説明

カーボネートプロドラッグおよびそれを使用する方法

本発明は、親薬物部分のヒドロキシルまたはカルボキシル基に結合した炭酸無水リン酸プロドラッグ部分を含むカーボネートプロドラッグを提供する。該プロドラッグは、親薬物と比べて改善された物理化学的特性を有する可能性がある。カーボネートプロドラッグを用いて親薬物に対して反応性である疾患または状態を治療する方法、ならびにキットおよび単位用量も提供する。一態様は、(a)ヒドロキシル基またはカルボキシル基、または両方を含む、親薬物の部分、および(b)カーボネート部分を与えるヒドロキシル基および/またはカルボキシル基において親薬物の部分に結合している、式−C(O)O−P(O)(OH)のプロドラッグ部分を含むプロドラッグ、あるいは薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2008年5月20日に出願された、表題「Carbonate Prodrugs and Methods of Using The Same」の米国仮出願第61/054,765号(この内容は、それが以下にあたかも完全に示されているかのように、その全体が参考として本明細書に援用される)の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
実験的モデルにおいて試験したときに優れた生物活性および安全性プロファイルを示す薬物は、ヒト被験体に投与した場合に活性がより低く、かつ/または毒性がより高いことがある。このような不一致の1つの考えられる理由は、分子が治療濃度で標的作用部位(単数または複数)に到達することができず、かつ/または1つもしくは複数の組織に毒性レベルで蓄積する可能性があることである。in vitro法とin vivo法との間、また試験動物種とヒトとの間にそのような薬物動態の差があるため、特定の化合物の治療上の有用性が著しく限定され、薬物の開発が困難なものとなっている。
【0003】
物理化学的特性、治療上有効な用量および投与経路は、それぞれ薬物分子の薬物動態プロファイルに影響を及ぼす可能性がある。治療上有効な用量は、特定の薬物について固定する。それにもかかわらず、新規な経路がより高い生物学的利用能をもたらす場合には、投与経路の変更により薬物の用量の減量が可能となり得る。例えば、適切な物理化学的特性を前提として、高用量が必要な不十分な経口生物学的利用能を有する薬物は、生物学的利用能が改善されるため低用量での非経口投与用に処方することができる。しかし、異なる投与経路は、所定の薬物分子の物理化学的特性が新規な剤形に適している場合にのみ一般的に可能である。多くの既存の薬物の物理化学的構成は、それらの使用を経口投与に限定させるものであり、結果として、高用量となり、薬物動態プロファイルが不十分となる。したがって、既存の薬物および/またはその製剤の物理化学的特性を改善する努力がなされた。
【0004】
溶解度が不十分な薬物は、しばしば不十分な生物学的利用能を示すものであり、これは、薬物の開発を阻み得る、または薬物の治療上有効な血中レベルを得るために高用量の投与を必要とし得る状況である。例えば、Tricor(登録商標)(フェノフィブレート)は、300mgカプセル剤として発売された。粒径を減少させて微粉末にすることにより、薬物の溶解度が増加し、用量を200mgに減少させることができた。微粉末への界面活性剤の添加により、160mgの用量の錠剤のみを用いた場合に300mgおよび200mg用量と同様な生物学的利用能を有する製剤が得られた。ナノ粒子の薬物を含む他の生物学的に同等な製剤は、145mgの有効用量が可能となった。このように、生物学的利用能の増加につながる、溶解度を増大させることによって、Tricor(登録商標)の用量のかなりの低減(100%を超える)が達成された。粒径の減少による溶解度の改善のいくつかの例があるにもかかわらず、経口投与の本質的な条件(例えば、GI管内の限られた水性媒体)が、特定の薬物の溶解度および生物学的利用能の増大を制限する可能性がある。
【0005】
溶解度を増加させるために用いられる他の技術は、不溶性/難溶性薬物とシクロデキストリンなどのより可溶性の分子との分子錯体を製造することである。イトラコナゾール(Sporanox(登録商標))、ボリコナゾール(Vfend(登録商標))およびジスプラシドン(Geodon(登録商標))は、この技術の成功した適用の例である。しかし、この適用は、一般的に可溶化する薬物の量に対して大過剰のシクロデキストリンが必要であり、溶解度の所望の増加を薬物試料全体にもたらさない(例えば、イトラコナゾールの10mg、ボリコナゾールの200mgおよびジスプラシドンの20mgの用量は、それぞれ400mg、3200mgまたは294mgのシクロデキストリンを必要とする)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
新薬を発見することの重要性は誇張することはできないが、既存の薬物の物理化学的特性を改善する能力は報奨を受けるものである。したがって、既存の薬物のプロドラッグなどの改善された薬物の明らかで、満たされていない必要性が依然として存在する。
【0007】
本明細書で引用したすべての刊行物、特許、特許出願および他の参考文献の開示は、それらの全体として参照により本明細書に組み込まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、プロドラッグおよび治療におけるそれらの使用の方法に関する。一態様は、(a)ヒドロキシル基またはカルボキシル基、またはそれらの両方を含む、親薬物の部分、および(b)ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基において親薬物の部分に結合し、カーボネート部分を与える、式−C(O)O−P(O)(OH)のプロドラッグ部分を含むプロドラッグ、あるいは薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物を提供する。これらの実施形態のいくつかにおいて、親薬物は、C〜Cアルコールでない(例えば、メタノール、エタノールまたはフェノールでない)。いくつかの実施形態において、親薬物は、本明細書で述べる群(I)、(II)または(III)の親薬物化合物から選択される化合物である。
【0009】
いくつかの実施形態において、プロドラッグは、以下の式(IV)
【0010】
【化1】

であるか、または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物である。
【0011】
いくつかの実施形態において、本発明は、式(IV)のプロドラッグおよび担体を含む製剤を含む。群(I)、(II)または(III)から選択される親薬物のいずれか1つの本明細書で述べるカーボネートプロドラッグおよび担体を含む製剤も含む。いくつかの実施形態において、製剤は、有効量のプロドラッグおよび担体を含む。いくつかの実施形態において、担体は、薬学的に許容される担体である。一態様において、担体は、生理食塩水などの水性担体であり、ほぼ生理的pHにあっていてよい。いくつかの実施形態において、本発明は、該プロドラッグの実質的に純粋な形態を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、本発明は、式(IV)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物、ならびにオピオイド、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、ベンゾジアゼピンおよび/またはバルビツレートを含む製剤を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、式(IV)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物、ならびにコデイン、モルヒネ、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、アスピリン、ケトロラク、イブプロフェン、ナプロキセン、カフェイン、トラマドール、デキストロプロポキシフェン、メチルヘキシタール、ジアゼパム、ロラゼパムおよび/またはミダゾラムを含む製剤を含む。
【0013】
他の態様において、本発明は、群(I)、(II)または(III)から選択される親薬物のいずれか1つの本明細書で述べる有効量の式(IV)のプロドラックまたはカーボネートプロドラッグ、または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物を個体に投与することを含み、プロドラッグが、親薬物と比較して親薬物の作用の遅い発現をもたらす、個体における親薬物の作用の発現を遅延させる方法を提供する。
【0014】
他の態様において、本発明は、群(I)、(II)または(III)から選択される親薬物の本明細書で述べる有効量の式(IV)のプロドラックまたはカーボネートプロドラッグ、または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物を個体に投与することを含み、プロドラッグが、親薬物と比較して親薬物の活性の持続をもたらす、個体における親薬物の活性を持続させる方法を提供する。
【0015】
他の態様において、製剤が親薬物のカーボネートプロドラッグを含み、該プロドラッグが親薬物の溶解度と比較して高い溶解度(例えば、水溶解度)を示す、低容積/高濃度製剤を投与する方法を提供する。式(IV)のプロドラッグおよび薬学的に許容される担体を含む製剤などの低容積/高濃度製剤も提供する。「低容積/高濃度」製剤は、所定の容積の担体が、親薬物を用いて利用できるまたは得られるより高いモル濃度のプロドラッグを含んでいる、担体およびプロドラッグを含む製剤を意味する。式(IV)のプロドラッグを例として選択すると、低容積/高濃度のそのようなプロドラッグは、担体およびプロドラッグを含み、アセトアミノフェンを用いて利用できるまたは得られるより高いモル濃度のプロドラッグを所定の容積の担体中に含む製剤を意味する。本明細書で詳述するプロドラッグ(例えば、式(IV)のプロドラッグまたはその塩もしくは前記のものの溶媒和物)の低容積/高濃度製剤を個体に投与することを含む、低容積/高濃度の親薬物(例えば、アセトアミノフェン)を供給する方法も提供する。一態様において、該方法は、個体に投与したときに親薬物の速やかな放出(例えば、酵素開裂または加水分解による)をもたらすプロドラッグの投与を必要とする。本明細書で詳述するプロドラッグを投与することによって現在得られる用量を超える量の親薬物の単回投与を行う方法も提供する。
【0016】
他の態様において、本発明は、群(I)、(II)または(III)から選択される親薬物の本明細書で述べる有効量の式(IV)のプロドラックまたはカーボネートプロドラッグ、または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物を個体に投与することを含む、親薬物に対して反応性である疾患または状態を治療する方法を提供する。
【0017】
他の態様において、本発明は、群(I)、(II)または(III)から選択される親薬物の本明細書で述べる式(IV)のプロドラックまたはカーボネートプロドラッグ、または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物を含む製剤を個体に投与することを含む、親薬物に対して反応性である疾患または状態を治療する方法を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態において、本発明は、有効量の式(IV)のプロドラックまたは薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物を個体に投与することを含む、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態を治療する方法を提供する。これらの実施形態のいくつかにおいて、疾患または状態は、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(例えば、心筋および/または脳)ならびに神経損傷からなる群から選択される。
【0019】
該方法のいくつかの実施形態において、該プロドラックを非経口的に(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)投与する。いくつかの実施形態において、該プロドラックの用量は、約300mg〜約2.6gである。他の実施形態において、該プロドラックの用量は、約1.3g〜約1.9gである。これらの実施形態のいくつかにおいて、投与容量は、約1〜25mLである。他の実施形態において、投与容量は、約10〜20mLである。他の実施形態において、投与容量は、約1〜10mLである。他の実施形態において、投与容量は、約5〜10mLである。
【0020】
他の態様において、アセトアミノフェンに対して反応性である状態の治療用の薬剤の製造のための式(IV)のプロドラックの化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物の使用を提供する。他の態様において、アセトアミノフェンに対して反応性である状態の治療のための式(IV)のプロドラックの化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物の使用を提供する。いくつかの変形形態において、該状態は、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷または神経損傷である。
【0021】
他の態様において、本発明は、式(IV)のプロドラッグまたは群(I)、(II)もしくは(III)から選択される親薬物のプロドラッグまたは薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物、および使用説明書を含む、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態の治療または予防のためのキットを提供する。
【0022】
他の態様において、本発明は、式(IV)のプロドラッグまたは薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物、および使用説明書を含む、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷または神経損傷の治療または予防のためのキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、ヒト血漿中の15μg/mLの式(IV)の化合物からのアセトアミノフェンの生成を示すデータである。
【図2】図2は、ヒト血漿中の0.3μg/mLの式(IV)の化合物からのアセトアミノフェンの生成を示すデータである。
【図3】図3は、親薬物アセトアミノフェンと比較した式(IV)の化合物からのアセトアミノフェンの時間依存性血漿濃度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、親薬物部分のヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基に結合した炭酸無水リン酸(carbonic phosphoric anhydride)プロドラッグ部分を含むカーボネートプロドラッグを提供する。適切な親薬物は、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を含んでいてよく、あるいは1つまたは複数のヒドロキシル基およびカルボキシル基の両方を含んでいてよいことが理解される。これらのプロドラッグは、加水分解により、放出された活性親薬物に加えて、炭酸および無機リン酸塩、または無機リン酸塩のみを生成すると考えられる。炭酸は、一般的に不安定で、解離して、水および二酸化炭素を生成する。無機リン酸塩を含む、これらの副生成物は、通常in vivoで存在するものであり、したがって、未知または望ましくない影響を示すとは予想されない。
【0025】
本発明のプロドラッグは、親薬物の投与と比べて、溶解度の増加および/または安全性プロファイルの改善をもたらす可能性がある。場合によって、該プロドラッグは、その親薬物より、in vivoでの分解を受けにくく、長い半減期を示す可能性がある。より長い半減期を有するプロドラッグは、親薬物より低い頻度の投与および/または低い用量を必要とする可能性があり、これは、親薬物投与に悪心などの望ましくない副作用が伴う場合、または最適な投与頻度が不遵守を促進する場合に特に重要であり得る。さらに、親薬物と異なる物理化学的特性を有するプロドラッグは、非経口投与などの特定の薬物送達経路により適している可能性がある。
【0026】
したがって、本発明は、一態様において、−OC(O)O−P(O)(OH)基を含むプロドラッグを提供する。
【0027】
他の態様において、本発明は、有効量の本明細書で述べるカーボネートプロドラッグを個体に投与することを含む、親薬物に対して反応性である疾患または状態を治療する方法を提供する。
【0028】
カーボネートプロドラッグのキット、製剤および単位剤形も提供する。
【0029】
略語および定義
本明細書に記載するいくつかの化合物の命名法は、CambridgeSoft(登録)から入手可能なChemDraw Ultra Version 10.0を用いて確認することができる。本明細書に記載するいくつかの薬物の命名法は、USAN(米国一般名(United States Adaped Name))、INN(国際医薬品一般名(International Nonproprietary Name))またはJAN(日本一般名(Japanese Approved Name))により確認することができる。
【0030】
「プロドラッグ」という用語は、in vivoでの化学的および/または生物学的過程により(例えば、加水分解および/または酵素変換により)、それが使用される個体への投与後に活性化合物を供給する化合物を意味する。プロドラッグ自体は、活性であってよく、あるいは比較的に不活性であり、次により活性な化合物に変換されてもよい。本発明は、本明細書で述べるように、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含む親薬物のプロドラッグを含む。「カーボネートプロドラッグ」という用語は、カーボネート部分−OC(O)O−を含むプロドラッグを意味する。非限定的な例は、−OC(O)O−P(O)(OH)および/または−C(O)O−C(O)O−P(O)(OH)基あるいはその塩を含むプロドラッグなどである。
【0031】
本明細書で用いているように、「親薬物」は、プロドラッグ部分を含まない薬物を意味する。「親薬物部分」または「親薬物の部分」は、以下の概略図により表されているように、プロドラッグを得るために「プロドラッグ部分」に結合させることができる親薬物由来の一価基である。
【0032】
【化2】

例えば、アセトアミノフェンは、プロドラック(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸に対する親薬物であり、該プロドラッグは、親薬物部分(アセトアミノフェン基)およびプロドラッグ部分(−C(O)O−P(O)(OH))を含んでいる。
【0033】
「保護基」は、次の特性を示す化学基を意味する。1)保護が望まれる計画された反応に対して安定である;2)所望の機能を発生させるために保護された基質から除去できる;および3)存在する、またはそのような計画された反応で生成する他の官能基(単数または複数)と適合性のある試薬により除去できる。本明細書で述べる方法に用いるための適切な保護基の選択は、当技術分野の通常の能力水準の範囲内である。適切な保護基の例は、Greeneら(2006年)PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS、第4版(John Wiley & Sons, Inc.、New York)に見いだすことができる。「ヒドロキシ保護基」は、本明細書で用いているように、保護を用いる反応の後に化合物の残りの部分を乱すことなく除去することができる、「保護されたヒドロキシル」を生成するために遊離ヒドロキシ基を保護することができる基を意味する。具体例としてのヒドロキシ保護基は、エーテル(例えば、アリル、トリフェニルメチル(トリチルまたはTr)、ベンジル、p−メトキシベンジル(PMB)、p−メトキシフェニル(PMP))、アセタール(例えば、メトキシメチル(MOM)、3−メトキシエトキシメチル(MEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、エトキシエチル(EE)、メチルチオメチル(MTM)、2−メトキシ−2−プロピル(MOP)、2−トリメチルシリルエトキシメチル(SEM))、エステル(例えば、ベンゾエート(Bz)、アリルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカーボネート)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)などを含むが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書で用いているように、「治療」、「治療すること」または「治療する」は、臨床結果を含む、有用または所望の結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有用または所望の結果は、1つまたは複数の次のもの:親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状を低減すること、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態の程度を軽減すること、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態を安定化すること(例えば、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態の悪化を予防または遅らせること)、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態の進行を遅らせることまたは遅くすること、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態を改善すること、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態を治療するのに必要な1つまたは複数の他の薬剤の用量を減少させること、ならびに親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態を有していたまたは有すると疑われる個体の生活の質を向上させることを含むが、これらに限定されない。疾患もしくは状態は、親薬物に対して反応性であるまたは反応性であると考えられるものであってよい。疾患もしくは状態は、疼痛を伴っていてよく、親薬物は、鎮痛薬であってよい。疾患もしくは状態は、炎症を伴っていてよい。疾患もしくは状態は、虚血性損傷であってよい。疾患もしくは状態は、神経損傷であってよい。1つの変形形態において、状態は、手術後疼痛および/または発熱である。いくつかの実施形態において、カーボネートプロドラッグおよび/または該プロドラッグを含む製剤は、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態に関連する1つまたは複数の症状の重症度を、治療前の同じ被験体における対応する症状と比較して、あるいはプロドラッグおよび/または製剤の投与を受けない他の被験体における対応する症状と比較して少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%低下させる。「親薬物に対して反応性」は、本明細書で用いているように、親薬物により治療することができる、疾患もしくは状態および/または疾患もしくは状態の症状を意味する。
【0035】
本明細書で用いているように、「遅らせること」は、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態を、延期し、妨げ、遅くし、阻止し、安定化し、かつ/またはその発現、および/またはその1つもしくは複数の症状の発現を遅らせることを意味する。この遅延は、治療する疾患の病歴および/または個体によって、変動する時間であり得る。当業者に明らかなように、十分なまたは著しい遅延は、個体が親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態を発現しないという点で、実質的に予防を含む。親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態の発現を「遅らせる」方法は、方法を用いないことと比較したとき、所定の時間枠における親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態の発現の可能性を低下させ、かつ/または所定の時間枠における親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態の程度を低減させる方法である。そのような比較は一般的に、統計的に有意な被験体数を用いた臨床試験に基づくものである。
【0036】
本明細書で用いているように、「発現を遅延させること」または「遅発」は、同じ投与経路による同じ期間内の当該モル当量の親薬物の投与と比較して、カーボネートプロドラッグによってもたらされる作用の発現までの時間の延長を意味する。例えば、(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸からの親アセトアミノフェンの放出の遅延は、個体への当該モル当量のアセトアミノフェンの投与と比較して、アセトアミノフェンへの全身曝露の遅延をもたらす可能性がある。同様な結果は、本発明の他のカーボネートプロドラッグにより得ることができる。
【0037】
本明細書で用いているように、「活性を持続させること」または「活性の持続」は、カーボネートプロドラッグから親薬物を放出させまたは別の方法で発生させるのに時間が必要であるためにカーボネートプロドラッグによってもたらされる持続的作用を意味する。例えば、プロドラッグ(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸の投与は、同じ投与経路による同じ時間にわたる当該モル当量のアセトアミノフェンの投与と比較して、親アセトアミノフェンの持続放出をもたらす可能性がある。「持続放出」は、個体におけるアセトアミノフェンなどの親薬物またはその代謝物の血中濃度が長い持続時間にわたり治療範囲(例えば、最小有効鎮痛濃度を上回るが、中毒濃度を下回る)または範囲内に維持されるような速度でのアセトアミノフェンなどの親薬物の放出を意味する。この状況での長い持続時間は、同じ経路により投与した当該モル当量の対応する親薬物が治療範囲内の親薬物(またはその代謝物)の血中濃度をもたらす時間より長い時間を意味する。
【0038】
本明細書で用いているように、「リスクがある」個体は、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態を発現する危険性がある個体である。「リスクがある」個体は、親薬物に対して反応性である検出可能な疾患もしくは状態を有していてもよくまたは有していなくてもよく、また、本明細書で述べる治療方法の前に親薬物に対して反応性である検出可能な疾患もしくは状態に関連する症状を示してもよくまたは示さなくてもよい。「リスクがある」は、個体が、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態の発現と相関する測定可能なパラメータである1つまたは複数のいわゆる危険因子を有することを意味する。これらの危険因子の1つまたは複数を有する個体は、これらの危険因子(単数または複数)のない個体より親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態を発現する高い可能性を有する。
【0039】
本明細書で用いているように、「薬学的に許容される」は、生物学的にまたは他の点で望ましくないことはない物質を意味し、該物質は、顕著な望ましくない生物学的影響をもたらすことなく、あるいはそれが含まれる組成物の他の成分のいずれかと有害な仕方で相互作用することなく、個体に投与される医薬組成物に混入させることができる(例えば、製造または投与時に)。本明細書で用いているように、「薬学的に許容される担体」という用語は、例えば、個体(例えば、ヒト)への投与に適する当業者に公知の溶媒、安定化剤、pH調整剤、張度調整剤、アジュバント、結合剤、希釈剤などを意味する。2つ以上の担体の組合せも本発明において考慮される。本明細書で述べるような、薬学的に許容される担体(単数または複数)および任意の追加の成分は、特定の剤形の意図する投与経路(例えば、経口、非経口)での使用に適合性があるべきである。そのような適合性は、特に本明細書に示す教示を考慮して、当業者により容易に認識されるであろう。薬学的に許容される担体または賦形剤は、毒性学的および製造試験の要求される基準を満たし、かつ/または米国食品医薬品局により作成された不活性成分に関する指針(Inactive Ingredient Guide)に含まれていることが好ましい。
【0040】
「有効量」という用語は、本明細書で用いているように、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態を有する、または有する疑いがある(例えば、症状および/または個体の知覚/感覚に基づき)、あるいはその症状の1つまたは複数を示す個体における所望の薬理学的および/または生理学的効果をもたらす量を意味する。有効量は、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態もしくはその症状の発生もしくは再発を完全もしくは部分的に予防することができ、かつ/または親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態および/または疾患もしくは状態(例えば、疼痛)に起因する有害影響の部分的もしくは完全な治癒の点で治療に役立つことができる。本明細書で述べる疾患もしくは状態(例えば、疼痛)に関して、有効量は、とりわけ、親薬物に対して反応性である疾患もしくは状態に関連する症状の1つまたは複数をある程度まで低減し、かつ/または軽減するのに十分な量を含み得る。特定の実施形態において、個体に予防的に投与するなどの場合、有効量は、状態を予防するのに十分である。有効量は、治療する根底にある状態の根絶もしくは改善、および/または個体が依然として根底にある疾患もしくは状態に罹患していることがあるにもかかわらず、個体が感覚もしくは状態の改善(例えば、疼痛強度および/または持続時間の低減)を報告するように根底にある状態に関連する症状の1つまたは複数の根絶もしくは改善を含む。有効量はまた、疾患もしくは状態の改善が実現されるかどうかにかかわりなく、疾患もしくは状態の進行を停止または遅くすることを含む。
【0041】
「有効量」は、投与する組成物、治療/予防する状態(例えば、疼痛の種類)、治療もしくは予防する状態の重症度、個体の年齢、体格、体重および相対的健康、投与の経路および形態、担当医師もしくは獣医師の判断(該当する場合)ならびに本明細書に記載されている教示を考慮して、当業者により十分に理解される他の要因によって異なる可能性がある。有効量は、例えば、1つまたは複数の臨床的、生理学的、生化学的、組織学的、電気生理学的および/または行動評価からのデータを用いることによって評価することができる。
【0042】
当技術分野で理解されているように、「有効量」は、1回または複数回の投与においてであってよい。すなわち、所望の治療エンドポイントを達成するために単回投与または反復投与が必要である可能性がある。有効量は、1つまたは複数の追加の医薬品を投与する状況で考慮することができ、1つまたは複数の追加の医薬品と併用して、1つまたは複数の望ましいまたは有用な結果が達成される可能性があるまたは達成される場合に、カーボネートプロドラッグを有効量で投与することを考慮することができる。
【0043】
治療および/または予防の方法ならびに本明細書で述べるそのカーボネートプロドラッグの使用について用いる場合、「それを必要とする」個体は、治療すべき疾患もしくは状態と診断され、それについて以前に治療を受け、かつ/またはそれを有することが疑われた個体であってよい。予防に関しては、それを必要とする個体は、疾患もしくは状態の危険性(例えば、状態の家族歴、状態の危険性を示唆する生活要因など)がある個体であってもよい。
【0044】
いくつかの変形形態において、該個体は、本明細書で述べた1つまたは複数の疾患もしくは状態および/またはその症状を有すると識別された。熟練した医師による該疾患もしくは状態および/またはその症状の識別は、当技術分野において日常的業務(例えば、アレルギー、感冒、咳、かぜ、疼痛などの検出)であり、例えば、疼痛、発熱などのため、個人または他者によっても推定される可能性がある。
【0045】
いくつかの実施形態において、該個体は、本明細書で述べたような疾患若しくは状態の1つ又は複数にかかりやすいと識別された。個体の感受性は、遺伝子プロファイリング、家族歴、病歴(例えば、関連状態の出現)、生活様式又は習慣を含むが、これらに限定されない、当業者により認識されている多くのリスク因子及び/又は診断アプローチのいずれか1つ又は複数に基づくものであってよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、個体は、ウシ、ウマ、ネコ、ウサギ、イヌ、げっ歯類又は霊長類を含むが、これらに限定されない、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、哺乳動物は霊長類である。いくつかの実施形態において、霊長類はヒトである。いくつかの実施形態において、個体は、成人、小児、乳児及び未熟児を含むヒトである。いくつかの実施形態において、個体は非哺乳動物である。いくつかの変形形態において、霊長類はチンパンジー及び他の類人猿並びにサル種などのヒト以外の霊長類である。いくつかの実施形態において、哺乳動物は、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ及びブタなどの家畜;ウサギ、イヌ及びネコなどのペット;ラット、マウス及びモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物などである。いくつかの実施形態において、個体は、鳥などを含むが、これらに限定されない非哺乳動物である。「個体」という用語は、特定の年齢又は性別を意味しない。
【0047】
本明細書で用いているように、「併用療法」は、カーボネートプロドラッグを含む第1の療法と疾患若しくは状態を治療、安定化、予防及び/又は遅延させるのに有用な第2の療法(例えば、手術及び/又は追加の医薬品)との併用を意味する。他の化合物「との併用」投与は、同じ又は異なる経路による、逐次的、同時又は連続的な、同じ又は異なる組成物での投与を含む。一変形形態において、併用療法は、カーボネートプロドラッグ及びその対応する親薬物を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、併用療法は、1つ又は複数の薬学的に許容される担体若しくは賦形剤、薬学的に活性ではない化合物及び/又は不活性物質を場合によって含む。
【0048】
本明細書で用いているように、「追加の医薬品」という用語は、治療効果を発現させるために投与されるカーボネートプロドラッグ以外の活性薬(例えば、他の薬物及び/又は親薬物自体)をいう。追加の医薬品(単数又は複数)は、(1)カーボネートプロドラッグが治療若しくは予防することを意図されている疾患若しくは状態(例えば、疼痛)に関連した治療効果、(2)根底にある状態の症状を治療若しくは予防すること、(3)カーボネートプロドラッグの投与の副作用の出現若しくは重症度を低減すること、及び/又は(4)親薬物に対して反応性ではない、又は親薬物に対する反応性が比較的より低い疾患若しくは状態に関連した治療効果を目的とするものであってよい。
【0049】
本明細書における値又はパラメータの「約」への言及は、当値又はパラメータそれ自体を対象とする変形形態を含む(且つ記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。
【0050】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いているように、単数形「a」、「or」及び「the」は、文脈上他の状態に明確に示されていない限り、複数の言及を含む。本明細書で述べる本発明の態様及び変形形態は、態様及び変形形態「からなる」及び/又は「本質的にからなる」ことが理解される。
【0051】
他の状態に定義又は文脈上明確に示されていない限り、本明細書で用いている全ての技術及び科学用語並びに略語は、本発明が属する分野の技術者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0052】
カーボネートプロドラッグ
本発明は、物理化学的特性の改善または変化をもたらす、対応する親薬物のプロドラッグを含む。親薬物を本発明により修飾して、本明細書で述べるカーボネートを含むプロドラッグを提供することができる。プロドラッグは、親薬物部分およびプロドラッグ部分を含み、プロドラッグ部分は、親薬物部分またはその薬学的に許容される塩を得るためにin vivoで除去できる。プロドラッグの投与は、次の1つまたは複数のことをもたらす可能性がある:(1)親薬物もしくはその代謝物のより高い血中レベル濃度を得る能力(溶解度の増加による)、(2)親薬物の活性の発現の遅延、(3)親薬物の活性の持続および/または(4)親薬物モル当量基準で、親薬物自体の投与と比較して、より低用量で投与したときに同様な血中レベル濃度。
【0053】
いくつかの実施形態において、カーボネートプロドラッグは、(1)ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含む親薬物部分;ならびに(2)式−C(O)O−P(O)(OH)のプロドラッグ部分を含み、プロドラッグ部分が、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基において親薬物部分に結合してカーボネートを形成している。いくつかの実施形態において、親薬物は、カルボキシル基を含み、プロドラッグ部分が、カルボキシル基において親薬物部分に結合している。いくつかの実施形態において、親薬物は、ヒドロキシル基を含み、プロドラッグ部分が、ヒドロキシル基において親薬物部分に結合している。これらの実施形態のいくつかにおいて、親薬物部分は、C〜Cアルコール以外である。これらの実施形態の1つにおいて、親薬物部分は、メタノール、エタノールまたはフェノール以外である。
【0054】
いくつかの実施形態において、本発明は、−OC(O)O−P(O)(OH)部分を含むプロドラッグを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、プロドラッグは、CH−OC(O)O−P(O)(OH)、CHCH−OC(O)O−P(O)(OH)またはPh−OC(O)O−P(O)(OH)以外である。いくつかの実施形態において、本発明は、−C(O)O−C(O)O−P(O)(OH)部分を含むプロドラッグを含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、プロドラッグは、1つのみのプロドラッグ部分を含む。いくつかの実施形態において、プロドラッグは、2つのみのプロドラッグ部分を含む。いくつかの実施形態において、プロドラッグは、2つ以上のプロドラッグ部分を含む。いくつかの実施形態において、親薬物部分は、1つのみのヒドロキシル基を含み、カルボキシル基を含まない親薬物からなる。いくつかの実施形態において、親薬物部分は、1つのみのカルボキシル基を含み、ヒドロキシル基を含まない親薬物からなる。いくつかの実施形態において、親薬物部分は、2つ以上のヒドロキシル基を含む親薬物からなる。いくつかの実施形態において、親薬物部分は、2つ以上のカルボキシル基を含む親薬物からなる。いくつかの実施形態において、親薬物部分は、1つのみのカルボキシル基を含み、1つのみのヒドロキシル基を含む親薬物からなる。
【0056】
本発明は、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含む親薬物の使用を含む。ヒドロキシル基を含む親薬物の例は、制限なしに次の群(I)の化合物を含む:アセトアミノフェン、ヒドロキノン、メタクレゾール、レゾルシノール、パラクロロフェノール、グアヤコール、フロログルシノール、クロロクレゾール、メキノール、メルクフェノール(mercufenol)(例えば、塩化メルクフェノール)、サリチルアミド、クロロキシレノール、バニリン、クロルゾキサゾン、チモール、メチルパラベン、フェノールスルホン酸、パロキシプロピオン(paroxypropione)、レゾルシノール、ブロクレシン、クロルインダノール(chlorindanol)、オキシキノリン、ノルエピネフリン、オクトパミン、ドーパミン、バニリン、ノルフェネフリン、エチルパラベン、クロキシキン(cloxyquin)、オイゲノール、ヒドロキシアンフェタミン、オキシドパミン、テトロキノン(tetroquinone)、エピネフリン、ヒルネクロルノン(hyrnecrornone)、フェニルエフリン、プロポフォール、ヨードキノール、エドロホニウム(例えば、塩化エドロホニウム)、フロプロピオン、プロピルパラベン、サリチル酸グリコール、レボノルデフリン(levonordefrin)、メフェネシン、アドレナロン、クロロキシン、クリオキノール、ハルキノール(halquinol)、メリザーメ(melizame)、ラセピネフリン(racepinephrine)、アミノサリチレート、エピネフリン、グアイフェネシン、ブチルパラベン、エチレフリン、ヘキシルレゾルシノール、ラセピネフリン、ロキサルソン、没食子酸プロピル、クロロフェン(clorophene)、デテレノール(deterenol)、ホウ酸エピネフリル(epinephryl borate)、モノベンゾン、ワルファリン、セクラゾン(seclazone)、カルバミン酸クロルフェネシン、メトキサミン、ブセチン、イソプロテレノール、イソプレナリン、ブチル化ヒドロキシトルエン、エタミバン、エチレボドーパ(etilevodopa)、ナプロキソール(naproxol)、タペンタドール(tapentadol)、アントラリン、メトカルバモール、カルビドーパ、オサルミド、アルブテロール、ベレフリン、ドロメトリゾール(drometrizole)、ファドールルニジン(fadolrnidine)、フェンチクロール(fenticlor)、イソエタリン、オキシベンゾン、アミノサリチル酸フェニル、プレナルテロール、プロファドール(profadol)、スチリペントール(stiripentol)、トリクロサン、ピンドロール、エプタゾシン、イソエタリン、レバルブテロール(levalbuterol)、ベンセラジド、ジブロムサラン(dibromsalan)、ジオキシベンゾン(dioxybenzone)、エノフェラスト(enofelast)、フォサラン(fosalan)、イドロノキシル(idronoxil)、メタブロムサラン(metabromsalan)、メチルドーペート、オクチサレート(octisalate)、リミテロール、アテノロール、ビチオノール、デゾシン、アルプレノロール、ミドドリン、ブニトロロール、ブプラノロール、エサテノロール(esatenolol)、ベンセラジド、メトプロロール、ニテカポン(nitecapone)、シクラフリン(ciclafrine)、シラルナドール(cirarnadol)、ホモサレート(homosalate)、ノノキシノール4、パナドール(panadol)、キンドニウム(quindonium)、ノノキシノール9、プロプラノロール、ジエチルスチルベステロール、トルカポン、ジエネストロール、オキシメタゾリン、トラマドール、ヘキセストロール、オクスプレノロール、ベンサラン(bensalan)、ブトキサミン、アクソマドール(axomadol)、カルブテロール、シラマドール(ciramadol)、シクラゾシン、デクスプロパノロール(dexpropanolol)、ソテレノール(soterenol)、プリナベレル(prinaberel)、ニクロサミド、ペンタゾシン、ベンラファキシン、ヘキサクロロフェン、リトドリン、コルテロール(colterol)、デクストロルファン、エムブトランリド(embutranlide)、フェンガビン(fengabine)、イソモルパン(isomolpan)、ケタゾシン(ketazocine)、モキサゾシン(moxazocine)、ナキサゴリド(naxagolide)、フェンプロクモン、スルホンテロール(sulfonterol)、スリソベンゾン(sulisobenzone)、シアニダノール、カプサイシン、ナドロール、エスモロール、エンタカポン、メタラミノール、ベンズブロマロン、リトドリン、ベフノロール、ベンジオダロン、メチプラノロール、プロカテロール、アレンテモール(alentemol)、ブメトリゾール(bumetrizole)、ブノロール、ブトパミン、ドブタミン、エキリン、エキサプロロール(exaprolol)、フェノテロール、フルオロサラン(fluorosalan)、ガランタミン、イソエタリン、レバルブテロール(levalbuterol)、マソプロコール、塩化プラノリウム(pranolium chloride)、プリフェロン(prifelone)、プロキシクロミル(proxicromil)、ラクロプリドC11、ロチゴチン、タゾフェロン(tazofelone)、テブフェロン(tebufelone)、ズカプサイシン(zucapsaicin)、エストロン、エストラジオール、ベタキソロール、ヒドロモルホン、オキシモルホン、フェノテロール、ニリドリン、ニプラジロール、イソクススプリン、メチプラノロール、エピネフリン、ビソプロロール、デノパミン、トメルカスト(tomelukast)、アントラマイシン、ドーパマンチン(dopamantine)、レボベタキソロール(levobetaxolol)、ロモフンギン(lomofungin)、ノルエピネフリン、オキシロルファン(oxilorphan)、プロガビド、ラクトパミン(ractopamine)、タレラノール(taleranol)、キシパミド、ゼラノール、エストリオール、コデイン、オクタベンゾン(octabenzone)、オキシコドン、オキシフェドリン、ブフェトロール、オキシメテバノール、ドロテバノール(drotebanol)、イデベノン、アセブトロール、プリミドロール(primidolol)、ベフロキサトン(befloxatone)、アルブタミン、ビフェナミン(biphenamine)、ブトルファノール、シクロプロロール(cicloprolol)、カラフンギン(kalafungin)、ケトルファノール(ketorfanol)、オクトリゾール(octrizole)、フェノールフタレイン、トルガビド(tolgabide)、キサモテロール、ドロナビノール、エチニルエストラジオール、アセブトロール、ラベタロール、サリチル酸マグネシウム、ベルゲニン、フェノールスルホンフタレイン、フルオレセイン、ナロキソン、ジレバロール、ジピベフリン、アモジアキン、ジクマロール、エコピパム(ecopipam)、エピメストロール、ナルメフェン、ナルトレキソン、オキシフェンブタゾン、サレタミド(salethamide)、チプロピジル(tipropidil)、アトバクオン、フェントラミン、メストラノール、フェノルドパム、ジピベフリン、シツカニン、ベバントロール、メルアドリン、トリメトキノール(トレトキノール)、ナルトレキソン、ナルメフェン、モルヒネ、ブキノレート(buquinolate)、シプロキネート(cyproquinate)、ドペキサミン、エストラジオール、エストラジノール(estrazinol)、チナビノール(tinabinol)、ナルブフィン、アモスラロール、ペンタゾシン、エチルモルヒネ、セファドロキシル、オキシキノリン、オプトヒン、アモキシシリン、グアイチリン(guaithylline)、メドロキサロール(medroxalol)、メノクトン(menoctone)、モデカイニド(modecainide)、ナルメキソン(nalmexone)、ペンタモルホン(pentamorphone)、ラフォキサニド、スルフィナロール(sulfinalol)、テポキサリン(tepoxalin)、チデムベルサット(tidembersat)、チペントシン(tipentosin)、ジンテロール、メチルナルトレキソン、エパノロール、トボリノン、ジヒドロコデイン、デスベンラファキシン、ブシンドロール、シラドーパ(ciladopa)、ダルブフェロン、プリノマスタット、ドペキサミン、メドロキサロール(medroxalol)、メスプリン(mesuprine)、サランテル(salantel)、エストラジオール、エンプロスチル、ナフトピジル、キニーネ、アクリソルシン(acrisorcin)、アルボシジブ(alvocidib)、ドロロキシフェン(droloxifene)、フェンプロスタレン(fenprostalene)、フェンレチニド、インシクリニド(incyclinide)、ナビロン、ネビボロール、レプロテロール、サベルゾール(sabeluzole)、アフィルノキシフェン(afirnoxifene)、オスチジン(osutidine)、ベラプロスト、エゼチミベ、トコフェロール、ピノキセピン(pinoxepin)、シプレファドール(ciprefadol)、クロサンテル(closantel)、デコキネート、ルベルゾール(lubeluzole)、サルメテロール、エストラジオール、レドキサントロン(ledoxantrone)、メラレインナトリウム(meralein sodium)、ニレストリオール(nylestriol)、パリペリドン、ラノラジン、トナゾシン(tonazocine)、キソルファノール(xorphanol)、ゼナゾシン(zenazocine)、セドキサントロン(sedoxantrone)、レボルファノール、レバルロルファン、スルプロストン、セトサイクリン(cetocycline)、エストラムスチン、ピロキサントロン(piroxantrone)、サンサイクリン(sancycline)、サルモキシシリン(sarmoxicillin)、シベナデット(sibenadet)、テブキン(tebuquine)、トラキソプロジル(traxoprodil)、ネビボロール、セルグリフロジン(sergliflozin)、スプラタスト、アキシチロム(axitirome)、ダサンタフィル(dasantafil)、デメサイクリン(demecycline)、ジヒドロコデイン、エンシプラジン(enciprazine)、クアダゾシン(quadazocine)、ラノラジン、テロキサントロン(teloxantrone)、トリマゾシン、テトラサイクリン、ブトルファノール、トルテロジン、ミトキサントロン、ベンダカロール(bendacalol)、ビアラミコール(bialamicol)、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ニスブテロール(nisbuterol)、ドキシサイクリン、メタプロテレノール、メタサイクリン、バメタン、トラボプロスト、シロドシン、ラロキシフェン、ヘキソプレナリン、アコルビフェン(acolbifene)、アルフォルモテロール(arformoterol)、アルゾキシフェン、エピテトラサイクリン(epitetracycline)、ミノサイクリン、ナントラドール(nantradol)、ニトロサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、プロマイシン、ナルフラフィン、テルブタリン、イダルビシン、クロモサイクリン、インデノロール、スルホブロモフタレイン、カルビシン、キニジン、サルブタモール、ビトルテロール、ダウノルビシン、モキサラクタム、ラタモキセフ、アダプロロール、ベゼドキシフェン、ボセンタン、ロリテトラサイクリン、ルルトテカ


ン(lurtotecan)、メノガリル、ラソホキシフェン、キンテレノール(quinterenol)、ステフィマイシン(steffimycin)、トコフェルソラン(tocophersolan)、ドロロキシフェン(droloxifene)、ゾスキダル(zosuquidar)、ヘスペリジン、サルメレロール、チゲサイクリン、フルベストラント、アトバクオン、エドテカリン(edotecarin)、レバルブテロール(levalbuterol)、オキサンテル、ノボビオシン、アポモルフィン、プロカテロール、エトポシド、ルチン、メトプロロール、ロピナビル、レシメトール(rescimetol)、ベモトリジノール(bemotrizinol)、レボドブタミン、メトケファミド(metkephamid)、ペンブトロール(penbutolol)、ネルフィナビル(nelfinavir)、イリノテカン、ガンマオリザノール、エナルキレン(enalkiren)、エルサミトルシン(elsamitrucin)、ネオカルジノスタチン、ゾルビシン、リオトリックス、メクロサイクリン、エスクリン、リファマイシン、テニポシド、メイタンシン、バルルビシン、パマトロール(pamatolol)、テモポルフィン、ツボクラリン、ヒドロキシジン、トラベクテジン、プロキソルファン(proxorphan)、キサモテロール、リファメキシル(rifamexil)、リファキシミン、ノガラマイシン、ビンデシン、ホルモテロール、イフェンプロジル、リファミド(rifamide)、アクラルビシン、リファンピシン、キニジン、ビゼレシン、リファメタン(rifametane)、ラボルチジン(lavoltidine)、セグリチド(seglitide)、リファペンチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、リファラジル(rifalazil)、オキシトシン、アスパルトシン(aspartocin)、オベモチド(ovemotide)、ジフェニドール、ペルフェナジンおよびバプレオチド(vapreotide)。
【0057】
カルボキシル基を含む親薬物の例は、制限なしに次の群(II)の化合物を含む:アスピリン、ナプロキセン、ゲムフィブロジル、シプロフィブレート、エタクリン酸、シノキサシン、プラノプロフェン、フェンクロフェナク(fenclofenac)、ミロキサシン(miloxacin)、オキソリン酸、チクリナフェン(ticrynafen)、チクリナフェン、ドロキサシン(droxacin)(例えば、ドロキサシンナトリウム)、フルフェニサル(flufenisal)、フラプロフェン(furaprofen)、フロブフェン(furobufen)、イソキセパク(isoxepac)、アニロラク(anirolac)、ベノキサプロフェン、フレグレレート(furegrelate)、サルカプロゼート(salcaprozate)、チキサノクス(tixanox)、プロチジン酸(protizinic acid)、フェブキソスタット、トレピブトン、ブロクリナト(brocrinat)、パズフロキサシン、セトラキセート、カポベン酸(capobenic acid)、ナフェノピン、スロトロバン(sulotroban)、キサノキセート(xanoxate)、トラニラスト、トルレスタット、アシトレチン、インダクリノン(indacrinone)、イオプロン酸(iopronic acid)、マイコフェノレート、チロキシンI−125、チロキシンI−131、インドメタシン、ブメタニド、ピレタニド、シロミラスト、モフェゾラク、エファプロキシラール、リフィブロール(lifibrol)、チフラク(tifurac)、セファドロキシル、オフロキサシン、オロパタジン、レボチロキシン、エファプロキシラール、ミノクロミル(minocromil)、オキサルバゾール(oxarbazole)、プロビクロミル(probicromil)、フェネチシリン、フルオレセイン、ネドクロミル、ジドメタシン(zidometacin)、ベリフラポン(veliflapon)、テサグリタザール、プロピシリン、コドキシム(codoxime)、レボプロピルシリン(levopropylcillin)、アセメタシン、メチシリン、ベラプロスト、バレスプラジブ(varespladib)、モキシフロキサシン、バロフロキサシン(balofloxacin)、バルサラジド、シベレスタット、プレマフロキサシン(premafloxacin)、グレパフロキサシン、アダパレン、エルビテグラビル(elvitegravir)、チロフィバン、サルポグレレート、チプラシニン(tiplasinin)、メチルドーパ、レパグリニド、ソファルコン、ソデルグリタザール(sodelglitazar)、クリノフィブレート、カルフェシリン(カルベニシリンフェニル)、チカルシリンクレシル、シベレスタット、トリメブチン、アブルカスト(ablukast)、エルチプロタフィブ(ertiprotafib)、モエキシプリル、フィラテグラスト(firategrast)、カンドキサトリル、カルベニシリンインダニル、ガレノキサシン、ポリフェプロサン(polifeprosan)20、アトラセンタン、ムラグリタザール(muraglitazar)、フェノプロフェン、ペリグリタザール(peliglitazar)、ファルグリタザール(farglitazar)、エルシブコール(elsibucol)、キフラポン(quiflapon)、スクシノブコール、ラパキスタット、エコプラジブ(ecopladib)、レボフロキサシンおよびガチフロキサシン。
【0058】
ヒドロキシル基およびカルボキシル基の両方を含む親薬物の例は、制限なしに次の群(III)の化合物を含む:サリチル酸、アミノサリチル酸、メサラジン(メサラミン)、オクスフェニシン(oxfenicine)、チロシン、レボドーパ、メチロシン、次没食子酸ビスマス、イオチロシン(iotyrosine)I−131、ドロキシドーパ、ジオチロシンI−125、フルオロドーパF−18、ジフルニサール、サルサレート、サルナセジン(salnacedin)、ピレノキシン、リオチロニンI−125、リオチロニンI−131、ミコフェノール酸、オルサラジン(例えば、オルサラジンナトリウム)、タリベグロン(talibegron)、セファドロキシル、アモキシシリン、スルファサラジン、デフェラシロックス、セフプロジル、フェンドサール(fendosal)、ベラプロスト、ベンチロミド、クロプロステノール、トレプロスチニル、カルビドーパ、セルメタシン(sermetacin)、メルブロミン、セファトリジン、フモキシシリン(fumoxicillin)、アルビモパン、セファパロール(cefaparole)、ラミフィバン(lamifiban)、ローズベンガル、クロモグリケート、プロピレングリコレート、ストレプトニグリン、チペルカスト(tipelukast)、フィデキサバン、モキサラクタム、ドキソルビシン、エソルビシン(esorubicin)、エピルビシン、エタロシブ(etalocib)、エルトロムボパグ、セフピラミド、ベンゾイルパス(benzoylpas)、ラサロシド、アプラビロク、ピラルビシン、リメサイクリン、セホペラゾン、クロペラスチン、チモペンチン、ピリジシリン(piridicillin)、センノシド、ビモシアモース(bimosiamose)およびピバムピシリン。
【0059】
いくつかの実施形態において、親薬物部分は、1つのみのプロドラッグ部分を含む群(III)に示すいずれかの親薬物であり、該プロドラッグ部分がカルボキシル基を介して結合している。いくつかの実施形態において、親薬物部分は、1つのみのプロドラッグ部分を含む群(III)に示すいずれかの親薬物であり、該プロドラッグ部分がヒドロキシル基を介して結合している。いくつかの実施形態において、親薬物部分は、2つ以上のプロドラッグ部分を含む群(III)に示すいずれかの親薬物であり、少なくとも1つのプロドラッグ部分がカルボキシル基を介して結合しており、少なくとも1つのプロドラッグ部分がヒドロキシル基を介して結合している。
【0060】
いくつかの実施形態において、プロドラッグは、以下の式(IV)
【0061】
【化3】

((IV):(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸)を有する。式(IV)のプロドラッグの薬学的に許容される塩も提供する。
【0062】
いくつかの実施形態において、本発明のカーボネートプロドラッグは、それらの親薬物部分と比較して高い溶解度(例えば、高い水溶解度)を有する。例えば、(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸は、アセトアミノフェンの値の10倍を超える室温での水溶解度を有する(それぞれ152mg/mLおよび約15mg/mL)(Tu Leeら、Pharmaceutical Technology、2006年10月2日を参照)。水溶解度が増加することにより、モル当量基準で親薬物部分と比較したとき、プロドラッグが非経口投与に適するものとなり、所望の場合、親薬物またはその代謝物の血中レベル濃度も高くすることができ、かつ/または同様な血中レベル濃度を得るのに用量を低くすることがきる。いくつかの実施形態において、プロドラッグは、同じ条件下でそれらの親薬物より2、3、5、10、15、25、50、100、200、500または1000倍超水に溶けやすい。
【0063】
本明細書で述べるプロドラッグは、ある種の条件下(例えば、貯蔵および/または生理食塩溶液の形態での調製時)では比較的安定である可能性があるが、他の条件下(例えば、個体への投与などのin vitroまたはin vivo系への導入後)ではそれらの親薬物に変換される。いくつかの実施形態において、プロドラッグ(例えば、血漿中約0.3ng/mLもしくは約15ng/mL、また約0.3ng/mL〜15ng/mLの式IVのアセトアミノフェンプロドラッグ)は、37℃で約1分、5分、10分、15分、20分、30分、45分、または1時間後に親薬物(例えば、アセトアミノフェン)への10%、または15%、または20%、または25%、または30%、または35%、または40%、または45%、または50%、または60%、または75%を超える変換ができる。いくつかの実施形態において、プロドラッグ(例えば、ヒト血漿中約0.3ng/mLもしくは約15ng/mL、または約0.3ng/mL〜15ng/mLの例えば、式IVのアセトアミノフェンプロドラッグ)は、37℃で約1分または約5分後に親薬物(例えば、アセトアミノフェン)への約50%または約60%を超える変換ができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、プロドラッグ(例えば、式IVのアセトアミノフェンプロドラッグ)は、室温の水、プロピレングリコールおよび/または生理食塩水中で親薬物(例えば、アセトアミノフェン)への前記変換ができない。例えば、これらの実施形態のいくつかにおいて、該プロドラッグは、室温の水またはプロピレングリコール中で30分または60分後に親薬物への約5%、または10%、または20%、または25%、または30%、または40%、または60%、または70%を超える変換ができない。一実施形態において、37℃のヒト血漿中約15ng/mL(または約0.3ng/mL、または約0.3ng/mL〜15ng/mL)の濃度の式IVのアセトアミノフェンプロドラッグは、5分後に親薬物に50%を超える変換ができ、室温の水中で同じ濃度で30分後に30%を超える変換ができない。いくつかの実施形態において、プロドラッグ(例えば、式IVのアセトアミノフェンプロドラッグ)は、同じ曝露時間後に室温の水と比較して37℃のヒト血漿中で親薬物への少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%高い変換ができる。
【0064】
いくつかの実施形態において、カーボネートプロドラッグは、実質的に純粋な形態である。特に指定しない限り、「実質的に純粋」は、15%以下の不純物を含むプロドラッグの製剤を意味し、不純物は、カーボネートプロドラッグ以外の化合物を意味するが、親薬物または他の形態またはプロドラッグ(例えば、プロドラッグの異なる塩または塩でない形態)を含まない。1つの変形形態において、実質的に純粋なプロドラッグの製剤を提供し、該製剤は、50%以下の不純物を含む。他の1つの変形形態において、実質的に純粋なプロドラッグの製剤を提供し、該製剤は、25%以下の不純物、または10%以下の不純物、または5%以下の不純物、または3%以下の不純物、または1%以下の不純物、または0.5%以下の不純物を含む。
【0065】
本発明はまた、本明細書で述べるカーボネートプロドラッグのすべての溶媒和物、水和物および/または塩(例えば、薬学的に許容される塩)の形態ならびに前述のものを用いる方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明のカーボネートプロドラッグは、溶媒和されていない形態ならびに溶媒和された形態(すなわち、溶媒和物)で存在することができる。該プロドラッグは、水和された形態(すなわち、水和物)も含み得る。
【0066】
本発明は、本明細書で述べるカーボネートプロドラッグ(例えば、式IVのプロドラッグ)のすべての塩、ならびに該プロドラッグのそのような塩を用いる方法を含む。本発明はまた、本明細書で述べるプロドラッグのいずれかの塩のすべての非塩形、ならびに本明細書で名称を挙げるプロドラッグのいずれかの塩の他の塩を含む。いくつかの実施形態において、該プロドラッグの塩は、薬学的に許容される塩である。「薬学的に許容される塩」は、遊離プロドラッグの生物学的活性を保持しており、個体(例えば、ヒト)に薬物または薬剤として投与することができる塩である。いくつかの実施形態において、カーボネートプロドラッグは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属により一置換または二置換されている。いくつかの実施形態において、カーボネートプロドラッグは、リン酸一アルカリ塩(例えば、リン酸一ナトリウム塩)である。いくつかの実施形態において、カーボネートプロドラッグは、リン酸二アルカリ塩(例えば、リン酸二ナトリウム塩)である。化合物の塩基性官能基の所望の塩は、化合物を酸で処理することによる当業者に公知の方法により調製することができる。化合物の酸性官能基の所望の塩は、化合物を塩基で処理することによる当業者に公知の方法により調製することができる。酸性化合物の無機塩の例は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ビスマス塩およびカルシウム塩などのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩ならびにアルミニウム塩を含むが、これらに限定されない。酸性化合物の有機塩の例は、プロカイン、ジベンジルアミン、N−エチルピペリジン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、トリメチルアミンおよびトリエチルアミン塩を含むが、これらに限定されない。
【0067】
合成方法
本発明の化合物は、当業者に周知の多くの方法を用いて調製することができる。下の論議は、カーボネートプロドラッグを組み立てるのに使用できる特定の方法を例示するために提示するものであり、プロドラッグを調製するのに有用な反応もしくは反応系列および/または条件の範囲を限定するものではない。
【0068】
本発明のいくつかの標的化合物は、下のスキームIに示すヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基を含む親薬物部分から始めることによって合成することができる。塩基性条件(例えば、N,N−ジエチルアニリン)下でのホスゲンによる処理を用いて、カルボノクロリデートまたはカルボノクロリド無水物(carbonochloridic anhydride)を生成させることができる(Zは、それぞれ結合または−C(O)−である)。保護ホスフェート(例えば、リン酸水素ジ−tert−ブチル)と塩基(例えば、トリエチルアミン)によるさらなる処理により、保護無水リン酸が得られ、これを様々な条件下で例えば酸(例えば、酢酸)を用いて脱保護することができる。
【0069】
【化4】

本発明はまた、本明細書で述べるプロドラッグを調製する方法を含む。一態様において、以下の式(V)
【0070】
【化5】

の化合物[式中、Zは、−C(O)−または結合である]または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物を調製する方法であって、
(a)以下の式SV−A
【0071】
【化6】

の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物をホスゲンと反応させる工程、
(b)工程(a)により生成した化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物を、適切な溶媒中で二保護ホスフェートと反応させる工程、および
(c)工程(b)により生成した化合物の二保護ホスフェートの脱保護
を含む、上記の方法を提供する。
【0072】
式Vの化合物を調製する方法の工程(a)のいくつかの実施形態において、反応は、延期をさらに含む。工程(a)のいくつかの実施形態において、反応は、N,N−ジエチルアニリンまたはトリエチルアミンをさらに含む。式Iの化合物を調製する方法の工程(b)のいくつかの実施形態において、二保護ホスフェートは、ジ−tert−ブチルホスフェートまたはジベンジルホスフェートである。工程(b)のいくつかの実施形態において、適切な溶媒は、塩素化された溶媒(例えば、クロロホルム)である。工程(b)のいくつかの実施形態において、反応は、N,N−ジエチルアニリンまたはトリエチルアミンをさらに含む。式Vの化合物を調製する方法の工程(c)のいくつかの実施形態において、脱保護は、還元条件を含む。工程(c)のいくつかの実施形態において、脱保護は、Pd(OH)/Hを用いることを含む。工程(c)のいくつかの実施形態において、脱保護は、酸性条件を含む。工程(c)のいくつかの実施形態において、脱保護は、酢酸による処理を含む。工程(c)のいくつかの実施形態において、適切な溶媒は、プロトン性溶媒(例えば、メタノール)である。これらの実施形態のいくつかにおいて、式Vの化合物は、(4−アセトアミドフェニル炭酸(carbonic))無水リン酸である。
【0073】
製剤
本明細書で述べるカーボネートプロドラッグは、単独又は1つ若しくは複数の追加の医薬品と一緒に、賦形剤(例えば、1つ又は複数の賦形剤)、抗酸化剤(例えば、1つ又は複数の抗酸化剤)、安定化剤(例えば、1つ又は複数の安定化剤)、保存料(例えば、1つ又は複数の保存料)、pH調整及び緩衝剤(例えば、1つ若しくは複数のpH調整及び/又は緩衝剤)、張度調整剤(tonicity adjusting agent)(例えば、1つ又は複数の張度調整剤)、粘稠化剤(thickening agent)(例えば、1つ又は複数の粘稠化剤)、懸濁化剤(例えば、1つ又は複数の懸濁化剤)、結合剤(例えば、1つ又は複数の結合剤)、増粘剤(例えば、1つ又は複数の増粘剤)等などの添加剤を含む製剤(薬学的組成物を含む)中に存在することができる。ただし、追加の成分は、治療する特定の疾患若しくは状態について薬学的に許容される。いくつかの実施形態において、製剤は、本明細書で述べるような追加の成分の2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上の追加成分)の組合せを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、添加剤は、例えば、カルシウム、リン酸塩、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ポリビニルピロリジノン、低融点ワックス、イオン交換樹脂等並びにそれらの任意の2つ以上の組合せなどの処理剤並びに薬物送達調整剤及び促進剤を含む。他の適切な薬学的に許容される賦形剤は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、Marck Pub. Co.、New Jersey、第18版(1996年)並びにREMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、第20版(2003年)及び第21版(2005年)に記載されている。
【0074】
製剤は、治療する状態、投与する化合物の量、個体の状態及び本明細書に示す教示を考慮して当業者により容易に明らかになるであろう他の変数によって異なることがあり、或いは調整することができる。
【0075】
いくつかの実施形態において、製剤(例えば、非経口投与に適用できる製剤)は、約3.5〜約9.5、又は約4.5〜約8.5、又は約5.0〜約9.0、又は約5.5〜約8.5、又は約6.0〜約8.0、又は約6.5〜約8.0、又は約7.0〜約8.0、又は約7.4のpHを有する水性製剤である。
【0076】
本明細書で述べるカーボネートプロドラッグ(例えば、式IVのアセトアミノフェンプロドラッグ)並びに生理食塩水を含む製剤を提供する。一態様において、そのような製剤は、生理的pH(約7.4)にある。そのような製剤は、貯蔵及び後の使用に適し、プロドラッグは、長期間(例えば、貯蔵中)完全な状態のままで、個体(例えば、成人、小児又は乳児)への投与後にアセトアミノフェンへ変換され得る。いくつかの実施形態において、プロドラッグを乾燥粉末として貯蔵し、投与前に乾燥粉末を生理食塩水に溶解することによって製剤を調製する。一態様において、親薬物(例えば、アセトアミノフェン)の約50mg/mL、75mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL又は200mg/mLのいずれかのモル当量でのプロドラッグを含む製剤を提供する。ここで、プロドラッグのモル当量は、完全な変換によって、示された量の親薬物を生じさせるプロドラッグの量である。本明細書で述べるカーボネートプロドラッグのいずれかの量(例えば、用量)に関して、親薬物の当該量についてプロドラッグのモル当量も考慮する。例えば、約5mL、10mL又は15mLのいずれかまで(例えば、約1450mg〜約1600mgのアセトアミノフェンのような親薬物の化学量論的なプロドラッグ当量)の単一ボーラス製剤も提供する。
【0077】
キット
本発明はまた、親薬物に対して反応性である状態(例えば、疼痛および/または発熱)の治療又は予防に有用な物質を含むキットを提供する。キットは、本発明のカーボネートプロドラッグ(例えば、式IVのプロドラッグあるいは群(I)、(II)又は(III)から選択される親薬物のいずれか一つの本明細書に記載のカーボネートプロドラッグ)並びに使用説明書を含んでいてよい。キットは、ラベル付きの容器を含んでいてよい。適切な容器は、例えば、ビン、バイアル及び試験管などである。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料により構成されていてよい。容器は、カーボネートプロドラッグ又はカーボネートプロドラッグの製剤(例えば、1つ又は複数の追加の医薬品をさらに含む製剤)を保持し得る。容器上のラベルは、カーボネートプロドラッグ又は製剤が親薬物に対して反応性である状態(例えば、疼痛および/または発熱)を治療又は抑制するために用いられることを示してよく、本明細書で述べるようなin vivo又はin vitroでの使用に関する指示も示してよい。
【0078】
本発明はまた、本発明の本明細書で述べるカーボネートプロドラッグの1つ又は複数(例えば、式IVのプロドラッグあるいは群(I)、(II)又は(III)から選択される親薬物のいずれか一つの本明細書に記載のカーボネートプロドラッグ)を含むキットを提供する。いくつかの実施形態において、本発明のキットは、上述の容器を含む。他の実施形態において、本発明のキットは、上述の容器及び緩衝剤を含む第2の容器を含む。キットは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、注射器などの商業的及び使用者の観点から望ましい他の物質、及び本明細書で述べるいずれかの方法を実施することに関する指示を含む添付文書をさらに含んでいてよい。
【0079】
他の態様において、キットは、例えば、親薬物に対して反応性である1つ又は複数の状態(例えば、疼痛及び/又は発熱)を有する個体を治療すること、或いは1つ又は複数のそのような状態を抑制することを含む、本明細書で述べる方法のいずれかに用いることができる。
【0080】
特定の実施形態において、キットは、本明細書で開示する、投与量の少なくとも1つの製剤を含んでいてよい。キットは、その製剤の送達の手段も含んでいてよい。
【0081】
キットは、本明細書で述べる製剤と併用するための追加の医薬品を含んでいてよい。いくつかの変形形態において、追加の医薬品(単数又は複数)は、親薬物と同じ疾患または状態を治療するのに使用される1つ又は複数の薬物であってよい。これらの薬剤は、別個の形で、或いは本発明の化合物と混合して提供することができ、ただし、そのような混合が該医薬品又は本明細書で述べる製剤の有効性を低下させず、投与経路と適合性があるものとする。同様に、キットは、補助療法用の追加の薬剤又は本明細書で述べる状態の治療若しくは予防に有効であると当業者に公知の他の薬剤を含んでいてよい。
【0082】
キットは、本発明のカーボネートプロドラッグを含む製剤の調製及び/又は投与に関する適切な説明を場合によって含んでいてよい。製剤の起こり得る副作用を詳述する情報及び任意の他の関連情報も同封することができる。説明は、印刷物、ビデオテープ、コンピュータ可読ディスク、光ディスク又はインターネットに基づく説明への指示を含むが、これらに限定されない任意の適切な形式のものであってよい。
【0083】
本発明の他の態様において、本明細書で開示するような、投与量の組成物を含む第1の容器、及び使用説明書を含む、本明細書で述べる疾患若しくは状態に罹患している、又は罹患しやすい個体を治療するためのキットを提供する。容器は、当技術分野で公知であり、静脈内製剤の貯蔵及び送達に適するもののいずれかであってよい。特定の実施形態において、キットは、個体に投与する製剤の調製のための薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバント等を含む第2の容器をさらに含む。
【0084】
1〜3日、1〜5日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月又はそれ以上などの長期間にわたり個体に対して有効な治療を提供するのに十分な投与量の本明細書で述べる化合物(その製剤を含む)を含むキットも提供することができる。
【0085】
キットは、単位剤形又は反復使用剤形(multi−use form)で包装されている本明細書で述べるような組成物を含んでいてよい。キットは、単位剤形の複数単位を含んでいてもよい。
【0086】
治療の方法
本発明のカーボネートプロドラッグ(例えば、式IVのプロドラッグあるいは群(I)、(II)又は(III)から選択される親薬物のいずれか一つの本明細書に記載のカーボネートプロドラッグ)は、親薬物に対して反応性である疾患又は状態(例えば、疼痛及び/又は発熱)を治療するために用いることができる。一実施形態において、本発明は、有効量のカーボネートプロドラッグを個体に投与することを含む、親薬物に対して反応性である疾患又は状態を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、個体は、親薬物に対して反応性である疾患又は状態を発現するリスクがある。
【0087】
いくつかの実施形態において、有効量のカーボネートプロドラッグ(例えば、(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸)を個体に投与することを含む、個体における疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(例えば、心筋及び/又は脳など)又は神経損傷を治療する方法を提供する。この方法は、その親薬物が鎮痛薬(例えば、アセトアミノフェン部分を含むプロドラッグ)であるプロドラッグを使用し得る。一変形形態において、個体は、術後であり、術後疼痛を有するか、又は有すると考えられるか、又は発現した。一変形形態において、術後疼痛に対してプロドラッグを予防的に投与する。一変形形態において、個体は、アセトアミノフェンの経口投与に適していない。
【0088】
いくつかの実施形態において、本明細書に詳述されるプロドラッグの親薬物が鎮痛薬(例えば、アセトアミノフェン)であるような場合、本発明は、本発明のカーボネートプロドラッグ(例えば、(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸)を使用して急性及び慢性疼痛を含むあらゆる病因の疼痛(並びに例えば、アセトアミノフェンおよび/またはオピオイドが処方されるあらゆる疼痛)を治療する方法を含む。疼痛の例としては、手術後疼痛、術後疼痛(歯痛(dental pain)を含む)、片頭痛、頭痛及び三叉神経痛、熱傷、創傷又は腎結石に伴う疼痛、外傷(外傷性頭部損傷を含む)に伴う疼痛、神経障害性疼痛(例えば、末梢神経障害及び帯状疱疹後神経痛)、筋骨格障害、挫傷、捻挫、打撲傷、骨折、筋痛症など、関節リウマチ、変形性関節症、膀胱炎、膵炎、炎症性腸疾患、強直性脊椎炎、血清陰性(非リウマチ様)関節症、関節外リウマチ及び関節周囲障害に伴う疼痛、並びに癌に伴う疼痛(「突出痛」及び/または末期癌に伴う疼痛を含む)などがある。炎症性成分(上述のものの一部に加えた)に伴う疼痛の例は、リウマチ性疼痛、粘膜炎及び月経困難に伴う疼痛などである。いくつかの変形形態において、本発明の方法及び製剤は、手術後疼痛及び癌疼痛の治療又は予防に用いる。いくつかの変形形態において、本発明の方法及び組成物は、手術、外傷、変形性関節症、関節リウマチ、腰痛、線維筋痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、HIV関連神経障害及び複合性局所疼痛症候群に伴う疼痛からなる群から選択される疼痛の治療又は予防に用いる。
【0089】
いくつかの変形形態において、本発明の方法及び組成物(例えば、(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸)は、疼痛及び/又は発熱(例えば、成人、小児及び/又は乳児における)の治療又は予防に用いる。いくつかの実施形態において、本発明の方法及び組成物(例えば、(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸)は、急性疼痛(例えば、成人、小児及び/又は乳児の整形外科手術などの手術後の急性疼痛)などの疼痛の治療に用いる。いくつかの実施形態において、本発明の方法及び組成物(例えば、(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸)は、発熱、例えばエンドトキシン誘発性発熱(例えば、成人、小児及び/又は乳児におけるエンドトキシン誘発性発熱)の治療又は予防に用いる。いくつかの実施形態において、本発明の方法及び組成物(例えば、(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸)は、小児及び/又は乳児における発熱の治療又は予防に用いる。いくつかの実施形態において、発熱は、軽度発熱、中等度発熱、高度発熱及び超高熱から選択される。いくつかの実施形態において、発熱は、ペル−エプスタイン熱、稽留熱、間欠熱及び弛張熱から選択される。このような方法は、その親薬物が鎮痛薬(例えば、アセトアミノフェン)であるプロドラッグを使用し得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、本発明は、個体に有効量の親薬物のカーボネートプロドラッグを投与することを含み、プロドラッグが親薬物と比較して親薬物の作用のより遅い発現をもたらす、親薬物療法を必要とする個体における親薬物の作用の発現を遅延させる方法を含む。1つの変形形態において、プロドラッグの投与は、親薬物の投与と比較して、親薬物の作用の発現を約5分、または10分、または15分、または30分、または1時間、または2時間、または3時間、または4時間、または6時間、または8時間、または10時間、または12時間、または18時間、または24時間超遅延させる。いくつかの実施形態において、本発明は、親薬物の発現の遅れがほとんどまたは全くないことを含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、本発明は、個体に有効量の親薬物のカーボネートプロドラッグを投与することを含み、プロドラッグが親薬物と比較して親薬物の活性の持続をもたらす、親薬物療法を必要とする個体における親薬物の活性を持続させる方法を含む。1つの変形形態において、プロドラッグの投与は、親薬物の投与と比較して、活性を約5分、または10分、または15分、または30分、または1時間、または2時間、または3時間、または4時間、または6時間、または8時間、または10時間、または12時間、または18時間、または24時間超持続させる。いくつかの実施形態において、本発明は、親薬物の投与と比較して、活性の持続がほとんどまたは全くないことを含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、本発明は、プロドラッグ(例えば、式IVのプロドラッグ)を投与することを含み、プロドラッグが親薬物(例えば、アセトアミノフェン)に変換する、個体に薬物を供給する方法を含む。プロドラッグがin vivoで薬物(例えば、アセトアミノフェン)に変換する、プロドラッグ(例えば、式IVのプロドラッグ)を投与することにより個体に薬物を供給する方法も提供する。1つの態様において、プロドラッグ(例えば、式IVのプロドラッグ)は、投与後約1、5、10、15または30分以内に薬物(例えば、アセトアミノフェン)への変換をもたらす。変換は、本明細書における実験の項に詳述するものを含む、当技術分野で公知の技術により測定することができる。いくつかの実施形態において、本発明は、個体に有効量のプロドラッグ(例えば、式(IV)のプロドラッグあるいは群(I)、(II)又は(III)から選択される親薬物のいずれか一つの本明細書に記載のカーボネートプロドラッグ)を投与することを含み、プロドラッグの約10%、または15%、または20%、または25%、または30%、または35%、または40%、または45%、または50%、または60%、または75%、または85%、または90%、または95%超が投与後約1分、3分、5分、10分、20分、または30分、または45分、または1時間未満の後に薬物(例えば、アセトアミノフェン)に変換される、個体(例えばそれを必要とする個体)に薬物を供給する方法を含む。いくつかの実施形態において、該方法は、個体に有効量のプロドラッグ(例えば、式IVのプロドラッグ)を投与することを含み、プロドラッグの約45%または約60%超が投与後約1分または約3分未満の後に親薬物(例えば、アセトアミノフェン)に変換される。
【0093】
いくつかの実施形態において、本発明は、個体に(例えば、静脈内に)有効量のプロドラッグ(例えば、式(IV)のプロドラッグあるいは群(I)、(II)又は(III)から選択される親薬物のいずれか一つの本明細書に記載のカーボネートプロドラッグ)を投与することを含み、投与後約10分、または20分、または30分、または45分、または1時間、または2時間、または3時間目の親薬物(例えば、アセトアミノフェン)またはその代謝産物の得られる濃度が、同じ条件下での親薬物のみの投与と比較したとき、約50%、または40%、または30%、または25%、または20%、または15%、または10%、または5%未満の範囲内である、個体(例えば、それを必要とする個体)に薬物を供給する方法を含む。例えば、いくつかの実施形態において、個体に有効量のプロドラッグ(例えば、式IVのプロドラッグ)を静脈内投与することを含み、投与後約30分または1時間目の親薬物またはその代謝物(例えば、アセトアミノフェン)の得られる濃度が、同じ条件下での親薬物(例えば、アセトアミノフェン)のみの投与と比較したとき、約15%または約5%未満の範囲内である、それを必要とする個体に薬物を供給する方法を提供する。
【0094】
併用療法
本発明のカーボネートプロドラッグを、症状の発生及び/又は重症度及び/又はその臨床発現をさらに低減するための1つ若しくは複数の追加の医薬品、並びに根底にある状態を治療又は予防するための追加の医薬品を含む、本明細書で述べ、当技術分野で公知である1つ若しくは複数の追加の医薬品とともに、或いは追加の治療様式とともに(例えば、その前に、それと同時に、又はその後に)処方し、且つ/又は投与することができる。本明細書で述べるようなカーボネートプロドラッグは、追加の医薬品の1つ若しくは複数の投与の前、それと同時に、又はその後に投与することができる。本明細書で述べるカーボネートプロドラッグは、状態又は治療計画に関連する症状を軽減するための薬剤とともに(例えば、その前に、それと同時に、又はその後に)投与することもできる。
【0095】
1つの変形形態において、本発明のカーボネートプロドラッグは、その対応する親薬物と共に調合し、かつ/または投与することができる。そのような併用療法は、初期の治療量の親薬物を供給した後、親薬物活性の遅延および/または持続をもたらす可能性がある。例えば、(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸とアセトアミノフェンとの併用は、アセトアミノフェンによる疼痛の初期の治療の後のアセトアミノフェンプロドラッグによる疼痛の長期の治療を可能にする。そのような製剤は、投与頻度を低減できる可能性がある。
【0096】
本発明の製剤及び方法のいくつかの実施形態において、カーボネートプロドラッグを1つ又は複数の追加の医薬品と併用する。追加の医薬品は、使用される親薬物部分以外の薬剤である。代表的な追加の医薬品としては、オピオイド(天然、半合成又は合成)、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、ベンゾジアゼピン、バルビツレート及びカフェインなどの他の化合物などがある。本発明のプロドラッグとの併用が考慮される化合物の例は、コデイン、モルヒネ、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、プロポキシフェン、アスピリン、ケトロラク、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、エトドラク、ジクロフェナク、ミソプロストール、メロキシカム、ピロキシカム、ナプロキセン、カフェイン、トラマドール、ドキシラミン、パマブロン、デクストロプロポキシフェン、メチルヘキシタール、カリソプロドール、ブタルビタール、ジアゼパム、ロラゼパム及びミダゾラムを含むが、これらに限定されない。組み合わせ製剤の1つの可能な利点は、製剤が、アセトアミノフェンの中毒又はほぼ中毒量レベルに接近させる必要なくアセトアミノフェンの天井効果を超える鎮痛を誘導する可能性があるという点である。アセトアミノフェンプロドラッグとジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラムなどのベンゾジアゼピン又は他のあらゆるベンゾジアゼピンとの組合せは、例えば、痛覚脱失の治療に加えて、術前又は術後不安の治療に用いることができる。そのような組合せは、歯科手術(例えば、臼歯の抜歯)に特に有用である。
【0097】
いくつかの実施形態において、カーボネートプロドラッグ(例えば、式(IV)の化合物あるいは群(I)、(II)もしくは(III)または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物から選択される親薬物のプロドラッグ)を群(I)、(II)もしくは(III)または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物から選択される1つまたは複数の追加の医薬品と併用する。
【0098】
本発明のカーボネートプロドラッグと併用される上の追加の医薬品は、PHYSICIANS’ DESK REFERENCE (PDR)、第53版(1999年)に示されているような治療量で、又は当業者に公知であるような治療上有用な量で用いることができる。
【0099】
本発明のカーボネートプロドラッグの1つ又は複数とともに投与される追加の医薬品は、推奨最大臨床用量又はより低い用量で投与することができる。本発明の製剤中の追加の医薬品の用量レベルは、所望の治療応答を得るように、投与経路、疾患の重症度並びに患者の特性及び応答によって変化させることができる。組合せは、別個の製剤として、又は両薬剤を含む単一剤形として投与することができる。組合せとして投与する場合、カーボネートプロドラッグは、同時又は異なる時点に投与される別個の製剤として処方することができ、或いは、プロドラッグは、単一製剤として投与することができる。
【0100】
当業者により十分に理解されているように、特定の状態について、異なる追加の医薬品(単数又は複数)及び/又は追加の治療様式(単数又は複数)を用いることができる。
【0101】
本明細書で述べるカーボネートプロドラッグの製剤及び方法は、単独で、或いは、治療/予防する状態を治療又は予防するために用いる他の治療様式(例えば、請求の化合物の医薬製剤に関連して本明細書で述べた、又は当業者に公知の追加の医薬品による補助療法)及び/又は追加の治療様式の適用、又は前述のものの組合せとともに(例えば、その前に、それと同時に、又はその後に)用いることができる。例えば、本明細書で述べ、当業者に公知の1つ若しくは複数の医薬品及び/又は例えば、手術若しくは放射線療法を含む現在利用可能な治療様式と組合せて用いることができる。本明細書で用いているように、「追加の治療様式」という用語は、医薬品の使用を伴わない本明細書で述べる状態の治療/予防(例えば、手術、放射線療法等)を意味する。医薬品(単数又は複数)及び/又は追加の治療様式(単数又は複数)の組合せを用いる場合、それらは、本明細書で述べるようなカーボネートプロドラッグの1つ又は複数(若しくはその製剤(単数又は複数))の投与前に、それと同時に、又はその後に独立に適用することができる。
【0102】
1つ若しくは複数の追加の治療様式及び/又は追加の医薬品と本明細書で述べる製剤の投与との最適な組合せは、個体に基づき、本明細書で述べるものを含む、特定個体に影響を及ぼす様々な因子を考慮に入れて、担当医師又は獣医が決定することができる。
【0103】
投与及び投与方法
本発明のカーボネートプロドラッグ並びに本明細書で述べる製剤は、意図した結果を達成するために有効な量で、例えば、治療又は予防する特定の状態(例えば、疼痛及び/又は発熱)を治療又は予防するために有効な量で一般的に用いる。有効量を投与するために投与されるプロドラッグ又は製剤の量は、例えば、治療する特定の状態、投与頻度、投与する特定の製剤、治療する状態の重症度並びに個体の年齢、体重及び一般健康状態、治療を受ける個体が経験する有害影響等を含む様々な要因に依存する。有効用量の決定は、特に本明細書に示す教示を考慮した当業者の能力の範囲内である。用量は、in vivo動物モデルを用いて推定することもできる。
【0104】
単一剤形を製造するために担体物質と組み合わせることができる本発明のカーボネートプロドラッグの量は、上で述べた種々の要因の1つ又は複数に加えて、プロドラッグを投与する宿主及び特定の投与様式によって異なる可能性がある。選択される薬剤の単位用量は、血液、組織、臓器又は身体の他の標的領域における薬物の規定の最終濃度を得るように作製し、投与することができる。所与の状況における有効量は、常用の実験により容易に決定することができ、通常の臨床医の技術及び判断の範囲内にある。
【0105】
いくつかの実施形態において、本発明のカーボネートプロドラッグの中毒量(例えば、LD50又はNOAEL(無毒性量(No Observed Adverse Effect Level)))は、親薬物のモル当量中毒量より高くてよい。いくつかの実施形態において、カーボネートプロドラッグの中毒量は、親薬物のモル中毒量の1.2、2、5、7.5、10、15、20、50、100、250、500又は100倍である。
【0106】
いくつかの実施形態において、親薬物と同じ血中レベル濃度を得るために必要なカーボネートプロドラッグの用量は、プロドラッグの溶解度が高いため、より低い。いくつかの実施形態において、親薬物と同じ血中レベル濃度を得るためのカーボネートプロドラッグの必要な用量は、親薬物の1.2分の1、2分の1、5分の1、7.5分の1、10分の1、15分の1、20分の1、50分の1又は100分の1である。
【0107】
用いることができるカーボネートプロドラッグ(単独又は追加の医薬品と組み合わせて)の用量の例は、約0.1μg/kg〜約300mg/kgの用量範囲内、又は約1.0μg/kg〜約40mg/kg体重の範囲内、又は約1.0μg/kg〜約20mg/kg体重の範囲内、又は約1.0μg/kg〜約10mg/kg体重の範囲内、又は約10.0μg/kg〜約10mg/kg体重の範囲内、又は約100μg/kg〜約10mg/kg体重の範囲内、又は約1.0mg/kg〜約10mg/kg体重の範囲内、又は約10mg/kg〜約100mg/kg体重の範囲内、又は約50mg/kg〜約150mg/kg体重の範囲内、又は約100mg/kg〜約200mg/kg体重の範囲内、又は約150mg/kg〜約250mg/kg体重の範囲内、又は約200mg/kg〜約300mg/kg体重の範囲内、又は約250mg/kg〜約300mg/kg体重の範囲内の有効量である。用いることができる他の用量は、約0.01mg/kg体重、約0.1mg/kg体重、約1mg/kg体重、約10mg/kg体重、約20mg/kg体重、約30mg/kg体重、約40mg/kg体重、約50mg/kg体重、約75mg/kg体重、約100mg/kg体重、約125mg/kg体重、約150mg/kg体重、約175mg/kg体重、約200mg/kg体重、約225mg/kg体重、約250mg/kg体重、約275mg/kg体重又は約300mg/kg体重である。本発明の化合物は、単独又は併用で、単一の1日用量で投与することができ、或いは、総1日用量を1日2、3、4、5又は6回の分割量で投与することができる。
【0108】
カーボネートプロドラッグの投与の頻度及び持続期間は、治療する状態、個体の状態などに依存する。製剤は、個体に1回又は複数回、例えば、2、3、4、5、10、15、20回又はそれ以上の回数投与することができる。製剤は、個体に例えば、1日1回より多い回数、それに等しい回数又はそれより少ない回数、1日2回、1日3回、又は1日3回より多い回数;或いは1日1〜6回、1日2〜6回、又は1日4〜6回投与することができる。製剤はまた、個体に例えば、1日1回未満、例えば、1日おき、2日おき、毎週又はそれより低い頻度で投与することができる。製剤は、数日、数週間又は数カ月の期間にわたって投与することができる。
【0109】
本発明のカーボネートプロドラッグは、経腸的に(例えば、経口若しくは直腸)、非経口的に(例えば、注射により(静脈内、皮下若しくは筋肉内)、又は吸入により(例えば、ミストとして若しくは噴霧))、或いは局所的に従来の非毒性の薬学的に許容できる、所望どおりの担体、アジュバント及びビヒクルを含む用量単位製剤で投与することができる。例えば、適切な投与様式は、経口、皮下、経皮、経粘膜、イオン導入、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、鼻内(例えば、経鼻粘膜)、硬膜下、直腸、胃腸管等、及び特定又は罹患臓器又は組織への直接的投与を含む。中枢神経系への送達のために、脊髄及び硬膜外投与、又は脳室への投与を用いることができる。局所投与は、経皮パッチ又はイオン導入装置などの経皮投与の使用も含み得る。非経口という用語は、本明細書で用いているように、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入技術などである。プロドラッグは、所望の投与経路に適する、薬学的に許容される担体、アジュバント及びビヒクルと混合することができる。投与経路は、治療する状態によって異なっていてよい。さらなる投与方法は、当技術分野で公知である。
【0110】
該方法のいくつかにおいて、カーボネートプロドラッグの投与経路は、経口である。いくつかの実施形態において、製剤は、経口投与に適している。本明細書で使用するために述べたプロドラッグは、固体形態、液体形態、エアゾール剤の形態、又は錠剤、丸剤、散剤混合物、カプセル剤、顆粒剤、注射剤、クリーム剤、液剤、坐剤、浣腸剤、腸内洗浄剤、乳剤、分散物、食品プレミックスの形態、及び他の適切な形態で投与することができる。
【0111】
経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤などである。そのような固体剤形において、活性化合物をショ糖、乳糖又はデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合することができる。そのような剤形は、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も含んでいてよい。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、剤形は、緩衝剤も含んでいてよい。錠剤及び丸剤は、腸溶コーティングを用いてさらに調製することができる。
【0112】
経口投与用の液体剤形は、水などの当技術分野で一般的に用いられている不活性希釈剤を含む薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤などであってよい。そのような製剤は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、シクロデキストリン並びに甘味料、矯味矯臭剤及び香料などのアジュバントも含んでいてよい。
【0113】
いくつかの実施形態において、本発明のカーボネートプロドラッグ(例えば、(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸)を非経口的(例えば、静脈内又は筋肉内に)に投与する。注射剤、例えば、滅菌水性又は油性注射用懸濁剤は、適切な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて公知の技術により処方することができる。滅菌注射剤は、非経口で許容される非毒性希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用液剤又は懸濁剤、例えば、プロピレングリコール中の液剤としてであってよい。滅菌注射剤は、投与前に許容されるビヒクルを用いて再構成すべき滅菌散剤であってもよい。用いることができる許容されるビヒクル及び溶媒のうち、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌固定油を溶媒又は懸濁化媒体として従来的に用いることができる。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含む、あらゆる無刺激性固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射剤の調製に用いることができる。
【0114】
いくつかの実施形態において、低容積中(例えば、低容積の生理食塩水中)高用量のカーボネートプロドラッグを提供する。有効量(例えば、静脈内又は筋肉内などの非経口投与における)の非限定的な例としては、1日当たり約20mg〜1日当たり約8g、又は1日当たり約60mg〜1日当たり約6g、又は1日当たり約200mg〜1日当たり約4g、又は1日当たり約300mg〜1日当たり約2.6g、又は1日当たり約500mg〜1日当たり約2gの用量範囲のプロドラッグ(例えば、(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸)などが挙げられる。いくつかの実施形態において、非経口(例えば、静脈内又は筋肉内)投与における有効量は、約0.01μmol〜約100mmol、又は約0.1μmol〜約75mmol、又は約0.5μmol〜約50mmol、又は約1μmol〜約50mmol、又は約5μmol〜約50mmol、又は約10μmol〜約25mmol、又は約100μmol〜約10mmol、又は約500μmol〜約5mmol、又は約0.01mg〜約20g、又は約0.1mg〜約20g、又は約0.5mg〜約15g、又は約1mg〜約15g、又は約2mg〜約10g、又は約5mg〜約10g、又は約10mg〜約10g、又は約50mg〜約7.5g、又は約100mg〜約7.5g、又は約200mg〜約5g、又は約500mg〜約4g、又は約750mg〜約3g、又は約1g〜約2.5g、又は約1.3g〜約1.9gの用量範囲であり、約1mL〜約1000mL、又は約1mL〜約500mL、又は約1mL〜約100mL、又は約1mL〜約50mL、約1mL〜約30mL、又は約1mL〜約25mL、又は約5mL〜約20mL、又は約5mL〜約15mL、又は約10mL〜約15mL、又は約5mL〜約10mLで投与することができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、プロドラッグ(例えば、(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸)を約10mg/mL〜約1000mg/mL、又は約25mg/mL〜約750mg/mL、又は約50mg/mL〜約500mg/mL、又は約75mg/mL〜約400mg/mL、又は約100mg/mL〜約300mg/mL、又は約150mg/mL〜約250mg/mLの濃度の液剤で投与する。
【0115】
本発明はまた、直腸投与用の坐剤の形で投与されるカーボネートプロドラッグの製剤を含む。これらは、室温で固体であるが、直腸の温度では液体であり、したがって、直腸内で融解して、薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬剤を混合することによって調製することができる。そのような物質は、ココアバター、蜜ろう及びポリエチレングリコールなどである。
【0116】
本発明のカーボネートプロドラッグは、リポソームの形で投与することもできる。当技術分野で公知であるように、リポソームは、一般的にリン脂質又は他の脂質物質由来である。リポソームは、水性媒体中に分散している単層又は多重膜水和液晶により形成される。リポソームを形成することができる、任意の非毒性の生理的に許容され、且つ/又は代謝性の脂質を用いることができる。リポソーム形態の本発明の製剤は、プロドラッグに加えて、安定化剤、保存料、賦形剤などを含み得る。いくつかの実施形態において、脂質は、天然及び/又は合成のリン脂質及び/又はホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成させる方法は、当技術分野で公知である。例えば、Prescott編、Methods in Cell Biology、XIV巻、Academic Press、New York、N.W.、33頁及び次の頁参照(1976年)を参照のこと。
【実施例】
【0117】
本発明は、例として提供され且つ本発明を限定しようとするものではない以下の実施例を参照することによって、より容易に理解されよう。
【0118】
(実施例1)
(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸の合成
4−アセトアミドフェニルカルボノクロリデート
【0119】
【化7】

4−アセトミノフェノール(75.0g)、ホスゲン溶液(450mL、トルエン中20%)、および酢酸エチル(1875mL)の溶液を、0℃に冷却した。N,N−ジエチルアニリン(94.7mL)を滴下し、反応物を0℃で2時間撹拌した。次いで反応物を室温に温めた。NMR分析用にアリコートを、添加後4時間で採取した。反応を不完全なままにし、室温で一晩撹拌した。一晩撹拌した後のNMR分析用のアリコートは、先のアリコートから、反応に何の変化も示さなかった。反応物を、ホスゲンガスの発生が中断するまで(約30分間)40℃に加熱した。反応物を室温に冷却し、次いで濾過した。フィルタケークを酢酸エチルで洗浄した。濾過した固体のNMR分析は、固体がN,N−ジエチルアニリン関連の材料であることを示した。濾液を0.1N HCl(375mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空濃縮することにより、浅黄色の固体が得られた。固体を、エーテル(375mL)を使用して、20分間室温で摩砕した。固体を濾過し、エーテルで洗浄した。NMR分析は、残留エーテルが残された生成物を示した。固体を、周囲温度の真空炉内で一晩乾燥することにより、77.55g(収率73.3%)が得られた。NMRおよびMS分析は、生成物を示した。H NMR (300 MHz, CDCl + DMSO−d6):δ 9.18 (s, 1H), 7.62 (d, 2H), 7.15 (d, 2H), 2.18 (s, 3H);MS m/z:214(M+H)
【0120】
リン酸水素ジ−tert−ブチル
【0121】
【化8】

亜リン酸ジ−tert−ブチル(175g)、重炭酸カリウム(54.2g)、および脱イオン水(788mL)の溶液を、0℃に冷却した。過マンガン酸カリウム(99.7g)を、33.2gずつ均等に3分割し、各部分を1時間にわたり添加した。添加中、観察された最高温度は21.6℃であった。添加が終了したら、反応物を室温に温め、30分間撹拌した。脱色炭(13.4g)を添加し、反応物を60℃に15分間加熱した。懸濁液を濾過し(非常にゆっくりと)、脱イオン水(250mL)で洗浄した。濾液を、20分間、脱色炭(22.4g)と共に60℃に再度加熱した。懸濁液を濾過し、フィルタケークを脱イオン水(250mL)で洗浄した。濾液を、氷/水浴中で0℃に冷却した。溶液のpHは、8〜9であった。濃HCl(157.2mL)を添加して溶液をpH=1に酸性化した。白色沈殿物がすぐに形成された。スラリーを、0℃で10分間撹拌し続けた。白色固体を濾過し、冷脱イオン水(219mL)で洗浄した。フィルタケークをクロロホルム(500mL)に溶解し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥溶液を濾過し、クロロホルムで洗浄し、真空濃縮することにより、白色固体(87.4g、収率46.2%)が得られた。NMR分析は、純粋な生成物を示した。H NMR (300 MHz):δ 1.45 (s, 18H); 31P NMR (121 MHz):δ −604.30。
【0122】
(4−アセトアミドフェニル炭酸)(ジ−tert−ブチルリン酸)無水物
【0123】
【化9】

リン酸ジ−tert−ブチル(100.3g)の溶液を、クロロホルム(1530mL)に溶解し、0℃に冷却し、その後、トリエチルアミン(33.2mL)を添加した。8.6℃に至る発熱が観察された。4−アセトアミドフェニルカルボノクロリデート(51g)を、反応物に少量ずつ(5分毎に17g)添加した。添加後、反応物を室温に温めた。NMR分析用のアリコートを、添加後50、80、120分後に採取した。反応は、2時間後に終了したようであった。反応物を脱イオン水(3092mL)で洗浄し、5%クエン酸三ナトリウム二水和物で3回(それぞれ2068mL)洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、周囲温度で真空濃縮することにより、オフホワイトの固体が得られた。NMR分析は、20%の不純物を示した。固体を塩化メチレン(500mL)に溶解し、1N NaOH(500mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、周囲温度で真空濃縮した。得られたオフホワイトの固体(71.9g;収率77.4%)は、NMR分析により生成物であると同定された。H NMR (300 MHz):δ 8.80 (s, 1H), 7.62 (d, 2H), 7.15 (d, 2H), 2.18 (s, 3H), 1.58 (s, 18H); 31P NMR (121 MHz):δ −2226.10。
【0124】
(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸
【0125】
【化10】

(4−アセトアミドフェニル炭酸)(ジ−tert−ブチルリン酸)無水物(17.5g)、TFA(67.2mL)、および酢酸(100.8mL)の懸濁液を、室温で撹拌した。反応物は素早く均質になり、沈殿物が、添加後20分以内に形成された。15および30分の撹拌後に採取された、NMR分析用のアリコートは、反応が終了したことを確認した。スラリーをMTBE(1750mL)中に注ぎ、室温で15分間撹拌した。MTBEを、硫酸マグネシウムを使用して一晩乾燥した。固体を、250mLの窒素加圧漏斗(Praxair 5.0超高純度級窒素)に通して濾過した。白色フィルタケークをMTBE(350mL)で洗浄した。固体を、漏斗内の窒素中で2時間乾燥し、次いでクリスタルフレッシュ(crystal flesh)に移し、窒素中でさらに2.5時間乾燥し続けた。得られた白色固体(7.15g、収率57.5%)は、NMR分析によれば約97.9重量%の純粋な生成物であった(アセトアミノフェン(2.0重量%)およびMTBE(0.1重量%、1000ppm))。H NMR (300 MHz, DMSO−d6):δ 10.05 (s, 1H), 7.61 (d, 2H), 7.19 (d, 2H), 2.05 (s, 3H); 31P NMR (121 MHz):δ −997.96。
【0126】
(実施例2)
カーボネートプロドラッグ溶解度:(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸
プロドラッグ(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸の溶解度を、水中、グリセロール中、およびプロピレングリコール中で決定した。10mgの(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸をバイアルに量り取り、少量の溶媒を添加し、その混合物を、溶液が形成されるまで超音波処理した。
65μLの水に溶解した9.9mgの(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸=152mg/mL。
0.608gのグリセロールに溶解した10mgの(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸=20.6mg/mL(グリセロールd=1.25g/mL)。
65.6mgのプロピレングリコールに溶解した10.1mgの(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸=154mg/mL(プロピレングリコールd=1.036g/mL)。
【0127】
(実施例3)
O中のカーボネートプロドラッグの安定性:(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸
(4−アセトアミドフェニル炭酸)ホスホリック(phosphoric)(29.5mg)を、DO(0.7mL)に溶解し、プロトンNMRによりモニタした。7.8ppm((4−アセトアミドフェニル炭酸)ホスホリックに該当)および6.9ppm(アセトアミノフェンに該当)でのピークの積分を比較した。これら条件下での(4−アセトアミドフェニル炭酸)ホスホリックの半減期は、約90分であることがわかった。データを表1にまとめる。
【0128】
【表1】

(実施例4)
プロピレングリコール−d中のカーボネートプロドラッグの安定性:(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸
(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸(20.4mg)を、600mgのプロピレングリコール−dに溶解し、Hおよび31P NMRスペクトルを室温で記録した。(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸(d−766ppm)に加え、d+334、265(HPOの可能性あり)、および+203ppmでピークがあった。これら条件下での、(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸の半減期は、約6.3時間であることがわかった。データを表2にまとめる。
【0129】
【表2】

(実施例5)
低温でのプロピレングリコール−d中のカーボネートプロドラッグ安定性:(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸
(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸の2つのサンプル(それぞれ20mg)を、プロピレングリコール−d(600mg)に溶解し、サンプルを4℃および−20℃で保存した。サンプルを、安定性の尺度としてアセトアミノフェンの形成に関し、H NMRにより周期的に検査した。4℃および−20℃で形成されたアセトアミノフェンの量を、表3に報告しまとめる。この表に示されるように、低温保存は、プロドラッグの安定性を改善した。
【0130】
【表3】

(実施例6)
アセトアミノフェンプロドラッグからアセトアミノフェンへのin vitro変換
既知量の(4−アセトアミドフェニル炭酸)無水リン酸を、生理学的温度で維持されたヒト血漿サンプルと共にインキュベートした。少量を、所定の時点(0、5、10、15、20、25、30、40、60、および120分)で引き出し、アセトアミノフェン含量に関して分析した。実験は、37℃のプールされたヒト血漿中2つの異なる濃度のプロドラッグ(15μg/mLおよび0.3μg/mL)で行うことにより、代謝反応の動態と、プロドラッグからアセトアミノフェンドラッグへの変換に関わる酵素系の飽和が生じたか否かを決定した。アセトアミノフェンは、図1および2に示されるように、名目上0分での最初のサンプル収集の時までに迅速に現れ、濃度は60分の持続時間にわたり徐々に低下したことがわかった。
【0131】
(実施例7)
アセトアミノフェンプロドラッグからアセトアミノフェンへのin vivo変換
体内での代謝を通したアセトアミノフェンプロドラッグからアセトアミノフェンへの変換を、ラットで研究した。in vitro研究に関する上述の実験設計と同様に、式(IV)の化合物を、試験動物に静脈内投与し、血液を、所定の時点で引き出した。血液を、アセトアミノフェン含量に関して分析し、プロドラッグの半減期を決定した。
【0132】
アセトアミノフェンと式(IV)の化合物の薬物動態を、静脈内(IV)投与後に評価して、得られた血漿アセトアミノフェン濃度を決定した。アセトアミノフェンおよび式(IV)の化合物を等モル量ベースで投与することにより、アセトアミノフェン対して同レベルの曝露(25mg/kg)がもたらされ、かつアセトアミノフェンへのin vivoでの化合物(IV)変換のプロファイルが得られた。試験動物は、7から8週齢の、体重220から270グラムのオスおよびメスのSprague Dawley(CD(登録商標)IGS)ラット(Charles River Laboratories)であった。これらのラットを、投与後5、15、30分と1、4、8、および24時間の7つの時点で順次出血させた。全血サンプル(300μL)を、リチウムヘパリンマイクロコンテナ内に静脈から収集し、遠心分離によって血漿へと処理し、血漿を、分析まで−70℃で凍結保存した。アセトアミノフェン含量に関する血漿分析の結果を、図3および表4に示す。
【0133】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ヒドロキシル基またはカルボキシル基を含む親薬物の部分、および
(b)該ヒドロキシルまたはカルボキシル基において該親薬物の部分に結合し、カーボネート部分を与える、以下の式
【化11】

のプロドラッグ部分
を含むプロドラッグあるいは薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物。
【請求項2】
前記親薬物がヒドロキシル基を含み、前記プロドラッグ部分が該ヒドロキシル基において該親薬物の部分に結合している、請求項1に記載のプロドラッグ。
【請求項3】
前記親薬物が、メタノール、エタノールまたはフェノール以外である、上記請求項のいずれかに記載のプロドラッグ。
【請求項4】
前記親薬物が、アセトアミノフェン、ヒドロキノン、メタクレゾール、レゾルシノール、パラクロロフェノール、グアヤコール、フロログルシノール、クロロクレゾール、メキノール、メルクフェノール、サリチルアミド、クロロキシレノール、バニリン、クロルゾキサゾン、チモール、メチルパラベン、フェノールスルホン酸、パロキシプロピオン、レゾルシノール、ブロクレシン、クロルインダノール、オキシキノリン、ノルエピネフリン、オクトパミン、ドーパミン、バニリン、ノルフェネフリン、エチルパラベン、クロキシキン、オイゲノール、ヒドロキシアンフェタミン、オキシドパミン、テトロキノン、エピネフリン、ヒルネクロルノン、フェニルエフリン、プロポフォール、ヨードキノール、エドロホニウム、フロプロピオン、プロピルパラベン、サリチル酸グリコール、レボノルデフリン、メフェネシン、アドレナロン、クロロキシン、クリオキノール、ハルキノール、メリザーメ、ラセピネフリン、アミノサリチレート、エピネフリン、グアイフェネシン、ブチルパラベン、エチレフリン、ヘキシルレゾルシノール、ラセピネフリン、ロキサルソン、没食子酸プロピル、クロロフェン、デテレノール、ホウ酸エピネフリル、モノベンゾン、ワルファリン、セクラゾン、カルバミン酸クロルフェネシン、メトキサミン、ブセチン、イソプロテレノール、イソプレナリン、ブチル化ヒドロキシトルエン、エタミバン、エチレボドーパ、ナプロキソール、タペンタドール、アントラリン、メトカルバモール、カルビドーパ、オサルミド、アルブテロール、ベレフリン、ドロメトリゾール、ファドールルニジン、フェンチクロール、イソエタリン、オキシベンゾン、アミノサリチル酸フェニル、プレナルテロール、プロファドール、スチリペントール、トリクロサン、ピンドロール、エプタゾシン、イソエタリン、レバルブテロール、ベンセラジド、ジブロムサラン、ジオキシベンゾン、エノフェラスト、フォサラン、イドロノキシル、メタブロムサラン、メチルドーペート、オクチサレート、リミテロール、アテノロール、ビチオノール、デゾシン、アルプレノロール、ミドドリン、ブニトロロール、ブプラノロール、エサテノロール、ベンセラジド、メトプロロール、ニテカポン、シクラフリン、シラルナドール、ホモサレート、ノノキシノール4、パナドール、キンドニウム、ノノキシノール9、プロプラノロール、ジエチルスチルベステロール、トルカポン、ジエネストロール、オキシメタゾリン、トラマドール、ヘキセストロール、オクスプレノロール、ベンサラン、ブトキサミン、アクソマドール、カルブテロール、シラマドール、シクラゾシン、デクスプロパノロール、ソテレノール、プリナベレル、ニクロサミド、ペンタゾシン、ベンラファキシン、ヘキサクロロフェン、リトドリン、コルテロール、デクストロルファン、エムブトランリド、フェンガビン、イソモルパン、ケタゾシン、モキサゾシン、ナキサゴリド、フェンプロクモン、スルホンテロール、スリソベンゾン、シアニダノール、カプサイシン、ナドロール、エスモロール、エンタカポン、メタラミノール、ベンズブロマロン、リトドリン、ベフノロール、ベンジオダロン、メチプラノロール、プロカテロール、アレンテモール、ブメトリゾール、ブノロール、ブトパミン、ドブタミン、エキリン、エキサプロロール、フェノテロール、フルオロサラン、ガランタミン、イソエタリン、レバルブテロール、マソプロコール、塩化プラノリウム、プリフェロン、プロキシクロミル、ラクロプリドC11、ロチゴチン、タゾフェロン、テブフェロン、ズカプサイシン、エストロン、エストラジオール、ベタキソロール、ヒドロモルホン、オキシモルホン、フェノテロール、ニリドリン、ニプラジロール、イソクススプリン、メチプラノロール、エピネフリン、ビソプロロール、デノパミン、トメルカスト、アントラマイシン、ドーパマンチン、レボベタキソロール、ロモフンギン、ノルエピネフリン、オキシロルファン、プロガビド、ラクトパミン、タレラノール、キシパミド、ゼラノール、エストリオール、コデイン、オクタベンゾン、オキシコドン、オキシフェドリン、ブフェトロール、オキシメテバノール、ドロテバノール、イデベノン、アセブトロール、プリミドロール、ベフロキサトン、アルブタミン、ビフェナミン、ブトルファノール、シクロプロロール、カラフンギン、ケトルファノール、オクトリゾール、フェノールフタレイン、トルガビド、キサモテロール、ドロナビノール、エチニルエストラジオール、アセブトロール、ラベタロール、サリチル酸マグネシウム、ベルゲニン、フェノールスルホンフタレイン、フルオレセイン、ナロキソン、ジレバロール、ジピベフリン、アモジアキン、ジクマロール、エコピパム、エピメストロール、ナルメフェン、ナルトレキソン、オキシフェンブタゾン、サレタミド、チプロピジル、アトバクオン、フェントラミン、メストラノール、フェノルドパム、ジピベフリン、シツカニン、ベバントロール、メルアドリン、トリメトキノール、ナルトレキソン、ナルメフェン、モルヒネ、ブキノレート、シプロキネート、ドペキサミン、エストラジオール、エストラジノール、チナビノール、ナルブフィン、アモスラロール、ペンタゾシン、エチルモルヒネ、セファドロキシル、オキシキノリン、オプトヒン、アモキシシリン、グアイチリン、メドロキサロール、メノクトン、モデカイニド、ナルメキソン、ペンタモルホン、ラフォキサニド、スルフィナロール、テポキサリン、チデムベルサット、チペントシン、ジンテロール、メチルナルトレキソン、エパノロール、トボリノン、ジヒドロコデイン、デスベンラファキシン、ブシンドロール、シラドーパ、ダルブフェロン、プリノマスタット、ドペキサミン、メドロキサロール、メスプリン、サランテル、エストラジオール、エンプロスチル、ナフトピジル、キニーネ、アクリソルシン、アルボシジブ、ドロロキシフェン、フェンプロスタレン、フェンレチニド、インシクリニド、ナビロン、ネビボロール、レプロテロール、サベルゾール、アフィルノキシフェン、オスチジン、ベラプロスト、エゼチミベ、トコフェロール、ピノキセピン、シプレファドール、クロサンテル、デコキネート、ルベルゾール、サルメテロール、エストラジオール、レドキサントロン、メラレインナトリウム、ニレストリオール、パリペリドン、ラノラジン、トナゾシン、キソルファノール、ゼナゾシン、セドキサントロン、レボルファノール、レバルロルファン、スルプロストン、セトサイクリン、エストラムスチン、ピロキサントロン、サンサイクリン、サルモキシシリン、シベナデット、テブキン、トラキソプロジル、ネビボロール、セルグリフロジン、スプラタスト、アキシチロム、ダサンタフィル、デメサイクリン、ジヒドロコデイン、エンシプラジン、クアダゾシン、ラノラジン、テロキサントロン、トリマゾシン、テトラサイクリン、ブトルファノール、トルテロジン、ミトキサントロン、ベンダカロール、ビアラミコール、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ニスブテロール、ドキシサイクリン、メタプロテレノール、メタサイクリン、バメタン、トラボプロスト、シロドシン、ラロキシフェン、ヘキソプレナリン、アコルビフェン、アルフォルモテロール、アルゾキシフェン、エピテトラサイクリン、ミノサイクリン、ナントラドール、ニトロサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、プロマイシン、ナルフラフィン、テルブタリン、イダルビシン、クロモサイクリン、インデノロール、スルホブロモフタレイン、カルビシン、キニジン、サルブタモール、ビトルテロール、ダウノルビシン、モキサラクタム、ラタモキセフ、アダプロロール、ベゼドキシフェン、ボセンタン、ロリテトラサイクリン、ルルトテカン、メノガリル、ラソホキシフェン、キンテレノール、ステフィマイシン、トコフェルソラン、ドロロキシフェン、ゾスキダル、ヘスペリジン、サルメテロール、チゲサイクリン、フルベストラント、アトバクオン、エドテカリン、レバルブテロール、オキサンテル、ノボビオシン、アポモルフィン、プロカテロール、エトポシド、ルチン、メトプロロール、ロピナビル、レシメトール、ベモトリジノール、レボドブタミン、メトケファミド、ペンブトロール、ネルフィナビル、イリノテカン、ガンマオリザノール、エナルキレン、エルサミトルシン、ネオカルジノスタチン、ゾルビシン、リオトリックス、メクロサイクリン、エスクリン、リファマイシン、テニポシド、メイタンシン、バルルビシン、パマトロール、テモポルフィン、ツボクラリン、ヒドロキシジン、トラベクテジン、プロキソルファン、キサモテロール、リファメキシル、リファキシミン、ノガラマイシン、ビンデシン、ホルモテロール、イフェンプロジル、リファミド、アクラルビシン、リファンピシン、キニジン、ビゼレシン、リファメタン、ラボルチジン、セグリチド、リファペンチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、リファラジル、オキシトシン、アスパルトシン、オベモチド、ジフェニドール、ペルフェナジン、バプレオチド、サリチル酸、アミノサリチル酸、メサラジン、オクスフェニシン、チロシン、レボドーパ、メチロシン、次没食子酸ビスマス、イオチロシンI−131、ドロキシドーパ、ジオチロシンI−125、フルオロドーパF−18、ジフルニサール、サルサレート、サルナセジン、ピレノキシン、リオチロニンI−125、リオチロニンI−131、ミコフェノール酸、オルサラジン、タリベグロン、セファドロキシル、アモキシシリン、スルファサラジン、デフェラシロックス、セフプロジル、フェンドサール、ベラプロスト、ベンチロミド、クロプロステノール、トレプロスチニル、カルビドーパ、セルメタシン、メルブロミン、セファトリジン、フモキシシリン、アルビモパン、セファパロール、ラミフィバン、ローズベンガル、クロモグリケート、プロピレングリコレート、ストレプトニグリン、チペルカスト、フィデキサバン、モキサラクタム、ドキソルビシン、エソルビシン、エピルビシン、エタロシブ、エルトロムボパグ、セフピラミド、ベンゾイルパス、ラサロシド、アプラビロク、ピラルビシン、リメサイクリン、セホペラゾン、クロペラスチン、チモペンチン、ピリジシリン、センノシド、ビモシアモースおよびピバムピシリンからなる群から選択される化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物である、上記請求項のいずれか一項に記載のプロドラッグ。
【請求項5】
前記プロドラッグが、以下の式:
【化12】

であるか、または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物である、上記請求項のいずれか一項に記載のプロドラッグ。
【請求項6】
前記親薬物がカルボキシル基を含み、前記プロドラッグ部分が該カルボキシル基において該親薬物の部分に結合している、請求項1に記載のプロドラッグ。
【請求項7】
前記親薬物が、アスピリン、ナプロキセン、ゲムフィブロジル、シプロフィブレート、エタクリン酸、シノキサシン、プラノプロフェン、フェンクロフェナク、ミロキサシン、オキソリン酸、チクリナフェン、チクリナフェン、ドロキサシン、フルフェニサル、フラプロフェン、フロブフェン、イソキセパク、アニロラク、ベノキサプロフェン、フレグレレート、サルカプロゼート、チキサノクス、プロチジン酸、フェブキソスタット、トレピブトン、ブロクリナト、パズフロキサシン、セトラキセート、カポベン酸、ナフェノピン、スロトロバン、キサノキセート、トラニラスト、トルレスタット、アシトレチン、インダクリノン、イオプロン酸、マイコフェノレート、チロキシンI−125、チロキシンI−131、インドメタシン、ブメタニド、ピレタニド、シロミラスト、モフェゾラク、エファプロキシラール、リフィブロール、チフラク、セファドロキシル、オフロキサシン、オロパタジン、レボチロキシン、エファプロキシラール、ミノクロミル、オキサルバゾール、プロビクロミル、フェネチシリン、フルオレセイン、ネドクロミル、ジドメタシン、ベリフラポン、テサグリタザール、プロピシリン、コドキシム、レボプロピルシリン、アセメタシン、メチシリン、ベラプロスト、バレスプラジブ、モキシフロキサシン、バロフロキサシン、バルサラジド、シベレスタット、プレマフロキサシン、グレパフロキサシン、アダパレン、エルビテグラビル、チロフィバン、サルポグレレート、チプラシニン、メチルドーパ、レパグリニド、ソファルコン、ソデルグリタザール、クリノフィブレート、カルフェシリン、チカルシリンクレシル、シベレスタット、トリメブチン、アブルカスト、エルチプロタフィブ、モエキシプリル、フィラテグラスト、カンドキサトリル、カルベニシリンインダニル、ガレノキサシン、ポリフェプロサン20、アトラセンタン、ムラグリタザール、フェノプロフェン、ペリグリタザール、ファルグリタザール、エルシブコール、キフラポン、スクシノブコール、ラパキスタット、エコプラジブ、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、サリチル酸、アミノサリチル酸、メサラジン、オクスフェニシン、チロシン、レボドーパ、メチロシン、次没食子酸ビスマス、イオチロシンI−131、ドロキシドーパ、ジオチロシンI−125、フルオロドーパF−18、ジフルニサール、サルサレート、サルナセジン、ピレノキシン、リオチロニンI−125、リオチロニンI−131、ミコフェノール酸、オルサラジン、タリベグロン、セファドロキシル、アモキシシリン、スルファサラジン、デフェラシロックス、セフプロジル、フェンドサール、ベラプロスト、ベンチロミド、クロプロステノール、トレプロスチニル、カルビドーパ、セルメタシン、メルブロミン、セファトリジン、フモキシシリン、アルビモパン、セファパロール、ラミフィバン、ローズベンガル、クロモグリケート、プロピレングリコレート、ストレプトニグリン、チペルカスト、フィデキサバン、モキサラクタム、ドキソルビシン、エソルビシン、エピルビシン、エタロシブ、エルトロムボパグ、セフピラミド、ベンゾイルパス、ラサロシド、アプラビロク、ピラルビシン、リメサイクリン、セホペラゾン、クロペラスチン、チモペンチン、ピリジシリン、センノシド、ビモシアモースおよびピバムピシリンからなる群から選択される化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物である、請求項1または6に記載のプロドラッグ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のプロドラッグおよび担体を含む製剤。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の有効量のプロドラッグおよび担体を含む製剤。
【請求項10】
前記担体が薬学的に許容される担体である、請求項8または9に記載の製剤。
【請求項11】
請求項5に記載の化合物、ならびにオピオイド、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、ベンゾジアゼピンおよびバルビツレートからなる群から選択される化合物を含む製剤。
【請求項12】
請求項5に記載の化合物、ならびにコデイン、モルヒネ、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、プロポキシフェン、アスピリン、ケトロラク、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、エトドラク、ジクロフェナク、ミソプロストール、メロキシカム、ピロキシカム、ナプロキセン、カフェイン、ドキシラミン、パマブロム、トラマドール、デキストロプロポキシフェン、メチルヘキシタール、カリソプロドール、ブタルビタール、ジアゼパム、ロラゼパムおよびミダゾラムからなる群から選択される化合物を含む製剤。
【請求項13】
請求項1から7のいずれか一項に記載のプロドラッグの実質的に純粋な形態。
【請求項14】
請求項1から7のいずれか一項に記載の親薬物の有効量のプロドラッグを個体に投与することを含む、親薬物に対して反応性である疾患または状態を治療する方法。
【請求項15】
有効量の以下のプロドラッグ
【化13】

または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物を個体に投与することを含む、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態を治療する方法。
【請求項16】
疾患または状態が、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷または神経損傷からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プロドラッグを非経口的に投与する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記プロドラッグを静脈内投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プロドラッグを筋肉内投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記プロドラッグを皮下投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記プロドラッグの用量が約300mg〜約2.6gである、請求項14から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記プロドラッグの用量が約1.3g〜約1.9gである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記用量の容積が約1mL〜約25mLである、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記用量の容積が約10mL〜約20mLである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記用量の容積が約1mL〜約10mLである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記用量の容積が約5mL〜約10mLである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
薬剤として使用するための請求項5に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物。
【請求項28】
疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷または神経損傷の治療用の薬剤の製造のための請求項5に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物の使用。
【請求項29】
疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷または神経損傷の治療のための請求項5に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは前記のものの溶媒和物の使用。
【請求項30】
請求項5に記載のプロドラッグ、ならびに疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷または神経損傷の治療または予防における使用説明書を含む、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷または神経損傷の治療または予防用のキット。
【請求項31】
請求項1から5のいずれか一項に記載のプロドラッグおよび薬学的に許容される担体を含む、低容積/高濃度製剤。
【請求項32】
請求項5に記載のプロドラッグおよび薬学的に許容される担体を含む、請求項31に記載の低容積/高濃度製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−520978(P2011−520978A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510693(P2011−510693)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/044746
【国際公開番号】WO2009/143297
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(505080910)ニューロジェシックス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】