説明

ガス測定装置ならびに成形品の製造装置および製造方法

【課題】射出成形等において、金型内に充填された合成樹脂から発生するガスおよび揮発性物質に起因する不具合を安定して抑制し、生産性を高める。
【解決手段】成形用金型10のキャビティ14と連通する配管21と、ガスを真空排気する真空排気手段27と、排気するガス中に含まれる揮発性物質を捕集するフィルタ22とを有する、成形用金型10のキャビティ14内で合成樹脂から発生するガス中の揮発性物質量を測定するガス測定装置20。また、成形用金型10とガス測定装置20を具備する成形品の製造装置1。また、製造装置1を用いた成形品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス測定装置ならびに成形品の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形においては、一般に金型内で合成樹脂から水蒸気、揮発性物質等からなるガスが発生する。合成樹脂から発生したガスは、成形品のガス焼け、合成樹脂の充填不良、フローマーク等を引き起こすため、成形品の外観を低下させるうえ、成形品の品質、機能、生産性に大きな影響を及ぼす。
【0003】
一方、自動車部品や各種OA機器用の合成樹脂の成形品には、製品の外観、耐候性、およびその他の機能性を向上させる目的で、真空蒸着法、スパッタリング法等によって、成形品表面にアルミニウム、クロム等の金属膜を形成するメタライジング処理が施される場合がある。成形品にメタライジング処理を施す方法としては、例えば、下記工程(1)〜(3)を有する方法が挙げられる。
(1)成形品表面の平滑性を高めるため、該成形品表面をベースコート処理した後、形成したベースコート層を焼付け処理する工程。
(2)真空蒸着法等のメタライジング処理により金属膜を形成する工程。
(3)前記金属膜を保護するため、該金属膜にトップコート処理を施し、形成したトップコート層を焼付け処理する工程。
該方法では、工程が煩雑で使用する処理剤も多い。そこで、最近では、工程数の削減、処理コストの低減等を目的として、工程(1)を省略し、成形品表面に直接メタライジング処理を施して金属膜を形成させる、ダイレクト蒸着法が主流になりつつある。しかし、合成樹脂から揮発する揮発性物質が成形用金型内に残留し、得られる成形品の表面に多く付着すると、ダイレクト蒸着法において金属膜の光輝性の阻害、金属膜と成形品との密着不良等の不具合が生じて生産性が低下する。
【0004】
射出成形に使用する金型には、キャビティ内で合成樹脂から発生したガスを除去するために、自然排出型、真空引きによる強制排気型等のベント(ガス抜き)構造が設けられる。また、金型内にガスが残留することにより生じる不具合を抑制するために、以下に示す製造装置(i)〜(iii)が示されている。
(i)合成樹脂を充填するキャビティを有する成形用金型と、該成形用金型から排出されるガスの流量を測定するガス流量計とを備えた製造装置(特許文献1)。
(ii)合成樹脂を充填するキャビティを有する成形用金型と、該成形用金型から排出されるガス量を測定する気体量測定器とを備えた製造装置(特許文献2)。
(iii)合成樹脂を充填するキャビティを有する成形用金型と、成形用金型に充填する合成樹脂の温度および充填圧力を検知する検知器と、該検知器の信号に基づいて成形用金型内のガスを排気する排気手段とを備えた製造装置(特許文献3)。
【0005】
製造装置(i)、(ii)を用いれば、成形用金型からのガス排出量を定量的に把握できるため、成形用金型内のガスの残留を検知できる。しかし、製造装置(i)、(ii)では、揮発性物質の発生量、および成形用金型のキャビティ面への揮発性物質の付着量は把握できない。また、製造装置(iii)は、成形用金型内のガスを効率的に排出できるものの、製造装置(i)、(ii)と同様に、揮発性物質の発生量、および揮発性物質の金型のキャビティ面への付着量は把握できない。そのため、従来は、成形用金型内に付着した揮発性物質を除去するため、得られる成形品に不具合が生じるか否かにかかわらず、定期的に成形用金型を洗浄していた。
以上のように、製造装置(i)〜(iii)のような従来の製造装置では、揮発性物質に起因する不具合を抑制しつつ、高い生産性で成形品を製造することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭59−46766号公報
【特許文献2】特開平7−40390号公報
【特許文献3】特開昭61−51315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、射出成形等の合成樹脂の成形において、成形用金型内に充填された合成樹脂から発生するガスに含まれる揮発性物質量を測定できるガス測定装置の提供を目的とする。また、本発明は、成形用金型内に充填された合成樹脂から発生するガス、および該ガスに含まれる揮発性物質に起因する不具合を安定して抑制でき、高い生産性で成形品を製造できる製造装置および製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]キャビティ内に合成樹脂を充填して成形する成形用金型の前記キャビティ内で前記合成樹脂から発生するガス中の揮発性物質量を測定するガス測定装置であって、
前記キャビティと通じる配管と、
前記キャビティから前記配管を通じてガスを真空排気する真空排気手段と、
前記配管に設けられ、前記キャビティから排気するガス中に含まれる、前記合成樹脂から揮発した揮発性物質を捕集するフィルタと、
を有するガス測定装置。
[2]前記キャビティから排気するガスの流量を測定する流量計と、前記キャビティ内の真空状態を測定する圧力計をさらに有する前記[1]に記載のガス測定装置。
[3]前記フィルタの捕集メッシュサイズが1μm以下である前記[1]または[2]に記載のガス測定装置。
[4]キャビティ内に合成樹脂を充填して成形する成形用金型と、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のガス測定装置とを具備する成形品の製造装置。
[5]前記[4]に記載の成形品の製造装置を用いた成形品の製造方法であって、
前記成形用金型により合成樹脂を成形して成形品を得る成形工程と、
前記成形用金型から真空排気するガス中に含まれる前記揮発性物質を前記フィルタにより捕集して、揮発性物質量を測定する測定工程と、
を有すること特徴とする成形品の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガス測定装置を用いれば、成形用金型内に充填された合成樹脂から発生するガスに含まれる揮発性物質量を測定できる。
また、本発明の製造装置を用いれば、射出成形等の合成樹脂の成形において、成形用金型内に充填された合成樹脂から発生するガス、および該ガスに含まれる揮発性物質に起因する不具合を安定して抑制でき、高い生産性で成形品を製造できる。
また、本発明の成形品の製造方法によれば、金型内に充填された合成樹脂から発生するガス、および該ガスに含まれる揮発性物質に起因する不具合を安定して抑制でき、高い生産性で成形品を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の成形品の製造装置の一例の金型が開いた様子を示した概略斜視図である。
【図2】本発明の成形品の製造装置の一例の金型が開いた様子を示した模式図である。
【図3】本発明の成形品の製造装置の一例の金型が閉じた様子を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のガス測定装置、および該ガス測定装置を有する成形品の製造装置の一例を図1〜3に基づいて説明する。
本実施形態の成形品の製造装置1は、図1に示すように、合成樹脂を充填して成形品を成形する成形用金型10と、成形用金型10内で発生したガス中の揮発性物質量を測定するガス測定装置20とを具備する。
【0012】
成形用金型10は、射出成形機(一部を除いて図省略)に取り付けられる。
成形用金型10は、可動金型11と固定金型12を有している。成形用金型10は、図2に示すように、可動金型11が可動側取付板31を介して射出成形機に取り付けられ、固定金型12が固定側取付板32を介して射出成形機に取り付けられる。
【0013】
可動金型11には、固定金型12側の面に、凹部13が形成されており、可動金型11を移動させて可動金型11と固定金型12を閉じることで、図3に示すように、キャビティ14が形成される。凹部13の形状、すなわちキャビティ14の形状は、成形する成形品の形状に応じた形状とすればよい。
また、可動金型11の凹部13の外周部にはパッキンが取り付けられ、成形用金型10のキャビティ14内部の気密性が保持されるようになっている。
【0014】
また、図1〜3に示すように、可動金型11における凹部13の一方の端部(図示例では上端部)には、合成樹脂が注入される注入部15が形成されており、他方の端部(図示例では下端部)に、キャビティ14内のガスを排出するガス排出孔16が形成されている。つまり、ガス排出孔16は、合成樹脂が射出注入される注入部15と反対側、すなわちキャビティ14内において合成樹脂が最後に充填される側に形成されている。ガス排出孔16はガス排出流路17と連通しており、キャビティ14内のガスがガス排出孔16からガス排出流路17を通じて成形用金型10外に排出されるようになっている。
【0015】
固定金型12には、可動金型11の注入部15に対応する位置に、成形用金型10を閉じた状態でキャビティ14内に合成樹脂を注入するためのスプルー18が形成されている。また、固定金型12の可動金型11と反対側の面にはロケートリング19が設けられており、ロケートリング19を固定側取付板32の溝に合わせることで、図2および図3に示すように、射出成形機の射出ノズル33とスプルー18とを位置決めできるようになっている。
【0016】
ガス測定装置20は、成形用金型10のガス排出流路17に連結され、キャビティ14と通じる配管21と;配管21に設けられ、合成樹脂から揮発した揮発性物質を捕集するフィルタ22と;配管21のフィルタ22の下流側に設けられた電磁弁23と;配管21の電磁弁23の下流側に設けられ、配管21およびガス排出流路17を通じてキャビティ14内の真空状態を測定する圧力計24と;配管21の圧力計24の下流側に設けられ、配管21を流通するガス流量を測定する流量計25と;配管21の流量計25の下流側に設けられ、キャビティ14内の真空度を調整する真空調整バルブ26と、配管21の真空調整バルブ26の下流側に設けられ、キャビティ14内からガスを真空排気する真空排気手段27とを有している。
【0017】
配管21の材質は特に限定されず、例えば、ウレタン、シリコーン、フッ素等が挙げられる。配管21の直径は特に限定されず、5mm〜20mmが好ましい。
【0018】
フィルタ22は、キャビティ14内から配管21を通じて排出されるガス中に含まれる、合成樹脂から揮発した揮発性物質を捕集するフィルタである。フィルタ22は、配管21から随時取り外せるようになっている。フィルタ22により合成樹脂から揮発した揮発性物質を捕集することで、成形前後のフィルタ22の質量の差から、排出されるガス中の揮発性物質量を測定できる。これにより、成形用金型10内での揮発性物質の発生量と、成形用金型10のキャビティ面に付着した揮発性物質による不具合の発生との関係を把握できる。
そのため、排出されるガス中の揮発性物質量に応じて、成形用金型10を洗浄できるので、揮発性物質による不具合を抑制しつつ、成形用金型10の洗浄回数を減らして高い生産性で成形品を製造できる。
【0019】
フィルタ22としては、成形に用いる合成樹脂から揮発する揮発性物質を捕集できるものであればよく、例えば、非水系フッ素膜を装着した耐溶剤タイプのフィルタ等が挙げられる。
【0020】
フィルタ22の捕集メッシュサイズは、揮発性物質の捕集効率が向上する点から、1μm以下が好ましい。また、フィルタ22の捕集メッシュサイズは、フィルタの入手性の点から、0.1μm以上が好ましい。
【0021】
フィルタ22を設ける位置は、配管21の内面に揮発性物質が付着して定量性が損なわれることを抑制しやすい点から、成形用金型10のガス排出流路17にできるだけ近いことが好ましい。
【0022】
本発明においては、合成樹脂から発生する揮発性物質による不具合を抑制することが容易な点から、この例のようにガス測定装置20が圧力計24と流量計25を有していることが好ましい。ガス測定装置20が圧力計24と流量計25を有していれば、合成樹脂から発生した揮発性物質によりフィルタ22が目詰まりしたことを、成形中のガス流量および圧力の変化から容易に検知できる。そのため、連続して成形を行う場合でも、ガス流量および圧力の変化から、フィルタ22の質量を何度も測定することなく、フィルタ22の交換時期および成形用金型の洗浄時期を容易に知ることができる。
【0023】
圧力計24としては、例えば、アナログ式またはデジタル式の市販の真空計が使用できる。また、圧力計24として、フィルタ22の前後の差圧を測定できる差圧計を使用してもよい。
流量計25としては、例えば、アナログ式またはデジタル式の市販の流量計が使用できる。
真空排気手段27としては、例えば、真空ポンプが挙げられる。
【0024】
以下、本発明の成形品の製造方法の一例として、前記製造装置1を用いた製造方法について説明する。本実施形態の成形品の製造方法は、以下に示す成形工程と測定工程を有する。
成形工程:成形用金型10により合成樹脂を成形して成形品を得る工程。
測定工程:成形用金型10から真空排気するガス中に含まれる揮発性物質をフィルタ22により捕集して、該ガス中に含まれる揮発性物質量を測定する工程。
【0025】
成形工程:
図3に示すように、可動金型11と固定金型12を閉じる。そして、ガス測定装置20の真空排気手段27を運転し、電磁弁23および真空調整バルブ26を開き、成形用金型10のキャビティ14内の空気を排気して、キャビティ14内を高真空状態に保持する。ここで、高真空状態とは、キャビティ14内の圧力を−80Pa(ゲージ圧)以下の圧力にすることを意味する。キャビティ14内の真空度は、真空調整バルブ26により調節する。
キャビティ14内の圧力は、−10〜−80Pa(ゲージ圧)が好ましい。
圧力計24および流量計25により、キャビティ14内の初期の真空度と、ガス流量を測定する。
【0026】
次いで、射出成形機の射出ノズル33から、合成樹脂をキャビティ14内に射出注入して充填する。
合成樹脂としては、射出成形等による成形品の製造に用いられる公知の合成樹脂が使用でき、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂,SAS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン等が挙げられる。
【0027】
キャビティ14内に合成樹脂を充填する際には、キャビティ14内で、合成樹脂から水蒸気、揮発性物質等からなるガスが発生する。製造装置1においては、真空排気手段27による減圧により、キャビティ14内で発生したガスを、ガス排出孔16からガス排出流路17を通じて成形用金型10外に排出する。これにより、キャビティ14内にガスが残留することによる、成形品のガス焼け、合成樹脂の充填不良、フローマーク等の不具合を抑制できる。
【0028】
その後、キャビティ14内の合成樹脂を冷却する。冷却方法は特に限定されず、例えば、成形用金型に設けた冷却設備により冷却する方法等が挙げられる。
また、成形用金型10を閉じ、キャビティ14内を高真空状態に保持したまま、キャビティ14内に合成樹脂を充填し、合成樹脂を冷却した後に成形用金型10を開いて成形品を取り出す、というサイクルを繰り返すことで、成形品を連続して製造できる。
【0029】
測定工程:
製造装置1のガス測定装置20では、成形用金型10から排出するガスに含まれる揮発性物質がフィルタ22で吸着捕集される。測定工程では、配管21に設置する前のフィルタ22の質量と、成形後のフィルタ22の質量を測定することで、成形前後のフィルタ22の質量の差から、成形用金型10から排出されるガス中に含まれる揮発性物質量を測定する。
【0030】
フィルタ22の質量の測定は、耐振動型の分析用電子天秤により行うことが好ましい。
また、フィルタ22の初期の質量測定以外の質量の測定は、圧力計24および流量計25に変動がない状態、すなわちキャビティ14内からのガスの排出が終了した時点以降から合成樹脂の充填を開始する時点までの間に配管21からフィルタ22を取り外して行えばよい。
【0031】
本発明では、フィルタ22の質量を測定することにより、成形用金型10内での揮発性物質の発生量と、成形用金型10のキャビティ面に付着した揮発性物質による不具合の発生との関係を把握できる。そのため、測定した揮発性物質量から、揮発性物質の発生量に応じて不具合が生じる前に成形用金型10を洗浄できるので、揮発性物質の発生量を考慮せずに定期的に成形用金型を洗浄する場合に比べて洗浄回数を少なくすることができる。よって、揮発性物質による不具合の発生を安定して抑制しつつ、品質の良好な成形品を高い生産性で製造できる。
【0032】
また、製造装置1は、ガス測定装置20が圧力計24および流量計25を有しているため、連続して成形を行う際にフィルタ22に揮発性物質が捕集されて目詰まりしたことを、圧力とガス流量の変動から確認できる。つまり、フィルタ22が目詰まりしていない状況では、成形用金型10のキャビティ14内に合成樹脂を充填すると、該合成樹脂からのガスの発生および該ガスの排出によって、圧力とガス流量に変動が見られる。一方、フィルタ22が目詰まりするにつれて、合成樹脂からのガスの発生および排出による圧力とガス流量の変動の度合いが小さくなり、元の圧力およびガス流量に戻るまでの時間が長くなっていく。このように、圧力計24および流量計25を用いれば、連続成形においてフィルタ22の目詰まりを圧力とガス流量の変動から検知でき、何度もフィルタ22の質量を測定しなくても、フィルタ22の交換時期および成形用金型10の洗浄時期を容易に把握できる。そのため、連続成形においても、より簡便なスケジュール管理で、揮発性物質による不具合の発生前に適度に成形用金型を洗浄できるので、良質な成形品をより安定に高い生産性で製造できる。
【0033】
以上説明した本発明のガス測定装置を用いれば、成形用金型内に充填された合成樹脂から発生するガス中に含まれる揮発性物質量を測定して把握できる。そのため、成形品の製造装置および製造方法にあっては、合成樹脂の成形において、成形用金型内に充填された合成樹脂から発生するガス、および該ガスに含まれる揮発性物質に起因する不具合を安定して抑制でき、かつ高い生産性で成形品を製造できる。
【0034】
なお、本発明の成形品のガス測定装置は、前述したものには限定されない。例えば、本発明の成形品の製造装置は、圧力計と流量計を有さない装置であってもよく、圧力計と流量計のいずれか一方のみを有する装置であってもよい。また、圧力計と流量計の順序が逆であってもよい。
また、成形品の製造装置および製造方法は、前述したものには限定されない。例えば、前述した製造装置1は射出成形用の装置であったが、射出成形用の装置には限定されず、例えば、圧縮成形用の装置であってもよい。
【0035】
また、本発明の製造方法では、揮発性物質をフィルタにより捕集するため、発生した揮発性物質の成分分析も可能である。
また、本発明の製造方法により製造する成形品は、合成樹脂のみからなる成形品には限定されず、例えば、金属製の部材の周りに合成樹脂を成形した成形品であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の成形品の製造装置および製造方法にあっては、成形品の製造において、ガス測定装置により、合成樹脂から揮発する揮発性物質をフィルタで捕集して測定することで、成形用金型内に揮発性物質が付着して不具合が生じる前に該成形用金型を洗浄できる。そのため、揮発性物質の発生量に応じた成形用金型の洗浄が可能であり、良質な成形品を高い生産性で製造でき、スケジュール管理も容易になる点で有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 成形品の製造装置
10 成形用金型
20 ガス測定装置
21 配管
22 フィルタ
24 圧力計
25 流量計
27 真空排気手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティ内に合成樹脂を充填して成形する成形用金型の前記キャビティ内で前記合成樹脂から発生するガス中の揮発性物質量を測定するガス測定装置であって、
前記キャビティと通じる配管と、
前記キャビティから前記配管を通じてガスを真空排気する真空排気手段と、
前記配管に設けられ、前記キャビティから排気するガス中に含まれる、前記合成樹脂から揮発した揮発性物質を捕集するフィルタと、
を有するガス測定装置。
【請求項2】
前記キャビティから排気するガスの流量を測定する流量計と、前記キャビティ内の真空状態を測定する圧力計をさらに有する請求項1に記載のガス測定装置。
【請求項3】
前記フィルタの捕集メッシュサイズが1μm以下である請求項1または2に記載のガス測定装置。
【請求項4】
キャビティ内に合成樹脂を充填して成形する成形用金型と、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス測定装置とを具備する成形品の製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載の成形品の製造装置を用いた成形品の製造方法であって、
前記成形用金型により合成樹脂を成形して成形品を得る成形工程と、
前記成形用金型から真空排気するガス中に含まれる前記揮発性物質を前記フィルタにより捕集して、揮発性物質量を測定する測定工程と、
を有すること特徴とする成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−247682(P2011−247682A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119520(P2010−119520)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(502163421)ユーエムジー・エービーエス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】