説明

ガス発生器

燃焼によりガスを発生させるガス発生剤2を装填するカップ体3と、電気を通電するための2本以上の電極ピン4と、通電により発火する点火機構を有する点火部20と、前記電極ピン4及び前記点火部20の位置を固定し、前記カップ体3と係合して前記ガス発生剤2を封止するホルダ5とを備えるガス発生器において、ホルダ5に、各電極ピン4がそれぞれ貫通する孔23が形成され、各電極ピン4の径方向周囲の一部にプラスチック部材6が配置されており、プラスチック部材6の一部、あるいは全部が孔23に挿入され、プラスチック部材6が挿入されている部分のホルダ5を塑性変形させることによって、電極ピン4及びプラスチック部材6が固定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ガス発生器、特に自動車のシートベルトプリテンショナー等の車両搭乗者拘束装置を作動させるに好適なガス発生器に関する。
【背景技術】
自動車の衝突時に生じる衝撃から乗員を保護するための安全装置の1つとして、シートベルトプリテンショナーが知られている。このシートベルトプリテンショナーは、ガス発生器から導入される多量の高温、高圧ガスにより作動して乗員を保護するものである。このガス発生器は、着火手段及びガス発生剤を備え、衝突時に着火手段を発火させることで、ガス発生剤を着火、燃焼させ、急速に多量のガスを発生させるものである。
従来のガス発生器の一例としては、図15に示すもの等が知られている(例えば、特許文献1:特開2001−260815号公報参照)。図15のガス発生器101は、ガス発生剤102を装填するカップ体103、着火薬105aを管体105gに収納する点火手段105と、点火手段105及びカップ体103をかしめ込んでガス発生剤102を封じるホルダ106とで構成される。ここで、点火手段105は、図示されないセンサーからの信号を受けて電気を通電する目的で立設された2本の電極ピン105dが、樹脂よりなるボディ105bと共に一体成形されている。電極ピン105dの先端には電橋線105fが張られ、電橋線105fを覆うように形成され着火薬105aに接触する点火玉105cが配置される。また、ホルダ106は、シートベルトプリテンショナーに組み付けられ、作動した場合に、内部の圧力でガス発生器が飛散しないように、鉄、アルミニウムなどの素材で作製される。カップ体103は、カップの底部に対して拡径する段付き形状に形成されている。
また、ホルダ106には点火手段105が、外部からの水分の浸入を防止するために、Oリング110と共にかしめられており、さらに、点火手段105の電極ピン105dをショートさせ、静電気などによる誤作動を防止するショーティングクリップ108がホルダ106に嵌め込まれている。
このガス発生器101は、図示されないセンサーからの信号を受けるとまず、点火手段105内の点火玉105cが発火し、次いで着火薬105aに伝火、次いでこの火炎によりガス発生剤102を着火、燃焼させることで急速に多量のガスを発生させるものである。
図15に示されるように、従来のガス発生器101の、点火手段105は、樹脂でできているボディ105bと電極ピン105dが一体に成形されている。また、電極ピン105dは、ボディ105b内で変形させられ、容易に抜けないようにされていた。
ところが、ガス発生器101においては、例えば、車両火災などの高温状態の着火時に、その熱によって樹脂製のボディが軟化し、内部のガス発生剤が燃焼した場合には、電極ピンが飛び出すおそれがある。
また、各点火手段ごとに、電極ピン105dをボディ105bと一体に成形するために、インサート成形が行なわれるため、製造コストを低減するにも限界があった。加えて、樹脂製のボディ105bと電極ピン105dが一体に成形されているため、水分等に対するシール性を向上させることも困難であった。
【発明の開示】
本発明の目的は、ホルダと電極ピンの界面が樹脂で絶縁されている構造を有するガス発生器において、水分等に対するシール性を向上させることのできるガス発生器を安価な製造方法で提供することにある。また、高温下でガス発生器が作動した場合でも、電極ピンが飛び出しにくいガス発生器の構造を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明に係るガス発生器は、燃焼によりガスを発生させるガス発生剤を装填するカップ体と、電気を通電するための2本以上の電極ピンと、通電により発火する点火機構を有する点火部と、前記電極ピン及び前記点火部の位置を固定し、前記カップ体と係合して前記ガス発生剤を封止するホルダとを備えるガス発生器において、ホルダに、各電極ピンがそれぞれ貫通する孔が形成され、各電極ピンの径方向周囲の少なくとも一部にプラスチック部材が配置されており、プラスチック部材の一部、あるいは全部が孔に挿入され、プラスチック部材が挿入されている部分のホルダを塑性変形させることによって、電極ピン及びプラスチック部材が固定されていることを特徴とするものである。
このような構成によると、各電極ピンの周囲にプラスチック部材をそれぞれ配置し、ホルダを塑性変形させて固定することで、従来よりもプラスチック部分の体積が少なくなる。また、電極ピン毎に固定することで、シール性を向上させることができる。また、プラスチック部分の体積が少ないため、従来の構造に比較して、高温下でガス発生器が作動した場合でも、電極ピンが飛び出しにくい構造とすることができる。
よって本発明は、水分等に対するシール性を向上させることのできるガス発生器を安価な製造方法で提供でき、また、高温下でガス発生器が作動した場合でも、電極ピンが飛び出しにくいガス発生器の構造を提供することができる。
また、本発明に係るガス発生器は、電極ピンが、ホルダのコネクタ側の一方側に抜けにくくなるようにカップ体側に突出する他方側が変形されていることが好ましい。
このような構成によると、電極ピンのカップ体側に突出する他方側が、曲げられたりあるいは潰されたりして変形されていることによって、電極ピンがガス発生器外部へ抜けにくい構造とすることができる。
また、本発明に係るガス発生器は、点火部は、電気を通じるための導電部と、導電部を連結する結合部と、電気信号を熱に変換する発熱体と、発熱体の周囲に形成される点火薬とを少なくとも含んでなり、電極ピンの他方側に固定されていることが好ましい。
このような構成によると、点火部を別に大量生産することができる。その後、電極ピンを立設したホルダと固定することで、製造コストの低減につながる。
また、本発明に係るガス発生器は、点火部の発火火炎により着火し、ガス発生剤に伝火させる着火薬と、着火薬を収納する着火薬ホルダとを備え、点火部は、結合部が着火薬ホルダと嵌合することにより位置決めされることが好ましい。
このような構成によると、点火部が確実に位置決めされ、自動車等の振動で点火部の点火薬が剥離したりするのを防ぐことができる。
また、本発明に係るガス発生器は、着火薬ホルダに形成される燃焼室が、ガス発生器の中心軸から偏心して配置されていることが好ましい。
このような構成によると、従来、ガス発生器軸方向ガス発生剤側に突出していた点火部を、径方向のスペースを利用して配置することで、ガス発生器の、ガス発生剤が装填できる有効体積を増加させることができる。
また、本発明に係るガス発生器は、着火薬ホルダには、剛性を有するキャップが一体成形されていることが好ましい。
このような構成によると、着火薬ホルダ内の圧力が所定圧力にならない限り、着火薬ホルダが破裂しないような構造とできる。これによって、着火薬ホルダからの火炎に指向性を持たせることが可能となり、ホルダ内のガス発生剤を確実に効率良く燃焼することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係るガス発生器の第1実施形態の軸方向断面図である。
図2は、図1において90度方向を変えた場合の軸方向断面図である。
図3は、図2におけるA−A’断面を、軸方向上面から見た図である。
図4は、本発明に係るガス発生器のプラスチック部材6部分の拡大図であり、プラスチック部材6の固定方法を説明するための図である。
図5は、本発明に係るガス発生器の第2実施形態の軸方向断面図である。
図6は、図5において90度方向を変えた場合の軸方向断面図である。
図7は、図6におけるB−B’断面を、軸方向上面から見た図である。
図8は、本発明に係るガス発生器の第3実施形態の軸方向断面図である。
図9は、図8において90度方向を変えた場合の軸方向断面図である。
図10は、図9におけるC−C’断面を、軸方向上面から見た図である。
図11は、本発明に係るガス発生器の第4実施形態の軸方向断面図である。
図12は、図11において90度方向を変えた場合の軸方向断面図である。
図13は、図12におけるD−D’断面を、軸方向上面から見た図である。
図14は、本発明に係るガス発生器の点火部を連続的に製造した場合の形態例を示す図である。
図15は、従来のガス発生器の軸方向断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
[第1実施形態]
本発明に係るガス発生器の第1実施形態を図1乃至図4を用いて説明する。
図1において、本実施形態に係るガス発生器201は、燃焼によりガスを発生させるガス発生剤2を装填するカップ体3と、1対の並列して設けられた電極ピン4を有し、電極ピン4のカップ体3側に突出した他方側21の先端には、発熱体7が接続され、これを覆うように点火薬8が形成され、これら点火部20がホルダ5に固定されている。電極ピン4の他方側21の根元には、静電気などによるスパークで着火薬が誤発火するのを防止するパッド11が配置されている。
また、ホルダ5とカップ体3の縮径部3bの間には、着火薬ホルダ10が挟み込まれており、その内部には、点火部20及び着火薬9が位置する燃焼室22が形成されており、点火薬8の周囲に着火薬9が配置するようになっている。
ホルダ5は略有底円筒状であり、電極ピン4が貫通して固定されるための孔23を2つ有している。電極ピン4とホルダ5の間にはプラスチック部材6が位置している。ホルダ5の孔23は、この孔23を縮径するように塑性変形させることによって、プラスチック部材6の周囲で、ホルダ5の一方側、他方側共にカシメられる。これにより、電極ピン4およびプラスチック部材6は、ホルダ5に固定されている。
図4に、プラスチック部材6の固定部分の拡大図を示す。図4に示すように、円柱状のプラスチック部材6には、その孔に、電極ピン4が挿入され、また、その外周面に凹部26が形成されている。そして、このプラスチック部材6は、ホルダ5の孔23に挿入されている。ホルダ5の孔23の周囲には、プラスチック部材6の軸方向から加圧具(図示せず)によって加圧され、加圧具の形状に対応して塑性変形したホルダ5の加圧部27が存在する。そうすることによって、ホルダ5の孔23も塑性変形して一部縮径し、プラスチック部材6の周囲に形成された凹部26内にホルダ5の孔23の壁の一部が入り込んで、結合部を形成する。電極ピン4及びプラスチック部材6は、このようにして、ホルダ5にカシメ固定されている。
ホルダ5とカップ体3は、図1及び図2に示すように、カップ体3の開口部3aにおいて、径方向内側にカシメられることにより固定されている。また、カップ体3の底部3cには複数の線状の切り欠きが設けられている。カップ体3内に収納されるガス発生剤2の燃焼時に、この切り欠きが破断され、ガスが放出される。
ホルダ5及びカップ体3の材質としては、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮などの金属部材が用いられる。ホルダ5及びカップ体3は、通常これらの金属部材をプレス、鋳造、鍛造、切削等の工程により成形し、得ることができる。
また、着火薬ホルダ10の材質としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポエチレンイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の樹脂にガラス繊維、カーボン等を含有させたものを、図を省略するモールド樹脂内に射出することで成形する。
また、プラスチック部材6は貫通する孔を有する短筒状をなし、着火薬ホルダ10に挙げた材料の中で、特に、シール性、耐熱性に優れた材料として、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホンが好ましい。
電極ピン4の材質としては、例えば、ステンレス、カーボンスチール、ニッケル鉄等の導電性素材で形成され、表面には金メッキ等が施されており、プラスチック部材6によりホルダ5とは電気的に絶縁されている。
ガス発生器201のホルダ5のコネクタ側である一方側24に突出している各電極ピン4には、静電気等による誤作動を防止するために、電極ピン4間を短絡する図示されないショーティングクリップが嵌め込まれている。これにより、シートベルトプリテンショナー等への組み込み時に短絡が解除されるようになっている。
また、本実施形態に係るガス発生器201のガス発生剤2は、フィルター又は、及びクーラントを介することなく、カップ体3の内側に充填されている。ここで、使用できるガス発生剤は、従来使用されている無煙火薬等が挙げられるが、好ましくは、燃料成分として含窒素有機化合物、酸化剤成分として無機化合物、及び少なくとも1種以上の添加物を含有するガス発生剤が良い。具体的には、燃料成分として、アミノテトラゾール、硝酸グアニジン、ニトログアニジンよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。また、酸化剤成分としては、硝酸ストロンチウム、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、塩基性硝酸銅よりなる群から選ばれる少なくとも一種以上が挙げられる。添加物としては、二酸化珪素、窒化珪素、三酸化モリブデン、タルク、クレー、シランカップリング剤等が挙げられる。その他、ガス発生剤に添加しうる添加剤としては、バインダーなどが挙げられ、バインダーとして、グアガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性セルロースエーテル、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種以上が挙げられる。好適なガス発生剤の組み合わせとしては、燃料成分として5−アミノテトラゾール及び硝酸グアニジン、酸化剤として硝酸ストロンチウム及び過塩素酸アンモニウム、バインダーとしてポリアクリルアミドを含有するガス発生剤である。より好適には、燃料成分として5−アミノテトラゾールを10重量%以上30重量%以下、硝酸グアニジンを10重量%以上35重量%以下、酸化剤として硝酸ストロンチウムを10重量%以上35重量%以下、過塩素酸アンモニウムを15重量%以上35重量%以下、バインダーとしてポリアクリルアミドを1重量%以上10重量%以下含有するガス発生剤である。
図3には、図2におけるA−A’断面を軸方向上面から見た図が示される。
次に、ガス発生器201の作動について説明する。図示しない衝突センサーが自動車の衝突を感知すると、電極ピン4に通電される。そして、発熱体7が発熱し、点火薬8が発火する。続いて、点火薬8の発火により、着火薬9が発火し、燃焼する。着火薬9の燃焼に伴って着火薬ホルダ10の燃焼室22内部は高温且つ、高圧になり、予め設けられている切り欠き等による脆弱部25より高温の熱流が噴出され、ガス発生剤2が発火、燃焼する。ガス発生剤2の燃焼によりカップ体3内に発生した多量のガスは、カップ体3の内圧を急速に高め、やがてカップ体3の底部3cに設けられている切り欠きを破断して、ガスが放出される。
次に、ガス発生器201の製造方法について説明する。カップ体3に所定量のガス発生剤2が計量され装填される。次に、カップ体3の縮径部3bに着火薬ホルダ10がはめ込まれ、着火薬ホルダ10の燃焼室22部分に所定量の着火薬9が装填される。電極ピン4には、それぞれプラスチック部材6がその周囲にはめ込まれ、また、それらはパッド11を介してホルダ5に設けられた孔23にはめ込まれる。そして、孔23が縮径するように塑性変形されてカシメられ、ホルダ5に電極ピン4、プラスチック部材6、パッド11が固定される。次いで、電極ピン4の他方側21先端に発熱体7が接続され、その周囲に点火薬8が形成される。このようにして点火部20が形成されたホルダ5は、カップ体3に挿入される。この時、点火部20は着火薬ホルダ10内に合わせて挿入され、カップ体3の開口部3aを縮径方向にカシメることにより、ホルダ5とカップ体3が固定される。最後に図示しないショーティングクリップがはめ込まれる。
[第2実施形態]
次に、本発明に係るガス発生器の第2実施形態を図5乃至図7を用いて説明する。なお、本実施形態において、前述の第1実施形態におけるガス発生器201と共通する部位については、同じ符号を用いて、詳細な説明は省略する。
図5乃至図7に示す本実施形態に係るガス発生器202において、前述の図1乃至図4に示す第1実施形態に係るガス発生器201と異なる点は、点火部20が、電気を通じるための導電部12と、導電部12同士を連結する結合部13と、電気信号を熱に変換する発熱体7と、発熱体7の周囲に形成される点火薬8とから成っている点である。点火部20の導電部12と電極ピン4は、溶接、カシメ、はんだ付け、ろう付けなどの手段で固定されている。さらに第1実施形態に係るガス発生器201と異なる点として、着火薬ホルダ10のガス発生剤側外部を覆うようにキャップ14が設けられている点である。
ここで、導電部12の材質としては、例えば、ステンレス、カーボンスチール、ニッケル鉄等の導電性素材が用いられる。また、結合部13の材質としては、プラスチック素材などの非導電性材料が用いられる。このように、電極ピン4とは別体に点火部20を形成することで、図14に示すように、点火部20のみを連続した状態で製造することが可能となり、製造コストの大幅な低減につながる。
また、点火部20に設けられた結合部13は、導電部12の間隔を一定に保ち、また、着火薬ホルダ10の燃焼室22の内部形状に合うように成形されることで、点火部20が着火薬ホルダ10に位置決めされるようになる。このようにして、振動などから点火部20の点火薬8が崩壊したりするのを防ぐことができる。
また、本実施形態に係るガス発生器202は、着火薬ホルダ10のガス発生剤側外部を覆うようにキャップ14が設けられている。ここで着火薬ホルダ10は、キャップ14とともに一体成形される形態が好ましく、詳細には、キャップ14をインサートした射出成形が良い。キャップ14に用いられる材質としては、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮などの金属部材が用いられる。キャップ14は、通常これらの金属部材をプレス、鋳造、鍛造、切削等の工程により成形し、得ることができる。ガス発生器202内部で燃焼した着火薬9の火炎が、キャップ14の底面、あるいは側面に設けられた脆弱部25より、指向性を持ってガス発生剤2へ放出されるため、着火薬9の火炎が確実に効率良くガス発生剤2を着火できるようになる。
また、本実施形態に係るガス発生器202は、カップ体3が、ホルダ5に、カップ体3の開口部3aにおいて溶接30にて固定されている。こうすることにより、より確実に内部ガス発生剤2に対するシール性を確保することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明に係るガス発生器の第3実施形態を図8乃至図10を用いて説明する。なお、本実施形態において、前述の第1実施形態及び第2実施形態におけるガス発生器201及び202と共通する部位については、同じ符号を用いて、詳細な説明は省略する。
図8乃至図10に示す本実施形態に係るガス発生器203において、図5乃至図7に示す第2実施形態に係るガス発生器202と異なる点は、着火薬ホルダ10に設けられた燃焼室22がガス発生剤2の中心軸から偏心して設けられている点である。このとき、点火部20の導電部12は90度曲げられた形で電極ピン4に固定されている(図9参照)。こうすることで、ガス発生器203内部の径方向のスペースを利用して燃焼室22を配置することで、ガス発生剤2が装填できる有効体積を増加させることができる。さらに、キャップ14が設けられていない点である。
[第4実施形態]
次に、本発明に係るガス発生器の第4実施形態を図11乃至図13を用いて説明する。なお、本実施形態において、前述の実施形態におけるガス発生器203と共通する部位については、同じ符号を用いて、詳細な説明は省略する。
図11乃至図13に示すガス発生器204において、図8乃至図10に示す第3実施形態に係るガス発生器203と異なる点は、電極ピン4が他方側21で変形された(90度曲げられた)形で点火部20と固定されている点である。こうすることで、電極ピン4がガス発生器204外部へ抜けにくい構造とすることができる。さらに、キャップ14が設けられている点である。
尚、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることができることは理解されよう。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼によりガスを発生させるガス発生剤(2)を装填するカップ体(3)と、電気を通電するための2本以上の電極ピン(4)と、通電により発火する点火機構を有する点火部(20)と、前記電極ピン(4)及び前記点火部(20)の位置を固定し、前記カップ体(3)と係合して前記ガス発生剤(2)を封止するホルダ(5)とを備えるガス発生器において、
前記ホルダ(5)に、前記各電極ピン(4)がそれぞれ貫通する孔(23)が形成され、前記各電極ピン(4)の径方向周囲の少なくとも一部にプラスチック部材(6)が配置されており、前記プラスチック部材(6)の一部、あるいは全部が前記孔(23)に挿入され、前記プラスチック部材(6)が挿入されている部分の前記ホルダ(5)を塑性変形させることによって、前記電極ピン(4)及び前記プラスチック部材(6)が固定されていることを特徴とするガス発生器。
【請求項2】
前記電極ピン(4)が、前記ホルダ(5)のコネクタ側の一方側(24)に抜けにくくなるように前記カップ体(3)側に突出する他方側(21)が変形されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のガス発生器。
【請求項3】
前記点火部(20)は、電気を通じるための導電部(12)と、前記導電部(12)を連結する結合部(13)と、電気信号を熱に変換する発熱体(7)と、前記発熱体(7)の周囲に形成される点火薬(8)とを少なくとも含んでなり、前記電極ピン(4)の他方側(21)に固定されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のガス発生器。
【請求項4】
前記点火部(20)の発火火炎により着火し、前記ガス発生剤(2)に伝火させる着火薬(9)と、前記着火薬(9)を収納する着火薬ホルダ(10)とを備え、前記点火部(20)は、前記結合部(13)が前記着火薬ホルダ(10)と嵌合することにより位置決めされることを特徴とする請求の範囲第3項に記載のガス発生器。
【請求項5】
前記着火薬ホルダ(10)に形成される燃焼室(22)が、前記ガス発生器の中心軸から偏心して配置されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のガス発生器。
【請求項6】
前記着火薬ホルダ(10)には、剛性を有するキャップ(14)が一体成形されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のガス発生器。

【国際公開番号】WO2004/059239
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【発行日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562924(P2004−562924)
【国際出願番号】PCT/JP2003/016628
【国際出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】