説明

ガス化による凝縮燃料処理方法及び前記方法を実施するためのデバイス

本発明は、その有機成分の熱分解及びガス化による、固体燃料廃棄物を含む凝縮燃料処理のための方法に関する。本発明の方法は、細かく分散していて容易に焼結する燃料を含む燃料の処理に有効に使用することができる。本発明の方法は、酸素含有ガス化剤が逆方向に供給されている反応装置中に凝縮燃料を装荷し、反応装置中で燃料の熱分解を組織化し、その後、高密度の燃料層中で熱分解残留炭素を燃焼/ガス化することにある。反応装置は、回転可傾式炉の形態で具現化され、炉の水平に対する傾斜角は22〜65°に相当し、炉は燃焼工程を安定化するために回転できる。熱分解及びガス化の間に生成された可燃性ガスは、燃料の形態で使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、固体廃棄物を含む凝縮燃料を、その有機成分を高密度層において熱分解及びガス化することによって熱分解生成物及び発電に使用される気体燃料を生成して処理する方法に関する。固体家庭廃棄物(SDW)、石炭、オイルスライム、バイオマスを含む低品位凝縮燃料の処理の問題点は、これらの従来の処分/処理方法が概して非経済的であり、環境フレンドリーではないという欠点があるので、かなり緊急の問題である。凝縮燃料をガス化することによって、環境に配慮した高純度ガス排出を有する改良発電技術を使用することが可能であれば、大きな利点が提供される。
【背景技術】
【0002】
これまでに、シャフトキルン中で酸化ガスに対して向流に流れる固体有機燃料の連続層状ガス化に基づき、燃焼形態において凝縮燃料を処理し燃料ガスを生成する様々な方法が開発されてきた。パイロシェル(pyroshale)処理のために設計されたこの種類のスキームが、米国特許第2,796,390号(EIliot)及び米国特許第2,798,032号(Martin他)において記述されている。
【0003】
固体有機燃料を、ガス化剤に対する向流中でガス化するスキームは、一般に以下のように説明することができる。水及び/又は二酸化炭素を含有する場合もある酸素含有ガス化剤が燃焼ゾーンに供給され、ここで酸素が、固体燃料中のコークス又は半コークス状態の炭素と約900〜1500℃の温度において反応する。ガス化剤は、反応装置に燃料の向流中に入るので、酸化ガスの少なくとも一部は既に炭素が除去された熱固体燃焼生成物の層を予め通過する。このゾーンにおいて固体燃焼生成物は冷却され、ガス化剤は燃焼ゾーンに入る前に加熱される。燃焼ゾーンにおいて、ガス化剤の遊離酸素は完全に消費され、二酸化炭素及び水蒸気を含む熱気体燃焼生成物は、次の還元ゾーンと呼ばれる固体燃料層に入り、ここで二酸化炭素と水蒸気は燃料中の炭素と化学的に反応して、燃焼ガスを生成する。燃焼ゾーン中で加熱されたガスの熱エネルギーは、還元反応において部分的に消費される。ガス流の温度は、ガス流が固体燃料を通過してその熱を固体燃料に与えるので、低下する。酸素不在下で加熱された燃料は、熱分解される。その結果、コークス、熱分解タール、及び燃料ガスが生成される。ガス状生成物は、新しい燃料供給を通過して、ガスを冷却し、燃料を加熱し、その湿分含有量を低下させる。最終的に、炭化水素蒸気、水蒸気及び熱分解タールを含有するガス状生成物(ガス生成物とも呼ばれる)は、次の利用のために引き出される。
【0004】
このスキームは、様々な既知の用途がある。ロシア特許第2−062284号(Manelis他)は、使い古した自動車タイヤの処理を開示している。ロシア特許第2079051号及びロシア特許第2152561号(Manelis他)は、固体家庭廃棄物、オイルスライム及び類似のオイル廃棄物の処理を開示している。後者の場合、反応装置中で、特に供給原料の均一のガス透過性を提供するために、固体の塊状不活性材料が処理燃料と共に反応装置に導入される。キルンガスが、好ましくは空気と混合して、ガス化剤として使用され、ガス化剤中のキルンガスの部分は、燃焼ゾーン温度が1300℃を超えると増加され、燃焼ゾーン温度が800℃未満に低下すると減少する。
【0005】
同時に、重要な問題−すなわち、処理供給材料がガス化されるときの安定した燃焼挙動−が未解決で残されている。処理供給材料は、しばしば不均一なガス透過性を有しているので、熱分解時にケークを形成するために、熱分解及びガス化フロントが、不規則に反応装置部に伝播することもある。「バーンアウト(burnout)」が処理供給物層中に出現することがあり、ここを通って主にガスが通過し、材料が燃焼中に形成された空洞に落ち、同時に実質的なガス不透過領域が形成され得る。その結果、燃焼ゾーン中の温度分布が不均一になり、制御が甘くなる。
【0006】
供給材料の初めから終わりまで燃焼ゾーンの均一な伝播を提供するための廃棄物をガス化する方法が、米国特許第4,732,091号(Gould)において提案されている。この方法は、固体燃料をシャフトキルンの上部に導入することを含む。燃料は、可動式火格子によって水平に分離されている一連のチャンバーを通って制御された速度で移動し、ここで燃料は水蒸気/空気ガス化剤の向流において熱分解され燃焼される。この方法は、処理の過程において廃棄物のルースニングを含み、均一なガス透過性を提供し、処理供給材料の乾燥、熱分解、ガス化、冷却ゾーンへの連続的な均一な移動を提供する。それぞれのゾーンへの燃料供給を制御する方法も同様に提唱されている。しかしながら、従来技術の方法は、主に可動式火格子の存在による欠点を有する。可動式火格子は、必然的に高温ゾーンにおいて早く老朽化する。さらにダスト粒子及びタールが反応装置の移動ユニットに付着し、反応装置の維持を妨げる。
【0007】
ロータリーキルンもまた広く知られている。これらは、セメントの燃焼と廃棄物の燃焼に広範囲に使用されている。キルンの回転は、処理する材料の均一な混合をもたらす。ロータリーキルンは、例えば、1881年9月30日に発行された米国特許第247,322号で教示されているように、ガス化方法に使用されることが知られている。米国特許出願公開第2005/051066号は、ロータリーキルンを使用して、固体燃料をガス/固体並流においてガス化する方法を開示している。米国特許第3,990,865号(Cybriwsky A.& Petersen G.)は、原材料の入口端部が、出口端部より高くなるように配置した若干傾斜したロータリーキルンにおいて実施するガス化方法を開示している。固体炭素含有材料がロータリーキルンに連続的に供給される。キルン中では、600°F(315℃)未満の温度において導入された材料が、予熱ゾーン及び液化ゾーンを通って徐々に1600°F(871℃)まで加熱される。この温度において、材料はそのケーキングの傾向を失い、次いでガス化ゾーンに入り、ここで水蒸気含有酸化媒体を混合層の下で受け入れ、この結果炭化水素を含有する燃焼ガスが形成され、これは燃料が供給されたキルン側から除去される。
【0008】
キルンが回転すると、処理供給物は重力の作用によって効率的に混合される。しかし在来のロータリーキルンにおいて、燃焼工程は主に供給物の表面上で起こる。かかるキルンで実施される実施形態に、高密度多孔質層に典型的である有効な内部相熱交換のための条件を提供できるものはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の困難を克服し、付加的なエネルギー源を使用することなく、低カロリー燃料を含む凝縮燃料の有効な処理を可能にすることである。この目的は、凝縮燃料をガス化する方法において達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、燃料を円筒形反応装置へ供給すること、得られた残留固体が蓄積する反応装置側において酸素含有ガス化剤を反応装置へ供給すること、燃料供給物を反応装置の軸に沿って移動すること、得られた残留固体を反応装置から排出すること、並びに乾燥、熱分解及び燃焼の生成物を、ガス生成物として反応装置から排出することを含み、加熱/乾燥ゾーン、熱分解ゾーン、燃焼(酸化)ゾーン及び冷却ゾーン中に燃料を順次存在するので、ガス化が実施され、ガス流が、順次冷却ゾーン、燃焼ゾーン、熱分解ゾーン及び加熱/乾燥ゾーンを通過する間に、燃料供給物層を通ってろ過される、ガス化によって凝縮有機燃料を処理するための方法を提供する。本発明の重要な顕著な特徴は、高密度層における燃焼プロセスが、水平に対して傾斜した軸の回りで反応装置を回転させることで安定化されることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明による方法は、それぞれのゾーンで実施される以下の基本的段階を含む。第1段階において、固体、ペースト状の液体、場合により固体の非燃焼性成分及び湿分を含む凝縮燃料(これ以降「燃料」と称する)が反応装置に送られ、そこで続いて燃料の乾燥が行われ、次に燃料の燃焼成分の熱分解/ガス化が行われる。酸素を含む酸化ガス(例えば空気)が、ガス流が実質的に反応装置中の燃料供給物の高密度層通って向流に流れるように、得られた残留固体が蓄積する反応装置部を通って反応装置に供給される。燃料は、以下において説明するように反応装置の幾つかのゾーンを通過する。これは最初に乾燥ゾーンを通過し、ここで燃料を通ってろ過されたガス生成物の流れとの熱交換により燃料温度が200℃に上昇する。このゾーンにおいて燃料は乾燥され、ガス流は反応装置からその流れが排出される前に冷却される。このゾーンをガス生成物として通過した後、乾燥、熱分解及びガス化のガス状生成物は反応装置から除去される。次いで燃料は熱分解及びコーキングゾーンに入り、ここでガス流との熱交換により温度は徐々に800℃に上昇し、燃料の燃焼成分は熱分解されてコークスを生成する。コークス化された燃料は、次いで燃焼及びガス化ゾーンに入り、ここで固体相は700〜1400℃の温度を有する。コークスは、加熱された酸化ガスと反応して燃料ガスを生成する。残留固体は冷却ゾーンに入り、ここで残留固体はガス化剤の向流によって、燃焼温度から排出温度に冷却される。向流の酸化ガスは、残留固体の高密度層を通ってろ過され、順々に加熱されて、燃焼ゾーン入る前に燃焼温度近くの温度にまでなる。
【0012】
このゾーンの区分は、幾分自由裁量によるものであることが理解されなければならない。ゾーンは、例えばガス温度、作用材料の含量などに基づき、異なって定義することもできる。特に、米国特許第4,732,091号では、同じゾーンが異なる呼び方をされている。ゾーンの区分が何であれ、基本的特徴は、ガスの向流浸透流及び固体供給材料において酸化ガス(ガス化剤)が残留固体上で予熱され、加熱されたガス状燃焼生成物が、これら自身の熱をさらに原燃料に伝達することである。
【0013】
本発明は、ロータリーキルンに典型的な、反応装置が回転するときの重力の作用によって、処理材料が混合しながら結合される高密度層でのプロセスによって有利に提供される、効率的な内部相熱交換を可能にする。
【0014】
高密度層における有効な向流ガス化及び反応装置中の燃焼工程の安定化という目的を達成するために、凝縮燃料が、反応装置中に燃料供給物の高密度の層を形成するように、円筒形反応装置へ供給される。酸素含有ガス化剤が、得られた残留固体が蓄積する反応装置部に供給され、燃料は、各ゾーンにおいて予め定められた時間保持される反応装置の軸に沿った燃料の移動に対して逆方向に高密度の燃料層を通ってろ過されるガス流において、引き続いて乾燥、熱分解、燃焼、ガス化及び冷却ゾーンを通過することによって反応装置中でガス化される。反応装置における燃焼プロセスを安定化させ、高密度の層厚にわたり上述のゾーンにおける等しい燃料の保持時間を提供するために、円筒形反応装置は、その軸が水平に対してある角度傾斜させて搭載されて回転し、垂直方向に反応装置の軸に沿って注がれる材料が、低密度材料がバーンアウトしたときに形成されるボイドを充填する。ガス化剤は円筒形反応装置の下端において供給され、一方ガス生成物は反対側の端部から除去される。
【0015】
円筒形反応装置の軸は、水平に対して22から65度の角度で傾斜している。傾斜角度が下限値よりも小さいと、塊状材料が傾斜反応装置中で高密度層を形成しない。逆に、ガスがその上を流れる固体燃料の層が形成される。ガス流は燃料を通ってろ過されないので、その結果高密度層におけるガス化の主要な利点、すなわち、高度に能率的な内部相での熱交換は実現せず、そして反応装置部にわたって均一なプロセスも提供されない。上述の範囲を超える傾斜角度では、「バーンアウト」の場合に固体材料が適切に混合されない。
【0016】
反応装置に軸に沿った燃料移動及び均一な燃焼ゾーン構成のための最適な条件の組合せは、水平に対する反応装置の軸の傾斜角が40から50度で達成される。
【0017】
好ましくは、燃焼ゾーンにおける材料の混合を提供するために反応装置の回転時間は、十分に小さくなければならない。これは、より短い長さの反応装置における本発明の方法の実施を可能にする。燃焼ゾーンにおける全材料容積を通して効率的な回転効果を達成するためには、反応装置の軸に沿った燃焼ゾーンの寸法が、一桁だけ反応装置の流動部の直径D(m)を超えないならば、反応装置の十分な回転速度が提供されるはずである。排出残留固体の体積速度がV(m/h)の場合、燃焼ゾーンに残留固体を保持する平均時間は、約πD/4V(時間)である。材料が燃焼ゾーンに止まっている間に、3回以上の材料の混合を提供するために、反応装置回転時間Tは、好ましくは約D/4V(時間)以下でなければならない。
【0018】
処理燃料は、塊状材料であって、ろ過するガス流に十分に透過性であることが好ましい。燃料の透過性が不十分で、特に細かく分散した、液体又はペースト状の燃料を処理する場合、非燃焼性の固体塊状材料が燃料と一緒に反応装置に供給されて、反応装置中の燃料供給物の均一なガス透過性を提供し、「バーンアウト」の場合の燃焼ゾーンにおける材料の混合状態を改良する。液体又はペースト状材料を処理する場合、これらを反応装置に供給する前に固体塊状材料と予め混合することは必須ではない。これは反応装置の回転によって均一な混合が得られることが理由である。熱分解及び燃焼ゾーンにおける材料の混合状態を得るために、供給物に加えられる固体不活性材料は、処理燃料の密度とは異なる密度を有していることが好ましい。
【0019】
この方法は、供給装置、円筒形反応装置、排出ユニット、ガス化剤供給ユニット、ガス生成物出口、反応装置を回転するための駆動体、回転中の反応装置のガス気密性を提供するシールを含む、凝縮固体燃料をガス化するためのデバイスにおいて実施され、ここで円筒形反応装置は、その軸が水平に対して22から65度傾斜するように設けられており、供給装置及びガス生成物出口は反応装置の上部に配置されており、一方排出ユニット及びガス化剤供給ユニットは、反応装置の下部に配置されている。回転反応装置の水平に対する傾斜は、40から50度であることが好ましい。
【0020】
燃料を反応装置が回転しているときに反応装置の軸に沿って移動させるためには、残留固体の反応装置からの排出を制御する必要がある。これは、反応装置が回転しているときに、反応装置側壁の孔からの固体塊状材料の自然吐き出しによって行うことが好ましい。孔の寸法及び数は、回転当たり吐き出される固体材料部分が、所望の材料排出容積に合致するように選択される。反応装置部にわたって残留固体の均一な排出を提供するためには、反応装置内径の半分を超えない長さ寸法を有する、少なくとも2つの孔がなければならない。残留固体は反応装置から排出ユニットへ自由落下し、ロックすなわち油圧鎖錠などで、デバイスの気密性を維持して残留固体の取出しを行う。
【0021】
反応装置側面の孔は、制御シャッターなどの自由通過変動手段を備えていることが好ましい。
【0022】
別の方法として、反応装置は反応装置の軸に沿って開口部を有する円錐を通して排出することができ、この円錐は反応装置の下部に取付けられており、開口部直径は、反応装置の内径の半分よりも小さい。
【0023】
燃料を連続的に加熱、熱分解、燃焼及び冷却ゾーンに保持するために、円筒形反応装置は十分な長さを有していなければならない。反応装置中のそれぞれのゾーンを配置するために、反応装置の以下の幾何学的寸法関係が順守されなければならない。
L・sinα>3D、
ここで、Lは回転反応装置の長さであり、
αは反応装置の軸の水平に対する傾斜角であり、及び
Dは反応装置の内径である。
【0024】
燃料が、熱分解、燃焼及び排出によって消費されるときに、反応装置中の供給物上部水準を維持するために、実際の水準を(例えば放射線センサーによって)で測定することと、回転反応装置の直径よりも小さな直径を有する垂直シリンダーを有し、このシリンダーの下端が反応装置の上部に延びている供給装置に対して、次の燃料部分を導入するように指令を発することの両方が行われる。供給装置は、燃料が反応装置中で消費されたときに、垂直チューブから燃料を注入することによって、反応装置中の燃料供給物の水準を一定の水準に維持する。
【0025】
図1に図式的に示す以下の実施形態の説明を参照することにより、本発明のより良い理解がなされるであろう。
【0026】
必要な場合には予め粉砕し、必要な場合には非燃焼性固体材料を加えた凝縮燃料Fを、供給ロックチャンバー3を含む供給装置2を通って反応装置1に導く。燃料は、垂直シリンダー4を通って反応装置に入る。処理燃料の水準は、反応装置1を回転させながら、シリンダー4から燃料を注ぎ、燃焼によって消費された材料を充填し、灰を除去することにより反応装置中で一定に維持される。
【0027】
反応装置中で、材料は引き続いて乾燥ゾーン4、熱分解ゾーン6、燃焼ゾーン7及び冷却ゾーン8を通過する。反応装置が回転すると、残留固体Rはシャッター10を備えた孔9を通って吐き出され、次いでこれらは、連続式又はバッチ式に気密性の排出ユニット11(図中では、水圧ロックを図式的に示す)を通って排出される。燃焼ゾーンが反応装置中で同じ位置、すなわち反応装置の中央部、に維持される残留固体の排出速度は、孔9の自由通過、反応装置の回転速度及び反応装置に入る酸化剤の消費の間の関係により提供される。
【0028】
空気Aは、必要な場合には水蒸気と一緒に、コンプレッサー12により反応装置の下部に供給される。ガス生成物Gは、反応装置の上部から放出され、電力設備中での精製及び燃焼を含んでよい、さらなる用途に供される。それぞれのゾーンにおける温度を連続的に測定し、温度が指定された最適範囲からはずれた場合には、制御パラメータ、すなわち反応装置の回転速度、空気取り入れ流速、水蒸気流速を調節する。レベル検出器が、供給装置中の燃料の量が十分かどうかを監視し、燃料が消費されると、新しい燃料部分を、供給ロックチャンバー3を通して供給する。残留固体の排出速度に合致するために、孔9の自由通過が調製される。これらは排出速度が所望の速度を超える場合は増加し、逆の場合は減少する。
【0029】
水平に対してある角度で反応装置が回転していることにより、主に熱分解及び燃焼ゾーンで材料が混合され、ここで燃料の容積が著しく減少し空洞が出現する。水平に対してある角度で反応装置が回転する場合、低密度材料の燃え尽きとして起こる「バーンアウト」は、重力の作用によって落ちてくる未燃焼材料の部分によって充填され、これは反応装置における燃焼プロセスを安定化する。
【0030】
以下の本発明実践の実施例を参照することによって、本発明のより良い理解が得られるであろう。
【実施例】
【0031】
おがくずと破砕された耐火レンガの2:1の比率(重量基準)の混合物を、石英製の実験室規模の反応装置でガス化した。反応装置の軸の水平に対する傾斜角を5から90度に変化させた。直接観察により、22度未満の傾斜角では、空洞が反応装置の上部母線に沿って形成され、この空洞を通ってガス流が燃料表面を通過するので、高密度層を通るガス流のろ過は起こらないことが明らかとなった。反応装置が直立位置の場合、バーンアウトは短い操作時間内で燃料層の反応壁に沿って形成され、バーンアウトの1つは最終的に供給物表面に延長する。この状況では、ガス生成物は反応装置中の供給物表面の上で直接燃焼を開始する。反応装置の軸が垂直からずれると、バーンアウト空洞は反応装置が回転すると徐々に落下してくる。水平に対する軸角度が65度より小さいと、表面へのバーンアウトの上昇は完全に抑制することができ、燃焼ゾーンは反応装置の中央部で安定化することができる。燃焼ゾーンが安定化される角度の全ての範囲内で、ガス生成物の安定した炎燃焼が観察され、残留固体には未燃焼炭素が含まれていなかった。燃焼フロントは、軸の傾斜角度が40から50度で、反応装置の軸に沿った燃焼ゾーンの寸法が、反応装置の直径の半分より大きくないときに、最もよく安定化された。安定化したフロントを提供するために、回転速度は各傾斜角度に関して予め定めた値を超えなければならない。燃焼ゾーンを安定化するために、材料は反応装置の軸に沿って反応装置の直径にほぼ等しい距離を通過するときに少なくとも1回超混合されなければならないと推定されている。
【0032】
従って、本発明は、在来の方法に比べてガス燃料の高い収率と高い出力効率を有する凝縮燃料をガス化するための効率的な方法を提供する。
【0033】
非限定的実施例によって説明された本発明の様々な改良形態が生じ、本発明の概念から逸脱することなく当業者によって容易に行われることが可能なため、本発明は添付の特許請求の範囲を除き限定されると解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による方法の実施形態を実施するためのデバイスの一般的な概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス化を使用する凝縮有機燃料を処理するための方法であって、燃料を円筒形反応装置へ供給すること、得られた残留固体が蓄積する反応装置側において酸素含有ガス化剤を反応装置へ供給すること、燃料供給物を反応装置の軸に沿って移動すること、得られた残留固体を反応装置から排出すること、並びに乾燥、熱分解及び燃焼の生成物を、ガス生成物として反応装置から放出することを含み、加熱/乾燥ゾーン、熱分解ゾーン、燃焼(酸化)ゾーン及び冷却ゾーン中に燃料を順次保持することで、ガス化が実施され、ガス流が、順次冷却ゾーン、燃焼ゾーン、熱分解ゾーン及び加熱/乾燥ゾーンを通過する間に、燃料供給物層を通ってろ過され、前記方法が、水平に対して傾斜している軸を回る反応装置の回転によって、高密度層中の燃焼工程が安定化されることを特徴とする方法。
【請求項2】
軸を回る反応装置の回転速度が、関係T<D/4V(Tは回転期間(時間)であり、Dは反応装置のフロー断面(メートル)であり、Vは、残留固体の反応装置からの体積排出速度(m/時間)である)から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応装置の水平に対する傾斜角が、22から65度の範囲に維持されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
反応装置の水平に対する傾斜角が、40から50度の範囲に維持されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
非燃焼性固体塊状材料が、処理燃料と一緒に反応装置へ導入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
反応装置へ導入される非燃焼性固体塊状材料が、処理燃料の密度とは異なる密度を有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
供給装置、円筒形反応装置、排出ユニット、ガス化剤供給ユニット、ガス生成物出口、反応装置を回転するための駆動体、回転中の反応装置のガス流気密性を提供するシールを含む凝縮燃料を処理するための装置であって、前記円筒形反応装置が、反応装置の軸が水平に対して22から65度の範囲の角度で傾斜するように設けられ、供給装置及びガス生成物出口が反応装置の上部に配置され、排出ユニット及びガス化剤供給ユニットが、反応装置の下部に配置されることを特徴とするデバイス。
【請求項8】
反応装置の水平に対する傾斜角が、40から50度の範囲にあることを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
反応装置の下部の円筒形表面が、反応装置の内径の半分を超えない長さ寸法を有する少なくとも2つの孔を含むことを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
反応装置側面中の孔が、自由通過変動手段、例えば制御シャッターを含むことを特徴とする、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
反応装置の下部円筒形表面が、反応装置の軸に沿って配置され、かつ反応装置の内径の半分より小さな直径を有する開口部を含む円錐を含むことを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。
【請求項12】
反応装置の長さが、L・sinα>3D(Lは反応装置の長さであり、αは反応装置の軸の水平に対する傾斜角であり、Dは反応装置の内径である)の条件を満足することを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。
【請求項13】
供給装置が、反応装置の直径よりも小さな直径を有し、かつ反応装置の上部の内部下端に配置された垂直シリンダーを含むことを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。

【図1】
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【公表番号】特表2009−535478(P2009−535478A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509473(P2009−509473)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【国際出願番号】PCT/RU2007/000200
【国際公開番号】WO2007/126335
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508326390)インスティチュート プロブレム キミチェスコイ フィジーキ ロッシースコイ アカデミー ノーク (アイピーケイエイチエフ アールエイエヌ) (2)
【Fターム(参考)】