説明

ガスセンサおよびガスセンサの製造方法

【課題】センサ素子と端子金具との間の接触不良の発生を抑制する技術を提供する。
【解決手段】ガスセンサ100では、センサ素子10の有する有底筒状の固体電解質体11の外表面に、外側電極13と、縦リード部14と、リングリード部15とが設けられている。センサ素子10は、その基端部11eが突出するとともに、リングリード部15が収容された状態で、主体金具50の貫通孔51内に保持される。そして、センサ素子10の基端側端部11eには、第2の接続端子30の筒状部31が外嵌される。センサ素子10の基端側端部11eには、リングリード部15の形成位置に対応する所定の位置に、第2の接続端子30のセンサ素子10への取り付けの際の位置合わせの指標となるマーク部16が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特定のガス成分の濃度を検出するガスセンサには、固体電解質体の外表面上に一対の電極が配置されたセンサ素子を備え、その特定ガス成分の濃度に応じた電気的特性の変化を出力するものがある。特に、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサとしては、先端が閉塞された有底筒状の固体電解質体の内側と外側の面上にそれぞれ、互いに対向する内側電極と外側電極とが配置されたセンサ素子を備えるガスセンサが知られている(下記特許文献1)。
【0003】
このガスセンサでは、センサ素子の内側電極を基準電極として基準濃度の酸素を含有する基準ガスに曝し、外側電極を検出電極として排気ガスに曝して、基準ガスと排気ガスとの酸素濃度差に応じてセンサ素子に生じる起電力を検出信号として出力する。通常、外側電極は、センサ素子の先端側(有底部側)に形成され、固体電解質体の外表面上において、外側電極からセンサ素子の基端側に向かって延出して設けられた縦リード部と、縦リード部より基端側において、センサ素子の周方向(以下、単に「周方向」と呼ぶ)に延出し、縦リード部に接続する接続端部とを介して、センサ素子の基端部に取り付けられた端子金具と接続される。この端子金具はリード線を介して外部回路と電気的に導通する。
【0004】
ここで、端子金具は、センサ素子の基端部に外嵌される筒状部を有しており、その筒状部の内壁面の特定の部位が接続端部と接触することにより、接続端部との間の接続を確保する。しかし、下記特許文献1のように、センサ素子の接続端部が、センサ素子の外表面上の全周に設けられることなく、周方向の一部に設けられる場合がある。この場合には、端子金具をセンサ素子の基端部へ外嵌する際に、端子金具の筒状部におけるその特定の部位と、電極リード部との間に、周方向の位置ずれが生じてしまう可能性があった。これに対して、従来では、主体金具から基端側に突出したセンサ素子の基端部に設けられた縦リード部や接続端部の周方向における位置を検出し、端子金具の特定の部位が接続端部に接触するように、センサ素子と端子金具との周方向の位置合わせを行っていた。ところが、近年では、縦リード部や接続端部が主体金具の貫通孔内に配置されるタイプのガスセンサが作成されている。このタイプのガスセンサでは、主体金具に保持された状態での縦リード部や接続端部の位置を検出して、センサ素子と端子金具との周方向の位置合わせを行うことが困難となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−153571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ガスセンサにおいて、センサ素子と端子金具との間の接触不良の発生を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
軸線方向に延び、先端側が閉塞する有底筒状の固体電解質体と、
前記固体電解質体の先端部の外表面上に設けられた外側電極と、
前記固体電解質体の外表面上に設けられ、前記外側電極に接続するとともに、基端側に向かって、前記軸線方向に延出する縦リード部と、
前記固体電解質体の前記縦リード部より基端側の外表面上において周方向に延出して設けられ、前記縦リード部に接続する接続端部と、
を備えるセンサ素子と、
貫通孔を有し、前記センサ素子の基端部が突出するとともに、前記接続端部の少なくとも一部が収容された状態で、前記貫通孔内に、前記センサ素子を保持する主体金具と、
前記センサ素子の少なくとも前記基端部に外嵌された筒状部を先端側に備える接続端子であって、前記筒状部が径に沿った方向に変形して、前記筒状部の内壁面が前記接続端部と接触する接続端子と、
を備える、被測定ガス中の特定ガス成分を検出するガスセンサにおいて、
前記センサ素子の前記基端部には、前記接続端部より基端側の位置に、前記基端部に前記筒状部が嵌められる際に、前記接続端部と、前記筒状部との周方向の位置合わせの指標となるマーク部が設けられている、ガスセンサ。
このガスセンサによれば、センサ素子の接続端部より基端側の位置にマーク部が設けられている。これにより、ガスセンサの組み立ての際に、接続端子と接続端部との周方向の位置合わせを、容易かつ確実に実行することができる。従って、接続端子とセンサ素子との間の接触不良が抑制される。
【0009】
[適用例2]
適用例1記載のガスセンサであって、
前記接続端子の前記筒状部は、前記筒状部の周方向に沿って幅が広がるスリットを有し、前記センサ素子の前記基端部に嵌められたときに、前記スリットの幅が広がる弾性変形をして、前記スリットの端部の内壁面が前記センサ素子の前記接続端部と接触し、
前記マーク部は、前記センサ素子の前記基端部に前記筒状部が嵌められたときに、前記スリットの前記端部に挟まれる位置に設けられている、ガスセンサ。
このガスセンサによれば、マーク部をスリットの端部に挟まれるように、接続端子の筒状部をセンサ素子の基端部に嵌めることにより、マーク部に対する接続端子の周方向の位置合わせを行うことができる。従って、接続端子と接続端部との接続が、より容易かつ確実に行える。
【0010】
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載のガスセンサであって、
前記マーク部は、前記接続端部を前記軸線方向に沿って仮想的に延長した位置に形成されている、ガスセンサ。
このガスセンサによれば、マーク部によって、接続端部の周方向における位置が間接的に示される。従って、接続端子と接続端部の周方向の位置合わせを、容易かつ確実に行うことができる。特に、マーク部をスリットの端部に挟まれるように、接続端子の筒状部をセンサ素子の基端部に嵌める場合には、マーク部と接続端部とが軸線方向に重なるように配置されているため、スリットの端部を接続端部に確実に接触させることができる。
【0011】
[適用例4]
適用例1乃至適用例3のいずれかに記載のガスセンサであって、
前記マーク部は、前記縦リード部を前記軸線方向に沿って仮想的に延長した位置において、前記縦リード部の幅以下の幅で形成されている、ガスセンサ。
このガスセンサによれば、マーク部によって、縦リード部の周方向の位置が間接的に示され、接続端部の位置が、より正確に示される。従って、接続端子と接続端部との周方向の位置合わせが、より容易かつ確実に行える。特に、マーク部がスリットの端部に挟まれるように、接続端子の筒状部がセンサ素子の基端部に嵌められ、接続端部が縦リード部との接続箇所から周方向に沿った2方向に延出して形成されている場合には、スリットの両側の端部を接続端部に確実に接触させることができる。
【0012】
[適用例5]
軸線方向に延び、先端側が閉塞する有底筒状の固体電解質体と、
前記固体電解質体の先端部の外表面上に設けられた外側電極と、
前記固体電解質体の外表面上に設けられ、前記外側電極に接続するとともに、基端側に向かって、前記軸線方向に延出する縦リード部と、
前記固体電解質体の前記縦リード部より基端側の外表面上において周方向に延出して設けられ、前記縦リード部に接続する接続端部と、
を備えるセンサ素子と、
貫通孔を有し、前記センサ素子の基端部が突出するとともに、前記接続端部の少なくとも一部が収容された状態で、前記貫通孔内に、前記センサ素子を保持する主体金具と、
前記センサ素子の少なくとも基端部に外嵌される筒状部を先端側に備える接続端子であって、前記筒状部が径に沿った方向に変形して、前記筒状部の内壁面が前記接続端部と接触する接続端子と、
を備える、被測定ガス中の特定ガス成分を検出するガスセンサの製造方法であって、
(a)前記センサ素子の前記基端部の、前記接続端部より基端側の位置にマーク部を設ける工程と、
(b)前記センサ素子を、前記基端部が突出した状態で、前記主体金具に保持させる工程と、
(c)前記マーク部を、前記接続端部と、前記筒状部との周方向の位置合わせの指標として、前記センサ素子の前記基端部に、前記筒状部を外嵌し、前記筒状部を径に沿った方向に変形させて、前記筒状部の内壁面を、前記接続端部と接触させる工程と、を備える、ガスセンサの製造方法。
このガスセンサの製造方法によれば、センサ素子の接続端部より基端側の位置にマーク部が設けられる。これにより、接続端子と接続端部との周方向の位置合わせを、容易かつ確実に実行することができる。従って、接続端子とセンサ素子との間の接触不良が抑制される。
【0013】
[適用例6]
適用例5記載のガスセンサの製造方法であって、
前記マーク部は、前記縦リード部及び前記接続端部の少なくともいずれか一方と同じ材料によって構成され、
前記工程(a)は、前記センサ素子の外表面に、前記マーク部と同じ材料で形成された前記縦リード部及び前記接続端部の少なくとも何れか一方を、前記マーク部と同時に形成する工程を含む、ガスセンサの製造方法。
この製造方法によれば、縦リード部または接続端部の少なくともいずれか一方がマーク部と同じ材料によって形成されている場合に、マーク部を、縦リード部または接続端部のいずれか、あるいは、両方と同時に形成することができるため、ガスセンサの製造効率が向上する。
【0014】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、ガスセンサ、そのガスセンサを備えた内燃機関システム、その内燃機関システムを搭載した車両などの形態で実現することができる。また、本発明は、ガスセンサの製造方法や製造装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ガスセンサの構成を示す概略断面図。
【図2】固体電解質体に設けられた外側電極の構成を説明するための概略図。
【図3】縦リード部と、リングリード部と、マーク部の形成工程を説明するための模式図。
【図4】第2の接続端子の構成を示す概略斜視図。
【図5】ガスセンサの組み立て工程を説明するための模式図。
【図6】センサ素子と第2の接続端子との位置合わせを説明するための模式図。
【図7】リングリード部と、筒状部との接触状態を説明するための模式図。
【図8】第2の接続端子の構成を示す概略斜視図。
【図9】リングリード部と、筒状部との接触状態を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.実施形態:
図1は本発明の一実施形態としてのガスセンサの構成を示す概略断面図である。このガスセンサ100は、内燃機関などの排気管に取り付けられて、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサである。ガスセンサ100は、紙面上下方向に延びる一点鎖線により図示した仮想中心軸O(以下、単に「軸線O」と呼ぶ)に沿って延伸された細長形状を有している。ガスセンサ100は、検知部が設けられた先端側(紙面下側)が排気管内部に挿入され、外部回路と接続するための配線類が配設された基端側(紙面上側)が排気管外部に配置される。
【0017】
ガスセンサ100は、その内部に、センサ素子10を収容している。センサ素子10は、酸素分圧に応じた起電力を出力する酸素濃淡電池を構成しており、酸化物イオン伝導性(酸素イオン伝導性)を有する固体電解質体11と、固体電解質体11の内側と外側の壁面上にそれぞれ配置された一対の電極12,13とを備える。なお、図1では、2つの電極12,13の形成領域を、それぞれ異なるピッチの二点鎖線で図示してある。
【0018】
固体電解質体11は、軸線O方向に沿って延伸された細長形状を有しており、先端側が閉塞された有底孔である軸孔11cが設けられた有底筒状体として構成されている。固体電解質体11の外側の側壁面には、軸線Oに沿った方向の中程に、軸線Oに垂直な径方向に突出して略円環状に構成された鍔部11fが設けられている。
【0019】
固体電解質体11の鍔部11fより先端側の筒状部である先端側筒部111は、先端側に向かって略テーパー状に縮径する形状を有しており、その先端部には有底部11bが形成されている。また、固体電解質体11の鍔部11fより基端側の筒状部である基端側筒部112は、径がほぼ一定のまま基端側に延出された形状を有しており、その基端部11eは、軸線Oに沿った方向に開口している。
【0020】
固体電解質体11は、例えば、酸化イットリウム(Y23)を添加した酸化ジルコニウム(ZrO2)、即ち、イットリア部分安定化ジルコニアによって構成することができる。あるいは、固体電解質体11は、酸化カルシウム(CaO)や、酸化マグネシウム(MgO)、酸化セリウム(CeO2)、酸化アルミニウム(Al23)等から選択される酸化物を添加した部分安定化ジルコニア等の、他の固体電解質によって構成することもできる。
【0021】
一対の電極12,13はそれぞれ、固体電解質体11の内側と外側とにそれぞれ形成されている。以後、固体電解質体11の内側の壁面に形成された電極12を「内側電極12」と呼び、外側の壁面に形成された電極13を「外側電極13」と呼ぶ。
【0022】
内側電極12は、固体電解質体11の有底部11bから基端部11eの近傍までの間において軸孔11cの内壁面を覆うように形成されている。内側電極12は、白金(Pt)や白金合金等の、貴金属あるいは貴金属合金によって構成することができ、例えば、無電解めっき等のめっき法により形成することができる。
【0023】
図2は、固体電解質体11の外側表面の構成を説明するための概略図である。図2にはセンサ素子10の概略斜視図を図示してある。固体電解質体11の外側表面には、外側電極13と、縦リード部14と、リングリード部15とが形成されている。また、本実施形態における固体電解質体11の外側表面には、マーク部16が形成されている。なお、本実施形態におけるリングリード部15が、特許請求の範囲における「接続端部」に相当する。
【0024】
外側電極13は、先端側筒部111と有底部11bの外表面を覆うように形成されており、軸孔11c内の内側電極12の先端側の部位と対向する。なお、本実施形態のセンサ素子10では、外側電極13は電極保護層17に被覆されている。外側電極13は、内側電極12と同様に、白金や白金合金等の貴金属あるいは貴金属合金によって構成することができ、例えば、無電解めっき等のめっき法により形成することができる。
【0025】
縦リード部14は、外側電極13から鍔部11fを跨いで、センサ素子10の基端側筒部112に延出して形成されており、外側電極13とリングリード部15との間の接続配線(電極リード部)として機能する。リングリード部15は、基端側筒部112の基端部の近傍において、基端側筒部112の周方向に沿って、全外周のうちの一部の範囲にわたって延出して形成されており、第2の接続端子30(図1)と直接的に接触する接続端部として機能する。
【0026】
なお、本実施形態では、リングリード部15は、2本の横リード部151,152と、複数の連結リード部153とを有するように形成されている。2本の横リード部151,152は、基端側筒部112の全外周のうちの一部の範囲において、その外周方向に沿って互いに並列に、延出して形成されている。なお、2本の横リード部151,152は、その延出された範囲が、第2の接続端子30のスリット311の幅よりも大きくなるように形成されている。そして、先端側の横リード部152は、そのほぼ中央の部位において、縦リード部14と略垂直に連結されている。
【0027】
複数の連結リード部153は、2本の横リード部151,152のそれぞれに対して傾斜角を有しつつ連結するように形成されており、2本の横リード部151,152の間において、ほぼ等間隔で、並列に配列されている。このようにリングリード部15を構成することにより、接続端部としてのリングリード部15の形成範囲を確保しつつ、リングリード部15を構成する材料の使用量を低減することが可能である。
【0028】
ところで、センサ素子10の基端部11eの外表面には、マーク部16が形成されている。本実施形態では、マーク部16は、センサ素子10を、その延出方向(図1における軸線O方向)に沿って見たときに、リングリード部15の形成領域と重なり合う位置に形成されている。より具体的には、マーク部16は、リングリード部15と、固体電解質体11の開口端面との間の領域において、縦リード部14を、その延出方向に沿って仮想的に延長した位置であって、リングリード部15から離間した位置に形成されている。また、本実施形態のマーク部16は、縦リード部14の幅以下の幅を有する略長方形形状として形成されている。マーク部16の機能については後述する。
【0029】
図3は、縦リード部14と、リングリード部15と、マーク部16の形成工程を説明するための模式図である。図3には、縦リード部14と、リングリード部15と、マーク部16の形成工程が工程順に示してある。本実施形態では、縦リード部14と、リングリード部15と、マーク部16とは、いわゆるパッド印刷(タンポ印刷)によって形成される。具体的には、以下の通りである。
【0030】
第1工程では、金属板200の外表面に、2つのリード部14,15の主材料である白金などの貴金属を含むペースト(インク)201を塗布して、2つのリード部14,15の形状パターンを形成する(図3(A))。このとき、金属板200の外表面には、2つのリード部14,15の形状パターンとともに、マーク部16の形状パターンを形成しておく。なお、マーク部16の形状パターンは、2つのリード部14,15のためのペースト201と同じ成分を有するペーストで形成されるものとしても良いし、異なる成分を有するペーストで形成されるものとしても良い。マーク部16の形状パターンと2つのリード部14,15の形状パターンとを同じ成分を有するペーストで形成する場合には、マーク部16の形状パターンと、2つのリード部14,15の形状パターンとを同時に形成することができ、効率的である。
【0031】
第2工程では、シリコンなどの樹脂によって構成された印刷パッド210を、金属板200に押圧接触させて、印刷パッド210の外表面に、金属板200のペースト201を転写する(図3(B))。第3工程では、印刷パッド210を、固体電解質体11の外表面に押圧接触させて、第2工程で印刷パッド210に転写されたペースト201を、さらに、固体電解質体11の外表面に転写する(図3(C))。この一連の工程によって、固体電解質体11の外表面に、2つのリード部14,15とマーク部16とを、ともに固着させることができる(図3(D))。
【0032】
ここで、本実施形態のガスセンサ100(図1)は、外部の制御回路(図示せず)と、第1と第2のリード線41,42を介して電気的に接続される。センサ素子10の基端側には、第1と第2のリード線41,42と、センサ素子10の2つの電極12,13とを電気的に接続するための、第1と第2の接続端子20,30が取り付けられる。
【0033】
第1の接続端子20は、先端側に、固体電解質体11の軸孔11c内に挿入される挿入部21を有している。挿入部21は、径が小さい先端側の部位である先端側挿入部211と、径が大きい基端側の部位であると基端側挿入部212とを有している。挿入部21は、先端側挿入部211が、軸孔11c内において垂下され、基端側挿入部212が、その外表面と、軸孔11cの内壁面に設けられた内側電極12とが接触するように、軸孔11cに内嵌される。
【0034】
また、第1の接続端子20は、挿入部21から基端側に向かって延出して形成された板状基部22を有している。板状基部22の基端側の端部には、第1のリード線41と加締め接続するための接続部221が形成されている。また、板状基部22には、セパレータ84(後述)の貫通孔841内において、板状基部22を支持するための支持腕部222が設けられている。なお、第1の接続端子20の板状基部22の構成は、以下に説明する第2の接続端子30の板状基部32と同様である。
【0035】
図4は、第2の接続端子30の構成を示す概略斜視図である。図4には、ガスセンサ100に組み付けられたときに先端側となる部位を紙面下側とし、基端側となる部位を紙面上側として、第2の接続端子30の概略斜視図を図示してある。第2の接続端子30は、先端側に、センサ素子10の基端部11eに外嵌される端子金具であり、センサ素子10のリングリード部15と接触する筒状部31を有している。
【0036】
筒状部31は、略長方形状の板体を筒状に湾曲させることにより形成されており、その側面には、ガスセンサ100の軸線O方向に沿ったスリット311が形成されている。筒状部31は、スリット311の幅が広がることにより、その径が拡大する弾性変形が可能である。なお、センサ素子10の基端部11eに外嵌される前の筒状部31の内径は、センサ素子10の基端部11eの外径よりも小さい。筒状部31のセンサ素子10への外嵌についての詳細は後述する。
【0037】
筒状部31の先端部には、当該先端部から突出した板片である複数のフレア片312が配列されている。より具体的には、各フレア片312は、筒状部31の先端側の端部において、筒状部31の外側に向かって折り曲げられて形成されており、筒状部31を、その筒方向に沿って見たときに、外側に放射状に広がるように配列されている。複数のフレア片312は、センサ素子10の基端部11eを、筒状部31の筒内へと誘導するガイド部として機能する。
【0038】
第2の接続端子30は、さらに、筒状部31から基端側に延出して形成された板状基部32を有している。板状基部32は、筒状部31の径方向において、スリット311とは反対側の位置に設けられている。板状基部32の基端側端部には、第2のリード線42を加締めて接続するための接続部321が形成されている。
【0039】
また、板状基部32には、筒状部31と接続部321との間に、舌片状の支持腕部322が設けられている。支持腕部322は、板状基部32の板面に、基端側に向かって開いた略矩形状(略コの字状)の切れ目を形成し、その内側部分を外側へと折り曲げることによって形成されている。支持腕部322は、セパレータ84(後述)の貫通孔842内において、貫通孔842の内壁面に接触し、板状基部32が軸線O方向に略平行となるように板状基部32を支持する。
【0040】
ガスセンサ100(図1)は、さらに、センサ素子10および第1と第2の接続端子20,30のハウジングとして、主体金具50と、プロテクタ60と、外筒70と、保護外筒75などを備える。主体金具50は、センサ素子10を内部に保持するとともに、ガスセンサ100を排気管に対して固定的に取り付けるための筒状の金属部材である。
【0041】
主体金具50は、その中心に、センサ素子10を保持するための、軸線O方向に沿った貫通孔51を有している。また、主体金具50は、その外側に、排気管に設けられたネジ溝に螺合するねじ部53や、ガスセンサ100の取り付けの際にスパナやレンチなどの工具を係合させるための工具係合部54が形成されている。
【0042】
主体金具50の貫通孔51内には、貫通孔51を先端側に向かって段階的に縮径させることにより、段部51sが形成されている。ガスセンサ100では、主体金具50の貫通孔51に、基端側から、センサ素子10が挿入されたときに、段部51sと、センサ素子10の鍔部11fとが、パッキン80を介して、互いに係合する。これにより、センサ素子10は、その先端部および基端部が、主体金具50の貫通孔51から突出した状態で、主体金具50の貫通孔51内に係止される。
【0043】
主体金具50の貫通孔51内には、センサ素子10の鍔部11fの基端側に、シール部81と、セラミックスリーブ82と、金属リング83とが、先端側からこの順序で積層配置される。シール部81は、滑石粉末を充填することにより形成されたタルク層であり、センサ素子10と主体金具50との間の気密性を確保する。セラミックスリーブ82は、センサ素子10の外周を囲む筒状の絶縁部材である。金属リング83は、センサ素子10の外周を囲むステンレス製の平ワッシャである。
【0044】
主体金具50の基端部には、貫通孔51の開口端を内側(貫通孔51側)に屈曲させることにより、加締め部52が形成される。この加締め部52により、前述した金属リング83や、セラミックスリーブ82を介して、シール部81が押圧され、センサ素子10が主体金具50内に加締め固定される。
【0045】
プロテクタ60は、主体金具50から突出したセンサ素子10の先端側を収容する、有底筒状に形成された金属部材である。プロテクタ60は、その基端側の開口端部を、主体金具50の先端部を内側に屈曲させて形成された加締め部55と係合させることにより、主体金具50に固設されている。プロテクタ60には、排気ガスを内部に導入可能なように、複数の貫通孔61が形成されている。
【0046】
外筒70は、主体金具50から突出したセンサ素子10の基端側の部位と、第1と第2の接続端子20,30とを収容する、ステンレス鋼等によって筒状に形成された金属部材である。外筒70は、主体金具50の工具係合部54より基端側の部位に外嵌される先端側筒部71と、先端側筒部71から縮径された基端側筒部72とを有している。なお、先端側筒部71と基端側筒部72の間には段部73が外周に沿って設けられている。
【0047】
外筒70の筒内には、絶縁性部材であるセパレータ84が配置されている。セパレータ84は、外筒70の先端側筒部71の内径と略同等の外径を有する円柱形状を有している。また、セパレータ84には、第1と第2の接続端子20,30の板状基部22,32をそれぞれ挿通・保持するための2つの貫通孔841,842が、軸線O方向に沿って形成されている。
【0048】
セパレータ84は、外筒70の筒内において、第1と第2の接続端子20,30の板状基部22,32が、互いに短絡したり、外部と電気的に導通してしまうことを抑制する。なお、セパレータ84は、外筒70の加締めにより筒内に加締め固定された付勢金具85によって、その外周端部が外筒70の段部73と係合するように、段部73に向かって付勢された状態で外筒70の筒内に保持される。
【0049】
外筒70の基端側筒部72の後端部には、略円柱状の樹脂部材であるグロメット86が筒内に内挿されて加締め固定されている。第1と第2のリード線41,42はそれぞれ、グロメット86を介して、外筒70の基端側筒部72の筒内に気密に挿通され、外筒70の基端側筒部72の筒内において、第1と第2の接続端子20,30の板状基部22,32に接続される。
【0050】
保護外筒75は、ステンレス鋼等によって構成された筒状体である。保護外筒75は、両端部が開口しており、外筒70の基端側筒部72の全体を収容する。ここで、互いに重なり合って配置される保護外筒75の側壁と、外筒70の基端側筒部72の側壁とには、それぞれ複数の貫通孔76,77が形成されている。ガスセンサ100では、これらの貫通孔76,77を介して、外気が外筒70の内部空間に導入される。外筒70の内部空間に導入された外気は、セパレータ84の貫通孔841,842を介して、センサ素子10の固体電解質体11の筒内に流入する。
【0051】
なお、保護外筒75と、外筒70の基端側筒部72との間には、フィルタ87が、外筒70の基端側筒部72の外周を覆うように配置されている。フィルタ87は、例えば、撥水性を有するフッ素系樹脂等の多孔質構造体によって構成することができる。貫通孔76,77を介して外筒70の内部空間に導入される外気は、このフィルタ87によって、除塵・除水される。
【0052】
上記の構成により、ガスセンサ100では、その駆動の際に、固体電解質体11の軸孔11c内に、基準となる酸素濃度を有するガス(基準ガス)として外気が導入される。そして、プロテクタ60の内部に、貫通孔61を介して排気ガスが導入される。これにより、ガスセンサ100は、内側電極12を基準ガス雰囲気下に晒される基準電極とし、外側電極13を被検出ガスである排気ガスに晒される検出電極として、センサ素子10に、基準ガスと排気ガスとの間の酸素濃度差に応じた起電力を生じさせる。そして、センサ素子10において生じた起電力を、第1と第2のリード線41,42を介して、外部回路に出力する。
【0053】
図5は、ガスセンサ100の組み立て工程を説明するための模式図である。図5は、ガスセンサ100が先端側のアッセンブリAと、基端側のアッセンブリBとに分離して図示してある点以外は、図1とほぼ同じである。ガスセンサ100は、先端側のアッセンブリAと、基端側のアッセンブリBとを組み立て、これら2つのアッセンブリA,Bを嵌合的に連結させることにより組み立てられる。具体的には、以下の通りである。
【0054】
アッセンブリAは、以下のように組み立てられる。プロテクタ60が固設された状態の主体金具50を準備する。主体金具50の貫通孔51に、基端側から、パッキン80と、センサ素子10とを挿入し、固体電解質体11の鍔部11fを、パッキン80を介して、主体金具50の段部51sに係止させる。センサ素子10の鍔部11fの基端側にシール部81と、セラミックスリーブ82と、金属リング83とを積層配置し、主体金具50の基端部に加締め部52を形成し、アッセンブリAとする。なお、アッセンブリAでは、主体金具50の貫通孔51から、センサ素子10の基端部11eが突出して露出した状態である。
【0055】
アッセンブリBは、以下のように組み立てられる。第1と第2のリード線41,42のそれぞれに接続された第1と第2の接続端子20,30の板状基部22,32を、セパレータ84の貫通孔841,842に挿通させる。そして、セパレータ84と、付勢金具85とを外筒70の内部空間に挿入する。セパレータ84を、付勢金具85によって付勢された状態で、段部73に係止させ、その状態が保持されるように、付勢金具85を外筒70に加締め固定する。
【0056】
さらに、第1と第2のリード線41,42が挿通されたグロメット86を、外筒70に、基端側から挿入するとともに、外筒70の基端側筒部72の外側に、フィルタ87および保護外筒75をそれぞれ配置する。そして、互いに積層配置されている保護外筒75および外筒70の側壁を加締めることにより、外筒70と、保護外筒75と、グロメット86と、フィルタ87とを一体化し、アッセンブリBとする。
【0057】
アッセンブリAとアッセンブリBとは、以下のように連結される。アッセンブリBにおいて先端側に突出している挿入部21の先端側挿入部211を、軸線O方向に沿って、アッセンブリAのセンサ素子10の軸孔11cに挿入する。そして、そのままアッセンブリBを、アッセンブリAに向かって押し込むことにより、第2の接続端子30の筒状部31がセンサ素子10の基端部11eに外嵌され、第1の接続端子20の基端側挿入部212が固体電解質体11の軸孔11cに内嵌される。また、外筒70の先端部が主体金具50の基端部に外嵌される。
【0058】
ここで、上述したとおり、センサ素子10の外側電極13は、リングリード部15が、第2の接続端子30の筒状部31と接触することにより、第2のリード線42と電気的に導通する。そこで、上記のアッセンブリAとアッセンブリBとの連結は、センサ素子10のリングリード部15と、第2の接続端子30の筒状部31とが確実に接触するように、センサ素子10と第2の接続端子30とが以下のように位置合わせされた上で行われる。
【0059】
図6は、アッセンブリA,Bの連結工程におけるセンサ素子10と第2の接続端子30との位置合わせを説明するための模式図である。図6(A),(B)にはそれぞれ、アッセンブリA,Bの連結前と連結後における、アッセンブリAの基端部と、アッセンブリBのうちの第2の接続端子30の筒状部31の様子を模式的に図示してある。なお、図6では、便宜上、アッセンブリBについて、第2の接続端子30以外の各構成部の図示は省略してある。
【0060】
本実施形態のガスセンサ100では、センサ素子10の基端部11eが、主体金具50の貫通孔51から突出している。リングリード部15(破線で図示)は、センサ素子10において、その基端部11eより先端側の位置に形成されている。即ち、リングリード部15は、その全体が、主体金具50の貫通孔51内に収容されている。これに対し、センサ素子10のマーク部16は、アッセンブリAの外部から視覚的・光学的に検出可能なように、少なくともその一部が、センサ素子10の基端部11eに形成されている。
【0061】
前記したとおり、マーク部16は、軸線O方向に沿ってみたときに、リングリード部15の形成領域と重なり合う位置に形成されている。そこで、アッセンブリA,Bの連結工程では、このマーク部16を、リングリード部15の位置を示す指標として、センサ素子10と、第2の接続端子30との、周方向の角度位置を合わせる位置合わせを実行する。より具体的には、マーク部16の位置が、スリット311の中央に位置するように、センサ素子10と第2の接続端子30との向きを合わせる(図6(A))。
【0062】
なお、本実施形態のガスセンサ100では、スリット311は、板状基部32の形成位置とは、筒状部31の中心を挟んで反対側の位置に設けられている(図4)。従って、アッセンブリBにおいて、筒状部31が外筒70内に収容されている場合であっても、板状基部32に連結された第2のリード線42の位置からスリット311の位置を容易に確認することが可能である。
【0063】
次に、センサ素子10と第2の接続端子30の周方向の位置が合ったときに、第2の接続端子30の筒状部31を、センサ素子10の基端部に嵌め込む(図6(B))。なお、第2の接続端子30の筒状部31の内径は、センサ素子10の基端部11eの外径よりも小さいため、センサ素子10の基端部11eが筒状部31の筒内に挿入されたときに、スリット311の幅が広がり、筒状部31が、その内径が拡大するように弾性変形する。
【0064】
図7は、リングリード部15と、筒状部31との接触状態を説明するための模式図である。図7には、図6(B)に示すX−X切断におけるセンサ素子10と第2の接続端子30の概略断面を図示してある。なお、図7では、便宜上、センサ素子10の内部構成についての図示は省略してある。
【0065】
筒状部31がセンサ素子10の基端部11eに挿入されたときに、筒状部31は弾性変形して、以下の部位において、センサ素子10と付勢接触する。即ち、筒状部31は、スリット311を構成する端部311eの内壁面が、センサ素子10のリングリード部15を押圧するように接触する(破線領域CPa)。また、筒状部31は、スリット311と径方向において対向する部位がセンサ素子10の外表面と接触する(破線領域CPb)。
【0066】
このように、本実施形態のガスセンサ100では、第2の接続端子30の筒状部31が、その径に沿った方向に変形して、内壁面の所定の部位である、スリット311を構成する端部311eが、リングリード部15と接触する。そして、マーク部16は、リングリード部15よりも基端側の位置に設けられているため、センサ素子10の基端部11eに筒状部31が嵌められる際に、リングリード部15と、スリット311の端部311eとの周方向の位置合わせの指標として機能する。従って、縦リード部14やリングリード部15が主体金具50内に配置される本実施形態のガスセンサ100であっても、主体金具50に保持された状態のセンサ素子10に対する第2の接続端子30の周方向の位置合わせを、容易、かつ、確実に行うことができ、ガスセンサ100における、外側電極13と第2の接続端子30との接触不良が抑制される。
【0067】
また、本実施形態のガスセンサ100であれば、センサ素子10にマーク部16が設けてられていることにより、リングリード部15の形成位置の検出性を損なうことなく、ガスセンサ100におけるリングリード部15の位置を、より先端側に設定できる。これによって、センサ素子10において、筒状部31に挿入される部位の長さを確保することができるため、第2の接続端子30がセンサ素子10の基端部から脱落することを抑制できる。また、縦リード部14の長さを短縮化できるため、縦リード部14を形成するための材料(白金等)の使用量を低減することが可能である。
【0068】
そして、センサ素子10が主体金具50に保持された状態において、リングリード部15を主体金具50の外側に露出させておく必要性が低い。即ち、マーク部16の少なくとも一部のみが露出するように、センサ素子10の主体金具50から突出する部位を設けておけば良いため、その突出部位である基端部11eを短縮化することが可能である。即ち、本実施形態のガスセンサ100であれば、センサ素子10を短縮化することができ、ガスセンサ100の小型化が可能である。
【0069】
このように、本実施形態のガスセンサ100であれば、マーク部16を有することにより、第2の接続端子30とセンサ素子10との接触不良を抑制できる。また、ガスセンサ100の組み立ての際のリングリード部15の位置検出性を損なうことなく、ガスセンサ100の小型化や、電極材料の使用量の節約が可能である。さらに、本実施形態のガスセンサ100であれば、以下のような効果を得ることができる。
【0070】
本実施形態のガスセンサ100では、第2接続端子30の筒状部31は、筒状部31の周方向に沿って幅が広がるスリット311を有し、センサ素子10の基端部11eに嵌められたときに、スリット311の幅が広がる弾性変形をして、スリット311の端部311eの内壁面がセンサ素子10のリングリード部15に接触する。また、マーク部16は、センサ素子10の基端部11eに筒状部31が嵌められたときに、スリット311の端部311eに挟まれる位置に設けられている。従って、マーク部16に対する第2接続端子31の周方向の位置合わせをより容易に行うことができる。
【0071】
本実施形態のガスセンサ100では、マーク部16は、リングリード部15を軸線O方向に沿って仮想的に延長した位置に形成されている。従って、マーク部16によって、リングリード部15の周方向の位置が間接的に示され、第2接続端子30とリングリード部15との周方向の位置合わせを、容易かつ確実に行うことができる。特に、本実施形態のガスセンサ100では、マーク部16が、スリット311の端部311eに挟まれる位置に形成され、マーク部16とリングリード部15とが軸線0方向に沿ってみたときに、互いに重なるように配置されている。そのため、マーク部16をスリット311の端部311eに挟まれる位置に合わせて、第2接続端子30の筒状部31をセンサ素子10の基端部11eに嵌めたときに、スリット311の端部311eをリングリード部15に確実に接触させることができる。
【0072】
本実施形態のガスセンサ100では、マーク部16は、縦リード部14を軸線O方向に沿って仮想的に延長した位置において、縦リード部14の幅以下の幅で形成されている。従って、マーク部16によって、縦リード部14の周方向の位置が間接的に示され、第2接続端子30とリングリード部15との周方向の位置合わせを、より容易かつ確実に行うことができる。特に、本実施形態のガスセンサ100では、マーク部16が、スリット311の端部311eに挟まれる位置に形成され、リングリード部15が縦リード部14の端部から周方向に沿った対向する二方向に延出して設けられている。そのため、マーク部16をスリット311の端部311eに挟まれる位置に合わせて、第2接続端子30の筒状部31をセンサ素子10の基端部11eに嵌めたときに、スリット311の両側の端部311eをリングリード部15に確実に接触させることができる。
【0073】
本実施形態のガスセンサ100では、マーク部16は、縦リード部14及びリングリード部15と同じ材料によって構成されており、縦リード部14及びリングリード部15とマーク部16と同時に形成している。従って、ガスセンサ100の製造効率が向上する。
【0074】
B.第2実施形態:
図8(A)は、第2実施形態のガスセンサが備える第2の接続端子30Aの構成を示す概略斜視図である。図8(B)は、図8(A)に示すX−X切断における第2の接続端子30Aの概略断面図である。第2実施形態のガスセンサが備える第2の接続端子30Aは、筒状部31Aにスリット311が設けられていない点と、筒状部31Aが略楕円環状に構成されている点以外は、第1実施形態における第2の接続端子30の構成とほぼ同じである。
【0075】
なお、第2実施形態のガスセンサは、第2の接続端子30Aの構成が異なる点以外は、第1実施形態のガスセンサ100と同様な構成であり(図1)、センサ素子10には、マーク部16が設けられている(図2)。また、第2実施形態のガスセンサは、その組み立て工程も、第1実施形態のガスセンサ100と同様である(図5)。
【0076】
第2の接続端子30Aの筒状部31Aは、その内長径が、センサ素子10の基端側筒部112の外径よりも大きく構成されており、その内短径が、センサ素子10の基端側筒部112の外径よりも若干小さく構成されている。なお、第2の接続端子30Aでは、筒状部31Aの仮想的短軸の軸線上に、板状基部32が設けられている。第2の接続端子30Aの筒状部31Aは、センサ素子10に対して、以下のように外嵌される。
【0077】
図9は、センサ素子10のリングリード部15と、第2の接続端子30Aの筒状部31Aとの接触状態を説明するための概略断面図である。図9は、筒状部31に換えて筒状部31Aが図示され、センサ素子10と筒状部31Aとの接触部位が異なっている点以外は、図7とほぼ同じである。なお、図9には、センサ素子10に対する筒状部31Aの外嵌によって筒状部31Aが変形した方向を示す矢印を模式的に示してある。
【0078】
第2実施形態のガスセンサでは、第2の接続端子30Aの筒状部31Aは、センサ素子10の基端部11eに外嵌される際には、その断面形状が、短径方向に沿って拡大するとともに長径方向に沿って縮小する。これによって、筒状部31Aの短径方向における内壁面が、センサ素子10Aのリングリード部15と、リングリード部15の背面側の壁面と接触する(破線領域CPa,CPb)。
【0079】
このように、第2実施形態の第2の接続端子30Aは、筒状部31Aが径に沿った方向に変形して、筒状部31Aの内壁面の所定の部位が、センサ素子10のリングリード部15と接触する。そして、第2実施形態のガスセンサにおいても、センサ素子10に設けられたマーク部16は、センサ素子10の基端部11eに筒状部31Aが嵌められる際に、リングリード部15と、筒状部31Aの所定の部位との周方向の位置合わせの指標として機能する。即ち、センサ素子10の基端部11eに筒状部31Aを外嵌する際に、筒状部31Aの仮想的短軸の位置と、マーク部16の位置とが一致するように位置合わせすることにより、リングリード部15と、筒状部31Aとの接触不良を抑制することができる。
【0080】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0081】
C1.変形例1:
上記実施形態では、マーク部16は、縦リード部14の幅以下の幅を有する長方形形状を有していた。しかし、マーク部16は他の形状やサイズを有するように構成されていても良い。マーク部16は、例えば、三角形や円形などの形状を有するものとしても良い。また、マーク部16は、平板状でなくとも良く、例えば、略半球形状などの凸部として形成されるものとしても良いし、逆に凹部として形成されるものとしても良い。マーク部16は、その位置が視覚的・光学的に検出可能に構成されていることが好ましい。
【0082】
C2.変形例2:
上記実施形態では、マーク部16は、リングリード部15より基端側において、縦リード部14を、その延出方向に仮想的に延長した位置に形成されていた。しかし、マーク部16は、センサ素子10が主体金具50に保持された状態において、主体金具50から突出する、センサ素子10の基端部11eに形成されていれば良い。さらに、上記実施形態では、マーク部16はセンサ素子10の基端部11eの側面に形成されていたが、基端部11eの上側の端面(軸線O方向と対向する面)に形成されていても良い。
【0083】
C3.変形例3:
上記実施形態では、マーク部16は、タンポ印刷によって、2つのリード部14,15と同時に形成されていた。ここで、「同時に形成」とは、製造工程上の同じ工程内において形成されることを意味しており、上記の実施形態においては、マーク部16と2つのリード部14,15とが、同じ転写工程内において形成されていることを意味している。しかし、マーク部16は、縦リード部14とリングリード部15と同時に形成されなくとも良く、縦リード部14およびリングリード部15の一方、または、両方より先、または、後に形成されるものとしても良い。また、マーク部16は、縦リード部14やリングリード部15と、同じ工法や材料で形成されなくとも良い。
【0084】
C4.変形例4:
上記実施形態では、リングリード部15は、2本の横リード部151,152と、複数の連結リード部153とを有していた。しかし、リングリード部15は、2本の横リード部151,152や、複数の連結リード部153を有していなくとも良く、他の構成を有しているものとしても良い。リングリード部15は、縦リード部14より基端側において、センサ素子10の周方向に延出して形成されていれば良い。
【0085】
C5.変形例5:
上記実施形態では、リングリード部15は、センサ素子10が主体金具50に保持された状態において、その全体が、主体金具50の貫通孔51内に収容される位置に形成されていた。しかし、リングリード部15は、センサ素子10が主体金具50に保持された状態において、少なくともその一部が、主体金具50の貫通孔51内に収容される位置に形成されていれば良い。
【0086】
C6.変形例6:
上記実施形態では、アッセンブリA,Bを組み立てた上で、両者を連結させてガスセンサ100を組み立てていた。しかし、ガスセンサ100は、センサ素子10が主体金具50に保持された状態で、第2の接続端子30がセンサ素子10の基端部に嵌め込まれるのであれば、他の工程順序で組み立てられるものとしても良い。
【符号の説明】
【0087】
10,10A…センサ素子
11…固体電解質体
11b…有底部
11c…軸孔
11e…基端部
11f…鍔部
111…先端側筒部
112…基端側筒部
12…内側電極
13…外側電極
14…縦リード部
15…リングリード部
151,152…横リード部
153…連結リード部
16…マーク部
17…電極保護層
20…第1の接続端子
21…挿入部
211…先端側挿入部
212…基端側挿入部
22…板状基部
221…接続部
222…支持腕部
30,30A…第2の接続端子
31,31A…筒状部
311…スリット
311e…端部
312…フレア片
32…板状基部
321…接続部
322…支持腕部
41…第1のリード線
42…第2のリード線
50…主体金具
51…貫通孔
51s…段部
52…加締め部
53…ねじ部
54…工具係合部
55…加締め部
60…プロテクタ
61…貫通孔
70…外筒
71…先端側筒部
72…基端側筒部
73…段部
75…保護外筒
76,77…貫通孔
80…パッキン
81…シール部
82…セラミックスリーブ
83…金属リング
84…セパレータ
841…貫通孔
842…貫通孔
85…付勢金具
86…グロメット
87…フィルタ
100…ガスセンサ
200…金属板
201…ペースト
210…印刷パッド
A…アッセンブリ
B…アッセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延び、先端側が閉塞する有底筒状の固体電解質体と、
前記固体電解質体の先端部の外表面上に設けられた外側電極と、
前記固体電解質体の外表面上に設けられ、前記外側電極に接続するとともに、基端側に向かって、前記軸線方向に延出する縦リード部と、
前記固体電解質体の前記縦リード部より基端側の外表面上において周方向に延出して設けられ、前記縦リード部に接続する接続端部と、
を備えるセンサ素子と、
貫通孔を有し、前記センサ素子の基端部が突出するとともに、前記接続端部の少なくとも一部が収容された状態で、前記貫通孔内に、前記センサ素子を保持する主体金具と、
前記センサ素子の少なくとも前記基端部に外嵌された筒状部を先端側に備える接続端子であって、前記筒状部が径に沿った方向に変形して、前記筒状部の内壁面が前記接続端部と接触する接続端子と、
を備える、被測定ガス中の特定ガス成分を検出するガスセンサにおいて、
前記センサ素子の前記基端部には、前記接続端部より基端側の位置に、前記基端部に前記筒状部が嵌められる際に、前記接続端部と、前記筒状部との周方向の位置合わせの指標となるマーク部が設けられている、ガスセンサ。
【請求項2】
請求項1記載のガスセンサであって、
前記接続端子の前記筒状部は、前記筒状部の周方向に沿って幅が広がるスリットを有し、前記センサ素子の前記基端部に嵌められたときに、前記スリットの幅が広がる弾性変形をして、前記スリットの端部の内壁面が前記センサ素子の前記接続端部と接触し、
前記マーク部は、前記センサ素子の前記基端部に前記筒状部が嵌められたときに、前記スリットの前記端部に挟まれる位置に設けられている、ガスセンサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガスセンサであって、
前記マーク部は、前記接続端部を前記軸線方向に沿って仮想的に延長した位置に形成されている、ガスセンサ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のガスセンサであって、
前記マーク部は、前記縦リード部を前記軸線方向に沿って仮想的に延長した位置において、前記縦リード部の幅以下の幅で形成されている、ガスセンサ。
【請求項5】
軸線方向に延び、先端側が閉塞する有底筒状の固体電解質体と、
前記固体電解質体の先端部の外表面上に設けられた外側電極と、
前記固体電解質体の外表面上に設けられ、前記外側電極に接続するとともに、基端側に向かって、前記軸線方向に延出する縦リード部と、
前記固体電解質体の前記縦リード部より基端側の外表面上において周方向に延出して設けられ、前記縦リード部に接続する接続端部と、
を備えるセンサ素子と、
貫通孔を有し、前記センサ素子の基端部が突出するとともに、前記接続端部の少なくとも一部が収容された状態で、前記貫通孔内に、前記センサ素子を保持する主体金具と、
前記センサ素子の少なくとも基端部に外嵌される筒状部を先端側に備える接続端子であって、前記筒状部が径に沿った方向に変形して、前記筒状部の内壁面が前記接続端部と接触する接続端子と、
を備える、被測定ガス中の特定ガス成分を検出するガスセンサの製造方法であって、
(a)前記センサ素子の前記基端部の、前記接続端部より基端側の位置にマーク部を設ける工程と、
(b)前記センサ素子を、前記基端部が突出した状態で、前記主体金具に保持させる工程と、
(c)前記マーク部を、前記接続端部と、前記筒状部との周方向の位置合わせの指標として、前記センサ素子の前記基端部に、前記筒状部を外嵌し、前記筒状部を径に沿った方向に変形させて、前記筒状部の内壁面を、前記接続端部と接触させる工程と、を備える、ガスセンサの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載のガスセンサの製造方法であって、
前記マーク部は、前記縦リード部及び前記接続端部の少なくともいずれか一方と同じ材料によって構成され、
前記工程(a)は、前記センサ素子の外表面に、前記マーク部と同じ材料で形成された前記縦リード部及び前記接続端部の少なくとも何れか一方を、前記マーク部と同時に形成する工程を含む、ガスセンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−88123(P2013−88123A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225702(P2011−225702)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】