説明

ガスタービンエンジン内で燃料を燃焼させるための方法及び装置

【課題】燃焼器における希薄−希薄始動は、燃料ノズルの間の予混合燃料の量が均衡が取れていないことに起因して、予混合燃料火炎付近の局所的ライナ壁温度を高める可能性があるため、適正なシステムを提供する。
【解決手段】流体を燃焼器アセンブリに送るためのノズル402は、中心線を含む本体406と、中心線に沿って本体を貫通する通路414、416、418と、通路414、416、418の下流側端に結合したノズル先端500とを含み、ノズル先端500は、中心から外表面まで延びる半径を有する。ノズル先端500は、下流面と、その下流面内に画成された開口424、502を各々が含む複数の出口通路とを含み、各開口424、502は、接線、半径及び中心線に対して規定されるそれぞれのX軸、Y軸及びZ軸を含み、複数の出口通路の各々は、それぞれのX−Z平面におけるそれぞれのZ軸に対して30°よりも大きい排出角度をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的にはガスタービンエンジンに関し、より具体的には、ガスタービンエンジンのための燃焼システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一部の公知のガスタービンエンジンにおいて、希薄消焔、すなわち周囲環境が低い燃空比を有するときに引き起こされるブローアウトの可能性を低減するのを促進するため、拡散燃料を用いてタービン動作を始動する。タービンによっては、燃料ノズルを介して噴射される拡散燃料が燃料噴射ノズルの下流側に集中することがある。拡散燃料の濃度増大は、燃料噴射ノズルの下流側で燃料リッチな燃空比を望ましくなく増大させる可能性があり、その結果、燃空比が設計上限を超えて増大する。このような燃料リッチ環境は、リッチ消焔(RBO)境界を超えて拡散燃料火炎を消焔させる可能性がある。より具体的には、最もよく知られたリッチ消焔は、タービン始動中の約80%のタービン速度で生じる。
【0003】
一部の公知の燃焼システムでは、タービンが運転全速度に達する前に、拡散燃料の流量を低減し、空気と予混合された燃料を噴射することによって燃料リッチ環境を補償している。タービンが全速度に達する前に予混合燃料を噴射するタービン始動は、例えば「希薄−希薄始動」と呼ぶことができる。しかしながら、予混合燃料火炎は拡散燃料火炎よりも不安定であるので、火炎の安定化を促進するためには、拡散燃料火炎に対するよりも予混合燃料火炎に対してより多くの燃料を供給する必要がある。例えば、幾つかの公知システムにおいては、燃焼器内に噴射される総燃料の約50%又はそれ以上は、燃焼器内の複数のノズルの内の1つを介して噴射される予混合燃料である。
【0004】
少なくとも一部の公知の燃焼器においては、希薄−希薄始動は、予混合燃料火炎付近の局所的ライナ壁温度を高める可能性がある。このような温度上昇は一般に、燃焼器内の他のノズルに供給される燃料量と比べて、燃料ノズルの内の1つに供給される予混合燃料の量が均衡が取れていないことに起因して生じる。さらに、このような温度上昇は、例えば、燃焼器ライナ及び/又はトランジションピースのような火炎を囲む燃焼器ハードウエアを早期に磨耗させる可能性がある。その結果、このような燃焼器ハードウエアは、始動燃焼温度がより低い温度で維持されている場合よりも頻繁に交換される可能性がある。より高い温度を補償するために、幾つかの公知の燃焼器は、熱的磨耗に対してより耐性がある部品を含む。このような部品は、耐熱性の部品を含まない燃焼器を有するエンジンと比べて、エンジンに対してコスト及び/又は重量を付加する可能性がある。
【特許文献1】米国特許第6,598,383号明細書
【特許文献2】米国特許第6,397,602号明細書
【特許文献3】米国特許第5,685,139号明細書
【特許文献4】米国特許第5,491,970号明細書
【特許文献5】米国特許第5,435,126号明細書
【特許文献6】米国特許第5,408,830号明細書
【特許文献7】米国特許第5,199,265号明細書
【特許文献8】米国特許第5,193,346号明細書
【特許文献9】米国特許第4,420,929号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2004/0177615号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2004/0123597号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2004/0118119号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2004/0118120号明細書
【非特許文献1】OFFICE OF AIR QUALITY PLANNING AND STANDARDS; OFFICE OF AIR AND RADIATION; US EPA "Compilation of Air Pollutant Emission Factors," Volume 1: Stationary Point and Area Sources; AP-42 Fifth Edition, January, 1995; Pages 3.1-6.
【非特許文献2】JOHN R. RICHARDA, "Control of Nitrogen Oxides Emissions", Student Manual Air Pollution Training Institute; Course 418, ICES Ltd., September 2000; pages 10-14 and 10-15.
【非特許文献3】BRIAN W. DOYLE, "Combustion Source Evaluation; Student Manual Air Pollution Training Institute; Course 427, Third Edition, ICES Ltd., June, 2003; pages 6-33 to 6-37.
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様において、燃焼器アセンブリを含むガスタービンエンジンを作動させるための方法が提供される。本方法は、第1の流体を第1のノズルを通して燃焼器アセンブリに送る段階と、第1のノズルの下流側の燃焼器アセンブリ内の第1の流体に点火する段階と、ガスタービンエンジンが定格速度の85%よりも大きい速度に達したときに、第2の流体を第2のノズルを通して燃焼器アセンブリに送る段階と、第2のノズルの下流側の燃焼器アセンブリ内の第2の流体に点火する段階と、第1のノズルを通る第1の流体の流れを止める段階と、第2の流体を第1のノズルへ送る段階とを含む。
【0006】
別の態様において、流体を燃焼器アセンブリに送るためのノズルが提供される。本ノズルは、中心線を含む本体と、中心線に沿って本体を貫通する第1の通路と、第1の通路の下流端に結合したノズル先端とを含む。ノズル先端は、中心から外表面まで延びる半径を有する。ノズル先端は、下流面と、下流面内に画成された開口を各々が含む複数の出口通路とを含む。各開口は、接線、半径及び中心線に対して規定されるそれぞれのX軸、Y軸及びZ軸を含む。複数の出口通路の各々は、それぞれのX−Z平面におけるそれぞれのZ軸に対して30°よりも大きい排出角度をなす。
【0007】
さらに別の態様においては、ガスタービンエンジンに使用するための燃焼器アセンブリが提供される。本アセンブリは、燃焼器アセンブリに結合した複数の第1のノズルを含む。第1のノズルの各々は、第1の燃料源に結合した複数の出口通路を有するノズル先端を含む。第1のノズルの各々はさらに、第2の燃料源に結合した複数の第1のベーン通路を含む。本アセンブリはさらに、燃焼器アセンブリに結合した第2のノズルを含む。第2のノズルは、第2の燃料源に結合した複数の第2のベーン通路を含む。本アセンブリは、燃焼器アセンブリに結合した制御システムを含む。制御システムは、第1の燃料を第1の燃料源から第1のノズルの出口通路を通して送り、ガスタービンエンジンが定格速度の85%よりも大きい速度に達したときに、第2の燃料を第2の燃料源から第2のノズルの第2のベーン通路を通して送るように構成される。さらに制御システムは、ガスタービンエンジンにベース負荷の第1の所定パーセンテージよりも大きい負荷があるときに、第2の燃料を第2の燃料源から複数の第1のノズルの複数の第1のベーン通路を通して送り、ガスタービンエンジンにベース負荷の第1の所定パーセンテージよりも大きい負荷があるときに、複数の第1のノズルに入る第1の燃料の流れを減少させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】例示的なガスタービン燃焼システムの部分断面図。
【図2】図1に示す燃焼システムの一部分の概略側面図。
【図3】図2に示す燃焼システムの前面図。
【図4】図1に示す燃焼システムに使用することのできる例示的な燃料ノズルアセンブリの断面図。
【図5】図4に示す燃料ノズルに使用することのできる例示的な燃料ノズル先端の斜視図。
【図6】図5に示す燃料ノズル先端の断面図。
【図7】図1に示す燃焼システムを作動させる例示的な方法のフローチャート。
【図8】図7に示す方法を用いるときに使用することのできる例示的な燃料回路比率を示すグラフ図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、複数の燃料ノズルアセンブリ400を含む例示的なガスタービンエンジン10の部分断面図である。図2は、ガスタービンエンジン10の一部分の概略側面図である。図3は、図2に示すガスタービンエンジン10の一部分の前面図である。
【0010】
ガスタービンエンジン10は、圧縮機12、燃焼器14及びタービン16を含む。図1には、タービン16の第1段ノズル18のみが示されている。例示的な実施形態において、タービン16は、ロータ(図示せず)と共に圧縮機12に駆動的に結合され、該ロータは、単一の共通シャフト(図示せず)により連結される。圧縮機12は吸入空気20を加圧し、次いで、該加圧空気が燃焼器14へ送られて、これを冷却して、燃焼プロセスに空気を供給する。より具体的には、燃焼器に送られる空気22は、エンジン10を通る空気とほぼ対向する方向に流れる。例示的な実施形態では、ガスタービンエンジン10は、エンジンケーシング24の周りに円周方向に向けられた複数の燃焼器14を含む。より具体的には、例示的な実施形態では、燃焼器14は、例えば、限定ではないが、缶アニュラ型燃焼器である。
【0011】
例示的な実施形態では、エンジン10は、二重壁移行ダクト26を含む。より具体的には、例示的な実施形態では、移行ダクト26は、各燃焼器14の出口端28とタービン16の入口端30との間に延びて、燃焼ガス32をタービン16内へ送る。さらに、例示的な実施形態では、各燃焼器14は、実質的に円筒状の燃焼器ケーシング34を含む。燃焼器ケーシング34は、開放後端部36においてエンジンケーシング24に結合される。燃焼器ケーシング34は、限定ではないが、例えばボルト38、機械的締結具(図示せず)、溶接及び/又はエンジン10が本明細書で記述されたように機能することができる他の何らかの適当な結合手段を用いてエンジンケーシング24に結合することができる。例示的な実施形態では、燃焼器ケーシング34の前端部40は、末端カバーアセンブリ42に結合される。例えば、末端カバーアセンブリ42は、気体燃料、液体燃料、空気及び/又は水を燃焼器に送るための供給管、マニフォルド、バルブ及び/又はエンジン10が本明細書で記述されたように機能することができる他の何らかの部品を含む。例示的な実施形態では、末端カバーアセンブリ42内の部品は、以下でより詳細に説明するように、燃焼器14に入る少なくとも空気及び燃料を制御するための制御システム44に結合される。制御システム44は、限定ではないが、例えばコンピュータシステム及び/又は燃焼器14が本明細書で記述されたように機能することができるあらゆる他のシステムとすることができる。
【0012】
例示的な実施形態では、実質的に円筒状のフロースリーブ46が、燃焼器ケーシング34と実質的に同心状に整列するように該ケーシング内に結合される。フロースリーブ46は、後端部48では移行ダクト26の外側壁50に結合され、前端部52では燃焼器ケーシング34に結合される。より具体的には、例示的な実施形態では、前端部52は、ケーシング34の前方セクション58と後方セクション60とが互いに結合されるように、例えばスリーブ46の半径方向フランジ54を突合せジョイント56において燃焼器ケーシング34に結合することにより燃焼器ケーシング34に結合される。或いは、スリーブ46は、エンジン10が本明細書で記述されたように機能することができるあらゆる他の適当な結合アセンブリを使用して、ケーシング34及び/又は移行ダクト26に結合することができる。
【0013】
フロースリーブ46は、例示的な実施形態では、そこに結合される燃焼ライナ62を含む。燃焼ライナ62は、後端部64が移行ダクト26の内側壁66に結合されるように、さらに、前端部68が燃焼ライナキャップアセンブリ70に結合されるようにフロースリーブ46内に実質的に同心状に整列される。燃焼ライナキャップアセンブリ70は、複数のストラット72及び関連する取付けアセンブリ(図示せず)により燃焼器ケーシング34内に固定される。例示的な実施形態では、空気通路74が、ライナ62及びフロースリーブ46間、並びに移行ダクトの内側壁及び外側壁66、50間に画成される。移行ダクト外側壁50は、そこに画成された複数の開口76を含み、これらは、圧縮機12からの圧縮空気20が空気通路74内に入るのを可能にする。例示的な実施形態では、空気22は、圧縮機12から末端カバーアセンブリ42に向かうコア流(図示せず)の方向とは逆方向に流れる。さらに、例示的な実施形態では、燃焼器14はまた、複数のスパークプラグ78及び複数のクロスファイヤ管80を含む。スパークプラグ78及びクロスファイヤ管80は、燃焼域82内の燃焼ライナキャップアセンブリ70から下流側でライナ62内に画成されるポート(図示せず)を貫通して延びる。スパークプラグ78及びクロスファイヤ管80は、各燃焼器14内で燃料及び空気に点火し、燃焼ガス32を生なする。
【0014】
例示的な実施形態では、複数の燃料ノズルアセンブリ400は、末端カバーアセンブリ42に結合される。より具体的には、例示的な実施形態では、燃焼器14は、5つのノズルアセンブリ400を含む。或いは、燃焼器14は、5つよりも多いか少ない燃料ノズルアセンブリ400を含むこともできる。例示的な実施形態では、燃料ノズルアセンブリ400は、燃焼器14の中心線84の周りにほぼ円形列をなして配置される。或いは、燃料ノズルアセンブリ400は、非円形列をなして配置することもできる。本明細書では1つのタイプだけの燃料ノズルアセンブリ400について記述されるが、燃焼器14には1つよりも多くのタイプのノズルアセンブリ又は他の何れかのタイプの燃料ノズルを含めることができる。さらに、例示的な実施形態では、燃焼器14は、燃焼器ケーシング34から半径方向内方に延びて燃料ノズルアセンブリ400を実質的に囲む複数の4次ペグ86を含む。例示的な実施形態は4次ペグ86を含むが、他の実施形態は4次ペグ86を含まなくてもよい。
【0015】
燃焼ライナキャップアセンブリ70は、複数の予混合管アセンブリ88を含む。例示的な実施形態では、各予混合管アセンブリ88は、各燃料ノズルアセンブリ400を実質的に囲み、従って予混合管アセンブリ88の数は、ノズルアセンブリ400の数に等しい。或いは、予混合管アセンブリ88の数は、ノズルアセンブリ400の数よりも多いか又は少なくてもよい。例示的な実施形態では、各予混合管アセンブリ88は、該予混合管アセンブリ88が後方支持プレート90及び前方支持プレート92に結合されるように、燃焼ライナキャップアセンブリ70内に部分的に延びる。より具体的には、各予混合管アセンブリ88の後端部91は、後方プレート90内の開口(図示せず)を貫通して延び、さらに、予混合管アセンブリ88の前端部93は、プレート92内の開口(図示せず)を貫通して延びる。
【0016】
例示的な実施形態では、前方支持カバー(図示せず)が含まれ、これらは各々支持プレート92に結合される。支持カバーは、予混合管アセンブリ88の各々のプレート92を燃焼器14に固定することを可能にする。さらに、後方プレート90は、噴流冷却開口(図示せず)のアレイを含み、且つ燃焼器火炎により発生される熱から遮蔽プレート(図示せず)で遮蔽することができる衝突プレートとすることができる。例示的な実施形態では、各予混合管アセンブリ88は、予混合管フラシ−ル(図示せず)によって分離された2つの管体(図示せず)を有するアセンブリを含む。フラシ−ルは、作動状態中に燃焼ライナキャップアセンブリ70が膨張すると、二重管アセンブリが熱膨張及び収縮することを可能にする。従って、熱膨張に起因してプレート90及び92間の距離が変化すると、これに応じて予混合管アセンブリ88は、対称軸(図示せず)に沿って自由に膨張することができる。
【0017】
例示的な実施形態では、プレート92は、複数の前方に延びる浮動カラー(図示せず)に結合される。これらのカラーは、各予混合管アセンブリ88が1つのカラーを含むように、プレート92内に画成された開口の各々と実質的に同心状に整列される。或いは、各予混合管アセンブリ88は、1つよりも多いか又は少ないカラーを含むことができる。例示的な実施形態では、各カラーは、1つの空気スワーラー(図示せず)を支持し、該スワーラーは、例えば各燃料ノズルアセンブリ400の半径方向に最も外側の壁(図示せず)に隣接して位置付け、各ノズルアセンブリ400と一体的に形成され及び/又はエンジン10が本明細書で記述されたように機能することができるあらゆる他の適当な構成で構なすることができる。スワーラーは、空気通路74を通して流れる空気22を燃焼器14の入口端94において(末端カバーアセンブリ42と燃焼ライナキャップアセンブリ70との間で)方向を強制反転させ、空気スワーラー及び/又は予混合管アセンブリ88を通して流すようなものである。空気スワーラーの各々の燃料通路(図示せず)は、開口の配列を介して燃料を送り、該開口配列は、ガスタービンエンジン10の作動モードに応じて気体燃料を連続的に通過する空気22内に導入して、燃焼域82内で予混合管アセンブリ88の下流側で点火される燃料及び空気混合気を生なする。
【0018】
例示的な実施形態では、燃焼器14は、燃料供給源208及び制御システム44に結合した4つの燃料回路200、202、204及び206を含む。1つだけの燃料供給源208が図示され記述されているが、エンジン10は、1つよりも多い燃料供給源208を含むことができる。さらに、燃料供給源208は、複数タイプの燃料を含むことができる。具体的には、例示的な実施形態では、燃焼器14は、1次燃料回路200、2次燃料回路202、3次燃料回路204及び4次燃料回路206を含む。或いは、燃焼器14は、4つよりも多い又は少ない燃料回路200、202、204及び/又は206を含むこともできる。例示的な実施形態では、1次燃料回路200は、例えば拡散燃料212などの燃料を1次燃料回路200に供給するための1次回路入口210を含む。2次燃料回路202は、例えば予混合燃料216などの燃料を2次燃料回路202に供給するための二次回路入口214を含む。同様に3次燃料回路204は、例えば予混合燃料216などの燃料を3次燃料回路204に供給するための三次回路入口218を含む。4次燃料回路206は、例えば予混合燃料230などの燃料を4次燃料回路206に供給するための4次回路入口228を含む。
【0019】
例示的な実施形態では、燃焼器14はまた、以下でより詳細に述べるように、空気供給源226から少なくとも1つの燃料ノズルアセンブリ400に空気224を供給するのに使用されるパージ空気回路入口222を有するパージ空気回路220を含む。例示的な実施形態では、空気供給源226は、空気通路74から送られる空気22を含む。或いは、空気供給源226は、例えば周囲空気のようなあらゆる他の適当な空気供給源から空気を供給することができる。パージ空気回路220は、制御システム44に結合される。例示的な実施形態では、予混合燃料216と予混合燃料230は、ほぼ同じ組成を有する。或いは、予混合燃料230は、予混合燃料216の組成とは異なる組成を有することもできる。さらに、本明細書で使用される用語「予混合燃料」は、燃焼域82に入る前に空気と混合される燃料を意味し、これは気体燃料、液体燃料、又は微粉固体燃料とすることができる。さらに、本明細書で使用される用語「拡散燃料」とは、燃焼域82に入る前に空気と混合されない燃料を意味し、これは気体燃料、液体燃料、又は微粉固体燃料とすることができる。
【0020】
例示的な実施形態では、5つの燃料ノズルアセンブリ400の内の4つは、1次燃料ノズルアセンブリ402であって、1次燃料回路200及び2次燃料回路202に結合され、残りの燃料ノズルアセンブリ400は、3次燃料回路204及びパージ空気回路220に結合される3次燃料ノズルアセンブリ404である。各4次ペグ86は、4次燃料回路206に結合される。さらに、例示的な実施形態では、各燃料回路200、202、204及び206は、各回路200、202、204及び206への燃料流量を制御するのに使用されるそれぞれの弁V1、V2、V3及びV4を含む。パージ空気回路220は、回路220内への空気流量を制御するのに使用される弁VAを含む。より具体的には、例示的な実施形態では、弁V1は、1次燃料回路200に入る拡散燃料212の量を制御し、弁V2は、2次燃料回路202に入る予混合燃料216の流量を制御し、弁V3は、3次燃料回路204に入る予混合燃料216の流量を制御し、さらに弁V4は、4次燃料回路206に入る予混合燃料230の量を制御する。別の実施形態では、予混合弁(図示せず)は二次及び3次燃料回路202、204の両方に結合され、燃料供給源208から弁V2及びV3内への予混合燃料216の流量を制御する。例示的な実施形態では、燃料回路200、202、204及び206は、制御システム44に結合され、回路200、202、204及び206及び燃料ノズルアセンブリ400への燃料流量を制御する。より具体的には、制御システム44は、限定ではないが、例えば弁V1、V2、V3及びV4を制御することによって燃料流量を制御することができる。同様に、パージ空気回路弁VAは、制御システム44に結合され、パージ空気流量を調節できる。
【0021】
作動時には、空気20は、入口(図示せず)を通してエンジン10に入り、圧縮機12内で加圧される。加圧空気20は、圧縮機12から排出されて燃焼器14に送られる。空気20は、開口76を通して燃焼器に入り、次いで、空気通路74を通して燃焼器14の末端カバーアセンブリ42に向かって流れる。空気通路74を通して流れる空気22は、燃焼器入口端94での流れ方向を強制反転され、空気スワーラー及び予混合管アセンブリ88に再配向される。燃料212、216及び/又は230は、末端カバーアセンブリ42を通して燃焼器14内に供給される。制御システム44は、以下でより詳細に述べるように、ノズルアセンブリ400及び/又は予混合管アセンブリ88に供給される空気20及び/又は22及び燃料212、216及び/又は230を調節する。制御システム44がガスタービンエンジン10の始動手順開始時には、最初に点火が行われ、火炎が連続的に定着すると、スパークプラグ78が燃焼域82から後退される。燃焼域82の反対側端部では、高温燃焼ガス32が移行ダクト26及びタービンノズル18を通してタービン16に向けて送られる。
【0022】
図4は、燃焼器14と共に使用することのできる例示的な燃料ノズルアセンブリ400の断面図である。例示の目的で、1次燃料ノズルアセンブリ402について述べるが、3次燃料ノズルアセンブリ404は、拡散燃料212ではなくパージ空気222が3次燃料ノズルアセンブリ404に供給されることを除けば、1次燃料ノズルアセンブリ402と本質的に同様であることは理解されるであろう。例示的な実施形態では、3次燃料ノズルアセンブリ404は、1次燃料ノズルアセンブリ402の予混合燃料216噴射構成と実質的に同様にして予混合燃料216を噴射するように構成される。
【0023】
例示的な実施形態では、各燃料ノズルアセンブリ402は、本体406、ベース408及びベーンアセンブリ410を含む。本体406は、ノズル中心線412に沿って軸方向に延びる。本体406には、各々が先端端部420からベース408を貫通して基端部422まで中心線412と実質的に平行に延びる複数の通路414、416及び418が形成される。より具体的には、例示的な実施形態では、ノズルアセンブリ402は、中央通路414、拡散通路416及び予混合通路418を含む。
【0024】
例示的な実施形態では、中央通路414は、油/水カートリッジ(図示せず)を含み、ノズル先端500を貫通して出口424が形成され、さらに、拡散通路416は、拡散ノズル入口426を含む。3次燃料ノズルアセンブリ404は、ノズルパージ空気入口(図示せず)を有するパージ空気通路(図示せず)を含み、各々は、拡散通路416及び拡散ノズル入口426と実質的に同様に構成されるが、但し、パージ空気入口はパージ空気回路220に結合されることを除く。拡散通路416は、以下でより詳細に述べるように、ノズル先端500を貫通する複数の拡散出口502を含む。1次燃料ノズルアセンブリ402及び3次燃料ノズルアセンブリ404の両方に含まれる予混合通路418は、ベース408内に画成された予混合燃料入口428を含む。予混合通路418は、複数の半径方向外方に延びるベーン通路430を含む。より具体的には、例示的な実施形態では、ベーン通路430は各々、ベーンアセンブリ410のベーン432(図3に示す)を貫通する。各ベーン通路430は、複数の予混合ベーン開口434(同様に図3に示す)を含む。
【0025】
例示的な実施形態では、ベース408は、限定ではないが、例えば複数の機械的締結具436を用いて末端カバーアセンブリ42に結合される。或いは、ベース408は、ノズルアセンブリ402及び/又は404が本明細書で記述されたように機能することができるあらゆる他の適当な締結機構を用いて末端カバーアセンブリ42に結合される。例示的な実施形態では、拡散通路416は、1次燃料回路200と流れ連通して結合される。さらに、例示的な実施形態では、1次燃料ノズルアセンブリ402内では、予混合通路418が2次燃料回路202に結合され、3次燃料ノズルアセンブリ404内では、予混合通路418が3次燃料回路204に結合される。
【0026】
図5は、ノズルアセンブリ402及び/又は404(図4に示す)と共に用いることができる例示的なノズル先端500の斜視図である。図6は、ノズル先端500の断面図である。図6において、中央通路414及び中央出口424は、明確にするために省略されている。
【0027】
例示的な実施形態では、ノズル先端500は、中央出口424と複数の拡散出口502とを含む。例証の目的で拡散出口502について記述するが、3次燃料ノズルアセンブリ404におけるパージ空気出口(図示せず)は、拡散燃料ではなくパージ空気がパージ空気出口を通して供給されることを除けば、拡散出口502と本質的に同様であると理解すべきである。例示的な実施形態では、ノズル先端500の前面504は、中央傾斜部分506と環状陥凹部分508とを含む。陥凹部分508は、実質的に環状であり、ほぼV字形の断面形状を有するように互いに対して向けられた半径方向内側壁510と半径方向外側壁512とを含む。例示的な実施形態では、陥凹部分508は、拡散出口502から出る拡散燃料212(図2に示す)の流れを回避するような方向にされる。或いは、陥凹部分508は、拡散出口502から出る拡散燃料212(図2に示す)の流れを方向付けるように向けることができる。
【0028】
例示的な実施形態では、中央出口424は、ノズル先端500を貫通してほぼ軸方向中心線514に沿って延びる。各拡散出口502は、前方開口516と後方開口518とを含み、これらの開口516及び518間で延びる。例示的な実施形態では、前方開口516は各々、中心線514から半径Rの位置で実質的に円形列をなして配置される。より具体的には、例示的な実施形態では、前方開口516は各々、半径方向内側壁510内に画成され、直径Dを有する。例示的な実施形態では、直径Dは、0.110インチよりも大きく、より具体的には、例えば0.126インチとすることができる。
【0029】
それぞれの座標系が各前方開口516において規定される。例示的な実施形態では、X軸は半径Rを有する円に接線方向に整列され、Y軸はX軸に対して半径方向で垂直に整列され、さらにZ軸は中心線514と実質的に整列される。角度αは、X−Z平面でX軸から測定され、角度βは、Y−Z平面でZ軸から測定される。例示的な実施形態では、各拡散出口502は、角度α及び角度βにてそれぞれの各前方開口516から延びたそれぞれの線Fに沿って向けられる。従って、拡散出口502は、ノズル先端500内に螺旋状列をなして画成される。例示的な実施形態では、角度αは、角度βと実質的に等しい。或いは、角度αは角度βと異なってもよい。さらに、例示的な実施形態では、角度αと角度βの両方は約30°よりも大きい。より具体的には、例示的な実施形態では、角度α及び角度βの両方は約45°に等しく、燃料ノズルアセンブリ400の直ぐ下流側の燃料流量が十分希薄であるので点火して燃焼を持続するようにされる。
【0030】
燃焼器14が作動中であるときには、拡散燃料212は、燃料供給源208から1次燃料回路200及び1次燃料ノズルアセンブリ402を通して燃焼域82に送られる。より具体的には、制御システム44は、拡散燃料212が1次燃料回路200に入ることができるように弁V1の動作を制御する。拡散燃料212は、1次燃料回路200から拡散回路及びノズル入口210、426を通して1次燃料ノズルアセンブリ402内に排出される。拡散燃料212は、1次燃料ノズルアセンブリ402から各ノズル先端500を通して排出される。拡散出口502は、拡散燃料212が各線Fにほぼ沿って角度α及び角度βで排出されるのを確保する。従って、拡散燃料212は、各ノズルアセンブリ先端端部420に隣接して拡散され、点火に十分な希薄が維持される。拡散燃料212は、燃焼域82内で分散されて、空気22と混合し、空気通路74及び/又は予混合管アセンブリ88を通して燃焼域82に入る。スパークプラグ78及びクロスファイヤ管80は、燃焼域82内で燃料空気混合気に点火し、燃焼ガス32を生なする。
【0031】
図7は、上に述べたような1次燃料ノズルアセンブリ402と3次燃料ノズルアセンブリ404とを含むガスタービンエンジンを作動させる例示的な方法のフローチャートである。図8は、図7に示す方法が実施されたときに使用することのできる平均燃焼温度(TTRF)(°F単位)に対する例示的な燃料回路比率(パーセンテージ単位)のグラフ表示800である。ここで使用される回路比率とは、慣用式P/S/T−Qを用いて表され、式中、Pは1次燃料回路200(図2に示す)を通して噴射される帯域82(図1に示す)内の全燃料の近似パーセンテージ、Sは2次燃料回路202に対する2次燃料回路202及び3次燃料回路204(各々図2に示す)を通して噴射される全燃料の近似パーセンテージ、Tは3次燃料回路204に対する2次燃料回路202及び3次燃料回路204を通して噴射される全燃料の近似パーセンテージ、さらに、Qは4次燃料回路206(図2に示す)を通して噴射される帯域82内の全燃料の近似パーセンテージである。Pはグラフ800上では線802で表され、Sはグラフ800上では線804で表され、Tはグラフ800上では線806で表され、さらにQはグラフ800上では線808で表されている。
【0032】
例示的な実施形態では、エンジン10の動作を開始するために、空気燃料混合気が燃焼器14内で点火される。制御システム44は、燃料回路200、202、204及び/又は206を介した燃焼器14への燃料212、216及び/又は230の流量を制御する。点火手順は、拡散燃料212の流れを燃焼域82内に導入することによって開始される700。より具体的には、弁V1が開放されて、拡散燃料212が1次燃料回路200に入り、且つ1次燃料ノズルアセンブリ402を通して流れることが可能となり、その後、拡散出口502を通して燃焼域82内に排出される。例示的な実施形態では、1次燃料回路200は、燃料比率が約100/0/0−0であるように、エンジン動作のこの段の間に燃焼域82に入る燃料の約100%を供給する。
【0033】
例えば、制御システム44がスパークプラグ78及びクロスファイヤ管80に燃焼域82内で拡散燃料212を点火するよう促すことにより、拡散燃料212が点火される。拡散燃料212が点火されると(702)、発生した燃焼ガス32は、燃焼域82から移行ダクト26を通してタービン16に向けて送られる。タービン16が全速度無負荷(FSNL)運転状態に達したときに、燃焼器14は、例えば1280°Fの平均燃焼温度(TTRF)である。従って、燃焼器14は、燃焼域82内に予混合燃料216及び/又は230を付加することなく、点火からFSNLを経てベース負荷の初期の所定パーセンテージまで拡散燃料212を燃焼させる。このような点火は、「拡散始動」モード810と呼ぶことができる。
【0034】
FSNLに達した後、エンジン10には負荷が加わり始め、制御システム44は、燃料回路200、202、204及び/又は206への燃料流量を変更する。より具体的には、例示的な実施形態では、第1の移行点812、例えば、限定ではないが、タービンがベース負荷の実質的に30%であるような約1950°Fの点でエンジン10がベース負荷の第1の所定パーセンテージに達する前に、制御システム44は、拡散始動モード810から希薄−希薄モード814に移行される。「希薄−希薄モード」の動作は、1次燃料ノズルアセンブリ402が拡散燃料212を燃焼域82内に供給し、3次燃料ノズルアセンブリ404が予混合燃料216を燃焼域82内に供給するタービンの動作モードを意味する。
【0035】
例示的な実施形態では、拡散始動モード810から希薄−希薄モード814への移行には、3次燃料ノズルアセンブリ404への予混合燃料216の流れを開始(704)しながら、1次燃料ノズルアセンブリ402への拡散燃料212の流れを続けることを伴う。より具体的には、例示的な実施形態では、制御システム44は、弁V3を少なくとも部分的に開放して、予混合燃料216が3次燃料回路204に入ることができるようにする。或いは、予混合燃料216の流れは、燃焼器14が本明細書で記述されたように機能することを可能にするあらゆる他の適当な方式で開始することができる。予混合燃料216は、燃料ノズルアセンブリ402及び404から排出されると、例えば拡散燃料212を燃焼させることにより発生する火炎によって点火される(706)。例示的な実施形態では、約2025°FのTTRFにおける希薄−希薄モード814中、燃料比率は約77/0/23−0である。
【0036】
エンジン10の負荷が増大するにつれて、燃焼域82に供給される予混合燃料216の量が増大する。より具体的には、制御システム44は、燃焼器14を第2の移行点818において希薄−希薄モード814からベース負荷の第2の所定パーセンテージでのパイロット予混合モード(PPM)816の動作に移行させる。例えば、一実施形態では、制御システム44は、移行点818が約2100°Fの点であるときに、燃焼器14を希薄−希薄モード814からPPM816に移行させる。
【0037】
「パイロット予混合モード」は、低減された量の拡散燃料212が1次燃料ノズルアセンブリ402によって排出されているとき、1次燃料ノズルアセンブリ402及び3次燃料ノズルアセンブリ404が予混合燃料216を燃焼域82内に排出する動作モードを意味する。予混合動作は、空気の燃焼域82への流入を段階的に行うことにより、燃焼中に燃料212及び/又は216から放出される例えば窒素酸化物類(NOx)及び/又は一酸化炭素(CO)のような汚染物質の量の低減を促進する。例示的な実施形態では、燃焼域82内の空気の量が増大されることにより、火炎温度又は反応温度の低下が促進され、燃焼器14内における熱NOx形成が減少される。より具体的には、空気(例えば、通路74からの空気22)は、2次燃料回路202、3次燃料回路204及び/又は4次燃料回路206内で最初に燃料と混合されて、予混合燃料216及び/又は230を生なする。次いで、通路74からの空気22は、燃焼域82内で予混合燃料216と混合される。混合気が燃焼域82内に排出される前に空気と燃料を予混合することにより、帯域82内における局所的な燃料リッチポケット及び高温度を最小源にすることが可能になる。
【0038】
例示的な実施形態では、希薄−希薄モード814からパイロット予混合モード816への移行には、1次燃料ノズルアセンブリ402への拡散燃料212の流れを低減708させながら、1次燃料ノズルアセンブリ402への予混合燃料216の流れを開始する708ことを伴う。このような移行は、一般に、ベース負荷の第1の所定パーセンテージよりも大きいベース負荷の第2の所定パーセンテージでエンジン10が作動しているときに生じる。より具体的には、例示的な実施形態では、制御システム44は、弁V1を部分的に開放し、且つ弁V2を少なくとも部分的に開放して、予混合燃料216が2次燃料回路202に入ることができるようにする。或いは、燃焼器14が本明細書で記述されたように機能することができるあらゆる他の適当な方法で、拡散燃料212の流れを減少させることができ(708)、予混合燃料216の流れを開始することができる(708)。1次燃料ノズルアセンブリ402からの予混合燃料216は、例示的な実施形態では、拡散燃料212及び/又は三次予混合燃料216の燃焼中に生成される火炎によって点火される。例示的な実施形態では、例えば約2165°FのTTRFにおいて、燃料212及び216が約25/79/21−0の比率で回路200、202及び204を通して噴射される。
【0039】
エンジン10の負荷が増大するにつれて、燃焼域82に供給される予混合燃料216の量が増大し、燃焼域82に供給される拡散燃料212の量が減少する。より具体的には、第3の移行点822において、エンジン10がベース負荷の第3の所定パーセンテージであるときに、制御システム44は、燃焼器14をパイロット予混合モード816動作から予混合安定状態(PMSS)モード820の動作に移行させる。例えば、1つの実施形態では、エンジン10が約2240°FのTTRFにおいて移行点822に対応するベース負荷のパーセンテージで作動しているときに、制御システム44はPMSS820に移行する。
【0040】
「予混合安定状態モード」は、1次燃料ノズルアセンブリ402によって排出される拡散燃料212が終了する間に、1次燃料ノズルアセンブリ402及び3次燃料ノズルアセンブリ404が予混合燃料216を燃焼域82中に排出する動作モードを意味する。予混合安定状態モード820は、拡散燃料212の燃焼を実質的に排除することによって燃焼中に燃料212及び/又は216から放出される汚染物質(例えばNOx及び/又はCO)の量の付加的な低減が促進されることを除けば、上に述べた予混合動作と実質的に同様である。
【0041】
例示的な実施形態では、パイロット予混合モード816から予混合安定状態モード820への移行には、エンジン10がベース負荷の第3の所定パーセンテージに達したときに1次燃料ノズルアセンブリ402への予混合燃料216の流れを増大させながら、1次燃料ノズルアセンブリ402への拡散燃料212の流れを終了させる(710)ことを伴う。例示的な実施形態では、4次燃料回路206を介した4次ペグ86への予混合燃料216の流れが開始される(712)。予混合燃料216の使用は、例えば低い燃焼音響ノイズ及び/又は動圧変動のような燃焼器14内で起こり得る燃焼ダイナミックスを低減させる。別の実施形態では、本明細書で述べたのとは異なり予混合燃料230が供給される。例示的な実施形態では、制御システム44は、弁V1を実質的に閉鎖し、弁V2を開放して予混合燃料216が2次燃料回路202に入ることを可能にし、弁V4を開放して予混合燃料230が4次燃料回路206に入ることを可能にする。或いは、燃焼器14が本明細書で記述されたように機能することができるあらゆる他の適当な方式で、拡散燃料212の流れを終了させることができ、予混合燃料230の流れを開始させることができる。例示的な実施形態では、タービン負荷がベース負荷の約50%となるような例えばTTRFが2240°Fにほぼ等しいタービン状態において、燃料比率はほぼ0/85/18−13である。このようなタービン状態において、ターンダウン点が生じる可能性がある。
【0042】
エンジン10が実質的にそのベース負荷で作動しているときには、例示的な実施形態では、エンジン10は、予混合安定状態モード820で作動している。より具体的には、例示的な実施形態では、ベース負荷において、エンジン10は、基準点824が例えば約2400°Fに等しいTTRFであり、燃料比率がほぼ0/82/19−8のタービン状態にある。
【0043】
上記の方法及び装置は、燃料ノズルから下流側にある拡散燃料の燃空比を改善することにより、最大ライナ壁温度の低下が促進され、火炎安定性の増大が促進されるように、ガスタービンエンジン内における燃料の燃焼を促進する。燃料ノズルの下流側の拡散燃料の燃空比は、燃焼室内における拡散燃料と空気との混合を促進する噴射角度で拡散燃料を燃焼室内に噴射することによって、リッチ消焔境界を下回って維持される。拡散燃料のこのような噴射は、タービンが全速度無負荷動作に達する前の予混合燃料噴射の省略を促進する。従って、本明細書に述べたように拡散燃料を噴射することにより、希薄−希薄始動の回避が促進される。希薄−希薄始動を回避することにより、ライナ壁温度における不均一性の低減が促進され、これにより、周囲のハードウエアの磨耗量の低減が促進される。さらに、本明細書に記述した希薄−希薄モードは、単一のノズルを通して全燃料の約50%を燃焼器内に噴射するシステムと比べて、単一のノズルを通してより少ないパーセンテージの予混合燃料すなわち全燃料の約25%を燃焼器内に噴射することを伴う。従って、予混合燃料を噴射するノズル付近の局所的ライナ温度の低下が促進される。
【0044】
さらに、本明細書で記述された拡散燃料噴射角度は、既知の希薄−希薄始動中に発生する全体的に小さく不安定な拡散火炎と比べて、より安定した十分に固定された火炎の形成を促進する。より安定し十分に固定された火炎は、消焔の可能性、より具体的にはリッチ消焔の可能性の低減を促進する。本明細書で記述された拡散燃料噴射角度は、燃焼室内により均一な温度をもたらし、周囲のハードウエアの磨耗の低減を促進する。さらに、本明細書で記述されたような先端開口の直径は、ノズルの閉塞の低減を促進し、燃料ノズルの下流側での燃料空気混合の増大を促進する。
【0045】
上記の方法及び装置はさらに、燃料及び/又は空気噴射を段階的実施を促進し、これは、燃料の燃焼による汚染物質のエミッション低減を促進する。より具体的には、燃料及び/又は空気の段階分けは、ガスタービンの排気面で測定されるNOx及び/又はCOエミッションの低減、拡散運転モードを用いることによるこのモードでの火炎安定性の増大、広範囲にわたるガスタービン負荷設定に対する希薄消焔マージン及びリッチ消焔マージン間に燃空比を維持すること及び/又は燃焼ダイナミックスの低減を可能にする。
【0046】
上記においてガスタービンエンジンにおいて燃料を燃焼させるための方法及び装置の例示的な実施形態を詳細に説明した。本方法及び装置は、本明細書で記述された特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ本方法及び装置の部品は、本明細書で記述された他の部品とは独立して別個に利用することができる。例えば、燃料ノズル先端はまた、他の燃焼システム及び方法と組み合わせて使用することもでき、本明細書で記述されたようなガスタービンエンジンでの実施にのみ限定されるものではない。さらに、ガスタービンエンジンを作動させる方法はまた、他の燃焼システム及び方法と組み合わせて使用することもでき、本明細書で記述されたようなガスタービンエンジンでの実施にのみ限定されるものではない。むしろ本発明は、多くの他の燃料燃焼装置と関連して実施及び利用することができる。
【0047】
本発明を様々な特定の実施形態に即して記述してきたが、本発明は、請求項の精神及び範囲内にある変更を加えて実施できることは、当業者には理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器アセンブリを含むガスタービンエンジンを作動させるための方法であって、当該方法が、
第1の流体を第1のノズルを通して燃焼器アセンブリに送る段階と、
第1のノズルの下流側の燃焼器アセンブリ内の第1の流体に点火する段階と、
ガスタービンエンジンが定格速度の85%よりも大きい速度に達したときに、第2の流体を第2のノズルを通して燃焼器アセンブリに送る段階と、
第2のノズルの下流側の燃焼器アセンブリ内の第2の流体に点火する段階と、
第1のノズルを通る第1の流体の流れを止める段階と、
第2の流体を第1のノズルへ送る段階と
を含む方法。
【請求項2】
燃料器アセンブリケーシングの半径方向内側に延在する複数の第3のノズルに第2の流体を送る段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1の流体を第1のノズルを通して燃焼器アセンブリに送る段階が、複数の第1のノズルから第1の流体を、X−Z平面でZ軸に対して測定して30°よりも大きい排出角度で排出することを含んでおり、X軸、Y軸及びZ軸が前記複数の第1のノズルの各々の接線、半径及び中心線に対して規定される、請求項1又は請求項2記載の方法。
【請求項4】
第1の流体を第1のノズルを通して燃焼器アセンブリに送る段階が、液体燃料、気体燃料及び固体燃料の少なくとも1種類を複数の第1のノズルに送ることを含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
第2の流体を第2のノズルを通して燃焼器アセンブリに送る段階が、ガスタービンエンジンがベース負荷の30%未満で作動するときに、第2の流体を第2のノズルに送ることを含む、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
第2の流体を第2のノズルを通して燃焼器アセンブリに送る段階が、液体燃料、気体燃料及び固体燃料の少なくとも1種類を第2のノズルで空気と混合しておくことを含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
第1のノズルを通る第1の流体の流れを止める段階が、ガスタービンエンジンがベース負荷の第1の所定パーセンテージとベース負荷の第2の所定パーセンテージの間で作動しているときに、第2の流体を複数の第1のノズルに送ることを含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
第1のノズルを通る第1の流体の流れを止める段階が、ガスタービンエンジンがベース負荷の第2の所定パーセンテージ以上で作動するときに、複数の第1のノズルを通る第1の流体の流れを止めることを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
流体を燃焼器アセンブリ内に送るためのノズル(18)であって、当該ノズル(18)が
中心線を含む本体(406)と、
前記中心線に沿って前記本体を貫通する第1の通路と、
前記第1の通路の下流側端部に結合したノズル先端(500)であって、中心から外表面まで延びる半径を有するノズル先端(500)と
を備えており、
前記ノズル先端が、下流側面と、前記下流側面内に画成された開口を各々が有する複数の出口通路とを含んでおり、前記開口の各々が、接線、半径及び中心線に対して規定されるX軸、Y軸及びZ軸を含んでいて、前記複数の出口通路の各々が、それぞれのX−Z平面でZ軸に対して測定して30°よりも大きい排出角度をなしている、ノズル(18)。
【請求項10】
前記複数の出口通路の各々が、それぞれのY−Z平面でZ軸に対して測定して30°よりも大きい排出角度をなす、請求項9記載のノズル(18)。
【請求項11】
前記本体(406)を貫通する第2の通路をさらに備えており、前記第2の通路が、前記第1の通路の少なくとも一部分に実質的に外接する請求項9記載のノズル(18)。
【請求項12】
前記本体から半径方向外方に延びる複数のベーン(432)をさらに備えており、前記複数のベーンの各々が、前記第2の通路と流れ連通したベーン通路と、前記ベーン通路の各々から各ベーンを貫通する複数の開口(76)とを含む、請求項11記載のノズル(18)。
【請求項13】
前記出口通路の開口の各々が実質的に0.110インチ(2.79mm)よりも大きい直径を有する、請求項9記載のノズル(18)。
【請求項14】
前記出口通路の開口の各々が0.126インチ(3.20mm)に実質的に等しい直径を有する、請求項13記載のノズル(18)。
【請求項15】
前記第1の通路が流体を含み、前記流体が、液体燃料、気体燃料及び固体燃料の少なくとも1種類を含む、請求項9記載のノズル(18)。
【請求項16】
ガスタービンエンジン(10)に使用するための燃焼器アセンブリであって、当該燃焼器アセンブリが、
前記燃焼器アセンブリに結合した複数の第1のノズル(400)であって、第1の燃料源に結合した複数の出口通路を有するノズル先端(500)と、第2の燃料源に結合した複数の第1のベーン通路とを含む複数の第1のノズル(400)と、
前記燃焼器アセンブリ結合した第2のノズルであって、前記第2の燃料源に結合した複数の第2のベーン通路を含む第2のノズルと、
前記燃焼器アセンブリに結合した制御システム(44)と
を備えており、前記制御システムが、
第1の燃料(212)を前記第1の燃料源から前記複数の第1のノズルの複数の出口通路を通して送り、
前記ガスタービンエンジンが定格速度の85%よりも大きい速度に達したときに、第2の燃料を前記第2の燃料源から前記第2のノズルの複数の第2のベーン通路を通して送り、
前記ガスタービンエンジンにベース負荷の第1の所定パーセンテージよりも大きい負荷があるときに、前記第2の燃料を前記第2の燃料源から前記複数の第1のノズルの複数の第1のベーン通路を通して送り、
前記ガスタービンエンジンにベース負荷の第1の所定パーセンテージよりも大きい負荷があるときに、前記複数の第1のノズルに入る前記第1の燃料の流れを減少させるように構成されている、
燃焼器アセンブリ。
【請求項17】
燃焼器アセンブリケーシング(34)から半径方向内向きに延びる複数の第3のノズル(400)をさらに備えており、前記複数の第3のノズルが第3の燃料源に結合している、請求項16記載の燃焼器アセンブリ。
【請求項18】
前記制御システム(44)がさらに、ガスタービンエンジン(10)にベース負荷の第2の所定パーセンテージよりも大きい負荷があるときに、第3の燃料を前記複数の第3のノズル(400)に送るように構成されており、前記第2の所定パーセンテージが、前記第1の所定パーセンテージよりも大きい、請求項16又は請求項17記載の燃焼器アセンブリ。
【請求項19】
前記出口通路の各々が、接線、ノズル先端半径及びノズル先端中心線に対して規定されるX軸、Y軸及びZ軸を含んでいて、前記複数の出口通路の各々が、それぞれのX−Z平面でZ軸に対して測定して30°よりも大きい排出角度をなしている、請求項16乃至請求項18のいずれか1項燃焼器アセンブリ。
【請求項20】
前記制御システムが、さらに、ガスタービンエンジンの負荷がベース負荷の第2の所定パーセンテージよりも大きくなったときに、複数の第1のノズルを通る第1の燃料の流れを止めるように構成されている、請求項16乃至請求項19のいずれか1項燃焼器アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−229697(P2012−229697A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−161055(P2012−161055)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【分割の表示】特願2008−206498(P2008−206498)の分割
【原出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)