説明

ガスタービン式動力装置圧縮機の溶接されたロータ

本発明によって、溶接結合された複数のロータディスク(3a,3b,4,5)を有する、冷却可能なガスタービン圧縮機のロータ(1)と、該ロータ(1)の製造方法とが提案される。ロータディスク(3a,3b,4,5)のうち2つまたは2つよりも多いロータディスク(3a,3b)が、半径方向外側の領域(9’)で溶接結合されていて、半径方向内側の中央領域(9)で互いに突き合わせられている。2つのロータディスク(3a,3b)突合せ接合部を解して、ロータ(1)の中心からの半径方向外側への熱の流れ(8)が達成されるので、ロータ(1)の運転中の材料温度を規定されたレベルよりも下に維持することができる。これによって、ロータの耐用寿命が高められる。本発明により溶接され、互いに突き合わせられたロータディスク(3a,3)は、圧縮機の流れ方向で見て最後の箇所において使用可能である。この場合、ロータディスク(3a)は、その表面に外部から冷却可能な1つの切欠き(7)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンの圧縮機に用いられる溶接されたロータと、該ロータを製造する方法とに関する。
【0002】
従来技術
ガスタービンに用いられるロータは、通常は複数のディスクから成っている。これらのディスクは、ねじ締結によって接合されるか、または溶接される。運転中の過熱と、該過熱により生じるロータの耐用寿命の低下とを阻止するために、ロータは積極的に冷却される。この場合、ねじにより結合されたロータのための冷却方法と、溶接されたロータのための冷却方法とは、互いに異なっている。ねじ締結されたロータのための冷却方法は、溶接されたロータにおいては条件付きでしか使用可能ではない。なぜならば、溶接されたロータのロータディスクは、ねじ締結されたロータディスクに比べて詰まっている、つまり中実であり、孔による内部冷却は実現が困難であり得るからである。
【0003】
溶接されたロータのために、ロータの内部または外部に冷却通路または冷却室を備えた種々異なる冷却装置が公知である。たとえば、欧州特許第984138号明細書はガスタービン、特に圧縮機に用いられるロータを開示しており、該ロータの表面には冷却流が供給されている。冷却流は、空気通路を介して、ガイド翼を通じて、かつ翼先端の開口を通じて直接にロータ表面に案内される。欧州特許第844367号明細書は、複数のロータディスクを有する、流体機械に用いられる溶接されたロータを開示している。これらのロータディスクは、冷却蒸気を貫流させるために、溶接シーム間にそれぞれ1つの環状の中空室を有している。冷却媒体は、ロータ自体によって、半径方向外側に翼基部に向かって案内される。欧州特許第1705339号明細書は、ガスタービンに用いられるロータを開示している。ロータは半径方向に延びる冷却空気通路を有していて、この場合、冷却空気通路は、楕円形の横断面を有している。
【0004】
ガスタービンに用いられるロータでは、特に、コンプレッサもしくは圧縮機内の、圧縮される空気の流れ方向で見て最後のロータディスクが、空気の圧縮に基づいて、高い運転温度にさらされる。その際、温度は、コンプレッサの長さに沿って上昇し続け、熱は半径方向にロータ内へ侵入する。いわゆる最後(つまり最も下流側)のロータディスクにおいて、材料温度をある程度のレベルに維持し、相応してロータの期待され得る耐用寿命を達成するために、積極的な冷却が必要となる。
【0005】
圧縮機の最後のロータディスクを冷却するための公知の技術は、図1に示されている。
【0006】
ロータ軸線2を備えたガスタービンに用いられるロータ1は、複数のロータディスク3,4および5を有している。これらのロータディスク3,4および5は、該ロータディスクを軸方向に接合することによって形成される内側の中空室HおよびH’と、ロータ表面との間で、溶接シーム6によって互いに結合されている。さらに、最後のロータディスク3は表面に切欠き7を有している。この切欠き7には、冷却空気がロータの外側から供給される。コンプレッサロータの最後のディスク3の中心領域からの熱は、矢印8の方向に、かつ最終的には冷却された切欠きを介して取り除かれる。この際に、排熱8は、ロータディスクが軸方向で詰まって、つまり中実に形成されていることによって促進される。しかし、軸方向で中実の構成には、このような形式のロータの製造技術と、かつこのロータが鍛造プロセス中に検査され得る必要性とに基づいて、制限が与えられている。
【0007】
欧州特許第19316115号明細書は、蒸気タービンに用いられる、溶接されたディスクから成るロータを開示している。ロータディスクは、それぞれ切欠きを有している。これらの切欠きは、ロータ軸線における中心から、半径方向外方に延びているので、ディスクの溶接後に、1つの中空室が、ロータ軸線においてかつロータ軸線を取り囲んで形成される。ロータは、ロータ表面において、供給される蒸気流によって冷却される。
【0008】
発明の開示
本発明の課題は、ガスタービン圧縮機に用いられる、複数のロータディスクから溶接されたロータを提供することであり、この場合、コンプレッサロータディスクの材料温度を運転中に所定のレベルに、または所定のレベルより下に維持するようになっていて、これにより所定の運転寿命を期待することができるようにすることである。同時に、ロータが、公知先行技術によるロータに比べて、製造と、鍛造プロセス中に該ロータを検査する可能性とに関して改善されていることが望ましい。さらに本発明の課題は、このようなロータを製造する方法を提案することである。
【0009】
軸方向に互いに隣り合って配置され溶接された複数のロータディスクを備える、冷却可能な溶接されたガスタービン圧縮機ロータが提示される。この場合、各ロータディスクは、少なくとも3つの動翼段にわたって延びている。本発明によれば、ロータは、溶接されたロータディスクに対して付加的に、ロータディスクの回転軸線を取り囲む、回転軸線における中心領域で互いに突き合わせられた2つまたは2つ以上のロータディスクを有している。この場合、中心領域は、ロータ軸線を含んでいて、該軸線から半径方向外方に延びている。さらに、流れ方向で見て最後の2つのロータディスクは、半径方向外側の領域で溶接されている。この場合に、この半径方向外側の領域は、中心領域の半径方向で外側にあり、ロータ表面を含み、この表面から半径方向内方に延びている。突合せ接合部を備えた中心領域と、溶接された半径方向外側の領域との間に、環状室が延びている。流れ方向で見て、最後から2番目のロータディスクに突き合わせられた最後のロータディスクは、ロータディスクの中心領域からの熱を表面に導出するために、半径方向外側の表面に切欠きを有している。この切欠きは、ロータディスクの全周にわたって延びていて、外側から供給された冷却媒体によって冷却可能である。
【0010】
有利には、切欠きは、最も高い温度にさらされる最後のロータディスクに設けられている。冷却可能な切欠きは、中心領域におけるロータディスクの突合せ接合部と相俟って、特にロータの中心領域からロータ表面に向かう高められた熱の流れを保証する。本発明は、特に圧縮機の最後のロータディスクにおいて、または比較的高い温度にさらされているロータディスクにおいて有利である。
【0011】
ロータは、最も高い温度の領域に、公知先行技術のロータディスクに比べて小さな、つまり肉厚ではなく形成されている2つまたは2つより多いロータディスクを有している。しかし、これらのロータディスクは、少なくとも3つの動翼段にわたって延びている。その比較的小さなサイズに基づいて、これらのロータディスクは簡単に製造され得る。特にその鍛造可能性が改善され、達成可能な変形度が高められる。
【0012】
さらに、個別のロータディスクは、鍛造プロセスにおいて簡単に検査され得る。なぜならば、ディスクの比較的小さな厚さによって、検査時の音波経路が短縮されていて、これにより高い解像度を有する測定結果が達成され得るからである。
【0013】
流れ方向で見て最後の2つのロータディスクの半径方向内側の中心領域にわたる、互いに突き合わせられた接合部は、ロータの中心領域から、ロータの半径方向外側の表面への熱の流れを生ぜしめる。半径方向外側の表面において、熱は、切欠きを介して導出され得る。これによって、特にガスタービン圧縮機において発生する、ロータの、流れ方向で見て最後の箇所におけるロータの過剰な加熱の問題が解決される。これによって、運転中のロータの材料温度を、所定のレベルより下に維持することができ、ひいてはロータの耐用寿命を高めることができる。本発明によって冷却可能なロータの実施形態は、ロータの、最も高い温度にさらされる最後の箇所において最も効果的である。
【0014】
本発明によるロータディスクは、冷却が温度状況に基づいて同じように必須であるかまたは効果的である、ロータの全ての適当な箇所に配置することができる。
【0015】
本発明の別の実施形態では、ロータが、付加的に、互いに突き合わせられた2つのロータディスクの間に、ディスクの中心領域で、熱伝導性の材料を有する層を有している。たとえば、この層は、両ロータディスクのうち一方のロータディスクの表面に設けられている。熱伝導性の材料のためには、たとえば、ロータ鋼よりも高い熱伝導率を有する金属が適している。
【0016】
熱伝導性の構成部材の使用により、ロータディスクの中心からの熱の流れ、つまり回転軸線を取り囲む領域から、かつ第2のロータディスクに対して突き合わせられた第1のロータディスクから、ロータの外側の表面への熱の流れはさらに促進され、ロータの期待され得る寿命はさらに高められる。
【0017】
本発明によるロータの提示された実施の形態の全ては、単に2つのロータディスクに制限されるものではなく、好適な形式でロータの複数のロータディスクに使用され得る。
【0018】
冷却可能なガスタービン圧縮機ロータを製造する方法では、複数のロータディスクが溶接結合される。本発明によれば、ディスクの回転軸線を取り囲んで延びる環状のそれぞれ1つの切欠きを有する少なくとも2つのロータディスクが提供されるので、ロータディスクが軸方向で互いに隣り合って配置されると、ロータディスクの間に1つの環状室が形成される。ロータディスクは、ロータの、流れ方向で最後および最後から2番目の箇所に配置されていて、環状室から半径方向で外方に向かってディスクの外側表面にまで延びる半径方向外側の領域で溶接され、かつロータディスク中心またはディスクの回転軸線から半径方向外方に向かって環状室にまで延びる半径方向の中心領域で、互いに突き合わせられて接合されている。さらに、流れ方向で最後の箇所に配置されたロータディスクは、冷却可能な切欠きを設けられている。この切欠きはロータディスクの全周にわたって延びている。
【0019】
このためには、本発明による方法の1態様において、2つのロータディスクは半径方向外側の領域で溶接され、次いで溶接収縮によって収縮させられる。
【0020】
溶接収縮によって、ロータの高められた運転寿命を可能にする圧力内部応力が生じる。
【0021】
本発明の1態様では、突き合わせられたロータディスクが、ロータの、最も高い材料温度が予想され得る箇所に配置される。
【0022】
本発明による方法の別の態様では、中心領域に、流れ方向で最後の2つのロータディスクの少なくとも一方が、熱伝導性の材料を被着されている。その後に、両方のロータディスクは、半径方向外側の領域で溶接される。ディスクの回転軸線を取り囲む中心領域において、両ロータディスクはやはり互いに突き合わせて接合される。
【0023】
以下に本発明を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】公知先行技術による溶接されたガスタービン圧縮機ロータの横断面を示す図である。
【図2】本発明による溶接されたガスタービン圧縮機ロータ、特にロータディスクの一部の第1の実施形態を横断面で示す図である。
【図3】本発明による溶接されたガスタービン圧縮機ロータの一部の第2の実施形態を横断面で示す図である。
【図4】本発明による溶接されたガスタービン圧縮機ロータの一部の第3の実施形態を横断面で示す図である。
【0025】
異なる図面における同一の符号は、それぞれ同一の構成部材を示している。
【0026】
発明の実施の形態
図2は、ロータ軸線2を備えたガスタービン圧縮機ロータ1を長手方向横断面で示している。ロータ1は、複数のロータディスクを有している。複数のロータディスクのうち、図面には、ロータディスク3,4,および5のみが図示されている。これらのロータディスクはそれぞれ、該ロータディスクが圧縮機の少なくとも3つの動翼段を収容することができるように、形成されている。これによって、これらのロータディスクは、唯1つの動翼段にわたって延びる、いわゆる「層状」に形成されたロータのロータディスクとは異なる。ロータディスク4,5は、それぞれその中心に切欠きを有している。これらの切欠きは、ディスクの接合後に1つの中空室Hを形成する。ロータディスク4,5は、中空室Hと、ディスク4および5の半径方向外側の表面との間で、溶接シーム6によって互いに結合されている。公知先行技術のロータのロータディスク3は、本発明により、比較的に詰まっていないように形成された個別の2つのロータディスク3a,3bにより実現されている。図示された例示的な実施の形態では、ロータディスク3aおよび3bは、圧縮機の、流れ方向で最後および最後から2番目の箇所に配置されたロータディスクである。これらのロータディスク3a,3bは、その中心領域において、軸方向に互いに向かい合った側にそれぞれ1つの切欠きを有している。これらの切欠きは、ロータディスクの接合時に1つの環状室H''を形成する。ロータディスク3bは、ロータディスク4,5と同じように、隣接するロータディスク4に溶接シーム6’によって接合されている。ロータディスク3bは、上流側にも同じく1つの切欠きを有している。この切欠きは、ディスク4との接合時に、中空室Hと類似の中空室H’を形成する。
【0027】
ロータディスク3aおよび3bは、半径方向外側の領域9’において、溶接シーム10によって互いに結合されている。この溶接シーム10は、環状室H''からロータの表面にまで延びている。ロータディスク3aおよび3bの回転軸線2を取り囲む中心領域9で、ロータディスクの互いに向かい合った表面が突き合わせられている。ロータの中心領域9は、たとえば、回転軸線を含み、かつディスクの回転軸線を中心として半径方向内側の領域にわたって延びる領域であり、この領域は、ロータディスク3aおよび3bの互いに向かい合った側に設けられた環状の切欠きによって取り囲まれている。この中心領域からの熱も導出することができ、これによりロータの過熱を阻止することができる。ロータディスク3aおよび3bの接合後に、ロータディスクの環状の切欠きは、環状室H''を形成する。半径方向外側の領域9’は、たとえば、ロータディスクの内側の切欠きまたは環状室H''と、ロータ表面との間に延びている。突合せ接合部は、ロータディスク3bの中心領域9からロータディスク3aを介して、かつ半径方向外方に向かってロータ表面への熱の流れ8を保証する。この場合、ロータ表面において熱が導出され得る。
【0028】
図3は、図2に示したロータと同様のロータを示しているが、流れ方向でロータにおいて最後の箇所に配置されたロータディスク3aに付加的な特徴を有している。ロータディスク3aは、表面に切欠き7または環状溝を有している。この切欠き7または環状溝は、ロータディスクの全周にわたって延びていて、外側から適当な冷却媒体、たとえば冷却空気または冷却蒸気によって冷却され得る。ロータディスク3aおよび3bの中心領域9から表面へと案内される熱は、より高められた効果を伴って切欠き7を介して導出される。本発明の特に効果的な実施の形態では、ロータディスク3aの切欠き7は、楕円形の横断面輪郭を有して形成されている。
【0029】
図4は、本発明によるロータ1のさらに改良された実施の形態を示している。ロータ1は、同様に複数のロータディスク3a,3b,4,5を有している。ロータディスク3aおよび3bは、互いに軸方向で面した側に、それぞれ1つの環状の切欠きを有している。これらの環状の切欠きは、接合時に1つの環状室H''を形成する。ロータディスク3a,3bの互いに面した表面の中心領域9は、環状室H''によって取り囲まれた領域にわたって延びている。この改良された実施形態は、図2および図3に示したロータとは、ロータディスク3aおよび3bの中心領域9における熱伝達の実現において異なっている。ロータディスク3aまたは3bは、該ロータディスクの中心領域9に、熱伝導性の材料から成る層11を有している。この層11と、ロータディスク3bの中心領域9の表面とは、同様に互いに突き合わせられて接合されている。
【0030】
層11は、たとえばロータ材料よりも大きな熱伝導率を備えた適当な金属から成っている。
【符号の説明】
【0031】
1 ロータ
2 ロータ軸線
4,5 溶接されたロータディスク
3 最後のロータディスク
3a,3b 互いに突き合わせて接合され、溶接されたロータディスク
6,6’ 溶接シーム
7 切欠き
8 熱の流れ
9 中心領域
9’ 半径方向外側の領域
10 溶接シーム
11 熱伝導性の層
H,H’ 中空室
H'' 環状室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接結合された複数のロータディスク(3a,3b,4,5)を有する、冷却可能なガスタービン圧縮機ロータ(1)であって、各ロータディスク(3a,3b,4,5)が、少なくとも3つの動翼段にわたって延びていて、該ロータディスクのうち少なくとも2つのロータディスク(3a,3b)が、軸方向に隣り合って、ロータ(1)の、流れ方向で見て最後および最後から2番目の箇所に配置されており、
流れ方向で最後のロータディスク(3a)が、該ロータディスク(3a)の半径方向外側の表面に切欠き(7)を有していて、該切欠き(7)が、外部から供給される冷却媒体によって冷却可能であり、かつロータディスク(3a)の全周にわたって延びており、
流れ方向で最後のロータディスク(3a)と、流れ方向で最後から2番目のロータディスク(3b)とが、互いに面した側に、ディスクの回転軸線を取り囲んで延びる環状のそれぞれ1つの切欠きを有しており、軸方向で互いに面した切欠きが、最後のロータディスク(3a)と、最後から2番目のロータディスク(3b)との間に1つの環状室(H'')を形成しており、
流れ方向で最後のロータディスク(3a)と、流れ方向で最後から2番目のロータディスク(3b)とが、中心領域(9)を有しており、該中心領域(9)が、それぞれロータ(1)の回転軸線(2)を含んでいて、かつ回転軸線(2)から半径方向外方に向かって環状室(H'')にまで延びていて、
最後のロータディスク(3a)と、最後から2番目のロータディスク(3b)とが、それぞれ1つの半径方向外側の領域(9’)を有していて、この半径方向外側の領域(9’)が、ロータの半径方向外側の表面を含んでいて、かつ半径方向内方に向かって環状室(H'')にまで延びている形式の、冷却可能なガスタービン圧縮機ロータ(1)において、
流れ方向で最後の2つのロータディスク(3a,3b)の中心領域(9)から熱を導出するために、流れ方向で最後の2つのロータディスク(3a,3b)が、その中心領域(9)で互いに突き合わせられており、かつ該ロータディスク(3a,3b)の半径方向外側の領域(9’)で溶接結合されていることを特徴とする、冷却可能なガスタービン圧縮機ロータ(1)。
【請求項2】
流れ方向で最後および最後から2番目の箇所において互いに突き合わせられたロータディスク(3a,3b)の間で、該ロータディスク(3a,3b)の中心領域(9)に、熱伝導性の材料を有する層(11)が配置されている、請求項1記載のガスタービン圧縮機ロータ。
【請求項3】
前記層(11)が、流れ方向で最後または最後から2番目の箇所において互いに突き合わせられたロータディスク(3a,3b)の一方の表面に被着されている、請求項2記載のガスタービン圧縮機ロータ。
【請求項4】
前記切欠き(7)が、楕円形の横断面輪郭を有している、請求項2または3記載のガスタービン圧縮機ロータ。
【請求項5】
流れ方向で最後および最後から2番目の箇所において互いに突き合わせられたロータディスク(3a,3b)が、ロータ全体で最も高い材料温度を有するロータの箇所に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のガスタービン圧縮機ロータ。
【請求項6】
ガスタービン圧縮機ロータ(1)を製造する方法であって、それぞれ圧縮機の少なくとも3つの動翼段にわたって延びる複数のロータディスク(4,5)を溶接結合し、
別の少なくとも2つのロータディスク(3a,3b)を提供し、該別のロータディスクのうち2つのロータディスク(3a,3b)が、ロータにおける流れ方向で最後および最後から2番目の箇所のためのものであり、
流れ方向でロータの最後の箇所のためのロータディスク(3a)の外側の表面に切欠き(7)を形成し、
流れ方向でロータの最後および最後から2番目の箇所のための両ロータディスク(3a,3b)が、それぞれ互いに面した軸方向の側に、ディスクの回転軸線を取り囲んで延びる環状の1つの切欠きを有していて、該別の2つのロータディスク(3a,3b)を軸方向で互いに隣り合わせて配置し、これにより該ロータディスク(3a,3b)の間に1つの環状室(H'')を生ぜしめ、
該ロータディスク(3a,3b)を、ロータ(1)の流れ方向で最後および最後から2番目の箇所に配置する方法において、
環状室(H'')から半径方向外方に向かってディスク(3a,3b)の外側の表面にまで延びる半径方向外側の領域(9’)を溶接し、最後および最後から2番目のロータディスク(3a,3b)を、ロータディスクの中心またはディスク(3a,3b)の回転軸線(2)から半径方向外方に向かって環状室(H'')にまで延びる中心領域(9)において、互いに突き合わせて接合することを特徴とする、ガスタービン圧縮機ロータ(1)を製造する方法。
【請求項7】
流れ方向で最後および最後から2番目の箇所において互いに突き合わせられたロータディスク(3a,3b)を溶接収縮によって収縮させる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
流れ方向で最後および最後から2番目の箇所におけるロータディスク(3a,3b)の互いに対する突合せおよび溶接の前に、ロータディスク(3a,3b)の回転軸線(2)を取り囲む中心領域(9)において、ロータディスク(3a,3b)の間に、熱伝導性の材料を有する層(11)を配置する、請求項6または7記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−510259(P2013−510259A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537354(P2012−537354)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066501
【国際公開番号】WO2011/054758
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】