考)】