ガスセンサ
【課題】
ガス検知層を覆う保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりすることを回避したガスセンサを提供すること。
【解決手段】
ガスセンサ1が備える部材を基体15の一方の面上に厚み方向に沿って投影したときに、底面の輪郭投影線P上または底面の輪郭投影線Pによって囲まれる領域の内側に、ガス検知層と、保護膜と、発熱体との輪郭投影線が配置されるようにする。底面の輪郭投影線と保護膜の輪郭投影線との最短距離をLとし、底面の輪郭投影線によって囲まれる図形の中心と保護膜の輪郭投影線との最短距離をMとし、底面の輪郭投影線上における基体の厚みをみたときの最小厚みをTとしたときに、(M−L)/T≦500とする。
ガス検知層を覆う保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりすることを回避したガスセンサを提供すること。
【解決手段】
ガスセンサ1が備える部材を基体15の一方の面上に厚み方向に沿って投影したときに、底面の輪郭投影線P上または底面の輪郭投影線Pによって囲まれる領域の内側に、ガス検知層と、保護膜と、発熱体との輪郭投影線が配置されるようにする。底面の輪郭投影線と保護膜の輪郭投影線との最短距離をLとし、底面の輪郭投影線によって囲まれる図形の中心と保護膜の輪郭投影線との最短距離をMとし、底面の輪郭投影線上における基体の厚みをみたときの最小厚みをTとしたときに、(M−L)/T≦500とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物半導体を含むガス検知層を備えたガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板等の基体上に酸化スズ等の金属酸化物半導体をガス検知層として備えたガスセンサが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のガスセンサは、金属酸化物半導体が、被検知ガスに含まれる特定ガスの濃度変化に応じて電気的特性(例えば、抵抗値)が変化することを利用して、特定ガスを検知する。被検知ガス中にシリコン等の被毒ガス成分が含まれる場合、被毒ガスによりガス検知層が被毒されることがある。この場合、ガスセンサの検知性能が低下する虞があるため、特許文献1に記載のガスセンサでは、被検知ガスを透過する保護膜でガス検知層を覆っている。
【0003】
ガス検知層は、常温では被検知ガスに反応せず、例えば200〜400℃に加熱されることで活性化し、被検知ガスに反応する。このため、ガス検知層を加熱するために、基体には、ガス検知層に対応する位置に発熱抵抗体を設けるのが一般的である。そして、発熱抵抗体による加熱効率を向上させるため、基体の面の内、ガス検知層が形成された面とは反対側の面に凹部を設け、発熱抵抗体が設けられた部分およびその周辺の基体の厚みを薄くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1950558号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発熱抵抗体によりガス検知層を加熱する際に、基体も加熱されて熱膨し、凹部を設けた部分の基体が変形することがある。この時、ガス検知層を覆う保護膜と、基体とでは熱膨張率が異なり、保護膜に熱応力が加わる。このため、ガスセンサが長期間使用されることにより、基体の変形が繰り返されると、保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりする虞があった。保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりした場合、被毒ガスによりガス検知層が被毒され、ガスセンサの検知性能が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ガス検知層を覆う保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりすることを回避したガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施態様に係るガスセンサは、板状の基体と、被検知ガス中の特定ガスの濃度変化に応じて電気的特性が変化する金属酸化物半導体を主成分とし、前記基体の一方の面に設けられるガス検知層と、前記ガス検知層の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記ガス検知層を保護する保護膜と、前記基体の前記一方の面とは反対側の他方の面に形成されるとともに、前記基体の厚み方向に凹む凹部と、前記基体内に埋設され、通電により発熱する発熱体とを備えたガスセンサにおいて、前記基体の前記一方の面上に、前記凹部の底面と前記ガス検知層と前記保護膜と前記発熱体とを、前記厚み方向に沿ってそれぞれ投影したときに、前記ガス検知層と前記保護膜と前記発熱体とのそれぞれの輪郭投影線が前記底面の輪郭投影線上、または前記底面の輪郭投影線によって囲まれる領域の内側に配置されるとともに、前記基体の前記一方の面上において、前記底面の輪郭投影線と前記保護膜の輪郭投影線との最短距離をLとし、前記底面の輪郭投影線によって囲まれる図形の中心と、前記底面の輪郭投影線との最短距離をMとし、前記底面の輪郭投影線上における前記基体の厚みをみたときの最小厚みをTとしたときに、(M−L)/T≦500を満たす。
【0008】
凹部を設けた部分の基体が熱により変形する場合、凹部の底面の外周部分と、凹部の底面の外周よりも内側の部分とでは変形量が異なる。凹部の底面の外周部分からの平面上の距離が大きくなるほど、平面上の距離が小さい場合に比べ、変形量の差が大きくなる。一方、凹部を設けた部分の基体の厚みとその変形量との関係に着目すると、凹部を設けた部分の基体の厚みが大きいほど、その厚みが小さい場合に比べ、変形量が小さい。換言すれば、凹部を設けた部分の基体の厚みが大きいほど、その厚みが小さい場合に比べ、変形しにくい。よって本実施態様のガスセンサでは、凹部と保護膜との平面上の位置関係を考慮した値として上記最短距離LおよびMと、凹部を設けた部分の基体の厚みの代表値として上記最小厚みTとの関係を、(M−L)/T≦500と規定した。本実施態様のガスセンサのように、L,MおよびTを定めれば、保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりすることを回避することができる。なお、底面の輪郭投影線によって囲まれる図形の中心とは、例えば底面の輪郭投影線によって囲まれる図形が円である場合には円の中心であり、正多角形の場合には最長の対角線の交点である。底面の輪郭投影線によって囲まれる図形がその他の形状の場合には、例えば、図形の重心を底面の輪郭投影線によって囲まれる図形の中心とする。
【0009】
保護膜の厚みが大きいほど、保護膜の厚みが小さい場合に比べ、保護膜は凹部を設けた部分の基体の変動に追従し難い。よって、保護膜の厚みが大きいほど、保護膜の厚みが小さい場合に比べ、保護膜内で応力が生じやすく、保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりしやすい。これに対し、本発明の実施態様に係るガスセンサは、前記保護膜は、膜厚が10μm以下であるガスセンサとしてもよい。保護膜の膜厚が10μm以下の場合、膜厚が10μmより大きい場合に比べ、保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりすることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ガスセンサ1の平面図である。
【図2】図1の1点鎖線A−Aにおいて矢視方向からみたガスセンサ1の断面の模式図である。
【図3】発熱抵抗体5の平面図である。
【図4】図1の1点鎖線B−Bにおいて矢視方向からみたガスセンサ1の断面の模式図である。
【図5】基体15の一方の面51上に、凹部21の底面23とガス検知層7と保護膜8と発熱抵抗体5とを、基体15の厚み方向に沿ってそれぞれ投影した説明図である。
【図6】評価1の結果を表すグラフである。
【図7】L=0μm,M=500μm,およびT=0.7μmの条件における評価1の結果を表す写真である。
【図8】L=150μm,M=500μm,およびT=0.7μmの条件における評価1の結果を表す写真である。
【図9】L=200μm,M=500μm,およびT=0.7μmの条件における評価1の結果を表す写真である。
【図10】250℃制御時の消費電力(M=500μm,T=0.7μm)を表すグラフである。
【図11】ガスセンサ101の図2に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されているガスセンサの構成、形状等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0012】
まず、図1〜図5を参照し、一例としてのガスセンサ1の構造について説明する。図1に示すように、ガスセンサ1は、平面形状が、縦2.3mm,横2mmの略矩形に形成された板状をなす基体15の一方の面51(以下、「上面51」と言う。)側に、被検知ガス中の特定ガスの検知を行うガス検知部16が形成された構造を有する。なお、基体15の厚み方向(図1では紙面表裏方向、図2では矢印Cで図示する方向)をガスセンサ1の上下方向とし、ガス検知部16が形成された基体15の上面51側を、ガスセンサ1の上側として説明する。また、図2および図4では、ガスセンサ1を構成する各部材を模式的に示しており、各部材の実際の寸法を考慮して図示していない。
【0013】
ガスセンサ1の基体15は、図2に示すように、所定の厚みを有するシリコン基板2と、シリコン基板2の上面に形成された絶縁被膜層3と、シリコン基板2の下面に形成された絶縁被膜層4とを有する。基体15の面の内、上面51とは反対側の他方の面52(以下、「下面52」と言う。)には、基体15の厚み方向に凹部21が設けられている。凹部21は、概略、四角錐の頂点側を上面51と平行に切り落とした形状を有する。凹部21の底面23が、四角錐の頂点側が上面51と平行に切り落とされた面に相当する。凹部21の底面23の平面形状は一辺が1mmの略正方形であり、凹部21の内周面22の横断面上の一辺の長さは、シリコン基板2の下面側ほど、シリコン基板2の上面側に比べ大きい。凹部21を設けた部分の基体15の厚みは、次のように設定される。基体15の厚み方向に沿って、底面23を上面51上に投影した輪郭投影線Pを想定する。輪郭投影線P上における基体15の厚みの最小値をTとした場合、Tの値は後述する保護膜8の形状、大きさおよび平面上の形成位置を考慮して定められる。本実施形態では、Tは0.7μmである。
【0014】
絶縁被膜層3は、絶縁層31〜34,および保護層35から構成される。絶縁層31は、シリコン基板2の上面に形成されており、所定の厚みを有するSiO2膜からなる。絶縁層31の上面には、所定の厚みを有するSi3N4膜ならなる絶縁層32が形成されている。さらに、絶縁層32の上面に、所定の厚みを有するSiO2膜からなる絶縁層33および絶縁層34が形成されている。絶縁層33と絶縁層34との間には、後述する発熱抵抗体5,および発熱抵抗体5に通電するためのリード部12が設けられている。絶縁層34の上面には、所定の厚みを有するSi3N4膜からなる保護層35が形成されている。保護層35は、発熱抵抗体5やリード部12が腐食や外傷により損傷することを防止する。
【0015】
絶縁被膜層4は、絶縁層41および絶縁層42から構成される。絶縁層41は、シリコン基板2の下面に形成されており、絶縁層31と同様に、所定の厚みを有するSiO2膜からなる。絶縁層41の下面には、所定の厚みを有するSi3N4膜ならなる絶縁層42が形成されている。絶縁層41,42は、シリコン基板2の凹部21に対応する部分が、それぞれ除去されている。
【0016】
次に、発熱抵抗体5およびリード部12は、上述のように、絶縁層33と絶縁層34との間に設けられている。発熱抵抗体5およびリード部12は、PtからなるPt層と、TaからなるTa層とから構成された2層構造を有する。絶縁層33と絶縁層34との間に発熱抵抗体5およびリード部12を形成する方法については後述する。図3に示すように、発熱抵抗体5は渦巻き状の平面形状を有する。発熱抵抗体5は、通電により発熱し、後述するガス検知部16(特にガス検知層7)を加熱して活性化させる。発熱抵抗体5は、ガス検知部16に対応する位置、具体的には、ガス検知部16の下部に設けられている。発熱抵抗体5の平面上の位置と、凹部21の底面23との平面上の位置とは次のような関係にある。基体15の上面51上に、凹部21の底面23と発熱抵抗体5とを、基体15の厚み方向(図2において矢印Cで図示する方向)に沿ってそれぞれ投影する。図5に示すように、発熱抵抗体5の輪郭投影線Rは、凹部21の底面23の輪郭投影線Pによって囲まれる領域内にある。なお、図5において、上面51上にガス検知部16を投影した輪郭投影線Qにより、発熱抵抗体5とリード部12との境目を規定している。凹部21と発熱抵抗体5との位置を上述のように定めることにより、発熱抵抗体5によるガス検知部16の加熱効率を高めることができる。
【0017】
また、図4に示すように、リード部12のそれぞれの末端の位置には、絶縁層34および保護層35を貫通するスルーホール14が形成されている。スルーホール14には、内部に露出したリード部12と電気的に接触し、保護層35の上面側へ電極を引き出す引出電極13が設けられている。引出電極13は、Pt層とTi層とから構成されている。そして、引出電極13の表面上に、Auからなり、発熱抵抗体5への通電のため外部回路(図示外)との接続を担う一対の接続端子9が形成されている。図1に示すように、接続端子9は、ガスセンサ1の長手方向の一方の縁端寄りの位置に、後述する接続端子10とともに配置されている。
【0018】
次に、図2に示すように、基体15の上面51(絶縁被膜層3の保護層35の上面)には、ガス検知部16が形成されている。ガス検知部16は、検知電極6,ガス検知層7,および保護膜8を有する。図1に示すように、ガス検知部16は、凹部21の底面23を基体15の厚み方向(図2において矢印Cで図示する方向)に沿って基体15の上面51上に投影した輪郭投影線Pによって囲まれる領域内に配置される。
【0019】
検知電極6は、基体15の上面51に、櫛歯状のパターンに形成された一対の電極からなり、互いに非接触となるように、一方の電極の櫛歯形状をなす部位の間に他方の電極の櫛歯形状をなす部位が配置されている。検知電極6を構成する一対の電極は、ガス検知層7を介し、互いに電気的に接続されており、ガス検知層7における電気的特性の変化を検出する。検知電極6は、基体15の厚み方向において、発熱抵抗体5と重なる位置に配置されている。
【0020】
ガス検知層7は、検知電極6を覆う。ガス検知層7は、金属酸化物半導体であるSnO2を主成分とし、被検知ガス中の特定ガスによって自身の電気的特性(具体的には電気抵抗値)が変化する性質を有する。特定ガスとしては、例えば、CO,H3,NO2,NH3やH2S,(CH3)2S2,CH3SH,(CH3)3Nが挙げられる。ガス検知層7の平面上の位置と、凹部21の底面23の平面上の位置とは次のような関係にある。基体15の上面51上に、凹部21の底面23とガス検知層7とを、基体15の厚み方向に沿ってそれぞれ投影する。図5に示すように、ガス検知層7の輪郭投影線Sは、凹部21の底面23の輪郭投影線Pによって囲まれる領域内にある。凹部21とガス検知層7との位置を上述のように定めることにより、発熱抵抗体5によるガス検知部16の加熱効率が高められる。
【0021】
保護膜8は、一辺が600μmの略正方形の平面形状を有し、ガス検知層7を覆う膜である。保護膜8は、被検知ガスを透過しつつ、ガス検知層7を被毒から保護する。保護膜8の厚みは、10μm以下とすることが好ましい。保護膜8の厚みが大きくなるほど、保護膜8の厚みが小さい場合に比べ、発熱抵抗体5において発生した熱が保護膜8に伝達される量が多くなり、発熱抵抗体5によるガス検知部16の加熱効率が低下するためである。
【0022】
保護膜8の大きさ、形状、および平面上の形成位置は、上述の輪郭投影線P上における基体15の厚みの最小値Tを考慮して定められる。具体的には、基体15の上面51上に、凹部21の底面23と保護膜8とを、基体15の厚み方向に沿ってそれぞれ投影する。図5に示すように、底面23の輪郭投影線Pと保護膜8の輪郭投影線Qとの最短距離をL,底面23の輪郭投影線Pによって囲まれる図形Zの中心Xと輪郭投影線Pとの最短距離をMとした場合、MおよびLは(M−L)/T≦500を満たす値とする。本実施形態では、Tは0.7μmであり、Mは500μmであり、Lは200μmである。なお、本実施形態では、図形Z,および保護膜8の輪郭投影線Qによって囲まれる図形Wは、いずれも正方形である。そして、図形Wは図形Zの中央に配置されている。よって、最短距離Mは、図形Zの一辺と、中心Xを通りその一辺と平行な線Yとの間の距離と等しい。また、(M−L)は、図形Wの一辺と、中心Xを通りその一辺と平行な線Yとの間の距離Nと等しい。このように底面23に対するガス検知部16の平面上の位置を定めることにより、発熱抵抗体5により効率的にガス検知層7を加熱させることができる。
【0023】
図1に示すように、基体15(保護層35)の上面には、上記の検知電極6を構成する一対の電極間への通電を行うため、検知電極6と接続する一対のリード部11のパターンが形成されている。図4に示すように、各リード部11の末端の表面上に、Auからなり、外部回路(図示外)との接続を担う一対の接続端子10が形成されている。検知電極6およびリード部11も、上記の引出電極13と同様に、Pt層とTi層とから構成された2層構造を有する。
【実施例1】
【0024】
以下、ガスセンサ1の製造工程について説明する。なお、作製途中のガスセンサ1の中間体を、基板と称する。また、各工程の説明に用いる工程名に付した括弧内の数字は、各工程の実施順序を示している。
【0025】
(1) シリコン基板2の洗浄
厚みが400μmのシリコン基板2を洗浄液中に浸し、洗浄処理を行った。
【0026】
(2) 絶縁層31,41の形成
シリコン基板2を熱処理炉に入れ、熱酸化処理にて厚さが100nmのSiO2膜からなる絶縁層31,41をシリコン基板2の両面(上面および下面)に形成した。
【0027】
(3) 絶縁層32,42の形成
LP−CVDにてSiH2Cl2,NH3をソースガスとし、絶縁層31,41それぞれの表面上に、厚さが200nmのSi3N4膜からなる絶縁層32,42を形成した。
【0028】
(4) 絶縁層33の形成
プラズマCVDにてTEOS,O2をソースガスとし、絶縁層32の表面上に厚さが100nmのSiO2膜からなる絶縁層33を形成した。
【0029】
(5) 発熱抵抗体5およびリード部12の形成
DCスパッタ装置を用い、絶縁層33の表面上に厚さ20nmのTa層を形成し、その層上に厚さ220nmのPt層を形成した。スパッタ後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、ウエットエッチング処理で発熱抵抗体5およびリード部12のパターンを形成した。
【0030】
(6) 絶縁層34の形成
(4)と同様に、プラズマCVDにてTEOS,O2をソースガスとし、絶縁層33,発熱抵抗体5およびリード部12の表面上に、厚さが100nmのSiO2膜からなる絶縁層34を形成した。このようにして、SiO2膜からなる絶縁層33,34内に、発熱抵抗体5およびリード部12を埋設した。
【0031】
(7) 保護層35の形成
(3)と同様に、LP−CVDにてSiH2Cl2,NH3をソースガスとし、絶縁層34の上面に、厚さが200nmのSi3N4膜からなる保護層35を形成した。
【0032】
(8) 接続端子9の開口の形成
フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、ドライエッチング法で保護層35および絶縁層34のエッチングを行い、接続端子9の形成を予定する部分にスルーホール14を開け、リード部12の末端の一部を露出させた。
【0033】
(9) 検知電極6,リード部11および引出電極13の形成
DCスパッタ装置を用い、保護層35の表面上に厚さ20nmのTi層を形成し、さらにその表面上に厚さ40nmのPt層を形成した。スパッタ後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、ウエットエッチング処理にて、櫛歯状の平面形状を有する検知電極6およびリード部11のパターンを形成した。また、(8)で形成したスルーホール14内および周辺にもTi層およびPt層を形成し、リード部12の末端を保護層35の上面側に引き出す引出電極13のパターンを形成した。
【0034】
(10) 接続端子9,10の形成
DCスパッタ装置を用い、上記電極部分が作製された基板の電極側の表面上に、厚さ400nmのAu層を形成した。スパッタ後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、ウエットエッチング処理で接続端子9,10を形成した。これにより、接続端子9はリード部12の末端と電気的に接続され、接続端子10は、引出電極13を介し、リード部11の末端と電気的に接続された。
【0035】
(11) 凹部21の形成
フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、マスクとなる絶縁膜(図示外)をドライエッチング処理により形成した。そしてTMAH溶液中に基板を浸し、シリコン基板2の異方性エッチングを行って凹部21を形成した。
【0036】
(12) ガス検知層7の形成
RFスパッタ装置を用いて、シリコン基板2の温度が240℃になるように加熱しながら、櫛歯状の検知電極6,およびその周辺部分の保護層35上に、厚さ200nmのSnO2膜を形成した。その後、SnO2膜上にDCスパッタ装置にて、加熱なしで、Auを付着させ触媒粒子を形成した。
【0037】
(13) 熱処理
RFスパッタ装置または真空熱処理炉を用いて、O2濃度が10ppm以下(好ましくは、0.2ppmまたは5ppm)の雰囲気の下、360℃、3時間の熱処理を加えた。
【0038】
(14) 保護膜8の形成
TiO2粉末にバインダーと有機溶剤とを混ぜた後、トリロールミルを用いて混練し、TiO2ペーストを作成した。メタルマスクを用いてシリコン基板2の所定の場所にTiO2ペーストを印刷した後、350℃で焼成した。
【0039】
(15) 基板の切断
ダイシングソーを用いて基板を切断し、平面視矩形で2.3mm×2mmの大きさにした。以上の製造工程により、図1に示す、ガスセンサ1が完成した。
【0040】
次に、上記製造工程に従いガスセンサ1を作製し、以下に示す評価試験を行った。
【0041】
[評価1]
評価1では、ガスセンサ1の保護膜8のクラック・剥離発生確率を評価した。まず、上述の製造工程に従い、Tが0.7μm,Mが500μmの条件で、Lの値が異なるガスセンサ1を100個ずつ作成した。Lの値は、0,50,100,150,および200の計5つの値を用いた。保護膜8の厚みは、7±3μmとした。各ガスセンサ1について、25℃の雰囲気中、400℃で通電制御を1秒間と、非通電1秒間とを交互に2万回繰り返し、保護膜にクラックや剥離が発生したか否かを確認した。そして、保護膜のクラック・剥離発生確率を求めた。さらに、Tが0.35,およびMが500μmの条件で、(M−L)/Tが1000,500,および429となるLについて同様の評価を行った。また、Tが1.05μm,およびMが500μmの条件で,(M−L)/Tが476および429となるLについて同様な評価を行った。なお、最小厚みTが0.35または1.05μmとなるガスセンサは、絶縁被膜層3が備える絶縁層31〜34,保護層35,発熱抵抗体5,およびリード部12の厚みをそれぞれ相対的に変えて作成した。
【0042】
Tが0.7μm,Mが500μmの場合の評価1の結果を図6乃至図9に示す。図6に示すように、(M−L)/Tが714の場合では、保護膜8のクラック・剥離発生確率が100%であった。図7に示すように、(M−L)/Tが714の場合には、輪郭投影線Pの周辺部分において保護膜8にクラックが生じた。図示しないが、Tが0.7μm,Mが500μmの条件で、保護膜8の輪郭投影線Qが底面23の輪郭投影線Pよりも外側となるガスセンサについて同様の評価を行ったところ、保護膜8にクラックが生じた。一方、図6に示すように、(M−L)/Tが714より小さい場合、(M−L)/Tが小さくなるにつれクラック・剥離発生確率が低下し、(M−L)/Tが500以下の場合には、クラック・剥離発生確率が0%であった。図8に示す(M−L)/Tが500の場合、および図9に示す(M−L)/Tが429の場合には、保護膜にクラックや剥離が発生しなかった。図示しないが、Tが0.35,およびMが500μmの条件、並びにTが1.05μm,およびMが500μmの条件においても、(M−L)/Tが500以下の場合には、クラック・剥離発生確率が0%であった。評価1の結果から、ガス検知部16の輪郭投影線が底面23の輪郭投影線P上または輪郭投影線Pの内側となり、かつ、(M−L)/T≦500となるようにL,MおよびTを設定すれば、保護膜8にクラックや剥離が発生することを回避することができることが確認された。なお、(M−L)/T≦429となるようにL,MおよびTを設定することにより、保護膜8にクラックや剥離が発生することをより確実に回避することができる。
【0043】
[評価2]
次に、Tが0.7μm,Mが500μmの条件で、発熱抵抗体5の温度が250℃となるように制御した時の発熱抵抗体5の消費電力を測定した。評価2の結果を図7に示す。なお、(M−L)/T=0の場合とは、保護膜8を設けない場合である。図7に示すように、250℃制御時の消費電力は、(M−L)/Tが500の場合には40.1mWとなり、(M−L)/Tが500より小さい条件では(M−L)/Tが小さくなるほど消費電力が小さくなった。評価2の結果から、(M−L)/T≦500となるように、L,MおよびTを設定すれば、発熱抵抗体5の温度が所定温度となるように通電制御する際の消費電力を損なうことなく、保護膜8にクラックや剥離が発生することを回避することができることが確認された。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。例えば、以下の(A)〜(C)に示す変形を加えてもよい。
【0045】
(A)基体15のシリコン基板2は、シリコンから作製したが、その他の半導体材料から作製してもよい。また、ガスセンサ1の平面形状は矩形に限らず、任意の形状をなしてもよく、その大きさ、厚み、各部材の配置についても限定されるものではない。
【0046】
(B)絶縁被膜層3,4を、SiO2膜とSi3N4膜からなる複層構造としたが、SiO2膜またはSi3N4膜からなる単層構造としてもよい。また、発熱抵抗体5を絶縁層33と絶縁層34の間に埋設したが、ガス検知部16を効率よく加熱できる位置に配置されていればよい。
【0047】
(C)保護膜はガス検知層の少なくとも一部を覆っていればよい。また、凹部21が設けられている部分の基体15の構成は、厚みTに応じて種々変更可能である。例えば、図11に示す変形例のようにしてもよい。図11において、図2に示す上記実施形態と同様な構成には同じ符号を付与している。図11に示すように、変形例のガスセンサ101では、保護膜108はガス検知層107の上面の一部を覆っている。また、絶縁被膜層103の絶縁層131〜134,および保護層135,絶縁被膜層104が備える絶縁層141および142,発熱抵抗体105,並びにリード部112の厚みは、図2に示す実施形態のガスセンサに比べ相対的に薄くなっている。変形例において、絶縁層131が凹部121の底面123となっている。
【符号の説明】
【0048】
1,101 ガスセンサ
5,105 発熱抵抗体
7,107 ガス検知層
8,108 保護膜
15,115 基体
21,121 凹部
23,123 底面
51 上面
52 下面
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物半導体を含むガス検知層を備えたガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板等の基体上に酸化スズ等の金属酸化物半導体をガス検知層として備えたガスセンサが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のガスセンサは、金属酸化物半導体が、被検知ガスに含まれる特定ガスの濃度変化に応じて電気的特性(例えば、抵抗値)が変化することを利用して、特定ガスを検知する。被検知ガス中にシリコン等の被毒ガス成分が含まれる場合、被毒ガスによりガス検知層が被毒されることがある。この場合、ガスセンサの検知性能が低下する虞があるため、特許文献1に記載のガスセンサでは、被検知ガスを透過する保護膜でガス検知層を覆っている。
【0003】
ガス検知層は、常温では被検知ガスに反応せず、例えば200〜400℃に加熱されることで活性化し、被検知ガスに反応する。このため、ガス検知層を加熱するために、基体には、ガス検知層に対応する位置に発熱抵抗体を設けるのが一般的である。そして、発熱抵抗体による加熱効率を向上させるため、基体の面の内、ガス検知層が形成された面とは反対側の面に凹部を設け、発熱抵抗体が設けられた部分およびその周辺の基体の厚みを薄くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1950558号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発熱抵抗体によりガス検知層を加熱する際に、基体も加熱されて熱膨し、凹部を設けた部分の基体が変形することがある。この時、ガス検知層を覆う保護膜と、基体とでは熱膨張率が異なり、保護膜に熱応力が加わる。このため、ガスセンサが長期間使用されることにより、基体の変形が繰り返されると、保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりする虞があった。保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりした場合、被毒ガスによりガス検知層が被毒され、ガスセンサの検知性能が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ガス検知層を覆う保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりすることを回避したガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施態様に係るガスセンサは、板状の基体と、被検知ガス中の特定ガスの濃度変化に応じて電気的特性が変化する金属酸化物半導体を主成分とし、前記基体の一方の面に設けられるガス検知層と、前記ガス検知層の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記ガス検知層を保護する保護膜と、前記基体の前記一方の面とは反対側の他方の面に形成されるとともに、前記基体の厚み方向に凹む凹部と、前記基体内に埋設され、通電により発熱する発熱体とを備えたガスセンサにおいて、前記基体の前記一方の面上に、前記凹部の底面と前記ガス検知層と前記保護膜と前記発熱体とを、前記厚み方向に沿ってそれぞれ投影したときに、前記ガス検知層と前記保護膜と前記発熱体とのそれぞれの輪郭投影線が前記底面の輪郭投影線上、または前記底面の輪郭投影線によって囲まれる領域の内側に配置されるとともに、前記基体の前記一方の面上において、前記底面の輪郭投影線と前記保護膜の輪郭投影線との最短距離をLとし、前記底面の輪郭投影線によって囲まれる図形の中心と、前記底面の輪郭投影線との最短距離をMとし、前記底面の輪郭投影線上における前記基体の厚みをみたときの最小厚みをTとしたときに、(M−L)/T≦500を満たす。
【0008】
凹部を設けた部分の基体が熱により変形する場合、凹部の底面の外周部分と、凹部の底面の外周よりも内側の部分とでは変形量が異なる。凹部の底面の外周部分からの平面上の距離が大きくなるほど、平面上の距離が小さい場合に比べ、変形量の差が大きくなる。一方、凹部を設けた部分の基体の厚みとその変形量との関係に着目すると、凹部を設けた部分の基体の厚みが大きいほど、その厚みが小さい場合に比べ、変形量が小さい。換言すれば、凹部を設けた部分の基体の厚みが大きいほど、その厚みが小さい場合に比べ、変形しにくい。よって本実施態様のガスセンサでは、凹部と保護膜との平面上の位置関係を考慮した値として上記最短距離LおよびMと、凹部を設けた部分の基体の厚みの代表値として上記最小厚みTとの関係を、(M−L)/T≦500と規定した。本実施態様のガスセンサのように、L,MおよびTを定めれば、保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりすることを回避することができる。なお、底面の輪郭投影線によって囲まれる図形の中心とは、例えば底面の輪郭投影線によって囲まれる図形が円である場合には円の中心であり、正多角形の場合には最長の対角線の交点である。底面の輪郭投影線によって囲まれる図形がその他の形状の場合には、例えば、図形の重心を底面の輪郭投影線によって囲まれる図形の中心とする。
【0009】
保護膜の厚みが大きいほど、保護膜の厚みが小さい場合に比べ、保護膜は凹部を設けた部分の基体の変動に追従し難い。よって、保護膜の厚みが大きいほど、保護膜の厚みが小さい場合に比べ、保護膜内で応力が生じやすく、保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりしやすい。これに対し、本発明の実施態様に係るガスセンサは、前記保護膜は、膜厚が10μm以下であるガスセンサとしてもよい。保護膜の膜厚が10μm以下の場合、膜厚が10μmより大きい場合に比べ、保護膜にクラックが生じたり、保護膜がガス検知層から剥離したりすることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ガスセンサ1の平面図である。
【図2】図1の1点鎖線A−Aにおいて矢視方向からみたガスセンサ1の断面の模式図である。
【図3】発熱抵抗体5の平面図である。
【図4】図1の1点鎖線B−Bにおいて矢視方向からみたガスセンサ1の断面の模式図である。
【図5】基体15の一方の面51上に、凹部21の底面23とガス検知層7と保護膜8と発熱抵抗体5とを、基体15の厚み方向に沿ってそれぞれ投影した説明図である。
【図6】評価1の結果を表すグラフである。
【図7】L=0μm,M=500μm,およびT=0.7μmの条件における評価1の結果を表す写真である。
【図8】L=150μm,M=500μm,およびT=0.7μmの条件における評価1の結果を表す写真である。
【図9】L=200μm,M=500μm,およびT=0.7μmの条件における評価1の結果を表す写真である。
【図10】250℃制御時の消費電力(M=500μm,T=0.7μm)を表すグラフである。
【図11】ガスセンサ101の図2に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されているガスセンサの構成、形状等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0012】
まず、図1〜図5を参照し、一例としてのガスセンサ1の構造について説明する。図1に示すように、ガスセンサ1は、平面形状が、縦2.3mm,横2mmの略矩形に形成された板状をなす基体15の一方の面51(以下、「上面51」と言う。)側に、被検知ガス中の特定ガスの検知を行うガス検知部16が形成された構造を有する。なお、基体15の厚み方向(図1では紙面表裏方向、図2では矢印Cで図示する方向)をガスセンサ1の上下方向とし、ガス検知部16が形成された基体15の上面51側を、ガスセンサ1の上側として説明する。また、図2および図4では、ガスセンサ1を構成する各部材を模式的に示しており、各部材の実際の寸法を考慮して図示していない。
【0013】
ガスセンサ1の基体15は、図2に示すように、所定の厚みを有するシリコン基板2と、シリコン基板2の上面に形成された絶縁被膜層3と、シリコン基板2の下面に形成された絶縁被膜層4とを有する。基体15の面の内、上面51とは反対側の他方の面52(以下、「下面52」と言う。)には、基体15の厚み方向に凹部21が設けられている。凹部21は、概略、四角錐の頂点側を上面51と平行に切り落とした形状を有する。凹部21の底面23が、四角錐の頂点側が上面51と平行に切り落とされた面に相当する。凹部21の底面23の平面形状は一辺が1mmの略正方形であり、凹部21の内周面22の横断面上の一辺の長さは、シリコン基板2の下面側ほど、シリコン基板2の上面側に比べ大きい。凹部21を設けた部分の基体15の厚みは、次のように設定される。基体15の厚み方向に沿って、底面23を上面51上に投影した輪郭投影線Pを想定する。輪郭投影線P上における基体15の厚みの最小値をTとした場合、Tの値は後述する保護膜8の形状、大きさおよび平面上の形成位置を考慮して定められる。本実施形態では、Tは0.7μmである。
【0014】
絶縁被膜層3は、絶縁層31〜34,および保護層35から構成される。絶縁層31は、シリコン基板2の上面に形成されており、所定の厚みを有するSiO2膜からなる。絶縁層31の上面には、所定の厚みを有するSi3N4膜ならなる絶縁層32が形成されている。さらに、絶縁層32の上面に、所定の厚みを有するSiO2膜からなる絶縁層33および絶縁層34が形成されている。絶縁層33と絶縁層34との間には、後述する発熱抵抗体5,および発熱抵抗体5に通電するためのリード部12が設けられている。絶縁層34の上面には、所定の厚みを有するSi3N4膜からなる保護層35が形成されている。保護層35は、発熱抵抗体5やリード部12が腐食や外傷により損傷することを防止する。
【0015】
絶縁被膜層4は、絶縁層41および絶縁層42から構成される。絶縁層41は、シリコン基板2の下面に形成されており、絶縁層31と同様に、所定の厚みを有するSiO2膜からなる。絶縁層41の下面には、所定の厚みを有するSi3N4膜ならなる絶縁層42が形成されている。絶縁層41,42は、シリコン基板2の凹部21に対応する部分が、それぞれ除去されている。
【0016】
次に、発熱抵抗体5およびリード部12は、上述のように、絶縁層33と絶縁層34との間に設けられている。発熱抵抗体5およびリード部12は、PtからなるPt層と、TaからなるTa層とから構成された2層構造を有する。絶縁層33と絶縁層34との間に発熱抵抗体5およびリード部12を形成する方法については後述する。図3に示すように、発熱抵抗体5は渦巻き状の平面形状を有する。発熱抵抗体5は、通電により発熱し、後述するガス検知部16(特にガス検知層7)を加熱して活性化させる。発熱抵抗体5は、ガス検知部16に対応する位置、具体的には、ガス検知部16の下部に設けられている。発熱抵抗体5の平面上の位置と、凹部21の底面23との平面上の位置とは次のような関係にある。基体15の上面51上に、凹部21の底面23と発熱抵抗体5とを、基体15の厚み方向(図2において矢印Cで図示する方向)に沿ってそれぞれ投影する。図5に示すように、発熱抵抗体5の輪郭投影線Rは、凹部21の底面23の輪郭投影線Pによって囲まれる領域内にある。なお、図5において、上面51上にガス検知部16を投影した輪郭投影線Qにより、発熱抵抗体5とリード部12との境目を規定している。凹部21と発熱抵抗体5との位置を上述のように定めることにより、発熱抵抗体5によるガス検知部16の加熱効率を高めることができる。
【0017】
また、図4に示すように、リード部12のそれぞれの末端の位置には、絶縁層34および保護層35を貫通するスルーホール14が形成されている。スルーホール14には、内部に露出したリード部12と電気的に接触し、保護層35の上面側へ電極を引き出す引出電極13が設けられている。引出電極13は、Pt層とTi層とから構成されている。そして、引出電極13の表面上に、Auからなり、発熱抵抗体5への通電のため外部回路(図示外)との接続を担う一対の接続端子9が形成されている。図1に示すように、接続端子9は、ガスセンサ1の長手方向の一方の縁端寄りの位置に、後述する接続端子10とともに配置されている。
【0018】
次に、図2に示すように、基体15の上面51(絶縁被膜層3の保護層35の上面)には、ガス検知部16が形成されている。ガス検知部16は、検知電極6,ガス検知層7,および保護膜8を有する。図1に示すように、ガス検知部16は、凹部21の底面23を基体15の厚み方向(図2において矢印Cで図示する方向)に沿って基体15の上面51上に投影した輪郭投影線Pによって囲まれる領域内に配置される。
【0019】
検知電極6は、基体15の上面51に、櫛歯状のパターンに形成された一対の電極からなり、互いに非接触となるように、一方の電極の櫛歯形状をなす部位の間に他方の電極の櫛歯形状をなす部位が配置されている。検知電極6を構成する一対の電極は、ガス検知層7を介し、互いに電気的に接続されており、ガス検知層7における電気的特性の変化を検出する。検知電極6は、基体15の厚み方向において、発熱抵抗体5と重なる位置に配置されている。
【0020】
ガス検知層7は、検知電極6を覆う。ガス検知層7は、金属酸化物半導体であるSnO2を主成分とし、被検知ガス中の特定ガスによって自身の電気的特性(具体的には電気抵抗値)が変化する性質を有する。特定ガスとしては、例えば、CO,H3,NO2,NH3やH2S,(CH3)2S2,CH3SH,(CH3)3Nが挙げられる。ガス検知層7の平面上の位置と、凹部21の底面23の平面上の位置とは次のような関係にある。基体15の上面51上に、凹部21の底面23とガス検知層7とを、基体15の厚み方向に沿ってそれぞれ投影する。図5に示すように、ガス検知層7の輪郭投影線Sは、凹部21の底面23の輪郭投影線Pによって囲まれる領域内にある。凹部21とガス検知層7との位置を上述のように定めることにより、発熱抵抗体5によるガス検知部16の加熱効率が高められる。
【0021】
保護膜8は、一辺が600μmの略正方形の平面形状を有し、ガス検知層7を覆う膜である。保護膜8は、被検知ガスを透過しつつ、ガス検知層7を被毒から保護する。保護膜8の厚みは、10μm以下とすることが好ましい。保護膜8の厚みが大きくなるほど、保護膜8の厚みが小さい場合に比べ、発熱抵抗体5において発生した熱が保護膜8に伝達される量が多くなり、発熱抵抗体5によるガス検知部16の加熱効率が低下するためである。
【0022】
保護膜8の大きさ、形状、および平面上の形成位置は、上述の輪郭投影線P上における基体15の厚みの最小値Tを考慮して定められる。具体的には、基体15の上面51上に、凹部21の底面23と保護膜8とを、基体15の厚み方向に沿ってそれぞれ投影する。図5に示すように、底面23の輪郭投影線Pと保護膜8の輪郭投影線Qとの最短距離をL,底面23の輪郭投影線Pによって囲まれる図形Zの中心Xと輪郭投影線Pとの最短距離をMとした場合、MおよびLは(M−L)/T≦500を満たす値とする。本実施形態では、Tは0.7μmであり、Mは500μmであり、Lは200μmである。なお、本実施形態では、図形Z,および保護膜8の輪郭投影線Qによって囲まれる図形Wは、いずれも正方形である。そして、図形Wは図形Zの中央に配置されている。よって、最短距離Mは、図形Zの一辺と、中心Xを通りその一辺と平行な線Yとの間の距離と等しい。また、(M−L)は、図形Wの一辺と、中心Xを通りその一辺と平行な線Yとの間の距離Nと等しい。このように底面23に対するガス検知部16の平面上の位置を定めることにより、発熱抵抗体5により効率的にガス検知層7を加熱させることができる。
【0023】
図1に示すように、基体15(保護層35)の上面には、上記の検知電極6を構成する一対の電極間への通電を行うため、検知電極6と接続する一対のリード部11のパターンが形成されている。図4に示すように、各リード部11の末端の表面上に、Auからなり、外部回路(図示外)との接続を担う一対の接続端子10が形成されている。検知電極6およびリード部11も、上記の引出電極13と同様に、Pt層とTi層とから構成された2層構造を有する。
【実施例1】
【0024】
以下、ガスセンサ1の製造工程について説明する。なお、作製途中のガスセンサ1の中間体を、基板と称する。また、各工程の説明に用いる工程名に付した括弧内の数字は、各工程の実施順序を示している。
【0025】
(1) シリコン基板2の洗浄
厚みが400μmのシリコン基板2を洗浄液中に浸し、洗浄処理を行った。
【0026】
(2) 絶縁層31,41の形成
シリコン基板2を熱処理炉に入れ、熱酸化処理にて厚さが100nmのSiO2膜からなる絶縁層31,41をシリコン基板2の両面(上面および下面)に形成した。
【0027】
(3) 絶縁層32,42の形成
LP−CVDにてSiH2Cl2,NH3をソースガスとし、絶縁層31,41それぞれの表面上に、厚さが200nmのSi3N4膜からなる絶縁層32,42を形成した。
【0028】
(4) 絶縁層33の形成
プラズマCVDにてTEOS,O2をソースガスとし、絶縁層32の表面上に厚さが100nmのSiO2膜からなる絶縁層33を形成した。
【0029】
(5) 発熱抵抗体5およびリード部12の形成
DCスパッタ装置を用い、絶縁層33の表面上に厚さ20nmのTa層を形成し、その層上に厚さ220nmのPt層を形成した。スパッタ後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、ウエットエッチング処理で発熱抵抗体5およびリード部12のパターンを形成した。
【0030】
(6) 絶縁層34の形成
(4)と同様に、プラズマCVDにてTEOS,O2をソースガスとし、絶縁層33,発熱抵抗体5およびリード部12の表面上に、厚さが100nmのSiO2膜からなる絶縁層34を形成した。このようにして、SiO2膜からなる絶縁層33,34内に、発熱抵抗体5およびリード部12を埋設した。
【0031】
(7) 保護層35の形成
(3)と同様に、LP−CVDにてSiH2Cl2,NH3をソースガスとし、絶縁層34の上面に、厚さが200nmのSi3N4膜からなる保護層35を形成した。
【0032】
(8) 接続端子9の開口の形成
フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、ドライエッチング法で保護層35および絶縁層34のエッチングを行い、接続端子9の形成を予定する部分にスルーホール14を開け、リード部12の末端の一部を露出させた。
【0033】
(9) 検知電極6,リード部11および引出電極13の形成
DCスパッタ装置を用い、保護層35の表面上に厚さ20nmのTi層を形成し、さらにその表面上に厚さ40nmのPt層を形成した。スパッタ後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、ウエットエッチング処理にて、櫛歯状の平面形状を有する検知電極6およびリード部11のパターンを形成した。また、(8)で形成したスルーホール14内および周辺にもTi層およびPt層を形成し、リード部12の末端を保護層35の上面側に引き出す引出電極13のパターンを形成した。
【0034】
(10) 接続端子9,10の形成
DCスパッタ装置を用い、上記電極部分が作製された基板の電極側の表面上に、厚さ400nmのAu層を形成した。スパッタ後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、ウエットエッチング処理で接続端子9,10を形成した。これにより、接続端子9はリード部12の末端と電気的に接続され、接続端子10は、引出電極13を介し、リード部11の末端と電気的に接続された。
【0035】
(11) 凹部21の形成
フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、マスクとなる絶縁膜(図示外)をドライエッチング処理により形成した。そしてTMAH溶液中に基板を浸し、シリコン基板2の異方性エッチングを行って凹部21を形成した。
【0036】
(12) ガス検知層7の形成
RFスパッタ装置を用いて、シリコン基板2の温度が240℃になるように加熱しながら、櫛歯状の検知電極6,およびその周辺部分の保護層35上に、厚さ200nmのSnO2膜を形成した。その後、SnO2膜上にDCスパッタ装置にて、加熱なしで、Auを付着させ触媒粒子を形成した。
【0037】
(13) 熱処理
RFスパッタ装置または真空熱処理炉を用いて、O2濃度が10ppm以下(好ましくは、0.2ppmまたは5ppm)の雰囲気の下、360℃、3時間の熱処理を加えた。
【0038】
(14) 保護膜8の形成
TiO2粉末にバインダーと有機溶剤とを混ぜた後、トリロールミルを用いて混練し、TiO2ペーストを作成した。メタルマスクを用いてシリコン基板2の所定の場所にTiO2ペーストを印刷した後、350℃で焼成した。
【0039】
(15) 基板の切断
ダイシングソーを用いて基板を切断し、平面視矩形で2.3mm×2mmの大きさにした。以上の製造工程により、図1に示す、ガスセンサ1が完成した。
【0040】
次に、上記製造工程に従いガスセンサ1を作製し、以下に示す評価試験を行った。
【0041】
[評価1]
評価1では、ガスセンサ1の保護膜8のクラック・剥離発生確率を評価した。まず、上述の製造工程に従い、Tが0.7μm,Mが500μmの条件で、Lの値が異なるガスセンサ1を100個ずつ作成した。Lの値は、0,50,100,150,および200の計5つの値を用いた。保護膜8の厚みは、7±3μmとした。各ガスセンサ1について、25℃の雰囲気中、400℃で通電制御を1秒間と、非通電1秒間とを交互に2万回繰り返し、保護膜にクラックや剥離が発生したか否かを確認した。そして、保護膜のクラック・剥離発生確率を求めた。さらに、Tが0.35,およびMが500μmの条件で、(M−L)/Tが1000,500,および429となるLについて同様の評価を行った。また、Tが1.05μm,およびMが500μmの条件で,(M−L)/Tが476および429となるLについて同様な評価を行った。なお、最小厚みTが0.35または1.05μmとなるガスセンサは、絶縁被膜層3が備える絶縁層31〜34,保護層35,発熱抵抗体5,およびリード部12の厚みをそれぞれ相対的に変えて作成した。
【0042】
Tが0.7μm,Mが500μmの場合の評価1の結果を図6乃至図9に示す。図6に示すように、(M−L)/Tが714の場合では、保護膜8のクラック・剥離発生確率が100%であった。図7に示すように、(M−L)/Tが714の場合には、輪郭投影線Pの周辺部分において保護膜8にクラックが生じた。図示しないが、Tが0.7μm,Mが500μmの条件で、保護膜8の輪郭投影線Qが底面23の輪郭投影線Pよりも外側となるガスセンサについて同様の評価を行ったところ、保護膜8にクラックが生じた。一方、図6に示すように、(M−L)/Tが714より小さい場合、(M−L)/Tが小さくなるにつれクラック・剥離発生確率が低下し、(M−L)/Tが500以下の場合には、クラック・剥離発生確率が0%であった。図8に示す(M−L)/Tが500の場合、および図9に示す(M−L)/Tが429の場合には、保護膜にクラックや剥離が発生しなかった。図示しないが、Tが0.35,およびMが500μmの条件、並びにTが1.05μm,およびMが500μmの条件においても、(M−L)/Tが500以下の場合には、クラック・剥離発生確率が0%であった。評価1の結果から、ガス検知部16の輪郭投影線が底面23の輪郭投影線P上または輪郭投影線Pの内側となり、かつ、(M−L)/T≦500となるようにL,MおよびTを設定すれば、保護膜8にクラックや剥離が発生することを回避することができることが確認された。なお、(M−L)/T≦429となるようにL,MおよびTを設定することにより、保護膜8にクラックや剥離が発生することをより確実に回避することができる。
【0043】
[評価2]
次に、Tが0.7μm,Mが500μmの条件で、発熱抵抗体5の温度が250℃となるように制御した時の発熱抵抗体5の消費電力を測定した。評価2の結果を図7に示す。なお、(M−L)/T=0の場合とは、保護膜8を設けない場合である。図7に示すように、250℃制御時の消費電力は、(M−L)/Tが500の場合には40.1mWとなり、(M−L)/Tが500より小さい条件では(M−L)/Tが小さくなるほど消費電力が小さくなった。評価2の結果から、(M−L)/T≦500となるように、L,MおよびTを設定すれば、発熱抵抗体5の温度が所定温度となるように通電制御する際の消費電力を損なうことなく、保護膜8にクラックや剥離が発生することを回避することができることが確認された。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。例えば、以下の(A)〜(C)に示す変形を加えてもよい。
【0045】
(A)基体15のシリコン基板2は、シリコンから作製したが、その他の半導体材料から作製してもよい。また、ガスセンサ1の平面形状は矩形に限らず、任意の形状をなしてもよく、その大きさ、厚み、各部材の配置についても限定されるものではない。
【0046】
(B)絶縁被膜層3,4を、SiO2膜とSi3N4膜からなる複層構造としたが、SiO2膜またはSi3N4膜からなる単層構造としてもよい。また、発熱抵抗体5を絶縁層33と絶縁層34の間に埋設したが、ガス検知部16を効率よく加熱できる位置に配置されていればよい。
【0047】
(C)保護膜はガス検知層の少なくとも一部を覆っていればよい。また、凹部21が設けられている部分の基体15の構成は、厚みTに応じて種々変更可能である。例えば、図11に示す変形例のようにしてもよい。図11において、図2に示す上記実施形態と同様な構成には同じ符号を付与している。図11に示すように、変形例のガスセンサ101では、保護膜108はガス検知層107の上面の一部を覆っている。また、絶縁被膜層103の絶縁層131〜134,および保護層135,絶縁被膜層104が備える絶縁層141および142,発熱抵抗体105,並びにリード部112の厚みは、図2に示す実施形態のガスセンサに比べ相対的に薄くなっている。変形例において、絶縁層131が凹部121の底面123となっている。
【符号の説明】
【0048】
1,101 ガスセンサ
5,105 発熱抵抗体
7,107 ガス検知層
8,108 保護膜
15,115 基体
21,121 凹部
23,123 底面
51 上面
52 下面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基体と、
被検知ガス中の特定ガスの濃度変化に応じて電気的特性が変化する金属酸化物半導体を主成分とし、前記基体の一方の面に設けられるガス検知層と、
前記ガス検知層の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記ガス検知層を保護する保護膜と、
前記基体の前記一方の面とは反対側の他方の面に形成されるとともに、前記基体の厚み方向に凹む凹部と、
前記基体内に埋設され、通電により発熱する発熱体と
を備えたガスセンサにおいて、
前記基体の前記一方の面上に、前記凹部の底面と前記ガス検知層と前記保護膜と前記発熱体とを、前記厚み方向に沿ってそれぞれ投影したときに、前記ガス検知層と前記保護膜と前記発熱体とのそれぞれの輪郭投影線が、前記底面の輪郭投影線上、または前記底面の輪郭投影線によって囲まれる領域の内側に配置されるとともに、
前記基体の前記一方の面上において、前記底面の輪郭投影線と前記保護膜の輪郭投影線との最短距離をLとし、
前記底面の輪郭投影線によって囲まれる図形の中心と、前記底面の輪郭投影線との最短距離をMとし、
前記底面の輪郭投影線上における前記基体の厚みをみたときの最小厚みをTとしたときに
(M−L)/T≦500
を満たすことを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記保護膜は、膜厚が10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項1】
板状の基体と、
被検知ガス中の特定ガスの濃度変化に応じて電気的特性が変化する金属酸化物半導体を主成分とし、前記基体の一方の面に設けられるガス検知層と、
前記ガス検知層の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記ガス検知層を保護する保護膜と、
前記基体の前記一方の面とは反対側の他方の面に形成されるとともに、前記基体の厚み方向に凹む凹部と、
前記基体内に埋設され、通電により発熱する発熱体と
を備えたガスセンサにおいて、
前記基体の前記一方の面上に、前記凹部の底面と前記ガス検知層と前記保護膜と前記発熱体とを、前記厚み方向に沿ってそれぞれ投影したときに、前記ガス検知層と前記保護膜と前記発熱体とのそれぞれの輪郭投影線が、前記底面の輪郭投影線上、または前記底面の輪郭投影線によって囲まれる領域の内側に配置されるとともに、
前記基体の前記一方の面上において、前記底面の輪郭投影線と前記保護膜の輪郭投影線との最短距離をLとし、
前記底面の輪郭投影線によって囲まれる図形の中心と、前記底面の輪郭投影線との最短距離をMとし、
前記底面の輪郭投影線上における前記基体の厚みをみたときの最小厚みをTとしたときに
(M−L)/T≦500
を満たすことを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記保護膜は、膜厚が10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−276459(P2010−276459A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128927(P2009−128927)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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