説明

ガイド構造及び画像形成装置

【課題】搬送路内に付着した水滴が記録媒体上に付着することを防止又は抑制し、水滴付着による画像欠損を防止できるガイド構造、及びそのガイド構造を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体上にトナー像を定着する定着装置20の下流側に設けられて、定着装置20の定着部材21と加圧部材22とで形成されるニップ部を通過する記録媒体を、搬送下流にガイドするガイド構造である。記録媒体を搬送する搬送路Rに、第1通紙リブ35と、第1通紙リブ35上に、第1通紙リブ35よりも薄肉であり、かつ先端側から第1通紙リブ35側へ向かって肉厚となる第2通紙リブ32とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の搬送路に形成されるガイド構造、及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、記録媒体上に担持されたトナー画像を定着させる定着装置として、加熱加圧方式の定着を採用しているものがある。図8に示すように、この種の定着装置20はハロゲンヒータ等の加熱手段32によって加熱される定着ローラ21と、これに接触して定着ニップを形成する加圧ローラ22とを備える。
【0003】
記録媒体は、定着ローラ21と加圧ローラ22とにより挟持されて加熱及び加圧され、記録媒体に担持されたトナー画像を加熱溶融させて定着させる。その後、記録媒体は、搬送路R1を形成する搬送壁(加圧ローラ側出口ガイド25、定着ローラ側出口ガイド26、排紙ガイド27、28、29)にガイドされながら、図8の矢印aのように搬送路R1を進む。
【0004】
片面印刷時は、記録媒体が排紙ローラ17に到達した後、図示省略の排紙トレイへと排出される。また両面印刷時は、記録媒体が搬送路R1を進み、記録媒体の後端部が分岐点24を通過した直後に、記録媒体の後端が剛性により搬送路R2方向に跳ね上がる。記録媒体の後端部が排紙ローラ17に到達する前に排紙ローラ17が逆転し、記録媒体は、搬送路R2を形成する搬送壁(両面ガイド30、34)にガイドされながら、図8の矢印bのように搬送路R2を進む。このようにして記録媒体の表裏が入れ替わり、その後、搬送路R1と合流して記録媒体の裏面を印刷する。
【0005】
ところで、近年では消費電力の低減及びファーストプリントタイム(プリント開始の指示がなされてから、1枚目の記録媒体の後端が排紙トレイに排出されるまでの時間)短縮の市場要望が強い。このため、電源ONもしくはスリープ状態からの復帰時において、定着ローラ21の表面温度を印刷可能な温度に到達させるまでの昇温時間を短縮することで対応している。電源ONもしくはスリープ状態からの復帰時は、定着ローラ21が所定の温度に達しても、定着ローラ21周囲の搬送壁(特に、排紙ガイド27、両面ガイド30、34)は十分に暖まっていない。このため、定着ローラ21の周辺部材に暖まった雰囲気が流入し、かつ滞留することにより、排紙ガイド27、両面ガイド30、34の表面に水滴31が付着する。この水滴31が記録媒体上に付着すると、画像欠損等の不具合が発生する。
【0006】
この不具合を解消するために、定着装置下流側の搬送路への水滴付着の対策が提案されている(特許文献1〜特許文献4)。特許文献1では、記録媒体の搬送方向と平行に、複数の通紙リブを設けている。この通紙リブの断面形状を、搬送路内部に凸状となる凸部を設けることにより凸部の段差面に水滴が貯まり、通紙リブの先端に付着した水滴の量を最小限として記録媒体への水滴付着を防止する。
【0007】
また、特許文献2では、通紙リブの先端部に、用紙搬送方向に沿って複数の凸部を設けている。これにより、通紙リブの記録媒体との当接面は凹凸面となり、通紙リブの当接面と記録媒体との接触面積を最小限にして、記録媒体への水滴付着を低減する。さらに、特許文献3は、記録媒体の搬送路を構成するガイド手段を設け、このガイド手段の記録媒体の当接面の材質を低熱容量部材、特にグラファイトシートとする。特許文献4は、ガイド手段の記録媒体の当接面の材質を低熱容量で熱伝導率の高い材質とする。これにより、ガイド手段(搬送路)を温まり易くすることができ、搬送路に付着した水滴を乾き易くして記録媒体への水滴付着を防止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、凸部に必要な剛性を確保しながら、通紙リブの高さを高くすることが困難であり、凸部の段差面に溜まった水滴と記録媒体との十分な距離を確保することが出来ずに、結果的に水滴が記録媒体に付着してしまう。また、肉厚が不均一な形状であるために、成型時に材料の流動性が悪化することに起因した部品不良の課題も未解決となっている。また、特許文献2では、定着装置から排出されてくる記録媒体先端は挙動が不安定となっていることが一般的であるため、凹部に記録媒体先端が引っかかることによる用紙ジャムが多発し、安定した用紙搬送性能を確保できないという課題がある。さらには、特許文献3や特許文献4では、特殊な材質を使用するために高コストであるという課題がある。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑み、搬送路内に付着した水滴が記録媒体上に付着することを防止又は抑制し、水滴付着による画像欠損を防止できるガイド構造、及びそのガイド構造を備えた画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のガイド構造は、記録媒体上にトナー像を定着する定着装置の下流側に設けられて、前記定着装置の定着部材と加圧部材とで形成されるニップ部を通過する記録媒体を、搬送下流にガイドする搬送路を形成するガイド構造において、前記搬送路に、第1通紙リブと、この第1通紙リブ上に、第1通紙リブよりも薄肉であり、かつその先端側から前記第1通紙リブ側へ向かって肉厚となる第2通紙リブとを設けたものである。
【0011】
本発明のガイド構造は、搬送路に設けられる第1通紙リブ上に、第1通紙リブよりも薄肉の第2通紙リブを設けている。電源ONもしくはスリープ状態からの復帰時においては、搬送路、第1通紙リブ、及び第2通紙リブに水滴が付着することがある。第2通紙リブの先端部は、第1通紙リブの先端部に比べて狭い範囲となっているため、搬送路や第1通紙リブに付着する水滴よりも微小な微量水滴が付着する。第2通紙リブは、第1通紙リブや搬送路に対して体積が小さく、熱容量が小さく暖まり易いため、第2通紙リブの先端部に微量水滴が付着していたとしても、通常は記録媒体が搬送される前に乾くか、仮に記録媒体に微量水滴が転写されたとしても、記録媒体の搬送中に乾いてしまう。このため、記録媒体に水滴が付着することを防止又は抑制することができて、記録媒体がダメージを受けたり、画像欠損に至る障害の発生を防止又は抑制したりすることができる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、本発明のガイド構造を設けたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のガイド構造及びこれを備えた画像形成装置では、搬送路内に付着した水滴が記録媒体上に付着することを防止又は抑制することができる。これにより、ファーストプリントタイムを短縮しながらも、水滴付着による画像欠損を防止することができる。また、本発明では新たな部材を追加したり、特殊な材質を用いたりする必要がなく、低コストなものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のガイド構造を用いた画像形成装置の全体構成図である。
【図2】本発明のガイド構造を示す簡略拡大断面図である。
【図3】本発明のガイド構造を構成するガイド片の要部拡大断面図である。
【図4】本発明のガイド構造を構成する第2〜第4ガイド片の簡略配置図である。
【図5】本発明のガイド構造を示す簡略拡大断面図である。
【図6】本発明のガイド構造を形成する第1ガイド片及び案内板の一部を示す簡略配置図である。
【図7】前記図5のα−α矢視図である。
【図8】従来のガイド構造を示す簡略拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図に示す実施例による本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、画像形成装置本体100に対して着脱可能に構成された4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを備えている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
【0017】
具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、感光体(潜像担持体)としての感光体ドラム2と、感光体ドラム2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体ドラム2の表面にトナー(現像剤)を供給する現像手段としての現像装置4と、感光体ドラム2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード5を備えている。なお、図1では、イエローのプロセスユニット1Yが備える感光体ドラム2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニングブレード5のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット1C,1M,1Bkにおいては符号を省略している。
【0018】
図1において、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体ドラム2の表面を露光する露光手段(静電潜像形成手段)としての露光装置6が配設されている。一方、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト8を有する。中間転写ベルト8は、駆動ローラ9及び従動ローラ10に張架され、図の矢印の方向に回転(周回走行)可能に構成されている。
【0019】
4つの感光体ドラム2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト8の内周面を押圧しており、中間転写ベルト8の押圧された部分と各感光体ドラム2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。また、駆動ローラ9に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12は中間転写ベルト8の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。
【0020】
また、中間転写ベルト8の図の右端側の外周面には、中間転写ベルト8の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置13が配設されている。このベルトクリーニング装置13から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、転写装置7の下方に配設された廃トナー収容器14の入り口部に接続されている。
【0021】
画像形成装置本体100の下部には、記録媒体としての記録用紙を収容した用紙トレイ15や、用紙トレイ15から記録用紙を搬出する給紙ローラ16等が設けてある。一方、画像形成装置本体100の上部には、記録用紙を外部へ排出するための一対の排紙ローラ17と、排出された記録媒体をストックするための排紙トレイ18とが配設されている。
【0022】
また、画像形成装置本体100内には、下部の用紙トレイ15から上部の排紙トレイ18へ記録用紙を案内するための搬送路R1及び両面印刷の反転動作を行うための搬送路R2が形成されている。この搬送路R1において、給紙ローラ16から二次転写ローラ12に至る途中には、一対のレジストローラ19が配設されている。また、二次転写ローラ12から排紙ローラ17に至る途中に、記録用紙上の画像を定着させるための定着装置20を配設している。この定着装置20は、加熱源によって加熱される定着部材としての定着ローラ21と、その定着ローラ21に接触して定着ニップを形成する対向部材としての加圧ローラ22と、定着ローラ21から記録用紙を分離させる分離部材23等を有する。
【0023】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体ドラム2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体ドラム2の表面が帯電ローラ3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体ドラム2の表面には、露光装置6からレーザ光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体ドラム2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像(現像剤像)として可視像化される。
【0024】
駆動ローラ9が図の反時計回りに回転駆動されることにより、中間転写ベルト8が図の矢印で示す方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体ドラム2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体ドラム2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト8はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。
【0025】
また、上記トナー画像が転写された後の各感光体ドラム2の表面に付着する残留トナーは、クリーニングブレード5によって除去され、次いで、その表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0026】
また、作像動作が開始されると、画像形成装置の下部では、給紙ローラ16が回転駆動することによって、用紙トレイ15に収容された記録用紙が搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された記録用紙は、レジストローラ19によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12とそれに対向する駆動ローラ9との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12に、中間転写ベルト8上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上のトナー画像が記録用紙上に一括して転写される。トナー画像が転写された記録用紙は定着手段20へと搬送され、定着ローラ21と加圧ローラ22によって記録用紙が加熱及び加圧されてトナー画像が定着される。トナー画像が定着された記録用紙は、分離部材23によって定着ローラ21から分離され、排出ローラ17によって排紙トレイ18へと排出される。また、転写後の中間転写ベルト8上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置13によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー収容器14へ搬送され回収される。
【0027】
以上の説明は、記録用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0028】
次に、図2〜図7に基づいて、定着装置の下流側に設けられるガイド構造の構成について説明する。
【0029】
定着装置20の下流側には、定着装置20から排出ローラ17まで記録用紙を搬送する搬送路R1が形成されている。すなわち、定着装置20の下流側には、定着ニップを通過した記録用紙をガイドする加圧ローラ側出口ガイド25と、定着ローラ側出口ガイド26が設けられる。定着ローラ側出口ガイド26の下流側及び加圧ローラ側出口ガイド25の下流側から排出ローラ17にかけて、搬送路R1を形成する搬送壁36が設けられている。搬送路R1の搬送壁36は、定着ローラ側出口ガイド26から排出ローラ17に達する第1の排紙ガイド部28と、加圧ローラ側出口ガイド25から分岐点24に達する第2の排紙ガイド部27と、分岐点24から排出ローラ17に達する第3の排紙ガイド部29とから構成されている。
【0030】
また、両面印刷時に反転させた記録用紙を、分岐点24からレジストローラ19に搬送するための搬送路R2が形成されている。すなわち、分岐点24からレジストローラ19(図1参照)にかけて、搬送路R2を形成する搬送壁36が設けられている。搬送路R2の搬送壁は、第2の排紙ガイド部27から連続してレジストローラ19に達する第1の両面ガイド部34と、第3の排紙ガイド部29から連続してレジストローラ19に達する第2の両面ガイド部30とから構成されている。両面印刷する場合は、搬送路R1に記録用紙が搬送され、記録用紙の後端部が分岐点24を通過した直後に、記録用紙の後端が用紙剛性により搬送路R2方向に跳ね上がる。記録用紙の後端部が排紙ローラ17に到達する前に排紙ローラ17が逆転し、記録用紙は搬送路R2へと導かれて搬送路R2を搬送され、記録用紙の表裏が入れ替わった状態で搬送路R1に合流して再び搬送路R1を搬送されて記録用紙の裏面を印刷する。
【0031】
図2に示すように、本実施形態のガイド構造は、搬送路R1に、搬送路R1と直交する方向に沿って1列に並ぶ(図4参照)ガイド片(第1ガイド片23a)が設けられ、搬送路R2に、搬送路R2と直交する方向に沿って1列に並ぶガイド片(第2ガイド片23b、第3ガイド片23c、第4ガイド片23d、第5ガイド片23e)が設けられている。第1ガイド片23aは、第2の排紙ガイド部27に設けられており、第2ガイド片23b、第3ガイド片23c、第4ガイド片23dは、第1の両面ガイド部34に設けられており、第5ガイド片23eは、第2の両面ガイド部30に設けられている。これらガイド片23a〜23eは、電源ONもしくはスリープ状態からの復帰時に、顕著に水滴31が付着している搬送壁36に配設している。夫々のガイド片23は、全体として搬送路内側に凸状となる山型平板体である。
【0032】
ガイド片23は、図4に示すように第2通紙リブ32が設けられたものと、第2通紙リブ32が設けられないものとがある。図3にガイド片23の構成を示す。ガイド片23は、搬送路R1、R2を形成する搬送壁36から搬送路内側に突出する第1通紙リブ35と、この第1通紙リブ上に設けられる第2通紙リブ32とから構成されている。第2通紙リブ32は、第1通紙リブ35よりも薄肉であり、第2通紙リブ32の先端側(記録用紙が接触する側)から第1通紙リブ35側へ向かって肉厚となっている。つまり、第2通紙リブ32の先端部肉厚寸法をA、第2通紙リブ32の根元部肉厚寸法をB、第1通紙リブ35の肉厚寸法をCとすると、A<B<Cの関係となる。また、第2通紙リブ32が設けられないガイド片23は、第1通紙リブ35のみから構成される。
【0033】
電源ONもしくはスリープ状態からの復帰時においては、ガイド片23の搬送壁36や第1通紙リブ35に水滴31が付着する。第2通紙リブ32の先端部は、搬送壁36や第1通紙リブ35の先端部に比べて狭い範囲となっているため、水滴31よりも量の少ない微量水滴33が付着することがある。第2通紙リブ32の先端部に微量水滴33が付着したとしても、第2通紙リブ32は第1通紙リブ35や搬送壁36に対して体積が小さく、熱容量が小さく暖まり易いため、通常は記録用紙が搬送される前に乾くか、仮に記録用紙に微量水滴33が転写されたとしても、用紙搬送中に乾いてしまうので、用紙ダメージや画像欠損にいたる障害の発生を防止できる。
【0034】
第1通紙リブ35、第2通紙リブ32、及び搬送壁36はプラスチック成型品で、全て同一材料で構成されている。これにより、製造コストの低減を図ることができ、コスト面でも優れたものとなる。また、第2通紙リブ32のように、記録用紙の接触する先端部から離間するにつれて肉厚が増す形状となっているため、材料の流動性悪化による部品不良を回避することができる。さらには、先端に対し根元が肉厚となっているため、剛性不足による第2通紙リブ32の折れ等の障害を回避できるとの利点もある。
【0035】
第1通紙リブ35は、搬送路R1、R2を搬送する記録用紙面における搬送方向と直交する方向に複数設けられ、第2通紙リブ32の数は、第1通紙リブ35の全数の30〜70%に設けるのが好ましい。第2通紙リブ32の数が30%よりも少ないと、搬送路R1、R2に対する第2通紙リブ32の配設量が少なすぎて、水滴31の記録用紙への付着を防ぐことが難しい。逆に、第2通紙リブ32の数が70%よりも多いと、搬送路R1、R2に対する第2通紙リブ32の配設量が多すぎて、第2通紙リブ32への記録用紙の当接角θ(記録用紙先端が第2通紙リブ32の頂部を通過する際に、記録用紙と第2通紙リブ32の下流側の斜面のなす角)は、通紙リブ35に対する記録用紙の当接角よりも大きくなるため、用紙ジャム等が発生するリスクが高まる。本実施形態では、図4に示すように、搬送路R1を搬送する記録用紙面における搬送方向と直交する方向で、排紙ガイド部27に第1通紙リブ35をAからNまで14本配設し、この14本のうち8本に対して第2通紙リブ32を配設している。すなわち、第1通紙リブ35の全数の約57%に第2通紙リブ32を設けている。
【0036】
また、1本の第1通紙リブ35に対して第2通紙リブ32が設けられる範囲は、第1通紙35リブの搬送方向長さの50%以下とするのが好ましい。50%を超えると、用紙ジャム等が発生するリスクが高まる。本実施形態では、図4の第1通紙リブ35のFとIとにおいて、第2通紙リブ32の配設量を多くしている。この場合、第1通紙リブ35のFとIとにおいて、夫々の第2通紙リブ32の範囲は、第2通紙リブ32が設けられる第1通紙リブ35の搬送方向長さの30%としている。
【0037】
図4に示すように、第2通紙リブ32の位置は、搬送路R1、R2の搬送方向に沿った中心線37(本実施形態においては記録用紙の中心位置に相当)に対して対称に配置するのが好ましい。また、第2通紙リブ32の形状は、中心線37に対して対称形状としている(図7参照)。これにより、記録用紙の搬送路R1、R2に対する搬送負荷が左右均等となり、記録用紙の蛇行のリスクを低減することができる。
【0038】
図5に搬送路R1、R2の拡大図を示し、第1ガイド片23aの上流側の加圧ローラ側出口ガイド25に案内板(案内リブ)38、39を設けている。案内板としては、図5及び図6に示すように、第2通紙リブ32が配設されない第1通紙リブ35へ記録用紙を案内する第1案内板38と、第2通紙リブ32へ記録用紙を案内する第2案内板39とがある。第1案内板38は、1本のリブにて構成されており、第2案内板39は、第2通紙リブ32の延長線上、及びその両側に設けられた3本のリブにて構成されている。本実施形態では、第1ガイド片23aにおいて、第2通紙リブ32は4つの第1通紙リブ35に設けられているため、第2案内板39も4つ設けられている。すなわち、第2案内板39を構成するリブは、加圧ローラ側出口ガイド25上に12個配設されている。
【0039】
図5に示すように、第2案内板39は第1案内板38よりも、搬送路R1を狭くする方向に突き出している。これにより、第2通紙リブ32近傍に配設された第2案内板39にガイドされた記録用紙先端(点線矢印d)と、第2通紙リブ32との当接角はθa2となる。仮に、第2通紙リブ32の近傍に配設された案内板が第1案内板38である場合、第1案内板38にガイドされた記録用紙先端(点線矢印c)と第2通紙リブ32との当接角はθa1となる(θa2<θa1)。このようにして記録用紙先端の第2通紙リブ32に対する当接角を小さくすることにより、搬送負荷が高くなることに起因する用紙ジャムの発生や、第2通紙リブ32の磨耗スピードが速くなることを防止することができる。
【0040】
図5に示すように、搬送路R2上の搬送方向に沿って第2ガイド片23b、第3ガイド片23c、第4ガイド片23dのガイド片が設けられている。すなわち、第2通紙リブ32が、1つの搬送路上で搬送方向に沿って複数設けられていることになる。このとき当接角θは、上流側が下流側よりも大きいものとなっている。すなわち、当接角を下流側から順にθb、θc、θdとすると、本実施形態では、θb<θc、θdとしている。
【0041】
搬送路R2は、記録用紙が反転された後に導かれる経路である。搬送路R2の入口付近、すなわち、第2ガイド片23b近傍は記録用紙が反転直後で用紙挙動が安定せず、第3ガイド片23c及び第4ガイド片23d近傍で記録用紙の挙動がより安定する。このため、θb<θc、θdとして、第2ガイド片23bのみ、記録用紙先端(点線矢印e)と第2通紙リブ32bとの当接角θbを小さくすることにより、記録用紙と第2通紙リブ32との接触量が増えて、搬送路R2の入口付近の用紙挙動が安定する。しかも、第2ガイド片23bのみ当接角θbを小さくしており、第3ガイド片23c及び第4ガイド片23dでは、記録用紙先端(点線矢印f、g)と第2通紙リブ32c、32dとの当接角θc、θdを大きくしている。このため、上流側において、記録用紙と第2通紙リブ32c、32dとの接触量が増えることを防止でき、水滴障害が発生するリスクを低減することができる。
【0042】
図7は、図5におけるα−α断面矢視図であり、搬送路R2の断面を示す図である。搬送路R2では、第1の両面ガイド部34側に第2〜第4ガイド片23b〜23dが設けられ、第2の両面ガイド部30側に第5ガイド片23eが設けられる。すなわち、図7に示すように、搬送路R2の記録媒体一面側に、第2通紙リブ32bが配設される第1通紙リブ35を有するとともに、搬送路R2の記録媒体他面側に、第2通紙リブ32bに対面する位置に第2通紙リブ32eが配設される第1通紙リブ35を有することになる。この場合、相対面する第2通紙リブ32b、32eの先端が夫々対向しないようにしている。これにより、搬送路R2の経路幅が狭くなって記録用紙の搬送負荷が大きくなることを防止できて、用紙ジャム等が発生するリスクを低減することができる。
【0043】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明の記録媒体には、一般にコピー等に用いられる普通紙、OHPシート、カード、ハガキといった90K紙、坪量約100g/m2相当以上の厚紙、封筒等の用紙よりも熱容量が大きないわゆる特殊シート等を含むものである。
【符号の説明】
【0044】
20 定着装置
21 定着ローラ
22 加圧ローラ
32 第2通紙リブ
35 第1通紙リブ
37 中心線
38 第1案内板
39 第2案内板
R 搬送路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開2010−282057号公報
【特許文献2】特開2010−210911号公報
【特許文献3】特開2001−39599号公報
【特許文献4】特開2001−142331号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上にトナー像を定着する定着装置の下流側に設けられて、前記定着装置の定着部材と加圧部材とで形成されるニップ部を通過する記録媒体を、搬送下流にガイドするガイド構造において、
前記記録媒体を搬送する搬送路に、第1通紙リブと、この第1通紙リブ上に、第1通紙リブよりも薄肉であり、かつその先端側から前記第1通紙リブ側へ向かって肉厚となる第2通紙リブとを設けたことを特徴とするガイド構造。
【請求項2】
前記第1通紙リブは、搬送方向と直交する方向に複数設けられ、前記第1通紙リブの全数の30〜70%に前記第2通紙リブが設けられることを特徴とする請求項1に記載のガイド構造。
【請求項3】
1本の第1通紙リブに対して前記第2通紙リブが設けられる範囲は、第1通紙リブの搬送方向長さの50%以下としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガイド構造。
【請求項4】
前記第2通紙リブが、1つの搬送路上で搬送方向に沿って複数設けられ、記録媒体先端の第2通紙リブに対する当接角は、上流側が下流側よりも大きいことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のガイド構造。
【請求項5】
前記第2通紙リブの位置は、前記搬送路の搬送方向に沿った中心線に対して対称に配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のガイド構造。
【請求項6】
前記第2通紙リブの形状は、前記搬送路の搬送方向に沿った中心線に対して対称形状であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のガイド構造。
【請求項7】
前記第2通紙リブは、前記第2通紙リブが配設される第1通紙リブ、及びこの第1通紙リブが配設される搬送路と同一材料であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のガイド構造。
【請求項8】
搬送路の記録媒体一面側に、第2通紙リブが配設される第1通紙リブを有するとともに、搬送路の記録媒体他面側に、前記第2通紙リブに対面する位置に第2通紙リブが配設される第1通紙リブを有し、相対面する第2通紙リブの先端が夫々対向しないことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のガイド構造。
【請求項9】
前記第1通紙リブの上流側に、第2通紙リブが配設されない第1通紙リブへ記録媒体を案内する第1案内板と、第2通紙リブへ記録媒体を案内する第2案内板とを有し、
前記第2案内板は、前記第2通紙リブの延長線上、及びその両側に設けられたリブであり、第2案内板は第1案内板よりも、搬送路を狭くする方向に突き出していることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のガイド構造。
【請求項10】
前記請求項1〜請求項9のいずれか1項のガイド構造を設けたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−11683(P2013−11683A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143294(P2011−143294)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】