説明

ガス混合装置

【課題】少なくとも二種類のガスを供給しつつ、良好な混合ガスを構成することができるガス混合装置を提供する。
【解決手段】ガス混合装置Aは、少なくとも二種類のガスが供給される供給口7aと、供給口7aに連続して設けられ供給された少なくとも二種類のガスを混合する螺旋状のガス混合部10と、ガス混合部10に連続して設けられ少なくとも二種類のガスが混合した混合ガスが一時滞留する滞留室11と、滞留室11に設けられ滞留した混合ガスが噴射する穴13と、穴13と対向して設けられ噴射した混合ガスが衝突する第2の筒体3と、第2の筒体3を含み混合ガスが通過する混合ガス通路14、15と、混合ガス通路14、15の末端に配置された混合ガス排出口5aと、を有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも二種類のガスを混合させるガス混合装置に関し、特に、分子量或いはガス比重が大きく異なる二種類のガスを混合する際に用いて有利なガス混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
少なくとも二種類のガスを混合させて特定の作業を行うことは一般的に行われている。例えば、ガス切断トーチの場合、酸素ガスと、アセチレンガスや液化石油ガス等の燃料ガスと、の二種類のガスを混合させた混合ガスを燃焼させた火炎で鋼板を加熱している。またプラズマ切断トーチの場合、酸素ガスと窒素ガス、或いは酸素ガスとアルゴンガス、を混合させた混合ガスをプラズマガスとして供給することでプラズマアークを形成することが行われている。このようなガスを混合させる機構は、インジェクターを用いるのが一般的である。
【0003】
本件出願人は、鋼板に代表される被切断材をプラズマ切断する際に、周期表第2周期までのハロゲンガス及び希ガス並びに水素ガスの中から選択された1又は複数種のガスと、酸素又はアルゴン又は窒素を含むガスと、の混合ガスからなるプラズマガスによってプラズマアークを形成し、酸素又はアルゴン又は窒素を含むガスを主成分とするプラズマアークに添えて周期表第2周期までのハロゲンガス及び希ガス並びに水素ガスの中から選択された1又は複数種のガスを噴射することで、切断に伴って発生するヒュームを軽減させるプラズマ切断方法を開発した。
【0004】
上記発明を実施するに際し、例えばプラズマガスとしてヘリウムガスと酸素ガスとの混合ガスを利用した場合、ヘリウムガスと酸素ガスとの混合状態に応じてヒュームの発生状態が変化することが判明した。即ち、両ガスが良好に混合しているとヒュームの軽減をはかることができるものの、混合状態が良くない場合、ヒュームの発生が多くなったり、プラズマアークが安定しないという問題が生じた。
【0005】
このため、ヘリウムガスと酸素ガスを良好な状態で混合させるべく、幾つかのインジェクターを構成して実験したが、これらのように分子量が大きく異なる二種類のガスをインジェクターで混合することは困難であった。現在では、予め設定された比率でヘリウムガスと酸素ガスをボンベに充填し、このボンベを30分〜1時間回転させることで両ガスを混合させ、前記ボンベからプラズマ切断トーチに混合ガスを供給してプラズマ切断を行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の如く、二種類のガスをボンベに充填して回転させて混合させるのでは、充填したボンベを回転させるための設備や面積、時間等多くの要因が存在し、コストの上昇を避けることができないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、少なくとも二種類のガスを供給しつつ、良好な混合ガスを構成することができるガス混合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係るガス混合装置は、少なくとも二種類のガスが供給される供給口と、前記供給口に連続して設けられ供給された少なくとも二種類のガスを混合する螺旋状のガス混合部と、前記ガス混合部に連続して設けられ少なくとも二種類のガスを混合した混合ガスが一時滞留する滞留室と、前記滞留室に設けられ滞留した混合ガスが噴射する穴と、前記穴と対向して設けられ噴射した混合ガスが衝突する障壁と、前記障壁を含み該障壁に衝突した混合ガスが通過する混合ガス通路と、前記混合ガス通路の末端に配置された混合ガス排出口と、を有して構成されるものである。
【0009】
上記ガス混合装置に於いて、一端が閉塞された第1の筒体に外周に螺旋状の溝を形成した混合部材を閉塞された一端との間に隙間を設けて嵌合すると共に他端の開口部に供給口を接続することで螺旋状のガス混合部と滞留室とを形成し、前記第1の筒体に形成した滞留室の側壁に穴を形成し、前記第1の筒体を第2の筒体に嵌合して第1の筒体の外周面と第2の筒体の内周面とによって供給口側に向かう第1の混合ガス通路を形成し、前記第2の筒体を第3の筒体に嵌合して第2の筒体の外周面と第3の筒体の内周面とによって前記第1の混合ガス通路と連続し且つ供給口から離隔する方向に向かう第2の混合ガス通路を形成し、更に、前記第2の混合ガス通路の末端に混合ガス排出口を設けて構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るガス混合装置では、供給口から供給された少なくとも二種類のガスは、該供給口に連続して設けられた螺旋状のガス混合部を通過する過程で混合されて滞留室に滞留する。その後、混合ガスは滞留室に設けられた穴から混合ガスが噴射して障壁に衝突することでより混合が進行し、混合ガス通路を経て混合ガス排出口から排出される。
【0011】
ガス混合部が螺旋状に形成されているため、ガスが通過する過程でこのガス混合部の壁面に対して衝突し混合が促進される。また、ガス混合部による混合が終了した混合ガスは、滞留室に設けた穴から噴射して障壁に衝突して更に混合が促進される。このため、良好な混合状態を保持した混合ガスが混合ガス排出口から排出される。
【0012】
特に、本発明に係るガス混合装置では、分子量或いは比重が大きく異なる少なくとも二種類のガスを混合しつつ使用する装置に採用したときに有利である。即ち、これらのガスの供給源から夫々のガスを供給し、供給されたガスをガス混合部に於ける壁面への衝突、及び滞留室から障壁への衝突をさせることによって、これらのガスを良好な状態で混合させて混合ガス排出口から排出することができる。
【0013】
また、ガス混合部と滞留室を、一端が閉塞された第1の筒体に外周に螺旋状の溝を形成した混合部材を、閉塞された一端との間に隙間を設けて嵌合すると共に他端の開口部に供給口を接続することで形成し、第1の筒体に形成した滞留室の側壁に穴を形成し、この第1の筒体を第2の筒体に嵌合して第1の筒体の外周面と第2の筒体の内周面とによって供給口側に向かう第1の混合ガス通路を形成し、第2の筒体を第3の筒体に嵌合して第2の筒体の外周面と第3の筒体の内周面とによって第1の混合ガス通路と連続し且つ供給口から離隔する方向に向かう第2の混合ガス通路を形成し、更に、前記第2の混合ガス通路の末端に混合ガス排出口を設けたので、第1の筒体に混合部材を嵌合することによって、螺旋状のガス混合部と滞留室を形成することができる。そして、第1の筒体を第2の筒体に嵌合し、更に、第2の筒体を第3の筒体に嵌合することによって、第2の筒体の内側から第3の筒体の内側にかけて連続した第1の混合ガス通路と第2の混合ガス通路とを形成し、これにより、長い混合ガス通路を形成することができる。
【0014】
上記の如きガス混合装置では、混合ガスを流通させる通路が二箇所で折り返されることとなり、簡単な構造で充分に長いガスの混合領域を構成することができる。即ち、ガスの混合を促進するのに充分なガス通路の距離(チャンバー)を確保することができる。このため、少なくとも二種類のガスを供給しつつ、これらのガスを混合させて使用する装置に適用したときに有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係るガス混合装置の最も好ましい形態について図を用いて説明する。図1はガス混合装置の構成を説明する断面図である。
【0016】
本実施例に係るガス混合装置Aは、プラズマ切断の際にプラズマアークを形成するプラズマガス、或いはプラズマアークに添えて噴射する二次気流ガスとしてのヘリウムと酸素ガスとの混合ガスのように、分子量が大きく異なる少なくとも二種類のガスを混合させる際に利用して有利なように構成されている。
【0017】
しかし、本発明に係るガス混合装置は上記ヘリウムと酸素ガスのみを対象とするものではなく、他のガス、例えば窒素ガスやアルゴンガス等も対象とすることは当然である。またガスの分子量が大きく異なることも限定するものではなく、窒素ガスと酸素ガスのように比較的分子量が接近したものであっても好ましく混合することが可能である。
【0018】
図に於いて、ガス混合装置Aは、外周面に螺旋状の溝1aが形成された混合部材1と、一端が底部2aによって閉塞され他端に開口2bが形成され内部に混合部材1を嵌合する第1の筒体2と、一端が底部3aによって閉塞され他端に開口3bが形成され内部に第1の筒体2を嵌合する第2の筒体3と、一端が混合ガス排出口となる排出口5aが設けられた閉塞部材5によって閉塞され他端に開口4aが形成され内部に第2の筒体3を嵌合する第3の筒体4と、第1の筒体2の開口2b及び第3の筒体4の開口4aを閉塞するキャップ6と、キャップ6に接続され少なくとも二種類のガスが供給される供給口7aが設けられた供給部材7と、を有して構成されている。
【0019】
混合部材1は第1の筒体2と共にガス混合部10と滞留室11とを構成し、更にキャップ6と共にガス供給室12を構成するものである。このため、混合部材1は第1の筒体2よりも短く形成されており、外周には螺旋状の溝1aが形成され、一方側の端部に当接部1bが形成されている。
【0020】
そして、混合部材1が当接部1b側から第1の筒体2に嵌合され、当接部1bが第1の筒体2の底部2aと当接し、且つ第1の筒体2の開口2bがキャップ6に接続されたとき、溝1aと第1の筒体2の内周面とによって螺旋状のガス混合部10が形成され、第1の筒体2の底部2aと当接した当接部1bの周囲に滞留室11が形成され、更に、第1の筒体2の開口2b側にキャップ6との間にガス供給室12が形成される。
【0021】
混合部材1の外周に形成される溝1aの仕様は特に限定するものではないが、断面が角形であることが好ましい。即ち、溝1aは、角ねじのねじ溝として形成されることが好ましい。また溝1aを角ねじによって形成した場合、該角ねじの条数は限定するものではなく、1条又は複数条であって良い。
【0022】
特に、混合部材1の外周に形成された螺旋状の溝1aによってガス混合部10を構成することで、混合部材1の長さに比較して長い混合攪拌距離を実現することが可能となる。また溝1aを角ねじの谷部によって構成することで、ガス混合部10を流通する際にガスが衝突する壁面を大きくすることが可能である。
【0023】
滞留室11は螺旋状のガス混合部10を経て混合した混合ガスが一時的に滞留するものであり、容量等は特に限定するものではない。
【0024】
第1の筒体2のキャップ6に対する接合方法については限定するものではない。例えば、第1の筒体2及びキャップ6に夫々ねじを形成しておき、両者を締結することで接合することが可能である。また第1の筒体2をキャップ6に接着或いはろう付けすることで接合することも可能である。
【0025】
第1の筒体2の底部2a側の周壁であって内部に構成された滞留室11に対応する部位に穴13が形成されている。この穴13は滞留室11に滞留している混合ガスが噴射するためのものであり、該穴13の数や径は必要とされる混合ガスの流量に対応させて適宜設定されている。
【0026】
本実施例では、穴13として、第1の筒体2の周壁を4等分した位置に夫々直径1mmの穴が形成されている。
【0027】
第2の筒体3は混合部材1を嵌合した第1の筒体2を嵌合し、該第1の筒体2の外周面との間にキャップ6の方向に向けた第1の混合ガス通路14を構成するものである。第2の筒体3は第1の筒体2よりも短く形成されており、底部3aが第1の筒体2の底部2aに一体的に接合されている。
【0028】
このため、第1の筒体2に形成された穴13は第2の筒体3の周壁に対向することとなる。また、第1の混合ガス通路14は、第1の筒体2の底部2a側から該第1の筒体2の外周面に沿ってキャップ6方向に形成される。即ち、第1の混合ガス通路14は、ガス混合部10に於けるガスの流通方向とは反対方向の流路を形成することとなる。更に、第2の筒体3の開口3bとキャップ6との間には隙間が形成されることとなり、該第2の筒体3の内周面側に形成された第1の混合ガス通路14は前記隙間に連通することになる。
【0029】
第2の筒体3を第1の筒体2に一体的に接合する方法は限定するものではなく、両筒体2、3の底部2a、3aに夫々ねじを形成しておき、両者を締結することで接合することが可能である。また第1の筒体2の底部2aに突起を形成すると共に第2の筒体3の底部に該突起を嵌合させる穴を形成しておき、両者を接着して或いはろう付けして接合することも可能である。
【0030】
第3の筒体4は、上記第2の筒体3を嵌合して該第2の筒体3の外周面との間に第2の混合ガス通路15を構成するものである。また第3の筒体4の一端は排出口5aを設けた閉塞部材5によって閉塞されており、他端側の開口4aがキャップ6に一体的に接合されている。
【0031】
即ち、第3の筒体4は両端が開放され、第1の筒体2よりも充分に長い筒によって形成されている。そして、第3の筒体4の一端に閉塞部材5がねじ接合或いは接着、ろう付け等の手段で接合されることで閉塞されている。また、他端側に形成された開口4aがキャップ6に対しねじ接合或いは接着、ろう付け等の手段で一体的に接合されている。
【0032】
第2の筒体3の外周面と第3の筒体4の内周面との間に形成された第2の混合ガス通路15は、キャップ6と第2の筒体3の開口3bとの間に形成された隙間を介して第1の混合ガス通路14と連通する。そして、第1の混合ガス通路14と第2の混合ガス通路15とが、第2の筒体3の内周面側、外周面側に連続して構成されることから、充分に長い距離を持った混合ガス通路として構成される。
【0033】
閉塞部材5の略中央に排出口5aが設けられている。この排出口5aはニップル状に形成されており、例えば図示しないプラズマトーチと接続されたホース或いはチューブを締結することで、少なくとも二種類のガスを混合した混合ガスを供給し得るように構成されている。
【0034】
キャップ6の略中央には供給口7aを設けた供給部材7が締結されている。供給部材7は少なくとも二種類のガスの供給を受け、これらのガスを供給口7aから混合部材1と第1の筒体2との間に構成されたガス供給室12を経てガス混合部10に供給するものである。
【0035】
本実施例では、供給部材7はヘリウムと酸素ガスとエアの三種類のガスの供給を受けることが可能なように構成されており、これらのガスの中から選択された二種類のガス、或いは三種類全てのガスをガス混合部10に供給し得るように構成されている。
【0036】
即ち、供給部材7には、図示しないガスボンベ等の供給源と接続されたヘリウム供給部20と、図示しないエアコンプレッサー或いは工場配管等の供給源と接続されたエア供給部21と、図示しないガスボンベ或いは工場配管等の供給源と接続された酸素ガス供給部22と、が設けられている。
【0037】
また、供給部材7に設けた供給口7aに連通して2つのインジェクター8、9が形成されており、夫々のインジェクター8、9で供給されたガスを吸引して混合し得るように構成されている。
【0038】
インジェクター8は、エア供給部21と連通した第1通路8aと、第1通路8aと同軸上に且つ連通して形成され該第1通路8aよりも径の大きい第2通路8bと、ヘリウム供給部20と連通し第2通路8bの径よりも小さい径を持った第3通路8cと、を有して構成されている。特に、第3通路8cは第1通路8aから第2通路8bに移行する段差部分の近傍に斜めに開口しており、第1通路8aにエアが供給されたとき第3通路8cを吸引し得るように構成されている。
【0039】
上記第2通路8bは該第2通路8bよりも大きい径を持って形成された供給口7aに対し同軸上で直接接続しており、該第2通路8b及び供給口7aがインジェクター9の一部を構成している。またインジェクター9は酸素供給部22と連通した通路9aを有しており、該通路9aが第2通路8bから供給口7aに移行する段差部分の近傍に開口している。このため、第2通路8b或いは通路9aにガスが供給されたとき他方の通路を吸引することが可能である。
【0040】
上記各通路8a〜8c、9aの径は、各ガスの供給圧や最終工程(本実施例ではプラズマ切断トーチ)で必要とされる消費量等の条件に応じて設定される。
【0041】
本実施例では、ヘリウム供給部20とインジェクター8を構成する第2通路8bとは室20aを介して接続されている。しかし、必ずしもヘリウムの供給系に室20aを構成する必要はなく、室20aを介在させることなくインジェクター8或いはインジェクター9に接続しても良いことは当然である。
【0042】
次に、上記の如く構成されたガス混合装置Aを利用して、例えばヘリウムと酸素ガスとの混合ガスを構成し、混合ガスをプラズマ切断トーチに供給する場合について説明する。
【0043】
先ず、供給部材7に設けたヘリウム供給部20、酸素ガス供給部22に夫々の供給源を接続し、エア供給部21を図示しないバルブを利用して遮断し、閉塞部材5に設けた排出口5aと図示しないプラズマ切断トーチとを接続する。
【0044】
その後、ヘリウム及び酸素ガスを夫々図示しない流量計或いは流量調整器等を利用して予め設定された流量のガスを供給する。供給されたヘリウムはインジェクター8の第3通路8c、第2通路8bを経てインジェクター9に至り、同時に供給された酸素ガスは通路9aを経てインジェクター9に至る。そして、インジェクター9で第1段階の混合が行われ、供給口7aからガス供給室12に供給される。
【0045】
ガス供給室12に供給された第1段階の混合ガスは螺旋状に形成されたガス混合部10を流通する。前記第1段階の混合ガスは、ガス混合部10を流通する過程で、該ガス混合部10を構成する螺旋状の溝の壁面と衝突して第2段階の混合が行われる。このとき、ガス混合部10を略垂直に近い壁面を有して構成することによって、第1段階の混合ガスの更なる混合の促進をはかり、第2段階の混合ガスへと移行することが可能である。
【0046】
ガス混合部10を通過した第2段階の混合ガスは滞留室11に一時的に滞留するものの、第1の筒体2に形成された穴13から第1の混合ガス通路14に向けて噴射し、穴13と対向する第2の筒体3の内周面に衝突して第3段階の混合が行われる。前記穴13はノズルとして機能し、第2段階の混合ガスは滞留室11から、障壁として機能する第2の筒体3の内周面に向けて高速で噴射される。このため、第3段階の混合でよりヘリウムと酸素ガスの混合が促進される。
【0047】
第3段階の混合ガスは第1の混合ガス通路14を通ってキャップ6方向へと流通し、その後、第2の混合ガス通路15を通って閉塞部材5方向へと流通する。このように、段3段階の混合ガスは第2の筒体3の内周面側の第1の混合ガス通路14を通ってキャップ6に対応する部位で折り返し、外周面側の第2の混合ガス通路15を通過する。この流通過程で第3段階の混合ガスは安定した混合状態を維持する。
【0048】
第2の混合ガス通路15を通った第3段階の混合ガスは、閉塞部材5に設けた排出口5aから排出され、該排出口5aに接続されたプラズマ切断トーチに供給される。
【0049】
また、ヘリウムと酸素ガスにエアを加えた三種類のガスを混合させる場合、エア供給部21からインジェクター8の第1通路8aに予め流量が設定されたエアを供給することで、該インジェクター8に於いてエアとヘリウムとを混合させ、この混合ガスをインジェクター9に供給した後は、上記と同様にして混合ガスを構成することが可能である。
【0050】
上記の如く、ガス混合装置Aでは、夫々独立して供給された少なくとも二種類のガスを第1段階〜第3段階の混合を経て良好に混合させることが可能である。そして、得られた混合ガスを排出口5aから排出して目的の装置(例えばプラズマ切断トーチ)に供給することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係るガス混合装置では、独立して供給されたガスを流通過程で混合させて目的の装置に供給するような系に利用して有利である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ガス混合装置の構成を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0053】
A ガス混合装置
1 混合部材
1a 溝
1b 当接部
2 第1の筒体
2a 底部
2b 開口
3 第2の筒体
3a 底部
3b 開口
4 第3の筒体
4a 開口
5 閉塞部材
5a 排出口
6 キャップ
7 供給部材
7a 供給口
8、9 インジェクター
8a 第1通路
8b 第2通路
8c 第3通路
9a 通路
10 ガス混合部
11 滞留室
12 ガス供給室
13 穴
1b 当接部
14 第1の混合ガス通路
15 第2の混合ガス通路
20 ヘリウム供給部
21 エア供給部
22 酸素ガス供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二種類のガスが供給される供給口と、前記供給口に連続して設けられ供給された少なくとも二種類のガスを混合する螺旋状のガス混合部と、前記ガス混合部に連続して設けられ少なくとも二種類のガスが混合した混合ガスが一時滞留する滞留室と、前記滞留室に設けられ滞留した混合ガスが噴射する穴と、前記穴と対向して設けられ噴射した混合ガスが衝突する障壁と、前記障壁を含み該障壁に衝突した混合ガスが通過する混合ガス通路と、前記混合ガス通路の末端に配置された混合ガス排出口と、を有することを特徴とするガス混合装置。
【請求項2】
一端が閉塞された第1の筒体に外周に螺旋状の溝を形成した混合部材を閉塞された一端との間に隙間を設けて嵌合すると共に他端の開口部に供給口を接続することで螺旋状のガス混合部と滞留室とを形成し、前記第1の筒体に形成した滞留室の側壁に穴を形成し、前記第1の筒体を第2の筒体に嵌合して第1の筒体の外周面と第2の筒体の内周面とによって供給口側に向かう第1の混合ガス通路を形成し、前記第2の筒体を第3の筒体に嵌合して第2の筒体の外周面と第3の筒体の内周面とによって前記第1の混合ガス通路と連続し且つ供給口から離隔する方向に向かう第2の混合ガス通路を形成し、更に、前記第2の混合ガス通路の末端に混合ガス排出口を設けたことを特徴とする請求項1に記載したガス混合装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−110663(P2010−110663A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282977(P2008−282977)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000185374)小池酸素工業株式会社 (64)
【Fターム(参考)】