説明

ガスからガス状汚染物質を分離する装置及び方法

【課題】ガスを清浄化する装置であって、従来技術と比較してより安定した方法で、吸収液のフロー層の厚さを制御する手段を備えている装置を提供すること。
【解決手段】
ガス状汚染物質をガスから分離する装置は、ガス状汚染物質を含有するガスの下からの通過を可能にし、かつその上面12上に、吸収液のフロー層14を保持する多孔板8を包含する。固定バリア76は、出口ゾーン68に設けられており、多孔板8から垂直方向上方に延びている。制御可能な調節手段80は、固定バリア76の上方に設けられており、固定バリア76を通過するために、吸収液が打ち勝たなければならない抵抗を制御するようにしている。ガス状汚染物質の分離は、調節手段80を、適当な抵抗を生成する位置に設定することによって、吸収液のフロー層14の厚さTを調節することにより、調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収液を用いて、ガスから二酸化硫黄等のガス状汚染物質を分離する装置であって、
a)少なくとも1つのガス状汚染物質を含有するガスのための入口及び前記少なくとも1つのガス状汚染物質がすでに分離されているガスのための出口と、
b)前記入口と前記出口との間に設けられて、前記少なくとも1つのガス状汚染物質を含有するガスの下からの通過を可能にし、かつ上面上に、吸収液のフロー層を保持するように配置されている、実質的に水平な多孔板と、
c)吸収液を前記多孔板の全域に分布して、前記吸収液のフロー層を形成するようにしている入口ゾーンと、
d)前記吸収液のフロー層が前記多孔板を通過した後に、前記吸収液のフロー層を受け入れるようにしている出口ゾーンと、
を包含する装置に関する。
【0002】
また、本発明は、吸収液を用いて、ガスから二酸化硫黄等のガス状汚染物質を分離する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
石炭、石油、天然ガス、産業廃棄物、一般廃棄物、泥炭等の燃焼は、二酸化硫黄、フッ酸、臭素及び塩酸等のガス状汚染物質を含有する可能性のある煙道ガスを生成する。また、二酸化硫黄等のガス状汚染物質は、化学的プロセス、例えば、冶金プロセスにおいて、副産物として生成される可能性もある。最近になって、二酸化炭素(CO)は、その環境に対するマイナスの影響により、ガス状汚染物質として注目されてきている。大量のガス状汚染物質を大気中に放出することを避けるために、通常、ガス清浄装置が、前記ガスが大気中に放出される前に、前記ガス状汚染物質を少なくとも部分的に分離するのに用いられる。
【0004】
アルストム テクノロジー リミテッド(ALSTOM Technology Ltd)による出願の国際公開第2005/007274号パンフレットは、ガスから二酸化硫黄を除去する方法及び装置について記述している。この方法及び装置においては、煙道ガスは、吸収液のフロー層が上に形成されている多孔板を通って上方へ流れる。吸収液は、例えば、水、及び石灰、石灰石、ドロマイト、水酸化ナトリウム溶液及び二酸化硫黄の吸収に適している同種の物質のうちの1つ以上からなることができる。吸収液のフロー層の吸収効率は、フロー層の厚さによる。前記国際公開第2005/007274号パンフレットに示された一実施形態においては、弁が出口ゾーン内に設けられて、多孔板のレベルの真下に配設されている。この弁の目的は、多孔板上の吸収液のフロー層の厚さを制御することである。しかし、この弁が吸収液のフロー層を制御するのにほとんど有効ではなく、吸収液のフロー層はたいてい完全に不安定になることが分かっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の目的は、ガスを清浄化する装置であって、従来技術と比較してより安定した方法で、吸収液のフロー層の厚さを制御する手段を備えている装置を提供することにある。
【0006】
本発明の第2の目的は、吸収液のフロー層の分離性能の改良された制御によって、ガスからガス状汚染物質を分離する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記第1の目的は、吸収液を用いて、ガスから二酸化硫黄等のガス状汚染物質を分離する装置であって、
a)少なくとも1つのガス状汚染物質を含有するガスのための入口及び前記少なくとも1つのガス状汚染物質がすでに分離されているガスのための出口と、
b)前記入口と前記出口との間に設けられ、前記少なくとも1つのガス状汚染物質を含有するガスの下からの通過を可能にし、かつ上面上に、吸収液のフロー層を保持するように配置されている、実質的に水平な多孔板と、
c)吸収液を前記多孔板の全域に分布して、前記吸収液のフロー層を形成するようにしている入口ゾーンと、
d)前記吸収液のフロー層が前記多孔板を通過した後に、前記吸収液のフロー層を受け入れるようにしている出口ゾーンと、
を包含する装置において、更に、
e)前記出口ゾーンに配置され、前記多孔板から垂直方向上方へ延びている固定バリアと、
f)前記固定バリアの上方に配置され、前記固定バリアを通過するために、前記吸収液のフロー層が打ち勝たなければならない抵抗を制御するようにしている制御可能な調節手段と、
を包含することを特徴とする装置によって実現される。
【0008】
この装置の利点は、前記固定バリアと前記制御可能な調節手段との組合せが、前記吸収液のフロー層の厚さを的確に制御することをより容易にするということである。別の利点は、前記吸収液のフロー層が、急速な負荷軽減で排出されないということである。従って、本発明は、変動負荷で良好に機能する装置を実現できる。
【0009】
好ましい実施形態によれば、前記固定バリアは、前記多孔板の縁部から垂直方向上方へ延びている板として形成される。この実施形態の利点は、板として形成された前記固定バリアが、小さなスペースしかとらないにもかかわらず、その目的に対してなお有効であるということである。前記多孔板の縁部から延ばすことにより、分離に対して有効である前記多孔板の領域は低減されない。
【0010】
好ましくは、前記固定バリアは、前記多孔板の上面の上方に、少なくとも50mm、より好ましくは、少なくとも75mmの高さまで延びる。前記多孔板の上面を越えるこの高さは、全ての作動モードにおいて、装置の適切な動作を実現できるような、前記吸収液のフロー層の適切な最小厚さをもたらすことが証明されている。
【0011】
好ましい実施形態によれば、前記調節手段は、水平軸線のまわりを回転するようにされている調節板を包含する。前記調節板は、前記吸収液のフロー層の厚さの、シンプルだが、有効で、安定的でかつ迅速な制御を実行できる。
【0012】
より好ましくは、前記水平軸線は、前記固定バリアの上部縁部から離れた距離に配置され、前記調節板の開口は、前記固定バリアの上部縁部と前記調節板との間に隙間を形成する。この実施形態の利点は、前記調節手段の設定の変化に対する素早い応答で、非常に的確な制御が実現されるということである。20〜100%の幅広い負荷範囲で頻繁に作動し、かつ素早い負荷変動で作動する可能性があるプラントの場合、この実施形態は、前記吸収液のフロー層の厚さの現在の負荷への素早い適応を実現できる。
【0013】
また更に好ましくは、前記水平軸線は、前記固定バリアの上部縁部の垂直方向上方に配置されている。このことは、前記調節手段の設置が小さなスペースしか占めないため、装置の非常にコンパクトなデザインを可能にする。
【0014】
別の好ましい実施形態によれば、前記水平軸線は、前記固定バリアの上部縁部上に配置されている。この実施形態の利点は、前記吸収液のフロー層の厚さの制御が、特に、最大厚さ近辺で、非常に正確かつ穏やかであるということである。90〜100%の負荷範囲で頻繁に作動し、かつ素早い負荷変動にはめったに遭わないプラントの場合には、この実施形態は、前記吸収液のフロー層の厚さの非常に的確な微調整を実現できる。
【0015】
好ましくは、前記調節板は、吸収液が上を流れるようにしている水平縁部を備え、前記水平縁部は、直線状縁部及び鋸歯状縁部から選択される。これらのタイプの縁部は、前記水平縁部の上を流れる吸収液に対して、流出特性を与えることが証明されている。
【0016】
好ましくは、前記固定バリアは、吸収液が上を流れるようにしている上部縁部を備え、前記上部縁部は、直線状縁部及び鋸歯状縁部から選択される。上述したのと同じ理由で、このような縁部は、流出特性を与える。
【0017】
本発明の前記第2の目的は、吸収液を用いて、ガスから二酸化硫黄等の少なくとも1つのガス状汚染物質を分離する方法であって、ガスが実質的に水平な多孔板を通って上方へ運ばれ、前記多孔板上の、吸収液のフロー層が入口ゾーンから出口ゾーンへ運ばれるようにした方法において、
前記吸収液のフロー層が、前記出口ゾーンに設けられていると共に前記多孔板から垂直方向上方へ延びている固定バリアを通過し、前記少なくとも1つのガス状汚染物質の分離が、前記固定バリアの上方に配置されている調節手段を、前記固定バリアを通過するために、前記吸収液のフロー層が打ち勝たなければならない適当な抵抗を生成する位置に設定することにより、前記吸収液のフロー層の厚さを調節することによって制御されることを特徴とする方法によって実現される。
【0018】
この方法の利点は、前記吸収液のフロー層の分離特性を幅広い範囲内で的確に制御することができる方法を提供できることが証明されたということである。
【0019】
この方法の好ましい実施形態によれば、前記少なくとも1つのガス状汚染物質の分離は、更に、前記吸収液が前記多孔板の上面上を通過する前記吸収液の流量を制御することによって、制御される。この実施形態の利点は、前記吸収液のフロー層の厚さ、及び吸収液が前記多孔板の上面を流れる流量の両方を制御することが、前記吸収液のフロー層の特性を、現在のガス状態、すなわち、ガスの流量及びこのガス中の少なくとも1つのガス状汚染物質の濃度に適応させる追加的な可能性を実現できるということである。このことは、煙道ガスの圧力降下を少なくすること、及び/又は吸収液を前記入口ゾーン(この入口ゾーンから吸収液が前記多孔板の上面全域に分布される)に供給するポンピング装置における電力消費を少なくすることにより、エネルギを節約することを可能にする。
【0020】
本発明の更なる目的及び特徴は、以下の説明及び特許請求の範囲の記載からはっきりと理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を参照してより詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明による装置1を概略的に示す。装置1は、ボイラー(図示せず)からの煙道ガス4のための入口2を有する。図2を見て最も良く分かるように、煙道ガス4は、第1の工程において、接触ゾーン6を通過する。この接触ゾーン6において、煙道ガス4は液体と混合され、これにより、煙道は、冷却されて、蒸発する液体の一部分によって、水蒸気で実質的に飽和される。それから、煙道ガス4からのガス状汚染物質の更なる限定された分離は、接触ゾーン6で行われる。そして、煙道ガス4は、水平矩形状の多孔板8を通過する。多孔板8は、煙道ガス4が通過することができる多数の一様に分布する穴10を有する。多孔板8は、その上面12において、水性吸収液のフロー層14を保持する。煙道ガス4が吸収液のフロー層14を通過すると、二酸化硫黄のガス状汚染物質が煙道ガス4から有効に分離される。
【0023】
浄化された煙道ガス16は、浄化された煙道ガス16のための出口18を通って装置1を出る。
【0024】
接触ゾーン6には、細長い出口ボックス20から液体が供給される。出口ボックス20は、多孔板8の第1の側方縁部22に沿って延びていると共に上方が開口している。そして、出口ボックス20は、この出口ボックス20と吸収液のフロー層14とを隔離する細長い側壁24を有する。出口ボックス20は、ガス入口2内での液体凝縮を防ぐ断熱材28を備えている細長い二重壁ガイドレール26によって、ガス入口2の近傍に画成されている。出口ボックス20は、ノズル32の形の散布手段を備えている底部30を有する。ノズル32は、図2に矢印CLで示されている液体が底部30の方へ流下し、出口ボックス20から出て接触ゾーン6に入り、これによって、出口ボックス20の底部30の下に水平方向に導かれる煙道ガス4と液体とを接触させるように、液体を散布するようにしている。
【0025】
出口ボックス20から流出する液体の一部分は、蒸発していないが、コンテナ34に集められる。コンテナ34内の液体36は、多孔板8の実質的に全体の下に、及びまた出口ボックス20の実質的に全体の下に拡がる液面38を有する。出口ボックス20の底部30と液面38との間には、煙道ガス4が通ることができる隙間40の形の流路がある。煙道ガス4は、ノズル32により散布された液体42の一部分を、液面38と多孔板8の下面46との間に形成された空間44内に同伴する。この同伴された液体は、多孔板8の下面46を濡らし、下面46に対する付着物のリスクを低減する。
【0026】
図3は、第1の巨大なポンプ48の形の第1のポンピング手段を示す。この巨大なポンプ48には、導管50を介して圧縮空気が供給され、また、出口ボックス20に、前記国際公開第2005/007274号パンフレットに記載されたのと同様の方法で、液体流れCFを供給する。この上方への液体流れCFは、出口ボックス20に到達して、同じように散布され、その後、上述したように、接触ゾーン6に流出する。
【0027】
図3に示すように、装置1は、細長い第2の巨大なポンプ52の形の第2のポンピング手段も有する。この巨大なポンプ52は、コンテナ34の底部56の真上の水平面から、多孔板8の上面12にまで垂直方向上方へ延びる垂直チューブ54を有する。また、この巨大なポンプ52は、少なくとも垂直チューブ54の下に垂直方向に配列されている多数のエアノズル58を有し、これらのエアノズルには、制御弁62が設けられている導管60を介して、圧縮空気が供給される。この圧縮空気は、液体36の濃度を低下させて、垂直チューブ54内に、矢印AFで示されている上方への液体流れを生成する。この上方への液体流れは、吸収液が、そこから多孔板8の上面12の全域に分布されて、多孔板8の上を水平方向に流れる、吸収液のフロー層14を形成する入口ゾーン64に達することになる。
【0028】
液体36は、石灰石懸濁液の貯蔵部(図示せず)からコンテナ34に供給される石灰石と、水と、石こうと、煙道ガス4からの二酸化硫黄の分離で形成された亜硫酸カルシウムとの混合物から実質的になる吸収液である。吸収液36は、例えば、国際公開第96/00122号パンフレットに開示されている方法に従って準備することができる。
【0029】
巨大なポンプ52に圧縮空気を供給する導管60に設けられた弁62は、以下に更に説明するように、煙道ガス4の流量、及び煙道ガス4の二酸化硫黄濃度に従って、吸収液の流量を調節するのに用いることができる。巨大なポンプ52に供給される圧縮空気は、その生成のためのパワーを要する。吸収液の高い流量は、大量の圧縮空気を必要とし、そのため、大量のパワー消費をもたらす。
【0030】
図4は、細長い巨大なポンプ52が、矩形状の多孔板8の第2の側方縁部66に沿ってどのように配置されているかを示し、第2の側方縁部66は、第1の側方縁部22及び出口ボックス20の長手方向に対して直角を形成する。従って、第1の巨大なポンプ48及び第2の巨大なポンプ52は、図1からも明らかなように、第2の側方縁部66と平行なラインに沿って連続して配置されている。
【0031】
また、図4から、吸収液のフロー層14が、どのようにして、入口ゾーン64から出口ゾーン68へ、細長い出口ボックス20の長手方向と平行な矢印ALで示す方向へ、多孔板8の上を水平方向に流れることも明らかである。
【0032】
ガイドレール70は、第2の側方縁部66とは反対側で、第3の側方縁部72に取付けられている。このガイドレール70は、煙道ガス4が、多孔板8を外れて通過するのを防ぐために、多孔板8から液面38の下まで延びている。多孔板8を通過して流れた吸収液は、出口ゾーン68において流下し、コンテナ34内に集められる。
【0033】
装置1に対する負荷は、例えば、ボイラー内の負荷の変化により、又は、燃焼される燃料中の硫黄の含有量により変化する可能性がある。変化する負荷において、二酸化硫黄の的確な分離を得るために、装置1は、吸収液のフロー層14の厚さTを制御するレベル制御手段74を備えている。
【0034】
図5aは、レベル制御手段74をより詳細に示す。図5aを見て分かるように、レベル制御手段74は、板として形成され、出口ゾーン68に配置されている固定バリア76を包含する。この固定バリア76は、多孔板8の第3の側方縁部72において、多孔板8から垂直方向上方へ延びている。固定バリア76は、多孔板8の上面12より上に高さHだけ延びている。固定バリア76の高さHは、好ましくは50mm、より好ましくは、約75〜350mmである。固定バリア76は、吸収液が上を越えて流れることができる上部縁部78を有する。図5aに示す場合において、上部縁部78は、直線状の水平縁部である。レベル制御手段74は、更に、固定バリア76の上に設けられている制御可能な調節手段80を包含する。この調節手段80は、水平軸84に取付けられている調節板82を包含する。この調節板82は、水平軸線Aのまわりを回転することができる。水平軸84は、その両端部に、図示しない軸受を備えている。水平軸線Aは、上部縁部78の垂直方向上方に、上部縁部78から離れた距離Dに設けられている。典型的には、距離Dは100〜500mmである。図1及び図4に示されている調節制御モータ86は、制御棒88を介して、調節板82の回転を制御する。調節板82は、水平な下部縁部90を有する。固定バリア76の上部縁部78と調節板82の下部縁部90との間には、隙間92が形成されている。モータ86を用いて、水平軸84の回転の角度を調節することにより、隙間92の幅を設定することが可能である。吸収液のフロー層14が、固定バリア76を通過するために打ち勝たなければならない、吸収液圧力降下の形の抵抗は、隙間92の幅に依存する。隙間92を狭く形成することにより、前記抵抗、すなわち、吸収液圧力降下は増加し、その結果、吸収液のフロー層14のより大きな厚さTが得られる。従って、隙間92を適当な幅に設定することにより、フロー層14の厚さTを制御することが可能である。
【0035】
図5bは、吸収液のフロー層14の流量が劇的に低下したときの状況を示す。このような低負荷の場合、調節手段80を用いて、吸収液のフロー層14の厚さTを的確に制御することは困難である。しかし、固定バリア76は、フロー層14が、Hに等しい、又は、Hよりもわずかに大きな最小厚さTLを有し、この最小厚さが、最小負荷時にも常に保たれることを実現する。その結果、フロー層14が小さすぎる厚さになって、フロー層14が、適正な吸収特性を有しなくなり、及び/又はフロー層14が、多孔板8の上面12のある領域から消える恐れが避けられる。
【0036】
隙間92内に所望の抵抗を生成するようにレベル制御手段74を制御することにより、かつまた、好ましくは、同時に、図3の矢印AF及び図1及び図4の矢印ALに従って、所望の吸収液流量を得るように、巨大ポンプ52の弁62を制御することにより、吸収液のフロー層14が、多孔板8の上面12を流れる水平方向流量(m3/s)と、吸収液のフロー層が多孔板8の上面12上を流れるときフロー層14が有する厚さTとの所望の組合せを得ることが可能である。その結果、多孔板8の上面12上の水平方向流量(m3/s)と厚さTとの組合せは、煙道ガス4の圧力降下、及び巨大ポンプ52における圧縮空気の消費量を、可能な最低レベルに保つことができるように、煙道ガス流量と、煙道ガス中の二酸化硫黄濃度との各組合わせを適合させて制御することができる。基本的に、煙道ガス4中の高濃度の二酸化硫黄は、必要な分離効率を得るために、厚いフロー層14を必要とし、一方、低濃度の二酸化硫黄の場合は、薄いフロー層14で十分である。高煙道ガス流量は、新鮮な吸収液を供給し続けるために、吸収液のフロー層14の高流量を必要とし、一方、低煙道ガス流量の場合には、遅い、吸収液のフロー層14の流量で十分である。以下の表1は、煙道ガス流量と、二酸化硫黄SO2濃度との4つの異なる組合せで装置1を作動させるのに用いることができる、レベル制御手段74により制御される厚さTと、バルブ62により制御される吸収液流量との組合せの非限定的な実施例を示す。
【0037】
【表1】

表1:煙道ガス流量及び二酸化硫黄濃度に関連する、異なる作動状態に対応するための吸収液流量と、フロー層14の厚さTの組合せ。
【0038】
図6aは、本発明の第2の実施形態によるレベル制御手段174を示す。このレベル制御手段174は、板として形成され、出口ゾーン68に設けられている固定バリア176を包含する。固定バリア176は、多孔板8の第3の側方縁部72において、多孔板8から垂直方向上方へ延び、かつ多孔板8の上面12の上に高さHだけ延びている。固定バリア176の高さHは、好ましくは、少なくとも50mm、より好ましくは、約75〜350mmである。固定バリア176は、上部縁部178を有する。レベル制御手段174は、更に、制御可能な調節手段180を包含する。この調節手段180は、水平軸184に取付けられている調節板182を包含する。水平軸184は、固定バリア176の上部縁部178の上に設けられており、水平軸線Aのまわりを回転することができる。図6aに図示しない調節制御モータは、制御棒188を介して、調節板182の回転を制御する。調節板182は、上を吸収液が流れることができる水平な上部縁部190を有する。図6aに示す状況において、調節板182は、直立位置であり、すなわち、調節板182は、垂直方向上方に延びており、これは、最大の厚さTMを有するフロー層14が得られていることを意味する。
【0039】
図6bは、レベル制御手段174が、フロー層14の厚さをより小さな厚さTCに制御するのに用いられている状況を示す。水平軸184の回転角度は、前記モータを用いて、多孔板8の上面12からの距離DCを、調節板182の上部縁部190に設定するように調節されている。固定バリア176及び調節板182を通過するために、吸収液のフロー層14が打ち勝たなければならない、吸収液の高さの形の抵抗は、距離DCに依存する。距離DCを短くすることにより、調節板182を回転させることにより、前記抵抗、すなわち、吸収液の高さは低下し、それに伴って、フロー層14のより小さな厚さTCが得られる。従って、距離DCを適切な高さに設定することにより、吸収液のフロー層14の厚さTCを制御することが可能である。図6a及び図6bに示す実施形態において、調節板182は、時計回りに、すなわち、距離DCを小さくすべきときに、多孔板8から離れて回転する。別法として、距離DCを小さくすべきときに、図6aに示す位置を起点として、調節板182を、別の方向である反時計回りに、すなわち、多孔板8の方へ回転させることも可能であることは、認識されるであろう。
【0040】
図6a及び図6bに示すレベル制御手段174は、図5a及び図5bに示すものよりも遅い制御特性を有する。これは、調節板182を、図6aに示す位置から例えば、10°回転させることが、最大の厚さTMよりもわずかに小さな厚さTCを生じるということによるものである。レベル制御手段174は、急速な負荷変動が頻出せず、フロー層14の厚さTCの微細な制御が要求されるプラントにおいて有用である。
【0041】
図7aは、本発明の第3の実施形態によるレベル制御手段274を示す。レベル制御手段274は、板として形成され、出口ゾーン68に設けられている固定バリア276を包含する。固定バリア276は、多孔板8の第3の側方縁部72において、多孔板8から垂直方向上方へ延び、かつ多孔板8の上面12の上に高さHだけ延びている。固定バリア276の高さHは、好ましくは、少なくとも50mm、より好ましくは、約75〜350mmである。固定バリア276は、上部縁部278を有する。レベル制御手段274は、更に、制御可能な調節手段280を包含する。調節手段280は、上方調節板282及び下方調節板283を包含する。2つの調節板282、283は、水平軸284の両側に取付けられており、そのため、反対方向に延びている。水平軸284は、固定バリア276の上部縁部278から距離Dに、上部縁部278の上に垂直方向に設けられており、水平軸線Aのまわりを回転することができる。図7aには図示されていない調節制御モータは、制御棒288を介して、調節板282、283の回転を制御する。上方調節板282は、上を吸収液が流れることができる水平な上部縁部290を有する。図7aに示す状況において、調節板282、283は、垂直方向上方に延びており、これは、最大の厚さTMを有するフロー層14が得られていることを意味する。この位置における調節手段280の全体の垂直方向高さDT、すなわち、上方調節板282の上部縁部290から、下方調節板283の下部縁部291までの距離DTは、典型的には、100〜500mmである。図7aに示すように、上方調節板282は、下方調節板283と同じ垂直方向高さを有する。しかし、このことは、必ずしも必要ではなく、2つの調節板282、283は、別法として、異なる垂直方向高さを有してもよい。
【0042】
図7bは、レベル制御手段274が、吸収液のフロー層14の厚さを、より小さな厚さTC1に制御するのに用いられているときの状況を示す。水平軸284の回転角度は、前記モータを用いて、多孔板8の上面12からの距離DCを、上方調節板282の上部縁部290に設定するように調節されている。固定バリア276及び調節板282、283を通過するために、吸収液のフロー層14が打ち勝たなければならない、吸収液の高さのか形の抵抗は、距離DCに依存する。距離DCを小さくすることにより、調節板282、283を回転させることによって、前記抵抗、すなわち、吸収液の高さが低下することになり、それに伴って、吸収液のフロー層14のより小さな厚さTC1が得られる。従って、距離DCを適切な高さに設定することにより、吸収液のフロー層14の厚さを制御することが可能である。調節板282、283が、水平軸284及び制御棒288を用いて、水平軸線Aのまわりを回転すると、隙間292が、下方調節板283の下部縁部291と、固定バリア276の上部縁部278との間に形成されることになる。図7bから明らかなように、吸収液の一部分はこの隙間292を通って固定バリア276を通過し、前記吸収液の一部分は上方調節板282の上部縁部290を越えて通過することになる。
【0043】
図7cは、レベル制御手段274が、吸収液のフロー層14の厚さを、より小さな厚さTC2に制御するのに用いられているときの状況を示す。水平軸284の回転角度は、更に、前記モータ及び制御棒288を用いて調節されている。図7cに示す状況において、固定バリア276を通過するために、吸収液のフロー層14が打ち勝たなければならない、吸収液圧力降下の形の抵抗は低いため、吸収液は全て、固定バリア276の上部縁部278と下方調節板283の下部縁部291との間に形成された隙間292を通って流れる。
【0044】
図7a〜図7cに示すレベル制御手段274は、図5a及び図5bに示すものよりも速い制御特性を有する。これは、調節板282、283を図7aに示す位置から例えば、10°回転させることが、上方調節板282の上部縁部290を越えて流れる吸収液と、隙間292を通って流れる吸収液の両方を生じるということによるものである。すなわち、調節板282、283の小さな回転が、フロー層14の厚さの比較的大きな低下をもたらす。レベル制御手段274は、急速な負荷変動がかなり頻出して、フロー層14の厚さの同等的に大きな変動によって素早く適合させる必要があるプラントにおいて有用である。
【0045】
図8aは、図7cの矢印VIIIa方向で見たときの調節板282、283及び固定バリア276の図である。明確にするため、吸収液は図示されていない。図を見て分かるように、上方調節板282の上部縁部290、下方調節板283の下部縁部291及び固定バリア276の上部縁部278は、全て直線状の水平縁部である。
【0046】
図8bは、図8aに示すものと同様であるが、代替的な実施形態を示す図である。この実施形態において、上方調節板382及び下方調節板383は、水平軸384に取付けられており、これらの調節板は、水平軸線Aのまわりを回転することができる。水平軸384は、固定バリア376の垂直方向上方に設けられている。固定バリア376は、鋸歯状の上部縁部378を有する。下方調節板383は下部縁部391を有し、この下部縁部391も、また鋸歯状であり、かつ固定バリア376の上部縁部378の鋸歯に一致するような鋸歯である。すなわち、調節板382、383が直立位置にあるとき、密接なシールを、吸収液が、下方調節板383と固定バリア376との間を全く、又はほとんど通過できないように実現することができる。上方調節板382は上部縁部390を有し、この上部縁部390もまた鋸歯状である。吸収液が上を通る、鋸歯状になっている縁部は、それぞれの縁部の水平方向長さに沿ってみた場合、より一様な液体流れを生成する。固定バリア376の高さHは、好ましくは、少なくとも50mm、好ましくは、75〜350mmである。図8bに示すように、固定バリア376の高さHは、個々の歯379の垂直方向高さの半分に相当する箇所から、前記多孔板(図8bには図示せず)の上面までで測定される。
【0047】
図8cは、図8a及び図8bに示すものと同様であるが、また別の代替的な実施形態を示す図である。この実施形態においては、上方調節板482及び下方調節板483は、水平軸484に取付けられており、これらの調節板は、水平軸線Aのまわりを回転することができる。水平軸484は、固定バリア476の垂直方向上方に配置されている。固定バリア476は、鋸歯状であり、かつ前記多孔板(図8cには図示せず)の上面から延びる歯479を有する上部縁部478を有する。下方調節板383は下部縁部491を有し、この下部縁部491も、また鋸歯状であり、かつ固定バリア476の鋸歯と一致するような鋸歯である。従って、調節板482、483が直立位置にある場合、密接なシールを、下方調節板483と固定バリア476との間に吸収液が全く、又はほとんど流れることがないように実現することができる。上方調節板482は上部縁部490を有し、この上部縁部490もまた鋸歯状であるが、下方調節板483とは異なる別のパターンを有する鋸歯状である。固定バリア476の垂直方向高さHは、少なくとも50mm、好ましくは、75〜350mmである。図8cに示すように、固定バリア476の高さHは、個々の歯479の垂直方向高さの半分に相当する箇所から、前記多孔板の上面までで測定される。固定バリア476は、吸収液の一部分が、非常に低い液体の高さでも、歯479の間を通り抜けることを可能にするが、それでも、大量の吸収液が前記歯の間を通過することができないため、固定バリアとして機能することは、認識されるであろう。
【0048】
上述した実施形態に関する多数の変形例が、特許請求の範囲に記載した範囲内で可能であることは、認識されるであろう。
【0049】
例えば、前記固定バリアは、板形状であると説明してきた。前記固定バリアは、矩形状、三角形状等の他の断面形状を有することも可能であることは、認識されるであろう。必要に応じて、補強的剛性を備えた板形状の固定バリアは、その最小限のスペース要件により、好ましい代替例となる場合もある。
【0050】
これまで、水平軸及び少なくとも1つの調節板を包含する調節手段について説明してきた。他のタイプの調節手段、例えば水平軸自体は丸くないが、調節手段として機能する調節手段等を用いることもできることは、認識されるであろう。
【0051】
別の代替例は、前記固定バリアに沿って、垂直方向にスライドするスライディング調節板を包含する調節手段を形成することである。この代替例においては、水平軸は必要ない。前記スライディング調節板は、吸収液が上を流れるようにしている水平な上部縁部を包含する。前記水平な上部縁部から前記固定バリアの水平な上部縁部までの垂直距離を制御することにより、吸収液のフロー層の厚さを制御することができる。前記スライディング調節板は、油圧ジャッキ又はリニアモータを用いて、垂直方向に動かすことができる。
【0052】
図1〜図8に示す装置1は、矩形状の多孔板を有する。別法として、前記多孔板が、例えば、前記国際公開第96/00122号パンフレットに示されているように、円形状又は扇形形状とすることもできることは、認識されるであろう。このような場合、前記調節手段は、短いセグメントに分割してもよく、各セグメントは、上から見た場合に、円形状多孔板の外側縁部の湾曲形状に合うように、直線状である。
【0053】
これまで、制御棒88及びモータ86が、調節板82の設定を制御するのに用いられると説明した。水平軸84自体を直接、又はトランスミッションを介して駆動するようなモータを代わりに設けることも可能であることは、認識されるであろう。このような場合、連結機構は必要ない。
【0054】
これまで、例えば、図8a、図8b及び図8cに見られるように、幾つかの固定バリアの異なる変形例について説明してきた。多くの他の変形例が、設計の詳部に関して可能であることを認識すべきである。多くの場合、前記固定バリアが、図8a及び図8bに示されているように、完全に密接する水平部分を包含することが好ましく、図8bの歯379の下の部分が水平部分であるが、ある場合においては、図8cに示すように、多孔板8の上面12まで延びる歯を有してもよい。
【0055】
これまで、二酸化硫黄の形のガス状汚染物質がガスから分離されることについて説明してきた。この分離の場合、例えば、石灰、石灰石又はドロマイトからなる水性懸濁液である吸収液を用いることができる。本発明による装置及び方法を用いて、他のガス状汚染物質をガスから除去することもできることは、認識されるであろう。このようなガス状汚染物質の例としては、塩酸(HCl)、フッ酸(HF)、臭素(Br)及び臭化水素酸(HBr)がある。これらのガス状汚染物質は、別々の装置で、又は、1つの装置内で一緒に、あるいは、二酸化硫黄と一緒でも、分離することができる。ある場合においては、水のみが、又は、水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウム等の溶解性吸収剤からなる水溶液が、吸収液として有用である。更に、本発明による装置及び方法は、二酸化炭素をガス状汚染物質としてガスから分離するのに用いることもできる。二酸化炭素をガスから分離する場合、アミン等の有機液体を、水性吸収液の代わりに吸収液として用いることが有用である可能性もある。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】水平面における断面図であり、本発明による装置を概略的に示す図である。
【図2】垂直面における断面図であり、図1の部分II−IIを示す図である。
【図3】垂直面における断面図であり、図1の部分III−IIIを示す図である。
【図4】垂直面における断面図であり、図1の部分IV−IVを示す図である。
【図5a】拡大断面図であり、図4の領域Va(第1の作動モード)を示す図である。
【図5b】拡大断面図であり、第2の作動モードにおける、図5aのレベル制御手段を示す図である。
【図6a】拡大断面図であり、本発明の第2の実施形態によるレベル制御手段(第1の作動モードである)を示す図である。
【図6b】拡大断面図であり、第2の作動モードにおける、図6aのレベル制御手段を示す図である。
【図7a】拡大断面図であり、本発明の第3の実施形態によるレベル制御手段(第1の作動モードである)を示す図である。
【図7b】拡大断面図であり、第2の作動モードにおける、図7aのレベル制御手段を示す図である。
【図7c】拡大断面図であり、第3の作動モードにおける、図7aのレベル制御手段を示す図である。
【図8a】部分側面図であり、図7cの矢印IIIaに沿って見たときの、調節手段及び固定バリアを示す図である。
【図8b】部分側面図であり、本発明の別の実施形態による調節手段及び固定バリアを示す図である。
【図8c】部分側面図であり、本発明の更に別の実施形態による調節手段及び固定バリアを示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 装置
2 入口
4 煙道ガス
6 接触ゾーン
8 多孔板
10 穴
12 上面
14 フロー層
16 浄化された煙道ガス
18 出口
20 出口ボックス
22 第1の側方縁部
24 側壁
28 断熱材
26 ガイドレール
30,56 底部
32 ノズル
34 コンテナ
36,42 液体(吸収液)
38 液面
40 隙間
44 空間
46 下面
48 第1の巨大なポンプ
50 導管
52 第2の巨大なポンプ
54 垂直チューブ
58 エアノズル
60 導管
62 制御弁
64 入口ゾーン
66 第2の側方縁部
68 出口ゾーン
70 ガイドレール
72 第3の側方縁部
76,176,276,376,476 固定バリア
78,178,278,378,478 上部縁部
80,180,280 調節手段
82,182 調節板
84,184,284,384,484 水平軸
86 調節制御モータ
88,188,288 制御棒
90 水平な下部縁部
92,292 隙間
174,274 レベル制御手段
190 水平な上部縁部
282,382,482 上方調節板
283,383,483 下方調節板
290,390,490 上部縁部
291,391,491 下部縁部
379,479 歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収液を用いて、ガスから二酸化硫黄等のガス状汚染物質を分離する装置であって、
a)少なくとも1つのガス状汚染物質を含有するガス(4)のための入口(2)及び前記少なくとも1つのガス状汚染物質がすでに分離されているガス(16)のための出口(18)と、
b)前記入口(2)と前記出口(18)との間に設けられ、前記少なくとも1つのガス状汚染物質を含有するガス(4)の下からの通過を可能にし、かつ上面(12)上に、吸収液のフロー層(14)を保持するように配置されている、実質的に水平な多孔板(8)と、
c)吸収液を前記多孔板(8)の全域に分布して、前記吸収液のフロー層(14)を形成するようにしている入口ゾーン(64)と、
d)前記吸収液のフロー層(14)が前記多孔板(8)を通過した後に、前記吸収液のフロー層(14)を受け入れるようにしている出口ゾーン(68)と、
を包含する装置において、更に、
e)前記出口ゾーン(68)に配置され、前記多孔板(8)から垂直方向上方へ延びている固定バリア(76)と、
f)前記固定バリア(76)の上方に配置され、前記固定バリア(76)を通過するために、前記吸収液のフロー層(14)が打ち勝たなければならない抵抗を制御するようにしている制御可能な調節手段(80)と、
を包含することを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、前記固定バリア(76)が、前記多孔板(8)の縁部(72)から垂直方向上方へ延びている板として形成されている装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の装置において、前記固定バリア(76)が、前記多孔板(8)の上面(12)を越えて少なくとも50mmの高さ(H)まで延びている装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置において、前記調節手段(80;180;280)が、水平軸線(A)のまわりを回転するようにされている調節板(82;182;282、283)を包含している装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、前記水平軸線(A)が、前記固定バリア(76;276)の上部縁部(78;278)から離れた距離(D)に配置され、前記調節板(82;283)の開口が、前記固定バリア(76;276)の上部縁部(78;278)と前記調節板(82;283)との間に隙間(92;292)を形成するようにした装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、前記水平軸線(A)が、前記固定バリア(76;276)の上部縁部(78;278)の垂直方向上方に配置されている装置。
【請求項7】
請求項4記載の装置において、前記水平軸線(A)が、前記固定バリア(176)の上部縁部(178)上に配置されている装置。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の装置において、前記調節板(82;182;282、283;382、383;482、483)は、吸収液が上を流れるようにしている水平縁部(90;190;290、291;390、391;490、491)を備え、前記水平縁部は、直線状縁部(90;190;290、291)及び鋸歯状縁部(390、391;490、491)から選択されている装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置において、前記固定バリア(76;276;376;476)は、吸収液が上を流れるようにしている上部縁部(78;278;378;478)を備え、前記上部縁部が、直線状縁部(78;278)及び鋸歯状縁部(378;478)から選択されている装置。
【請求項10】
吸収液を用いて、ガスから二酸化硫黄等の少なくとも1つのガス状汚染物質を分離する方法であって、ガス(4)が実質的に水平な多孔板(8)を通って上方へ運ばれ、前記多孔板(8)上の、吸収液のフロー層(14)が入口ゾーン(64)から出口ゾーン(68)へ運ばれるようにした方法において、
前記吸収液のフロー層(14)が、前記出口ゾーン(68)に設けられていると共に前記多孔板(8)から垂直方向上方へ延びている固定バリア(76)を通過し、前記少なくとも1つのガス状汚染物質の分離が、前記固定バリア(76)の上方に配置されている調節手段(80)を、前記固定バリア(76)を通過するために、前記吸収液のフロー層(14)が打ち勝たなければならない適当な抵抗を生成する位置に設定することにより、前記吸収液のフロー層(14)の厚さ(T)を調節することによって制御されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、前記少なくとも1つのガス状汚染物質の分離が、更に、吸収液が、前記多孔板(8)の上面(12)上を通過する吸収液の流量を制御することによって、制御されるようにした方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【公開番号】特開2007−167847(P2007−167847A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342020(P2006−342020)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】