説明

カーボンナノチューブ強化ポリマー

本発明は、カーボンナノチューブ強化ポリマー(の調製方法)に関し、マトリックスポリマーは、低分子量フラクション及び高分子量フラクションの両方を有し、その結果、得られるコンポジットの伝導度のレベルを制御し得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、
a)水性媒質中でカーボンナノチューブと、少なくとも部分的に水溶性の第1ポリマー又は水溶性の界面活性剤である水溶性成分とを接触させるステップと、
b)ステップa)より得られた生成物と第2ポリマーの水性ラテックスとを混合するステップと、
c)こうして得られた混合物から水を除去するステップと、
d)ステップc)からの生成物を、第2ポリマーが流動する温度まで加熱するステップ、及び
e)ステップd)の生成物を所望の形態に固化させるステップ
によるカーボンナノチューブ強化ポリマーの調製方法に関する。
このような方法は、国際公開第2004/072159号パンフレットに記載されている。
【0002】
近年、ポリマーマトリックス中にカーボンナノチューブを取り込もうとする努力が大いになされている。得られるコンポジットは、興味深い材料である。というのも、それらは、特有のナノチューブ特性(例えば、高アスペクト比及び電気伝導度等)に起因して、非常に低い添加量において、増強された電気的特性及び機械的特性を有する。しかしながら、粘度の高いポリマー中でのカーボンナノチューブの分散は難しく、しばしばナノチューブを官能化してナノチューブとポリマーとの間の魅力的な相互作用をもたらすことにより試みられてきている。さらに、強力なファンデルワールス相互作用の結果としてナノチューブが高度に束になっているので、膨張化ナノチューブを分散させることは1つの挑戦であった。
【0003】
一般に、材料は、それらの電気伝導度δに関して3つのグループに分けることができる:絶縁体(δ<10−7S/m)、半導体(δ=10−7〜10S/m)及び導体(δ>10S/m)。本質的に非伝導性のポリマーについて、代表的な伝導度の値は、10−15S/mから10−12S/mである。カーボン充填材は、10S/mから10S/mの範囲の伝導度を有し得る。コンポジットでは、伝導度は、充填材濃度がより高い純粋なカーボン種についてより、わずかに低い値となっている。
【0004】
カーボンナノチューブ強化ポリマーは、一般的に束の形態で生産されたカーボンナノチューブ(CNT)をポリマーマトリックス中に取り込むことにより現在作製される。これらCNTの均質な分布を得るために、CNTは、超音波処理又は化学的改変プロセスのいずれかにより前処理されており、この前処理は、ポリマーマトリックス中での個々のCNTの分散性を改善することを目的としている。このようなポリマーマトリックス中へのCNTの取り込みは、ポリマーマトリックス材料の剛性及び伝導性の増強に有益である。
【0005】
従来技術の教示を用いることにより、カーボンナノチューブの量を増加させる際、伝導度の大幅な変化を生じることが分かっている。遷移はほとんどS曲線であるので、マトリックスのもともとの伝導度と、強化された生成物の最終レベルとの間での伝導度のレベルの制御は困難である。
【0006】
特定の所望のレベル(異なる伝導性材料について上述したようなレベル)に電気伝導度の値を設定できることが必要である。
【0007】
驚くべきことに、第2ポリマー中の特定量の低分子量フラクションにより、所定の量のカーボンナノチューブにおいて、コンポジットの電気伝導度のレベルを制御できることが分かっており、これが本発明の核心とも言えるものである。
【0008】
本発明の方法の特性として、第2ポリマーは、低モル質量フラクション及び高モル質量フラクションの両方を有し、低モル質量フラクションは、500〜20,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有し、高モル質量フラクションは、20,000〜5,000,000g/molのMwを有しており、低モル質量フラクションは、5wt%より多い量で第2ポリマー中に存在する。
【0009】
本発明の方法のステップを以下に別個に説明する。
【0010】
ステップa):水性媒質中のカーボンナノチューブからスラリーを調製するステップ
この方法は、国際公開第02/076888号パンフレットに記載されている。この公報には、単一壁カーボンナノチューブ(SWNT)の膨張化の方法が記載されており、本質的に単一のチューブを含む安定な水性生成物を生じる。この公報では、水溶性ポリマー材料が、膨張化ナノチューブを得るために用いられている。この公報の内容は、本明細書において参照として援用される。この方法はまた、多壁CNT(MWNT)を用いる場合にも適用され得る。本発明の方法において、SWNTの使用が好ましい。
【0011】
国際公開第02/076888号パンフレットに記載されているように、少なくとも部分的に水溶性のポリマー材料は、好ましくは親水性であるべきであり、天然由来又は合成由来のいずれでもよい。国際公開第2004/072159号パンフレットもまた参照のこと。親水性を向上させる場合に、少なくとも部分的に水溶性のポリマー材料の取り込みを向上させること、水溶性塩(塩化ナトリウム)のような電解質を(例えば、本ステップa)において)加えることは有利であることが示されている。これにより、カーボンナノチューブ強化ポリマーのマトリックスにおけるCNTの分散性が向上する。
【0012】
ステップa)ではまた、水溶性界面活性剤を用いて有効にCNTを膨張化し得る。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)又はドデシルスルホン酸ナトリウムのような炭化水素硫酸塩又はスルホン酸塩が好ましい。ポリアルキレンオキシド系界面活性剤もまた好ましい。
【0013】
本ステップa)の方法は、水又は水溶液中で必須の成分(ポリマー又は界面活性剤、及びカーボンナノチューブ)を任意の順番で接触させることにより行われる。得られた生成物は、75重量%までのカーボンナノチューブを得ることができ、前記第1ポリマー又は界面活性剤により覆われている。本方法のステップa)において、第1ポリマー又は界面活性剤のカーボンナノチューブに対する質量比は、0.05〜20の範囲であり得る。
【0014】
本ステップa)が行われる温度は重要でない。室温と75℃との間の温度が非常によく適している。
【0015】
カーボンナノチューブの有効な膨張化に必要な滞留時間は、当業者により容易に決定され得る。その目的には1時間未満の滞留時間で十分であることが分かっており、混合エネルギー(超音波エネルギーのような)の全投入量に依存している。
【0016】
ステップb):ステップa)より得られた生成物と第2ポリマーの水性ラテックスとを接触させるステップ
この第2ポリマーは、カーボンナノチューブ強化ポリマーのマトリックスを構成するポリマーであり、ここでは、カーボンナノチューブは十分に分散されている。当業者に公知のあらゆる水性ポリマーラテックスを用いることができる。第2ポリマーは、ポリアクリレート、スチレン系(コ)ポリマー、ブタジエン系(コ)ポリマー、ポリカーボネート、アクリロニトリル系(コ)ポリマー、(ハロゲン含有)ポリオレフィン(ポリエチレン又はポリプロピレン、ホモ及びコポリマー)、並びにポリアミドを含む群より選択されることが好ましい。第2ポリマーとしては、ポリスチレン、或いは、オレフィン若しくはスチレンと(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、マレイミド、2−若しくは4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、又は、別のビニル若しくはビニリデン型モノマーのいずれかとのコポリマーの使用がさらに好ましい。
【0017】
本発明の利益を達成するために、第2ポリマーは、低モル質量フラクション及び高モル質量フラクションの両方を有し、低モル質量フラクションは、500〜20,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有し、高モル質量フラクションは、20,000〜5,000,000g/molのMwを有する必要がある。第2ポリマー中の低モル質量フラクションの量は、5wt%より多い。より好ましくは、この量は少なくとも6.5wt%である。低モル質量フラクションはまた、一般的に、等量又はより少量で存在するし、より好ましくは、最大で第2ポリマーの40wt%である。
【0018】
低モル質量フラクションは、高モル質量フラクションと同じモノマーをベースとし得るが、当該フラクションについてのモノマーはまた、互いに異なっていてもよい。好ましくは、第2ポリマーは、異なるモノマー又は同じモノマーのいずれかをベースとする2つの混和性ポリマーの組成物であり、一方のポリマーは、低モル質量フラクションを形成し、他方のポリマーは、高モル質量フラクションを形成する。
【0019】
第2ポリマーの組成物は、第2ポリマーとの重合の間も、又は、重合生成物との混合によっても、様々な方法により、得ることができる。第1の好適例において、低Mwポリマー(500〜20,000g/molのMw)及び高Mwポリマー(20,000〜5,000,000g/molのMw)の両方を含む広いモル質量分布を生じる重合条件を適用することにより、第2ポリマーは得られる。第2の好適例において、第2ポリマーは、低Mwポリマーと高Mwポリマーとの混合により得られる。第2ポリマーとの重合が生じる必要がある条件は、用いられる第2ポリマーの種類に依存する。本質的に、第2ポリマーの種類を選択すれば、当業者は、1つの重合の間でも2つの別個の重合においても、低モル質量フラクション及び高モル質量フラクションを重合過程において生成する方法を知る。最後のバージョンでは、2つの別個の重合の生成物は、所望の比率で一緒に混合される。
【0020】
混合ステップb)の温度は一般的に、10〜150℃である。気圧は一般的に大気圧であるが、本ステップb)又は次ステップc)での加工可能性を調整するために増加させてもよい。本ステップb)での滞留時間は重要でなく、一般的に1時間を超えない。
【0021】
ステップc):方法ステップb)において得られた混合物を処理して、(実質的に全ての)水を除去するステップ
この除去を達成するために当業者に利用可能な異なる物理的方法がある。これらの方法のうち、蒸発、凍結乾燥、又は気流乾燥によりステップc)を行うことが好ましい。
【0022】
ステップd):第2ポリマーにおけるCNTの均質な分散物の調製
第2ポリマーが熱可塑性ポリマーである場合、本ステップd)における温度は、融点((半)結晶性第2ポリマーの場合)又はガラス転移温度(液晶第2ポリマーの場合)より10〜100℃高くなるように選択される。全ての場合において、当業者は、本ステップd)が行われる方法条件が、選択される第2ポリマーの性質に依存することが分かる。
【0023】
ステップe):ステップd)の生成物の所望の形態への固化
本ステップe)は、固化されたポリマー目的物を形成するために、成型ステップ、ペレット成形ステップ、押出成形、射出成形若しくは圧縮成形ステップ、又は、任意の公知のステップであってもよい。
【0024】
本発明の方法により、CNT強化ポリマーが得られる。CNTは本質的に、ポリマーマトリックス中に個々に分散している。それゆえ、ポリマーは、改善された剛性及びより良好な伝導特性を有する。
【0025】
本発明はまた、本発明の方法により得られ得る、カーボンナノチューブ強化ポリマーに関する。本発明(の方法)により、3wt%以下のCNTで伝導パーコレーション閾値を有するポリマーコンポジットが得られ得る。特に、本発明の方法により、3wt%未満のカーボンナノチューブ量で、100Ω×cm未満の抵抗率を有する生成物が得られる。当技術分野では、このような抵抗率は、非常に高いCNT添加においてのみ達成され、このことは、J.Mater.Sci.37、2002、第3915〜23頁の記事を見れば分かることである。
【0026】
本発明において、一般的に、第2ポリマー中の低質量フラクションの量は、第2ポリマーの半分を超える量(重量基準)では含まれないことが分かっている。好ましくは、第2ポリマーの低モル質量部分と第2ポリマーの高モル質量部分との重量比は、0.065〜0.67である。より好ましくは、当該比は、0.10〜0.25である。上記したように、2つのフラクションが互いに相溶性及び/又は混和性である限り、2つのフラクションは、同じモノマーをベースとしてもよいし、2つのフラクションはまた、異なるモノマーをベースとしてもよい。伝導度の所望の安定レベルに応じて、低モル質量フラクションの要求される割合は、容易に決定され得る。
【0027】
本発明の強化ポリマーは、改善された剛性及び伝導特性が利用され得る幾つかの用途に用いることができる。例として、遮蔽用途(電磁気干渉遮蔽のような);ガラス繊維充填ポリマーより優れた表面外観を有する自動車産業のための高弾性伝導体パネル;ナノ電子デバイス(例えば、薄膜トランジスタ)等を挙げることができる。
【0028】
本発明は、以下の非限定的な実施例により例示される。
【0029】
材料及び技術
材料:CNT HIPCO NT(Carbon Nano Technology)(SWNT)及びSDS(Merck)をそのまま用いた。
【0030】
CNT+SDSの水性生成物を国際公開第02/076888号パンフレットの教示に従って調製した。SDSを水に室温で溶解させ、0.5wt%〜15wt%の溶液を形成した。ロープの束ネットワークを含む生成された単一壁ナノチューブの粉末を、溶液(0.2wt%〜3wt%の濃度)中15〜20分間、非常に温和な条件(50W、43KHz)で超音波処理した。黒色で、均質なインク状生成物が得られ、これを異なるポリスチレン(PS)ラテックス又はポリプロピレン(PP)ラテックスと室温で混合した。次いで、得られた混合物を一晩かけて凍結乾燥(Christ α2−4)し、乾燥粉末を圧縮成形した。PS1ラテックス、PS2ラテックス及びPS3ラテックスに基づくナノコンポジットについて、(脱気を4サイクルした後)160℃、10MPaで、4分間成形を行った。ポリマーラテックスPS4及びPS5に基づくナノコンポジットについて、脱気を4サイクルした後、180℃、4MPaで20秒を2回、10MPaで2分を1回行うことで乾燥粉末を圧縮成形した。PP1ラテックス及びPP2ラテックスに基づくナノコンポジットについては、180℃、10MPaで3分間成形を行った。
【0031】
PS1−PS2ラテックスの作製
PS1は、広い分子量分布を有するラテックスであり、一方、PS2は、狭い分子量分布を有する。
【0032】
ポリマーラテックスPS1の調製
エマルジョン重合を無酸素雰囲気において行った。292gのスチレンを、728gの水、13gのSDS及び緩衝液としての1.1gのNaHCOと混合した。温度を50℃に保った。反応を1gのSPS(過硫酸ナトリウム)により開始した。反応時間は2.5時間であった。
【0033】
反応混合物を脱気せずに重合を開始し、このことは反応混合物にはまだ幾らか酸素が溶解していたことを意味し、これにより、かなりの量の低分子量PS種の形成をもたらした。
【0034】
ポリマーラテックスPS2の調製
以下の条件としたことを除き、ラテックスPS1と同様の手順を適用した:200gのスチレン;695gの水;13.4gのSDS;1gのSPS。
【0035】
反応温度を65℃に保ち、反応混合物をアルゴンで注意深く脱気し、重合を開始した(その結果、本質的に高分子量鎖を有するPSが合成された)。
【0036】
PS3の調製(PS2ラテックスと低Mwポリスチレンとの混合)
低モル質量PSのPS2ラテックスへの取り込みは、以下の手順により達成した:130gのPS2ラテックスを直接624mgのSDSと混合し、その後715mgのPS基準(Mw=550g/mol)を取り込んだ。Ultraturrax(Ika、Labotechnic、Janke and Kunkel)を用いて、得られた分散物を最小速度(4000rpm)で3分間高剪断力に供した。
【0037】
ポリマーラテックスPS4の調製
エマルジョン重合を無酸素雰囲気において行った(Arでの2.5時間の前脱気を含む)。まず、252.2gのスチレンを、715gの水、26gのSDS及び0.5gのNaCOと混合した。温度を50℃に保ち、そして、7mLの水に溶解させた0.7gのSPSの注入により反応を開始した。反応時間は2.5時間であった。得られたラテックスは、広い分子量分布を有していた。
【0038】
ポリマーラテックスPS5の調製
PS5の合成の実験的手順は、PS4の合成に用いた手順と同様であった。脱気を5時間行った。252.04gのスチレンを、715gの水、25.97gのSDS及び0.45gのNaCOと混合した。温度を70℃に保った;反応時間は0.5時間であった。得られたラテックスは、狭い分子量分布を有していた。
【0039】
ポリスチレンナノコンポジットの作製
材料:Carbon Nanotechnologyから購入したCNT−HiPCO NT(SWNT)、及びSDS(Merck)をそのまま用いた。CNT+SDSの水性生成物を上記のとおり調製した。
【0040】
ポリプロピレンナノコンポジットの作製
多壁ナノチューブ(MWNT)及び単一壁ナノチューブ(SWNT)の両方をこれらのナノコンポジットの調製に用いた。MWNTはNanocylより入手した(Nanocyl−3100);SWNTはCarbon Nanotechnologyより入手したHIPCO NTであった。用いたポリプロピレンは、Solvayから入手したPriex(登録商標)801(無水マレイン酸グラフトホモポリプロピレン)及びPriex(登録商標)701(コモノマーとして約5wt%のエチレンを有する無水マレイン酸グラフトコポリマーポリプロピレン)であり、両者は、20,000g/mol(GPCによる)未満のMwを有するPPの量は29wt%であった。
【0041】
伝導度測定は2点測定であった。Priex(登録商標)801についての結果をMWNTコンポジットとして図2に、SWNTコンポジットとして図3に示す;図4は、HIPCO−SWNTを有するPriex(登録商標)701についての結果を示す。
【0042】
伝導度測定
室温での電気伝導度測定を、2点又は4点構成のいずれかであるDC−Conductivity Keithley 6512 Programmable Electrometerを用いて行った。
【0043】
測定は膜の表面に対して直接行った。サンプルと測定装置との間の接触を、Electron Microscopy Scienceにより提供されているコロイダルグラファイトペースト(カタログ番号12660)を用いて改善させた。
【0044】
伝導度測定の結果を図1(PS1ナノコンポジット及びPS2ナノコンポジットについて)、表I(PS2ナノコンポジット及びPS3ナノコンポジットについて);及び表II(PS4ナノコンポジット及びPS5ナノコンポジットについて)に示す。
【0045】
伝導度測定のPS1−PS2曲線:4点測定を用いた。伝導度の値のPS2−PS3比較:2点測定を用いた。PS4及びPS5測定について:4点測定を用いた。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
ラテックス中の低分子量PSの量の測定
20,000g/mol未満の分子量(媒質としてTHFを用いたGPC分析における約12.5分の溶出時間に相当)を有するポリマーの量の決定をWaters/GPC装置を用いて行った。
【0049】
表IIIに列挙した20,000g/mol未満のMwを有するPS又はPPの量は、20,000g/molとGPC基準のMw(すなわち550g/mol)との間に含まれる分子量を有するPS種の量を考慮して計算している。
【0050】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】伝導度測定の結果を図1(PS1ナノコンポジット及びPS2ナノコンポジットについて)に示す。
【図2】Priex(登録商標)801についての結果をMWNTコンポジットとして図2に示す。
【図3】Priex(登録商標)801についての結果をSWNTコンポジットとして図3に示す。
【図4】HIPCO−SWNTを有するPriex(登録商標)701についての結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)水性媒質中でカーボンナノチューブと、水溶性第1ポリマー又は水溶性界面活性剤である水溶性成分とを接触させるステップと、
b)ステップa)より得られた生成物と第2ポリマーの水性ラテックスとを混合するステップと、
c)前記ステップで得られた混合物から水を除去するステップと、
d)ステップc)からの生成物を、第2ポリマーが流動する温度まで加熱するステップと、
e)ステップd)の生成物を所望の形態に固化させるステップと
による、カーボンナノチューブ強化ポリマーの調製方法であって、
前記第2ポリマーは、低モル質量フラクション及び高モル質量フラクションの両方を有し、前記低モル質量フラクションは、500〜20,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有し、前記高モル質量フラクションは、20,000〜5,000,000g/molのMwを有しており、且つ、前記低質量フラクションは、5wt%より多い量で前記第2ポリマー中に存在する、カーボンナノチューブ強化ポリマーの調製方法。
【請求項2】
前記第2ポリマーが、異なるモノマー又は同じモノマーのいずれかをベースとする2つの混和性ポリマーの組成物であり、一方のポリマーは、前記低モル質量フラクションを形成し、他方のポリマーは、前記高モル質量フラクションを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2ポリマーが、低Mwポリマーと高Mwポリマーとの混合により得られる、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記第2ポリマーが、低Mwポリマー(500〜20,000g/molのMwを有する)及び高Mwポリマー(20,000〜5,000,000g/molのMwを有する)の両方を含む広いモル質量分布を生じる重合条件を適用することにより得られる、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2ポリマーが、スチレンと、(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、マレイミド、2−若しくは4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、又は別のビニル若しくはビニリデン型モノマーとのコポリマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記低モル質量フラクションが、少なくとも6.5wt%の量で前記第2ポリマー中に存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記低モル質量フラクションが、最大40wt%の量で前記第2ポリマー中に存在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
単一壁カーボンナノチューブを用いる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法により得られる、カーボンナノチューブ強化ポリマー。
【請求項10】
抵抗率が100Ωcm未満である、請求項9に記載のカーボンナノチューブ強化ポリマー。
【請求項11】
前記第2ポリマーの低モル質量部分と前記第2ポリマーの高モル質量部分の比が、0.065〜0.67である、請求項9〜10のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ強化ポリマー。
【請求項12】
前記比が0.10〜0.25である、請求項11に記載のカーボンナノチューブ強化ポリマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−534213(P2009−534213A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505746(P2009−505746)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003144
【国際公開番号】WO2007/121847
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(505307806)スティッチング ダッチ ポリマー インスティテュート (18)
【Fターム(参考)】