ガイド体付ワイヤーハーネス
【課題】ワイヤーハーネスの余長吸収状態を安定させることを目的とする。
【解決手段】2つの部材間に配設されるガイド体付ワイヤーハーネス10であって、それぞれ複数の折目22でジグザグに折られた、一対の不織部材20と、少なくとも1本の電線を含むワイヤーハーネス30とを備える。一対の不織部材20が、それぞれの前記折目22を外周周りにずらした状態で、伸縮可能な長尺状のガイド体26を構成するように組合わされ、前記ワイヤーハーネス30が前記ガイド体26に沿って配設されている。
【解決手段】2つの部材間に配設されるガイド体付ワイヤーハーネス10であって、それぞれ複数の折目22でジグザグに折られた、一対の不織部材20と、少なくとも1本の電線を含むワイヤーハーネス30とを備える。一対の不織部材20が、それぞれの前記折目22を外周周りにずらした状態で、伸縮可能な長尺状のガイド体26を構成するように組合わされ、前記ワイヤーハーネス30が前記ガイド体26に沿って配設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のメーターユニット等への配線に用いられるガイド体付ワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の速度計等を含むメーターユニットをインストルメントパネル等の被組付体に組付ける際には、インストルメントパネルよりワイヤーハーネスを引出し、これをメーターユニットに接続した後、メーターユニットをインストルメントパネルに取付けることになる。この際、ワイヤーハーネスには余長が発生してしまい、余長分のワイヤーハーネスは、他の周辺機器或は車体に干渉したり、噛み込まれてしまう恐れがある。
【0003】
そこで、ワイヤーハーネスの余長を吸収する技術が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1では、支線を一定寸法で順次折返すと共に、折返し端部をテープに結束する技術が開示されている。この特許文献1では、支線の引張りが解除されると、支線が折畳み状態となって、余長が吸収されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−83516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、支線の引張り状態及び折畳み状態が不安定である。このため、折畳み状態でも支線がU字状に弛んでしまい、周辺部材に干渉する恐れがある。
【0007】
そこで、本発明は、ワイヤーハーネスの余長吸収状態を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスは、2つの部材間に配設されるガイド体付ワイヤーハーネスであって、それぞれ複数の折目でジグザグに折られた、一対の不織部材と、少なくとも1本の電線を含むワイヤーハーネスとを備え、前記一対の不織部材が、それぞれの前記折目を外周周りにずらした状態で、伸縮可能な長尺状のガイド体を構成するように組合わされ、前記ワイヤーハーネスが前記ガイド体に沿って配設されている。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記一対の不織部材の少なくとも一方に、前記ワイヤーハーネスを構成する電線の少なくとも一部が収容されている。
【0010】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記一対の不織部材が、連続する菱形を形成し、かつ、それぞれの前記折目の折り角度を変更することにより伸縮可能なガイド体を構成するように組合わされている。
【0011】
第4の態様は、第3の態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記一対の不織部材の折目間にスリットが形成され、前記一対の不織部材のスリット同士を嵌め合わせることによって、そのスリット同士の嵌め合わせ部分及び前記折目を頂点とする菱形を複数連続して形成するように、前記一対の不織部材が組合わされている。
【0012】
第5の態様は、第4の態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記不織部材は、前記ワイヤーハーネスの少なくとも一部の電線を収容する電線収容部と、前記電線収容部の一側部に設けられ、平坦になるようにホットプレスされた側縁部とを有し、前記側縁部に前記スリットが形成されている。
【0013】
第6の態様は、第1又は第2の態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記一対の不織部材が、それぞれの前記折目を前記ガイド体の中心周りに90度ずらすように配設して、交互に折重なるように組合わされている。
【0014】
第7の態様は、第1〜第6のいずれか1つの態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記一対の不織部材は、前記折目間の平坦部ではホットプレスされ、前記折目ではホットプレスされていない。
【0015】
第8の態様は、第1〜第6のいずれか1つの態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記一対の不織部材は、前記折目でホットプレスされている。
【発明の効果】
【0016】
第1の態様によると、前記一対の不織部材が、それぞれの折目を外周周りにずらした状態で、伸縮可能な長尺状のガイド体を構成するように組合わされているため、一対の不織部材の相互補完関係によって、ガイド体は直線状態で伸縮し易くなる。このため、ワイヤーハーネスの余長吸収状態を安定させることができる。
【0017】
第2の態様によると、前記一対の不織部材の少なくとも一方に、前記ワイヤーハーネスを構成する電線の少なくとも一部が収容されているため、当該電線を保護しつつ余長吸収できる。
【0018】
第3の態様によると、前記一対の不織部材が、連続する菱形を形成し、かつ、それぞれの折目の折り角度を変更することにより伸縮可能なガイド体を構成するように組合わされているため、ガイド体をより確実に直線状態で伸縮させることができる。
【0019】
第4の態様によると、一対の不織部材の折目間にスリットを形成し、スリット同士を嵌め合わせることによって、容易にガイド体を製造することができる。
【0020】
第5の態様によると、電線収容部で電線を保護しつつ、スリットを形成できる。
【0021】
第6の態様によると、前記一対の不織部材が、それぞれの前記折目を前記ガイド体の中心周りに90度ずらすように配設して、交互に折重なるように組合わされる構造によって、余長吸収することができる。
【0022】
第7の態様によると、不織部材を折目で容易に曲げることができるため、一対の不織部材の組合わせ作業等が容易となる。
【0023】
第8の態様によると、不織部材の折目をホットプレスすることで、しっかりと収縮変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネスを示す斜視図である。
【図2】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの使用例を示す説明図である。
【図3】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの使用例を示す説明図である。
【図4】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図5】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図6】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図7】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図8】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図9】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図10】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図11】第2実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネスを示す部分斜視図である。
【図12】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例について説明する。
【図13】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例について説明する。
【図14】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例について説明する。
【図15】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例について説明する。
【図16】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例について説明する。
【図17】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例について説明する。
【図18】変形例に係るガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図19】変形例に係るガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図20】変形例に係るガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図21】変形例に係るガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネスについて説明する。図1は第1実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネス10を示す斜視図であり、図2は及び図3は同ガイド体付ワイヤーハーネス10の使用例を示す説明図である。
【0026】
このガイド体付ワイヤーハーネス10は、2つの部材間に配設されて、当該2つの部材間を電気的に接続する配線として用いられる。2つの部材は、一般的には被取付部材50と、当該被取付部材50に取付けられる取付部材60という関係にある。被取付部材50の一例はインストルメントパネル等である。取付部材の一例は、スピードメータ等を有するメーターユニット、シートスライドスイッチ、ヘッドランプスイッチ、ヘッドライトの光軸を調整するためのレベルスイッチ等である。これらの取付部材60を被取付部材50に取付けるにあたっては、一般的には、取付部材60から多少離れた位置で、取付部材60と被取付部材50とに配線を接続した後、取付部材60を被取付部材50に取付ける作業が実施される。このため、取付部材60を被取付部材50に取付けた状態で、当該配線材に余長が生じる。そこで、そのような配線の余長を吸収する必要がある。本ガイド体付ワイヤーハーネス10は、そのような余長を吸収できる配線材として用いられる。
【0027】
ガイド体付ワイヤーハーネス10は、一対の不織部材20と、ワイヤーハーネス30とを備えている。
【0028】
不織部材20は、複数の折目22でジグザグに折られている。より具体的には、不織部材20は、後述するようにホットプレスされることで、長尺帯状に形成されており、また、その長手方向に沿って複数の折目22が間隔をあけて(ここでは均等な間隔をあけて)形成されている。各折目22は、不織部材20をその幅方向に横切るように形成されている。また、折目22は、不織部材20の長手方向において交互に逆方向に折られている。不織部材20のより具体的な加工例については後述する。
【0029】
ワイヤーハーネス30は、少なくとも1本の電線32を有している。ここでは、ワイヤーハーネス30は、複数の電線32を有し、2つのグループに分けられている。一方のワイヤーハーネス30のグループ31は、一方の不織部材20の長手方向に沿った状態で当該一方の不織部材20に収容されている。他方のワイヤーハーネス30のグループ31は、他方の不織部材20の長手方向に沿った状態で当該他方の不織部材20に収容されている。ここでは、不織部材20内に電線32を配設した状態で、上記不織部材20をホットプレスすることで、その内部に電線32を収容保持している。この方法の具体例については後述する。
【0030】
もっとも、ワイヤーハーネス30が複数の電線32を有していることは必須ではなく、少なくとも1本の電線32を有していればよい。また、電線32は、断面円形状のものである必要はない、例えば、電線として、並列配置された複数の芯線を一対の絶縁フィルムで挟込んだ扁平な電線等を用いてもよい。
【0031】
また、一対の不織部材20の両方に電線32が収容されていることも必須ではない、一方の不織部材20のみに電線32を収容してもよい。また、不織部材20内に電線32が収容されていることも必須ではなく、不織部材20の外面に電線32が敷設されていてもよいし、或は、一対の不織部材20によって構成されたガイド体26のいずれかの部位に電線32が取付けられ、当該ガイド体26に沿って電線32が支持されてもよい。
【0032】
また、上記一対の不織部材20は、連続する菱形の枠を形成するように組合わされ、これにより、それぞれの折目22の折り角度を変更することにより伸縮可能なガイド体26が構成されている。換言すれば、一対の不織部材20は、一種のパンダグラフ構造を構成するように組合わされている。
【0033】
より具体的には、不織部材20の一側部に電線32が収容されており、不織部材20の折目22間にスリット24が形成されている。スリット24は、不織部材20の幅方向に沿って、不織部材20の他側部から一側部に向かうように形成されている。スリット24は、不織部材20のうち電線32の収容部分よりも他側部側に形成されており、好ましくは、不織部材20の幅方向半分程度の長さに形成されている。
【0034】
そして、一対の不織部材20は、それぞれのスリット24同士を嵌め合わせることによって、隣合うスリット24同士の2つの嵌め合わせ部分及び対向する2つの折目22を頂点とする菱形が複数連続して形成される。このように一対の不織部材20が組合わされることによって、ガイド体26が構成されている。
【0035】
このように構成されたガイド体付ワイヤーハーネス10は、次のように使用される。すなわち、車両におけるインストルメントパネル等の被取付部材50に、メーターユニット等の取付部材60を取付ける場合において、ガイド体付ワイヤーハーネス10の一端部が被取付部材50側の電気機器又は配線に接続される。ここでの接続はコネクタ接続等によってなされる。もっとも、ガイド体付ワイヤーハーネス10が、被取付部材50内に配索されるワイヤーハーネスの一部として組込まれ、ガイド体付ワイヤーハーネス10に相当する部分が被取付部材50から外部に引出されていてもよい。
【0036】
そして、ガイド体付ワイヤーハーネス10の他端部を被取付部材50にコネクタ接続等で接続する。この際、ガイド体付ワイヤーハーネス10のワイヤーハーネス30の長さ寸法は、本来の配線に必要な長さよりも長く、つまり、余長が生じるように設定されている。そして、取付部材60を被取付部材50に取付ける前の状態では、折目22の折り角度を大きくすることで、ガイド体付ワイヤーハーネス10は伸長することができる(図2参照)。これにより、ガイド体付ワイヤーハーネス10を被取付部材50から引出し、ガイド体付ワイヤーハーネス10の取り回し性を良好にした状態で、当該ガイド体付ワイヤーハーネス10と取付部材60との接続作業等を容易に行える。
【0037】
一方、被取付部材50を取付部材60に近づけると、折目22の折り角度を小さくすることで、ガイド体付ワイヤーハーネス10は縮小変形することができる。この際、ガイド体26は、一種のパンタグラフ構造をなしており、菱形を保ちつつ、つまり、直線状態を保ちつつ縮小変形することができる(図3参照)。このため、ガイド体26は、縮小状態で直線状態を維持することができ、被取付部材50と取付部材60との間でU字状に垂下がり難い。これにより、被取付部材50と取付部材60との間でガイド体付ワイヤーハーネス10が周辺の部材に干渉等し難い状態に維持される。
【0038】
図4〜図8を参照して、上記ガイド体付ワイヤーハーネス10の製造方法例について説明する。
【0039】
まず、長方形シート状の不織材料20aを準備し、この不織材料20aの一主面状にワイヤーハーネス30のグループ31を配設する(図4参照)。
【0040】
ここで、不織材料20aとしては、主体繊維とバインダ繊維とが相互に絡み合ったものを用いることができる。主体繊維は、繊維状に形成されており、次述するバインダよりも高い融点を有している。バインダ繊維は、例えば、芯繊維の外周にバインダの層を形成したものであり、全体として繊維状をなしている。芯繊維の融点は、バインダの融点よりも高い。つまり、バインダは、主体繊維及び芯繊維よりも低い融点を有する樹脂である。そして、不織材料を、主体繊維及び芯繊維の融点よりも低くかつバインダの融点よりも高い温度に加熱することで、バインダが溶融して主体繊維及び芯繊維間に染みこむ。この後、不織材料20aがバインダの融点よりも低い温度になると、主体繊維及び芯繊維同士を結合した状態でバインダが固化する。これにより、不織材料が加熱前の状態よりも硬くなり、かつ、加熱時の成型形状に維持されるようになる。また、不織材料20aが相互に接触していた部分では、溶融後固化したバインダによって不織材料20a同士が接合される。
【0041】
上記主体繊維は、バインダの融点で繊維状態を保ち得ればよく、主体繊維としては、樹脂繊維の他、各種繊維を用いることができる。また、本実施形態では、主体繊維と芯繊維とが同じ材質であることを想定して説明するが、これらはそれぞれバインダよりも高い融点を有していればよく、必ずしも同じ材質である必要はない。
【0042】
また、バインダは、必ずしも上記のように芯繊維の外周に形成される態様で存在している必要はない。バインダそれ自体が、粒状又は繊維状に形成され、上記主体繊維中に混ざっていればよい。
【0043】
次に、不織材料20a内にワイヤーハーネス30のグループ31を挟込むようにして、不織材料20aを2つ折りにする(図5参照)。この際、ワイヤーハーネス30のグループ31が、折畳まれた不織材料20aの折目20b側の半分領域内に配設されるようにする。また、ワイヤーハーネス30のグループ31に属する複数の電線32は、なるべく扁平状態となるように並列状態に揃えることが好ましい。
【0044】
次に、不織材料20aをホットプレスする(図6参照)。ここで、ホットプレスとは、加工対象物である不織材料20aを型間に挟込み、加熱状態で型に圧を加えて不織材料20aを成型加工することをいう。ここでは、例えば、図9に示すように、平坦な型面40aを有する一対の型40間で、不織材料20aを挟込むことで、ホットプレスを行うことができる。なお、型40には、ヒータ等の加熱部42が設けられており、この加熱部42によって型40を加熱することができる。
【0045】
このようにワイヤーハーネス30のグループ31を挟込んだ状態で不織材料20aをホットプレスすることで、より扁平なシート状に加工され、かつ、不織材料20aの重ね合せ部分が接合されて内部にワイヤーハーネス30のグループ31を保持した不織部材20を得ることができる。
【0046】
なお、不織材料20aをホットプレスする際、不織材料20aの全体をホットプレスしてもよいし、或は、不織材料20aのうち折目22を形成する部分を除く平坦部分21をホットプレスするようにしてもよい。後者のようにすることで、後の工程において、容易に折目22を形成することができる。ここでは、後者の例で説明する。また、不織材料20aのうちワイヤーハーネス30のグループ31を収容した部分をホットプレスの対象から除いてもよい。
【0047】
次に、不織部材20のうち折目22を形成すべき部分間に、スリット24を形成する(図7参照)。スリット24は、はさみ、カッター、押切刃等で形成することができる。つまり、不織部材20のうちの上記一側部側の部分が電線収容部20Aであり、その電線収容部20Aの一側部に平坦になるようにホットプレスされた側縁部20Bが設けられ、この側縁部20Bにスリット24が形成されている。
【0048】
この後、不織部材20を折って折目22を形成し、ジグザグに折られた不織部材20を2つ準備する。
【0049】
なお、折目22を形成する際、単に不織部材20に外力を加えて折るだけでもよいし、或は、折目22でホットプレスするようにしてもよい。後者の場合、図10に示すように、不織部材20を折った状態で、当該折目22を部分的に加熱された一対の型140間で挟込んで加熱及び加圧するとよい。なお、この型140もヒータ等の加熱部142によって加熱されるとよい。このように、折目22をホットプレスしておくことで、不織部材20をしっかりと収縮変形させることができる。なお、このように折目22をホットプレスしない場合でも、不織部材20及びその内部の電線32に折り癖をつけておくことで、収縮方向への癖付を行うことができる。
【0050】
そして、互いの折目22が逆方向を向くように、かつ、互いのスリット24が互いに対向するように、一対の不織部材20を配設し、対向するスリット24同士を嵌め合わせる(図8参照)。嵌め合わせ部分は、そのままの状態で放置されてもよいし、或は、接着剤等で接合されてもよい。当該嵌め合わせ部分において、不織部材20同士の交差角度が変更できればよい。
【0051】
以上により、ガイド体付ワイヤーハーネス10が製造される。
【0052】
以上のように構成されたガイド体付ワイヤーハーネス10によると、一対の不織部材20が、それぞれの折目22を外周周りにずらした状態で(ここでは、外周周りに対向して配設した状態で)、伸縮可能な長尺状のガイド体26を構成するように組合わされている。このため、各不織部材20が相互に補完し合うことによって、特定方向への曲げ易さを打消すことができる。これにより、ガイド体26は直線状態を維持した状態で伸縮し易くなり、ワイヤーハーネス30の余長吸収状態を安定させることができる。これにより、ガイド体付ワイヤーハーネス10を周辺の部材との干渉を抑制することができ、接触音、磨耗、傷付等を抑制することができる。
【0053】
特に、一対の不織部材20が連続する菱形を形成し、それぞれの折目22の折り角度を変更することにより伸縮可能なガイド体26を構成するように組合わされているため、ガイド体付ワイヤーハーネス10より確実に直線状態を維持しつつ伸縮することができる。これにより、ガイド体付ワイヤーハーネス10を周辺の部材との干渉さらには接触音、磨耗、傷付等をより確実に抑制することができる。
【0054】
また、一対の不織部材20にスリット24を形成し、互いのスリット24同士を嵌め合わせることで、ガイド体26を構成しているため、当該ガイド体26を容易に製造することができる。
【0055】
また、不織部材20の一側部に電線収容部20Aを設け、その電線収容部20Aの一側部でホットプレスされた側縁部20Bにスリット24が形成されているため、不織部材20で電線32を保護しつつ、組合わせ用のスリット24を容易に形成できる。
【0056】
また、ワイヤーハーネス30のグループ31は不織部材20内に収容されているため、当該グループ31の電線32を外部から見えないように保護しつつ余長吸収できる。
【0057】
また、上記のようにワイヤーハーネス30を余長吸収できる結果、ワイヤーハーネス全体の経路設計が簡易となり、また、その組込も容易となる。
【0058】
また、上記ガイド体26は、不織部材20を適宜折ってホットプレスすることで比較的簡易にワイヤーハーネス10と一体組込した状態で製造することができるという利点もある。
【0059】
{第2実施形態}
第2実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネス210について説明する。図11は第2実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネス210を示す部分斜視図である。
【0060】
このガイド体付ワイヤーハーネス210は、上記第1実施形態と同様に、2つの部材間に配設されて、当該2つの部材間を電気的に接続する配線として用いられる。2つの部材の例及びこれらに対する適用例は、上記第1実施形態で説明した通りである。
【0061】
ガイド体付ワイヤーハーネス210は、一対の不織部材220と、ワイヤーハーネス230(図12〜図17参照)とを備えている。
【0062】
不織部材220は、上記第1実施形態と同様に、複数の折目222でジグザグに折られている。本実施形態において、不織部材220のより具体的な加工例については後述する。
【0063】
ワイヤーハーネス230は、少なくとも1本の電線を有している。ここでは、ワイヤーハーネス230は、上記第1実施形態と同様に、複数の電線を有し、2つのグループに分けられている。一方のワイヤーハーネス230のグループ231は、一方の不織部材220に収容され、他方のワイヤーハーネス230のグループ231は、他方の不織部材220に収容されている。不織部材220がワイヤーハーネス230のグループ231を収容する具体例については後述する。
【0064】
もっとも、上記第1実施形態で述べたのと同様に、ワイヤーハーネス230が複数の電線を有していること、電線が断面円形状のものであること、一対の不織部材220の両方に電線が収容されていること、不織部材220内に電線が収容されていること等は必須ではない。
【0065】
また、上記一対の不織部材220は、長尺状のガイド体226を構成するように組合わされている。一対の不織部材220は、組合わせ状態において、それぞれの折目222を、ガイド体226の中心周りに90度ずらすように配設した状態で、交互に折重なるように組合わされている。
【0066】
この第2実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネス210によると、折目222の折り角度を変更させつつ、伸縮変形することができる。この際、両不織部材220はその折目222の延在方向(つまり、幅方向)に曲り難く、当該方向に対して直交する方向へは曲り易い。そして、このような不織部材220が、それぞれの折目222を、ガイド体226の中心周りに90度ずらすように配設した状態で組合わされているため、全体的には曲り難い構成となっている。このため、ガイド体付ワイヤーハーネス210は、直線状態を保ちつつ伸縮変形することができることとなる。従って、上記第1実施形態と同様に、取付部材60の取付時には、ガイド体付ワイヤーハーネス210を伸長状態とすることで、ガイド体付ワイヤーハーネス210と取付部材60との接続作業等を容易に行え、かつ、被取付部材50を取付部材60に取付けた状態では、ガイド体付ワイヤーハーネス210は直線状態を保ちつつ縮小変形して、周辺の部材に干渉等し難い状態を維持することができる。
【0067】
図12〜図17を参照して、上記ガイド体付ワイヤーハーネス210の製造方法例について説明する。
【0068】
まず、帯シート状の不織材料220aを2つ準備し、一方の不織材料220aの一主面状にワイヤーハーネス230のグループ231を配設する(図12参照)。ここで用いられる不織材料220aは、上記第1実施形態で説明したものと同様である。
【0069】
そして、一方の不織材料220aの上に他方の不織材料220aを重ね合せ、両不織材料220a間にワイヤーハーネス230のグループ231を挟込む(図13参照)。
【0070】
次に、不織材料220aをホットプレスする(図14参照)。これにより、重ね合された一対の不織材料220aがより扁平なシート状に加工され、かつ、一対の不織材料220aの重ね合せ部分が接合されて内部にワイヤーハーネス230のグループ231を保持した不織部材220を得ることができる。
【0071】
なお、不織材料220aをホットプレスする際、上記第1実施形態と同様に、不織材料220aの全体をホットプレスしてもよいし、或は、不織材料220aのうち折目222を形成する部分を除く平坦部分221をホットプレスするようにしてもよい。ここでは、後者の例で説明する。また、不織材料220aは、側部でのみホットプレスされていてもよい。
【0072】
次に、上記のように加工された不織部材220を2つ準備し、その端部同士を重ね合せるように直交状態に配設する(図15参照)。
【0073】
そして、一方の不織部材220を他方の不織部材220の縁部で折曲げて折目222を形成し、当該一方の不織部材220を他方の不織部材220に折重ねる(図16参照)。
【0074】
同様に、他方の不織部材220を一方の不織部材220の縁部で折曲げて折目222を形成し、当該他方の不織部材220を一方の不織部材220に折重ねる(図17参照)。
【0075】
上記を交互に繰返していくと、各不織部材220が複数の折目222でジグザグに折られ、かつ、それぞれの折目222を中心周りに90度ずらした状態で組合わされたガイド体226(ガイド体付ワイヤーハーネス210)が得られる。
【0076】
なお、上記第1実施形態と同様に、折目222は単に不織部材220に外力を加えるだけで形成されたものであってもよいし、或は、ホットプレスによって形成されたものであってもよい。後者の場合、2つの不織部材220を組合わせる前にホットプレスによって折目222が形成されていてもよいし、或は、2つの不織部材220を組合わせる際に順次折目222をホットプレスにより形成していってもよい。
【0077】
以上のように構成されたガイド体付ワイヤーハーネス210によると、一対の不織部材220が、それぞれの折目222を外周周りにずらした状態で(ここでは、90度ずらして配設した状態で)、伸縮可能な長尺状のガイド体226を構成するように組合わされている。このため、個々の不織部材220が有する特定方向への曲げ易さという性質を相互補完して打消すことができる。これにより、ガイド体226は直線状態を維持した状態で伸縮し易くなり、ワイヤーハーネス230の余長吸収状態を安定させることができる。これにより、ガイド体付ワイヤーハーネス210を周辺の部材との干渉を抑制することができ、接触音、磨耗、傷付等を抑制することができる。
【0078】
また、ワイヤーハーネス230のグループ231は、不織部材220内に収容されているため、当該グループ231の電線を外部から見えないように保護しつつ余長吸収できる。
【0079】
また、上記のようにワイヤーハーネス230を余長吸収できる結果、ワイヤーハーネス全体の経路設計が簡易となり、また、その組込も容易となる。
【0080】
また、上記ガイド体226は、不織部材220を適宜折ってホットプレスすることで比較的簡易にワイヤーハーネス210と一体組込した状態で製造することができるという利点もある。
【0081】
図18〜図21は、変形例に係るガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【0082】
本変形例は、ワイヤーハーネス330を、不織部材320内に収容しない例である。
【0083】
すなわち、帯シート状の不織部材320を2つ準備し、一方の不織部材320の一主面状にワイヤーハーネス330を配設する(図18参照)。
【0084】
そして、一方の不織部材320の端部上に他方の不織部材320の端部を重ね合せ、直交状態に配設する(図19参照)。
【0085】
この後、一方の不織部材320を、ワイヤーハーネス330と共に折曲げて、他方の不織部材320に折重ねる(図20参照)。
【0086】
次に、他方の不織部材320を、一方の不織部材320に折重ねる(図21参照)。
【0087】
上記を交互に繰返していくと、各不織部材320が複数の折目322でジグザグに折られ、かつ、それぞれの折目322を中心周りに90度ずらした状態で組合わされたガイド体(ガイド体付ワイヤーハーネス)が得られる。
【0088】
なお、上記ガイド体のうち折目322を除く部分はホットプレスによって、より薄いシート状の形状に加工されるとよい。加工は、両不織部材320を組合わせる前の状態で行われても、後の状態で行われてもよい。両不織部材320を組合わせた後であっても、なるべく薄い型を使うことで、ホットプレスを実施することができる。
【0089】
また、上記折目322の全部又は一部が、ホットプレスによって折れた状態を維持する形状に加工されていてもよい。
【0090】
{変形例}
なお、一対の不織部材の組合わせ例は上記例に限られない。一対の不織部材が、それぞれの折目を外周周りにずらした状態で、伸縮可能な長尺状のガイド体を構成するように組合わされていれば、それぞれの不織部材が呈する所定方向への曲げ易さという性質を打消し合うことができ、結果、なるべく直線状態で伸縮させることができる。
【0091】
また、上記各実施形態及び変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0092】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0093】
10、210 ガイド体付ワイヤーハーネス
20、220、320 不織部材
20A 電線収容部
20B 側縁部
21、221 平坦部分
22、222、322 折目
24 スリット
26、226 ガイド体
30、230、330 ワイヤーハーネス
50 被取付部材
60 取付部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のメーターユニット等への配線に用いられるガイド体付ワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の速度計等を含むメーターユニットをインストルメントパネル等の被組付体に組付ける際には、インストルメントパネルよりワイヤーハーネスを引出し、これをメーターユニットに接続した後、メーターユニットをインストルメントパネルに取付けることになる。この際、ワイヤーハーネスには余長が発生してしまい、余長分のワイヤーハーネスは、他の周辺機器或は車体に干渉したり、噛み込まれてしまう恐れがある。
【0003】
そこで、ワイヤーハーネスの余長を吸収する技術が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1では、支線を一定寸法で順次折返すと共に、折返し端部をテープに結束する技術が開示されている。この特許文献1では、支線の引張りが解除されると、支線が折畳み状態となって、余長が吸収されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−83516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、支線の引張り状態及び折畳み状態が不安定である。このため、折畳み状態でも支線がU字状に弛んでしまい、周辺部材に干渉する恐れがある。
【0007】
そこで、本発明は、ワイヤーハーネスの余長吸収状態を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスは、2つの部材間に配設されるガイド体付ワイヤーハーネスであって、それぞれ複数の折目でジグザグに折られた、一対の不織部材と、少なくとも1本の電線を含むワイヤーハーネスとを備え、前記一対の不織部材が、それぞれの前記折目を外周周りにずらした状態で、伸縮可能な長尺状のガイド体を構成するように組合わされ、前記ワイヤーハーネスが前記ガイド体に沿って配設されている。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記一対の不織部材の少なくとも一方に、前記ワイヤーハーネスを構成する電線の少なくとも一部が収容されている。
【0010】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記一対の不織部材が、連続する菱形を形成し、かつ、それぞれの前記折目の折り角度を変更することにより伸縮可能なガイド体を構成するように組合わされている。
【0011】
第4の態様は、第3の態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記一対の不織部材の折目間にスリットが形成され、前記一対の不織部材のスリット同士を嵌め合わせることによって、そのスリット同士の嵌め合わせ部分及び前記折目を頂点とする菱形を複数連続して形成するように、前記一対の不織部材が組合わされている。
【0012】
第5の態様は、第4の態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記不織部材は、前記ワイヤーハーネスの少なくとも一部の電線を収容する電線収容部と、前記電線収容部の一側部に設けられ、平坦になるようにホットプレスされた側縁部とを有し、前記側縁部に前記スリットが形成されている。
【0013】
第6の態様は、第1又は第2の態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記一対の不織部材が、それぞれの前記折目を前記ガイド体の中心周りに90度ずらすように配設して、交互に折重なるように組合わされている。
【0014】
第7の態様は、第1〜第6のいずれか1つの態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記一対の不織部材は、前記折目間の平坦部ではホットプレスされ、前記折目ではホットプレスされていない。
【0015】
第8の態様は、第1〜第6のいずれか1つの態様に係るガイド体付ワイヤーハーネスであって、前記一対の不織部材は、前記折目でホットプレスされている。
【発明の効果】
【0016】
第1の態様によると、前記一対の不織部材が、それぞれの折目を外周周りにずらした状態で、伸縮可能な長尺状のガイド体を構成するように組合わされているため、一対の不織部材の相互補完関係によって、ガイド体は直線状態で伸縮し易くなる。このため、ワイヤーハーネスの余長吸収状態を安定させることができる。
【0017】
第2の態様によると、前記一対の不織部材の少なくとも一方に、前記ワイヤーハーネスを構成する電線の少なくとも一部が収容されているため、当該電線を保護しつつ余長吸収できる。
【0018】
第3の態様によると、前記一対の不織部材が、連続する菱形を形成し、かつ、それぞれの折目の折り角度を変更することにより伸縮可能なガイド体を構成するように組合わされているため、ガイド体をより確実に直線状態で伸縮させることができる。
【0019】
第4の態様によると、一対の不織部材の折目間にスリットを形成し、スリット同士を嵌め合わせることによって、容易にガイド体を製造することができる。
【0020】
第5の態様によると、電線収容部で電線を保護しつつ、スリットを形成できる。
【0021】
第6の態様によると、前記一対の不織部材が、それぞれの前記折目を前記ガイド体の中心周りに90度ずらすように配設して、交互に折重なるように組合わされる構造によって、余長吸収することができる。
【0022】
第7の態様によると、不織部材を折目で容易に曲げることができるため、一対の不織部材の組合わせ作業等が容易となる。
【0023】
第8の態様によると、不織部材の折目をホットプレスすることで、しっかりと収縮変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネスを示す斜視図である。
【図2】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの使用例を示す説明図である。
【図3】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの使用例を示す説明図である。
【図4】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図5】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図6】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図7】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図8】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図9】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図10】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図11】第2実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネスを示す部分斜視図である。
【図12】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例について説明する。
【図13】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例について説明する。
【図14】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例について説明する。
【図15】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例について説明する。
【図16】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例について説明する。
【図17】同上のガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例について説明する。
【図18】変形例に係るガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図19】変形例に係るガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図20】変形例に係るガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【図21】変形例に係るガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネスについて説明する。図1は第1実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネス10を示す斜視図であり、図2は及び図3は同ガイド体付ワイヤーハーネス10の使用例を示す説明図である。
【0026】
このガイド体付ワイヤーハーネス10は、2つの部材間に配設されて、当該2つの部材間を電気的に接続する配線として用いられる。2つの部材は、一般的には被取付部材50と、当該被取付部材50に取付けられる取付部材60という関係にある。被取付部材50の一例はインストルメントパネル等である。取付部材の一例は、スピードメータ等を有するメーターユニット、シートスライドスイッチ、ヘッドランプスイッチ、ヘッドライトの光軸を調整するためのレベルスイッチ等である。これらの取付部材60を被取付部材50に取付けるにあたっては、一般的には、取付部材60から多少離れた位置で、取付部材60と被取付部材50とに配線を接続した後、取付部材60を被取付部材50に取付ける作業が実施される。このため、取付部材60を被取付部材50に取付けた状態で、当該配線材に余長が生じる。そこで、そのような配線の余長を吸収する必要がある。本ガイド体付ワイヤーハーネス10は、そのような余長を吸収できる配線材として用いられる。
【0027】
ガイド体付ワイヤーハーネス10は、一対の不織部材20と、ワイヤーハーネス30とを備えている。
【0028】
不織部材20は、複数の折目22でジグザグに折られている。より具体的には、不織部材20は、後述するようにホットプレスされることで、長尺帯状に形成されており、また、その長手方向に沿って複数の折目22が間隔をあけて(ここでは均等な間隔をあけて)形成されている。各折目22は、不織部材20をその幅方向に横切るように形成されている。また、折目22は、不織部材20の長手方向において交互に逆方向に折られている。不織部材20のより具体的な加工例については後述する。
【0029】
ワイヤーハーネス30は、少なくとも1本の電線32を有している。ここでは、ワイヤーハーネス30は、複数の電線32を有し、2つのグループに分けられている。一方のワイヤーハーネス30のグループ31は、一方の不織部材20の長手方向に沿った状態で当該一方の不織部材20に収容されている。他方のワイヤーハーネス30のグループ31は、他方の不織部材20の長手方向に沿った状態で当該他方の不織部材20に収容されている。ここでは、不織部材20内に電線32を配設した状態で、上記不織部材20をホットプレスすることで、その内部に電線32を収容保持している。この方法の具体例については後述する。
【0030】
もっとも、ワイヤーハーネス30が複数の電線32を有していることは必須ではなく、少なくとも1本の電線32を有していればよい。また、電線32は、断面円形状のものである必要はない、例えば、電線として、並列配置された複数の芯線を一対の絶縁フィルムで挟込んだ扁平な電線等を用いてもよい。
【0031】
また、一対の不織部材20の両方に電線32が収容されていることも必須ではない、一方の不織部材20のみに電線32を収容してもよい。また、不織部材20内に電線32が収容されていることも必須ではなく、不織部材20の外面に電線32が敷設されていてもよいし、或は、一対の不織部材20によって構成されたガイド体26のいずれかの部位に電線32が取付けられ、当該ガイド体26に沿って電線32が支持されてもよい。
【0032】
また、上記一対の不織部材20は、連続する菱形の枠を形成するように組合わされ、これにより、それぞれの折目22の折り角度を変更することにより伸縮可能なガイド体26が構成されている。換言すれば、一対の不織部材20は、一種のパンダグラフ構造を構成するように組合わされている。
【0033】
より具体的には、不織部材20の一側部に電線32が収容されており、不織部材20の折目22間にスリット24が形成されている。スリット24は、不織部材20の幅方向に沿って、不織部材20の他側部から一側部に向かうように形成されている。スリット24は、不織部材20のうち電線32の収容部分よりも他側部側に形成されており、好ましくは、不織部材20の幅方向半分程度の長さに形成されている。
【0034】
そして、一対の不織部材20は、それぞれのスリット24同士を嵌め合わせることによって、隣合うスリット24同士の2つの嵌め合わせ部分及び対向する2つの折目22を頂点とする菱形が複数連続して形成される。このように一対の不織部材20が組合わされることによって、ガイド体26が構成されている。
【0035】
このように構成されたガイド体付ワイヤーハーネス10は、次のように使用される。すなわち、車両におけるインストルメントパネル等の被取付部材50に、メーターユニット等の取付部材60を取付ける場合において、ガイド体付ワイヤーハーネス10の一端部が被取付部材50側の電気機器又は配線に接続される。ここでの接続はコネクタ接続等によってなされる。もっとも、ガイド体付ワイヤーハーネス10が、被取付部材50内に配索されるワイヤーハーネスの一部として組込まれ、ガイド体付ワイヤーハーネス10に相当する部分が被取付部材50から外部に引出されていてもよい。
【0036】
そして、ガイド体付ワイヤーハーネス10の他端部を被取付部材50にコネクタ接続等で接続する。この際、ガイド体付ワイヤーハーネス10のワイヤーハーネス30の長さ寸法は、本来の配線に必要な長さよりも長く、つまり、余長が生じるように設定されている。そして、取付部材60を被取付部材50に取付ける前の状態では、折目22の折り角度を大きくすることで、ガイド体付ワイヤーハーネス10は伸長することができる(図2参照)。これにより、ガイド体付ワイヤーハーネス10を被取付部材50から引出し、ガイド体付ワイヤーハーネス10の取り回し性を良好にした状態で、当該ガイド体付ワイヤーハーネス10と取付部材60との接続作業等を容易に行える。
【0037】
一方、被取付部材50を取付部材60に近づけると、折目22の折り角度を小さくすることで、ガイド体付ワイヤーハーネス10は縮小変形することができる。この際、ガイド体26は、一種のパンタグラフ構造をなしており、菱形を保ちつつ、つまり、直線状態を保ちつつ縮小変形することができる(図3参照)。このため、ガイド体26は、縮小状態で直線状態を維持することができ、被取付部材50と取付部材60との間でU字状に垂下がり難い。これにより、被取付部材50と取付部材60との間でガイド体付ワイヤーハーネス10が周辺の部材に干渉等し難い状態に維持される。
【0038】
図4〜図8を参照して、上記ガイド体付ワイヤーハーネス10の製造方法例について説明する。
【0039】
まず、長方形シート状の不織材料20aを準備し、この不織材料20aの一主面状にワイヤーハーネス30のグループ31を配設する(図4参照)。
【0040】
ここで、不織材料20aとしては、主体繊維とバインダ繊維とが相互に絡み合ったものを用いることができる。主体繊維は、繊維状に形成されており、次述するバインダよりも高い融点を有している。バインダ繊維は、例えば、芯繊維の外周にバインダの層を形成したものであり、全体として繊維状をなしている。芯繊維の融点は、バインダの融点よりも高い。つまり、バインダは、主体繊維及び芯繊維よりも低い融点を有する樹脂である。そして、不織材料を、主体繊維及び芯繊維の融点よりも低くかつバインダの融点よりも高い温度に加熱することで、バインダが溶融して主体繊維及び芯繊維間に染みこむ。この後、不織材料20aがバインダの融点よりも低い温度になると、主体繊維及び芯繊維同士を結合した状態でバインダが固化する。これにより、不織材料が加熱前の状態よりも硬くなり、かつ、加熱時の成型形状に維持されるようになる。また、不織材料20aが相互に接触していた部分では、溶融後固化したバインダによって不織材料20a同士が接合される。
【0041】
上記主体繊維は、バインダの融点で繊維状態を保ち得ればよく、主体繊維としては、樹脂繊維の他、各種繊維を用いることができる。また、本実施形態では、主体繊維と芯繊維とが同じ材質であることを想定して説明するが、これらはそれぞれバインダよりも高い融点を有していればよく、必ずしも同じ材質である必要はない。
【0042】
また、バインダは、必ずしも上記のように芯繊維の外周に形成される態様で存在している必要はない。バインダそれ自体が、粒状又は繊維状に形成され、上記主体繊維中に混ざっていればよい。
【0043】
次に、不織材料20a内にワイヤーハーネス30のグループ31を挟込むようにして、不織材料20aを2つ折りにする(図5参照)。この際、ワイヤーハーネス30のグループ31が、折畳まれた不織材料20aの折目20b側の半分領域内に配設されるようにする。また、ワイヤーハーネス30のグループ31に属する複数の電線32は、なるべく扁平状態となるように並列状態に揃えることが好ましい。
【0044】
次に、不織材料20aをホットプレスする(図6参照)。ここで、ホットプレスとは、加工対象物である不織材料20aを型間に挟込み、加熱状態で型に圧を加えて不織材料20aを成型加工することをいう。ここでは、例えば、図9に示すように、平坦な型面40aを有する一対の型40間で、不織材料20aを挟込むことで、ホットプレスを行うことができる。なお、型40には、ヒータ等の加熱部42が設けられており、この加熱部42によって型40を加熱することができる。
【0045】
このようにワイヤーハーネス30のグループ31を挟込んだ状態で不織材料20aをホットプレスすることで、より扁平なシート状に加工され、かつ、不織材料20aの重ね合せ部分が接合されて内部にワイヤーハーネス30のグループ31を保持した不織部材20を得ることができる。
【0046】
なお、不織材料20aをホットプレスする際、不織材料20aの全体をホットプレスしてもよいし、或は、不織材料20aのうち折目22を形成する部分を除く平坦部分21をホットプレスするようにしてもよい。後者のようにすることで、後の工程において、容易に折目22を形成することができる。ここでは、後者の例で説明する。また、不織材料20aのうちワイヤーハーネス30のグループ31を収容した部分をホットプレスの対象から除いてもよい。
【0047】
次に、不織部材20のうち折目22を形成すべき部分間に、スリット24を形成する(図7参照)。スリット24は、はさみ、カッター、押切刃等で形成することができる。つまり、不織部材20のうちの上記一側部側の部分が電線収容部20Aであり、その電線収容部20Aの一側部に平坦になるようにホットプレスされた側縁部20Bが設けられ、この側縁部20Bにスリット24が形成されている。
【0048】
この後、不織部材20を折って折目22を形成し、ジグザグに折られた不織部材20を2つ準備する。
【0049】
なお、折目22を形成する際、単に不織部材20に外力を加えて折るだけでもよいし、或は、折目22でホットプレスするようにしてもよい。後者の場合、図10に示すように、不織部材20を折った状態で、当該折目22を部分的に加熱された一対の型140間で挟込んで加熱及び加圧するとよい。なお、この型140もヒータ等の加熱部142によって加熱されるとよい。このように、折目22をホットプレスしておくことで、不織部材20をしっかりと収縮変形させることができる。なお、このように折目22をホットプレスしない場合でも、不織部材20及びその内部の電線32に折り癖をつけておくことで、収縮方向への癖付を行うことができる。
【0050】
そして、互いの折目22が逆方向を向くように、かつ、互いのスリット24が互いに対向するように、一対の不織部材20を配設し、対向するスリット24同士を嵌め合わせる(図8参照)。嵌め合わせ部分は、そのままの状態で放置されてもよいし、或は、接着剤等で接合されてもよい。当該嵌め合わせ部分において、不織部材20同士の交差角度が変更できればよい。
【0051】
以上により、ガイド体付ワイヤーハーネス10が製造される。
【0052】
以上のように構成されたガイド体付ワイヤーハーネス10によると、一対の不織部材20が、それぞれの折目22を外周周りにずらした状態で(ここでは、外周周りに対向して配設した状態で)、伸縮可能な長尺状のガイド体26を構成するように組合わされている。このため、各不織部材20が相互に補完し合うことによって、特定方向への曲げ易さを打消すことができる。これにより、ガイド体26は直線状態を維持した状態で伸縮し易くなり、ワイヤーハーネス30の余長吸収状態を安定させることができる。これにより、ガイド体付ワイヤーハーネス10を周辺の部材との干渉を抑制することができ、接触音、磨耗、傷付等を抑制することができる。
【0053】
特に、一対の不織部材20が連続する菱形を形成し、それぞれの折目22の折り角度を変更することにより伸縮可能なガイド体26を構成するように組合わされているため、ガイド体付ワイヤーハーネス10より確実に直線状態を維持しつつ伸縮することができる。これにより、ガイド体付ワイヤーハーネス10を周辺の部材との干渉さらには接触音、磨耗、傷付等をより確実に抑制することができる。
【0054】
また、一対の不織部材20にスリット24を形成し、互いのスリット24同士を嵌め合わせることで、ガイド体26を構成しているため、当該ガイド体26を容易に製造することができる。
【0055】
また、不織部材20の一側部に電線収容部20Aを設け、その電線収容部20Aの一側部でホットプレスされた側縁部20Bにスリット24が形成されているため、不織部材20で電線32を保護しつつ、組合わせ用のスリット24を容易に形成できる。
【0056】
また、ワイヤーハーネス30のグループ31は不織部材20内に収容されているため、当該グループ31の電線32を外部から見えないように保護しつつ余長吸収できる。
【0057】
また、上記のようにワイヤーハーネス30を余長吸収できる結果、ワイヤーハーネス全体の経路設計が簡易となり、また、その組込も容易となる。
【0058】
また、上記ガイド体26は、不織部材20を適宜折ってホットプレスすることで比較的簡易にワイヤーハーネス10と一体組込した状態で製造することができるという利点もある。
【0059】
{第2実施形態}
第2実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネス210について説明する。図11は第2実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネス210を示す部分斜視図である。
【0060】
このガイド体付ワイヤーハーネス210は、上記第1実施形態と同様に、2つの部材間に配設されて、当該2つの部材間を電気的に接続する配線として用いられる。2つの部材の例及びこれらに対する適用例は、上記第1実施形態で説明した通りである。
【0061】
ガイド体付ワイヤーハーネス210は、一対の不織部材220と、ワイヤーハーネス230(図12〜図17参照)とを備えている。
【0062】
不織部材220は、上記第1実施形態と同様に、複数の折目222でジグザグに折られている。本実施形態において、不織部材220のより具体的な加工例については後述する。
【0063】
ワイヤーハーネス230は、少なくとも1本の電線を有している。ここでは、ワイヤーハーネス230は、上記第1実施形態と同様に、複数の電線を有し、2つのグループに分けられている。一方のワイヤーハーネス230のグループ231は、一方の不織部材220に収容され、他方のワイヤーハーネス230のグループ231は、他方の不織部材220に収容されている。不織部材220がワイヤーハーネス230のグループ231を収容する具体例については後述する。
【0064】
もっとも、上記第1実施形態で述べたのと同様に、ワイヤーハーネス230が複数の電線を有していること、電線が断面円形状のものであること、一対の不織部材220の両方に電線が収容されていること、不織部材220内に電線が収容されていること等は必須ではない。
【0065】
また、上記一対の不織部材220は、長尺状のガイド体226を構成するように組合わされている。一対の不織部材220は、組合わせ状態において、それぞれの折目222を、ガイド体226の中心周りに90度ずらすように配設した状態で、交互に折重なるように組合わされている。
【0066】
この第2実施形態に係るガイド体付ワイヤーハーネス210によると、折目222の折り角度を変更させつつ、伸縮変形することができる。この際、両不織部材220はその折目222の延在方向(つまり、幅方向)に曲り難く、当該方向に対して直交する方向へは曲り易い。そして、このような不織部材220が、それぞれの折目222を、ガイド体226の中心周りに90度ずらすように配設した状態で組合わされているため、全体的には曲り難い構成となっている。このため、ガイド体付ワイヤーハーネス210は、直線状態を保ちつつ伸縮変形することができることとなる。従って、上記第1実施形態と同様に、取付部材60の取付時には、ガイド体付ワイヤーハーネス210を伸長状態とすることで、ガイド体付ワイヤーハーネス210と取付部材60との接続作業等を容易に行え、かつ、被取付部材50を取付部材60に取付けた状態では、ガイド体付ワイヤーハーネス210は直線状態を保ちつつ縮小変形して、周辺の部材に干渉等し難い状態を維持することができる。
【0067】
図12〜図17を参照して、上記ガイド体付ワイヤーハーネス210の製造方法例について説明する。
【0068】
まず、帯シート状の不織材料220aを2つ準備し、一方の不織材料220aの一主面状にワイヤーハーネス230のグループ231を配設する(図12参照)。ここで用いられる不織材料220aは、上記第1実施形態で説明したものと同様である。
【0069】
そして、一方の不織材料220aの上に他方の不織材料220aを重ね合せ、両不織材料220a間にワイヤーハーネス230のグループ231を挟込む(図13参照)。
【0070】
次に、不織材料220aをホットプレスする(図14参照)。これにより、重ね合された一対の不織材料220aがより扁平なシート状に加工され、かつ、一対の不織材料220aの重ね合せ部分が接合されて内部にワイヤーハーネス230のグループ231を保持した不織部材220を得ることができる。
【0071】
なお、不織材料220aをホットプレスする際、上記第1実施形態と同様に、不織材料220aの全体をホットプレスしてもよいし、或は、不織材料220aのうち折目222を形成する部分を除く平坦部分221をホットプレスするようにしてもよい。ここでは、後者の例で説明する。また、不織材料220aは、側部でのみホットプレスされていてもよい。
【0072】
次に、上記のように加工された不織部材220を2つ準備し、その端部同士を重ね合せるように直交状態に配設する(図15参照)。
【0073】
そして、一方の不織部材220を他方の不織部材220の縁部で折曲げて折目222を形成し、当該一方の不織部材220を他方の不織部材220に折重ねる(図16参照)。
【0074】
同様に、他方の不織部材220を一方の不織部材220の縁部で折曲げて折目222を形成し、当該他方の不織部材220を一方の不織部材220に折重ねる(図17参照)。
【0075】
上記を交互に繰返していくと、各不織部材220が複数の折目222でジグザグに折られ、かつ、それぞれの折目222を中心周りに90度ずらした状態で組合わされたガイド体226(ガイド体付ワイヤーハーネス210)が得られる。
【0076】
なお、上記第1実施形態と同様に、折目222は単に不織部材220に外力を加えるだけで形成されたものであってもよいし、或は、ホットプレスによって形成されたものであってもよい。後者の場合、2つの不織部材220を組合わせる前にホットプレスによって折目222が形成されていてもよいし、或は、2つの不織部材220を組合わせる際に順次折目222をホットプレスにより形成していってもよい。
【0077】
以上のように構成されたガイド体付ワイヤーハーネス210によると、一対の不織部材220が、それぞれの折目222を外周周りにずらした状態で(ここでは、90度ずらして配設した状態で)、伸縮可能な長尺状のガイド体226を構成するように組合わされている。このため、個々の不織部材220が有する特定方向への曲げ易さという性質を相互補完して打消すことができる。これにより、ガイド体226は直線状態を維持した状態で伸縮し易くなり、ワイヤーハーネス230の余長吸収状態を安定させることができる。これにより、ガイド体付ワイヤーハーネス210を周辺の部材との干渉を抑制することができ、接触音、磨耗、傷付等を抑制することができる。
【0078】
また、ワイヤーハーネス230のグループ231は、不織部材220内に収容されているため、当該グループ231の電線を外部から見えないように保護しつつ余長吸収できる。
【0079】
また、上記のようにワイヤーハーネス230を余長吸収できる結果、ワイヤーハーネス全体の経路設計が簡易となり、また、その組込も容易となる。
【0080】
また、上記ガイド体226は、不織部材220を適宜折ってホットプレスすることで比較的簡易にワイヤーハーネス210と一体組込した状態で製造することができるという利点もある。
【0081】
図18〜図21は、変形例に係るガイド体付ワイヤーハーネスの製造方法例を示す図である。
【0082】
本変形例は、ワイヤーハーネス330を、不織部材320内に収容しない例である。
【0083】
すなわち、帯シート状の不織部材320を2つ準備し、一方の不織部材320の一主面状にワイヤーハーネス330を配設する(図18参照)。
【0084】
そして、一方の不織部材320の端部上に他方の不織部材320の端部を重ね合せ、直交状態に配設する(図19参照)。
【0085】
この後、一方の不織部材320を、ワイヤーハーネス330と共に折曲げて、他方の不織部材320に折重ねる(図20参照)。
【0086】
次に、他方の不織部材320を、一方の不織部材320に折重ねる(図21参照)。
【0087】
上記を交互に繰返していくと、各不織部材320が複数の折目322でジグザグに折られ、かつ、それぞれの折目322を中心周りに90度ずらした状態で組合わされたガイド体(ガイド体付ワイヤーハーネス)が得られる。
【0088】
なお、上記ガイド体のうち折目322を除く部分はホットプレスによって、より薄いシート状の形状に加工されるとよい。加工は、両不織部材320を組合わせる前の状態で行われても、後の状態で行われてもよい。両不織部材320を組合わせた後であっても、なるべく薄い型を使うことで、ホットプレスを実施することができる。
【0089】
また、上記折目322の全部又は一部が、ホットプレスによって折れた状態を維持する形状に加工されていてもよい。
【0090】
{変形例}
なお、一対の不織部材の組合わせ例は上記例に限られない。一対の不織部材が、それぞれの折目を外周周りにずらした状態で、伸縮可能な長尺状のガイド体を構成するように組合わされていれば、それぞれの不織部材が呈する所定方向への曲げ易さという性質を打消し合うことができ、結果、なるべく直線状態で伸縮させることができる。
【0091】
また、上記各実施形態及び変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0092】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0093】
10、210 ガイド体付ワイヤーハーネス
20、220、320 不織部材
20A 電線収容部
20B 側縁部
21、221 平坦部分
22、222、322 折目
24 スリット
26、226 ガイド体
30、230、330 ワイヤーハーネス
50 被取付部材
60 取付部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの部材間に配設されるガイド体付ワイヤーハーネスであって、
それぞれ複数の折目でジグザグに折られた、一対の不織部材と、
少なくとも1本の電線を含むワイヤーハーネスと、
を備え、
前記一対の不織部材が、それぞれの前記折目を外周周りにずらした状態で、伸縮可能な長尺状のガイド体を構成するように組合わされ、
前記ワイヤーハーネスが前記ガイド体に沿って配設されている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項2】
請求項1記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記一対の不織部材の少なくとも一方に、前記ワイヤーハーネスを構成する電線の少なくとも一部が収容されている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記一対の不織部材が、連続する菱形を形成し、かつ、それぞれの前記折目の折り角度を変更することにより伸縮可能なガイド体を構成するように組合わされている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項4】
請求項3記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記一対の不織部材の折目間にスリットが形成され、
前記一対の不織部材のスリット同士を嵌め合わせることによって、そのスリット同士の嵌め合わせ部分及び前記折目を頂点とする菱形を複数連続して形成するように、前記一対の不織部材が組合わされている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項5】
請求項4記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記不織部材は、
前記ワイヤーハーネスの少なくとも一部の電線を収容する電線収容部と、前記電線収容部の一側部に設けられ、平坦になるようにホットプレスされた側縁部とを有し、前記側縁部に前記スリットが形成されている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項6】
請求項1又は請求項2記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記一対の不織部材が、それぞれの前記折目を前記ガイド体の中心周りに90度ずらすように配設して、交互に折重なるように組合わされている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記一対の不織部材は、前記折目間の平坦部ではホットプレスされ、前記折目ではホットプレスされていない、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記一対の不織部材は、前記折目でホットプレスされている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項1】
2つの部材間に配設されるガイド体付ワイヤーハーネスであって、
それぞれ複数の折目でジグザグに折られた、一対の不織部材と、
少なくとも1本の電線を含むワイヤーハーネスと、
を備え、
前記一対の不織部材が、それぞれの前記折目を外周周りにずらした状態で、伸縮可能な長尺状のガイド体を構成するように組合わされ、
前記ワイヤーハーネスが前記ガイド体に沿って配設されている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項2】
請求項1記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記一対の不織部材の少なくとも一方に、前記ワイヤーハーネスを構成する電線の少なくとも一部が収容されている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記一対の不織部材が、連続する菱形を形成し、かつ、それぞれの前記折目の折り角度を変更することにより伸縮可能なガイド体を構成するように組合わされている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項4】
請求項3記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記一対の不織部材の折目間にスリットが形成され、
前記一対の不織部材のスリット同士を嵌め合わせることによって、そのスリット同士の嵌め合わせ部分及び前記折目を頂点とする菱形を複数連続して形成するように、前記一対の不織部材が組合わされている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項5】
請求項4記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記不織部材は、
前記ワイヤーハーネスの少なくとも一部の電線を収容する電線収容部と、前記電線収容部の一側部に設けられ、平坦になるようにホットプレスされた側縁部とを有し、前記側縁部に前記スリットが形成されている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項6】
請求項1又は請求項2記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記一対の不織部材が、それぞれの前記折目を前記ガイド体の中心周りに90度ずらすように配設して、交互に折重なるように組合わされている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記一対の不織部材は、前記折目間の平坦部ではホットプレスされ、前記折目ではホットプレスされていない、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のガイド体付ワイヤーハーネスであって、
前記一対の不織部材は、前記折目でホットプレスされている、ガイド体付ワイヤーハーネス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−212626(P2012−212626A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78558(P2011−78558)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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