説明

カーボンナノチューブ発熱体を使用した画像定着装置

【課題】 発熱ベルトの抵抗発熱体層は、両端部の用紙非接触領域の厚さが中央部の用紙接触領域の厚さと同じか厚く形成することができる。または、用紙非接触領域の電気伝導度を用紙接触領域の電気伝導度より大きくすることができる。それにより、発熱ベルトの用紙非接触領域の温度が大きく上昇しなくなる画像定着装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る画像定着装置は、抵抗発熱体層と、前記抵抗発熱体層の内側面に形成される絶縁層と、前記抵抗発熱体層の外側面に形成される剥離層(release layer)を備えた発熱ベルトと、前記発熱ベルトの内部に設けられ、前記発熱ベルトとともに回転する加熱支持ローラと、前記加熱支持ローラと平行して設けられ、前記発熱ベルトの外側面と接触してニップを形成する加圧ローラと、前記発熱ベルトの抵抗発熱体層に電気を供給する電気供給部材とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に使用される画像定着装置に関し、より詳細には、カーボンナノチューブを使用した発熱体を含む画像定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体に現像剤画像を定着させる画像定着装置としては、ローラの全表面を加熱する加熱ローラ方式が主に使われてきたが、最近では、定着温度まで昇温するのにかかる時間の短縮とエネルギー削減のために低熱容量を有するベルト定着方式が主流となっていた。
【0003】
このようなベルト定着方式の一例が、図1に示されている。図1に示すベルト型定着装置200は、加圧ローラ201と、加圧ローラ201から回転力を受けて回転する定着ベルト203と、定着ベルト203の回転をガイドするように定着ベルト203の内部に設けられるガイド部材205及びガイド部材205に設けられて定着ベルト203のニップ(Nip)部を加熱する加熱部材であるセラミックヒーター207を含む。
【0004】
このようなベルト型定着装置200は、ニップ部だけを加熱する局部加熱方式として、熱容量が少なく昇温待機時間を短縮することができ、ニップ部の幅を広げることができるという長所がある。しかし、熱伝導性を高めるために、フィルム状の薄い定着ベルト203を使用しなければならず、定着ベルト203はニップ部で加圧ローラ201との摩擦によって回転するようになる。このような定着ベルト203の構造により、印刷媒体Pと定着ベルト203との間にスリップが生じ得るため、高速走行時に定着ベルト203の信頼性に問題が生じる。摩擦問題を改善するためには、潤滑を行うことができるが、潤滑によって外部汚染問題が生じる恐れがある。なお、加熱部材であるセラミックヒーター207は平板状に形成されるため、印刷媒体Pがニップ部を通過する際にカール(Curl)が生じないという長所がある。しかし、定着ベルト203の曲率半径が急激に変化する区間が存在するため、屈曲による累積疲れにより定着ベルト203の耐久性が低下してしまうという問題点がある。
【0005】
このような問題点を解決するために、抵抗発熱体層を含む定着ベルトを使用するベルト型定着装置が提案されている。しかし、このようなベルト型定着装置は、連続して印刷を行う場合に、印刷媒体と接触していない定着ベルトの用紙非接触領域の温度が大きく上昇して定着ベルト及び周辺の構成要素を損傷させるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本特開第2011−065005号公報
【特許文献2】日本特開第2009−109997号公報
【特許文献3】日本特開第2009−199015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、昇温時間が早く、エネルギー削減の効果が大きく、発熱均一度に優れており、用紙非接触領域の温度が上昇することを防止することができる画像定着装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る画像定着装置は、抵抗発熱体層と、前記抵抗発熱体層の内側面に形成される絶縁層と、前記抵抗発熱体層の外側面に形成される剥離層(release layer)を備えた発熱ベルトと、前記発熱ベルトの内部に設けられ、前記発熱ベルトとともに回転する加熱支持ローラと、前記加熱支持ローラと平行して設けられ、前記発熱ベルトの外側面と接触してニップを形成する加圧ローラと、前記発熱ベルトの抵抗発熱体層に電気を供給する電気供給部材とを含み、前記発熱ベルトの抵抗発熱体層は、両端部の用紙非接触領域の厚さが中央部の用紙接触領域の厚さと同じか厚くしてよい。
【0009】
このとき、前記抵抗発熱体層の用紙接触領域の幅は、前記抵抗発熱体層として定着できる最大サイズの印刷媒体の幅と同じであってよい。
【0010】
なお、前記抵抗発熱体層の用紙非接触領域の厚さは、前記用紙接触領域の厚さの1倍ないし3倍であってよい。
【0011】
なお、前記抵抗発熱体層の外径は、全長に渡って同じであり、前記加熱支持ローラの外径は、全長に渡って同じであり、前記抵抗発熱体層と前記加熱支持ローラとの間に位置する前記絶縁層は、全長に渡って前記抵抗発熱体層の厚さ変化に応じて相補的に変化する外径を有してよい。
【0012】
なお、前記抵抗発熱体層の外径は、全長に渡って同じであり、前記加熱支持ローラの外径は、前記抵抗発熱体層の厚さに対応する段差を有し、前記絶縁層は、全長に渡って同じ厚さを有してよい。
【0013】
なお、前記抵抗発熱体層は、カーボンナノチューブを含んでよい。なお、前記抵抗発熱体層は、伝導性フィラー(Filler)として、金属がドーピングされたカーボンナノチューブが弾性体であるシリコンラバーまたはポリアミドに分散して形成されてよい。
【0014】
なお、前記電気供給部材は、前記加熱支持ローラの両端に設けられて前記抵抗発熱体層に電気を供給するように形成されてよい。
【0015】
なお、前記電気供給部材は、前記発熱ベルトの両端部を沿って設けられ、前記電気供給部材は、前記加熱支持ローラの軸方向に垂直な方向に接触するように設けられたブラシによって電気が供給されてよい。
【0016】
なお、前記電気供給部材は、前記加熱支持ローラの一端を包むキャップ状に形成され、前記キャップ状の電気供給部材は、前記加熱支持ローラの軸方向に接触するように設けられたブラシによって電気が供給されてよい。
【0017】
なお、画像定着装置は、前記キャップ状の電気供給部材の内側面を支持する内側支持キャップと、前記キャップ状の電気供給部材の外側面を支持し、前記キャップ状の電気供給部材を前記加熱支持ローラの抵抗発熱体層に対して固定する外側固定キャップとを含んでよい。
【0018】
なお、前記加熱支持ローラは、前記発熱ベルトを支持し、円筒状に形成された弾性層と、前記弾性層の中心に設けられる中心軸とを含んでよい。
【0019】
なお、前記加圧ローラは、加圧回転軸に弾性層と剥離層とが順次積層されて形成されてよい。
【0020】
なお、前記加熱支持ローラは、前記発熱ベルトに対応する幅を有する中空シリンダ部と、前記中空シリンダ部の両端に設けられた一対の支持軸とを含み、前記中空シリンダ部と一対の支持軸とは金属で形成されてよい。
【0021】
なお、画像定着装置は、前記加圧ローラにおいて一定間隔で離隔され、前記発熱ベルトを前記加熱支持ローラに対して加圧するように設けられるサブ加圧ローラを更に含んでよい。なお、前記加圧ローラは、少なくとも2つの支持ローラと、前記2つの支持ローラによって回転する加圧ベルトとを含んでよい。
【0022】
本発明の別の側面に係る画像定着装置は、抵抗発熱体層と、前記抵抗発熱体層の外側面に形成される剥離層及び前記抵抗発熱体層に電気を供給する電気供給部材とを含む発熱ベルトと、前記発熱ベルトの内側に設けられ、前記抵抗発熱体層と接触する非伝導性中心軸を含む加熱ローラと、前記加熱ローラと平行して設けられ、前記発熱ベルトの外側面と接触してニップを形成する加圧ローラとを含み、前記発熱ベルトの抵抗発熱体層は、両端部の用紙非接触領域の厚さが中央部の用紙接触領域の厚さと同じか厚くしてよい。
【0023】
このとき、前記抵抗発熱体層の用紙接触領域の幅は、前記抵抗発熱体層として定着できる最大サイズの印刷媒体の幅と同じであり、前記抵抗発熱体層の両端部の厚さは、前記中央部の厚さの1倍ないし3倍であってよい。
【0024】
なお、本発明の別の側面に係る画像定着装置は、抵抗発熱体層と、前記抵抗発熱体層の内側面に形成される絶縁層と、前記抵抗発熱体層の外側面に形成される剥離層を備えた発熱ベルトと、前記発熱ベルトの内部に設けられ、前記発熱ベルトとともに回転する加熱支持ローラと、前記加熱支持ローラと平行して設けられ、前記発熱ベルトの外側面と接触してニップを形成する加圧ローラと、前記発熱ベルトの抵抗発熱体層に電気を供給するように前記加熱支持ローラの両端に前記加熱支持ローラの外周に沿って設けられる一対の電気供給部材とを含み、前記電気供給部材と前記抵抗発熱体層とは、前記発熱ベルトの円周方向に一定の形状に形成される複数の接触部を介して互いに電気的に接続されてよい。
【0025】
このとき、前記電気供給部材は、前記加熱支持ローラの一端に設けられる胴体部と、前記胴体部において一定間隔で突設され、前記発熱ベルトの抵抗発熱体層と接触するように設けられる複数の突出部とを含み、前記複数の突出部が前記複数の接触部を形成してよい。
【0026】
なお、前記電気供給部材は、前記加熱支持ローラの一端に設けられる胴体部と、前記発熱ベルトの用紙非接触領域に対応するように前記胴体部から延設される延長部とを含み、前記延長部と前記発熱ベルトの抵抗発熱体層との間には電極絶縁層が設けられ、前記電極絶縁層には、前記加熱支持ローラの円周方向に一定の形状を有する複数の貫通孔が形成され、前記抵抗発熱体層と前記電気供給部材とは、前記複数の貫通孔を充填した前記抵抗発熱体層を形成する物質を通じて電気的に接続されるように形成されてよい。
【0027】
なお、前記複数の接触部の各々は、帯状に形成されてよい。なお、前記複数の接触部は、前記加熱支持ローラの中心軸に対して傾斜するように形成されてよい。
【0028】
なお、本発明の別の側面に係る画像定着装置は、抵抗発熱体層と、前記抵抗発熱体層の外側面に形成される剥離層及び伝導性層を備えた発熱ベルトと、前記発熱ベルトの内部に設けられ、前記発熱ベルトの回転を支持する加熱支持部材と、前記加熱支持部材と平行して設けられ、前記発熱ベルトの外側面と接触してニップを形成する加圧ローラと、前記発熱ベルトの抵抗発熱体層に電気を供給する電気供給部材とを含み、前記伝導性層は、前記発熱ベルトの用紙非接触領域に前記抵抗発熱体層と電気的に接続されるように形成され、前記伝導性層の電気伝導度は、前記抵抗発熱体層の電気伝導度と同じか大きく形成してよい。
【0029】
このとき、前記抵抗発熱体層は、伝導性フィラーとして、金属がドーピングされたカーボンナノチューブが弾性体であるシリコンラバーまたはポリアミドに分散して形成されてよい。
【0030】
なお、前記伝導性層の電気伝導度は、前記抵抗発熱体層の電気伝導度より1〜500倍大きくてよい。なお、前記伝導性層は、伝導性樹脂または金属で形成されてよい。
【0031】
なお、前記伝導性層が金属で形成される際、前記伝導性層は1nm〜999μmの厚さを有する金属膜で形成されてよい。なお、前記伝導性層は、前記抵抗発熱体層の上面と下面の少なくともいずれか一方に少なくとも1つが形成されてよい。
【0032】
なお、前記発熱ベルトは、前記抵抗発熱体層の下面に形成される絶縁層を更に含んでよい。なお、前記発熱ベルトは、前記抵抗発熱体と前記剥離層との間に形成される弾性層を更に含んでよい。
【0033】
なお、前記加熱支持部材は、加熱支持ローラとニップ形成部材とを含んでよい。なお、前記ニップ形成部材は、前記発熱ベルトの内部に設けられ、前記ニップ形成部材を前記加圧ローラ側に支持する加圧支持部材を更に含んでよい。
【0034】
なお、前記発熱ベルトの伝導性層は、前記電気供給部材と電気的に直接接続されてよい。
【0035】
なお、本発明の別の側面に係る画像定着装置は、抵抗発熱体層と、前記抵抗発熱体層の外側面に形成される剥離層を含む発熱ベルトと、前記発熱ベルトの内部に設けられ、前記発熱ベルトの回転を支持する加熱支持部材と、前記加熱支持部材と平行して設けられ、前記発熱ベルトの外側面と接触してニップを形成する加圧ローラと、前記発熱ベルトの抵抗発熱体層に電気を供給する電気供給部材とを含み、前記発熱ベルトの用紙非接触領域の電気抵抗は、前記発熱ベルトの用紙接触領域の電気抵抗より小さく形成してよい。
【0036】
このとき、前記発熱ベルトの用紙非接触領域の抵抗発熱体層の厚さまたは電気伝導度を調節して前記電気抵抗を調節してよい。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る画像定着装置によれば、印刷中に用紙非接触領域の温度が大きく上昇しないように構成されているため、連続印刷を行うとしても、画像形成装置が熱によって損傷するという問題は生じなくなる。
【0038】
更に、本発明の一実施形態に係る画像定着装置によれば、昇温時間が早く、エネルギー削減の効果が大きく、発熱均一度に優れており、用紙非接触領域の温度が上昇することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来技術に係るベルト型定着装置を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像定着装置を示す斜視図である。
【図3】図2の画像定着装置の正面図である。
【図4】図3の画像定着装置を4−4線に沿って切断して示す断面図である。
【図5】図3の画像定着装置の部分Aを拡大して示す部分拡大断面図である。
【図6】抵抗発熱体層の厚さ比の変化に応じた用紙接触領域と用紙非接触領域との温度分布を示すグラフである。
【図7】抵抗発熱体層の厚さ比の変化に応じた用紙接触領域と用紙非接触領域との温度差の変化を示すグラフである。
【図8】抵抗発熱体層の厚さ比の変化に応じた用紙接触領域と用紙非接触領域との発熱状態を数値解釈で求めて示すグラフである。
【図9】抵抗発熱体層の厚さ変化のために加熱支持ローラの外径を変化させた場合を示す部分拡大断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る画像定着装置として、電気供給部材によって発熱ベルトの用紙非接触領域の温度を下げることができる加熱支持ローラの一例を示す部分斜視図である。
【図11】図10の加熱支持ローラの部分切取斜視図である。
【図12A】図10の加熱支持ローラを製造する過程を示す斜視図である。
【図12B】図10の加熱支持ローラを製造する過程を示す斜視図である。
【図12C】図10の加熱支持ローラを製造する過程を示す斜視図である。
【図13】図10の電気供給部材の一例を示す図である。
【図14】図10の電気供給部材の別の例を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る画像定着装置として、電気供給部材によって発熱ベルトの用紙非接触領域の温度を下げることができる加熱支持ローラの別の例を示す部分斜視図である。
【図16】図15の加熱支持ローラの部分切取斜視図である。
【図17A】図15の加熱支持ローラを製造する過程を示す斜視図である。
【図17B】図15の加熱支持ローラを製造する過程を示す斜視図である。
【図17C】図15の加熱支持ローラを製造する過程を示す斜視図である。
【図17D】図15の加熱支持ローラを製造する過程を示す斜視図である。
【図18】本発明の別の実施形態に係る画像定着装置を概略的に示す断面図である。
【図19】本発明の別の実施形態に係る画像定着装置を概略的に示す断面図である。
【図20】本発明の別の実施形態に係る画像定着装置を概略的に示す断面図である。
【図21】加熱支持ローラに設けられたキャップ型電気供給部材の一例を示す断面斜視図である。
【図22】図21の加熱支持ローラの部分Dの部分拡大斜視図である。
【図23】本発明の別の実施形態に係る画像定着装置を示す正面図である。
【図24】図23の画像定着装置の部分Cを拡大して示す部分拡大断面図である。
【図25A】用紙非接触領域の抵抗変動に応じた用紙非接触領域の温度変化を示すグラフである。
【図25B】用紙非接触領域の抵抗変動に応じた用紙非接触領域の温度変化を示すグラフである。
【図26】伝導性層が発熱ベルトの抵抗発熱体層と剥離層との間に形成された場合を示す部分断面図である。
【図27A】発熱ベルトの別の層構造を示す部分断面図である。
【図27B】発熱ベルトの別の層構造を示す部分断面図である。
【図28A】伝導性層が発熱ベルトの抵抗発熱体層と弾性体層との間に形成された場合を示す部分断面図である。
【図28B】伝導性層が発熱ベルトの抵抗発熱体層と弾性体層との間に形成された場合を示す部分断面図である。
【図29】本発明の一実施形態に係るニップ形成部材を備えた画像定着装置を示す部分断面図である。
【図30】本発明の一実施形態に係る画像定着装置を備えた画像形成装置を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る画像定着装置の実施形態について詳細に説明する。以下で説明される実施形態は、発明の理解を促すために例示的に示したものであり、本発明は、ここで説明される実施形態と異なるように多様に変形して実施できることを理解すべきである。ただ、以下で本発明を説明するうえで、関連の公知機能或いは構成要素に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明及び具体的な図示を省略する。なお、添付図面は、発明の理解を促すために、実際の寸法のとおりに示したわけではなく、一部の構成要素の寸法を拡大して示されてよい。
【0041】
図2は、本発明の一実施形態に係る画像定着装置を示す斜視図であり、図3は、図2の画像定着装置の正面図である。なお、図4は、図3の画像定着装置を4−4線に沿って切断して示す断面図であり、図5は、図3の画像定着装置の部分Aを拡大して示す部分拡大断面図である。
【0042】
図2ないし図5によると、本発明の一実施形態に係る画像定着装置1は、発熱ベルト10と、加熱支持ローラ20と、電気供給部材30及び加圧ローラ50とを含んでよい。
【0043】
発熱ベルト10は、画像定着装置1を通過する印刷媒体Pを加熱できる熱を発生させるものとして、全表面において均一に熱を発生させることができる抵抗発熱体層12を含む。抵抗発熱体層12は中空の円筒状に形成されてよい。抵抗発熱体層12の内側面には、電気が内部の加熱支持ローラ20に流れないように遮断する絶縁層11が形成され、抵抗発熱体層12の外側面には印刷媒体Pとの分離を容易にする剥離層13が形成される。したがって、発熱ベルト10は、絶縁層11と、抵抗発熱体層12と、剥離層13が順次積層された積層構造に形成される。
【0044】
本発明は、印刷中に印刷媒体Pが接触していない発熱ベルト10の領域、即ち、用紙非接触領域の温度が印刷媒体Pが接触する発熱ベルトの領域、即ち、用紙接触領域の温度より上昇することを防止するためのものとして、そのために、用紙非接触領域の電気抵抗が用紙接触領域の電気抵抗より小さくなるように形成している。
【0045】
図3ないし図5に示す実施形態は、発熱ベルト10の用紙非接触領域の電気抵抗を用紙接触領域の電気抵抗より小さくするために、用紙非接触領域である発熱ベルト10の両端部L2、L3の抵抗発熱体層12を用紙接触領域に該当する発熱ベルト10の中央部L1の抵抗発熱体層12より厚く形成している。それについては、以下で詳細に説明する。
【0046】
抵抗発熱体層12は、カーボンナノチューブ(carbon nano tube)を含んで形成してよい。一例として、抵抗発熱体層12は伝導性フィラーとして、金属がドーピングされたカーボンナノチューブを弾性体であるシリコンゴム(Rubber)またはポリアミドに分散して形成することができる。
【0047】
加熱支持ローラ20は、発熱ベルト10の内部に設けられ、発熱ベルト10が回転できるように支持する加熱支持部材である。加熱支持ローラ20は、発熱ベルト10とともに回転することができる。したがって、加熱支持ローラ20と発熱ベルト10との間ではスリップが生じない。加熱支持ローラ20は発熱ベルト10を支持し、円筒状に形成された弾性層22と弾性層22の中心に設けられる中心軸21を含んでよい。弾性層22は、ゴムやスポンジのような弾性をもつ弾性材料で形成してよい。中心軸21は、加熱支持ローラ20が回転できるように支持する剛性をもつ回転シャフトである。
【0048】
加圧ローラ50は、画像定着装置1を通過する印刷媒体Pに所定の圧力を加えるものとして、加熱支持ローラ20と平行して設けられ、発熱ベルト10の外側面と接触してニップNを形成する。加圧ローラ50は、回転軸51と回転軸51に同軸配置される弾性層52とを含んでよい。したがって、加圧ローラ50と発熱ベルト10との間のニップNを通過する印刷媒体Pは熱と圧力を受けるため、印刷媒体Pの未定着の現像剤画像が印刷媒体Pに定着されるようになる。
【0049】
加熱支持ローラ20と加圧ローラ50の少なくともいずれか一方には、回転駆動源(図示せず)が接続されている。したがって、加熱支持ローラ20と加圧ローラ50のうち回転駆動源に接続された一方のローラ20、50が回転駆動源によって回転すると、他方のローラ50、20も回転力を受けて回転する。
【0050】
電気供給部材30は、発熱ベルト10の抵抗発熱体層12に電気を供給する電極としての役目を果たすものとして、発熱ベルト10の両端部円周面に設けられる。したがって、電気供給部材30の上面は、発熱ベルト10の抵抗発熱体層12の両端部と一定領域が重なり、残りの部分は露出するようになる。なお、電気供給部材30の下面、即ち、加熱支持ローラ20と接触する面は、絶縁層11に覆われている。発熱ベルト10の抵抗発熱体層12と接触していない電気供給部材30の部分には、ブラシ41が接触するように設けられる。ブラシ41は、加熱支持ローラ20の中心軸21に垂直な方向に設けられ、一定の圧力で電気供給部材30との接触を維持するように、バネのような弾性部材42によって加圧される。ブラシ41は、炭素で製造されてよく、ブラシ41と弾性部材42とは、ブラシ組立体40を構成する。ブラシ組立体40は、画像形成装置の電源(図示せず)と接続されて電気供給部材30に電気を供給する給電手段になる。加熱支持ローラ20の両端のブラシ41に電気を印加すると、抵抗発熱体層12の両端の電圧差により電流が流れるようになり、抵抗発熱体層12が加熱される。このように加熱される発熱ベルト10は、温度センサ(図示せず)によって適正温度に制御することができる。
【0051】
本発明においては、印刷媒体Pと接触していない発熱ベルト10の両端部の領域、即ち、用紙非接触領域L2、L3の温度が急上昇して画像定着装置1の信頼性と安定性を害することを防止するために、発熱ベルト10の厚さ、特に、抵抗発熱体層12の厚さを加熱支持ローラ20の長手方向に変化するように形成している。即ち、印刷媒体Pと接触して熱を放出する発熱ベルト10の中央部、即ち、用紙接触領域L1の抵抗発熱体層12は、印刷媒体Pと接触していない発熱ベルト10の両端部、即ち、用紙非接触領域L2、L3の抵抗発熱体層12より薄くに形成している。
【0052】
発熱ベルト10の抵抗発熱体層12は、両端部の用紙非接触領域L2、L3の厚さt1が中央部の用紙接触領域L1の厚さt2より厚いと、電気抵抗が減少するため、発熱温度が低くなる。したがって、印刷の際に発熱ベルト10の両端部L2、L3に熱が蓄積されなくなる。
【0053】
ここで、抵抗発熱体層12の用紙接触領域L1の幅は、抵抗発熱体層12として定着できる最大サイズの印刷媒体Pの幅Wのことをいう。
【0054】
抵抗発熱体層12の厚さを加熱支持ローラ20の長手方向に変化させる際、製造工程上、抵抗発熱体層12の外径Dは全長に渡って同一になるように維持し、内径Hdを変化させることが望ましい。このとき、抵抗発熱体層12の用紙非接触領域L2、L3の厚さt1は、前記用紙接触領域L1の厚さt2の1倍ないし3倍に形成してよい。加熱支持ローラ20に形成される抵抗発熱体層12の内径Hdを変化させるために、発熱ベルト10の絶縁層11の厚さを変化させたり、加熱支持ローラ20の外径rを変化させることができる。
【0055】
図5に示すように、用紙非接触領域L2における抵抗発熱体層12の厚さをt1、用紙接触領域L1における抵抗発熱体層12の厚さをt2とする場合、抵抗発熱体層12の厚さ比aを、a=t1/t2に定義することができる。
【0056】
発熱ベルト10の電気供給部材30に電圧が印加される際、抵抗発熱体層12から生じるジュール熱(joule heat)を用紙接触領域L1と用紙非接触領域L2においてコンピュータ数値解釈を通じて比較した結果が、図6及び図7に示されている。
【0057】
図6を参照すると、抵抗発熱体層12の厚さ比aの値が大きくなるほど、用紙非接触領域L2、L3の温度が減少していることが分かる。なお、図7を参照すると、抵抗発熱体層12の厚さ比aが増加するほど、用紙非接触領域L2、L3と用紙接触領域L1との間の温度差が増加していることが分かる。
【0058】
画像定着装置1が初期に昇温してから一定の制御温度に維持される際、抵抗発熱体層12の厚さ比aの変化に応じて、印刷媒体Pの通過による影響を用紙接触領域L1と用紙非接触領域L2、L3とでそれぞれ比較する数値解釈を行った結果を、図8に示している。
【0059】
図8を参照すると、用紙接触領域L1の厚さt2と用紙非接触領域L2、L3の厚さt1とが同じである場合(a=1)、用紙非接触領域L2、L3の温度は制御温度より上昇し続けていることが分かる。用紙非接触領域L2、L3の厚さt1が用紙接触領域L1の厚さt2に比べて大きくなる場合、温度上昇が減少していることが分かる。抵抗発熱体層の厚さ比aが1.4以上である場合(a≧1.4)、用紙非接触領域L2、L3の温度を制御温度より低く維持可能であるを示している。
【0060】
図5を参照すると、用紙非接触領域L2、L3に対応する抵抗発熱体層12の部分の厚さt1が用紙接触領域L1に対応する抵抗発熱体層12の部分の厚さt2より厚くなっていることが分かる。
【0061】
このように、加熱支持ローラ20の長手方向に厚さ変化を有する抵抗発熱体層12は、次のように形成することができる。長手方向に全長に渡って外径rが同一の加熱支持ローラ20の外面に長手方向に異なる厚さを有する絶縁層11を形成する。即ち、抵抗発熱体層12と加熱支持ローラ20との間に位置する絶縁層11が、全長に渡って抵抗発熱体層12の厚さ変化に応じて相補的に変化する直径Hdを有するように形成するのである。言い換えると、用紙非接触領域L2、L3に対応する絶縁層11の部分の厚さd1を用紙接触領域L1に対応する絶縁層11の部分の厚さd2より小さく形成するのである。このとき、絶縁層11の厚さの差(d2−d1)は、抵抗発熱体層12の厚さの差(t1−t2)と同様に形成する。即ち、d2−d1=t1−t2になるように、絶縁層11を形成する。それから、絶縁層11上に抵抗発熱体層12を積層し、抵抗発熱体層12の外径Dを所望の大きさに加工すると、用紙接触領域L1の厚さt2が用紙非接触領域L2、L3の厚さt1より薄い発熱ベルト10を得ることができる。このとき、発熱ベルト10の抵抗発熱体層12の内径と絶縁層11の外径とは、加熱支持ローラ20の全長に渡って同じ大きさHdを有するように形成させる。
【0062】
別の方法として、加熱支持ローラ20の長手方向に厚さ変化を有する抵抗発熱体層12を次のように形成することができる。まず、長手方向に加熱支持ローラ20の外径rが抵抗発熱体層12の厚さ変化に対応する段差を有するように形成する。この場合には、図9に示すように、用紙非接触領域L2、L3に対応する加熱支持ローラ20の部分の半径r1が用紙接触用紙L1に対応する加熱支持ローラ20の部分の半径r2より小さくなるように形成するのである。このとき、加熱支持ローラ20の半径の差(r2−r1)は抵抗発熱体層12の厚さの差(t1−t2)と同様に形成する。即ち、r2−r1=t1−t2になるように加熱支持ローラ20を形成する。それから、加熱支持ローラ20の外面に絶縁層11を均一の厚さdに形成する。そして、絶縁層11上に抵抗発熱体層12を所定の高さに積層し、抵抗発熱体層12の外径Dを所望の大きさに加工すると、長手方向に厚さが変化する発熱ベルト10を得ることができる。即ち、用紙接触領域L1の抵抗発熱体層12の厚さt2が用紙非接触領域L2の抵抗発熱体層12の厚さt1より薄い発熱ベルト10を得ることができる。
【0063】
以下では、用紙非接触領域L2、L3の温度を用紙接触領域L1の温度より低くするために、上述の発熱ベルト10の抵抗発熱体層12の長手方向に厚さを変更する方法とは別に、電気供給部材30と抵抗発熱体層12が接触する領域のパターン形状を用いる方法について説明する。
【0064】
これは、発熱源である電気供給部材30と抵抗発熱体層12が接触する接触部の面積を減らすことにより、用紙非接触領域L2、L3の温度を用紙接触領域L1の温度より低くするのである。
【0065】
図10ないし図12A、図12B、図12Cは、発熱ベルト10の電気供給部材60と抵抗発熱体層12の接触部の面積を減らす方法が適用された発熱ベルト10の一例を示している。
【0066】
図10は、本発明の一実施形態に係る画像定着装置1において電気供給部材60によって用紙非接触領域L2の温度を下げることができる発熱ベルト10が設けられた加熱支持ローラ20の一例を示す部分斜視図であり、図11は、図10の発熱ベルト10と加熱支持ローラ20の部分切取斜視図である。更に、図12Aないし図12Cは、図10の発熱ベルト10を製造する過程を示す斜視図である。
【0067】
図10ないし図12Aないし図12Cを参照すると、電気供給部材60と抵抗発熱体層12とは、発熱ベルト10の円周方向に一定の形状に形成される複数の接触部を介して互いに電気的に接続されていることが分かる。即ち、複数の接触部は、発熱ベルト10の円周方向に帯状に一定間隔に離隔して形成されてよい。
【0068】
電気供給部材60は、加熱支持ローラ20の一端に設けられる胴体部61及び胴体部61で一定間隔に突設される複数の突出部63を含む。複数の突出部63は、用紙非接触領域L2の幅に対応する長さを有し、一定の幅になるように形成される。複数の突出部63は、図13に示すように、胴体部61で垂直に突出するように形成されてよい。この場合、電気供給部材60を加熱支持ローラ20に設けると、複数の突出部63は加熱支持ローラ20の中心軸21に対して平行になる。しかし、この場合、複数の突出部63の間の空間64に対応する発熱ベルト10の部分は温度が低くなりすぎてしまうおそれがある。
【0069】
それを防止するために、複数の突出部63が加熱支持ローラ20の中心軸21に対して傾斜するように形成してよい。図14には、複数の突出部63’が胴体部61に対して一定角度(θ)に傾斜している電気供給部材60’が開示されている。図14に示された電気供給部材60’を加熱支持ローラ20に設けると、加熱支持ローラ20の長手方向に電気供給部材60’のない部分がないため、用紙非接触領域L2の温度が低くなりすぎてしまうことを防止することができる。
【0070】
上記のような電気供給部材60、60’を有する発熱ベルト10は、次のように形成することができる。まず、図12Aのように、加熱支持ローラ20の上面に発熱ベルト10を形成する絶縁層11を形成し、絶縁層11上に複数の突出部63を含む電気供給部材60を設ける。その上に、図12Bのように、抵抗発熱体層12を形成する。すると、抵抗発熱体層12の一部は、電気供給部材60の複数の突出部63と胴体部61の一部と接触し、他の一部は絶縁層11上に位置するようになる。したがって、電気供給部材60の複数の突出部63が電気供給部材60と抵抗発熱体層12を接触させて接続する接触部を形成する。その後、図12Cのように、抵抗発熱体層12上に剥離層13を形成する。すると、電気供給部材60と抵抗発熱体層12の接触部の形状に用紙非接触領域L2の温度を下げることができる発熱ベルト10を形成してよい。
【0071】
図15ないし図17A、図17B、図17C、図17Dは、電気供給部材70と抵抗発熱体層12の接触部の面積を減らす発熱ベルト10の別の例を示す。
【0072】
図15は、本発明の一実施形態に係る画像定着装置1において電気供給部材70によって用紙非接触領域の温度を下げることができる発熱ベルト10の別の例を示す部分斜視図であり、図16は、図15の発熱ベルト10と加熱支持ローラ20の部分切取斜視図である。更に、図17Aないし図17Dは、図15の発熱ベルト20を製造する過程を示す斜視図である。
【0073】
図15ないし図17Aないし図17Dを参照すると、電気供給部材70と抵抗発熱体層12は、発熱ベルト10の円周方向に一定の形状に形成される複数の接触部を介して互いに電気的に接続されていることが分かる。即ち、複数の接触部は、発熱ベルト10の円周方向に帯状に一定間隔に離隔して形成されてよい。
【0074】
電気供給部材70は、加熱支持ローラ20の一端に設けられる胴体部71と発熱ベルト10の用紙非接触領域と対応するように胴体部71から延設される延長部73を含む。延長部73の上面には接触部を形成する電極絶縁層75が形成される。
【0075】
即ち、電気供給部材70の延長部73と抵抗発熱体層12との間には、電極絶縁層75が設けられ、電極絶縁層75には加熱支持ローラ20の円周方向に一定の形状を有する複数の貫通孔76が形成される。したがって、抵抗発熱体層12と電気供給部材70は、電極絶縁層75の複数の貫通孔76を充填する抵抗発熱体層12を形成する物質を通じて電気的に接続される。このとき、電極絶縁層75の複数の貫通孔76は、用紙非接触領域L2の幅に対応する長さを有し、一定の幅を有するスロット形状に形成することができる。すると、電気供給部材70と抵抗発熱体層12とが接触する接触部は帯状を形成するようになる。
【0076】
このような接触部を含む発熱ベルト10は、次のように形成することができる。まず、加熱支持ローラ20の上面に発熱ベルト10を形成する絶縁層11を形成し、その絶縁層11上に図17Aのように、延長部73を含む電気供給部材70を設ける。次いで、図17Bに示すように、電気供給部材70の延長部73の上面に複数の貫通孔76を含む電極絶縁層75を形成する。その後、図17Cのように、絶縁層11と電極絶縁層75の上面に抵抗発熱体層12を形成する。すると、電極絶縁層75の複数の貫通孔76に抵抗発熱体層12を形成する材料が充填されるため、抵抗発熱体層12と電気供給部材70が複数の貫通孔76の断面に対応する形状の複数の接触部を形成するようになる。最後に、図17Dのように、抵抗発熱体層12の上面に剥離層13を形成する。すると、電気供給部材70と抵抗発熱体層12との間の接触部の面積を減らして用紙非接触領域L2の温度を下げることができる発熱ベルト10を形成することができる。
【0077】
以上では、画像定着装置1の用紙非接触領域L2の温度を下げるための方法として、用紙非接触領域L2の電気抵抗が用紙接触領域L1の電気抵抗より小さくするために、発熱ベルト10の抵抗発熱体層12の厚さを変化させる方法と、電気供給部材60、70と抵抗発熱体層12との間の接触部の形状を変更する方法とを別途に適用した画像定着装置1の例について説明してきた。しかし、図示していないが、用紙非接触領域L2の温度を下げるためには、上述の2つの方法を同時に適用して画像定着装置を作ることが可能である。
【0078】
上記のような構造を有する本発明の一実施形態に係る画像定着装置1は、低熱容量を有する抵抗発熱ベルト10を使用するため、昇温時間が短く、エネルギー削減の効果が大きく、優れた発熱均一度を得ることができる。なお、本発明に係る画像定着装置1は、スリップが生じないように、発熱ベルト10と加熱支持ローラ20とが同時に回転する構造で形成している。したがって、グリースのような潤滑油を使用する必要がないため、汚染問題を解決することができ、摩擦力による発熱ベルト10の損傷を防止することができる。特に、本発明に係る画像定着装置1は、発熱ベルト10の用紙非接触領域L2、L3で熱が蓄積されないように構成されているため、連続印刷の際に画像定着装置1の過熱を防止することができる。
【0079】
一方、以上では、発熱ベルト10が弾性層22を含む加熱支持ローラ20によって回転支持される場合について説明してきた。しかし、別の例として、本発明は、弾性層22のない加熱支持ローラ20’、20”に発熱ベルト10を形成する画像定着装置2、3の場合にも適用可能である。
【0080】
図18及び図19は、弾性層22のない加熱支持ローラ20’、20”に発熱ベルト10を形成した加熱ローラ20a、20bを示す断面図である。
【0081】
図18は、加熱支持ローラ20’が中空のシリンダ状に形成されている。前記中空シリンダ20’の両端には、中空シリンダ20’が回転できるように一対の支持軸が形成される。中空20’−1のシリンダと一対の支持軸とは、伝導性をもつ剛性材料、例えば、金属で形成される。したがって、中空シリンダ20’の表面には、絶縁層11が形成され、絶縁層11の上面に抵抗発熱体層12と剥離層13とが順次積層されて加熱ローラ20aを形成する。このとき、加熱支持ローラ20’が剛性部材でニップ形成が困難であるため、加圧ローラ50’が弾性層52を有するように形成する必要がある。即ち、加圧ローラ50’が剛性をもつ中心軸51上に弾性層52と剥離層53とを積層して形成された構造を有する。それによっても、ニップ形成が不足している場合には、サブ加圧ローラ55を更に設けることができる。
【0082】
このように、加熱支持ローラ20’を剛性材料で形成した場合にも、上述のように、抵抗発熱体層12の長手方向厚さを調節したり、電気供給部材60、70との接触部の面積を減らして用紙非接触領域の温度が上昇することを防止することができる。抵抗発熱体層12の厚さを調節したり、電気供給部材60、70との接触部の面積を減らす方法については上述しているため、それに対する詳細な説明は省略する。
【0083】
図19は、図18と同様に、加熱支持ローラ20”が中空20”−1のシリンダ状に形成されている。中空20”−1のシリンダは、非伝導性剛性材料で形成される。即ち、図19に示す加熱支持ローラ20”は、図2ないし図4の加熱支持ローラ20の中心軸21に形成された弾性層22がなく、中心軸20”が非伝導性中空のシリンダで形成される。なお、図示していないが、中心軸20”は中空20”−1のない非伝導性中実軸にすることも可能である。したがって、中空シリンダ20”の表面に絶縁層を形成せず、中空シリンダ20”の表面の真上に抵抗発熱体層12を形成し、その上に剥離層13を形成して加熱ローラ20bを形成する。このとき、加熱支持ローラ20”が剛性部材でニップ形成が困難であるため、加圧ローラ50’が弾性層52を有するように形成する必要がある。即ち、加圧ローラ50’は剛性をもつ中心軸51上に弾性層52と剥離層53とを積層して形成された構造を有する。このような加圧ローラ50’によっても、ニップ形成が不足するおそれがあるため、サブ加圧ローラ55を更に設けてニップ面積を増大させることができる。
【0084】
このように、加熱支持ローラ20”を剛性材料で形成した場合にも、上述のように、抵抗発熱体層12の長手方向厚さを調節したり、電気供給部材60、70との接触部の面積を減らして用紙非接触領域の温度が上昇することを防止することができる。抵抗発熱体層12の厚さを調節したり、電気供給部材60、70との接触部の面積を減らす方法については上述しているため、それに対する詳細な説明は省略する。
【0085】
図20は、図18の画像定着装置2において加圧ローラ50’の代わりに加圧ベルト組立体300を使用する画像定着装置4を概略的に示す断面図である。
【0086】
この場合には、一対の支持ローラ302、303によって無限軌道運動をするように支持される加圧ベルト301が剛性をもつ加熱ローラ20aと十分なニップを形成することができる。本実施形態の場合にも、上述のように、発熱ベルト10の抵抗発熱体層12の長手方向厚さを調節したり、電気供給部材60、70との接触部の面積を減らして用紙非接触領域の温度が上昇することを防止することができる。抵抗発熱体層12の厚さを調節したり、電気供給部材60、70との接触部の面積を減らす方法については上述しているため、それに対する詳細な説明は省略する。
【0087】
上記では、加熱支持ローラ20’の外周面の両端部に設けられた電気供給部材に接触するように、加熱支持ローラ20の軸方向に対して垂直に設けられたブラシ41によって電気を供給する場合について説明してきたが、別の例として、加熱支持ローラ20の軸方向に設けられたブラシを用いて電気を供給することもできる。
【0088】
上述の図2及び図3においては、電気供給部材30が加熱支持ローラ20の外周面に設けられ、ブラシ41が加熱支持ローラ20の中心軸21に対して垂直な方向に設けられて電気を供給する構造を開示している。しかし、別の例として、ブラシが加熱支持ローラ20の軸方向に設けられて電気を供給するように構成することもできる。このような構造については、図21と図22を参照して説明する。
【0089】
図21は、加熱支持ローラ20に設けられたキャップ型の電気供給部材90の一例を示す断面斜視図であり、図22は、図21の部分Dの拡大部分斜視図である。図21を参照すると、電気供給部材90は加熱支持ローラ20の一端を包むキャップ状に形成されている。即ち、電気供給部材90は、円筒型の加熱支持ローラ20の一端に挿入できる円筒型の容器に形成されている。したがって、加熱支持ローラ20の一端に電気供給部材90が挿入された状態で設けられる。このとき、加熱支持ローラ20は、中空シリンダ部20’と中空シリンダ部20’の両端には突出している一対の支持軸21’を含むように形成されてよい。
【0090】
このようなキャップ状の電気供給部材90は、加熱支持ローラ20の軸方向に接触するように設けられたブラシ99によって電気が供給されてよい。即ち、加熱支持ローラ20の軸方向にバネによって弾性支持されるブラシ99は、キャップ状の電気供給部材90の床面90aと接触するように設けられている。したがって、加熱支持ローラ20が回転しても、電気供給部材90はブラシ99によって電気が供給されてよい。このとき、ブラシ99は炭素で形成することができる。
【0091】
なお、上述のキャップ状の電気供給部材90は、内側支持キャップ91と外側固定キャップ95とによって加熱支持ローラ20に固定される。内側支持キャップ91は、加熱支持ローラ20の支持軸21’に固定されてキャップ状の電気供給部材90の内側面を支持する。したがって、内側支持キャップ91は、加熱支持ローラ20の支持軸21’に対応する固定溝92を含み、内側支持キャップ91の外径はキャップ状の電気供給部材90の内側に挿入されて支持できるように形成される。
【0092】
外側固定キャップ95は、キャップ状の電気供給部材90の外側面を支持し、キャップ状の電気供給部材90を加熱支持ローラ20の抵抗発熱体層12に対して固定する。したがって、外側固定キャップ95は中空の円筒状に形成され、内径はキャップ状の電気供給部材90が挿入できる寸法に形成され、一端にはキャップ状の電気供給部材90を固定する段差部96が設けられる。
【0093】
上記のキャップ状の電気供給部材90は、次のように、加熱支持ローラ20に設けられる。まず、加熱支持ローラ20の支持軸21’の一端に内側支持キャップ91の固定溝92を挿入する。すると、内側支持キャップ91が加熱支持ローラ20に固定される。その後、キャップ状の電気供給部材90を内側支持キャップ91に挿入する。続いて、キャップ状の電気供給部材90に外側固定キャップ95を挿入すると、キャップ状の電気供給部材90が加熱支持ローラ20の一端に固定されるようになる。このとき、図22に示すように、キャップ状の電気供給部材90の上段部90bが加熱支持ローラ20に形成された抵抗発熱体層12と接触している状態で、外側固定キャップ95によって固定される。したがって、キャップ状の電気供給部材90の床面90aに接触しているブラシ99から供給された電気が、キャップ状の電気供給部材90を介して抵抗発熱体層12に供給されるようになる。
【0094】
図示していないが、図21に示す加熱支持ローラ20の反対側の端部にも、上述と同様に、キャップ状の電気供給部材90が内側支持キャップ91と外側固定キャップ95によって固定されている。したがって、加熱支持ローラ20の両端に設けられた外側固定キャップ95を回転支持すると、加熱支持ローラ20が回転することができる。
【0095】
以下では、発熱ベルト10’の用紙非接触領域L2、L3の電気抵抗を用紙接触領域L1の電気抵抗より低くするために、用紙非接触領域L2、L3の電気伝導度を用紙接触領域L1の電気伝導度より高くする場合について説明する。
【0096】
図23は、本発明の別の実施形態に係る画像定着装置5を示す正面図であり、図24は、図23の部分Cを拡大して示す拡大部分断面図である。
【0097】
図23及び図24によると、本発明の一実施形態に係る画像定着装置5は、発熱ベルト10’、加熱支持ローラ20と、電気供給部材30及び加圧ローラ50を含んでよい。
【0098】
発熱ベルト10’は、画像定着装置5を通過する印刷媒体Pを加熱できる熱を発生させるものとして、全表面において均一に熱を発生させることができる抵抗発熱体層12を含む。抵抗発熱体層12は中空の円筒状に形成されてよい。抵抗発熱体層12の外側面には、印刷媒体Pとの分離を容易にする剥離層13が形成される。発熱ベルト10’が挿入される加熱支持ローラ20の表面が絶縁されていない場合には、抵抗発熱体層12の内側面には、電気が内部の加熱支持ローラ20に流れないように遮断する絶縁層11が形成される。したがって、発熱ベルト10’は、絶縁層11と、抵抗発熱体層12と、剥離層13が順次積層された積層構造に形成される。仮に、加熱支持ローラ20の表面が絶縁された場合には、発熱ベルト10’は抵抗発熱体層12と、剥離層13とが順次積層された二層構造に形成されてよい。
【0099】
本発明は、印刷中に印刷媒体Pが接触していない発熱ベルト10’の領域、即ち、用紙非接触領域L2、L3の温度が印刷媒体Pが接触する発熱ベルト10’の領域、即ち、用紙接触領域L1の温度より上昇することを防止するためのものとして、そのために、用紙非接触領域L2、L3の電気抵抗が用紙接触領域L1の電気抵抗より小さくなるように発熱ベルト10’を形成している。
【0100】
図23及び図24に示す実施形態は、発熱ベルト10’の用紙非接触領域の電気抵抗を用紙接触領域の電気抵抗より小さくするために、用紙非接触領域である発熱ベルト10の両端部L2、L3の電気伝導度が用紙接触領域に該当する発熱ベルト10の中央部L1の電気伝導度より高くように形成している。
【0101】
そのために、本実施形態においては、発熱ベルト10’の用紙非接触領域L2に対応する部分に抵抗発熱体層12と電気的に接続されるように伝導性層80を設けている。伝導性層80は、抵抗発熱体層12より電気伝導度の高い金属や伝導性樹脂で形成されてよい。伝導性層80は、電気供給部材30と隣接したり、直接接触するように設けられてよい。なお、抵抗発熱体層12を介して電気が流れるため、伝導性層80は、抵抗発熱体層12を隔てて電気供給部材30と離れて設けられてよい。
【0102】
絶縁層11上に伝導性層80を形成し、その上に抵抗発熱体層12を形成した後、抵抗発熱体層12の外径Dを一定に加工すると、用紙非接触領域L2で発熱ベルト10’は、図24のような構造をもつ。
【0103】
用紙非接触領域L2における電気抵抗Rは、次のように表現される。
【0104】
【数1】

Rc=(b-1)Rn (1)
ここで、Rcは抵抗発熱体層12の電気抵抗、Rnは伝導性層80の電気抵抗、bは用紙非接触領域L2が伝導性層80だけで構成された際の抵抗発熱体層12に対する抵抗減少比(または、電気伝導度比)を示す。
【0105】
上記の式(1)を電気伝導度の形態に変えると、次のように表現される。
【0106】
【数2】

ここで、ρは伝導性層80の非抵抗、ρは抵抗発熱体層12の非抵抗、σは伝導性層80の電気伝導度、σは抵抗発熱体層12の電気伝導度、λは伝導性層80と抵抗発熱体層12の電気伝導度の比(λ=σ/σ)を示す。
【0107】
したがって、式(2)と図24から抵抗減少比bに対する伝導性層80の材質と厚さを決定することができる。伝導性層80は、1nm〜999μmの厚さを有する金属膜で形成することができる。なお、伝導性層80の電気伝導度は、抵抗発熱体層12の電気伝導度より1〜500倍大きく形成することができる。
【0108】
例えば、抵抗発熱体層12の電気伝導度(σ)hs330.7S/mであり、伝導性層80がNi(σ=1.56E7 S/m)である際、抵抗減少比bに対する伝導性80の厚さ(t)は、以下の表1のとおりである。
【0109】
【表1】

別の適用例として、伝導性樹脂を使用して伝導性層80を形成する場合、全厚さ対比伝導性層80の厚さ比が、0.163である際、要求される伝導性樹脂と抵抗発熱体12の電気伝導度比は、以下の表2のとおりである。
【0110】
【表2】

図25Aないし図25Bは、用紙非接触用紙L2の抵抗変動による用紙非接触領域L2の温度変化を示すグラフである。図25Aは、時間変化と抵抗減少比bの変化による用紙非接触領域L2の温度変化を示し、図25Bは、600秒が経過した後、抵抗減少比bによる到達温度を示すグラフである。図25Aと図25Bは、画像定着装置5が初期に昇温し、用紙接触部L1の発熱ベルト10’で制御温度が180℃に維持される際、用紙非接触領域L2の抵抗減少による温度変化を解釈した結果を示している。
【0111】
図25Aと図25Bを参照すると、用紙非接触領域L2の抵抗が抵抗発熱体層12の抵抗対比1/3倍より小さい場合、用紙非接触領域L2の温度は制御温度より低くなることが分かる。即ち、その結果は、伝導性層80の厚さが抵抗発熱体層12と同じ厚さである場合には、用紙非接触領域L2の温度を制御温度より低くするためには、伝導性層80の電気伝導度が抵抗発熱体層12の電気伝導度より3倍以上大きくすべきであることを意味する。したがって、本発明によると、伝導性層80の厚さと電気伝導度を適切に調節すると、用紙非接触領域L2の温度を制御温度より低くすることができる。
【0112】
以上では、伝導性層80が絶縁層11と抵抗発熱体層12との間に設けられた場合について説明してきたが、伝導性層80の位置はそれに限られるものではない。用紙非接触領域L2の電気抵抗を低くすることができる限り、伝導性層80は多様な位置に形成することができる。
【0113】
図26は、伝導性層80が抵抗発熱体層12と剥離層13との間に形成されている場合を示す。
【0114】
なお、発熱ベルト10”、10’”が、図27Aないし図27Bのように弾性層14を含む場合には、伝導性層80は図28Aないし図27Bのように抵抗発熱体層12の下側、即ち、抵抗発熱体層12と弾性層14との間に形成されてよい。示していないが、発熱ベルト10”、10’”が、図27Aないし図27Bのように弾性層14を含む場合にも、伝導性層80は抵抗発熱体層12の上側に電気供給部材30に隣接したり、直接接触するように設けられてよい。
【0115】
このように、用紙非接触領域L2に伝導性層80を形成すると、伝導性層80の電気伝導度に応じて電束電流(electric flux current)が密集して用紙非接触領域L2の電気抵抗が減少して、結局温度減少効果が生じる。なお、用紙非接触領域L2に伝導性層80を形成すると、用紙非接触領域L2の厚さを変化させる必要がないため、発熱ベルト10’、10”の製造が便利になるという利点がある。
【0116】
本実施形態に係る画像定着装置5の加熱支持ローラ20と、電気供給部材30及び加圧ローラ50は、上述の実施形態に係る画像定着装置1の加熱支持ローラ20と、電気供給部材30及び加圧ローラ50と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0117】
図29は、上述の実施形態とは違って、発熱ベルト10’を加熱支持ローラ20の代わりに加圧支持部材400とニップ形成部材401で構成された加熱支持部材を使用して支持する画像定着装置6の実施形態を示す。加圧支持部材400は、発熱ベルト10’の内部に固定され、ニップ形成部材401を加圧ローラ50側に加圧して支持する。ニップ形成部材401は、発熱ベルト10’を支持して発熱ベルト10’が加圧ローラ50と所定の幅のニップを形成するようにする。本実施形態の場合には、加圧ローラ50が回転すると、加圧支持部材400とニップ形成部材401は回転せずに、発熱ベルト10’だけが加圧ローラ50によって回転する。
【0118】
本実施形態の場合にも、発熱ベルト10’は、用紙非接触領域l2の電気抵抗を下げるために、伝導性層80を含む。
【0119】
図18ないし図20のように、加熱支持ローラ20が弾性層14のない中空のシリンダ状の場合にも、用紙非接触領域L2に伝導性層80を有する発熱ベルト10’を使用することができる。
【0120】
図18の場合には、中空20’−1のシリンダは、伝導性をもつ剛性材料で形成される。したがって、中空シリンダ20’の表面には絶縁層11が形成され、絶縁層11の上面に抵抗発熱体層12と剥離層13とが順次積層されて加熱ローラ20aを形成する。このとき、加熱支持ローラ20’が剛性部材でニップ形成が困難であるため、加圧ローラ50’が弾性層52を有するように形成したり、サブ加圧ローラ55を更に設けてニップ面積を大きくすることができる。
【0121】
図19は、中空20”−1のシリンダが非伝導性剛性材料で形成された場合を示す。したがって、中空シリンダ20”の表面に絶縁層を形成せず、中空シリンダ20”の表面の真上に抵抗発熱体層12を形成し、その上に剥離層13を形成して加熱ローラ20bを形成する。このとき、加熱支持ローラ20”が剛性部材でニップ形成が困難であるため、加圧ローラ50’が弾性層52を有するように形成したり、サブ加圧ローラ55を更に設けてニップ面積を増大させることができる。
【0122】
図20は、十分なニップを形成するために、図18の画像定着装置2で加圧ローラ50’の代わりに加圧ベルト組立体300を使用した画像定着装置4を概略的に示す断面図である。この場合には、一対の支持ローラ302、303により、無限軌道運動をするように支持される加圧ベルト301が剛性をもつ加熱ローラ20aと十分なニップを形成することができる。
【0123】
このように、加熱支持ローラ20’を剛性材料で形成した場合にも、上述のように、用紙非接触領域L2の抵抗発熱体層12に伝導性層80を形成して電気抵抗を下げることにより、用紙非接触領域L2の温度が上昇することを防止することができる。
【0124】
以下、上記のような本発明の一実施形態に係る画像定着装置を備えた画像形成装置について説明する。図30は、本発明の一実施形態に係る画像定着装置を備えた画像形成装置を概略的に示す断面図である。
【0125】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置100は、転写写真方式により印刷を行うものとして、レーザプリンタやコピー機、ファクシミリ、複合機等を含んでよい。
【0126】
図30によると、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100は、筐体101と、給紙装置110と、現像装置130と、画像定着装置1及び排紙装置150を含んでよい。筐体101は、画像形成装置100の外観を形成し、給紙装置110と、現像装置130と、画像定着装置1及び排紙装置150を支持する。
【0127】
給紙装置110は、数枚の印刷媒体Pを積載し、印刷媒体Pをピックアップして現像装置130に供給する。給紙装置110から供給された印刷媒体Pは、複数の移送ローラ111によって現像装置130に移送される。
【0128】
現像装置130は、給紙装置110から供給された印刷媒体Pに所定の画像を形成するものとして、露光装置120によって所定の静電潜像が形成される感光媒体131と、感光媒体131に現像剤を供給して静電潜像を現像剤画像に現像する現像ローラ132及び感光媒体131に形成された現像剤画像を印刷媒体Pに転写する転写ローラ140を含む。印刷媒体Pが感光媒体131と転写ローラ140との間の転写ニップを通過すると、現像剤画像が印刷媒体Pに転写される。
【0129】
画像定着装置1は、印刷媒体Pに転写された現像剤画像を印刷媒体Pに定着させるものとして、上述のように、発熱ベルト10と、加熱支持ローラ20及び加圧ローラ50を含む。印刷媒体Pが画像定着装置1の発熱ベルト10と加圧ローラ50との間のニップNに引き込まれると、所定の熱と圧力により現像剤画像が印刷媒体Pに定着される。このとき、本発明に係る画像定着装置1は、用紙非接触領域L2の温度が低いため、連続印刷を行ったとしても画像定着装置1が加熱することはない。
【0130】
定着済みの印刷媒体Pは、移送ローラ111と排紙装置150を介して画像形成装置100の外部に排出される。
【0131】
以上で説明したように、本発明の一実施形態に係る画像定着装置は印刷中に用紙非接触領域の温度が大きく上昇しないように構成されているため、連続印刷を行ったとしても、画像形成装置が熱により損傷する問題は生じなくなる。
【0132】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的趣旨の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗発熱体層と、前記抵抗発熱体層の内側面に形成される絶縁層と、前記抵抗発熱体層の外側面に形成される剥離層(release layer)を備えた発熱ベルトと、
前記発熱ベルトの内部に設けられ、前記発熱ベルトとともに回転する加熱支持ローラと、
前記加熱支持ローラと平行して設けられ、前記発熱ベルトの外側面と接触してニップを形成する加圧ローラと、
前記発熱ベルトの抵抗発熱体層に電気を供給する電気供給部材と
を含み、
前記発熱ベルトの抵抗発熱体層は、両端部の用紙非接触領域の厚さが中央部の用紙接触領域の厚さと同じか厚いことを特徴とする画像定着装置。
【請求項2】
前記抵抗発熱体層の用紙接触領域の幅は、前記抵抗発熱体層として定着できる最大サイズの印刷媒体の幅と同じであることを特徴とする請求項1に記載の画像定着装置。
【請求項3】
前記抵抗発熱体層の用紙非接触領域の厚さは、前記用紙接触領域の厚さの1倍ないし3倍であることを特徴とする請求項1に記載の画像定着装置。
【請求項4】
前記抵抗発熱体層の外径は、全長に渡って同じであり、
前記加熱支持ローラの外径は、全長に渡って同じであり、
前記抵抗発熱体層と前記加熱支持ローラとの間に位置する前記絶縁層は、全長に渡って前記抵抗発熱体層の厚さ変化に応じて相補的に変化する外径を有することを特徴とする請求項1に記載の画像定着装置。
【請求項5】
前記抵抗発熱体層の外径は、全長に渡って同じであり、
前記加熱支持ローラの外径は、前記抵抗発熱体層の厚さに対応する段差を有し、
前記絶縁層は、全長に渡って同じ厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の画像定着装置。
【請求項6】
前記抵抗発熱体層は、カーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像定着装置。
【請求項7】
前記抵抗発熱体層は、伝導性フィラー(Filler)として、金属がドーピングされたカーボンナノチューブが弾性体であるシリコンラバーまたはポリアミドに分散して形成されることを特徴とする請求項6に記載の画像定着装置。
【請求項8】
前記電気供給部材は、前記加熱支持ローラの両端に設けられて前記抵抗発熱体層に電気を供給することを特徴とする請求項1に記載の画像定着装置。
【請求項9】
前記電気供給部材は、前記発熱ベルトの両端部を沿って設けられ、前記電気供給部材は、前記加熱支持ローラの軸方向に垂直な方向に接触するように設けられたブラシによって電気が供給されることを特徴とする請求項8に記載の画像定着装置。
【請求項10】
前記電気供給部材は、前記加熱支持ローラの一端を包むキャップ状に形成され、前記キャップ状の電気供給部材は、前記加熱支持ローラの軸方向に前記キャップ状の電気供給部材と接触するように設けられたブラシによって電気が供給されることを特徴とする請求項8に記載の画像定着装置。
【請求項11】
前記キャップ状の電気供給部材の内側面を支持する内側支持キャップと、
前記キャップ状の電気供給部材の外側面を支持し、前記キャップ状の電気供給部材を前記加熱支持ローラの抵抗発熱体層に対して固定する外側固定キャップと
を含むことを特徴とする請求項10に記載の画像定着装置。
【請求項12】
前記加熱支持ローラは、
前記発熱ベルトを支持し、円筒状に形成された弾性層と、
前記弾性層の中心に設けられる中心軸と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像定着装置。
【請求項13】
前記加圧ローラは、
加圧回転軸に弾性層と剥離層とが順次積層されて形成されることを特徴とする請求項12に記載の画像定着装置。
【請求項14】
前記加熱支持ローラは、
前記発熱ベルトに対応する幅を有する中空シリンダ部と、
前記中空シリンダ部の両端に設けられた一対の支持軸と
を含み、
前記中空シリンダ部と一対の支持軸とは金属で形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像定着装置。
【請求項15】
前記加圧ローラにおいて一定間隔で離隔され、前記発熱ベルトを前記加熱支持ローラに対して加圧するように設けられるサブ加圧ローラを更に含むことを特徴とする請求項14に記載の画像定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28A】
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【図28B】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−57943(P2013−57943A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−197315(P2012−197315)
【出願日】平成24年9月7日(2012.9.7)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】