説明

ガス検出装置

【課題】ガス検出室内での結露の発生を抑制することができるガス検出装置を提供する。
【解決手段】ガス導入口229から被検出ガスを導入するガス検出室227と、ガス検出室227内に配置され、被検出ガスの濃度を検出可能な検出素子231と、検出素子231に対して信号の入出力が可能なリード線233と、ガス導入口229と対向するようにガス検出室227内に配置された台座234と、を備え、台座234の表面234Aにリード線233が接続されて検出素子231が支持されたガス検出装置において、台座234の表面234Aにおけるリード線233との接続点245を少なくとも覆うとともに、リード線233よりガス導入口229側の位置まで延設されたカバー部材250を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば車両に搭載される燃料電池には、固体高分子電解質膜をアノード電極およびカソード電極で両側から挟んで膜電極構造体を形成し、この膜電極構造体の両側に一対のセパレータを配置して平板状の単位燃料電池(以下、単位セルという。)を構成し、この単位セルを複数積層して燃料電池スタック(以下、燃料電池という。)とするものが知られている。このような燃料電池では、アノード電極とセパレータとの間に燃料ガスとして水素ガスを供給するとともに、カソード電極とセパレータとの間に酸化剤ガスとして空気を供給する。これにより、アノード電極で触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜を透過してカソード電極まで移動し、カソード電極で空気中の酸素と電気化学反応を起こし、発電が行われる。なお、この発電に伴って、燃料電池内部で水が生成される。
【0003】
このような固体高分子膜型燃料電池などの燃料電池において、例えば特許文献1に開示された燃料電池の保護システムでは、燃料電池のカソード極側に配した残存酸化剤排出通路に水素ガス検知器(水素ガス濃度センサ)を設け、固体高分子膜型燃料電池の電解質膜である高分子イオン交換膜に含水量不足の部分が発生した際に、アノード極側からカソード極側に水素ガスが漏洩していることを検知している。そして、水素ガスの漏洩を検知した際には、燃料電池供給燃料を遮断している。
【0004】
この水素ガス濃度センサとして、例えば白金などの触媒からなる検出素子と温度補償素子とを備えたガス接触燃焼式のものが知られている。検出素子の触媒が水素ガスとの接触により燃焼すると、検出素子の温度が上昇して電気抵抗値が大きくなる。これに対して温度補償素子は、水素ガスとの接触による発熱がなく電気抵抗値も大きくならない。この検出素子と温度補償素子との電気抵抗値の差を利用することにより、水素濃度を検出することができるように構成されている。
【特許文献1】特開平6−223850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した燃料電池の保護システムにおいては、燃料電池から排出される水分を含んだ高湿度のオフガスによって、オフガスの流路内に配置された水素ガス濃度センサに結露水が付着する場合がある。
以下に、具体的に説明する。水素ガス濃度センサのガス導入口からオフガスがガス検出室内に導入され、ガス検出室内に配置された検出素子にてオフガス中の水素ガス濃度を検出する。検出素子にはリード線が接続され、リード線はガス導入口と対向するようにガス検出室内に配置された台座に接続されている。ここで、台座表面はガスの流れ方向に対して垂直な面で構成されているため、台座表面に多量の結露水が付着する。台座とリード線との接続点に結露が発生すると、結露水がリード線を伝って検出素子に付着する。
水素ガス濃度センサの検出素子に結露水が付着すると、水素ガス濃度センサの劣化や故障などが発生する虞がある。特に上述した固体高分子膜型燃料電池では、通常作動温度が水の蒸気化温度よりも低く、オフガス中の水分が水素ガス濃度センサに結露しやすくなっている。
【0006】
また、上述したガス接触燃焼式の水素ガス濃度センサをカソードオフガスの流路内に設けた場合には、検出素子に加湿水や反応生成水などが付着した状態で通電、停電が繰り返されることになり、センサ内部の素子通電部に腐食や短絡などが発生する虞がある。また、水分の付着により出力が不安定になる虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、ガス検出室内での結露の発生を抑制することができるガス検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、ガス導入口(例えば、実施形態におけるガス導入口229)から被検出ガスを導入するガス検出室(例えば、実施形態におけるガス検出室227)と、該ガス検出室内に配置され、前記被検出ガスの濃度を検出可能な検出素子(例えば、実施形態における検出素子231)と、該検出素子に対して信号の入出力が可能なリード線(例えば、実施形態におけるリード線233)と、前記ガス導入口と対向するように前記ガス検出室内に配置された台座(例えば、実施形態における台座234)と、を備え、該台座の表面(例えば、実施形態における表面234A)に前記リード線が接続されて前記検出素子が支持されたガス検出装置(例えば、実施形態における水素ガス濃度センサ204)において、前記台座の表面における前記リード線との接続点(例えば、実施形態における接続点245)を少なくとも覆うとともに、前記リード線より前記ガス導入口側の位置まで延設されたカバー部材(例えば、実施形態におけるカバー部材250)を備えていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載した発明は、前記カバー部材には、前記ガス導入口から前記検出素子に向かって前記被検出ガスを導入する導入孔(例えば、実施形態における導入孔246)が形成され、前記導入孔は、前記検出素子側から前記ガス導入口側にかけて拡径されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載した発明は、前記ガス導入口には、該ガス導入口を覆うフィルタ(例えば、実施形態における焼結フィルタ252)が設けられ、前記ガス検出室に、該ガス検出室内を加温するヒータ(例えば、実施形態におけるヒータ260)が設けられ、前記カバー部材は、前記フィルタに接する位置まで延設されており、前記ヒータが、前記フィルタの周縁部に連結配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載した発明によれば、ガス検出室内において、ガスの流れ方向と直交する方向に形成された台座の表面にカバー部材を設けることにより、台座の水平面を減少させることができるため、検出素子の近傍における結露の発生を抑制することができる効果がある。また、台座とリード線との接続点に結露が発生すると、結露水がリード線を伝って検出素子に付着していたが、台座とリード線との接続点を少なくとも覆うようにカバー部材を設けることにより、接続点において結露が発生するのを防止することができる。また、カバー部材をリード線が配置された位置よりガス導入口側の位置まで延設することにより、ガス検出室内にて発生した結露水をガス導入口側へ案内することができる。したがって、結露水が検出素子に付着するのを防止することができる効果がある。
【0012】
一般的にガス検出装置のガス導入口には、ガス導入口を閉塞するように各種フィルタが設けられている。ガス検出室内で発生した結露水が、このフィルタにおけるガス導入可能領域に付着すると、フィルタが目詰まりして被検出ガスの導入が困難になる虞がある。
これに対して、請求項2に記載した発明によれば、カバー部材に形成された導入孔のガス導入口側を拡径しているため、フィルタにおけるガス導入可能領域を拡大することができる。したがって、フィルタの目詰まりを防止することができる効果がある。また、フィルタの目詰まりを防止することができるため、被検出ガスをガス検出室内に確実に導入することができ、被検出ガスの濃度を確実に検出することができる効果がある。
【0013】
請求項3に記載した発明によれば、導入孔の壁面を伝って落下してきた結露水をヒータが配置されたフィルタの周縁部近傍まで案内することができ、フィルタをヒータにより加温することで、フィルタに付着した水分を確実に揮発させることができる。したがって、結露水の液滴によるフィルタの目詰まりを防止することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第一実施形態)
次に、本発明の第一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
(燃料電池システム)
図1は、燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、燃料電池1は、水素ガスなどの燃料ガスと空気などの酸化剤ガスとの電気化学反応により発電を行うものである。そこで、燃料電池1の燃料ガス供給用連通孔(燃料ガス流路51の入口側)には燃料ガス供給配管113が連結され、その上流端部には水素タンク130が接続されている。また、燃料電池1の酸化剤ガス供給用連通孔(酸化剤ガス流路52の入口側)には酸化剤ガス供給配管121が連結され、その上流端部にはエアコンプレッサ102が接続されている。なお、燃料電池1のアノードオフガス排出用連通孔(燃料ガス流路51の出口側)にはアノードオフガス回収配管111が連結され、カソードオフガス排出用連通孔(酸化剤ガス流路52の出口側)にはカソードオフガス排出配管122が連結されている。
【0015】
水素タンク130から燃料ガス供給配管113に供給された水素ガスは、レギュレータにより減圧された後、エゼクタ106を通り、アノード加湿器107により加湿されて、燃料電池1の燃料ガス流路51に供給される。また、水素タンク130の下流側近傍には、電磁駆動式の遮断弁105が設けられており、水素タンク130からの水素ガスの供給を遮断することができるように構成されている。アノードオフガスは、アノードオフガス回収配管111を通ってエゼクタ106に吸引され、水素タンク130から供給される水素ガスと合流し、再び燃料電池1に供給されて循環するように構成されている。
なお、アノードオフガス回収配管111は、電磁駆動式のパージ弁108を介して、アノードオフガス排出配管112に接続されている。
【0016】
一方、空気はエアコンプレッサ102によって加圧され、カソード加湿器103で加湿されて、酸化剤ガス供給配管121を通過した後、燃料電池1の酸化剤ガス流路52に供給される。この空気中の酸素が酸化剤として発電に供された後、燃料電池1からカソードオフガスとして排出され、背圧弁104を介して大気に放出される。
【0017】
ここで、カソードオフガス排出管122における背圧弁104の上流側に、水素ガス濃度センサ204が設けられている。この水素ガス濃度センサ204の構成については、後に詳述する。水素ガス濃度センサ204からの出力は、制御装置110へ伝達され、その出力に基づいて、例えば遮断弁105を遮断して、燃料電池システム100への水素ガスの供給を遮断できるように構成されている。
【0018】
制御装置110は、燃料電池1に要求される出力に応じて、遮断弁105を制御して水素タンク130から所定量の水素ガスを燃料電池1に供給するとともに、パージ弁108を制御して、アノードオフガスの排出量を調整できるように構成されている。また、制御装置110は、燃料電池1に要求される出力に応じて、エアコンプレッサ102を駆動して所定量の空気を燃料電池1に供給するとともに、背圧弁104を制御して酸化剤ガス流路52への空気の供給圧力を調整できるように構成されている。
【0019】
(水素ガス濃度センサ)
図2〜図4は水素ガス濃度センサの説明図であり、図2は平面図であり、図3は図2のB−B線に沿う側面断面図であり、図4は図3のC部拡大図である。
図2に示すように、水素ガス濃度センサ204は、例えばガス接触燃焼式の水素ガス濃度センサとされ、略直方体形状のケース221を備えている。ケース221は、フランジ部222のカラー223内にボルト224を挿入して、カソードオフガス排出管122に設けられた取付座225に締め付け固定されている。
【0020】
図3に示すように、ケース221内には、回路基板230が配置されている。また、ケース221の下面には筒状部226が形成されている。筒状部226の外周面にはシール材235が取り付けられ、カソードオフガス排出管122の貫通孔122aの内周壁に密接して気密性を確保している。そして、筒状部226の内側がガス検出室227になっている。なお、筒状部226の先端にガス導入口229が形成され、そのガス導入口229がカソードオフガス排出管122の上面に開口している。
【0021】
図4に示すように、筒状部226の内壁を覆うように断熱材243が設けられている。また、ガス導入口229を構成している開口を閉塞するように二種類のフィルタが積層配置されている。フィルタは、カソードオフガス排出管122側(ガス検出室の外側)に配置された撥水フィルタ251と、撥水フィルタ251の上方(ガス検出室の内側)に配置された焼結フィルタ252とで構成されている。撥水フィルタ251は、カソードオフガス排出管122からガス検出室227内へとカソードオフガス(被検出ガス)を取り込む際に、カソードオフガスに含有されている水滴を除去するためのものである。また、焼結フィルタ252は、ガス検出室227内で、水素ガスと検出素子231の触媒とが接触して燃焼したときの防爆用に設けられたフィルタである。
【0022】
さらに、ガス検出室227の底面227Aには、その底面227Aの略中央部に対応した位置に貫通孔236が形成されたリング状の台座234が配置されている。台座234の表面234Aは水平方向に沿うように平坦に形成されている。また、台座234は樹脂材で形成されている。台座234の表面234Aから複数のリード線233が立設している。リード線233は、回路基板230と検出素子231または温度補償素子232との間を電気的に接続し、信号の入出力ができるように構成されている。具体的には、回路基板230からガス検出室227へ向かって一対のリード線233が垂直方向に延設され、台座234の表面234Aからリード線233が突出するように立設されている。リード線233は台座234の表面234Aから突出した直後に略直角に折曲され、水平方向に延設されている。一対のリード線233は、互いに接近するように水平方向に延設され、台座234の貫通孔236の下方に配置された検出素子231または温度補償素子232に対して電気的に接続されている。これにより、検出素子231または温度補償素子232が空中に支持されている。ここで、接続点245において、リード線233は電着してもよい。
【0023】
ここで、台座234の表面234Aを覆うようにカバー部材250が設けられている。カバー部材250は、被検出ガスを導入するための導入孔246が形成されたリング状の部材である。導入孔246は、台座234の貫通孔236に対応した位置で、ガス導入口229から検出素子231が配置された側に向かって、カバー部材250を貫通するように形成されている。カバー部材250の導入孔246の内面には、台座234の内周壁237から連続するように壁部247が構成されている。導入孔246の壁部247は、検出素子231側からガス導入口229側にかけて拡径するように傾斜している。さらに、壁部247は、焼結フィルタ252に接する位置まで延設されている。つまり、カバー部材250で台座234とリード線233との接続点245を覆い、壁部247はリード線233の取付位置よりも鉛直方向下方まで延設されている。なお、カバー部材250は、樹脂材で形成されている。
【0024】
図2に戻り、一対のリード線233の先端には検出素子231が架設され、他の一対のリード線233の先端には温度補償素子232が架設されている。これらのリード線233は、回路基板230に接続されており、検出素子231および温度補償素子232に対する通電部として機能する。検出素子231および温度補償素子232は、所定間隔を置いて平行に配置され、台座234から同じ高さに配置されている。
【0025】
検出素子231は、触媒を坦持したアルミナなどにより、コイルの表面を被覆して形成されている。触媒は、被検出ガスである水素ガスに対して活性な貴金属(例えば白金)などからなる。コイルは、電気抵抗に対する温度係数が高い白金などを含む金属線からなる。これに対して、温度補償素子232は、被検出ガスに対して不活性とされ、例えば検出素子231と同等のコイルの表面を、触媒を坦持しないアルミナなどで被覆して形成されている。
【0026】
検出素子231の触媒は、水素ガスとの接触により燃焼する。これにより、検出素子231の温度が上昇して電気抵抗値が増加する。この検出素子231の電気抵抗値は、水素ガスの濃度に対応して増加することになる。これに対して温度補償素子232は、水素ガスとの接触による発熱がなく、電気抵抗値も増加しない。これにより、検出素子231と温度補償素子232との間に電気抵抗値の差が生じる。この電気抵抗値の差を利用することにより、水素濃度を検出することができるようになっている。
【0027】
そして、予め設定された閾値を超える濃度の水素ガスが、この水素ガス濃度センサ204によって検出された場合には、制御装置110により燃料ガスの供給を遮断するなどの措置がとられるようになっている。
【0028】
(作用)
このように構成した水素ガス濃度センサ204は、ガス導入口229からカソードオフガスを導入する。カソードオフガスには液滴が含有されており、撥水フィルタ251を通過する際に、その液滴を除去することができる。撥水フィルタ251および焼結フィルタ252を通過したカソードオフガスが、ガス検出室227に導入される。カソードオフガスは、導入孔246を通過して、その奥に取り付けられている検出素子231と接触する。
【0029】
ところで、ガス検出室227内に導入されたカソードオフガスは、撥水フィルタ251で液滴は除去されるものの、水蒸気は通してしまう。したがって、ガス検出室227内に結露が生じることがある。
【0030】
従来技術に係る水素ガス濃度センサでは、ガスの流れ方向に対して垂直な台座表面(水平面)に、多量の結露水が付着していた。本実施形態では、ガス検出室227内において、ガスの流れ方向と直交する方向に形成された台座234の表面234Aにカバー部材250を設けることにより、台座234の水平面を無くしたため、検出素子231の近傍における結露の発生を抑制することができる。
【0031】
さらに、結露は、ガス検出室227の底面227A、台座234の内周壁237およびカバー部材250の壁部247に発生するが、台座234とリード線233との接続点245を覆うようにカバー部材250を設け、かつ、カバー部材250の壁部247を、リード線233の位置よりも下方まで延設しているため、上記箇所に発生した結露水は、壁部247を伝ってガス導入口229側へと導かれる。したがって、結露水がリード線233を伝って、検出素子231に付着する量を抑制することができる。
【0032】
本実施形態によれば、ガス導入口229から被検出ガスを導入するガス検出室227と、ガス検出室227内に配置され、被検出ガスの濃度を検出可能な検出素子231と、検出素子231に対して信号の入出力が可能なリード線233と、ガス導入口229と対向するようにガス検出室227内に配置された台座234と、を備え、台座234の表面234Aにリード線233が接続されて検出素子231が支持された水素ガス濃度センサ204において、台座234の表面234Aにおけるリード線233との接続点245を覆うとともに、リード線233よりガス導入口229側の位置まで延設されたカバー部材250を設けた。
【0033】
このように構成したため、ガス検出室227内において、ガスの流れ方向と直交する方向に形成された台座234の表面234Aにカバー部材250を設けることにより、台座234の水平面を無くすことができるため、検出素子231の近傍における結露の発生を抑制することができる。また、台座234とリード線233との接続点245に結露が発生すると、結露水がリード線233を伝って検出素子231に付着していたが、台座234とリード線233との接続点245を覆うようにカバー部材250を設けることにより、接続点245において結露が発生するのを防止することができる。また、カバー部材250をリード線233が配置された位置よりガス導入口229側の位置まで延設することにより、ガス検出室227内にて発生した結露水をガス導入口229側へ案内することができる。したがって、結露水が検出素子231に付着するのを防止することができ、水素ガス濃度センサ204の劣化や故障などを発生しにくくすることができる。
【0034】
また、カバー部材250に、ガス導入口229から検出素子231に向かって被検出ガスを導入する導入孔246を形成し、導入孔246を、検出素子231側からガス導入口229側にかけて拡径した。
【0035】
一般的に水素ガス濃度センサ204のガス導入口229には、ガス導入口229を閉塞するようにフィルタ(撥水フィルタ251および焼結フィルタ252)が設けられている。ガス検出室227内で発生した結露水が、このフィルタにおけるガス導入可能領域に付着すると、フィルタが目詰まりして被検出ガスの導入が困難になる虞がある。これに対して、本実施形態では、カバー部材250に形成された導入孔246のガス導入口229側を拡径しているため、フィルタにおけるガス導入可能領域を拡大することができる。したがって、フィルタの目詰まりを防止することができる。また、フィルタの目詰まりを防止することができるため、被検出ガスをガス検出室227内に確実に導入することができ、被検出ガスの濃度を確実に検出することができる。
【0036】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について図5に基づいて説明する。なお、本実施形態は第一実施形態と水素ガス濃度センサにヒータを備えている点が異なるのみで、その他の構成は第一実施形態と略同等であるため、同一箇所に同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
(水素ガス濃度センサ)
図5は、本実施形態における図3のC部に相当する部分の拡大図である。
図5に示すように、水素ガス濃度センサ304における筒状部226の内壁を覆うように断熱材243が設けられている。ここで、断熱材243を覆うようにヒータ260が断熱材243の内周面に沿って設けられている。なお、ヒータ260は、断熱材243の内周面の一部を覆うように配置されていてもよい。
【0038】
また、ガス導入口229を構成している開口を覆うように撥水フィルタ251および焼結フィルタ252が積層配置されている。ここで、ヒータ260は、ガス検出室227の底面227Aから焼結フィルタ252の側面に接する位置まで延設されている。つまり、ヒータ260により焼結フィルタ252を直接加温することができるように構成されている。なお、ヒータ260により撥水フィルタ251も間接的に加温することができる。
【0039】
(作用)
このように構成した水素ガス濃度センサ304では、撥水フィルタ251および焼結フィルタ252を通過したカソードオフガスが、ガス検出室227に導入される。ところで、ガス検出室227に導入されたカソードオフガスは、撥水フィルタ251で水滴は除去されるものの、水蒸気は通してしまう。したがって、ガス検出室227内で結露が生じることがある。しかしながら、本実施形態においてはヒータ260でガス検出室227内を加温しているため、結露の発生を抑制することができる。
【0040】
また、ガス検出室227の底面227A、台座234の内周壁237およびカバー部材250の壁部247に発生した結露水は、壁部247を伝ってガス導入口229側の焼結フィルタ252の周縁部近傍まで導かれ、焼結フィルタ252に付着する。ここで、焼結フィルタ252の周縁部にはヒータ260が配置され、ヒータ260により焼結フィルタ252を加温することができるため、結露水を焼結フィルタ252において揮発させることができる。
【0041】
本実施形態によれば、ガス検出室227に、ガス検出室227内を加温するヒータ260を設けた。
このように構成したため、第一実施形態の効果に加えて、ヒータ260によりガス検出室227内を加温することができ、ガス検出室227内における結露の発生量を抑制することができる。
【0042】
また、ガス導入口229には、ガス導入口229を覆う焼結フィルタ252を設け、カバー部材250の壁部247は、焼結フィルタ252に接する位置まで延設され、ヒータ260を、焼結フィルタ252と連結配置されるように配置した。
【0043】
このように構成したため、カバー部材250の壁部247(導入孔246の壁面)を伝って落下してきた結露水をヒータ260が配置された焼結フィルタ252の周縁部近傍まで案内することができ、焼結フィルタ252をヒータ260により加温することで、焼結フィルタ252に付着した水分を確実に揮発させることができる。したがって、結露水の液滴による焼結フィルタ252の目詰まりを防止することができる。なお、焼結フィルタ252と積層配置されている撥水フィルタ251に関しても、ヒータ260により間接的に加温されるため、焼結フィルタ252と同様に液滴を揮発させることができる。したがって、フィルタ(焼結フィルタ252および撥水フィルタ251)が目詰まりすることなく、カソードオフガスをガス検出室227内に確実に導入することができる。
【0044】
尚、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な構造や材料などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態において、カバー部材の壁部をガス検出室内において傾斜するように形成したが、傾斜を設けず垂直方向に平行な壁部で構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態における燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態における水素ガス濃度センサの平面図である。
【図3】図2のB−B線に沿う断面図である。
【図4】図3のC部拡大図である。
【図5】本発明の第二実施形態における水素ガス濃度センサの部分拡大図である。
【符号の説明】
【0046】
204…水素ガス濃度センサ(ガス検出装置) 227…ガス検出室 229…ガス導入口 231…検出素子 233…リード線 234…台座 245…接続点 246…導入孔 250…カバー部材 252…焼結フィルタ(フィルタ) 260…ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス導入口から被検出ガスを導入するガス検出室と、
該ガス検出室内に配置され、前記被検出ガスの濃度を検出可能な検出素子と、
該検出素子に対して信号の入出力が可能なリード線と、
前記ガス導入口と対向するように前記ガス検出室内に配置された台座と、を備え、
該台座の表面に前記リード線が接続されて前記検出素子が支持されたガス検出装置において、
前記台座の表面における前記リード線との接続点を少なくとも覆うとともに、前記リード線より前記ガス導入口側の位置まで延設されたカバー部材を備えていることを特徴とするガス検出装置。
【請求項2】
前記カバー部材には、前記ガス導入口から前記検出素子に向かって前記被検出ガスを導入する導入孔が形成され、
前記導入孔は、前記検出素子側から前記ガス導入口側にかけて拡径されていることを特徴とする請求項1に記載のガス検出装置。
【請求項3】
前記ガス導入口には、該ガス導入口を覆うフィルタが設けられ、
前記ガス検出室に、該ガス検出室内を加温するヒータが設けられ、
前記カバー部材は、前記フィルタに接する位置まで延設されており、
前記ヒータが、前記フィルタの周縁部に連結配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガス検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−292356(P2008−292356A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139194(P2007−139194)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】