ガスセンサ
【課題】検出素子が被水することを抑制しつつ、プロテクタの底部に設けた開口に目詰まりが生じる事を抑制する。
【解決手段】プロテクタの底部の一部を先端側に向かってドーム状に突出するように形成し、吸気通路の下流側を向くよう第2開口に配置し、プロテクタの先端側に向けて開口する面積を小さくすることで、プロテクタの底部に設けられた第2開口を通じてプロテクタの内部に水分等が侵入する事を抑制する。そして、第2開口の開口面積をプロテクタの筒部に形成された第1開口に応じて相対的に大きくすることで、第2開口が煤により目詰まりを起こす事を抑制する。
【解決手段】プロテクタの底部の一部を先端側に向かってドーム状に突出するように形成し、吸気通路の下流側を向くよう第2開口に配置し、プロテクタの先端側に向けて開口する面積を小さくすることで、プロテクタの底部に設けられた第2開口を通じてプロテクタの内部に水分等が侵入する事を抑制する。そして、第2開口の開口面積をプロテクタの筒部に形成された第1開口に応じて相対的に大きくすることで、第2開口が煤により目詰まりを起こす事を抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から内燃機関内に吸入される吸気ガスが流れる吸気ガス通路や、内燃機関の汚染物質排出の削減のために、排気ガスを再循環させる吸気再循環ガスが流れる吸気再循環ガス通路といった吸気通路に配置されるガスセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部から内燃機関に吸入される吸気ガス(大気)の酸素濃度を検出するために、内燃機関の吸気ガス通路にガスセンサを配設して、検出した酸素濃度を内燃機関の運転制御に用いることによって、内燃機関の空燃比制御の精度などを向上させる技術がある(例えば、特許文献1参照)。
また、近年、内燃機関から排出される窒素酸化物(NOx)を減少させる目的で、排気ガスを再度吸気システムに導入させる技術(以下、排ガス再循環またはEGRシステムという)が知られている(例えば、特許文献2を参照)。このようなEGRシステムの排気ガスと吸気ガスとが混ざり合った吸気再循環ガスの酸素濃度を検出するために、吸気再循環ガス通路にガスセンサを配設することも知られている。
【0003】
吸気ガス通路や吸気再循環ガス通路といった吸気通路に取り付けられるガスセンサとして、例えばNOx(窒素酸化物)や酸素などの濃度に応じ、大きさの異なる起電力が生じたり、抵抗値が変化したりする検出素子を備えたガスセンサが知られている(例えば、特許文献3参照)。このガスセンサは、吸気ガスや吸気再循環ガスといった高温のガスに晒される一方、ガスに含まれる水分が付着(被水)するため、検出素子が熱衝撃を受け、クラックや割れが生ずる虞がある。そこで、ガスセンサに検出素子を覆うプロテクタが装着され、検出素子を被水から保護している。さらには、吸気通路側に流れるガスは排気通路側に流れるガスに比べて、煤(カーボン)が多く含まれているが、プロテクタを装着することで、検出素子に煤が付着することも防止でき、検出素子の検出精度が低下することを防止できる。
【0004】
また、プロテクタを内側プロテクタと外側プロテクタとの二重構造にした上で、プロテクタの内部に吸気ガスを導入するための外側ガス導入部を外側プロテクタの筒状部側面に設け、プロテクタの内部から吸気ガスを導出するための外側ガス導出部を外側プロテクタの底部(先端面)に配置したガスセンサが知られている(例えば、特許文献4)。これにより、外側ガス導入部の目詰まりを考慮して外側ガス導入部を相対的に大きくしても、内側プロテクタの内壁部分に煤が付着することとなり、検出素子に煤が付着する事を抑制できる。その結果、外側ガス導入部の目詰まりを抑制(検出素子の検出精度の低下を抑制)しつつ、検出素子に割れやクラックが発生することも抑制できる。
【特許文献1】特開2005−61420号公報
【特許文献2】特開2006−2761号公報
【特許文献3】特開平10−293113号公報
【特許文献4】国際公開第2010/050146号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、内燃機関の吸気通路に配置されるガスセンサにおいて、ガス導出部(開口)が相対的に小さいと、煤がプロテクタのガス導出部を塞いで目詰まりを生じ、検出素子の検出精度の低下を引き起こしてしまう。しかしながら、ガス導出部は被測定ガスを速やかに交換するためにはプロテクタの先端(底部)に設ける必要があるため、ガス導出部を相対的に大きくすると、ガス導出孔からプロテクタ内部へと水が浸入して検出素子が被水し、検出素子にクラックや割れが生じる虞がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、検出素子が被水することを抑制しつつプロテクタの底部に設けられた開口に目詰まりが生じるのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のガスセンサは、軸線方向に延び、自身の先端側に被測定ガス中の特定ガス成分を検出するための検出部を有する検出素子と、前記検出部を径方向外側から取り囲む筒部と、該筒部の先端側に連結される底部とを有し、前記筒部には内燃機関の吸気通路の下流側を向くように配置されて前記筒部に前記被測定ガスの流通を許容する第1開口が設けられると共に、前記底部には前記被測定ガスを流通させる第2開口が設けられたプロテクタと、を備え、前記内燃機関の前記吸気通路に配置されるガスセンサであって、前記底部は、第1底壁部と第2底壁部を含み、前記第2底壁部は、軸線方向先端側に向かって突出すると共に、自身の内面の少なくとも一部が、前記第1底壁部の外面よりも軸線方向先端側に位置し、前記第2底壁部の内面によって形成される連通路には、前記筒部の内部空間と反対側に、前記吸気通路の下流側を向く前記第2開口が設けられており、前記第2開口の開口面積が、前記第1開口を前記筒部の中心軸線に直交する向きに平面視したときの当該第1開口に内接可能な最も大きい仮想円の面積よりも大きくなるように、前記連通部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
このようなガスセンサによれば、プロテクタの先端側に位置する底部に第2開口が形成されているので、被測定ガスは第2開口を通じてプロテクタ内部から外部へと速やかに導出され、応答性の低下を抑制できる。
そして、底部の一部である第2底壁部を先端側へ突出させ、第2底壁部の内面によって筒部の内部空間とプロテクタの外部とを接続する連通路を形成する。そして、連通路の筒部の内部空間と反対側には、第1底壁部及び第2底壁部の端縁の一部によってなる開口である第2開口が形成されており、第2開口は吸気通路の下流側を向いている。このような構成とすることにより、吸気通路の上流側又はプロテクタの側面方向から飛んでくる水分又はオイル等が、プロテクタの内部空間へと侵入する事を抑制できる。
従って、第2開口を相対的に大きくしても、第2開口からの水分等の浸入を抑制できるため、第2開口を煤による目詰まりを抑制できる程度の相対的に大きな開口とすることができる。そこで、第2開口の開口面積を、第1開口を筒部の中心軸線に直交する向きから平面視したときに第1開口に内接可能な最も大きい仮想円の面積よりも、大きくすることで、煤による第2開口の目詰まりを防止できる。
【0009】
なお本発明のように、筒部に吸気通路の下流側を向く第1開口を、底部に第2開口を設けたプロテクタにおいては、プロテクタ内部を流通する被測定ガスの大部分は、第1開口を通じてプロテクタの内部へと導入され、連通路及び第2開口を通じてプロテクタの外部へと導出される。そのため、プロテクタ内部に侵入する煤の量は第1開口の大きさに比例するため、第2開口(ガス導出部)の開口面積を第1開口(ガス導入部)にあわせて設定することで、煤による目詰まりを抑制できる。
【0010】
つまり本発明では、被水等に起因する検出素子のクラックや割れを抑制しつつ、被測定ガスを速やかに交換でき且つ煤による第2開口の目詰まりを抑制することにより、検出素子の検出精度が低下することを抑制することができる。
【0011】
なお本発明において、「第1開口に内接可能な最も大きい仮想円」を考える際には、具体的には、「第1開口をプロテクタの外部から平面視したときに、開口面積が最も大きく見える方向」から見れば良い。同様に、第2開口の開口面積及び形状を考える際にも、「第2開口をプロテクタの外部から平面視したときに、開口面積が最も大きく見える方向」から見れば良い。
また、第1開口及び第2開口が、「吸気通路の下流側を向く」とは、ガスセンサを吸気通路に配置し、吸気通路の下流側からガスセンサを目視したときに、各開口が目視できることを指す。
また、吸気通路の上流側からガスセンサを目視した際には、第2開口は第2底壁部の外面により、遮蔽されてなる(目視できない構成となる)。
【0012】
さらに、前記第2底壁部のうち前記第2開口の端縁から最も離間した第1端部と、前記第1底壁部との、前記プロテクタの径方向における距離の最小値L1と、前記第1端部と、前記第2底壁部のうち前記第2開口の端縁との、前記プロテクタの径方向における距離の最小値L2とが、L2/L1≧0.5の関係を満たすことが好ましい。
【0013】
このように第2開口を形成することで、底部側からプロテクタの中心軸線に沿ってガスセンサを見たときに、視認できるプロテクタの内部空間のプロテクタの径方向の距離が、従来のようにプロテクタの中心軸線に沿って第2開口を形成した時に比べて半分以下となる。そのため、より効果的にガスセンサの内部への水分等の浸入を抑制でき、検出素子のクラックや割れを更に効果的に抑制できる。
【0014】
より好ましくは、L2/L1≧1.0の関係を満たすとよい。
【0015】
このように第2開口を形成することで、先端側からプロテクタの中心軸線に沿ってガスセンサを見たときに、第2開口及びプロテクタの内部空間が視認不能となる。従って、先端側からプロテクタの中心軸線に沿ってプロテクタに水がかかっても、プロテクタ内部への水分の侵入の虞が殆ど無い。そのため、より効果的にガスセンサの内部への水分等の浸入を抑制でき、検出素子のクラックや割れを更に効果的に抑制できる。
【0016】
また、前記第2開口は、前記仮想円が全て内包される大きさを有してなることが好ましい。他にも、前記第2開口のアスペクト比は、5以下であることや、前記第2開口は、1つだけ設けられているという条件を満たしている事が望ましい。
【0017】
何故ならば、第2開口の煤による目詰まりは、開口の面積にも関係するが、煤は開口の周縁部から堆積を開始して開口を塞ぎ始めるため、その形状にも関係がある。例えば、開口面積の総和が同一でも、多くの相対的に小さな開口であるよりは、少数の相対的に大きな開口であるほうが、煤の目詰まりは生じにくい。同様に、開口面積が同一でも、スリット状の開口よりは、円形や正方形に近い形状の開口であるほうが、煤の目詰まりは生じにくい。従って、上述のように第2開口を形成することで、煤の目詰まりをより効果的に抑制できる。
【0018】
なお、第2開口の「アスペクト比」とは、第2開口の投影図を見たときに、最も長い開口の寸法と、最も長い開口に直交する方向における最も長い開口の寸法との比を指す。
【0019】
また、前記プロテクタの少なくとも一部の温度が280℃以上600℃以下であるときに、本発明はより効果を奏する。
【0020】
第1開口からプロテクタの内部に煤や水分,オイル等が侵入して、プロテクタの内部に付着する。このとき、プロテクタが600℃以下であると付着した煤は燃焼(焼失)しにくいが、プロテクタが280℃以上だと付着した水分やオイル等は蒸発しやすい状態となり、プロテクタの内側に付着した煤も乾燥した状態となる。その結果、煤がプロテクタの内側から剥れやすい状態となり、剥れた煤は主に第2開口からプロテクタの外部へと排出される。
【0021】
この時、一度プロテクタの内側に付着した水分や煤が、検出素子に導入するガスに再度含まれないようにすることができ、検出素子に水分や煤が付着することを抑制できるが、第2開口に目詰まりが生じる頻度が若干上がる。そのようなガスセンサにおいても本発明の構成であれば、第2開口の目詰まりを抑制できる。なお、煤の燃焼する温度は、被測定ガス中の酸素濃度や水分、煤の量などにも左右されるが、一般に600℃以上であると燃焼しやすい。
【0022】
なお「プロテクタの少なくとも一部の温度が280℃以上600℃以下である」とは、ガスセンサを吸気通路に取り付けて、ガスセンサが被測定ガス中の特定ガス成分を検出しているときに、プロテクタの任意の位置の温度が280℃以上600℃以下となっていることを指す。必ずしもプロテクタの全体が280℃以上600℃以下であることを必要としない。また、プロテクタは、被測定ガスに晒されることで、280℃以上600℃以下となるようにしていてもよいし、検出部を加熱するヒータを備えるガスセンサであればヒータによる加熱でプロテクタを280℃以上600℃以下に加熱しても良い。また、プロテクタの温度は、熱電対や放射温度計にて測定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、プロテクタの底部に設けられた第2開口の煤による目詰まりを抑制しつつ、検出素子の被水による割れやクラックを抑制可能なガスセンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態のガスセンサ1の部分断面図を示す。
【図2】本実施形態のガスセンサ1を吸気通路2に取り付けた図を示す。
【図3】図1に示すガスセンサ1のA−A断面図を示す。
【図4】本実施形態の外側プロテクタ110の斜視図を示す。
【図5】本実施形態の外側プロテクタ110を吸気通路2の下流側から見た時の正面図を示す。
【図6】本実施形態の外側プロテクタ110の断面図を示す。
【図7】本実施形態の内側プロテクタ120の斜視図を示す。
【図8】変形例における外側プロテクタ111を示す。
【図9】変形例における外側プロテクタ112、113の断面図を示す。
【図10】従来例における外側プロテクタ500の斜視図を示す。
【図11】プロテクタ先端部の被水量に与える影響を調べた評価実験を説明するための図及び実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化したガスセンサの一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、一例としてのガスセンサ1の構造について、図1を参照して説明する。図1は、ガスセンサ1の部分断面図であり、ガスセンサ1の軸線O方向(1点鎖線で示す。)を上下方向として図示し、内部に保持する検出素子10の検出部11側をガスセンサ1の先端側、後端部12側をガスセンサ1の後端側として説明する。なお、本実施例では、検出素子10の伸びる軸線方向と、プロテクタ100の中心軸線が同一である。
【0026】
なお、ガスセンサ1は、図2に示すように内燃機関の吸気通路2に取り付けられ、内部に保持する検出素子10の検出部11が吸気通路2を流通する吸気ガスや吸気再循環ガス等の被測定ガス中に晒されて、その被測定ガス中の酸素濃度から空燃比を検出する、いわゆる全領域空燃比センサである。なお、図2の矢印は吸気通路2内の被測定ガスの流れを示し、後述する「吸気通路の下流側」とは、図2の右側のことを指す。
【0027】
検出素子10は公知にあるような軸線O方向に延びる短冊状をなし、酸素濃度の検出を行うガス検出体と、そのガス検出体を早期活性化させるために加熱を行うヒータ体とが互いに貼り合わされ、略角柱状をなす積層体として一体化されたものである。ガス検出体はジルコニアを主体とする固体電解質体と白金を主体とする検出電極と(共に図示しない)から構成され、その検出電極は、検出素子10の先端側に形成された検出部11に配置されている。そして、検出電極を被測定ガス中に含まれる被毒物質から保護するため、検出素子10の検出部11には、その外周面を包むように保護層15が形成されている。他方、検出素子10の後端側の後端部12には、ガス検出体やヒータ体から電極を取り出すための5つの電極パッド16(図1ではそのうちの1つを図示している。)が形成されている。なお、本実施の形態では検出素子10を本発明における「検出素子」として説明を行うが、厳密には、検出素子の構成としてヒータ体は必ずしも必要ではなく、ガス検出体が本発明の「検出素子」に相当する。また、検出素子10は、図1に示すような略角柱状をなす積層体ではなく、有底筒状に形成されていても良い。
【0028】
検出素子10の胴部13の中央よりやや先端側には、有底筒状をなす金属製の金属カップ20が、自身の内部に検出素子10を挿通させ、その検出部11を筒底の開口25から突出させた状態で配置されている。金属カップ20は主体金具50内に検出素子10を保持するための部材であり、筒底の縁部分の先端周縁部23は外周面にかけてテーパ状に形成されている。金属カップ20内には、アルミナ製のセラミックリング21と滑石粉末を圧縮して固めた滑石リング22とが、自身を検出素子10に挿通させた状態で収容されている。滑石リング22は金属カップ20内で押し潰されて細部に充填されており、これにより、検出素子10が金属カップ20内で位置決めされて保持されている。
【0029】
金属カップ20と一体となった検出素子10は、その周囲を筒状の主体金具50に取り囲まれて保持されている。主体金具50はガスセンサ1を自動車の吸気通路2に取り付け固定するためのものであり、SUS430等の低炭素鋼からなり、外周先端側に排気管や通気管への取り付け用の雄ねじ部51が形成されている。この雄ねじ部51よりも先端側には、後述するプロテクタ100が係合される先端係合部56が形成されている。また、主体金具50の外周中央には取り付け用の工具が係合する工具係合部52が形成されており、その工具係合部52の先端面と雄ねじ部51の後端との間には、吸気通路2に取り付けた際のガス抜けを防止するためのガスケット55が嵌挿されている。更に、工具係合部52の後端側には、後述する外筒30が係合される後端係合部57と、その後端側に、主体金具50内に検出素子10を加締め保持するための加締め部53とが形成されている。
【0030】
また、主体金具50の内周で雄ねじ部51付近には段部54が形成されている。この段部54には、検出素子10を保持する金属カップ20の先端周縁部23が係止されている。更に、主体金具50の内周には滑石リング26が、自身を検出素子10に挿通させた状態で、金属カップ20の後端側から装填されている。そして、滑石リング26を後端側から押さえるように、筒状のスリーブ27が主体金具50内に嵌め込まれている。スリーブ27の後端側外周には段状をなす肩部28が形成されており、その肩部28には、円環状の加締めパッキン29が配置されている。この状態で主体金具50の加締め部53が、加締めパッキン29を介してスリーブ27の肩部28を先端側に向けて押圧するように加締められている。スリーブ27に押圧された滑石リング26は主体金具50内で押し潰されて細部にわたって充填され、この滑石リング26と、金属カップ20内にあらかじめ装填された滑石リング22とによって、金属カップ20および検出素子10が主体金具50内で位置決め保持される。主体金具50内の気密は、加締め部53とスリーブ27の肩部28との間に介在される加締めパッキン29によって維持され、燃焼ガスの流出が防止される。
【0031】
検出素子10は、その後端部12が主体金具50の後端(加締め部53)よりも後方に突出されており、その後端部12には、絶縁性セラミックスからなる筒状のセパレータ60が被せられている。セパレータ60は、検出素子10の後端部12に形成された5つの電極パッド16とそれぞれ電気的に接続される5つの接続端子61(図1ではそのうちの1つを図示している。)を内部に保持すると共に、それら各接続端子61と、ガスセンサ1の外部に引き出される5本のリード線65(図1ではそのうちの3本を図示している。)との各接続部分を収容して保護している。
【0032】
そして、セパレータ60が嵌められた検出素子10の後端部12の周囲を囲うように、筒状の外筒30が配設されている。外筒30はステンレス(例えばSUS304)製であり、主体金具50の後端係合部57の外周に自身の先端側の開口端31が係合されている。その開口端31は、外周側から加締められ、更に外周を一周してレーザ溶接が施されて後端係合部57に接合されており、外筒30と主体金具50とが一体に固定されている。
【0033】
また、外筒30とセパレータ60との間の間隙には、金属製で筒状の保持金具70が配設されている。保持金具70は自身の後端を内側に折り曲げて構成した支持部71を有し、自身の内部に挿通されるセパレータ60の後端側外周に鍔状に設けられた鍔部62を支持部71に係止させて、セパレータ60を支持している。この状態で、保持金具70が配置された部分の外筒30の外周面が加締められ、セパレータ60を支持した保持金具70が外筒30に固定されている。
【0034】
そして外筒30の後端側の開口には、フッ素系ゴム製のグロメット75が嵌合されている。グロメット75は5つの挿通孔76(図1ではそのうちの1つを図示している。)を有し、各挿通孔76に、セパレータ60から引き出された5本のリード線65が気密に挿通されている。この状態でグロメット75は、セパレータ60を先端側に押圧しつつ、外筒30の外周から加締められて、外筒30の後端に固定されている。
【0035】
次に、本発明の主要部であるプロテクタ100について説明する。
このプロテクタ100は、検出素子10の検出部11を取り囲むように主体金具50の先端係合部56に固定されている。プロテクタ100により、被測定ガス中の煤や水分,オイル等が検出素子10に付着することを防止している。図1に示すプロテクタ100の構造について、図3〜図7を参照して詳細に説明する。
【0036】
プロテクタ100は、図1、図3に示すように、検出素子10の検知部11と間隙をおいて配置された内側プロテクタ120と、内側プロテクタ120と間隙をおいて配置された外側プロテクタ110とから構成される2重構造を有する。
【0037】
外側プロテクタ110は、SUS304等のステンレス鋼から形成され、図1、4に示すように、軸線方向に延びて検出素子10を径方向外側から取り囲む略筒状の外側筒部130と、外側筒部130よりも軸線方向後端側に配置されると共に外側筒部130よりも外径が拡径された外側基端部131と、外側筒部130の軸線方向先端に接続されていて且つ検出素子10を軸線方向先端側から包囲する(覆う)位置に配置される外側底部132とを有する。
なお、本実施例における外側筒部130と、外側底部132とが、それぞれ特許請求の範囲における「筒部」と、「底部」とを指す。
【0038】
外側基端部131は、主体金具50の先端径合部56に係合され、レーザ溶接にて主体金具50と内側プロテクタ120とに全周溶接されている。そして、外側筒部130は、外側基端部131の先端側に円筒状に設けられ、外周面に軸線方向に延びるスリット状の開口である第1開口140が1つ設けられている。そして外側底部132には、第2開口150が設けられている。
【0039】
図4に示すように、第2開口150は、外側底部132の一部を軸線方向先端側へドーム状に突出させて開口を設けることで形成されている。本実施例において、外側底部132のうち、外側筒部130の先端と同位置にある部位が第1底壁部1321、第1底壁部1321よりも軸線方向先端側へドーム状に突出すると共に自身の内面の少なくとも一部が第1底壁部1321の外面よりも軸線方向先端側に位置する部位を第2底壁部1322である。なお、第2開口150は、第1底壁部1321及び第2底壁部1322の端縁からなる。
【0040】
そして、第2底壁部の内面によって、外側筒部130の内部空間と、第2開口150(及びプロテクタ100の外部)とを連通する連通路200が形成される。なお具体的には、第2底壁部1322の内面と、第2開口150と、第1底壁部1321の第2開口150を形成する端縁を通るプロテクタの中心軸線と直交する平面と、により形成される領域が、連通路200である。
【0041】
図5に示すように、第1開口140に内接可能な最も大きい円である仮想円C(直径R)が、第2開口150にも内接可能であるように、第1開口140および第2開口150は形成されている。従って、第2開口150は第1開口140を通じてプロテクタ100の内部に侵入した煤を、プロテクタ100の外部へと排出可能な大きさの開口とされているため、第2開口150に目詰まりを生じる事を抑制できる。
なお、ここで仮想円Cが各開口に内接可能であるとは、各開口の開口面積が最も大きく見える方向から平面視したときに、各開口の領域内に仮想円Cが描けることを指す。
【0042】
図6に、図1に示した外側プロテクタ110の断面図を、拡大して示す。第2底壁部のうち第2開口の端縁から最も離間した第1端部と、第1底壁部との、プロテクタの径方向における距離の最小値をL1とする。そして第1端部と、第2底壁部のうち第2開口の端縁との、プロテクタの径方向における距離の最小値L2とし、L0=L2/L1とする。
このとき、本実施例では、L0=1となる。そのため、プロテクタの中心軸線に沿って先端側からガスセンサ1を見たときに、第2開口150及びプロテクタ100の内部空間は目視できない構成となっている。そのため、プロテクタ100の内部へ水分等が侵入することを効果的に抑制できる。
【0043】
また、このガスセンサ1は吸気通路2に、外側底部132が鉛直方向先端側を向くように配置される。そして、この吸気通路2には被測定ガスが上流から下流に向けて流れており(図2の矢印の方向)、外側プロテクタ110の第1開口140及び第2開口150が、吸気通路2の下流側を向くようにガスセンサ1は取り付けられる。そして、第2開口150は、下流側を向くと共に、吸気通路2の上流側から見たときに、前記第2底壁部の外面によって遮蔽されてなる。
【0044】
このようなプロテクタの内部を流通する被測定ガスは、主に吸気通路2の下流側から巻き込まれて第1開口140から外側プロテクタ110の内部へと導入され、連通路200を介して第2開口150より外側プロテクタ110の外部へと導出される。これに対し、ガスに含まれる煤や水分,オイル等は、吸気通路2内を上流から下流へ流れる被測定ガスに従って上流から下流に流れており、吸気通路2内を下流から上流へ流れることが難しく、外側プロテクタ110内に導入されにくくなる。特に、第2底壁部の外面が、吸気通路2の上流側及びプロテクタ100の側面側から飛んでくる水分等がプロテクタの内部に侵入する事を抑制する。
よって、外部からプロテクタ100内へ導入される煤や水分,オイル等を減らすことができる。
【0045】
また、内側プロテクタ120は、SUS304等のステンレス鋼から形成され、図1、図3、図7に示すように、内側筒状部160と内側筒状部160よりも外径が拡径された内側基端部161を有する。上述したように、内側基端部161は、主体金具50の先端径合部56に係合され、外側基端部131と共に、レーザ溶接にて主体金具50と全周溶接されている。他方、内側筒状部160は、内側基端部161の先端側に半円弧状に設けられており、検出素子10の検出部11のうち、ヒータ側を覆っている。内側筒状部160の径方向の端部には内側ガス導入部170が設けられており、本実施例では、検知部11の素子側は、内側ガス導入部170よりも突出し、外側プロテクタ110の内部空間に露出している。さらに、内側筒状部160の先端側には内側底部162が設けられており、検出素子10の検出部11の先端を覆うように設けられている。なお、ガスセンサ1が吸気通路2に配置された時には、内側プロテクタ110の内側ガス導入部170は吸気通路2の上流側に配置される。但し、本発明において、内側プロテクタ120は必ずしも必須の要件ではない。
【0046】
このように、第2開口150を、プロテクタ100の先端(外側底部132)に、吸気通路2の下流側を向くように配置しつつ、プロテクタ100の先端側から中心軸線に沿って見てもプロテクタ100の内側が見えないように配置することで、検出素子10への被水(又はオイルの付着)を抑制できるため、ガス導出孔150を相対的に大きく開口させる事が可能となる。具体的には、第2開口150の開口面積が最も大きく見える方向から見たときに、第2開口150の内側に直径Rの仮想円Cが描けるような第2開口150とすることで、第1開口140を通じてプロテクタ100の内部へと侵入した煤を、第2開口150から目詰まりすることなく排出する事ができる。なお、本実施例における第2開口150のアスペクト比は、およそ4.2である。
【0047】
その結果、被水等に起因する検出素子10のクラックや割れの発生を抑制しつつ、被測定ガスを速やかに交換でき且つ煤によるガス導出孔150の目詰まりを抑制できるため、検出素子10の検出精度が低下することを抑制できる。
【0048】
また、本実施例におけるプロテクタ100は、ガスセンサ1が吸気ガス中の特定ガス成分を検出しているとき(ガスセンサ1の実使用時)に、検出素子10を構成するヒータ体により内側プロテクタ120の温度を外側プロテクタ110の温度よりも高くなるよう加熱している。具体的には、内側プロテクタ120の温度は350℃となり、外側プロテクタ110の温度は120℃となっている。これにより、内側筒状部160に付着した水分やオイル等を蒸発させることや、内側筒状部160から煤をはがすことができる。内側プロテクタから剥れた煤は、外側プロテクタ110の先端側(外側底部132)に配置された第2開口150よりプロテクタの外部へと排出される。その結果、一度内側プロテクタ120(内側筒状部160)に付着した水分や煤が、内側ガス導入部170から検出素子10に導入するガスに再度含まれないようにすることができ、検出素子10に水分や煤が付着することを抑制できる。
【0049】
なお、本発明は上記各実施の形態に限られず、各種の変形が可能である。各種変形例を、図8〜9を用いて説明する。
【0050】
図8(a)は変形例における外側プロテクタ111を吸気通路2の下流側から見たときの図を、図8(b)は変形例における外側プロテクタ111の縦断面図である。図8に示すように、第1開口140がスリット状でなく三角形の形状にしても良いし、図示しないが楕円形状、多角形状、又はT字のスリット状等であっても良い。なお、第1開口140は一つであることが好ましいが、複数個設けられていてもよい。第1開口140がどのように形成されていても、第1開口140に内接可能な最大の円である仮想円C(直径R)を基準として、第2開口150の開口の形状及び寸法を決めればよい。
【0051】
また、図8に示すように、第2開口150は複数個形成されていても良い。本変形例では、第2開口150は2つからなる。また、図8の第2開口150は、内部に仮想円Cが描けるようには形成されていないが、開口面積の総和は仮想円Cの面積(πR2/4)を超えるように形成されているため、第2開口150における煤の目詰まりを抑制する事ができる。なお、図8に示す2つの第2開口150のアスペクト比は、共に約1.4である。そして、本実施例においても、L0=1(L1=L2)となるように第2開口150が形成されているため、先端側から中心軸線に沿って外側プロテクタ111を見ても、第2開口150及びプロテクタ100の内部空間を視認することは出来ない。なお、本実施例における第2開口150は、外側底部132の中央部分のみを軸線方向先端側に突出させて形成されている。
【0052】
また、図9に示すように、外側底部132を形成しても良い。図9(a)、図9(b)では、それぞれL0=0.5、L0=2.0となるようにすることで、第2開口150が吸気通路2の下流側を向くように形成されている。
【0053】
図9(a)において、軸線方向先端側から軸線方向に沿ってガスセンサ1を見ると、第2開口150を通じてプロテクタ100(外側プロテクタ112)の内部空間を視認できるが、図10に示すような第2開口550が軸線方向先端側を向いている従来のプロテクタ500に比べて、視認可能な内部空間は小さくなっている。具体的には、プロテクタ100の径方向に見て、開口している寸法は半分となっている。そのため、図10のような軸線方向先端側を向いた第2開口550に比べて、ガスセンサの内部へと水分等が侵入する事を抑制することができる。
なお「プロテクタ100の径方向」とは、プロテクタ100の中心軸線に直交する平面を通り、且つプロテクタ100の中心軸線を通る直線上の方向を指す。
【0054】
図9(b)においては、先端側から軸線方向に沿ってガスセンサ1を見ても、第2開口150及びプロテクタ100(外側プロテクタ113)の内部空間を視認することが出来ない。そのため、より効果的に、ガスセンサ1の内部へと水分等が浸入することを抑制することができる。
【0055】
なお第2底壁部1322は、底部132の一部を軸線方向に突出するように変形させて形成しても良いし、第1底部1321に溶接等により固定することで形成しても良い。
【0056】
実験結果:
図11は、距離A及び距離Bが先端部の被水量に与える影響を調べた評価実験を説明するための図である。図11(a)は評価実験の第1の実験結果を示す図であり、図11(b)は、評価実験1の試験方法を説明するための図である。また、図11(c)は、評価実験後のセラミック積層体の先端部の様子を示す図であり、図11(c−1)は、セラミック積層体の先端部の部分拡大写真であり、図11(c−2)は、セラミック積層体の先端部の部分拡大写真を画像処理したものである。
【0057】
評価実験1では、L2/L1が異なるガスセンサ1をそれぞれ5本用意し、被水試験を行うことで評価した。但し、ガスセンサ1の有底筒状の検出素子10の代わりに、板型(平板状)のセラミック積層体(本実施例の検出素子10に相当)を組付け、試験を行った。これは、後述する被水量の算出を容易にするためである。図11(b)に示すように、被水試験は、ガスセンサ1を内径50mmの配管80に取り付け、配管80内に設けたスプレーノズル82から所定量の水Waをセラミック積層体に向かって噴霧することで行った。また、被水試験の評価のために、セラミック積層体の表面には予めカーボンをコーティングしている。なお、セラミック積層体のカーボンをコーティングしている箇所は、セラミックリング21(図1)に保持される部位よりも先端側の部分であり、配管80内に露出する部分(以下、露出する部分を「検出部」ともいう。)である。具体的には、検出部は、幅4mm、長さ15mmの大きさを有している。被水試験は、ノズル84からガスセンサ1の軸線Oまでの距離Lを150mm、配管80内を流れる気体を空気とし、空気の流速を30m/s、空気の流れる向きをスプレーノズル82からガスセンサ1に向かう方向として行った。また、1回の被水試験は、5秒間で30mlの水Waを噴霧圧0.2Mpaで噴霧する噴霧工程を所定間隔あけて3回繰り返すことで行った。
【0058】
被水試験の後に、ガスセンサ1を配管80から取り外し、3回の噴霧工程によってセラミック積層体の検出部に水Waが当たった箇所を検出部の画像を処理することで割り出した。具体的には、図11(c−1)に示す画像処理前の検出部の写真に対し、図11(c−2)に示すように、検出部のうち水Waが当たった箇所AWを白色、水Waが当たらなかった箇所を黒色とする画像処理を施し、水Waが当たった箇所AWを割り出した。次に、検出部の表面のうち、水Waが当たった箇所AWの割合を式(1)により求め、求めた値を被水量Wb(%)とした。
[数1]
Wb=(Aw/B)×100 (1)
ここで、Wbは被水量(%)、Awは検出部のうち水Waが当たった箇所(白色)の面積(mm2)、Bは検出部の表面積(mm2)。
【0059】
評価実験1の判定は、被水量Wbが2.0%以下の良好な結果を示したガスセンサ1をOK品としてカウントし、被水量Wbが2.0%より大きく良好でない結果を示したガスセンサ1をNG品としてカウントした。ここで、被水量Wbの閾値を2.0%としたのは、排気ガス管内でガスセンサ1を使用した際に、被水量Wbが2.0%以下のガスセンサ1にはクラックが殆ど発生しなかったことに因る。
【0060】
図11(a)に示すように、L2/L1が0.25であると、OK品の数は従来品と変わらず、0.5以上であれば従来品よりもOK品の数が増える。以上より、L2/L1≧0.5の関係を満たすことで、ガスセンサ内部への水分等の侵入を抑制でき、検出素子のクラックや割れを効果的に抑制できる。
【0061】
評価実験2では、評価実験1よりも厳しい条件にて実施した。図11(d)は、評価実験2の試験方法を説明するための図である、評価実験1との違いは、ガスセンサ1の底部を、スプレーノズル82の方向に30°傾けて配管80に取り付けた点のみであり、その他の条件は同一であるため、説明を省略する。
【0062】
図11(e)に示すように、本実験条件は、評価実験1ではOK品であったL2/L1が0.5のサンプルであってもNG品となるような厳しい条件である。しかしながら、本実験条件であっても、L2/L1が1.0以上であればOK品の数が増える。以上より、L2/L1≧1.0の関係を満たすことで、ガスセンサ内部への水分等の侵入をさらに抑制でき、検出素子のクラックや割れをより効果的に抑制できる。
【0063】
また、本実施形態及び変形例では全領域空燃比センサを例に説明したが、酸素センサ、NOxセンサ、HCセンサ、温度センサ等に取り付けられるプロテクタにも同様に適用できる。
【0064】
また、本実施形態及び変形例では、検出素子10の伸びる軸線方向と、プロテクタ100の中心軸線が同一である例を用いて説明したが、これに限られるものではない。さらに、本実施形態ではガスセンサ1と吸気通路2への取付け角度が、直角を成す例を用いて説明したが、これに限られるものではなく、プロテクタの先端側(底部側)が鉛直方向先端側を向いていて、第1開口140及び第2開口150が吸気通路2の下流側を向くように配置されていれば良い。
【0065】
また、本実施形態及び変形例では、軸線方向に見て第1底壁部1321と外側筒部130の先端とが同位置にある例を用いて説明したが、これに限られるものではない。つまり、第1底壁部1321全体が外側筒部130よりも先端側に突出していても、その突出した第1底壁部1321の外面よりも、第2底壁部1322の内面の少なくとも一部が先端側に突出していれば良い。
【符号の説明】
【0066】
1 ガスセンサ
10 検出素子
11 検出部
50 主体金具
100 プロテクタ
110 外側プロテクタ
120 内側プロテクタ
130 外側筒部
132 外側底部
1321 第1底部
1322 第2底部
140 第1開口
150 第2開口
200 連通路
C 直径Rの仮想円
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から内燃機関内に吸入される吸気ガスが流れる吸気ガス通路や、内燃機関の汚染物質排出の削減のために、排気ガスを再循環させる吸気再循環ガスが流れる吸気再循環ガス通路といった吸気通路に配置されるガスセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部から内燃機関に吸入される吸気ガス(大気)の酸素濃度を検出するために、内燃機関の吸気ガス通路にガスセンサを配設して、検出した酸素濃度を内燃機関の運転制御に用いることによって、内燃機関の空燃比制御の精度などを向上させる技術がある(例えば、特許文献1参照)。
また、近年、内燃機関から排出される窒素酸化物(NOx)を減少させる目的で、排気ガスを再度吸気システムに導入させる技術(以下、排ガス再循環またはEGRシステムという)が知られている(例えば、特許文献2を参照)。このようなEGRシステムの排気ガスと吸気ガスとが混ざり合った吸気再循環ガスの酸素濃度を検出するために、吸気再循環ガス通路にガスセンサを配設することも知られている。
【0003】
吸気ガス通路や吸気再循環ガス通路といった吸気通路に取り付けられるガスセンサとして、例えばNOx(窒素酸化物)や酸素などの濃度に応じ、大きさの異なる起電力が生じたり、抵抗値が変化したりする検出素子を備えたガスセンサが知られている(例えば、特許文献3参照)。このガスセンサは、吸気ガスや吸気再循環ガスといった高温のガスに晒される一方、ガスに含まれる水分が付着(被水)するため、検出素子が熱衝撃を受け、クラックや割れが生ずる虞がある。そこで、ガスセンサに検出素子を覆うプロテクタが装着され、検出素子を被水から保護している。さらには、吸気通路側に流れるガスは排気通路側に流れるガスに比べて、煤(カーボン)が多く含まれているが、プロテクタを装着することで、検出素子に煤が付着することも防止でき、検出素子の検出精度が低下することを防止できる。
【0004】
また、プロテクタを内側プロテクタと外側プロテクタとの二重構造にした上で、プロテクタの内部に吸気ガスを導入するための外側ガス導入部を外側プロテクタの筒状部側面に設け、プロテクタの内部から吸気ガスを導出するための外側ガス導出部を外側プロテクタの底部(先端面)に配置したガスセンサが知られている(例えば、特許文献4)。これにより、外側ガス導入部の目詰まりを考慮して外側ガス導入部を相対的に大きくしても、内側プロテクタの内壁部分に煤が付着することとなり、検出素子に煤が付着する事を抑制できる。その結果、外側ガス導入部の目詰まりを抑制(検出素子の検出精度の低下を抑制)しつつ、検出素子に割れやクラックが発生することも抑制できる。
【特許文献1】特開2005−61420号公報
【特許文献2】特開2006−2761号公報
【特許文献3】特開平10−293113号公報
【特許文献4】国際公開第2010/050146号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、内燃機関の吸気通路に配置されるガスセンサにおいて、ガス導出部(開口)が相対的に小さいと、煤がプロテクタのガス導出部を塞いで目詰まりを生じ、検出素子の検出精度の低下を引き起こしてしまう。しかしながら、ガス導出部は被測定ガスを速やかに交換するためにはプロテクタの先端(底部)に設ける必要があるため、ガス導出部を相対的に大きくすると、ガス導出孔からプロテクタ内部へと水が浸入して検出素子が被水し、検出素子にクラックや割れが生じる虞がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、検出素子が被水することを抑制しつつプロテクタの底部に設けられた開口に目詰まりが生じるのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のガスセンサは、軸線方向に延び、自身の先端側に被測定ガス中の特定ガス成分を検出するための検出部を有する検出素子と、前記検出部を径方向外側から取り囲む筒部と、該筒部の先端側に連結される底部とを有し、前記筒部には内燃機関の吸気通路の下流側を向くように配置されて前記筒部に前記被測定ガスの流通を許容する第1開口が設けられると共に、前記底部には前記被測定ガスを流通させる第2開口が設けられたプロテクタと、を備え、前記内燃機関の前記吸気通路に配置されるガスセンサであって、前記底部は、第1底壁部と第2底壁部を含み、前記第2底壁部は、軸線方向先端側に向かって突出すると共に、自身の内面の少なくとも一部が、前記第1底壁部の外面よりも軸線方向先端側に位置し、前記第2底壁部の内面によって形成される連通路には、前記筒部の内部空間と反対側に、前記吸気通路の下流側を向く前記第2開口が設けられており、前記第2開口の開口面積が、前記第1開口を前記筒部の中心軸線に直交する向きに平面視したときの当該第1開口に内接可能な最も大きい仮想円の面積よりも大きくなるように、前記連通部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
このようなガスセンサによれば、プロテクタの先端側に位置する底部に第2開口が形成されているので、被測定ガスは第2開口を通じてプロテクタ内部から外部へと速やかに導出され、応答性の低下を抑制できる。
そして、底部の一部である第2底壁部を先端側へ突出させ、第2底壁部の内面によって筒部の内部空間とプロテクタの外部とを接続する連通路を形成する。そして、連通路の筒部の内部空間と反対側には、第1底壁部及び第2底壁部の端縁の一部によってなる開口である第2開口が形成されており、第2開口は吸気通路の下流側を向いている。このような構成とすることにより、吸気通路の上流側又はプロテクタの側面方向から飛んでくる水分又はオイル等が、プロテクタの内部空間へと侵入する事を抑制できる。
従って、第2開口を相対的に大きくしても、第2開口からの水分等の浸入を抑制できるため、第2開口を煤による目詰まりを抑制できる程度の相対的に大きな開口とすることができる。そこで、第2開口の開口面積を、第1開口を筒部の中心軸線に直交する向きから平面視したときに第1開口に内接可能な最も大きい仮想円の面積よりも、大きくすることで、煤による第2開口の目詰まりを防止できる。
【0009】
なお本発明のように、筒部に吸気通路の下流側を向く第1開口を、底部に第2開口を設けたプロテクタにおいては、プロテクタ内部を流通する被測定ガスの大部分は、第1開口を通じてプロテクタの内部へと導入され、連通路及び第2開口を通じてプロテクタの外部へと導出される。そのため、プロテクタ内部に侵入する煤の量は第1開口の大きさに比例するため、第2開口(ガス導出部)の開口面積を第1開口(ガス導入部)にあわせて設定することで、煤による目詰まりを抑制できる。
【0010】
つまり本発明では、被水等に起因する検出素子のクラックや割れを抑制しつつ、被測定ガスを速やかに交換でき且つ煤による第2開口の目詰まりを抑制することにより、検出素子の検出精度が低下することを抑制することができる。
【0011】
なお本発明において、「第1開口に内接可能な最も大きい仮想円」を考える際には、具体的には、「第1開口をプロテクタの外部から平面視したときに、開口面積が最も大きく見える方向」から見れば良い。同様に、第2開口の開口面積及び形状を考える際にも、「第2開口をプロテクタの外部から平面視したときに、開口面積が最も大きく見える方向」から見れば良い。
また、第1開口及び第2開口が、「吸気通路の下流側を向く」とは、ガスセンサを吸気通路に配置し、吸気通路の下流側からガスセンサを目視したときに、各開口が目視できることを指す。
また、吸気通路の上流側からガスセンサを目視した際には、第2開口は第2底壁部の外面により、遮蔽されてなる(目視できない構成となる)。
【0012】
さらに、前記第2底壁部のうち前記第2開口の端縁から最も離間した第1端部と、前記第1底壁部との、前記プロテクタの径方向における距離の最小値L1と、前記第1端部と、前記第2底壁部のうち前記第2開口の端縁との、前記プロテクタの径方向における距離の最小値L2とが、L2/L1≧0.5の関係を満たすことが好ましい。
【0013】
このように第2開口を形成することで、底部側からプロテクタの中心軸線に沿ってガスセンサを見たときに、視認できるプロテクタの内部空間のプロテクタの径方向の距離が、従来のようにプロテクタの中心軸線に沿って第2開口を形成した時に比べて半分以下となる。そのため、より効果的にガスセンサの内部への水分等の浸入を抑制でき、検出素子のクラックや割れを更に効果的に抑制できる。
【0014】
より好ましくは、L2/L1≧1.0の関係を満たすとよい。
【0015】
このように第2開口を形成することで、先端側からプロテクタの中心軸線に沿ってガスセンサを見たときに、第2開口及びプロテクタの内部空間が視認不能となる。従って、先端側からプロテクタの中心軸線に沿ってプロテクタに水がかかっても、プロテクタ内部への水分の侵入の虞が殆ど無い。そのため、より効果的にガスセンサの内部への水分等の浸入を抑制でき、検出素子のクラックや割れを更に効果的に抑制できる。
【0016】
また、前記第2開口は、前記仮想円が全て内包される大きさを有してなることが好ましい。他にも、前記第2開口のアスペクト比は、5以下であることや、前記第2開口は、1つだけ設けられているという条件を満たしている事が望ましい。
【0017】
何故ならば、第2開口の煤による目詰まりは、開口の面積にも関係するが、煤は開口の周縁部から堆積を開始して開口を塞ぎ始めるため、その形状にも関係がある。例えば、開口面積の総和が同一でも、多くの相対的に小さな開口であるよりは、少数の相対的に大きな開口であるほうが、煤の目詰まりは生じにくい。同様に、開口面積が同一でも、スリット状の開口よりは、円形や正方形に近い形状の開口であるほうが、煤の目詰まりは生じにくい。従って、上述のように第2開口を形成することで、煤の目詰まりをより効果的に抑制できる。
【0018】
なお、第2開口の「アスペクト比」とは、第2開口の投影図を見たときに、最も長い開口の寸法と、最も長い開口に直交する方向における最も長い開口の寸法との比を指す。
【0019】
また、前記プロテクタの少なくとも一部の温度が280℃以上600℃以下であるときに、本発明はより効果を奏する。
【0020】
第1開口からプロテクタの内部に煤や水分,オイル等が侵入して、プロテクタの内部に付着する。このとき、プロテクタが600℃以下であると付着した煤は燃焼(焼失)しにくいが、プロテクタが280℃以上だと付着した水分やオイル等は蒸発しやすい状態となり、プロテクタの内側に付着した煤も乾燥した状態となる。その結果、煤がプロテクタの内側から剥れやすい状態となり、剥れた煤は主に第2開口からプロテクタの外部へと排出される。
【0021】
この時、一度プロテクタの内側に付着した水分や煤が、検出素子に導入するガスに再度含まれないようにすることができ、検出素子に水分や煤が付着することを抑制できるが、第2開口に目詰まりが生じる頻度が若干上がる。そのようなガスセンサにおいても本発明の構成であれば、第2開口の目詰まりを抑制できる。なお、煤の燃焼する温度は、被測定ガス中の酸素濃度や水分、煤の量などにも左右されるが、一般に600℃以上であると燃焼しやすい。
【0022】
なお「プロテクタの少なくとも一部の温度が280℃以上600℃以下である」とは、ガスセンサを吸気通路に取り付けて、ガスセンサが被測定ガス中の特定ガス成分を検出しているときに、プロテクタの任意の位置の温度が280℃以上600℃以下となっていることを指す。必ずしもプロテクタの全体が280℃以上600℃以下であることを必要としない。また、プロテクタは、被測定ガスに晒されることで、280℃以上600℃以下となるようにしていてもよいし、検出部を加熱するヒータを備えるガスセンサであればヒータによる加熱でプロテクタを280℃以上600℃以下に加熱しても良い。また、プロテクタの温度は、熱電対や放射温度計にて測定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、プロテクタの底部に設けられた第2開口の煤による目詰まりを抑制しつつ、検出素子の被水による割れやクラックを抑制可能なガスセンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態のガスセンサ1の部分断面図を示す。
【図2】本実施形態のガスセンサ1を吸気通路2に取り付けた図を示す。
【図3】図1に示すガスセンサ1のA−A断面図を示す。
【図4】本実施形態の外側プロテクタ110の斜視図を示す。
【図5】本実施形態の外側プロテクタ110を吸気通路2の下流側から見た時の正面図を示す。
【図6】本実施形態の外側プロテクタ110の断面図を示す。
【図7】本実施形態の内側プロテクタ120の斜視図を示す。
【図8】変形例における外側プロテクタ111を示す。
【図9】変形例における外側プロテクタ112、113の断面図を示す。
【図10】従来例における外側プロテクタ500の斜視図を示す。
【図11】プロテクタ先端部の被水量に与える影響を調べた評価実験を説明するための図及び実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化したガスセンサの一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、一例としてのガスセンサ1の構造について、図1を参照して説明する。図1は、ガスセンサ1の部分断面図であり、ガスセンサ1の軸線O方向(1点鎖線で示す。)を上下方向として図示し、内部に保持する検出素子10の検出部11側をガスセンサ1の先端側、後端部12側をガスセンサ1の後端側として説明する。なお、本実施例では、検出素子10の伸びる軸線方向と、プロテクタ100の中心軸線が同一である。
【0026】
なお、ガスセンサ1は、図2に示すように内燃機関の吸気通路2に取り付けられ、内部に保持する検出素子10の検出部11が吸気通路2を流通する吸気ガスや吸気再循環ガス等の被測定ガス中に晒されて、その被測定ガス中の酸素濃度から空燃比を検出する、いわゆる全領域空燃比センサである。なお、図2の矢印は吸気通路2内の被測定ガスの流れを示し、後述する「吸気通路の下流側」とは、図2の右側のことを指す。
【0027】
検出素子10は公知にあるような軸線O方向に延びる短冊状をなし、酸素濃度の検出を行うガス検出体と、そのガス検出体を早期活性化させるために加熱を行うヒータ体とが互いに貼り合わされ、略角柱状をなす積層体として一体化されたものである。ガス検出体はジルコニアを主体とする固体電解質体と白金を主体とする検出電極と(共に図示しない)から構成され、その検出電極は、検出素子10の先端側に形成された検出部11に配置されている。そして、検出電極を被測定ガス中に含まれる被毒物質から保護するため、検出素子10の検出部11には、その外周面を包むように保護層15が形成されている。他方、検出素子10の後端側の後端部12には、ガス検出体やヒータ体から電極を取り出すための5つの電極パッド16(図1ではそのうちの1つを図示している。)が形成されている。なお、本実施の形態では検出素子10を本発明における「検出素子」として説明を行うが、厳密には、検出素子の構成としてヒータ体は必ずしも必要ではなく、ガス検出体が本発明の「検出素子」に相当する。また、検出素子10は、図1に示すような略角柱状をなす積層体ではなく、有底筒状に形成されていても良い。
【0028】
検出素子10の胴部13の中央よりやや先端側には、有底筒状をなす金属製の金属カップ20が、自身の内部に検出素子10を挿通させ、その検出部11を筒底の開口25から突出させた状態で配置されている。金属カップ20は主体金具50内に検出素子10を保持するための部材であり、筒底の縁部分の先端周縁部23は外周面にかけてテーパ状に形成されている。金属カップ20内には、アルミナ製のセラミックリング21と滑石粉末を圧縮して固めた滑石リング22とが、自身を検出素子10に挿通させた状態で収容されている。滑石リング22は金属カップ20内で押し潰されて細部に充填されており、これにより、検出素子10が金属カップ20内で位置決めされて保持されている。
【0029】
金属カップ20と一体となった検出素子10は、その周囲を筒状の主体金具50に取り囲まれて保持されている。主体金具50はガスセンサ1を自動車の吸気通路2に取り付け固定するためのものであり、SUS430等の低炭素鋼からなり、外周先端側に排気管や通気管への取り付け用の雄ねじ部51が形成されている。この雄ねじ部51よりも先端側には、後述するプロテクタ100が係合される先端係合部56が形成されている。また、主体金具50の外周中央には取り付け用の工具が係合する工具係合部52が形成されており、その工具係合部52の先端面と雄ねじ部51の後端との間には、吸気通路2に取り付けた際のガス抜けを防止するためのガスケット55が嵌挿されている。更に、工具係合部52の後端側には、後述する外筒30が係合される後端係合部57と、その後端側に、主体金具50内に検出素子10を加締め保持するための加締め部53とが形成されている。
【0030】
また、主体金具50の内周で雄ねじ部51付近には段部54が形成されている。この段部54には、検出素子10を保持する金属カップ20の先端周縁部23が係止されている。更に、主体金具50の内周には滑石リング26が、自身を検出素子10に挿通させた状態で、金属カップ20の後端側から装填されている。そして、滑石リング26を後端側から押さえるように、筒状のスリーブ27が主体金具50内に嵌め込まれている。スリーブ27の後端側外周には段状をなす肩部28が形成されており、その肩部28には、円環状の加締めパッキン29が配置されている。この状態で主体金具50の加締め部53が、加締めパッキン29を介してスリーブ27の肩部28を先端側に向けて押圧するように加締められている。スリーブ27に押圧された滑石リング26は主体金具50内で押し潰されて細部にわたって充填され、この滑石リング26と、金属カップ20内にあらかじめ装填された滑石リング22とによって、金属カップ20および検出素子10が主体金具50内で位置決め保持される。主体金具50内の気密は、加締め部53とスリーブ27の肩部28との間に介在される加締めパッキン29によって維持され、燃焼ガスの流出が防止される。
【0031】
検出素子10は、その後端部12が主体金具50の後端(加締め部53)よりも後方に突出されており、その後端部12には、絶縁性セラミックスからなる筒状のセパレータ60が被せられている。セパレータ60は、検出素子10の後端部12に形成された5つの電極パッド16とそれぞれ電気的に接続される5つの接続端子61(図1ではそのうちの1つを図示している。)を内部に保持すると共に、それら各接続端子61と、ガスセンサ1の外部に引き出される5本のリード線65(図1ではそのうちの3本を図示している。)との各接続部分を収容して保護している。
【0032】
そして、セパレータ60が嵌められた検出素子10の後端部12の周囲を囲うように、筒状の外筒30が配設されている。外筒30はステンレス(例えばSUS304)製であり、主体金具50の後端係合部57の外周に自身の先端側の開口端31が係合されている。その開口端31は、外周側から加締められ、更に外周を一周してレーザ溶接が施されて後端係合部57に接合されており、外筒30と主体金具50とが一体に固定されている。
【0033】
また、外筒30とセパレータ60との間の間隙には、金属製で筒状の保持金具70が配設されている。保持金具70は自身の後端を内側に折り曲げて構成した支持部71を有し、自身の内部に挿通されるセパレータ60の後端側外周に鍔状に設けられた鍔部62を支持部71に係止させて、セパレータ60を支持している。この状態で、保持金具70が配置された部分の外筒30の外周面が加締められ、セパレータ60を支持した保持金具70が外筒30に固定されている。
【0034】
そして外筒30の後端側の開口には、フッ素系ゴム製のグロメット75が嵌合されている。グロメット75は5つの挿通孔76(図1ではそのうちの1つを図示している。)を有し、各挿通孔76に、セパレータ60から引き出された5本のリード線65が気密に挿通されている。この状態でグロメット75は、セパレータ60を先端側に押圧しつつ、外筒30の外周から加締められて、外筒30の後端に固定されている。
【0035】
次に、本発明の主要部であるプロテクタ100について説明する。
このプロテクタ100は、検出素子10の検出部11を取り囲むように主体金具50の先端係合部56に固定されている。プロテクタ100により、被測定ガス中の煤や水分,オイル等が検出素子10に付着することを防止している。図1に示すプロテクタ100の構造について、図3〜図7を参照して詳細に説明する。
【0036】
プロテクタ100は、図1、図3に示すように、検出素子10の検知部11と間隙をおいて配置された内側プロテクタ120と、内側プロテクタ120と間隙をおいて配置された外側プロテクタ110とから構成される2重構造を有する。
【0037】
外側プロテクタ110は、SUS304等のステンレス鋼から形成され、図1、4に示すように、軸線方向に延びて検出素子10を径方向外側から取り囲む略筒状の外側筒部130と、外側筒部130よりも軸線方向後端側に配置されると共に外側筒部130よりも外径が拡径された外側基端部131と、外側筒部130の軸線方向先端に接続されていて且つ検出素子10を軸線方向先端側から包囲する(覆う)位置に配置される外側底部132とを有する。
なお、本実施例における外側筒部130と、外側底部132とが、それぞれ特許請求の範囲における「筒部」と、「底部」とを指す。
【0038】
外側基端部131は、主体金具50の先端径合部56に係合され、レーザ溶接にて主体金具50と内側プロテクタ120とに全周溶接されている。そして、外側筒部130は、外側基端部131の先端側に円筒状に設けられ、外周面に軸線方向に延びるスリット状の開口である第1開口140が1つ設けられている。そして外側底部132には、第2開口150が設けられている。
【0039】
図4に示すように、第2開口150は、外側底部132の一部を軸線方向先端側へドーム状に突出させて開口を設けることで形成されている。本実施例において、外側底部132のうち、外側筒部130の先端と同位置にある部位が第1底壁部1321、第1底壁部1321よりも軸線方向先端側へドーム状に突出すると共に自身の内面の少なくとも一部が第1底壁部1321の外面よりも軸線方向先端側に位置する部位を第2底壁部1322である。なお、第2開口150は、第1底壁部1321及び第2底壁部1322の端縁からなる。
【0040】
そして、第2底壁部の内面によって、外側筒部130の内部空間と、第2開口150(及びプロテクタ100の外部)とを連通する連通路200が形成される。なお具体的には、第2底壁部1322の内面と、第2開口150と、第1底壁部1321の第2開口150を形成する端縁を通るプロテクタの中心軸線と直交する平面と、により形成される領域が、連通路200である。
【0041】
図5に示すように、第1開口140に内接可能な最も大きい円である仮想円C(直径R)が、第2開口150にも内接可能であるように、第1開口140および第2開口150は形成されている。従って、第2開口150は第1開口140を通じてプロテクタ100の内部に侵入した煤を、プロテクタ100の外部へと排出可能な大きさの開口とされているため、第2開口150に目詰まりを生じる事を抑制できる。
なお、ここで仮想円Cが各開口に内接可能であるとは、各開口の開口面積が最も大きく見える方向から平面視したときに、各開口の領域内に仮想円Cが描けることを指す。
【0042】
図6に、図1に示した外側プロテクタ110の断面図を、拡大して示す。第2底壁部のうち第2開口の端縁から最も離間した第1端部と、第1底壁部との、プロテクタの径方向における距離の最小値をL1とする。そして第1端部と、第2底壁部のうち第2開口の端縁との、プロテクタの径方向における距離の最小値L2とし、L0=L2/L1とする。
このとき、本実施例では、L0=1となる。そのため、プロテクタの中心軸線に沿って先端側からガスセンサ1を見たときに、第2開口150及びプロテクタ100の内部空間は目視できない構成となっている。そのため、プロテクタ100の内部へ水分等が侵入することを効果的に抑制できる。
【0043】
また、このガスセンサ1は吸気通路2に、外側底部132が鉛直方向先端側を向くように配置される。そして、この吸気通路2には被測定ガスが上流から下流に向けて流れており(図2の矢印の方向)、外側プロテクタ110の第1開口140及び第2開口150が、吸気通路2の下流側を向くようにガスセンサ1は取り付けられる。そして、第2開口150は、下流側を向くと共に、吸気通路2の上流側から見たときに、前記第2底壁部の外面によって遮蔽されてなる。
【0044】
このようなプロテクタの内部を流通する被測定ガスは、主に吸気通路2の下流側から巻き込まれて第1開口140から外側プロテクタ110の内部へと導入され、連通路200を介して第2開口150より外側プロテクタ110の外部へと導出される。これに対し、ガスに含まれる煤や水分,オイル等は、吸気通路2内を上流から下流へ流れる被測定ガスに従って上流から下流に流れており、吸気通路2内を下流から上流へ流れることが難しく、外側プロテクタ110内に導入されにくくなる。特に、第2底壁部の外面が、吸気通路2の上流側及びプロテクタ100の側面側から飛んでくる水分等がプロテクタの内部に侵入する事を抑制する。
よって、外部からプロテクタ100内へ導入される煤や水分,オイル等を減らすことができる。
【0045】
また、内側プロテクタ120は、SUS304等のステンレス鋼から形成され、図1、図3、図7に示すように、内側筒状部160と内側筒状部160よりも外径が拡径された内側基端部161を有する。上述したように、内側基端部161は、主体金具50の先端径合部56に係合され、外側基端部131と共に、レーザ溶接にて主体金具50と全周溶接されている。他方、内側筒状部160は、内側基端部161の先端側に半円弧状に設けられており、検出素子10の検出部11のうち、ヒータ側を覆っている。内側筒状部160の径方向の端部には内側ガス導入部170が設けられており、本実施例では、検知部11の素子側は、内側ガス導入部170よりも突出し、外側プロテクタ110の内部空間に露出している。さらに、内側筒状部160の先端側には内側底部162が設けられており、検出素子10の検出部11の先端を覆うように設けられている。なお、ガスセンサ1が吸気通路2に配置された時には、内側プロテクタ110の内側ガス導入部170は吸気通路2の上流側に配置される。但し、本発明において、内側プロテクタ120は必ずしも必須の要件ではない。
【0046】
このように、第2開口150を、プロテクタ100の先端(外側底部132)に、吸気通路2の下流側を向くように配置しつつ、プロテクタ100の先端側から中心軸線に沿って見てもプロテクタ100の内側が見えないように配置することで、検出素子10への被水(又はオイルの付着)を抑制できるため、ガス導出孔150を相対的に大きく開口させる事が可能となる。具体的には、第2開口150の開口面積が最も大きく見える方向から見たときに、第2開口150の内側に直径Rの仮想円Cが描けるような第2開口150とすることで、第1開口140を通じてプロテクタ100の内部へと侵入した煤を、第2開口150から目詰まりすることなく排出する事ができる。なお、本実施例における第2開口150のアスペクト比は、およそ4.2である。
【0047】
その結果、被水等に起因する検出素子10のクラックや割れの発生を抑制しつつ、被測定ガスを速やかに交換でき且つ煤によるガス導出孔150の目詰まりを抑制できるため、検出素子10の検出精度が低下することを抑制できる。
【0048】
また、本実施例におけるプロテクタ100は、ガスセンサ1が吸気ガス中の特定ガス成分を検出しているとき(ガスセンサ1の実使用時)に、検出素子10を構成するヒータ体により内側プロテクタ120の温度を外側プロテクタ110の温度よりも高くなるよう加熱している。具体的には、内側プロテクタ120の温度は350℃となり、外側プロテクタ110の温度は120℃となっている。これにより、内側筒状部160に付着した水分やオイル等を蒸発させることや、内側筒状部160から煤をはがすことができる。内側プロテクタから剥れた煤は、外側プロテクタ110の先端側(外側底部132)に配置された第2開口150よりプロテクタの外部へと排出される。その結果、一度内側プロテクタ120(内側筒状部160)に付着した水分や煤が、内側ガス導入部170から検出素子10に導入するガスに再度含まれないようにすることができ、検出素子10に水分や煤が付着することを抑制できる。
【0049】
なお、本発明は上記各実施の形態に限られず、各種の変形が可能である。各種変形例を、図8〜9を用いて説明する。
【0050】
図8(a)は変形例における外側プロテクタ111を吸気通路2の下流側から見たときの図を、図8(b)は変形例における外側プロテクタ111の縦断面図である。図8に示すように、第1開口140がスリット状でなく三角形の形状にしても良いし、図示しないが楕円形状、多角形状、又はT字のスリット状等であっても良い。なお、第1開口140は一つであることが好ましいが、複数個設けられていてもよい。第1開口140がどのように形成されていても、第1開口140に内接可能な最大の円である仮想円C(直径R)を基準として、第2開口150の開口の形状及び寸法を決めればよい。
【0051】
また、図8に示すように、第2開口150は複数個形成されていても良い。本変形例では、第2開口150は2つからなる。また、図8の第2開口150は、内部に仮想円Cが描けるようには形成されていないが、開口面積の総和は仮想円Cの面積(πR2/4)を超えるように形成されているため、第2開口150における煤の目詰まりを抑制する事ができる。なお、図8に示す2つの第2開口150のアスペクト比は、共に約1.4である。そして、本実施例においても、L0=1(L1=L2)となるように第2開口150が形成されているため、先端側から中心軸線に沿って外側プロテクタ111を見ても、第2開口150及びプロテクタ100の内部空間を視認することは出来ない。なお、本実施例における第2開口150は、外側底部132の中央部分のみを軸線方向先端側に突出させて形成されている。
【0052】
また、図9に示すように、外側底部132を形成しても良い。図9(a)、図9(b)では、それぞれL0=0.5、L0=2.0となるようにすることで、第2開口150が吸気通路2の下流側を向くように形成されている。
【0053】
図9(a)において、軸線方向先端側から軸線方向に沿ってガスセンサ1を見ると、第2開口150を通じてプロテクタ100(外側プロテクタ112)の内部空間を視認できるが、図10に示すような第2開口550が軸線方向先端側を向いている従来のプロテクタ500に比べて、視認可能な内部空間は小さくなっている。具体的には、プロテクタ100の径方向に見て、開口している寸法は半分となっている。そのため、図10のような軸線方向先端側を向いた第2開口550に比べて、ガスセンサの内部へと水分等が侵入する事を抑制することができる。
なお「プロテクタ100の径方向」とは、プロテクタ100の中心軸線に直交する平面を通り、且つプロテクタ100の中心軸線を通る直線上の方向を指す。
【0054】
図9(b)においては、先端側から軸線方向に沿ってガスセンサ1を見ても、第2開口150及びプロテクタ100(外側プロテクタ113)の内部空間を視認することが出来ない。そのため、より効果的に、ガスセンサ1の内部へと水分等が浸入することを抑制することができる。
【0055】
なお第2底壁部1322は、底部132の一部を軸線方向に突出するように変形させて形成しても良いし、第1底部1321に溶接等により固定することで形成しても良い。
【0056】
実験結果:
図11は、距離A及び距離Bが先端部の被水量に与える影響を調べた評価実験を説明するための図である。図11(a)は評価実験の第1の実験結果を示す図であり、図11(b)は、評価実験1の試験方法を説明するための図である。また、図11(c)は、評価実験後のセラミック積層体の先端部の様子を示す図であり、図11(c−1)は、セラミック積層体の先端部の部分拡大写真であり、図11(c−2)は、セラミック積層体の先端部の部分拡大写真を画像処理したものである。
【0057】
評価実験1では、L2/L1が異なるガスセンサ1をそれぞれ5本用意し、被水試験を行うことで評価した。但し、ガスセンサ1の有底筒状の検出素子10の代わりに、板型(平板状)のセラミック積層体(本実施例の検出素子10に相当)を組付け、試験を行った。これは、後述する被水量の算出を容易にするためである。図11(b)に示すように、被水試験は、ガスセンサ1を内径50mmの配管80に取り付け、配管80内に設けたスプレーノズル82から所定量の水Waをセラミック積層体に向かって噴霧することで行った。また、被水試験の評価のために、セラミック積層体の表面には予めカーボンをコーティングしている。なお、セラミック積層体のカーボンをコーティングしている箇所は、セラミックリング21(図1)に保持される部位よりも先端側の部分であり、配管80内に露出する部分(以下、露出する部分を「検出部」ともいう。)である。具体的には、検出部は、幅4mm、長さ15mmの大きさを有している。被水試験は、ノズル84からガスセンサ1の軸線Oまでの距離Lを150mm、配管80内を流れる気体を空気とし、空気の流速を30m/s、空気の流れる向きをスプレーノズル82からガスセンサ1に向かう方向として行った。また、1回の被水試験は、5秒間で30mlの水Waを噴霧圧0.2Mpaで噴霧する噴霧工程を所定間隔あけて3回繰り返すことで行った。
【0058】
被水試験の後に、ガスセンサ1を配管80から取り外し、3回の噴霧工程によってセラミック積層体の検出部に水Waが当たった箇所を検出部の画像を処理することで割り出した。具体的には、図11(c−1)に示す画像処理前の検出部の写真に対し、図11(c−2)に示すように、検出部のうち水Waが当たった箇所AWを白色、水Waが当たらなかった箇所を黒色とする画像処理を施し、水Waが当たった箇所AWを割り出した。次に、検出部の表面のうち、水Waが当たった箇所AWの割合を式(1)により求め、求めた値を被水量Wb(%)とした。
[数1]
Wb=(Aw/B)×100 (1)
ここで、Wbは被水量(%)、Awは検出部のうち水Waが当たった箇所(白色)の面積(mm2)、Bは検出部の表面積(mm2)。
【0059】
評価実験1の判定は、被水量Wbが2.0%以下の良好な結果を示したガスセンサ1をOK品としてカウントし、被水量Wbが2.0%より大きく良好でない結果を示したガスセンサ1をNG品としてカウントした。ここで、被水量Wbの閾値を2.0%としたのは、排気ガス管内でガスセンサ1を使用した際に、被水量Wbが2.0%以下のガスセンサ1にはクラックが殆ど発生しなかったことに因る。
【0060】
図11(a)に示すように、L2/L1が0.25であると、OK品の数は従来品と変わらず、0.5以上であれば従来品よりもOK品の数が増える。以上より、L2/L1≧0.5の関係を満たすことで、ガスセンサ内部への水分等の侵入を抑制でき、検出素子のクラックや割れを効果的に抑制できる。
【0061】
評価実験2では、評価実験1よりも厳しい条件にて実施した。図11(d)は、評価実験2の試験方法を説明するための図である、評価実験1との違いは、ガスセンサ1の底部を、スプレーノズル82の方向に30°傾けて配管80に取り付けた点のみであり、その他の条件は同一であるため、説明を省略する。
【0062】
図11(e)に示すように、本実験条件は、評価実験1ではOK品であったL2/L1が0.5のサンプルであってもNG品となるような厳しい条件である。しかしながら、本実験条件であっても、L2/L1が1.0以上であればOK品の数が増える。以上より、L2/L1≧1.0の関係を満たすことで、ガスセンサ内部への水分等の侵入をさらに抑制でき、検出素子のクラックや割れをより効果的に抑制できる。
【0063】
また、本実施形態及び変形例では全領域空燃比センサを例に説明したが、酸素センサ、NOxセンサ、HCセンサ、温度センサ等に取り付けられるプロテクタにも同様に適用できる。
【0064】
また、本実施形態及び変形例では、検出素子10の伸びる軸線方向と、プロテクタ100の中心軸線が同一である例を用いて説明したが、これに限られるものではない。さらに、本実施形態ではガスセンサ1と吸気通路2への取付け角度が、直角を成す例を用いて説明したが、これに限られるものではなく、プロテクタの先端側(底部側)が鉛直方向先端側を向いていて、第1開口140及び第2開口150が吸気通路2の下流側を向くように配置されていれば良い。
【0065】
また、本実施形態及び変形例では、軸線方向に見て第1底壁部1321と外側筒部130の先端とが同位置にある例を用いて説明したが、これに限られるものではない。つまり、第1底壁部1321全体が外側筒部130よりも先端側に突出していても、その突出した第1底壁部1321の外面よりも、第2底壁部1322の内面の少なくとも一部が先端側に突出していれば良い。
【符号の説明】
【0066】
1 ガスセンサ
10 検出素子
11 検出部
50 主体金具
100 プロテクタ
110 外側プロテクタ
120 内側プロテクタ
130 外側筒部
132 外側底部
1321 第1底部
1322 第2底部
140 第1開口
150 第2開口
200 連通路
C 直径Rの仮想円
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延び、自身の先端側に被測定ガス中の特定ガス成分を検出するための検出部を有する検出素子と、
前記検出部を径方向外側から取り囲む筒部と、該筒部の先端側に連結される底部とを有し、前記筒部には内燃機関の吸気通路の下流側を向くように配置されて前記筒部に前記被測定ガスの流通を許容する第1開口が設けられると共に、前記底部には前記被測定ガスを流通させる第2開口が設けられたプロテクタと、
を備え、前記内燃機関の前記吸気通路に配置されるガスセンサであって、
前記底部は、第1底壁部と第2底壁部を含み、
前記第2底壁部は、軸線方向先端側に向かって突出すると共に、自身の内面の少なくとも一部が、前記第1底壁部の外面よりも軸線方向先端側に位置し、
前記第2底壁部の内面によって形成される連通路には、前記筒部の内部空間と反対側に、前記吸気通路の下流側を向く前記第2開口が設けられており、
前記第2開口の開口面積が、前記第1開口を前記筒部の中心軸線に直交する向きに平面視したときの当該第1開口に内接可能な最も大きい仮想円の面積よりも大きくなるように、前記連通部が形成されている
ことを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記第2底壁部のうち前記第2開口の端縁から最も離間した第1端部と、前記第1底壁部との、前記プロテクタの径方向における距離の最小値L1と、
前記第1端部と、前記第2底壁部のうち前記第2開口の端縁との、前記プロテクタの径方向における距離の最小値L2とが、
L2/L1≧0.5となることを特徴とする、請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
L2/L1≧1.0となることを特徴とする、請求項2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記第2開口は、前記仮想円が全て内包される大きさを有してなることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記第2開口のアスペクト比は、5以下であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項6】
前記第2開口は、1つだけ設けられていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項7】
前記プロテクタの少なくとも一部の温度が280℃以上600℃以下であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項1】
軸線方向に延び、自身の先端側に被測定ガス中の特定ガス成分を検出するための検出部を有する検出素子と、
前記検出部を径方向外側から取り囲む筒部と、該筒部の先端側に連結される底部とを有し、前記筒部には内燃機関の吸気通路の下流側を向くように配置されて前記筒部に前記被測定ガスの流通を許容する第1開口が設けられると共に、前記底部には前記被測定ガスを流通させる第2開口が設けられたプロテクタと、
を備え、前記内燃機関の前記吸気通路に配置されるガスセンサであって、
前記底部は、第1底壁部と第2底壁部を含み、
前記第2底壁部は、軸線方向先端側に向かって突出すると共に、自身の内面の少なくとも一部が、前記第1底壁部の外面よりも軸線方向先端側に位置し、
前記第2底壁部の内面によって形成される連通路には、前記筒部の内部空間と反対側に、前記吸気通路の下流側を向く前記第2開口が設けられており、
前記第2開口の開口面積が、前記第1開口を前記筒部の中心軸線に直交する向きに平面視したときの当該第1開口に内接可能な最も大きい仮想円の面積よりも大きくなるように、前記連通部が形成されている
ことを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記第2底壁部のうち前記第2開口の端縁から最も離間した第1端部と、前記第1底壁部との、前記プロテクタの径方向における距離の最小値L1と、
前記第1端部と、前記第2底壁部のうち前記第2開口の端縁との、前記プロテクタの径方向における距離の最小値L2とが、
L2/L1≧0.5となることを特徴とする、請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
L2/L1≧1.0となることを特徴とする、請求項2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記第2開口は、前記仮想円が全て内包される大きさを有してなることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記第2開口のアスペクト比は、5以下であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項6】
前記第2開口は、1つだけ設けられていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【請求項7】
前記プロテクタの少なくとも一部の温度が280℃以上600℃以下であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のガスセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−118056(P2012−118056A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223562(P2011−223562)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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