ガイドワイヤー支援カテーテル位置付けシステム
【解決手段】カテーテルの遠位端を、患者の脈管内の所望の位置に正確に位置付けできるカテーテルアセンブリが開示されている。一実施形態では、カテーテルアセンブリは、手元端、遠位端、及びそれらの間に延びる管腔を規定する棒状本体を有するカテーテルを備えている。ガイドワイヤーも設けられており、カテーテルの管腔内に受け入れられ、患者の脈管を通してカテーテルを案内するように構成されている。ガイドワイヤーは、その長さ方向の少なくとも一部に沿って複数の深さマークを備えている。深さマークは、ガイドワイヤーの遠位端と、ガイドワイヤーが患者の脈管内に入り込む際に通る挿入部位との間の距離を示すものである。ガイドワイヤーは、脈管を通してガイドワイヤーが進むことを支援するように構成された変形チップ端と、その変形チップ端の向きを示す手元端方向付け機構とを更に備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年4月16日に出願された名称“カテーテル位置付けシステム”という米国仮特許出願第60/923,636号の利益を主張するものであり、ここに全内容を援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、当該技術分野における上述の、及び他の要求に応じて成立したものである。短く簡略化すると、本発明の実施形態は、患者に対して脈管系を介してアクセスできるカテーテルアセンブリを意図したものである。そのカテーテルアセンブリは、カテーテルの遠位端が患者の脈管内の所望の位置に正確に位置付けされるような構成となっている。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態においては、カテーテルアセンブリは、手元端、遠位端、及びそれらの間に延びる管腔を規定する棒状本体を有するカテーテルを備えている。ガイドワイヤーもまた含まれ、カテーテルの管腔内に受け入れられ、患者の脈管を通してカテーテルを案内するように構成されている。
【0004】
一実施形態のガイドワイヤーは、その長さ方向の少なくとも一部に複数の深さマークを有している。深さマークは、ガイドワイヤーの遠位端と、ガイドワイヤーが患者の脈管内に進むときの挿入部位との間の距離を示している。従って、ガイドワイヤーの遠位端が、患者の脈管内の所望の位置に導かれると、挿入部位の位置の深さマークを読むことにより、遠位端と挿入部位との間の正確な距離が容易に確認できる。カテーテルの位置はこの“深さ”距離を利用でき、患者に挿入される前に、適切な長さにそのカテーテルは切り落とされる。その後、カテーテルは、ガイドワイヤーを覆って摺動され、その遠位端が所望の位置に到達するまで、患者の脈管内に進められる。その後、ガイドワイヤーは取り除かれ、カテーテルは固定される。
【0005】
一実施形態のガイドワイヤーは、更に、ガイドワイヤーが脈管を通して進むのを支援するように構成された、遠位端の変形チップ端を備えている。伸展性チップ端及びJ型チップ端が、採用できる変形チップ端の例である。ガイドワイヤーの手元端には、変形チップ端の向きを示すことができる方向付け機構も配設されている。このように、カテーテルを位置付けする者は、ガイドワイヤーの手元端の外部方向付け機構を観察することにより、患者内のガイドワイヤーのチップ端の方向を容易に判定できる。
【0006】
本発明のこれらの、また他の特徴は、以下の記述及び添付の請求の範囲から、より完全に明らかになるであろうし、また以下に明らかにされた発明の実施化により理解が可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の上記の、また他の利点及び特徴を更に明確にするために、発明の更なる特定記述が、添付図面に示された特定の実施形態を参照しつつなされる。なお、これらの図面は、発明の典型的な実施形態を表わしているのみであり、従ってその範囲を限定するものと考えられてはならない。本発明は、添付図面を使用することにより、更に具体的に、また詳細に記述され、また説明されるであろう。
【図1】図1は、本発明の一実施形態により構成されたカテーテルアセンブリの斜視図である。
【図2】図2は、図1のカテーテルアセンブリに含まれるガイドワイヤーの斜視図である。
【図3】図3は、一実施形態による各種特徴を示す、図2のガイドワイヤーの側面図である。
【図4】図4は、他の実施形態による各種特徴を示す、図2のガイドワイヤーの側面図である。
【図5】図5は、図1のカテーテルアセンブリに含まれるカテーテルの側面図である。
【図6】図6A及び6Bは、1つの可能な技術による、図2のガイドワイヤーの患者への挿入に関する各種詳細を描く図である。
【図7】図7A及び7Bは、他の可能な技術による、図2のガイドワイヤーの患者への挿入に関する各種詳細を描く図である。
【図8】図8A及び8Bは、一実施形態による方向付け機構を有するガイドワイヤーの、それぞれ側面図及び断面図である。
【図9】図9A及び9Bは、一実施形態によるガイドワイヤー方向付け機構の追加例の、それぞれ側面図及び断面図である。 図10A及び10Bは、一実施形態によるガイドワイヤー方向付け機構の追加例の、それぞれ側面図及び断面図である。
【図11】図11は、更に他の実施形態によるJ型チップ端を形成する、ガイドワイヤーの遠位端の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
同様の構成には同様の参照符号が付された図面が以後参照される。図面は、発明の例的実施形態の図式表現であり、発明を限定するものではないし、必然的に縮小拡大されたものでもない。
【0009】
図1−11は、本発明の実施形態の各種特徴を表わしており、一般的に、患者の脈管内の正確な位置付けのために構成されたカテーテルアセンブリを意図したものである。
【0010】
まず図1を参照すると、一実施形態として構成された、10で一般参照されるカテーテルアセンブリが示されている。詳細には、カテーテルアセンブリ10は、そのアセンブリの遠位端16から手元端14まで延びる管腔を規定する棒状管状の本体により規定されるカテーテル12を備えている。カテーテル12の手元端にはハブ18も備わっており、また拡張脚20がこちら側に延びている。各拡張脚20は、液体配給又は吸入構成部との接続を可能にするコネクター22を有している。
【0011】
図1に示された構成部、特にハブや拡張脚の特定の構成は、ここの開示されているものとは変えることができる。例えば、拡張脚の本数は、2本より多くても少なくてもよい。また、例えばカテーテルで規定される管腔も1より多くてもよい。ここで記述されているものと異なった各種変更は、本発明の請求の範囲内にあるものと考えられる。
【0012】
カテーテルアセンブリは、更に、カテーテル12の患者の脈管内での位置付けを支援するために採用されたガイドワイヤー30を備えている。図1に示すように、ガイドワイヤー30は、カテーテル12と拡張脚20の1つとを通過して、カテーテルアセンブリ10の手元端14及び遠位端16の間に延びるようになる。
【0013】
ガイドワイヤー30に関する各種詳細を記述する図2をここで参照する。特に、ガイドワイヤー30は、長さLの棒状管状本体32を有して手元端34及び遠位端36を規定している。加えて、手元端34に隣接して手元領域44が規定され、一方、遠位端36に隣接して遠位領域46が規定される。ここで、本体32は、円形断面を有している。しかし、いかなる形状でもいかなる大きさでも形成できることに注意すべきである。ガイドワイヤー本体32は、ステンレス鋼、ニチノール、プラスチック等の1以上の各種材料を含んでいる。
【0014】
本願の開示の目的のために、語句“ガイドワイヤー”は、ここでは、患者の脈管内に少なくとも部分的に配設されたいかなる構造をも含むものとして解釈されるべきであり、カテーテル又は他の適した機器の管腔に受け入れられるように構成されて、患者の脈管内への、又は内でのカテーテル又は他の機器の進行を推し進めるものであると認識すべきである。
【0015】
一実施形態によるガイドワイヤー30の各種様相を記述する図3をここで参照する。図3に示すように、ガイドワイヤー30は、その遠位領域46内に配設された1つ以上の磁気素子48を含んでいる。ここでは、複数の素子を示しているが、磁気素子48は単一構成であってもよい。つまり、一実施形態においては、ガイドワイヤー30の遠位領域46は、少なくとも部分的に磁気材料で形成することが可能である。この実施形態では、複数の磁気素子48が、遠位領域48に、遠位端36まで組み入れられている。他の実施形態においては、磁気素子48はガイドワイヤー遠位端36から手元方向にオフセットされて配設できる。
【0016】
一般的に、磁気素子48は、永久磁石材料及び電磁気材料の双方のいずれをも含むような、いかなるタイプ又は形状の磁気材料で構成されていてもよい。例えば、この実施形態では、磁気素子48は、希土類磁石(例えば、サマリウムコバルト及び/又はネオジム鉄ホウ素)から成っている。他の実施形態では、磁気素子は、AINiCO磁気材料、可塑性磁気材料(例えばPANiCNQ)、又は、バリウムフェライト(BaO6Fe2O3)もしくはストロンチウムフェライト(SrO6Fe2O3)及び酸化鉄(Fe3O4)のようなセラミック磁気材料で成っている。更に他の実施形態では、磁気材料は、電流を流すと磁界を生成する、ソレノイドのような電磁気材料であってもよい。
【0017】
この実施形態では、磁気素子48は、観察可能な双極子を呈しており、それで磁気素子の位置及び/又は向きの情報を提供しており、つまりガイドワイヤー30の遠位領域46の位置及び/又は向きの情報を提供している。特に、磁気素子48は、ガイドワイヤー30が患者の脈管内に配設されると、検出技術(後に詳述する)を利用して患者の体の外から検出可能な磁気双極子を生成し、患者の体内のガイドワイヤー30の位置及び/又は向きを示している。
【0018】
一般的に言うと、ガイドワイヤー30の磁気素子48の極は、あらゆる仕方で位置付け又は方向付けが行える。例えば、磁気素子48の双極子は、ガイドワイヤーの長手軸に実質的に平行に、又は、その長手軸に実質的に垂直に方向付けることができる。加えて、磁気素子48の北の極は、共通に揃えられると、ガイドワイヤー30の遠位端36に近接して位置付けでき、それにより磁気素子の南の極は手元端34の方に向くことになる。
【0019】
一般的に、いかなるタイプ又は形状の検出システムも使用でき、それによりガイドワイヤー30が患者の脈管内のあるとき、磁気素子48の双極子又は他の様相を検出して、ガイドワイヤー30の遠位端36の位置及び/又は向きの情報を提供することができる。限定するものではないが、適した検出装置の例として、Haynor et al.の米国特許第5,879,297号、第6,129,668号、6,216,028号、及び第6,263,230号(以下“Haynor特許”)に各種の検出機器が開示されている。なお、それらの文献をここでは援用するものとし、ここに全てが開示されているものとする。例えば、例としての検出装置は、既知の方向に方向付けされた複数の磁気センサーを備え、ガイドワイヤー30の磁気素子により生成された磁界の強さ及び方向に基づき信号の組を生成するものである。そしてプロセッサーが、磁気センサーにより生成された信号の組から得られた磁気材料の予想の及び実際の磁界強さに基づいて三次元空間における磁気素子48の評価位置を算出する。他の実施形態においては、当業者により認識できるであろうことであるが、ECGベースの検出器を使用して、SVC又は心臓の他の部位に対するガイドワイヤー遠位端36の位置を検出できることも認識できることである。
【0020】
例えば、ガイドワイヤー30の磁気素子48の位置及び/又は向きが、磁気素子における予想の磁界強さと実際に測定された磁界強さの間の差異を比較することにより、算出できる。特定の実施形態では、プロセッサーに接続された表示装置が、三次元空間におけるガイドワイヤー30の磁気材料の位置を表示することができる。従って、ここで記述した例としての検出装置のような検出装置は、患者の内体に位置付けされたガイドワイヤー30の磁気材料により生成された磁界を検出でき、それによりガイドワイヤーの少なくとも一部分、例えばその遠位端の位置及び/又は向きを判定することができる。
【0021】
この実施形態は、中心静脈カテーテル(“CVC”)又は周辺挿入中心カテーテル(“PICC”)のようなカテーテルと共にガイドワイヤー30を使用し、患者の脈管系の上大静脈(“SVC”)部にカテーテル12(図1)を導くことを支援するものであることに注意すべきである。しかしながら、ここで議論されるガイドワイヤーは、他のカテーテルと共に採用できるし、またカテーテルをSVCではなく他の脈管系領域に向けるために採用できる。故に、ここに記述された実施形態は、単なる例である。
【0022】
図3にあるように、ガイドワイヤー30は、複数の数字の付いた深さマーク50を有している。深さマーク50は、ガイドワイヤー本体32に沿った長さを示す目盛尺を表わしている。ここでは、増加する数字の順で遠位端36から配置されている数値を伴っているが、他の実施形態においては、深さマーク50は、遠位端36から減少する順の数値を伴っていてもよく、また記号、文字又は他の表示物を伴っていてもよい。図3の深さマーク50は、センチメーター目盛りであり、一方、図4に示すものは、インチ目盛りで示されている。しかし、他の単位も可能である。深さマーク50は、ガイドワイヤーが患者の脈管内に入り込む挿入部位のような基準点から、手元端34又は遠位端36のいずれか一方までの、ガイドワイヤーに沿った距離を示す目盛尺としての役割を果たす。
【0023】
深さマーク50は、1以上の各種方法でガイドワイヤー30上に配設でき、例えば、物理的又は化学的エッチング、彫刻、刻印等である。一実施形態では、深さマークは、望まれるのであれば放射線映像で観測可能なようにガイドワイヤー30上に配設されている。
【0024】
更に詳細には、ガイドワイヤー30の遠位端36が患者の脈管内の所望の位置、例えばSVCに位置付けされると、挿入部位に最も近い深さマークが調べられて、挿入部位からガイドワイヤー遠位端までの距離が判定される。これにより、そのカテーテルを位置づける者は、挿入部位から脈管を通して同じ経路を辿り、カテーテルの遠位端をその所望の位置に配設するのに、カテーテル12がどれほどの長さを必要とするかという情報を即座に知ることができる。それでこのことによりカテーテルの遠位端を、より正確に位置付けすることができる。
【0025】
図5は、カテーテル12が、図3のガイドワイヤー上に示された深さマーク50のような、ガイドワイヤー30の深さマークと一致するマーク52を有している態様を示している。同様のマークをカテーテル12に使用することにより、後述のように、患者の脈管内にカテーテルアセンブリを挿入している間、カテーテルとガイドワイヤー30の間の相対的な動きを可能とする。
【0026】
患者の脈管内にカテーテル又は同様の機器を挿入する際の、深さマーク50を有するガイドワイヤー30の使用を記述した図6A及び6Bをここで参照する。以下に記述されるべき方法は、他のステップを有していてもよく、またここに記述されている構成部とは異なる他の構成部を利用することが可能である。既知の技術に基づき、穿刺針、カニューレ、又は他の機器を使用して、挿入部位54において患者56の皮膚を通して静脈又は動脈に孔をあけ、それにより患者の脈管系に到達できることとなる。遠位端36から増加する順の深さマーク50を有するガイドワイヤー30が、挿入部位54から挿入され、脈管に沿って進められる一方、ガイドワイヤー遠位領域46の位置と進行が、外部磁気検出機器又は他の適した検出装置により監視される。
【0027】
磁気検出機器による監視により、ガイドワイヤー30の遠位端36が、SVC等の患者の脈管内の所望の位置に到達したことが確認できる。ガイドワイヤー30の遠位端36が、一旦その所望の位置に位置付けされると、位置付けする者は、挿入部位54に最も近い深さマーク50を注意して読み取る。この深さマークから、位置付けする者は、その所望の位置に到達するのに必要な、カテーテルの長さを判断できる。例えば、図6Bは、もしガイドワイヤー30の全長が“X”であり、ガイドワイヤーが患者の脈管内を距離“Y”まで進んだとすると、位置付けをする者は、カテーテル12(図1)を“Y”と同じ長さに切れば、患者の外側に余分なカテーテル管が残ることなく、そのカテーテルが所望の位置に到達するであろうことを知ることとなる。
【0028】
上記の深さマークの算出により適切な長さに切られると、カテーテル12は挿入部位54を介してガイドワイヤー30を覆って進められ、最終的にカテーテルの遠位端がその所望の位置に到達する。このとき、位置付けする者が望むように、カテーテル12の手元部は、挿入部位54の所望の近接位置にきているはずである。その後、位置付けする者は、ガイドワイヤー30を取り除き、カテーテル12を固定する。
【0029】
他の実施形態においては、図7A及び7Bに示すように、手元端34から順に増加する深さマーク50を有するガイドワイヤーが使用される。この場合、上記と同様の手順がとられるが、以下が異なる。すなわち、位置付けする者は、挿入部位54に最も近い深さマーク50を注意して読み取る。そして、位置付けする者は、ガイドワイヤー30の患者の外側に出ている量を表わしている量“Z”(図7B)を、ガイドワイヤーの全長を表わす“X”から引く。これにより、遠位端が所望の位置にある状態でカテーテルを脈管内に位置付けしつつ、手元端が挿入部位54に十分に近いように外部に位置付けできるような、カテーテル12の切り落とされるべき長さが分かる。カテーテル12は、手元でも遠位でも切り落とすことができることに注意すべきである。有利なことに、上述のようにカテーテル12を位置付けすれば、位置付けの誤りの回数を減らすことができると共に、患者の脈管内の所望の位置にカテーテルの遠位チップ端をより正確に位置付けすることができるようになる。
【0030】
一実施形態においては、ガイドワイヤー30をカテーテル12の管腔内に先に導入してアセンブリを形成し、この構成で患者の脈管内に挿入している。このような方法で挿入されると、ガイドワイヤー30の遠位端36とカテーテルの遠位端とが対応しつつ、アセンブリは、患者の脈管内を進行する。それで、磁気素子48を含むガイドワイヤー遠位領域46が、磁気検出機器を利用して、SVC又は他の所望の位置で検出されると、カテーテル12の遠位部もそこに位置付けされていることになる。ガイドワイヤー30とカテーテル12のマーク(すなわち、深さマーク50及びマーク52)を対応させることにより、挿入部位54からその所望の位置までの距離が容易に確認できる。しかしながら、嵌め合わさったカテーテル12とガイドワイヤー30とが所望位置まで進む間に、障害物や通りにくい領域があれば、ガイドワイヤーの遠位端36を一時的にカテーテルの遠位端より先に進めれば、ガイドワイヤーによりその障害物を容易に横切ることができる。ガイドワイヤーの遠位端が障害物を通り過ぎて所望位置に到達すると、カテーテル12がガイドワイヤーに対して相対的に進められ、最終的にその遠位端も所望位置に到達するまで進められる。再度であるが、ガイドワイヤー30の深さマーク50に対応する、カテーテル12(図5)上に配設されたマーク52のおかげで、位置付けする者は、カテーテル12及びガイドワイヤー30の双方の遠位端が所望の位置にあるときを容易に判定できるようになる。その後、ガイドワイヤー30は、取り除かれる。一実施形態では、固定機器が使用され、カテーテルに対するガイドワイヤーの意図しない進行が防止されるように、ガイドワイヤー30がカテーテルに対して選択的にロックされる。図1は、そのような固定機器を58として示しており、それはThuhy-Borstアダプターとして実現されており、拡張脚22の手元端に接続されている。しかし、ガイドワイヤーをカテーテルに固定するための1本のテープ又は他の接着構成機器のように、他の固定機器も択一的に採用できる。
【0031】
一実施形態によるガイドワイヤーの各種特徴を描いている図8A及び8Bをここで参照する。具体的には、手元領域44におけるガイドワイヤー30の本体32は、ガイドワイヤーの遠位領域46の機構の向きを判定する際に、位置付けする者を支援するための方向付け機構60を規定している。この実施形態では、方向付け機構60は、手元領域44の一部に沿って長手方向に延びる凹形状切欠け部(図9B)であり、一方、ガイドワイヤー遠位領域46の機構は、伸展性チップ端64のような変形チップ端となっている。
【0032】
示される通り、伸展性チップ端64は、伸展性曲げを規定するプレカーブ部を備えている。ガイドワイヤー30が患者の脈管を進む間、位置付けする者は、患者の外部にあるままの、ガイドワイヤー手元領域の方向付け機構60を触診するか、又は視覚的に調べることができる。方向付け機構60と伸展性チップ端64の間の向きの関係が分かれば、位置付けする者は、伸展性チップ端の向きを容易に判定でき、脈管系に導く上で位置付けする者を支援できる。
【0033】
図9A及び9Bは、他の実施形態による方向付け機構60、すなわち平坦切欠けを示しており、一方、図10A及び10Bは、凸形状方向付け機構60を示している。移動止め、面取り面、陥凹、ナブ等の1以上各種形状及び構成も、本発明の請求の範囲内にあるものとここでは考えられる。
【0034】
図11は、他の実施形態によるガイドワイヤー30の変形遠位チップ端の他の例を示している。特に、変形チップ端は、J型チップ端66を規定しており、それは、ガイドワイヤーが患者の脈管を通してガイドされる際に支援している。図8A及び11に示したものより大きな角度やカーブを有したチップ端のように、多くの択一的なチップ端構成が、ガイドワイヤー遠位領域に使用でき、それらのチップ端は、1以上の各種の方向付け機構と関連させることができることに注意すべきである。
【0035】
本発明は、その精神又は根本特性から離脱しない限り、他の特定の形態で実施化可能である。記述された実施形態は、全ての点において例示であり、限定するようなものではないと考えられるべきである。故に、本発明の範囲は、上述の記述よりはむしろ添付の請求の範囲により示される。各請求項と等価の意味及び範囲内にある全ての変更は、それらの範囲内に包含されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年4月16日に出願された名称“カテーテル位置付けシステム”という米国仮特許出願第60/923,636号の利益を主張するものであり、ここに全内容を援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、当該技術分野における上述の、及び他の要求に応じて成立したものである。短く簡略化すると、本発明の実施形態は、患者に対して脈管系を介してアクセスできるカテーテルアセンブリを意図したものである。そのカテーテルアセンブリは、カテーテルの遠位端が患者の脈管内の所望の位置に正確に位置付けされるような構成となっている。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態においては、カテーテルアセンブリは、手元端、遠位端、及びそれらの間に延びる管腔を規定する棒状本体を有するカテーテルを備えている。ガイドワイヤーもまた含まれ、カテーテルの管腔内に受け入れられ、患者の脈管を通してカテーテルを案内するように構成されている。
【0004】
一実施形態のガイドワイヤーは、その長さ方向の少なくとも一部に複数の深さマークを有している。深さマークは、ガイドワイヤーの遠位端と、ガイドワイヤーが患者の脈管内に進むときの挿入部位との間の距離を示している。従って、ガイドワイヤーの遠位端が、患者の脈管内の所望の位置に導かれると、挿入部位の位置の深さマークを読むことにより、遠位端と挿入部位との間の正確な距離が容易に確認できる。カテーテルの位置はこの“深さ”距離を利用でき、患者に挿入される前に、適切な長さにそのカテーテルは切り落とされる。その後、カテーテルは、ガイドワイヤーを覆って摺動され、その遠位端が所望の位置に到達するまで、患者の脈管内に進められる。その後、ガイドワイヤーは取り除かれ、カテーテルは固定される。
【0005】
一実施形態のガイドワイヤーは、更に、ガイドワイヤーが脈管を通して進むのを支援するように構成された、遠位端の変形チップ端を備えている。伸展性チップ端及びJ型チップ端が、採用できる変形チップ端の例である。ガイドワイヤーの手元端には、変形チップ端の向きを示すことができる方向付け機構も配設されている。このように、カテーテルを位置付けする者は、ガイドワイヤーの手元端の外部方向付け機構を観察することにより、患者内のガイドワイヤーのチップ端の方向を容易に判定できる。
【0006】
本発明のこれらの、また他の特徴は、以下の記述及び添付の請求の範囲から、より完全に明らかになるであろうし、また以下に明らかにされた発明の実施化により理解が可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の上記の、また他の利点及び特徴を更に明確にするために、発明の更なる特定記述が、添付図面に示された特定の実施形態を参照しつつなされる。なお、これらの図面は、発明の典型的な実施形態を表わしているのみであり、従ってその範囲を限定するものと考えられてはならない。本発明は、添付図面を使用することにより、更に具体的に、また詳細に記述され、また説明されるであろう。
【図1】図1は、本発明の一実施形態により構成されたカテーテルアセンブリの斜視図である。
【図2】図2は、図1のカテーテルアセンブリに含まれるガイドワイヤーの斜視図である。
【図3】図3は、一実施形態による各種特徴を示す、図2のガイドワイヤーの側面図である。
【図4】図4は、他の実施形態による各種特徴を示す、図2のガイドワイヤーの側面図である。
【図5】図5は、図1のカテーテルアセンブリに含まれるカテーテルの側面図である。
【図6】図6A及び6Bは、1つの可能な技術による、図2のガイドワイヤーの患者への挿入に関する各種詳細を描く図である。
【図7】図7A及び7Bは、他の可能な技術による、図2のガイドワイヤーの患者への挿入に関する各種詳細を描く図である。
【図8】図8A及び8Bは、一実施形態による方向付け機構を有するガイドワイヤーの、それぞれ側面図及び断面図である。
【図9】図9A及び9Bは、一実施形態によるガイドワイヤー方向付け機構の追加例の、それぞれ側面図及び断面図である。 図10A及び10Bは、一実施形態によるガイドワイヤー方向付け機構の追加例の、それぞれ側面図及び断面図である。
【図11】図11は、更に他の実施形態によるJ型チップ端を形成する、ガイドワイヤーの遠位端の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
同様の構成には同様の参照符号が付された図面が以後参照される。図面は、発明の例的実施形態の図式表現であり、発明を限定するものではないし、必然的に縮小拡大されたものでもない。
【0009】
図1−11は、本発明の実施形態の各種特徴を表わしており、一般的に、患者の脈管内の正確な位置付けのために構成されたカテーテルアセンブリを意図したものである。
【0010】
まず図1を参照すると、一実施形態として構成された、10で一般参照されるカテーテルアセンブリが示されている。詳細には、カテーテルアセンブリ10は、そのアセンブリの遠位端16から手元端14まで延びる管腔を規定する棒状管状の本体により規定されるカテーテル12を備えている。カテーテル12の手元端にはハブ18も備わっており、また拡張脚20がこちら側に延びている。各拡張脚20は、液体配給又は吸入構成部との接続を可能にするコネクター22を有している。
【0011】
図1に示された構成部、特にハブや拡張脚の特定の構成は、ここの開示されているものとは変えることができる。例えば、拡張脚の本数は、2本より多くても少なくてもよい。また、例えばカテーテルで規定される管腔も1より多くてもよい。ここで記述されているものと異なった各種変更は、本発明の請求の範囲内にあるものと考えられる。
【0012】
カテーテルアセンブリは、更に、カテーテル12の患者の脈管内での位置付けを支援するために採用されたガイドワイヤー30を備えている。図1に示すように、ガイドワイヤー30は、カテーテル12と拡張脚20の1つとを通過して、カテーテルアセンブリ10の手元端14及び遠位端16の間に延びるようになる。
【0013】
ガイドワイヤー30に関する各種詳細を記述する図2をここで参照する。特に、ガイドワイヤー30は、長さLの棒状管状本体32を有して手元端34及び遠位端36を規定している。加えて、手元端34に隣接して手元領域44が規定され、一方、遠位端36に隣接して遠位領域46が規定される。ここで、本体32は、円形断面を有している。しかし、いかなる形状でもいかなる大きさでも形成できることに注意すべきである。ガイドワイヤー本体32は、ステンレス鋼、ニチノール、プラスチック等の1以上の各種材料を含んでいる。
【0014】
本願の開示の目的のために、語句“ガイドワイヤー”は、ここでは、患者の脈管内に少なくとも部分的に配設されたいかなる構造をも含むものとして解釈されるべきであり、カテーテル又は他の適した機器の管腔に受け入れられるように構成されて、患者の脈管内への、又は内でのカテーテル又は他の機器の進行を推し進めるものであると認識すべきである。
【0015】
一実施形態によるガイドワイヤー30の各種様相を記述する図3をここで参照する。図3に示すように、ガイドワイヤー30は、その遠位領域46内に配設された1つ以上の磁気素子48を含んでいる。ここでは、複数の素子を示しているが、磁気素子48は単一構成であってもよい。つまり、一実施形態においては、ガイドワイヤー30の遠位領域46は、少なくとも部分的に磁気材料で形成することが可能である。この実施形態では、複数の磁気素子48が、遠位領域48に、遠位端36まで組み入れられている。他の実施形態においては、磁気素子48はガイドワイヤー遠位端36から手元方向にオフセットされて配設できる。
【0016】
一般的に、磁気素子48は、永久磁石材料及び電磁気材料の双方のいずれをも含むような、いかなるタイプ又は形状の磁気材料で構成されていてもよい。例えば、この実施形態では、磁気素子48は、希土類磁石(例えば、サマリウムコバルト及び/又はネオジム鉄ホウ素)から成っている。他の実施形態では、磁気素子は、AINiCO磁気材料、可塑性磁気材料(例えばPANiCNQ)、又は、バリウムフェライト(BaO6Fe2O3)もしくはストロンチウムフェライト(SrO6Fe2O3)及び酸化鉄(Fe3O4)のようなセラミック磁気材料で成っている。更に他の実施形態では、磁気材料は、電流を流すと磁界を生成する、ソレノイドのような電磁気材料であってもよい。
【0017】
この実施形態では、磁気素子48は、観察可能な双極子を呈しており、それで磁気素子の位置及び/又は向きの情報を提供しており、つまりガイドワイヤー30の遠位領域46の位置及び/又は向きの情報を提供している。特に、磁気素子48は、ガイドワイヤー30が患者の脈管内に配設されると、検出技術(後に詳述する)を利用して患者の体の外から検出可能な磁気双極子を生成し、患者の体内のガイドワイヤー30の位置及び/又は向きを示している。
【0018】
一般的に言うと、ガイドワイヤー30の磁気素子48の極は、あらゆる仕方で位置付け又は方向付けが行える。例えば、磁気素子48の双極子は、ガイドワイヤーの長手軸に実質的に平行に、又は、その長手軸に実質的に垂直に方向付けることができる。加えて、磁気素子48の北の極は、共通に揃えられると、ガイドワイヤー30の遠位端36に近接して位置付けでき、それにより磁気素子の南の極は手元端34の方に向くことになる。
【0019】
一般的に、いかなるタイプ又は形状の検出システムも使用でき、それによりガイドワイヤー30が患者の脈管内のあるとき、磁気素子48の双極子又は他の様相を検出して、ガイドワイヤー30の遠位端36の位置及び/又は向きの情報を提供することができる。限定するものではないが、適した検出装置の例として、Haynor et al.の米国特許第5,879,297号、第6,129,668号、6,216,028号、及び第6,263,230号(以下“Haynor特許”)に各種の検出機器が開示されている。なお、それらの文献をここでは援用するものとし、ここに全てが開示されているものとする。例えば、例としての検出装置は、既知の方向に方向付けされた複数の磁気センサーを備え、ガイドワイヤー30の磁気素子により生成された磁界の強さ及び方向に基づき信号の組を生成するものである。そしてプロセッサーが、磁気センサーにより生成された信号の組から得られた磁気材料の予想の及び実際の磁界強さに基づいて三次元空間における磁気素子48の評価位置を算出する。他の実施形態においては、当業者により認識できるであろうことであるが、ECGベースの検出器を使用して、SVC又は心臓の他の部位に対するガイドワイヤー遠位端36の位置を検出できることも認識できることである。
【0020】
例えば、ガイドワイヤー30の磁気素子48の位置及び/又は向きが、磁気素子における予想の磁界強さと実際に測定された磁界強さの間の差異を比較することにより、算出できる。特定の実施形態では、プロセッサーに接続された表示装置が、三次元空間におけるガイドワイヤー30の磁気材料の位置を表示することができる。従って、ここで記述した例としての検出装置のような検出装置は、患者の内体に位置付けされたガイドワイヤー30の磁気材料により生成された磁界を検出でき、それによりガイドワイヤーの少なくとも一部分、例えばその遠位端の位置及び/又は向きを判定することができる。
【0021】
この実施形態は、中心静脈カテーテル(“CVC”)又は周辺挿入中心カテーテル(“PICC”)のようなカテーテルと共にガイドワイヤー30を使用し、患者の脈管系の上大静脈(“SVC”)部にカテーテル12(図1)を導くことを支援するものであることに注意すべきである。しかしながら、ここで議論されるガイドワイヤーは、他のカテーテルと共に採用できるし、またカテーテルをSVCではなく他の脈管系領域に向けるために採用できる。故に、ここに記述された実施形態は、単なる例である。
【0022】
図3にあるように、ガイドワイヤー30は、複数の数字の付いた深さマーク50を有している。深さマーク50は、ガイドワイヤー本体32に沿った長さを示す目盛尺を表わしている。ここでは、増加する数字の順で遠位端36から配置されている数値を伴っているが、他の実施形態においては、深さマーク50は、遠位端36から減少する順の数値を伴っていてもよく、また記号、文字又は他の表示物を伴っていてもよい。図3の深さマーク50は、センチメーター目盛りであり、一方、図4に示すものは、インチ目盛りで示されている。しかし、他の単位も可能である。深さマーク50は、ガイドワイヤーが患者の脈管内に入り込む挿入部位のような基準点から、手元端34又は遠位端36のいずれか一方までの、ガイドワイヤーに沿った距離を示す目盛尺としての役割を果たす。
【0023】
深さマーク50は、1以上の各種方法でガイドワイヤー30上に配設でき、例えば、物理的又は化学的エッチング、彫刻、刻印等である。一実施形態では、深さマークは、望まれるのであれば放射線映像で観測可能なようにガイドワイヤー30上に配設されている。
【0024】
更に詳細には、ガイドワイヤー30の遠位端36が患者の脈管内の所望の位置、例えばSVCに位置付けされると、挿入部位に最も近い深さマークが調べられて、挿入部位からガイドワイヤー遠位端までの距離が判定される。これにより、そのカテーテルを位置づける者は、挿入部位から脈管を通して同じ経路を辿り、カテーテルの遠位端をその所望の位置に配設するのに、カテーテル12がどれほどの長さを必要とするかという情報を即座に知ることができる。それでこのことによりカテーテルの遠位端を、より正確に位置付けすることができる。
【0025】
図5は、カテーテル12が、図3のガイドワイヤー上に示された深さマーク50のような、ガイドワイヤー30の深さマークと一致するマーク52を有している態様を示している。同様のマークをカテーテル12に使用することにより、後述のように、患者の脈管内にカテーテルアセンブリを挿入している間、カテーテルとガイドワイヤー30の間の相対的な動きを可能とする。
【0026】
患者の脈管内にカテーテル又は同様の機器を挿入する際の、深さマーク50を有するガイドワイヤー30の使用を記述した図6A及び6Bをここで参照する。以下に記述されるべき方法は、他のステップを有していてもよく、またここに記述されている構成部とは異なる他の構成部を利用することが可能である。既知の技術に基づき、穿刺針、カニューレ、又は他の機器を使用して、挿入部位54において患者56の皮膚を通して静脈又は動脈に孔をあけ、それにより患者の脈管系に到達できることとなる。遠位端36から増加する順の深さマーク50を有するガイドワイヤー30が、挿入部位54から挿入され、脈管に沿って進められる一方、ガイドワイヤー遠位領域46の位置と進行が、外部磁気検出機器又は他の適した検出装置により監視される。
【0027】
磁気検出機器による監視により、ガイドワイヤー30の遠位端36が、SVC等の患者の脈管内の所望の位置に到達したことが確認できる。ガイドワイヤー30の遠位端36が、一旦その所望の位置に位置付けされると、位置付けする者は、挿入部位54に最も近い深さマーク50を注意して読み取る。この深さマークから、位置付けする者は、その所望の位置に到達するのに必要な、カテーテルの長さを判断できる。例えば、図6Bは、もしガイドワイヤー30の全長が“X”であり、ガイドワイヤーが患者の脈管内を距離“Y”まで進んだとすると、位置付けをする者は、カテーテル12(図1)を“Y”と同じ長さに切れば、患者の外側に余分なカテーテル管が残ることなく、そのカテーテルが所望の位置に到達するであろうことを知ることとなる。
【0028】
上記の深さマークの算出により適切な長さに切られると、カテーテル12は挿入部位54を介してガイドワイヤー30を覆って進められ、最終的にカテーテルの遠位端がその所望の位置に到達する。このとき、位置付けする者が望むように、カテーテル12の手元部は、挿入部位54の所望の近接位置にきているはずである。その後、位置付けする者は、ガイドワイヤー30を取り除き、カテーテル12を固定する。
【0029】
他の実施形態においては、図7A及び7Bに示すように、手元端34から順に増加する深さマーク50を有するガイドワイヤーが使用される。この場合、上記と同様の手順がとられるが、以下が異なる。すなわち、位置付けする者は、挿入部位54に最も近い深さマーク50を注意して読み取る。そして、位置付けする者は、ガイドワイヤー30の患者の外側に出ている量を表わしている量“Z”(図7B)を、ガイドワイヤーの全長を表わす“X”から引く。これにより、遠位端が所望の位置にある状態でカテーテルを脈管内に位置付けしつつ、手元端が挿入部位54に十分に近いように外部に位置付けできるような、カテーテル12の切り落とされるべき長さが分かる。カテーテル12は、手元でも遠位でも切り落とすことができることに注意すべきである。有利なことに、上述のようにカテーテル12を位置付けすれば、位置付けの誤りの回数を減らすことができると共に、患者の脈管内の所望の位置にカテーテルの遠位チップ端をより正確に位置付けすることができるようになる。
【0030】
一実施形態においては、ガイドワイヤー30をカテーテル12の管腔内に先に導入してアセンブリを形成し、この構成で患者の脈管内に挿入している。このような方法で挿入されると、ガイドワイヤー30の遠位端36とカテーテルの遠位端とが対応しつつ、アセンブリは、患者の脈管内を進行する。それで、磁気素子48を含むガイドワイヤー遠位領域46が、磁気検出機器を利用して、SVC又は他の所望の位置で検出されると、カテーテル12の遠位部もそこに位置付けされていることになる。ガイドワイヤー30とカテーテル12のマーク(すなわち、深さマーク50及びマーク52)を対応させることにより、挿入部位54からその所望の位置までの距離が容易に確認できる。しかしながら、嵌め合わさったカテーテル12とガイドワイヤー30とが所望位置まで進む間に、障害物や通りにくい領域があれば、ガイドワイヤーの遠位端36を一時的にカテーテルの遠位端より先に進めれば、ガイドワイヤーによりその障害物を容易に横切ることができる。ガイドワイヤーの遠位端が障害物を通り過ぎて所望位置に到達すると、カテーテル12がガイドワイヤーに対して相対的に進められ、最終的にその遠位端も所望位置に到達するまで進められる。再度であるが、ガイドワイヤー30の深さマーク50に対応する、カテーテル12(図5)上に配設されたマーク52のおかげで、位置付けする者は、カテーテル12及びガイドワイヤー30の双方の遠位端が所望の位置にあるときを容易に判定できるようになる。その後、ガイドワイヤー30は、取り除かれる。一実施形態では、固定機器が使用され、カテーテルに対するガイドワイヤーの意図しない進行が防止されるように、ガイドワイヤー30がカテーテルに対して選択的にロックされる。図1は、そのような固定機器を58として示しており、それはThuhy-Borstアダプターとして実現されており、拡張脚22の手元端に接続されている。しかし、ガイドワイヤーをカテーテルに固定するための1本のテープ又は他の接着構成機器のように、他の固定機器も択一的に採用できる。
【0031】
一実施形態によるガイドワイヤーの各種特徴を描いている図8A及び8Bをここで参照する。具体的には、手元領域44におけるガイドワイヤー30の本体32は、ガイドワイヤーの遠位領域46の機構の向きを判定する際に、位置付けする者を支援するための方向付け機構60を規定している。この実施形態では、方向付け機構60は、手元領域44の一部に沿って長手方向に延びる凹形状切欠け部(図9B)であり、一方、ガイドワイヤー遠位領域46の機構は、伸展性チップ端64のような変形チップ端となっている。
【0032】
示される通り、伸展性チップ端64は、伸展性曲げを規定するプレカーブ部を備えている。ガイドワイヤー30が患者の脈管を進む間、位置付けする者は、患者の外部にあるままの、ガイドワイヤー手元領域の方向付け機構60を触診するか、又は視覚的に調べることができる。方向付け機構60と伸展性チップ端64の間の向きの関係が分かれば、位置付けする者は、伸展性チップ端の向きを容易に判定でき、脈管系に導く上で位置付けする者を支援できる。
【0033】
図9A及び9Bは、他の実施形態による方向付け機構60、すなわち平坦切欠けを示しており、一方、図10A及び10Bは、凸形状方向付け機構60を示している。移動止め、面取り面、陥凹、ナブ等の1以上各種形状及び構成も、本発明の請求の範囲内にあるものとここでは考えられる。
【0034】
図11は、他の実施形態によるガイドワイヤー30の変形遠位チップ端の他の例を示している。特に、変形チップ端は、J型チップ端66を規定しており、それは、ガイドワイヤーが患者の脈管を通してガイドされる際に支援している。図8A及び11に示したものより大きな角度やカーブを有したチップ端のように、多くの択一的なチップ端構成が、ガイドワイヤー遠位領域に使用でき、それらのチップ端は、1以上の各種の方向付け機構と関連させることができることに注意すべきである。
【0035】
本発明は、その精神又は根本特性から離脱しない限り、他の特定の形態で実施化可能である。記述された実施形態は、全ての点において例示であり、限定するようなものではないと考えられるべきである。故に、本発明の範囲は、上述の記述よりはむしろ添付の請求の範囲により示される。各請求項と等価の意味及び範囲内にある全ての変更は、それらの範囲内に包含されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脈管内にカテーテルを位置付けする際に使用するガイドワイヤーであって、
手元端と遠位端の間に延びる棒状本体と、
前記ガイドワイヤーの前記本体上に配設され、各々が前記ガイドワイヤーの前記手元端及び遠位端の一方に関する距離を示している複数の深さマークと、
を備えることを特徴とするガイドワイヤー。
【請求項2】
前記深さマークは、前記ガイドワイヤーの前記遠位端から前記手元端に延びることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項3】
前記深さマークは、前記遠位端の方から順に増加する数値目盛りであることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項4】
前記深さマークは、前記手元端の方から順に増加する数値目盛りであることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項5】
前記ガイドワイヤーが前記患者に挿入されたとき、前記深さマークにより、前記ガイドワイヤーの前記遠位端と挿入部位との間の距離が判定できることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項6】
前記ガイドワイヤーの前記遠位端が、前記患者の前記脈管内の所望の位置に位置付けされたときに、前記ガイドワイヤーの前記遠位端と前記挿入部位との間の距離が判定されることを特徴とする請求項5に記載のガイドワイヤー。
【請求項7】
前記ガイドワイヤーの前記遠位端と前記挿入部位との間の判定距離により、前記患者の前記脈管内に挿入される前に、カテーテルを切り落とすことができることを特徴とする請求項5に記載のガイドワイヤー。
【請求項8】
前記ガイドワイヤーは、その挿入の間、前記カテーテルの管腔に受け入れられるように構成され、前記カテーテルの遠位端が前記所望の位置に位置付けされると、前記患者から取り除かれるように構成されることを特徴とする請求項7に記載のガイドワイヤー。
【請求項9】
前記ガイドワイヤーは、その遠位領域が、ECGベースの機器を使用して、前記患者の前記脈管内で追跡可能であるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項10】
前記ガイドワイヤーの遠位領域に配設される少なくとも1つの磁気素子を更に備え、その少なくとも1つの磁気素子により、前記患者の外部に配設された磁気検出機器を使用して、前記ガイドワイヤーの前記遠位部が追跡されることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項11】
前記患者の前記脈管を通して前記ガイドワイヤーが進むのを容易にする、前記遠位端の変形遠位チップ端を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項12】
前記変形遠位チップ端は、伸展性遠位チップ端であることを特徴とする請求項11に記載のガイドワイヤー。
【請求項13】
前記ガイドワイヤーの手元領域に方向付け機構を更に備え、その方向付けにより前記変形遠位チップ端の方向が判定できることを特徴とする請求項11に記載のガイドワイヤー。
【請求項14】
前記深さマークは、前記ガイドワイヤー本体にエッチング処理で付されていることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項15】
前記深さマークは、放射線映像的に観察可能であることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項16】
患者の脈管内にカテーテルを位置付けする方法であって、
挿入部位において前記脈管に接近し、
前記挿入部位を介して、ガイドワイヤーの遠位端が所望の位置に位置付けされるまで、前記ガイドワイヤーを前記脈管を通して進め、
前記ガイドワイヤー上に規定された複数の深さマークを使用して、前記挿入部位と、前記所望の位置にある、前記ガイドワイヤーの前記遠位端との間の距離を判定することを特徴とするカテーテルを位置付けする方法。
【請求項17】
前記患者の前記脈管内に挿入する前に、前記カテーテルを、前記挿入部位と、前記所望の位置にある、前記ガイドワイヤーの前記遠位端との間の判定された距離と等しい長さに切り落とすことを特徴とする請求項16に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項18】
前記カテーテルの遠位端が前記所望の位置に到達するまで、前記カテーテルを、前記ガイドワイヤーを覆いながら前記患者の前記脈管内に挿入し、
前記脈管から前記ガイドワイヤーを取り除くことを特徴とする請求項17に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項19】
前記ガイドワイヤーの遠位領域は、少なくとも1つの磁気素子を備えており、前記ガイドワイヤーを前記脈管を通して進めるステップにおいては、前記患者の外部に配設され、前記患者の前記脈管内の前記ガイドワイヤーの前記遠位領域の前記少なくとも1つの磁気素子の位置を検出する磁気検出機器からの支援を伴って、前記ガイドワイヤーを前記脈管を通して進めることを特徴とする請求項16に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項20】
前記ガイドワイヤーを前記脈管を通して進めるステップにおいては、前記患者の外部に配設され、前記患者の前記脈管内の前記ガイドワイヤーの遠位領域の位置を検出するECGベースの機器からの支援を伴って、前記ガイドワイヤーを前記脈管を通して進めることを特徴とする請求項16に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項21】
患者の脈管内にカテーテルを位置付けする方法であって、
挿入部位において前記脈管に接近し、
管腔を規定するカテーテルと、前記カテーテルの前記管腔内に配設されるガイドワイヤーであって、その遠位端が、前記脈管を辿っていくのを支援するように構成された変形遠位チップ端を有すると共に、その遠位領域が、少なくとも1つの磁気素子を有するガイドワイヤーと、を備えたカテーテルアセンブリを前記脈管内に進め、
前記ガイドワイヤーが、前記患者の前記脈管を辿りつつあるとき、磁気検出機器により、前記ガイドワイヤーの前記遠位領域の位置を検出し、
前記患者の前記脈管内で障害物に遭遇した場合に、前記ガイドワイヤーの前記遠位端を前記カテーテルの遠位端よりも前に進めて、前記カテーテルの前記遠位端が所望の位置に到達できるようにすることを特徴とするカテーテルを位置付けする方法。
【請求項22】
複数の深さマークが、前記挿入箇所から前記ガイドワイヤーの前記遠位端までの距離を示すために、前記ガイドワイヤー上に設けられ、前記ガイドワイヤーの前記深さマークに対応する複数のマークが、前記カテーテル上に規定され、
前記方法は、前記ガイドワイヤーの前記遠位端をより前方に進めた後、前記ガイドワイヤー上の前記深さマークと前記カテーテル上の前記マークを使用して、前記カテーテルの前記遠位端を、前記所望の位置で、前記ガイドワイヤーの前記遠位端と揃えることを特徴とする請求項21に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項23】
前記ガイドワイヤーの前記遠位端の位置を検出するステップは、更に、前記ガイドワイヤーの前記遠位端が前記所望の位置に到達した時を確認することを特徴とする請求項21に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項24】
前記遠位端を進めるステップは、更に、前記ガイドワイヤーの遠位端を前記カテーテルの遠位端よりも前に進める前に、前記カテーテルの遠位端と前記ガイドワイヤーとを共に固定する固定機器を解放することを特徴とする請求項21に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項25】
手元端、遠位端、及びそれらの間に延びる少なくとも1つの管腔を規定する棒状本体を有するカテーテルと、
前記カテーテルの前記管腔内に受け入れられ、患者の脈管を通して前記カテーテルを案内するように構成されたガイドワイヤーと、
を備えるカテーテルアセンブリであって、
前記ガイドワイヤーは、
前記ガイドワイヤーの長さ方向の少なくとも一部に沿った複数の深さマークであって、前記ガイドワイヤーの遠位端と、前記ガイドワイヤーが前記患者の前記脈管内に入り込む際に通る挿入部位との間の距離を示す前記深さマークと、
前記ガイドワイヤーの前記遠位端の変形チップ端であって、前記患者の前記脈管を通して前記ガイドワイヤーが辿っていくのを支援するように構成された変形チップ端と、
を有することを特徴とするカテーテルアセンブリ。
【請求項26】
前記ガイドワイヤーの手元領域に配設され、前記変形チップ端の向きに対応した方向付け機構を更に備え、それにより前記カテーテルアセンブリの位置付け者は、前記患者の前記脈管内の前記変形チップ端の向きを判定できることを特徴とする請求項25に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項27】
前記方向付け機構は、前記ガイドワイヤーの前記手元領域の一部に沿って長手方向に延びた切欠け部を有することを特徴とする請求項26に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項28】
前記方向付け機構は、凸、平坦、及び凹のいずれかの断面形状を有することを特徴とする請求項26に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項29】
前記深さマークは、前記遠位端の方から順に増加するセンチメーター値で目盛られていることを特徴とする請求項25に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項30】
前記カテーテルは、前記ガイドワイヤーの前記遠位端が、前記患者の前記脈管内の所望の位置に位置付けされたときに、前記患者の前記脈管内における位置付けのために前記ガイドワイヤーを覆って摺動するように構成されていることを特徴とする請求項25に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項31】
前記変形チップ端は、伸展性があり、予め曲げられていることを特徴とする請求項25に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項32】
前記変形チップ端は、J型チップ端形状を有していることを特徴とする請求項25に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項33】
前記カテーテルを前記ガイドワイヤーに解放可能に固定する固定機器を更に備えることを特徴とする請求項25に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項34】
前記固定機器は、前記カテーテルの手元端に取り付けられたハブの手前に設けられているTouhy-Borstアダプターであることを特徴とする請求項33に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項35】
患者の脈管内にカテーテルを位置付けする際に使用するガイドワイヤーであって、
手元端と遠位端の間に延びる棒状本体と、
前記ガイドワイヤーの前記遠位端に配設され、前記患者の前記脈管を通して前記ガイドワイヤーが辿っていくのを支援するように構成された変形チップ端と、
前記ガイドワイヤーの手元領域に配設され、前記変形チップ端の向きに対応した方向付け機構であって、前記カテーテルアセンブリの位置付け者が、前記患者の前記脈管内における前記変形チップ端の向きを判定できるようにした前記方向付け機構と、
を備えることを特徴とするガイドワイヤー。
【請求項36】
前記方向付け機構は、前記ガイドワイヤーの前記手元領域の一部に沿って長手方向に延びた切欠け部を有することを特徴とする請求項35に記載のガイドワイヤー。
【請求項37】
前記切欠け部は、前記手元領域に規定されたノッチであることを特徴とする請求項36に記載のガイドワイヤー。
【請求項38】
前記方向付け機構は、凸、平坦、及び凹のいずれかの断面形状を有することを特徴とする請求項35に記載のガイドワイヤー。
【請求項39】
前記変形チップ端は、伸展性があり、予め曲げられていることを特徴とする請求項35に記載のガイドワイヤー。
【請求項40】
前記変形チップ端は、J型チップ端形状を有していることを特徴とする請求項39に記載のガイドワイヤー。
【請求項41】
前記ガイドワイヤーの遠位部に設けられる複数の磁気素子を更に備え、その磁気素子により、外部磁気検出機器が、前記患者の前記脈管内の前記ガイドワイヤーの前記遠位部を位置付けできることを特徴とする請求項35に記載のガイドワイヤー。
【請求項42】
前記ガイドワイヤーの前記本体上に配設され、各々が前記ガイドワイヤーの前記手元端及び遠位端の一方に関する距離を示している複数の深さマークを更に備えることを特徴とする請求項35に記載のガイドワイヤー。
【請求項1】
患者の脈管内にカテーテルを位置付けする際に使用するガイドワイヤーであって、
手元端と遠位端の間に延びる棒状本体と、
前記ガイドワイヤーの前記本体上に配設され、各々が前記ガイドワイヤーの前記手元端及び遠位端の一方に関する距離を示している複数の深さマークと、
を備えることを特徴とするガイドワイヤー。
【請求項2】
前記深さマークは、前記ガイドワイヤーの前記遠位端から前記手元端に延びることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項3】
前記深さマークは、前記遠位端の方から順に増加する数値目盛りであることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項4】
前記深さマークは、前記手元端の方から順に増加する数値目盛りであることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項5】
前記ガイドワイヤーが前記患者に挿入されたとき、前記深さマークにより、前記ガイドワイヤーの前記遠位端と挿入部位との間の距離が判定できることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項6】
前記ガイドワイヤーの前記遠位端が、前記患者の前記脈管内の所望の位置に位置付けされたときに、前記ガイドワイヤーの前記遠位端と前記挿入部位との間の距離が判定されることを特徴とする請求項5に記載のガイドワイヤー。
【請求項7】
前記ガイドワイヤーの前記遠位端と前記挿入部位との間の判定距離により、前記患者の前記脈管内に挿入される前に、カテーテルを切り落とすことができることを特徴とする請求項5に記載のガイドワイヤー。
【請求項8】
前記ガイドワイヤーは、その挿入の間、前記カテーテルの管腔に受け入れられるように構成され、前記カテーテルの遠位端が前記所望の位置に位置付けされると、前記患者から取り除かれるように構成されることを特徴とする請求項7に記載のガイドワイヤー。
【請求項9】
前記ガイドワイヤーは、その遠位領域が、ECGベースの機器を使用して、前記患者の前記脈管内で追跡可能であるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項10】
前記ガイドワイヤーの遠位領域に配設される少なくとも1つの磁気素子を更に備え、その少なくとも1つの磁気素子により、前記患者の外部に配設された磁気検出機器を使用して、前記ガイドワイヤーの前記遠位部が追跡されることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項11】
前記患者の前記脈管を通して前記ガイドワイヤーが進むのを容易にする、前記遠位端の変形遠位チップ端を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項12】
前記変形遠位チップ端は、伸展性遠位チップ端であることを特徴とする請求項11に記載のガイドワイヤー。
【請求項13】
前記ガイドワイヤーの手元領域に方向付け機構を更に備え、その方向付けにより前記変形遠位チップ端の方向が判定できることを特徴とする請求項11に記載のガイドワイヤー。
【請求項14】
前記深さマークは、前記ガイドワイヤー本体にエッチング処理で付されていることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項15】
前記深さマークは、放射線映像的に観察可能であることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
【請求項16】
患者の脈管内にカテーテルを位置付けする方法であって、
挿入部位において前記脈管に接近し、
前記挿入部位を介して、ガイドワイヤーの遠位端が所望の位置に位置付けされるまで、前記ガイドワイヤーを前記脈管を通して進め、
前記ガイドワイヤー上に規定された複数の深さマークを使用して、前記挿入部位と、前記所望の位置にある、前記ガイドワイヤーの前記遠位端との間の距離を判定することを特徴とするカテーテルを位置付けする方法。
【請求項17】
前記患者の前記脈管内に挿入する前に、前記カテーテルを、前記挿入部位と、前記所望の位置にある、前記ガイドワイヤーの前記遠位端との間の判定された距離と等しい長さに切り落とすことを特徴とする請求項16に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項18】
前記カテーテルの遠位端が前記所望の位置に到達するまで、前記カテーテルを、前記ガイドワイヤーを覆いながら前記患者の前記脈管内に挿入し、
前記脈管から前記ガイドワイヤーを取り除くことを特徴とする請求項17に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項19】
前記ガイドワイヤーの遠位領域は、少なくとも1つの磁気素子を備えており、前記ガイドワイヤーを前記脈管を通して進めるステップにおいては、前記患者の外部に配設され、前記患者の前記脈管内の前記ガイドワイヤーの前記遠位領域の前記少なくとも1つの磁気素子の位置を検出する磁気検出機器からの支援を伴って、前記ガイドワイヤーを前記脈管を通して進めることを特徴とする請求項16に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項20】
前記ガイドワイヤーを前記脈管を通して進めるステップにおいては、前記患者の外部に配設され、前記患者の前記脈管内の前記ガイドワイヤーの遠位領域の位置を検出するECGベースの機器からの支援を伴って、前記ガイドワイヤーを前記脈管を通して進めることを特徴とする請求項16に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項21】
患者の脈管内にカテーテルを位置付けする方法であって、
挿入部位において前記脈管に接近し、
管腔を規定するカテーテルと、前記カテーテルの前記管腔内に配設されるガイドワイヤーであって、その遠位端が、前記脈管を辿っていくのを支援するように構成された変形遠位チップ端を有すると共に、その遠位領域が、少なくとも1つの磁気素子を有するガイドワイヤーと、を備えたカテーテルアセンブリを前記脈管内に進め、
前記ガイドワイヤーが、前記患者の前記脈管を辿りつつあるとき、磁気検出機器により、前記ガイドワイヤーの前記遠位領域の位置を検出し、
前記患者の前記脈管内で障害物に遭遇した場合に、前記ガイドワイヤーの前記遠位端を前記カテーテルの遠位端よりも前に進めて、前記カテーテルの前記遠位端が所望の位置に到達できるようにすることを特徴とするカテーテルを位置付けする方法。
【請求項22】
複数の深さマークが、前記挿入箇所から前記ガイドワイヤーの前記遠位端までの距離を示すために、前記ガイドワイヤー上に設けられ、前記ガイドワイヤーの前記深さマークに対応する複数のマークが、前記カテーテル上に規定され、
前記方法は、前記ガイドワイヤーの前記遠位端をより前方に進めた後、前記ガイドワイヤー上の前記深さマークと前記カテーテル上の前記マークを使用して、前記カテーテルの前記遠位端を、前記所望の位置で、前記ガイドワイヤーの前記遠位端と揃えることを特徴とする請求項21に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項23】
前記ガイドワイヤーの前記遠位端の位置を検出するステップは、更に、前記ガイドワイヤーの前記遠位端が前記所望の位置に到達した時を確認することを特徴とする請求項21に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項24】
前記遠位端を進めるステップは、更に、前記ガイドワイヤーの遠位端を前記カテーテルの遠位端よりも前に進める前に、前記カテーテルの遠位端と前記ガイドワイヤーとを共に固定する固定機器を解放することを特徴とする請求項21に記載のカテーテルを位置付けする方法。
【請求項25】
手元端、遠位端、及びそれらの間に延びる少なくとも1つの管腔を規定する棒状本体を有するカテーテルと、
前記カテーテルの前記管腔内に受け入れられ、患者の脈管を通して前記カテーテルを案内するように構成されたガイドワイヤーと、
を備えるカテーテルアセンブリであって、
前記ガイドワイヤーは、
前記ガイドワイヤーの長さ方向の少なくとも一部に沿った複数の深さマークであって、前記ガイドワイヤーの遠位端と、前記ガイドワイヤーが前記患者の前記脈管内に入り込む際に通る挿入部位との間の距離を示す前記深さマークと、
前記ガイドワイヤーの前記遠位端の変形チップ端であって、前記患者の前記脈管を通して前記ガイドワイヤーが辿っていくのを支援するように構成された変形チップ端と、
を有することを特徴とするカテーテルアセンブリ。
【請求項26】
前記ガイドワイヤーの手元領域に配設され、前記変形チップ端の向きに対応した方向付け機構を更に備え、それにより前記カテーテルアセンブリの位置付け者は、前記患者の前記脈管内の前記変形チップ端の向きを判定できることを特徴とする請求項25に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項27】
前記方向付け機構は、前記ガイドワイヤーの前記手元領域の一部に沿って長手方向に延びた切欠け部を有することを特徴とする請求項26に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項28】
前記方向付け機構は、凸、平坦、及び凹のいずれかの断面形状を有することを特徴とする請求項26に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項29】
前記深さマークは、前記遠位端の方から順に増加するセンチメーター値で目盛られていることを特徴とする請求項25に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項30】
前記カテーテルは、前記ガイドワイヤーの前記遠位端が、前記患者の前記脈管内の所望の位置に位置付けされたときに、前記患者の前記脈管内における位置付けのために前記ガイドワイヤーを覆って摺動するように構成されていることを特徴とする請求項25に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項31】
前記変形チップ端は、伸展性があり、予め曲げられていることを特徴とする請求項25に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項32】
前記変形チップ端は、J型チップ端形状を有していることを特徴とする請求項25に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項33】
前記カテーテルを前記ガイドワイヤーに解放可能に固定する固定機器を更に備えることを特徴とする請求項25に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項34】
前記固定機器は、前記カテーテルの手元端に取り付けられたハブの手前に設けられているTouhy-Borstアダプターであることを特徴とする請求項33に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項35】
患者の脈管内にカテーテルを位置付けする際に使用するガイドワイヤーであって、
手元端と遠位端の間に延びる棒状本体と、
前記ガイドワイヤーの前記遠位端に配設され、前記患者の前記脈管を通して前記ガイドワイヤーが辿っていくのを支援するように構成された変形チップ端と、
前記ガイドワイヤーの手元領域に配設され、前記変形チップ端の向きに対応した方向付け機構であって、前記カテーテルアセンブリの位置付け者が、前記患者の前記脈管内における前記変形チップ端の向きを判定できるようにした前記方向付け機構と、
を備えることを特徴とするガイドワイヤー。
【請求項36】
前記方向付け機構は、前記ガイドワイヤーの前記手元領域の一部に沿って長手方向に延びた切欠け部を有することを特徴とする請求項35に記載のガイドワイヤー。
【請求項37】
前記切欠け部は、前記手元領域に規定されたノッチであることを特徴とする請求項36に記載のガイドワイヤー。
【請求項38】
前記方向付け機構は、凸、平坦、及び凹のいずれかの断面形状を有することを特徴とする請求項35に記載のガイドワイヤー。
【請求項39】
前記変形チップ端は、伸展性があり、予め曲げられていることを特徴とする請求項35に記載のガイドワイヤー。
【請求項40】
前記変形チップ端は、J型チップ端形状を有していることを特徴とする請求項39に記載のガイドワイヤー。
【請求項41】
前記ガイドワイヤーの遠位部に設けられる複数の磁気素子を更に備え、その磁気素子により、外部磁気検出機器が、前記患者の前記脈管内の前記ガイドワイヤーの前記遠位部を位置付けできることを特徴とする請求項35に記載のガイドワイヤー。
【請求項42】
前記ガイドワイヤーの前記本体上に配設され、各々が前記ガイドワイヤーの前記手元端及び遠位端の一方に関する距離を示している複数の深さマークを更に備えることを特徴とする請求項35に記載のガイドワイヤー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【公表番号】特表2010−524581(P2010−524581A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504220(P2010−504220)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/060502
【国際公開番号】WO2008/131017
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/060502
【国際公開番号】WO2008/131017
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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