説明

ガスセンサおよびその製造方法ならびにその製造用治具

【課題】大気を導入するための大気連通孔に設けられるフィルタ部材を保護することができるガスセンサおよびその製造方法ならびにその製造用治具を提供する。
【解決手段】保護部材100は、外筒3の後端側に加締められるグロメット9の大気連通孔91内に配置されるフィルタ部材87を保護するため、外筒3に機械接合される。保護部材100の通気部110は大気連通孔91を軸線方向に延ばした領域に配置されるが、通気部110に設けられた陥没部115の開口部116を介し、外筒3の内部と外部との通気性が確保されている。通気部110から径方向へ向けて延びる腕部120はグロメット9に設けられた溝部93内に配置され、その溝部93の内壁によって、腕部120、ひいては保護部材100自身が、軸線Oと直交する周方向に回転することを規制され、保護部材100とリード線18とが接触しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出ガスを検出する検出素子を主体金具や外筒の内部に保持しつつ、その外筒の内部と外部との通気性を確保するための通気構造を有するガスセンサおよびその製造方法ならびにその製造用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ジルコニア等のセラミックスからなる固体電解質体を用い、内燃機関の排出する排気ガス中の特定ガス成分(例えば酸素など)を検出する検出素子を備えたガスセンサが知られている。例えば、酸素を検出する酸素センサの検出素子は、排気ガス中に晒される検出電極と、基準となるガス(通常は大気)中に晒される基準電極とが一対となって固体電解質体を挟むようにその表面上に形成された構成を有する。この検出素子は、固体電解質体に隔てられた2つの雰囲気間、すなわち排気ガスと基準ガス(大気)との間における酸素分圧の差に応じ、両電極間に生ずる起電力によって排気ガス中の酸素の検出を行うものである。
【0003】
このような酸素センサが内燃機関の排気管に取り付けられたとき、検出素子は、検出電極側が排気管内を流通する排気ガス中に晒されるように直接または間接的に外部に露出された状態で主体金具内に保持されている。そして、主体金具に固定される外筒と主体金具とで、検出電極側と基準電極側とが隔てられている。また、検出素子の検出信号を取り出すためのリード線が外筒の外部に引き出されており、そのリード線の引き出し口には、引き出し口を塞ぐための栓部材が組み付けられている。
【0004】
栓部材(グロメット)には、リード線(センサ出力リード線およびヒータリード線)を挿通させるリード線挿通孔の他に、排気管の外側で外筒の内部と外部との間の通気性を確保して基準電極側に大気を導入するための大気連通孔(貫通孔)が設けられている。そして栓部材の大気連通孔には、外筒内に大気を導入しつつも水滴等を進入させないようにするためのフィルタ部材が設けられている(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−208165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の酸素センサでは、フィルタ部材が外部に直接露出されることとなる。通常、酸素センサは自動車の路面近くに配置されるため、草木との接触や飛石等の衝突による外部からの衝撃をフィルタ部材が直接受ける場合があり、フィルタ部材に破損を生ずる虞がある。そしてフィルタ部材が破損してしまうと、酸素センサが被水した場合に内部に水が侵入し、酸素センサの出力に異常が生じたり、端子が短絡したりする虞があった。
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、大気を導入するための大気連通孔に設けられるフィルタ部材を保護することができるガスセンサおよびその製造方法ならびにその製造用治具を提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のガスセンサは、軸線方向に延びると共に、自身の先端側に被検出ガスを検出するための検出部を有する検出素子と、前記検出部を自身の先端から突出させつつ、前記検出素子の径方向周囲を取り囲む主体金具と、当該主体金具に固定され、前記検出素子の後端側の径方向周囲を取り囲む筒状の外筒と、前記外筒の後端側に当該外筒を塞ぐように配置される栓部材であって、前記検出素子の検出信号を取り出すためのリード線が挿通されるリード線挿通孔、および、通気性と防水性を有するフィルタ部材を介在させて前記外筒の内部と外部との大気連通を可能とする大気連通孔が、それぞれ前記軸線方向に延びるように形成された栓部材と、を備えたガスセンサにおいて、前記栓部材の前記大気連通孔を前記外筒の外部側から覆い前記フィルタ部材を保護する第1保護部材であって、少なくとも前記大気連通孔を前記軸線方向に延ばした領域に、前記大気連通孔の開口よりも小さい開口を有する通気部が形成された第1保護部材を有し、前記外筒および前記栓部材の少なくともいずれか一方には、前記第1保護部材が前記軸線方向を中心とする周方向に回転することを規制する回転規制部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明のガスセンサは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記第1保護部材は、前記リード線と非接触の状態で前記外筒に機械接合されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明のガスセンサは、請求項1または2に記載の発明の構成に加え、前記外筒の前記後端側には、前記栓部材を固定する加締部を有し、前記第1保護部材は、前記加締部に機械接合されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明のガスセンサは、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記第1保護部材は、前記通気部から径方向外側に延びる複数の腕部と、複数の当該腕部の全てに接続し、前記外筒の前記後端側の径方向周囲を取り囲んで前記外筒に機械接合された筒状の掛留部と、を有し、前記回転規制部は、前記栓部材の後端向き面側にて前記大気連通孔を起点に前記リード線挿通孔を避けて径方向外側に向かって延びる溝部であり、少なくとも1つの前記腕部は、前記溝部内に配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明のガスセンサは、請求項4に記載の発明の構成に加え、筒状をなす前記掛留部は、自身の内周面から内向きに突出する複数の内突部を有し、当該内突部が前記加締部と係合することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る発明のガスセンサは、請求項4または5に記載の発明の構成に加え、前記溝部には、前記栓部材の後端向き面側にて前記大気連通孔を起点にして径方向外側に向かって対称に延びる連結溝部を有し、複数の前記腕部のうちの2つの前記腕部は、前記連結溝部内に配置されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る発明のガスセンサは、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記第1保護部材の前記通気部は、軸線方向に貫通する複数の孔を有した形態、軸線方向の開口にメッシュ状の部材を組み付けた形態、または自身に形成された凸部の側面に開口を有した形態のうちのいずれかの形態に形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に係る発明のガスセンサは、請求項1乃至7のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記第1保護部材の硬度は、前記フィルタ部材の硬度よりも硬いことを特徴とする。
【0015】
また、請求項9に係る発明のガスセンサは、軸線方向に延びると共に、自身の先端側に被検出ガスを検出するための検出部を有する検出素子と、前記検出部を自身の先端から突出させつつ、前記検出素子の径方向周囲を取り囲む主体金具と、当該主体金具に固定され、前記検出素子の後端側の径方向周囲を取り囲む筒状の外筒と、前記外筒の後端側に当該外筒を塞ぐように配置される栓部材であって、前記検出素子の検出信号を取り出すためのリード線が挿通されるリード線挿通孔、および、通気性と防水性を有するフィルタ部材を介在させて前記外筒の内部と外部との大気連通を可能にする大気連通孔が、それぞれ前記軸線方向に延びるように形成された栓部材と、を備えたガスセンサにおいて、前記ガスセンサを後方側から軸線方向に見たときに、前記フィルタ部材が視認できないように前記フィルタ部材を覆う被覆部を有し、前記外筒に機械接合される第2保護部材であって、自身と前記栓部材との間隙を介して前記大気連通孔内と外部との通気を許容する第2保護部材を有し、前記外筒および前記栓部材の少なくともいずれか一方には、前記第2保護部材が周方向に回転することを規制する回転規制部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項10に係る発明のガスセンサは、請求項9に記載の発明の構成に加え、前記第2保護部材は、前記リード線と非接触の状態で前記外筒に機械接合されていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項11に係る発明のガスセンサは、請求項9または10に記載の発明の構成に加え、前記外筒の前記後端側には、前記栓部材を固定する加締部を有し、前記第2保護部材は、前記加締部に機械接合されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項12に係る発明のガスセンサは、請求項9乃至11のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記第2保護部材は、前記被覆部から径方向外側に延びる複数の腕部と、複数の当該腕部の全てに接続し、前記外筒の前記後端側の径方向周囲を取り囲んで前記外筒に機械接合された筒状の掛留部と、を有し、前記回転規制部は、前記栓部材の後端向き面側にて前記大気連通孔を起点に前記リード線挿通孔を避けて径方向外側に向かって延びる溝部であり、少なくとも1つの前記腕部は、前記溝部内に配置されていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項13に係る発明のガスセンサは、請求項12に記載の発明の構成に加え、筒状をなす前記掛留部は、自身の内周面から内向きに突出する複数の内突部を有し、当該内突部が前記加締部と係合することを特徴とする。
【0020】
また、請求項14に係る発明のガスセンサは、請求項12または13に記載の発明の構成に加え、前記溝部には、前記栓部材の後端向き面側にて前記大気連通孔を起点にして径方向外側に向かって対称に延びる連結溝部を有し、複数の前記腕部のうち2つの前記腕部は、前記連結溝部内に配置されていることを特徴とする。
【0021】
また、請求項15に係る発明のガスセンサは、請求項9乃至14のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記第2保護部材の硬度は、前記フィルタ部材の硬度よりも硬いことを特徴とする。
【0022】
また、請求項16に係る発明のガスセンサの製造方法は、請求項1乃至15のいずれかに記載のガスセンサの製造方法であって、前記第1保護部材または前記第2保護部材の前記外筒への取付方向の後方側から前記第1保護部材または前記第2保護部材に係合し、前記第1保護部材または前記第2保護部材を着脱可能に保持する保護部材保持部と、複数の前記リード線をそれぞれの延伸方向に沿ってスライド可能に保持すると共に、複数の前記リード線をそれぞれ前記第1保護部材または前記第2保護部材に対して位置決めするリード線保持部と、を有する製造用治具を用い、前記第1保護部材または前記第2保護部材を前記製造用治具で保持する保護部材保持工程と、複数の前記リード線のそれぞれを、前記製造用治具の前記リード線保持部で保持するリード線保持工程と、複数の前記リード線の延伸方向に沿って前記製造用治具と一体となった前記第1保護部材または前記第2保護部材をスライドさせて、前記第1保護部材または前記第2保護部材を前記外筒の前記後端側に配置する保護部材配置工程と、前記第1保護部材または前記第2保護部材を前記外筒への取付方向に押圧し、前記第1保護部材または前記第2保護部材の前記掛留部を前記外筒の前記加締部に機械接合させると共に、前記第1保護部材または前記第2保護部材を前記製造用治具の前記保護部材保持部から脱着させる機械接合工程とを有することを特徴とする。
【0023】
また、請求項17に係る発明のガスセンサの製造方法は、請求項16に記載の発明の構成に加え、前記保護部材配置工程では、前記第1保護部材または前記第2保護部材が前記外筒に接触する前に、前記製造用治具が、前記栓部材に接触することを特徴とする。
【0024】
また、請求項18に係る発明のガスセンサの製造用治具は、請求項16または17に記載のガスセンサの製造方法において、前記第1保護部材または前記第2保護部材を前記外筒の前記後端側に機械接合する際に用いられるガスセンサの製造用治具であって、前記第1保護部材または前記第2保護部材の前記外筒への取付方向の後方側から前記第1保護部材または前記第2保護部材に係合し、前記第1保護部材または前記第2保護部材を着脱可能に保持する保護部材保持部と、複数の前記リード線をそれぞれの延伸方向に沿ってスライド可能に保持すると共に、複数の前記リード線をそれぞれ前記第1保護部材または前記第2保護部材に対して位置決めするリード線保持部と、を有することを特徴とする。
【0025】
また、請求項19に係る発明のガスセンサの製造用治具は、請求項18に記載の発明の構成に加え、前記保護部材保持部は、前記第1保護部材または前記第2保護部材に係合した際に、前記腕部よりも前記第1保護部材または前記第2保護部材の前記外筒への取付方向の前方側に突出していることを特徴とする。
【0026】
また、請求項20に係る発明のガスセンサの製造用治具は、請求項18または19に記載の発明の構成に加え、前記リード線保持部は、自身に保持する前記リード線の延伸方向に沿う溝状をなすものであり、前記リード線保持部は、前記第1保護部材または前記第2保護部材の前記外筒への取付方向において、前方側の部位よりも後方側の部位における溝の深さが深く形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に係る発明のガスセンサでは、栓部材の大気連通孔を外筒の外部側から覆いフィルタ部材を保護する第1保護部材を有するので、フィルタ部材が大気連通孔を介して直接外部に露出しなくなる。よって、外部からの衝撃をフィルタ部材が直接受けなくなり、フィルタ部材が破損する事を防止できる。その結果、ガスセンサ内部への水の侵入を防止できる。一方、第1保護部材には、少なくとも栓部材の大気連通孔を軸線方向に延ばした領域に通気部が設けられているが、この通気部は、大気連通孔の開口よりも小さい開口を有しているので、フィルタ部材が大気連通孔を介して直接外部に露出しない形態で、大気連通孔を介して外筒の内部と外部との通気性を確保できる。そして、その第1保護部材が、外筒に対して機械接合によって組み付けられるので、加締めや溶接等の手間が不要であり、ガスセンサの組み立てが容易である。
【0028】
ところで、この第1保護部材は栓部材の大気連通孔を覆うように外筒の外部側から外筒の後端側を取り囲むように組み付けられるが、栓部材には大気連通孔と共にリード線のリード線挿通孔が軸線方向に延びるように形成されている。つまりリード線も、軸線方向に沿うように、リード線挿通孔内を挿通されている。すると、第1保護部材を外筒に対して機械接合すると、接合後にガスセンサの周方向に回転してしまい、リード線を損傷してしまうことが考えられる。そこで、本発明に係るガスセンサでは、外筒および栓部材の少なくともいずれ一方に回転規制部を設けたことによって、外筒に組み付けられた第1保護部材が軸線方向を中心に周方向に回転することを規制することができる。このため、リード線挿通孔を挿通されたリード線と第1保護部材とが接触することがなく、リード線の損傷等の虞を低減することができる。
【0029】
もっとも、第1保護部材が回転規制部により、軸線方向を中心とする周方向に回転しないため、第1保護部材がリード線と接触した状態であってもリード線を切断する虞はない。しかし、ガスセンサが外部から、例えば振動による負荷を受けた場合に、第1保護部材とリード線とが当接した状態では接触摩擦による摩耗等が生ずる虞がある。そこで請求項2に係る発明のように、第1保護部材が、リード線と非接触の状態で外筒に組み付けられることが望ましい。さらに、リード線と第1保護部材とは、1mm以上離間していることが好ましい。
【0030】
第1保護部材を外筒に機械接合するにあたって、請求項3に係る発明のように、栓部材を外筒に固定するために形成された加締部を利用し、その加締部に外嵌めによって第1保護部材を機械接合すれば、外筒もしくは栓部材に第1保護部材の組み付けのための部位を新たに形成することもなく、簡単に組み付けを行うことができる。
【0031】
ところで、栓部材が外部から被水したときに、大気連通孔の通気性能を低下させないように、栓部材には水捌けを補助するための溝部を設ける場合がある。請求項4に係る発明のように、回転規制部としてこの溝部を利用し、溝部に係合可能なように通気部から径方向外側に延びる腕部を有した第1保護部材を用いれば、第1保護部材に回転規制部と係合する部位を新たに形成することもない。
【0032】
さらに、第1保護部材を外筒に機械接合する上で、掛留部を筒状に形成して外筒の後端側に被せて機械接合する形態としたことで、掛留部の機械強度を高め、外筒の後端に対する掛留部のぐらつきを抑制し、ひいては腕部を介して掛留部に接続された通気部のぐらつきを抑制することができ、フィルタ部材を確実に保護することができる。
【0033】
さらに請求項5に係る発明のように、筒状の掛留部の内周面から内向きに内突部を突出させて、その内突部が加締部と係合するようにすれば、その内突部により加締部との機械接合を維持し、第1保護部材のぐらつきを抑制することができる。そして掛留部の内周面と外筒の外周面との間にクリアランスを設けることができるので、ガスセンサの組み立て時に第1保護部材を取り付ける際に、外筒の後端側に掛留部を被せ易い。このような内突部は、掛留部の内周面に突起を接合したり、外周面を内向きに押し込む、いわゆるダボ状に形成したりして設けるとよい。また、外周面にL字型やコの字型、半円型などの切り込みを入れ、自由端側を内向きに押し込むことで形成してもよい。この場合、内突部がバネ性を有することができ、付勢力をもって加締部との係合を維持しつつ、外筒に対する掛留部のぐらつきをより確実に抑制することができる。
【0034】
そして、上記の溝部は、水捌けのために大気連通孔を起点にして径方向外側に向かって対称に延びている形態である連結腕部を有することがある。この場合、請求項6に係る発明のように、腕部のうちの2つが連結溝部に配置されていることが好ましい。このように腕部が連結溝部に配置される(つまり2つの腕部が対称になる)ことで第1保護部材を安定して栓部材に固定することができる。
【0035】
なお、第1保護部材の通気部は、フィルタ部材を外部側から覆って保護する一方で、外筒の内部と外部との間における通気性を十分に維持できる構造であることが望まれる。そこで請求項7に係る発明のように、通気部に、軸線方向に貫通する複数の孔を設けるとよい。または、通気部に、軸線方向に設けた開口にメッシュ状の部材を組み付けてもよい。あるいは、通気部に凸部を設け、その側面に開口を形成して通気可能に構成してもよい。こうした形態のうちのいずれかの形態にて通気部が形成されれば、フィルタ部材の保護と通気性の確保とを行うことができる。
【0036】
また、請求項8に係る発明のように、第1保護部材の硬度は、フィルタ部材の硬度よりも硬いことが好ましい。これにより、フィルタ部材が破損することをより確実に防止できる。
【0037】
請求項9に係る発明のガスセンサでは、第2保護部材は、後方側から軸線方向に見たときに、フィルタ部材が視認できないようにフィルタ部材を覆う被覆部を有するので、フィルタ部材が大気連通孔を介して直接外部に露出しなくなる。よって、外部からの衝撃をフィルタ部材が直接受けなくなり、フィルタ部材が破損する事を防止できる。その結果、ガスセンサ内部への水の侵入を防止できる。一方、第2保護部材と栓部材との間隙を介して大気連通孔内と外部との通気を許容する構成となっており、フィルタ部材が大気連通孔を介して直接外部に露出しない形態で、大気連通孔を介して外筒の内部と外部との通気性を確保できる。そして、その第2保護部材が、外筒に対して機械接合によって組み付けられるので、加締めや溶接等の手間が不要であり、ガスセンサの組み立てが容易である。
【0038】
ところで、この第2保護部材は栓部材の大気連通孔を覆うように外筒の外部側から外筒の後端側を取り囲むように組み付けられるが、栓部材には大気連通孔と共にリード線のリード線挿通孔が軸線方向に延びるように形成されている。つまりリード線も、軸線方向に沿うように、リード線挿通孔内を挿通されている。すると、第2保護部材を外筒に対して機械接合すると、接合後にガスセンサの周方向に回転してしまい、リード線を損傷してしまうことが考えられる。そこで、本発明に係るガスセンサでは、外筒および栓部材の少なくともいずれ一方に回転規制部を設けたことによって、外筒に組み付けられた第2保護部材が軸線方向を中心に周方向に回転することを規制することができる。このため、リード線挿通孔を挿通されたリード線と第2保護部材とが接触することがなく、リード線の損傷等の虞を低減することができる。
【0039】
もっとも、第2保護部材の腕部が溝部内に配置されることにより、軸線方向を中心とする周方向に回転しないため、第2保護部材がリード線と接触した状態であってもリード線を切断する虞はない。しかし、ガスセンサが外部から、例えば振動による負荷を受けた場合に、第2保護部材とリード線とが当接した状態では接触摩擦による摩耗等が生ずる虞がある。そこで請求項10に係る発明のように、第2保護部材が、リード線と非接触の状態で外筒に組み付けられることが望ましい。さらに、リード線と第2保護部材とは、1mm以上離間していることが好ましい。
【0040】
第2保護部材を外筒に機械接合するにあたって、請求項11に係る発明のように、栓部材を外筒に固定するために形成された加締部を利用し、その加締部に外嵌めによって第2保護部材を機械接合すれば、外筒もしくは栓部材に第2保護部材の組み付けのための部位を新たに形成することもなく、簡単に組み付けを行うことができる。
【0041】
ところで、栓部材が外部から被水したときに、大気連通孔の通気性能を低下させないように、栓部材には水捌けを補助するための溝部を設ける場合がある。請求項12に係る発明のように、回転規制部としてこの溝部を利用し、溝部に係合可能なように被覆部から径方向外側に延びる腕部を有した第2保護部材を用いれば、第2保護部材に回転規制部と係合する部位を新たに形成することもない。
【0042】
さらに、第2保護部材を外筒に機械接合する上で、掛留部を筒状に形成して外筒の後端側に被せて機械接合する形態としたことで、掛留部の機械強度を高め、外筒の後端に対する掛留部のぐらつきを抑制し、ひいては腕部を介して掛留部に接続された被覆部のぐらつきを抑制することができ、フィルタ部材を確実に保護することができる。
【0043】
さらに請求項13に係る発明のように、筒状の掛留部の内周面から内向きに内突部を突出させて、その内突部が加締部と係合するようにすれば、その内突部により加締部との機械接合を維持し、第2保護部材のぐらつきを抑制することができる。そして掛留部の内周面と外筒の外周面との間にクリアランスを設けることができるので、ガスセンサの組み立て時に第2保護部材を取り付ける際に、外筒の後端側に掛留部を被せ易い。このような内突部は、掛留部の内周面に突起を接合したり、外周面を内向きに押し込んで、いわゆるダボ状に形成したりして設けるとよい。また、外周面にL字型やコの字型、半円型などの切り込みを入れ、自由端側を内向きに押し込むことで形成してもよい。この場合、内突部がバネ性を有することができ、付勢力をもって加締部との係合を維持しつつ、外筒に対する掛留部のぐらつきをより確実に抑制することができる。
【0044】
そして、上記の溝部は、水捌けのために大気連通孔を起点にして径方向外側に向かって対称に延びている形態である連結腕部を有することがある。この場合、請求項14に係る発明のように、腕部のうちの2つが連結溝部に配置されていることが好ましい。このように腕部が連結溝部に配置される(つまり2つの腕部が対称になる)ことで第2保護部材を安定して栓部材に固定することができる。
【0045】
また、請求項15に係る発明のように、第2保護部材の硬度は、フィルタ部材の硬度よりも硬いことが好ましい。これにより、フィルタ部材が破損することをより防止できる。
【0046】
また、請求項16に係る発明のガスセンサの製造方法では、製造用治具に一体に保持させた第1保護部材または第2保護部材を、自身に対し位置決めしつつ製造用治具に保持させたリード線の延伸方向に沿って製造用治具と共にスライド移動させ、自身を外筒の後端側に配置させることができるので、スライド移動の際に第1保護部材または第2保護部材とリード線との接触を回避することができる。そして、第1保護部材または第2保護部材と一体となった製造用治具が外筒の後端側に配置された際には、リード線の案内によって、栓部材のリード線挿通孔の位置に溝部が連結する配置となり、製造用治具が栓部材に対し位置決めされる。これにより、製造用治具に位置決め保持されている第1保護部材または第2保護部材の腕部や通気部または被覆部がそれぞれ栓部材の溝部や大気連通孔に対して位置決めされるので、第1保護部材または第2保護部材をそのまま外筒への取付方向に押圧するだけで、腕部や通気部または被覆部が栓部材の溝部や大気連通孔に配置させつつ掛留部を外筒の加締部に機械接合することができ、栓部材に対し第1保護部材または第2保護部材の向きを揃える手間を省くことができる。
【0047】
さらに、請求項17に係る発明のように、保護部材配置工程において、第1保護部材または第2保護部材が外筒に接触するより前に、製造用治具が栓部材と接触した状態にすることができるので、保護部材保持部が栓部材の溝部や大気連通孔のそれぞれに第1保護部材または第2保護部材の腕部や通気部または被覆部を案内する経路を先に形成することができる。第1保護部材または第2保護部材の掛留部は外筒の加締部へ外嵌めにて機械接合されるが、その際に、腕部や通気部または被覆部が溝部や大気連通孔のそれぞれに案内される経路によって位置決めされるため、掛留部のぐらつきが抑制され、より確実に、第1保護部材または第2保護部材の機械接合を行うことができる。
【0048】
また、請求項18に係る発明のガスセンサの製造用治具を用いて、保護部材保持部で第1保護部材または第2保護部材を保持し、リード線保持部でリード線を保持しつつ、第1保護部材または第2保護部材とリード線とが互いに接触しないように位置決めすれば、ガスセンサの製造過程においてリード線の延伸方向に沿って第1保護部材または第2保護部材を移動させる際に、第1保護部材または第2保護部材でリード線を擦ったり損傷させたりすることを防止できる。
【0049】
また、請求項19に係る発明のように、保護部材保持部は、第1保護部材または第2保護部材の腕部よりも取付方向前方へ突出しているので、外筒の後端側に第1保護部材または第2保護部材を配置する際に、第1保護部材または第2保護部材が外筒に接触するより前に、製造用治具が栓部材と接触した状態にすることができる。従って、第1保護部材または第2保護部材の掛留部は外筒の加締部へ外嵌めにて機械接合する際には、保護部材保持部が栓部材の溝部や大気連通孔のそれぞれに第1保護部材または第2保護部材の腕部や通気部または被覆部を案内する経路が形成されているため、機械接合の際の第1保護部材または第2保護部材のぐらつきが抑制され、より確実に、第1保護部材または第2保護部材の機械接合を行うことができる。
【0050】
ところで、リード線保持部は溝状をなし、その溝内にリード線を配置しつつスライド移動できるようにリード線を保持するため、リード線保持部の溝の深さが深ければ、スライド移動の際のリード線の抜けを抑制しやすい。一方、取付方向の前方側に突出して設けられる保護部材保持部は、第1保護部材または第2保護部材を保持する上でその形状や大きさに制約を生ずるため、溝状のリード線保持部が保護部材保持部を利用して形成された場合、その溝の深さを十分に得られなくなる虞がある。そこで請求項20に係る発明のように、リード線保持部の溝の深さを取付方向の後方側の部位において深く形成すれば、リード線保持部によるリード線の保持をより確実に行うことができ、第1保護部材または第2保護部材を保持した製造用治具をリード線の延伸方向に移動させても、リード線保持部からリード線が抜けにくく、より確実に、リード線を保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明を具体化したガスセンサの一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、第1の実施の形態として、ガスセンサ1を例に、その構造について図1〜図5を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態のガスセンサ1の構造を示す縦断面図である。図2は、グロメット9の斜視図である。図3は、第1の実施の形態の保護部材100の斜視図である。図4は、ガスセンサ1を軸線O方向後端側(図1における上側)から見た図である。図5は、図4の1点鎖線で示す屈曲線A−Aにおいて矢視方向から見たガスセンサ1の後端側の部分拡大断面図である。
【0052】
なお、図1に示すガスセンサ1は自動車等の内燃機関のエンジンから排出される排気ガスの排気管(図示外)に取り付けられて使用されるものであり、軸線O方向において、排気管内に挿入される検出素子6の先端部に向かう側(閉じている側であり図中下側)を先端側とし、これと反対方向に向かう側(図中上側)を後端側として説明するものとする。
【0053】
図1に示すガスセンサ1は、排気管内を流通する排気ガス中の酸素の有無を検出するためのセンサであり、細長で先が閉じられた筒状の検出素子6を主体金具5や外筒3、プロテクタ4内に保持した構造を有する。ガスセンサ1からは、この検出素子6の出力する信号を取り出したり、検出素子6に併設されるヒータ7への通電を行ったりするためのリード線18が引き出されており、ガスセンサ1とは離れた位置に設けられる図示外のセンサ制御装置あるいは自動車の電子制御装置(ECU)に電気的に接続されている。
【0054】
ガスセンサ1の検出素子6は、ジルコニアを主成分とする固体電解質体61を軸線O方向に延びる有底筒状に形成したものを基体として構成されたものである。固体電解質体61の内面には、PtまたはPt合金からなる基準電極62がそのほぼ全面を覆うように多孔質状に形成されている。また、固体電解質体61の外面にも、基準電極62と同様に、PtまたはPt合金からなる検出電極63が多孔質状に形成されている。検出素子6の先端側(閉じている側)は検出部64として構成され、外面の検出電極63が排気管(図示外)内を流通する排気ガス中に晒される。図示しないがこの検出電極63は耐熱性セラミックスよりなる多孔質状の電極保護層により被覆されており、排気ガスによる被毒から保護されている。また、検出素子6の軸線O方向の略中間位置には、径方向外側に向かって突出する鍔状のフランジ部65が設けられている。そして、検出素子6の筒内には、固体電解質体61を加熱して活性化させるための棒状のヒータ7が挿入されている。
【0055】
検出素子6は、自身の径方向周囲を筒状の主体金具5に取り囲まれた状態で、その主体金具5の筒孔55内に保持されている。主体金具5はSUS430等のステンレス鋼からなる筒状の部材であり、先端側に、排気管の取付部(図示外)に螺合する雄ねじ部52が形成されている。雄ねじ部52よりも先端側には、その外周に後述するプロテクタ4が係合される先端係合部56が形成されている。検出素子6の検出部64は、この先端係合部56よりも先端側に突出されている。
【0056】
主体金具5の雄ねじ部52の後端側には径方向に拡径された工具係合部53が形成されており、ガスセンサ1を排気管の取付部(図示外)に取り付ける際に使用される取り付け工具が係合される。この工具係合部53と雄ねじ部52との間の部位には、排気管の取付部を介したガス抜けを防止するための環状のガスケット11が嵌挿されている。そして主体金具5の後端側には、自身の筒孔55内で保持する検出素子6を加締め固定するための加締部57が設けられている。検出素子6の後端部66は、この加締部57よりも後端側に突出されている。そして、工具係合部53と加締部57との間には、その外周に後述する外筒3の先端部31が係合される後端係合部58が形成されている。
【0057】
次に、主体金具5の筒孔55内の先端側にはその内周を径方向内側に向けて突出させた段部59が設けられており、この段部59に、金属製のパッキン12を介し、アルミナからなる筒状の支持部材13が係止されている。支持部材13の内周も段状に形成されており、その段状の部位に配置される金属製のパッキン14を介し、検出素子6のフランジ部65が支持部材13により支持されている。さらに筒孔55内には、支持部材13の後端側に滑石粉末からなる充填部材15が充填され、その充填部材15を支持部材13との間で挟むように、充填部材15の後端側にアルミナ製で筒状のスリーブ16が配置されている。
【0058】
スリーブ16の後端側には環状のリング17が配置されており、主体金具5の加締部57を内側先端方向に加締めることで、リング17を介し、スリーブ16が充填部材15に対して押しつけられている。この加締部57の加締めを通じ、充填部材15が、主体金具5の段部59に係止された支持部材13に向けて検出素子6のフランジ部65を押圧するように圧縮充填されると供に、主体金具5の筒孔55の内周面と検出素子6の外周面との間の間隙が気密に埋められている。このように、検出素子6は、主体金具5の加締部57と段部59との間において挟持された各部材を介し、主体金具5の筒孔55内で保持されている。
【0059】
次に、主体金具5の先端係合部56には、その先端係合部56から軸線O方向の先端側に向け突出された検出素子6の検出部64を覆うプロテクタ4が、溶接によって組み付けられている。プロテクタ4は、ガスセンサ1が排気管(図示外)に取り付けられた際に排気管内に突き出される検出素子6の検出部64を、排気ガス中に含まれる水滴や異物等の衝突から保護するものである。プロテクタ4は、有底筒状をなし開放された側の周縁部が先端係合部56に接合される外側プロテクタ41と、その外側プロテクタ41の内部に固定された有底筒状の内側プロテクタ45とからなる2重構造をなすように構成されている。外側プロテクタ41および内側プロテクタ45の外周面には内部に排気ガスを導入し、検出素子6の検出部64へと導くための導入口42がそれぞれ開口されている(内側プロテクタ45のガス導入口は図示せず。)。また、外側プロテクタ41および内側プロテクタ45の底面には、内部に入り込んだ水滴や排気ガスを排出するための排出口43,48がそれぞれ開口されている。
【0060】
また、前述したように、検出素子6の後端部66は、主体金具5の後端(加締部57)よりも後方に突出されている。この後端部66よりも軸線O方向の後端側には、絶縁性セラミックスからなる筒状のセパレータ8が配置されている。セパレータ8は、その内部に、検出素子6の基準電極62および検出電極63や、ヒータ7の有する発熱抵抗体に通電するため後端側にて露出された一対の電極71(図1ではそのうちの一方の電極71を示している。)にそれぞれ電気的に接続される4つの接続端子19(図1ではそのうちの3つの接続端子19を示している。)が、互いに接触しないように分離するためのものであり、各接続端子19が独立して収容される収容部82を有する。この収容部82はセパレータ8を軸線O方向に貫通しており、セパレータ8よりも先端側と後端側との間における大気連通が可能に構成されている。各接続端子19には4本のリード線18の芯線がそれぞれ加締め接合されており(図1ではそのうちの3本のリード線18を示している。)、各リード線18は、後述するグロメット9を介してガスセンサ1の外部に引き出されている。また、セパレータ8の外周面には径方向外側に突出するフランジ部81が設けられており、そのフランジ部81よりも先端側の外周面に、略円筒状の保持金具85が嵌挿されている。
【0061】
次に、主体金具5の後端係合部58には、SUS304等のステンレス鋼からなる筒状の外筒3の先端部31が係合されている。この先端部31は外周側から加締められ、更に外周を一周してレーザ溶接が施されて、後端係合部58に接合されている。外筒3は、軸線O方向に沿って後端側へ向けて延びており、検出素子6の後端部66やそれよりも後端側に配置されるセパレータ8の外周を径方向に取り囲んでいる。セパレータ8の配置位置に相当する外筒3の外周面は径方向に加締められており、これにより、保持金具85が、自身の内部にセパレータ8を保持しつつ、外筒3の内側にて加締め保持されている。
【0062】
また、外筒3の後端側の開口32には、フッ素系ゴムからなるグロメット9が嵌合されている。図2に示すように、グロメット9は、軸線O方向を高さ方向とする略円柱状に形成された栓部材であり、外筒3の後端側を塞いでいる。ガスセンサ1への組み付け時に後端向きの面となる天面99は、径方向の外周側から中央側へ向けて盛り上がる傾斜面として形成されている。そして、その径方向の中央には軸線O方向に貫通する大気連通孔91が形成されており、その大気連通孔91よりも外周側にも、軸線O方向に貫通する4つのリード線挿通孔92が周方向に等間隔となる位置にそれぞれ形成されている。なお、グロメット9が、本発明における「栓部材」に相当する。
【0063】
ここで図1に示すように、大気連通孔91は、グロメット9によって閉栓された外筒3内に大気を導入するために設けられたものである。外筒3内には検出素子6が後端部66を突き出した形態で主体金具5に保持されているが、その検出素子6の筒内に形成された基準電極62が、大気連通孔91およびセパレータ8の収容部82を介し、大気に晒されるように構成されている。また、4つのリード線挿通孔92には、検出素子6の検出電極63および基準電極62やヒータ7の一対の電極71と図示外のセンサ制御装置またはECUとを電気的に接続する4本のリード線18が、それぞれ独立に挿通される(図1ではそのうちの2本のリード線18がリード線挿通孔92に挿通された状態を示している。)。
【0064】
また、図2に示すように、グロメット9の天面99には、大気連通孔91の形成位置を起点とし、外周側へ向けて径方向に沿って溝状に延びる4つの溝部93,94,95,96が形成されている。各溝部93〜96は、天面99上に開口する4つのリード線挿通孔92の位置を避けるように、それぞれ2つのリード線挿通孔92間を通して配置されている。溝部93は溝部95と対をなし、大気連通孔91の形成位置を起点として互いに対称に延びる連結溝部97を構成する。溝部94および溝部96についても同様に、互いが対をなし、大気連通孔91の形成位置を起点として互いに対称に延びる連結溝部98を構成する。そして、天面99を軸線O方向に沿って見たときに、連結溝部97と連結溝部98とは、大気連通孔91の形成位置にて直交して交差する配置となっている。
【0065】
一方、図1に示すように、グロメット9の大気連通孔91内にはフィルタ部材87およびその留め金具88が挿入されている。フィルタ部材87は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂から形成されたミクロンサイズの網目構造を有する薄膜状のフィルタであり、水滴等は通さず大気は連通可能に構成されたものである。留め金具88は筒状に形成された部材であり、自身の外周と大気連通孔91の内周との間にフィルタ部材87を挟み、グロメット9に固定する。上記したグロメット9の溝部93〜96は、フィルタ部材87を通過できなかった水滴等がフィルタ部材87上で溜まらないように外周側へ導く流路を形成するものである。
【0066】
このように、大気連通孔91にフィルタ部材87および留め金具88が挿入され、リード線挿通孔92にリード線18が挿通されたグロメット9は、セパレータ8に後端側から当接するように外筒3の開口32に嵌合されている。この状態で外筒3の開口32よりやや先端側の部位が外周側から径方向内側に加締められ、グロメット9が外筒3に固定されている。なお、加締めによって形成された加締部35は、外筒3の外周面において径方向に凹んだ状態で周方向に一周する溝状をなしている。
【0067】
次に、外筒3の後端側には、グロメット9の大気連通孔91を覆い、草木との接触や飛石等の衝突など、外部からの衝撃からフィルタ部材87を保護して破損を防止するための保護部材100が組み付けられている。保護部材100は、SUS等のステンレス鋼の板材にプレス加工等を施し、図3に示すように、キャップ状に形成したものである。なお、保護部材100が、本発明における「第1保護部材」に相当する。
【0068】
保護部材100は、金属板を円形板状に加工した通気部110を有しており、その通気部110には、金属板を底面側(図3における下側)から厚み方向に押し込むように陥没させ、金属板を貫通する開口部116が形成された、いわゆるカマクラ状をなす陥没部115が設けられている。この通気部110の周縁には、径方向外側へ向けて四方に延びる板状をなす4本の腕部120,125,130,135が形成されている。各腕部120,125,130,135それぞれの延設方向の先端部121,126,131,136側は、通気部110の厚み方向底面側向き(下向き)に傾斜されている。各腕部120,125,130,135は、保護部材100がガスセンサ1に組み付けられたときに、それぞれの先端部121,126,131,136が外筒3の開口32の外周よりも径方向外側に配置されるように、自身の延設方向の長さが決められている(図5参照)。
【0069】
また、各腕部120,125,130,135の先端部121,126,131,136は、円環状の連結部140によって、それぞれが周方向に連結されている。そして連結部140の外周側の周縁は、通気部110の厚み方向底面側向きに延長されており、筒状をなす掛留部150が形成されている。掛留部150の内径は外筒3の後端部分の外径よりもやや大きく形成され、延長方向(通気部110の厚み方向)の長さは、外筒3の後端から加締部35よりもさらに先端側に延びる大きさに形成されている。また、掛留部150の周壁には、掛留部150の開口側(延長方向先端側)の縁端151側で閉じられ連結部140側の縁端152へ向けて延びるコの字状の切り欠きが設けられており、その切り欠きの開放側(縁端152側)の自由端156を内向きに押し込んで、掛留部150の内周側に突出する内突部155が形成されている。内突部155は、掛留部150の周方向に略等間隔となる6箇所に設けられている(6箇所とするのは一例であり、1箇所以上設ければ足りる。)。また、掛留部150の縁端151に近い位置には、周壁を押し込んで内向きに突出させた突状部158が設けられている。突状部158は、内突部155とは重ならず、周方向で略等間隔となる3箇所に設けられている(図3ではそのうちの2箇所を示している。)。なお、突状部158の形成箇所を3箇所とするのは一例であるが、保護部材100を外筒3に取り付けた際のぐらつきを抑制する観点から、突状部158は3箇所以上設けることが好ましい。
【0070】
このような構成の保護部材100は、図4,図5に示すように、筒状の掛留部150をその縁端151側から外筒3の後端に被せ、フィルタ部材87の後端側にて大気連通孔91の内周を軸線O方向に延ばした領域に通気部110を配置させ、この通気部110で大気連通孔91を塞ぐようにして、ガスセンサ1への取り付けが行われる。このとき、保護部材100の腕部120,125,130,135は、それぞれグロメット9の溝部93,94,95,96内に配置され、それぞれの先端部121,126,131,136は、溝部93,95を通って外方に突出されるように、外筒3の開口32の外周よりも外側に配置される。そして各先端部121,126,131,136を接続する連結部140の外周側の周縁から延長された掛留部150は、外筒3の後端側の外周面を取り囲むように配置される。掛留部150の突状部158は、外筒3の外周面のうち、加締部35の形成されていない部位の外周面に当接し、この突状部158によって、掛留部150の開口側の縁端151が外筒3に対し径方向に位置決めされる。また、掛留部150において内向きに押し込まれた形態をなす内突部155のそれぞれの自由端156が、外筒3の後端側において、加締部35により形成された溝状の凹部内の壁面(先端向きとなる面)に当接する。
【0071】
ここで、軸線O方向における溝部93〜96の傾斜角度と、通気部110に対する腕部120,125,130,135の傾斜角度は、略同一に設定されている。このため、加締部35に掛留部150の内突部155が係止された状態では、溝部93〜96と腕部120,125,130,135とそれぞれ密接状態となる。このように、保護部材100は、外筒3の後端側に掛留部150を外側から嵌め込んで(外嵌めして)加締部35に内突部155を係止させて、腕部120,125,130,135でグロメット9を押さえるようにして、外筒3と機械接合される。換言すると、グロメット9の溝部93〜96内に配置される腕部120,125,130,135と、加締部35に当接される掛留部150の内突部155との間で、外筒3と一体になったグロメット9が挟み込まれることで、保護部材100が外筒3に機械接合される。
【0072】
なお、上記のように、保護部材100の腕部120,125,130,135が溝部93〜96と密接状態にはならずとも、連結部140が外筒3の後端に当接し、その連結部140と、加締部35に当接する掛留部150の内突部155との間で外筒3を挟み込むようにしても、保護部材100を外筒3に機械接合させることが可能である。
【0073】
また、前述したように、外筒3の加締部35は、外筒3の外周面において径方向に凹んだ状態で周方向に一周する溝状をなしている。この加締部35への掛留部150の内突部155の係止は、内突部155の、軸線O方向における後端側に位置する自由端156が、加締部35の後端側の壁面(先端向きとなる面)に当接することによってなされる。従って、掛留部150は、加締部35の周方向には係止されていないこととなるが、保護部材100の腕部120,125,130,135がそれぞれグロメット9の溝部93〜96内に配置されるため、溝部93〜96の内壁面がストッパーとして作用し、保護部材100の軸線O方向を中心とする周方向への回転を規制する。このため、グロメット9の溝部93〜96を避けて設けられたリード線挿通孔92に挿通されたリード線18は、溝部93〜96に位置決めされた保護部材100の腕部120,125,130,135に対しても接触することがない。さらに、リード線18は、腕部120,125,130,135および通気部110のいずれからも1mm以上離間して配置されているため、リード線18が曲がっても、これらとの接触による損傷を防止できる。
【0074】
また、保護部材100の内突部155は掛留部150の周壁を内向きに押し込んで形成したものであり、バネ性を有するため、外筒3の加締部35に対し付勢力をもって係合を維持することができる。さらに、突状部158により径方向における掛留部150の位置決めがなされるため、保護部材100は、外筒3の後端側においてぐらつくことなく確実な機械接合をなすことができる。
【0075】
そして大気連通孔91内に配置されるフィルタ部材87の後端側にて大気連通孔91の内周を軸線O方向に延ばした領域に配置される通気部110は、保護部材100のぐらつきが抑制されることによって、大気連通孔91に対する自身のぐらつきも抑制される。従って通気部110が、草木との接触や飛石等の衝突など、外部からの衝撃を受けても、これら衝撃に対するフィルタ部材87の保護を維持することができ、フィルタ部材87の破損を確実に防止することができる。一方で、この通気部110で大気連通孔91を塞ぐものの、通気部110の陥没部115に設けられた開口部116によって、通気部110を介した大気連通孔91内の通気性が確保される。そしてフィルタ部材87によって、外筒3内への水滴等の進入が阻止されつつも大気は導入され、検出素子6の基準電極62が大気に晒されることによって検出素子6が機能し、酸素の有無の検出が行われる。
【0076】
次に、本発明に係るガスセンサの第2の実施の形態として、ガスセンサ200をその一例に、図6〜図8を参照しながら説明する。図6は、第2の実施の形態の保護部材205の斜視図である。図7は、第2の実施の形態のガスセンサ200を軸線O方向後端側(図1における上側)から見た図である。図8は、図7の1点鎖線で示す屈曲線B−Bにおいて矢視方向から見た第2の実施の形態のガスセンサ200の後端側の部分拡大断面図である。
【0077】
なお、第2の実施の形態のガスセンサ200は、第1の実施の形態のガスセンサ1に用いた保護部材100とは形態の異なる保護部材205を用いて作製されたものである。つまり、ガスセンサ200を構成する部品のうち、保護部材205以外の部品はガスセンサ1のものと同一のものが用いられている。従ってここでは保護部材205について説明し、その他の部位については説明を省略もしくは簡略化する。
【0078】
図6示す、保護部材205は、図3に示した第1の実施の形態の保護部材100とは異なり、通気部110の代わりに円形板状の被覆部210が設けられている。この被覆部210には開口が設けられておらず、被覆部210の板面の大きさが、大気連通孔91(図8参照)の開口の大きさとほぼ同じになるように構成されている。被覆部210の周縁には、径方向外側へ向けて四方に延びる板状をなす2本の腕部220,230が形成されている。各腕部220,230それぞれの延設方向の先端部221,231側は被覆部210の厚み方向底面側向き(下向き)に傾斜され、円環状の連結部240によって周方向に連結されている。ここで、第2の実施の形態では、保護部材205の被覆部210に対する各腕部220,230の傾斜角度が、保護部材100の通気部110に対する腕部120,125,130,135の傾斜角度よりも大きくなるように設定されている。なお、保護部材205が、本発明における「第2保護部材」に相当する。
【0079】
また、連結部240の外周側の周縁は、被覆部210の厚み方向底面側向きに延長され、筒状をなす掛留部250として形成されている。この掛留部250の構成は第1の実施の形態と同様であり、周壁に、コの字状の切り欠きの開放側(縁端252側)の端部256を内向きに押し込んだ内突部255と、縁端251に近い位置にて内向きに突出する突状部258とが形成されている。
【0080】
このように構成された保護部材205は、第1の実施の形態と同様に、掛留部250を外筒3の後端側に外嵌めし、内突部255を加締部35に係止させて機械接合することにより、ガスセンサ200に取り付けられる。このとき、上記のように大気連通孔91の開口とほぼ同じ大きさの被覆部210は、大気連通孔91の蓋をするように配置される。このため、図7に示すようにガスセンサ200を後方側から軸線O方向(図8参照)に沿って見たときに、フィルタ部材87は被覆部210に覆われて、フィルタ部材87(図8参照)を完全に視認できない。これにより、フィルタ部材87は草木との接触や飛石等の衝突などから保護され、外部からの衝撃による破損が防止される。
【0081】
また、被覆部210に対する腕部220,230の傾斜角度が保護部材100(図3参照)のものと異なることから、図8に示すように、グロメット9の軸線O方向における溝部93〜96の傾斜角度と、被覆部210に対する腕部220,230の傾斜角度との間には、差が生ずる(なお、図8ではそのうちの腕部220および溝部93,96を示す。)。このため、保護部材205の腕部220,230は、グロメット9の溝部93,95に当接しながらも、被覆部210に近い側で溝部93,95との間に隙間を生ずる。このため被覆部210は、溝部93〜96の大気連通孔91側における溝底の位置よりも軸線O方向後端側に若干ずれた位置にて腕部220,230に支えられる配置構成となり、腕部の設けられていない溝部94,96側(図7参照)では、被覆部210とグロメット9との間に間隙260,265(図8ではそのうちの間隙265を示す。)を生ずる。これにより、フィルタ部材87(図16参照)が大気連通孔91を介して直接外部に露出しない形態で、間隙260,265を通じ、大気連通孔91を介しての外筒3の内部と外部との通気性が確保される。
【0082】
なお、本発明は上記実施の形態に限らず、各種変更が可能なことは言うまでもない。第1の実施の形態の保護部材100の通気部110は、草木との接触や飛石等の衝突など、外部からの衝撃によるフィルタ部材87の破損を防止できればよく、例えば、通気部110の板面に、周縁部を残し開口を設け、その開口に金網状のメッシュ部材を設けてもよい。また、草木との接触や飛石等の衝突による外部からの衝撃を防ぐことができる大きさの開口であればメッシュ部材は無くともよいし、あるいは針穴状にしつつ開口の数を増やし、合計での開口面積を大きして通気性を確保してもよい。
【0083】
また、第2の実施の形態の保護部材205において、通気性を確保するため腕部220,230は2本としたが、3本にしてもよいし、あるいは保護部材100と同様に4本とし、その幅を、グロメット9の溝部93〜96の溝幅よりも細くすることで、通気用の間隙を形成してもよい。もちろん、グロメット9側を加工し、例えば保護部材205の腕部220,230と溝部93,95との間の隙間に通ずる切り欠き等を設け、その切り欠きを介して被覆部210とフィルタ部材87との間に大気を導入できるようにし、通気性を確保してもよい。
【0084】
また、保護部材100の内突部155は、外周面にコの字型の切り込みを入れ、自由端側を内向きに押し込むことにより作製したが、切り込みはL字型や半円型など、任意の形状を有してもよい。このような形態の内突部155であれば、内突部155はバネ性を有することができ、付勢力をもって加締部35との係合を維持しつつ、外筒3に対する保護部材100のぐらつきをより確実に抑制することができる。もちろん、掛留部150の内周面に突起を接合してもよいし、外周面を内向きに押し込む、いわゆるダボ状に形成してもよい。
【0085】
また、図9に示す保護部材300のように、保護部材100と同様に設けた筒状の掛留部350の縁端351側から縁端352側へ向けて延びるスリット状の切込部354を複数(例えば4つ)設けてもよい。この場合、切込部354は、周方向において内突部355と交互に配置されるように設けるとよい。保護部材300をガスセンサに取り付ける際に、内向きに押し込まれた内突部355が外筒3の外周面に当接すると、内突部355を押し曲げる応力がかかるため、掛留部350の外筒3の後端側への嵌め込みが行いにくくなる。しかし、このように切込部354を設けることで、掛留部350の縁端351側が縁端352側を支えに若干撓むことができるので、外筒3の後端側への掛留部350の嵌め込みを容易に行うことができる。また、図示しないが、保護部材100と同様の突状部158を掛留部350に設け、外筒3に対する掛留部350のぐらつきを抑制すれば、なお好ましい。
【0086】
また、グロメット9には、溝部93〜96が形成されていなくともよい。この場合、グロメット9の天面99上に少なくとも一対の突起部を設け、突起部に挟まれる位置に、保護部材100の腕部120,125,130,135が配置されるようにするとよい。あるいは溝部93〜96が部分的に溝状に形成されたものであってもよい。つまり、大気連通孔91付近では溝状をなすものの外周側に近づくに従って深さがなくなり、天面99と同一化していてもよい。また、溝部は1つでもよいし2つ以上であってもよく、4つに限定するものではない。
【0087】
また、外筒3の開口32に凹部あるいは一対の凸部を設け、その凹部内あるいは一対の凸部間に腕部120,125,130,135が配置されるように保護部材100の組み付けを行い、保護部材100の周方向への回転を規制してもよい。また、外筒3の開口32付近の加締めを行って加締部35を形成する際に加締部35内に掛留部150の周方向への移動を規制する凸部等を設けても、あるいは周方向に部分的な加締めを行っても、同様に、保護部材100の周方向への回転の規制が可能である。
【0088】
ところで、上記各実施の形態のガスセンサ1,200を製造する場合、保護部材100,205をそれぞれの外筒3の後端側に外嵌めするには、あらかじめ、保護部材100,205を除くガスセンサ1,200の中間体(後述する保護部材被装着体)を組み立てた上で、掛留部150,250の筒孔内にリード線18を挿通させつつ保護部材100,205を移動させ、外筒3の後端側に配置することとなる。このとき、例えば第1の実施の形態のガスセンサ1では、保護部材100の通気部110と4本の腕部120,125,130,135と連結部140とに囲まれて独立する4つの間隙のそれぞれに各リード線18が挿通されることとなり、その状態で、リード線18の延伸方向に沿って保護部材100を移動させるとリード線18に接触し、リード線18が損傷する虞がある。そこで、上記各実施の形態のガスセンサ1,200を製造する際には、リード線18と保護部材100,205とが接触し難くなるように、両者の位置決めを行える製造用治具を用い、ガスセンサ1,200への保護部材100,205の組み付けを行っている。以下、第1の実施の形態のガスセンサ1を例に、ガスセンサの製造方法ならびにその製造用治具について説明する。
【0089】
まず、ガスセンサ1を製造する際に用いる製造用治具として、取付治具400を例に、その構造について、図3および図10〜図13を参照して説明する。図10は、取付治具400の斜視図である。図11は、取付治具400を取付方向の前方から(図10における矢印C方向に)見た図である。図12は、取付治具400を取付方向の後方から(図10における矢印D方向に)見た図である。図13は、図10(または図11)の2点鎖線で示す屈曲線E−Eにおいて矢視方向から見た取付治具400の屈曲断面図である。
【0090】
図10に示す取付治具400は、ガスセンサ1(図1参照)を組み立てる際に、図3に示す保護部材100を外筒3の後端側に配置するための治具であり、例えばニトリルゴム(NBR)から作製され、取付方向に沿った中心軸P(図中1点鎖線で示す。)を有する円柱形状をなしている。図10〜図13に示すように、取付治具400は、取付方向の後方側にて拡径され段状をなす基部420を有し、その基部420から取付方向前方側へ向けて突出するように、保護部材保持部410が形成されている。この保護部材保持部410は、保護部材100を取付治具400自身と一体に保持するための部位であり、具体的に、保護部材100の通気部110と腕部120,125,130,135と連結部140とに囲まれてなる間隙(図3参照)に挿入可能な突出部411が、周方向に4つ並んで配置された構成をなす。保護部材100を保持する際には、中心軸Pの周方向にて隣り合う2つの突出部411の側面412間に、腕部120,125,130,135がそれぞれ挿入される。
【0091】
また、各突出部411の中心軸P側を向く内面413は、中心軸Pを囲み通気部110が挿入される通路を形成する。その際に通気部110が負荷を受けるように、通路の内径は通気部110の外周の大きさよりもやや小さく形成されている。そして図13に示すように、保護部材保持部410の基部420側の根元付近において、内面413の形成する通路は拡径されており、通気部110がこの位置に移動すれば、通気部110は各内面413より受ける負荷から解放される。このとき、通気部110と基部420との接触を防止するため、基部420には、突出部411の内面413が形成する通路に連続する凹部状の収容部421が形成されている。さらに突出部411の外面414は、保護部材100の内突部155との間に間隙を有する位置に形成されている。ところで、保護部材保持部410の突出部411はそれぞれ基部420から突出する形態であるが、後述するガスセンサ1の製造過程において、保護部材100が外筒3の後端側に嵌まるよりも先に、保護部材保持部410の取付方向の先端面415がグロメット9の天面99に当接するように、突出部411の基部420からの突出長さが調整されている。つまり、取付治具400に保護部材100を保持した際に、突出部411の先端面415は、少なくとも腕部120,125,130,135の位置よりも、取付方向前方に配置される。換言すると、保護部材100の通気部110が取付治具400の収容部421内に収容された状態にあり、且つ、保護部材保持部410の先端面415がグロメット9の天面99に当接した状態では、保護部材100が外筒3と接触することがないように、突出部411の基部420からの突出長さ(中心軸P方向における先端面415の位置)が決められている。
【0092】
また、図10〜図13に示すように、取付治具400の外周面には、中心軸Pに沿って保護部材保持部410の取付方向先端面から基部420の取付方向後端面へ貫く溝状をなす4本のリード線保持部430が形成されている。リード線保持部430は、保護部材保持部410の中心軸Pに対する各突出部411の断面において中央の位置に設けられた、円形状の断面を有する底部壁面431と、その底部壁面431を保護部材100の外周面側に露出させるべく、底部壁面431の内径(断面の直径)より細幅にて対向する側部壁面432とから構成される。底部壁面431の内径はガスセンサ1のリード線18(図1参照)の外径と略同径に形成されている。このリード線保持部430にリード線18が挿入された際に、リード線18は底部壁面431内に配置されるが、側部壁面432がリード線18の外径よりも細幅となるのでリード線18の抜け防止として機能する。また、保護部材保持部410の取付方向の先端面415がグロメット9の天面99に当接した際に、グロメット9のリード線挿通孔92と取付治具400の底部壁面431とが連結されるように、中心軸Pと直交する断面における4つの底部壁面431の中心軸Pに対する配置関係が、グロメット9の軸線Oと直交する断面における4つのリード線挿通孔92の軸線Oに対する配置関係と略一致するように構成されている。また、基部420の外径は、保護部材100の連結部140の内径よりも大きく形成されている。このため、基部420におけるリード線保持部430の溝の深さは保護部材保持部410における溝の深さよりも深く、側部壁面432によるリード線18の抜け防止は、基部420側にて、より確実になされる。
【0093】
次に、この取付治具400を用い、ガスセンサ1を製造する方法について、図14〜図17を参照して説明する。図14は、保護部材保持工程を示す図である。図15は、リード線保持工程を示す図である。図16は、保護部材配置工程を示す図である。図17は、機械接合工程を示す図である。なお、図14〜図17のガスセンサ1や取付治具400の断面図は、図4において2点鎖線で示す屈曲線Zにて矢視方向から見た場合を例に示したものである。以下では外筒3の後端側に保護部材100を取り付ける過程を中心に説明するが、ガスセンサ1のその他の部位の製造過程については公知であるため省略あるいは簡略化して説明する。
【0094】
図1に示す、ガスセンサ1の主体金具5は、SUS430等のステンレス鋼からなるパイプ状の鋼材に鍛造加工を施し、次いで切削加工を施して、工具係合部53や後端係合部58、雄ねじ部52、筒孔55等の形状を成形した後、雄ねじ部52にねじ山を転造して作製される。また、検出素子6は、有底筒状に形成した固体電解質体61の表面上に、例えば印刷により基準電極62や検出電極63を形成し、さらに検出電極63の表面上を覆って電極保護層を形成してから焼成することにより、作製される。そして、別過程で作製したプロテクタ4を溶接により主体金具5に接合し、その主体金具5の筒孔55内に検出素子6を加締め保持することにより、ガスセンサ1の先端側の組立中間体が作製される。
【0095】
一方、導電性の板材から作製した4つの接続端子19のそれぞれにリード線18の芯線を加締めて接合し、そのうちの2つの接続端子19をヒータ7の電極71に接続する。これら接続端子19とヒータ7をセパレータ8内に収容し、そのセパレータ8を、フィルタ部材87等を組み付けたグロメット9と共に、外筒3内の所定の位置に配置しつつ、外筒3の外周を加締めて保持することにより、ガスセンサ1の後端側の組立中間体が作製される。
【0096】
このように作製されたガスセンサ1の先端側の組立中間体と後端側の組立中間体とを互いに組み合わせ、主体金具5の後端係合部58に係合した外筒3の先端部31の周囲を加締めると共に、レーザ溶接を施して、両組立中間体を一体にした保護部材被装着体180(図14参照)を作製する。
【0097】
[保護部材保持工程]
次に、図14に示すように、保護部材被装着体180のグロメット9のリード線挿通孔92から引き出された4本のリード線18を、保護部材100の通気部110と腕部120,125,130,135(図3参照)と連結部140とに囲まれてなる間隙のそれぞれに、腕部120,125,130,135や連結部140には接触しないように挿通させる。この状態で取付治具400の取付方向前方側を保護部材100に向け、中心軸Pを保護部材100の軸線Oに揃え、保護部材100の通気部110と腕部120,125,130,135と連結部140とに囲まれてなる間隙のそれぞれに、保護部材保持部410の各突出部141を挿入する。つまり、中心軸Pに対する周方向にて隣り合う各突出部141の側面412間に、腕部120,125,130,135を通し、4つの突出部411の中心軸P側を向くそれぞれの内面413間に、通気部110を配置させる。これにより、取付治具400と保護部材100とが互いに位置決めされる。そして、取付治具400をそのまま軸線Oに沿って取付方向に移動させ、保護部材100の通気部110を取付治具400の収容部421内に収容すると、内面413が通気部110の抜け防止として機能し(図15参照)、保護部材100は取付治具400に一体に保持される。
【0098】
[リード線保持工程]
次に、図15に示すように、4本のリード線18を、それぞれが配置されている間隙に挿入された取付治具400の突出部141に設けられているリード線保持部430の側部壁面432間に挿入し、底部壁面431に配置する。各リード線18は、自身の外径より細幅の側部壁面432が抜け防止として機能し、それぞれが配置された底部壁面431内にて保持される。従って、リード線18は、突出部411に周囲を囲われて、保護部材100の通気部110、腕部120,125,130,135、および連結部140との接触から保護される。
【0099】
[保護部材配置工程]
前述したように、取付治具400はNBRからなるため、リード線保持部430の底部壁面431でリード線18を保持しつつも、リード線18に対し滑り性を有する。図16に示すように、取付治具400に一体に保持された保護部材100をリード線18の延伸方向にスライド移動させると、取付治具400および保護部材100はリード線18に案内されて、保護部材被装着体180の外筒3の後端側に達する。取付治具400によって保護部材100とリード線18とが接触しないように互いの位置関係が位置決めされるので、このスライド移動の際に保護部材100でリード線18を擦ったり損傷させたりする虞がない。
【0100】
取付治具400および保護部材100が保護部材被装着体180の外筒3の後端側に達したとき、突出部411の基部420からの突出長さの規定に従い、保護部材100と外筒3とが接触するよりも先に、取付治具400の先端面415がグロメット9の天面99に当接する。このとき、リード線18に案内されて、取付治具400のリード線保持部430の底部壁面431がグロメット9のリード線挿通孔92に連結する配置となる。これにより、グロメット9に対し取付治具400が位置決めされるため、各突出部411の側面412間は、グロメット9の各溝部93〜96に連結する配置となり、内面413の形成する通路は、グロメット9の大気連通孔91に連結する配置となる。
【0101】
[機械接合工程]
そして図17に示すように、保護部材100の連結部140を軸線Oに沿って取付方向に押圧する。保護部材100の通気部110は、取付治具400の突出部411の内面413に案内されて、グロメット9の大気連通孔91へ向かい、腕部120,125,130,135は、各突出部411の側面412間に案内されて、グロメット9の各溝部93〜96へ向かう。また、掛留部150の内突部155は、保護部材被装着体180の外筒3の開口32に押し広げられる。内突部155の自由端156が開口32を乗り越えると、自由端156は加締部35により形成された凹部内の壁面に当接する。一方、掛留部150の突状部158が外筒3の外周面に当接し、掛留部150の開口側の縁端151が外筒3に対し径方向に位置決めされる。腕部120,125,130,135は、それぞれグロメット9の溝部93〜96内に収容され、通気部110は、フィルタ部材87の後端側にて大気連通孔91の内周を軸線O方向に延ばした領域に配置されて、大気連通孔91を塞ぐ。このように、保護部材100が外筒3に接触するよりも先に取付治具400がグロメット9に接触し、腕部120,125,130,135や通気部110をそれぞれ溝部93〜96や大気連通孔91に案内する経路を形成した上で、保護部材100の保護部材被装着体180への機械接合がなされる。このため、機械接合の際に、内突部155の持つバネ性によって、外筒3の後端側の開口32に対し掛留部150がぐらつくことを抑制できる。その後の製造過程で取付治具400が取り除かれ、4本のリード線18が束ねられて被覆181が被せられ、ガスセンサ1が完成する。
【0102】
なお、上記した取付治具400は、保護部材100を一体に保持でき、且つ、リード線18が保護部材100に接触しないように位置決めしつつ、リード線18の延伸方向に沿ってスライド可能にリード線18を保持できればよい。例えば図18に示す取付治具500のように、保護部材保持部510において突出部511が2つの形態のものであっても、内面513による通気部110の保持は可能であり、側面512により腕部120,125,130,135の周方向への回転も規制できる。さらに、突出部511がない部位であっても基部520にリード線保持部530が形成されていれば、リード線18の保持および位置決めが可能である。また、図19に示す取付治具600のように、保護部材保持部610の突出部611の外周面614を、より径方向の外側に配置し、突出部611を保護部材100の通気部110と4本の腕部120,125,130,135と連結部140とに囲まれて独立する間隙に挿入した際に、外周面614が連結部140の内周に当接するようにしてもよい。つまり、取付治具600による保護部材100の保持を、突出部611の外周面614を連結部140に当接させた状態を維持することによって行ってもよい。あるいは図示しないが、図10に示す突出部411の周方向の配置位置を互いに近づけ、側面412間を保護部材100の腕部120,125,130,135の幅よりも狭くすれば、腕部120,125,130,135の保持による保護部材100の保持が可能である。もちろん、それらの組み合わせによる保護部材100の保持を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】第1の実施の形態のガスセンサ1の構造を示す縦断面図である。
【図2】グロメット9の斜視図である。
【図3】第1の実施の形態の保護部材100の斜視図である。
【図4】ガスセンサ1を軸線O方向後端側(図1における上側)から見た図である。
【図5】図4の1点鎖線で示す屈曲線A−Aにおいて矢視方向から見たガスセンサ1の後端側の部分拡大断面図である。
【図6】第2の実施の形態の保護部材205の斜視図である。
【図7】第2の実施の形態のガスセンサ200を軸線O方向後端側(図1における上側)から見た図である。
【図8】図7の1点鎖線で示す屈曲線B−Bにおいて矢視方向から見た第2の実施の形態のガスセンサ200の後端側の部分拡大断面図である。
【図9】変形例としての保護部材300の斜視図である。
【図10】取付治具400の斜視図である。
【図11】取付治具400を取付方向の前方から(図10における矢印C方向に)見た図である。
【図12】取付治具400を取付方向の後方から(図10における矢印D方向に)見た図である。
【図13】図10(または図11)の2点鎖線で示す屈曲線E−Eにおいて矢視方向から見た取付治具400の屈曲断面図である。
【図14】保護部材保持工程を示す図である。
【図15】リード線保持工程を示す図である。
【図16】保護部材配置工程を示す図である。
【図17】機械接合工程を示す図である。
【図18】変形例としての取付治具500の斜視図である。
【図19】変形例としての取付治具600の斜視図である。
【符号の説明】
【0104】
1 ガスセンサ
3 外筒
5 主体金具
6 検出素子
9 グロメット
18 リード線
35 加締部
64 検出部
87 フィルタ部材
91 大気連通孔
92 リード線挿通孔
93,94,95,96 溝部
100 保護部材
110 通気部
116 開口部
120,125,130,135 腕部
150 掛留部
155 内突部
200 ガスセンサ
205 保護部材
210 被覆部
220,230 腕部
250 掛留部
255 内突部
400 取付治具
410 保護部材保持部
430 リード線保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びると共に、自身の先端側に被検出ガスを検出するための検出部を有する検出素子と、
前記検出部を自身の先端から突出させつつ、前記検出素子の径方向周囲を取り囲む主体金具と、
当該主体金具に固定され、前記検出素子の後端側の径方向周囲を取り囲む筒状の外筒と、
前記外筒の後端側に当該外筒を塞ぐように配置される栓部材であって、前記検出素子の検出信号を取り出すためのリード線が挿通されるリード線挿通孔、および、通気性と防水性を有するフィルタ部材を介在させて前記外筒の内部と外部との大気連通を可能とする大気連通孔が、それぞれ前記軸線方向に延びるように形成された栓部材と、
を備えたガスセンサにおいて、
前記栓部材の前記大気連通孔を前記外筒の外部側から覆い前記フィルタ部材を保護する第1保護部材であって、
少なくとも前記大気連通孔を前記軸線方向に延ばした領域に、前記大気連通孔の開口よりも小さい開口を有する通気部が形成された第1保護部材を有し、
前記外筒および前記栓部材の少なくともいずれか一方には、前記第1保護部材が前記軸線方向を中心とする周方向に回転することを規制する回転規制部が設けられていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記第1保護部材は、前記リード線と非接触の状態で前記外筒に機械接合されていることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記外筒の前記後端側には、前記栓部材を固定する加締部を有し、
前記第1保護部材は、前記加締部に機械接合されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記第1保護部材は、前記通気部から径方向外側に延びる複数の腕部と、複数の当該腕部の全てに接続し、前記外筒の前記後端側の径方向周囲を取り囲んで前記外筒に機械接合された筒状の掛留部と、を有し、
前記回転規制部は、前記栓部材の後端向き面側にて前記大気連通孔を起点に前記リード線挿通孔を避けて径方向外側に向かって延びる溝部であり、
少なくとも1つの前記腕部は、前記溝部内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項5】
筒状をなす前記掛留部は、自身の内周面から内向きに突出する複数の内突部を有し、当該内突部が前記加締部と係合することを特徴とする請求項4に記載のガスセンサ。
【請求項6】
前記溝部には、前記栓部材の後端向き面側にて前記大気連通孔を起点にして径方向外側に向かって対称に延びる連結溝部を有し、
複数の前記腕部のうちの2つの前記腕部は、前記連結溝部内に配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載のガスセンサ。
【請求項7】
前記第1保護部材の前記通気部は、軸線方向に貫通する複数の孔を有した形態、軸線方向の開口にメッシュ状の部材を組み付けた形態、または自身に形成された凸部の側面に開口を有した形態のうちのいずれかの形態に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項8】
前記第1保護部材の硬度は、前記フィルタ部材の硬度よりも硬いことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項9】
軸線方向に延びると共に、自身の先端側に被検出ガスを検出するための検出部を有する検出素子と、
前記検出部を自身の先端から突出させつつ、前記検出素子の径方向周囲を取り囲む主体金具と、
当該主体金具に固定され、前記検出素子の後端側の径方向周囲を取り囲む筒状の外筒と、
前記外筒の後端側に当該外筒を塞ぐように配置される栓部材であって、前記検出素子の検出信号を取り出すためのリード線が挿通されるリード線挿通孔、および、通気性と防水性を有するフィルタ部材を介在させて前記外筒の内部と外部との大気連通を可能にする大気連通孔が、それぞれ前記軸線方向に延びるように形成された栓部材と、
を備えたガスセンサにおいて、
前記ガスセンサを後方側から軸線方向に見たときに、前記フィルタ部材が視認できないように前記フィルタ部材を覆う被覆部を有し、前記外筒に機械接合される第2保護部材であって、自身と前記栓部材との間隙を介して前記大気連通孔内と外部との通気を許容する第2保護部材を有し、
前記外筒および前記栓部材の少なくともいずれか一方には、前記第2保護部材が周方向に回転することを規制する回転規制部が設けられていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項10】
前記第2保護部材は、前記リード線と非接触の状態で前記外筒に機械接合されていることを特徴とする請求項9に記載のガスセンサ。
【請求項11】
前記外筒の前記後端側には、前記栓部材を固定する加締部を有し、
前記第2保護部材は、前記加締部に機械接合されていることを特徴とする請求項9または10に記載のガスセンサ。
【請求項12】
前記第2保護部材は、前記被覆部から径方向外側に延びる複数の腕部と、複数の当該腕部の全てに接続し、前記外筒の前記後端側の径方向周囲を取り囲んで前記外筒に機械接合された筒状の掛留部と、を有し、
前記回転規制部は、前記栓部材の後端向き面側にて前記大気連通孔を起点に前記リード線挿通孔を避けて径方向外側に向かって延びる溝部であり、
少なくとも1つの前記腕部は、前記溝部内に配置されていることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項13】
筒状をなす前記掛留部は、自身の内周面から内向きに突出する複数の内突部を有し、当該内突部が前記加締部と係合することを特徴とする請求項12に記載のガスセンサ。
【請求項14】
前記溝部には、前記栓部材の後端向き面側にて前記大気連通孔を起点にして径方向外側に向かって対称に延びる連結溝部を有し、
複数の前記腕部のうち2つの前記腕部は、前記連結溝部内に配置されていることを特徴とする請求項12または13に記載のガスセンサ。
【請求項15】
前記第2保護部材の硬度は、前記フィルタ部材の硬度よりも硬いことを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載のガスセンサの製造方法であって、
前記第1保護部材または前記第2保護部材の前記外筒への取付方向の後方側から前記第1保護部材または前記第2保護部材に係合し、前記第1保護部材または前記第2保護部材を着脱可能に保持する保護部材保持部と、複数の前記リード線をそれぞれの延伸方向に沿ってスライド可能に保持すると共に、複数の前記リード線をそれぞれ前記第1保護部材または前記第2保護部材に対して位置決めするリード線保持部と、を有する製造用治具を用い、
前記第1保護部材または前記第2保護部材を前記製造用治具で保持する保護部材保持工程と、
複数の前記リード線のそれぞれを、前記製造用治具の前記リード線保持部で保持するリード線保持工程と、
複数の前記リード線の延伸方向に沿って前記製造用治具と一体となった前記第1保護部材または前記第2保護部材をスライドさせて、前記第1保護部材または前記第2保護部材を前記外筒の前記後端側に配置する保護部材配置工程と、
前記第1保護部材または前記第2保護部材を前記外筒への取付方向に押圧し、前記第1保護部材または前記第2保護部材の前記掛留部を前記外筒の前記加締部に機械接合させると共に、前記第1保護部材または前記第2保護部材を前記製造用治具の前記保護部材保持部から脱着させる機械接合工程と
を有することを特徴とするガスセンサの製造方法。
【請求項17】
前記保護部材配置工程では、前記第1保護部材または前記第2保護部材が前記外筒に接触する前に、前記製造用治具が、前記栓部材に接触することを特徴とする請求項16に記載のガスセンサの製造方法。
【請求項18】
請求項16または17に記載のガスセンサの製造方法において、前記第1保護部材または前記第2保護部材を前記外筒の前記後端側に機械接合する際に用いられるガスセンサの製造用治具であって、
前記第1保護部材または前記第2保護部材の前記外筒への取付方向の後方側から前記第1保護部材または前記第2保護部材に係合し、前記第1保護部材または前記第2保護部材を着脱可能に保持する保護部材保持部と、
複数の前記リード線をそれぞれの延伸方向に沿ってスライド可能に保持すると共に、複数の前記リード線をそれぞれ前記第1保護部材または前記第2保護部材に対して位置決めするリード線保持部と、
を有することを特徴とするガスセンサの製造用治具。
【請求項19】
前記保護部材保持部は、前記第1保護部材または前記第2保護部材に係合した際に、前記腕部よりも前記第1保護部材または前記第2保護部材の前記外筒への取付方向の前方側に突出していることを特徴とする請求項18に記載のガスセンサの製造用治具。
【請求項20】
前記リード線保持部は、自身に保持する前記リード線の延伸方向に沿う溝状をなすものであり、
前記リード線保持部は、前記第1保護部材または前記第2保護部材の前記外筒への取付方向において、前方側の部位よりも後方側の部位における溝の深さが深く形成されていることを特徴とする請求項18または19に記載のガスセンサの製造用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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