説明

ガス逃がし通気孔を有する呼吸マスクおよびマスクの製造方法

大気圧よりも加圧された呼吸に適したガスを、哺乳類の気道に供給するシステムと共に使用されるマスク用の逃がし通気孔(20)。逃がし通気孔(20)は、ガス逃がしに適合された通気オリフィス(22)を含む。オリフィス(22)は、雰囲気に向かって狭まった壁面を有するチャネル(26)、ならびに/または、粗面化および/または波形化部分などの表面処理および/または輪郭形成を備えた1つまたは複数の壁面を有するチャネル(26)など、ノイズの低減に寄与する1つまたは複数の特徴を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ガス逃がし通気孔を有する呼吸マスクと、このマスクの製造方法とに関する
【0002】
本願は、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2005年1月12日出願の米国仮出願第60/643114号、および2005年9月8日出願の米国仮出願第60/714910号の利益を主張する。
【0003】
2004年7月23日にFuおよびSaadaによって出願された米国仮出願第60/590338号も、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
持続性気道陽圧(CPAP)フロージェネレーターシステムによる、閉鎖性睡眠中無呼吸(OSA)などの睡眠呼吸障害(SDB)の治療は、大気圧よりも加圧された空気(または他の呼吸に適したガス)を、導管およびマスクを介して、ヒトまたは他の哺乳類の患者の気道に継続的に送達することを伴う。一般に、マスクは患者の口および/または鼻に適合する。加圧空気は、マスクに、かつ鼻および/または口を介して患者の気道に流れる。患者が呼気すると、炭酸ガスがマスク内に集まることがある。マスクまたは導管内の逃がし通気孔(washout vent)は、呼気ガスをマスク環境から放出する。
【0005】
逃がし通気孔は、通常、マスク内に、またはマスク近傍のマスクに連結されたガス送達導管内に位置する。通気孔を介したガスの雰囲気への逃がしにより、呼気ガスが除去されて、二酸化炭素の蓄積が、すなわち、マスク着用者に対する健康リスクを表す「再呼吸」が防止される。適切なガス逃がしは、一般に成人の場合はわずか4cmHO、小児の場合は2cmHOであってよい低い動作CPAP圧で、最小限の安全な逃がしフローを可能にする、通気孔のサイズおよび構成を選択することによって達成される。
【特許文献1】米国特許第6561190号明細書
【特許文献2】米国特許第6691707号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0196657号明細書
【特許文献4】国際公開第2004/022147号パンフレット
【特許文献5】国際特許出願PCT/AU2004/000563号明細書
【特許文献6】米国特許第6581594号明細書
【特許文献7】米国特許第6561191号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2003/0079751号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2004/0226566号明細書
【特許文献10】米国特許出願第10/655621号明細書
【特許文献11】米国特許第6112746号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第0985430号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ノイズは、患者および/または患者の同室者にとって、CPAP治療における重要な問題である。過度のノイズは、患者がCPAP治療に非協力的になることに結びつく場合がある。1つのノイズ源は、マスクまたは導管内の通気孔を介した排気である。通気孔を介したガスのフローは、雰囲気に出ていき、雰囲気と相互作用する際にノイズを生じる。ノイズは、ノイズの大きさおよび性質の両方に応じて、患者および同室者の快適さに悪影響を及ぼす場合がある。さらに、バイレベルのガス送達レジームは、一定レベルのガス送達レジームよりも多くのノイズを発生させる傾向がある。これは、バイレベルガス送達システムでは、ガスが比較的低い圧力と比較的高い圧力の間でサイクル動作するに従って加速および減速することによって生じる、過剰な乱流によるものと考えられる。
【0007】
逃がし通気孔は、気流に対してほぼ固定のインピーダンス(例えば、時間とともにほぼ不変の幾何学形状を有する)または可変インピーダンスを提供してもよい。固定の通気孔設計では、通気フローはマスク圧力と共に増加するので、通気フローは、低圧において適切であって高圧において過度であることがある。固定の通気孔を通るフローの変化は、ノイズにつながることがある。固定の通気孔は、一般的に簡便であり、安価で製造および作動される。可変の通気孔設計は、マスク圧力の範囲全体にわたって、一定またはほぼ一定の通気フローをもたらすことが可能であり、マスク圧力が増加するに従ってノイズが増加しないという利点を有する。これは、高圧においてより低い通気フローにつながることがあり、それが、より少ないノイズにつながることがある。しかし、可変の通気孔には、製造、組立て、一貫性、洗浄、および有用性における問題点がある。
【0008】
ノイズレベルが比較的低い固定のガス通気孔が知られており、そのレベルは、12cm HOの治療(マスク)圧力で30dBA程度の低さであり得る。そのような通気孔としては、例えば、ResMed MIRAGE(商標)マスク(特許文献1に開示)、ResMed ULTRA MIRAGE(商標)マスク(特許文献2に開示)、ResMed VISTA(商標)マスク(特許文献3に開示)、通気孔を備えたL字継手を含むResMed ACTIVA(商標)マスク(特許文献4に開示)、および、通気孔を組み込んだL字継手を含むResMed MERIDIAN(商標)使い捨て鼻マスク(特許文献5に開示)が挙げられる。これらの特許および特許出願のすべての内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
一般的に25dBA以下のノイズレベルを提供する、様々な低ノイズの通気孔が知られているが、このノイズレベルでは、通気孔のノイズを連通されたフロージェネレーターのノイズまたは一般的な暗雑音と区別することが困難になる。低ノイズの通気孔の例は、特許文献6およびWeinmannの焼結通気孔に開示されている。少なくとも焼結通気孔は、製造可能性、耐久性、閉塞性、給湿性、無菌性/細菌生育性、および/または洗浄可能性に乏しいと考えられる。
【0010】
比較的安価で組立てが簡便であり、保守が容易な、マスクおよび導管用の低ノイズのガス通気孔が、長年継続的に必要とされている。マスクまたは導管から排出されるガスのノイズを低減することで、CPAP治療のユーザ利便性を大幅に改善することができる。簡便で容易に使用できる低ノイズの通気孔を提供することで、CPAP治療のコストを低減し、それにより、SDB患者にとって治療をより手頃な価格にする助けとすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの態様は、呼気ガスを低ノイズで逃がす通気孔アセンブリを提供することであり、それは、例えば、粗面化などの表面処理、および/または、1つもしくは複数のスロット付き通気開口の1つもしくは複数の壁面に設けられてもよい波形化(scalloped)部分などの表面輪郭形成(contouring)などの、1つまたは複数の表面特性を使用して達成されてもよい。開口は、フローの方向にわずかに互いに向かって狭まる、かつ/または互いから離れて広がってもよい向かい合った壁面を有する、単一の弓状または半円形のスロットの形態であってもよい。他の実施形態では、スロットは直線のスロットの形態であってもよく、壁面は互いに対して平行であるか、または先細になっていなくてもよい。
【0012】
本発明の別の態様では、マスクは、曲線の形状、スロット、狭まるかつ/または広がる側壁、表面粗さ、波形形成/円鋸歯形成、丸くされたまたは鐘形の入口、適切なガス逃がしを発生させるように設計された発生長さおよび/または出口(もしくは最小)幅、および/または、低ノイズでガスが出ることを促進する材料特性(例えば、密度、厚さ)といった特徴の1つまたは複数を含む、開口を有する通気孔アセンブリを含む。
【0013】
特に好ましい一実施形態は、曲線の形状、丸いまたは鐘形の入口、および/または適切なガス逃がしを展開するように設計された展開長さ(development length)および/または出口(もしくは最小)幅といった特徴の1つまたは複数を含む、開口を含む通気孔アセンブリを備えたマスクを含む。
【0014】
本発明は、大気圧よりも加圧された呼吸に適したガスを、哺乳類の気道に供給するシステムと共に使用されるマスク用の逃がし通気孔として具体化されてもよく、逃がし通気孔は、ガス逃がしに適合された通気オリフィスを備え、前記オリフィスは、円錐断面、例えば、円形、楕円形、放物線、双曲線などを少なくとも部分的に形成するか、または完成させる。1つの好ましい実施例では、オリフィスは、円形または楕円形の約220°〜300°、好ましくは270°を完成させる。
【0015】
通気孔アセンブリは、蹄鉄形、楕円形、螺旋形、曲線状、真直ぐな三日月形(1つまたは複数)、半円形、それらの曲線のスロット部分、または上記の任意の組み合わせの形状を有する単一のオリフィスを備えてもよい。オリフィスは、マスクまたは取外し可能な通気孔アセンブリ挿入体上に配置された複数のオリフィスであってもよい。さらに、通気孔は、オリフィスとマスクシェルの間にチャネルを備え、チャネルは、少なくともマスクの厚さ程度の、好ましくはオリフィスの幅の少なくとも4倍の深さを有する。チャネルの側壁は、オリフィスを通って排出される逃がしガスのノイズを低減するため、互いに向かって狭まってもよく、また、粗いもしくは粗面化表面処理および/または波形化表面を有してもよい。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、大気圧よりも加圧された呼吸に適したガスを、ヒトまたは動物の患者に供給するシステムと共に使用されるマスクから、ガスを逃がす通気孔アセンブリを含んでもよく、前記通気孔アセンブリは、マスクの内部と流体連通しているオリフィスと、オリフィスによって少なくとも部分的に取り囲まれた固体区画とを備える。通気孔アセンブリは、硬質プラスチック製のマスクシェルよりも実質的に柔らかくより柔軟なエラストマー材料から形成された挿入体であってもよく、前記挿入体は、選択的に、かつ繰り返しマスクに着脱可能である。通気孔アセンブリは、ほぼ三日月形であってもよく、それを通る1つまたは複数のオリフィスを含む。オリフィスは、例えば、蹄鉄形、三日月形、270°の半円形、曲線のスロットなどから成る群から選択された円錐形状を有してもよい。さらに、通気孔アセンブリは、オリフィスとマスクの内部との間に延びるチャネルを備え、チャネルは、粗いもしくは粗面化表面などの側壁の表面処理を含み、側壁は波形化されてもよい。
【0017】
本発明の別の態様は、大気圧よりも加圧された呼吸に適したガスを、哺乳類の気道に供給するシステムと共に使用されるマスク用の逃がし通気孔に関する。逃がし通気孔は、ガス逃がしに適合された通気オリフィスを含む。オリフィスは、向かい合った縁部または側壁を含む。チャネルは、オリフィス出口とマスクの内表面との間に設けられる。オリフィスは、130〜150°の円弧全体にわたって延びる、4〜20mmの直径を含む湾曲した構成を有する。チャネルは、0.5〜1.0mmの幅、2.5〜3.5mmの深さ、1〜2mmの入口半径、および3〜7mmの抜き勾配を含む。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、マスクフレームと、マスクフレームに設けられた2つの逃がし通気孔とを含むマスクアセンブリに関する。各通気孔は、ガス逃がしに適合された細長い湾曲した通気オリフィスを含む。
【0019】
本発明の他の態様、特徴、および利点は、以下の詳細な説明を添付図面と併せ読むことにより、明らかになるであろう。添付図面は、本開示の一部であり、本発明の原理を一例として図示する。
【0020】
添付図面は、本発明の様々な実施形態についての理解を容易にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
1. ガス逃がし通気孔の第1の実施形態
図1および2は、大気圧よりも加圧された呼吸に適したガスをヒトまたは他の哺乳類の気道(1つまたは複数)に供給するシステム、例えば、CPAPまたは他の非侵襲性の陽圧供給システムと共に使用される、マスクフレーム10を示す。マスクフレームは、呼吸に適したガスをフロージェネレーター(図示なし)からマスク着用者の気道に連通する供給導管に接続するための、給気チューブ開口14を有する剛性のプラスチックシェル12を含む。マスクシェル12は、患者の顔面とシェル12の内部容量17との間のガス密封止を提供する、可撓性の封止膜(図示なし)を支持する枠16を含む。シェル12は、患者が寝ている間、マスクを鼻および/または口の上で保持するヘッドギアストラップを受け入れる、例えばスロット付きコネクタを有するT形材を含む前頭部支持体(図示なし)に、マスク10を接続する支持体18を含む。マスクフレームは、ポリカーボネートなどの一般に剛性の材料から成型されてもよい。
【0022】
マスク上の通気孔20は、ガス逃がしのためのオリフィス22を含む。オリフィスは、マスクの内部17から大気へのフロー通路を提供するチャネル26(図6)によって、部分的に形成される。オリフィスは、平面図において、円錐形状を有してもよく、例えば、オリフィスを形成する向かい合った壁面または縁部は、円錐状または部分的な円錐状区画を通る完全なまたは部分的な断面によって形成することができる、任意の形状で形作られてもよい。例えば、オリフィスは、円形、双曲線、楕円形、放物線、半円形、またはそれらの部分の形状であってもよい。それに加えて、オリフィスの向かい合った壁面または縁部は、「C」字形、蹄鉄形、三日月形、または一対の向かい合った三日月形、正弦曲線、一連の凸状および凹状のセグメント、螺旋形、それらの部分または区画、あるいは他の曲線形状またはさらには直線形状などの、他の形状を形成してもよい。
【0023】
別の観点では、オリフィスは、オリフィスによって部分的に取り囲まれた半島を形成する、マスクの固体区画(solid section)32上に設けられる。固体区画は、マスクへのブリッジ部を備えたプレートであってもよい。固体区画は、マスクと共通の平面内にあって、オリフィスに対して窪んでいてもよく、または、固体区画は、通気開口がマスクの外側と同一平面になるようにして、マスクの残りの部分に対して窪んでいてもよい。
【0024】
曲線状または直線状のオリフィスの一実施形態における共通の特性は、オリフィスが、その特有の幅(W)よりも実質的に大きな長さ(図3のL)を有することである。例えば、長さ(L)は、オリフィスの幅(W)の少なくとも5倍であってもよく、長さは、好ましくは幅の10〜20倍であってもよい。この比は、特定の用途では、5未満、および20より大きくてもよい。オリフィスが、複数の円形セグメント(またはセグメントの他の配置)である場合、セグメントの合計長さ(L)はそれらの平均幅よりも実質的に大きい。さらに、オリフィスの面積、例えば長さ×幅(オリフィスの形状に応じて)は、好ましくは約15mmであり、例えば、5mm〜25mmであってもよい。チャネルまたはオリフィスの長さに沿った任意の場所に存在させることのできるオリフィスの最小断面積は、通気孔の抵抗性を形成する。
【0025】
図3、4、および5に示されるように、オリフィス22は、マスクシェルから外向きに延びる盛り上がった隆起部24の頂点に、またはシェル内に形成された溝の底部に形成されてもよい。図1〜5に示される実施形態では、平面図における隆起部24は円の四分の三(3/4)の区画であり、すなわち、オリフィスの形状に順応し、かつ一致する。
【0026】
図3〜5に示される構成におけるオリフィスは、少なくとも部分的にノイズを低減する助けとなると考えられるが、それは、噴出した空気が、流出する際に、必ずしも停滞していないがオリフィスの隣接する区画にある程度起因して動いている空気に衝突し、それが、流出方向におけるそのような噴出した空気の動きを促進するためである。換言すれば、スロットの湾曲した性質、特に、曲線の区画の形態でそれ自体の上に「折り重なる」ものは、噴出した空気と周囲の大気との間の速度差を最小限に抑える助けとなる。
【0027】
隆起部および/またはそのオリフィスは、分割されて、例えば、円形セグメントの配列または一対の向かい合った三日月形の隆起部を形成してもよい。オリフィスは、半円形の形態の場合、半島32を形成し、この半島32は、マスクに接続するとともにその一部として形成されている。隆起部または溝は、オリフィスの形状に類似するが、それよりも幅広の形状を有してもよい。
【0028】
オリフィスによって形成される円の直径(D)(図6を参照)は、好ましくは約6〜8mm、好ましくは約6mmであり、4mm〜20mmであってもよい。半円形のオリフィスの直径(D)は、オリフィスの所望の表面積、例えば15mmに基づいて決まってもよい。さらに、直径(D)は、用途に応じて、提案された4mm〜20mmの範囲を超えて変化してもよい。
【0029】
オリフィス22の内側表面28は、マスクシェルの内部17からオリフィス22の出口まで延びるチャネル26を形成するか、またはそれによって形成される。チャネル26は、曲線状、例えば蹄鉄形であってもよく、オリフィスの出口に類似した形状を有してもよい。図示される実施形態では、オリフィス26の間隙(W)は、一般に、マスクの内表面からオリフィスの出口に向かって狭くなる(収束する)。しかし、オリフィスはまた、フローの方向に広がってもよく、または、オリフィスは、ガスのフローの方向に、オリフィスの1つの区画では広がり、別の区画では狭まるような複雑な形状を有してもよい。図示される実施形態では、オリフィスの間隙は、マスクシェルの内部17に向かって開いている。チャネル壁面の内表面28間の間隙は、その最も狭い幅で約0.5mm〜1.0mm、好ましくは0.75mmであってもよい。各内側表面の傾斜は、チャネルを通って延びる軸線から5°の抜き勾配(DA)であってもよい。5°の抜き勾配が好ましいが、3〜7°の角度などの他の抜き勾配が可能である。
【0030】
チャネル26は、チャネル間隙(W)の最も狭い幅の約4倍の深さ(DD)を有してもよい。チャネル深さ(DD)は、マスクシェルの内表面からオリフィスの出口までの距離である。好ましい形態では、チャネル深さは3mmであり、間隙(W)は0.75mmである。チャネル深さは、一般にマスクシェルの厚さ(T)よりも大きいので、通気孔およびオリフィスはシェルの表面から突出する。マスクは1.0mmの厚さを有してもよい。チャネル深さ(DD)とオリフィスの幅(W)の比は、好ましくは4.0(例えば、3.0mm/0.75mm)であり、2〜100であってもよい。
【0031】
2. ガス逃がし通気孔の第2の実施形態
図8〜11はチャネル26を示し、このチャネル26においては、側壁28は、チャネルから大気に排出される空気の乱流を増加させるように形成され、および/または処理された表面を有している。これは、換気された空気を大気からの空気と急速に混合して、それにより、換気された空気の速度を急激に低減させる効果を有し、それがノイズを低減すると考えられる。チャネルの内表面28の少なくとも一部は、例えば円鋸歯状の縁部を有して波形化された成形表面、および/または処理された表面、例えば、粗面化または鱗状化された(scaled)表面などの粗い表面処理を有してもよい。粗面化の1つの実施例は100〜200ミクロン程度であってもよい。表面処理は、オリフィスの近傍におけるチャネルの内側表面に適用されてもよい。鱗状化は、サメなどの魚の鱗に類似して見える表面処理を指す。
【0032】
一実施形態では、表面輪郭形成または成形は、図8〜12に示されるようなチャネルの内表面それぞれに、一連の波形化された溝34、例えば10〜30本の溝、図示される実施例では好ましくは約18本の溝を含んでもよい。溝34は、同じ寸法を有するように図示されているが、溝のサイズは、より大きな溝とより小さな溝の間で交互にすることができ、または各溝が異なるサイズを有することができる。さらに、チャネル入口において、側壁は平滑であって、波形化されていなくてもよい。図6、7、および12に示されるように、内壁28の基部は、空気の通過を容易にするため、十分に丸くされるか、または鐘形にされる。平滑な内側表面28は、チャネルの深さの少なくとも2分の1まで下向きに延びてもよい。
【0033】
概念上、波形化された溝の形状は、オリフィス(W)より広くチャネルの最も幅広の部分よりも狭い直径を有する、円筒状のドリルビットを用いて切削することによって形成されてもよい。傾斜したチャネルの側壁を円筒状のドリルビットで孔あけすることで、チャネルの狭い出口で始まり、壁面の一部に沿って内向きに延びる波形化された溝が形成される。溝に孔あけすることは、また、通気孔の内壁に沿って放物線状の縁部をもたらす。別の方法として、かつ好ましくは、波形化された溝は、通気孔チャネルに対応する型の壁面上に波形化された隆起部を含む、通気孔の型によって成型する間に形成されてもよい。波形形成は、概念上、円錐形のドリルビットを使用し、オリフィスの出口から内向きに孔あけすることにより、側壁が先細になっていなくてもその上に設けることができることに留意されたい。
【0034】
オリフィスを取り囲むようなチャネルの出口縁部は、円鋸歯状であってもよい。チャネルの出口縁部35は、一連の比較的真直ぐなセグメント(S’)とその間に挟まれる、例えば楕円形または丸くされたセグメントのような円鋸歯状のセグメント(S)であってもよい。チャネル縁部における交互の真直ぐなセグメントと円鋸歯状のセグメントとにより、通気孔を出るジェット気流とチャネル出口の直ぐ下流の停滞した空気との混合が促進される。縁部セグメント(S’およびS)は比較的均一なものとして示されているが、セグメントは、チャネルの縁部に沿って長さおよび深さが変化してもよい。それに加えて、チャネルの幅(W’)は、波形化部分が形成されるチャネルの幅(W)よりも小さい。図11Aは、それらの寸法の相対位置を示す概略図である。
【0035】
3. ガス逃がし通気孔の第3の実施形態
図13は、好ましくは出口縁部において、少なくともオリフィスにおけるチャネルの縁部の近傍に、粗い表面処理46を有するチャネル側壁44を有する、通気オリフィス45の別の実施形態の正面図である。粗い表面は、チャネルの側壁に沿って流れる空気の乱流を増加させると考えられる。オリフィス45および関連するチャネル(マスクシェル12から外向きに延びる隆起部、またはシェル内部に延びる溝であってもよい)は、蛇行する一連の凸状および凹状の湾曲セグメントを有する曲線形状を有する。粗い表面処理は、チャネル側壁の波形化された溝と別個であるか、またはそれと組み合わされてもよい。チャネルの内壁44は、例えば、通気チャネルに対応する型の部分にサンドブラストを施すことにより、粗目46にされてもよい。
【0036】
通気孔を(別個の通気孔またはマスクと一体の通気孔のいずれかとして)成型するため、型は最初に通気孔から形成され、その際、型はアセンブリのチャネルおよびオリフィスに対応する隆起部を備える。型の幾何学形状は波形を形成する形体を含むように切断されてもよく、型の表面は、例えばサンドブラストによって、通気孔の内表面上に所望のレベルの表面粗さを作るように処理されてもよい。表面処理または輪郭形成は、好ましくは、型側壁の通気チャネルに、特に通気孔(オリフィス)の出口縁部に対応する型区画の向かい合った側面上に適用される。型の波形化かつ/または表面粗さを備えるチャネルを有する成型された通気孔アセンブリを形成するため、プラスチック材料(例えば、ポリカーボネート)が型に注入される。
【0037】
4. ガス逃がし通気孔の第4の実施形態
図14は、別のオリフィス36およびマスクシェルの開口42に嵌合する取外し可能な弾性挿入体40の平面図である。通気孔挿入体は、既知であり、例えば、それぞれその全体が参照により組み込まれる、特許文献1および特許文献7、ならびに特許文献8に開示されている。通気孔挿入体は、一般に、小さな円形オリフィスの配列を有していたが、図14のオリフィス36は伸長された曲線のスロットである。別の方法として、またはそれに加えて、オリフィス36は、予め定められた抜き勾配を有する上述のチャネル、粗面、および/または1つもしくは複数の波形化部分を含んでもよい。図14の通気孔挿入体は、その外形が既存の挿入体と同一であってもよく、また、既存のマスクシェルに嵌合してもよい。交換可能な通気孔40内の曲線のオリフィスにより、曲線のスロット(本開示に示されるものなど)を既存のマスクアセンブリに使用することが可能になる。挿入体42は可撓性ポリマー、例えばSantoprene(商標)から作られてもよい。挿入体42は交換および洗浄のために取外し可能である。
【0038】
5. 別のマスク上のガス逃がし通気孔
図15は、患者の鼻孔とインターフェース接続するノズル52を含むマスク50の斜視図である。同様のマスクは、例えば、その公報の全体が参照により組み込まれる、特許文献9の図117および130に開示されている。逃がし通気孔は、従来、円形開口部の配列であったが、本発明のマスクは、例えば、任意に輪郭形成または表面処理、例えば波形化部分および/または粗面を備えた狭まる壁面を有するスロットなど、図3〜12に関して上述した特徴の1つまたは複数を含む、1つまたは複数の曲線の通気孔54を含む。図示される通気孔アセンブリは、従来の円形の通気オリフィスよりも静かに動作すると考えられる、1つまたは複数の細長いオリフィスを有する。
【0039】
図16は、図15に示されるマスクのための、ヨーク、フレーム、封止リング、およびエンドキャップのアセンブリ56の部分分解組立図である。図16に示されるエンドキャップ58は、曲線の逃がし通気孔60を有する。エンドキャップ上に単一の大型オリフィス通気孔を配置することにより、クッションなどのマスクの別の部分上における複数の通気孔の必要性がなくなる。
【0040】
6. ガス逃がし通気孔を備えた自在L字継手(Swivel Elbow)
図17、18、および19は、その全体が参照により組み込まれる特許文献2に示されるものに類似の、給気口72および排気口74を有する給気口導管70の図である。ホース(図示なし)が入口に適合して、ブロワーまたは他の空気源から加圧空気を供給する。出口74は、図1に示されるマスク内の開口14などの、マスク内の開口に適合する。導管70のL字継手は、一連の曲線のスロットオリフィスであってもよい、少なくとも1つの通気オリフィス78(図15に示される)を覆う通気孔シールド76を含む。オリフィスは、導管の外側表面80とシールドの内側表面82(図16)との間の間隙内に逃がしガスを排出する。粗い表面処理84は、内側表面82および外側表面80の間隙に対応する範囲、特に雰囲気への出口近傍に適用されてもよい。間隙は、通気孔78からの逃がしガスを受け、シールドの端部86でガスを排出する。波形化された溝88は、シールドの端部86の近傍などの表面80、82上に形成されてもよい。溝は、間隙の出口において円鋸歯状の縁部を形成する。これらの縁部は、間隙から排出される逃がしガスと停滞した大気との混合を促進し、それが、雰囲気との間の速度差(剪断速度)を急激に低減して、排出ガスとそれに付随するノイズとを低減すると考えられる。
【0041】
図20および21は、図17〜19の実施形態に非常に類似した、本発明の別の実施形態を図示する。ただし、キャップ76のみが、その内表面上において表面処理(例えば、波形形成および/または粗面化)を備える。
【0042】
7. 通気孔アセンブリを備えたマスクアセンブリ
図22は、通気孔カバー上に設けられる単一の曲線の開口202に適用されてもよい、1つまたは複数の表面処理(波形形成/粗面化)を有する通気孔アセンブリ200を含むように適合されたマスクアセンブリを示す、本発明の別の実施形態を図示する。このマスクアセンブリのさらなる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2003年9月5日出願の特許文献10に開示されている。
【0043】
8. 通気孔アセンブリを備えた別のマスクアセンブリ
図23〜25は、本発明のさらに別の実施形態による、通気孔アセンブリ300を含むマスクアセンブリを図示する。通気孔アセンブリ300は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献11にさらに十分に記載されている、ResMedマスクの一部である。マスクアセンブリは、図3〜12に関して記載した通気孔アセンブリの1つまたは複数の属性を含んでもよい。
【0044】
9. 通気孔アセンブリを備えた別のマスクアセンブリ
図26および27は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献12に記載されているような、マスクアセンブリ400の一部を図示する。マスクアセンブリは、例えば内壁408および外壁410によって形成される経路406を介して、呼気ガスを雰囲気に排出する通気孔アセンブリ404を含む。壁408および410はそれぞれ、1つまたは複数の表面処理、例えば、上述したような波形形成および/または粗面化を含んでもよい。
【0045】
10. 通気オリフィスの形状
図28〜34は、本発明によるさらなるオリフィスの形状を図示する。各実施形態では、オリフィスの総孔面積は、上述したように適切なガス逃がしに対処するように選択される。
図28は、図29の3/4円と比べて、3/4楕円である。図30は、組み合わされて総面積(ATOTAL)を形成する、面積A1およびA2を有する楕円形の2つの部分を示す。図31は、ほぼ曲線のオリフィスを示し、図32は、R1からR2までの範囲の複数成分の半径を有する螺旋形状のオリフィスを示す。図33は、湾曲区画および直線区画(セクションラインによって描写される)を有するオリフィスを示し、図34は、等しい半径R1およびR2を有する「S」字形のオリフィスを示す。
【0046】
11. 2つの湾曲した逃がし通気孔を備えるマスクフレーム
図35〜37は、本発明の一実施形態による、2つの湾曲した逃がし通気孔520を含むマスクフレーム510を図示する。通気孔520は、図1〜7に関して上述した通気孔20にほぼ類似した通気孔構造を有する。ただし、2つの通気孔520は、特定の形式で、マスクフレーム520上で方向付けられる。また、通気孔520は、一実施形態において特定の寸法を含む。
【0047】
具体的には、各通気孔520は、142°の円弧全体にわたって延びる、7.7mmの直径を含む(図37を参照)。この構成は、より大きな円弧と比べて通気孔材料の強度を高める。図36に示されるように、各通気孔520は、また、0.85mmの幅、3mmの深さ、1.5mmの入口半径、および6°の抜き勾配を有する。通気孔520の特定の寸法が図36および37に示されるが、これらの寸法は単に例示であり、用途に応じて他の寸法が可能であることを理解されたい。例えば、直径は、130〜150°の円弧全体にわたって延びる、4〜20mm、好ましくは6〜8mmであってもよい。幅は0.5〜1.0mmであってもよく、深さは2.5〜3.5mmであってもよく、入口半径は1〜2mmであってもよく、抜き勾配は3〜7°であってもよい。また、通気孔520は、上述したような1つまたは複数の追加の特徴、例えば、表面輪郭形成または表面処理を含んでもよい。さらに、通気孔520は、図28〜34に記載したような他のオリフィス形状を含んでもよい。
【0048】
図35に示されるように、2つの通気孔520がマスクフレーム510に設けられる。図示されるように、マスクフレーム510は、前頭部支持体を受け入れるように適合された受け部562を含む。2つの通気孔520は、マスクフレーム510上で、受け部562の離間した側壁564の間に配置される。それに加えて、2つの通気孔520は、全体でほぼ逆S字形を形成するように、間に小さな間隙を有して縦に連なって配置される。さらに、2つの通気孔520は、各通気孔520の中央を通って延びる線Lが、マスクフレーム510の長手方向軸線Aにほぼ垂直になるように方向付けられる。
【0049】
マスクフレーム510上のこの通気孔の配置により、各通気孔520の幅を、1つのみの通気孔が使用された場合よりも薄くすることが可能になる。また、2つの通気孔520は1つの通気孔よりも静かなことがあるが、それは、各通気孔の幅がより薄く、かつ/または孔面積当たりの通気孔の外周がより大きいことに起因することがある。それに加えて、2つの通気孔520は、フレーム510上で必要とされる横方向の間隔を低減することがある。ただし、任意の適切な数の通気孔520、例えば1つの通気孔または2つを超える通気孔がフレーム510に設けられてもよいことを理解されたい。また、通気孔520は、他の適切な形式でマスクフレーム510上において方向付けられてもよい。
【0050】
図38〜44は、マスクフレーム上で2つの通気孔520を方向付ける、いくつかの代替実施形態を図示する。例えば、2つの通気孔520は、両方の通気孔が下向きに湾曲した形(図38を参照)で、または両方の通気孔が上向きに湾曲した形(図39を参照)で、垂直に並べられてもよい。2つの通気孔520は、通気孔が互いに向かって湾曲した形(図40を参照)で、または通気孔が互いから離れる方向に湾曲した形(図41を参照)で、水平に並べられてもよい。2つの通気孔520は、通気孔が互いに向かって湾曲した形で垂直方向にずれていてもよい(図42を参照)。2つの通気孔520は、わずかに重なり合って縦に連なって配置されてもよい(図43を参照)。また、2つの通気孔520は、全体でほぼS字形を形成するように、それらの間に小さな間隙を有して縦に連なって配置されてもよい(図44を参照)。通気孔の幾何学形状を、反転、回転、および/または拡大縮小すること(例えば、図28〜34を参照)により、追加の通気孔の構成が作成されてもよいことに留意されたい。
【0051】
本発明を、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものに関連して記載してきたが、本発明は開示される実施形態に限定されるものではなく、反対に、本発明の趣旨および範囲に含まれる様々な変形および同等の構成を包含するものであることを理解されたい。例えば、上述の通気孔アセンブリは、睡眠呼吸障害をもつ患者の治療の分野に使用されてもよいとともに、例えば他の疾病(例えば、うっ血性心不全、糖尿病、病的肥満、脳卒中、肥満外科手術など)の治療に使用される、人工呼吸器または換気装置の分野全般にも有用であってもよく、あるいは、静かで費用効率が高い形式での換気が望ましい場合に、患者または非患者に使用されるあらゆる呼吸装置に使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態による通気孔を組み込んだマスクフレームの正面等角図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による通気孔を組み込んだマスクフレームの背面等角図である。
【図3】図1および2に示される通気孔の正面図(マスク外部から見た図)である。
【図4】図1および2に示される通気孔の正面等角図である。
【図5】図1および2に示される通気孔の背面等角図(マスク内部から見た図)である。
【図6】図3の線6−6に沿った通気孔の断面図である。
【図7】図3の線7−7に沿った通気孔の断面図である。
【図8】通気孔の第2の実施形態の正面図(マスク外部から見た図)である。
【図9】通気孔の第2の実施形態の正面等角図である。
【図10】通気孔の第2の実施形態の背面等角図(マスク内部から見た図)である。
【図11】通気孔の第2の実施形態の波形化された表面処理および円鋸歯状の出口縁部を示す背面図である。
【図11A】本発明の一実施形態による通気オリフィスの代表的な寸法および幾何学形状を示す概略図である。
【図12】通気孔の第2の実施形態の波形化された表面処理および円鋸歯状の出口縁部を示す背面等角拡大図である。
【図13】通気孔の代替実施形態の正面図である。
【図14】通気孔の代替実施形態の正面図である。
【図15】別のマスク上の通気孔の正面図である。
【図16】図15に示されるマスクの別のエンドキャップの分解組立図である。
【図17】通気孔との自在L字継手の正面等角図である。
【図18】通気孔シールドを有さない図17に示されるガス導管の正面等角図である。
【図19】図17に示される導管の通気孔シールドの背面等角図である。
【図20】本発明のさらに別の実施形態による通気孔アセンブリの図である。
【図21】本発明のさらに別の実施形態による通気孔アセンブリの図である。
【図22】本発明のさらにまた別の実施形態による通気孔アセンブリの図である。
【図23】本発明によるさらにまた別の実施形態の図である。
【図24】本発明によるさらにまた別の実施形態の図である。
【図25】本発明によるさらにまた別の実施形態の図である。
【図26】本発明の一実施形態によるさらに別の通気孔アセンブリの図である。
【図27】本発明の一実施形態によるさらに別の通気孔アセンブリの図である。
【図28】本発明の実施形態による形状を有する追加の通気オリフィスの図である。
【図29】本発明の実施形態による形状を有する追加の通気オリフィスの図である。
【図30】本発明の実施形態による形状を有する追加の通気オリフィスの図である。
【図31】本発明の実施形態による形状を有する追加の通気オリフィスの図である。
【図32】本発明の実施形態による形状を有する追加の通気オリフィスの図である。
【図33】本発明の実施形態による形状を有する追加の通気オリフィスの図である。
【図34】本発明の実施形態による形状を有する追加の通気オリフィスの図である。
【図35】本発明の一実施形態による逃がし通気孔を含むマスクフレームの正面図である。
【図36】図35の線36−36に沿った通気孔の、一実施形態の寸法を示す断面図である。
【図37】図35から取った通気孔の、一実施形態の寸法を示す拡大平面図である。
【図38】マスクフレーム上で2つの通気孔を方向付ける代替実施形態の図である。
【図39】マスクフレーム上で2つの通気孔を方向付ける代替実施形態の図である。
【図40】マスクフレーム上で2つの通気孔を方向付ける代替実施形態の図である。
【図41】マスクフレーム上で2つの通気孔を方向付ける代替実施形態の図である。
【図42】マスクフレーム上で2つの通気孔を方向付ける代替実施形態の図である。
【図43】マスクフレーム上で2つの通気孔を方向付ける代替実施形態の図である。
【図44】マスクフレーム上で2つの通気孔を方向付ける代替実施形態の図である。
【符号の説明】
【0053】
10 マスクフレーム
12 シェル
14 開口
16 枠
17 内部容量
18 支持体
20 通気孔
22 オリフィス
24 隆起部
26 チャネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧よりも加圧された呼吸に適したガスを、哺乳類の気道に供給するシステムと共に使用されるマスク用の逃がし通気孔であって、
ガス逃がしに適合された、円錐断面の少なくとも一部を形成する向かい合った縁部または側壁を含む通気オリフィスを備える、逃がし通気孔。
【請求項2】
前記オリフィスは、半島の形態の前記通気孔の固体区画を形成することを特徴とする請求項1に記載の通気孔。
【請求項3】
前記通気オリフィスは、約270°延びる半円形のスロットを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の通気孔。
【請求項4】
前記円錐断面は、双曲線、放物線、楕円形、円形、それらの任意の一部、またはそれらの任意の組み合わせを形成していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項5】
前記通気オリフィスは、前記マスク上の隆起部の頂点にあることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項6】
前記オリフィスの出口は、前記マスクからずれた平面内にあることを特徴とする請求項5に記載の通気孔。
【請求項7】
前記オリフィス出口は、前記マスクと共通の平面内にあることを特徴とする請求項6に記載の通気孔。
【請求項8】
前記隆起部は、その長さにわたって曲線を成していることを特徴とする請求項5に記載の通気孔。
【請求項9】
前記通気孔は、前記マスクに取付け可能な挿入体内に設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項10】
前記オリフィスは、ほぼ三日月形であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項11】
前記オリフィスは、通気孔を通る複数のオリフィスの1つであることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項12】
前記オリフィスは、蹄鉄形を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項13】
前記オリフィスは、凸状セグメントおよび凹状セグメントを備えていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項14】
前記オリフィスは、複数の半円形セグメントを備えていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項15】
前記オリフィスは、部分円であるとともに、前記マスクの前記半島部分を部分的に取り囲んでいることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項16】
前記オリフィス出口と前記マスクの内表面との間にチャネルをさらに備えることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項17】
前記チャネルは、前記マスクの厚さと少なくとも同程度の深さを有することを特徴とする請求項16に記載の通気孔。
【請求項18】
前記チャネルは、前記オリフィス出口の幅または最小値の少なくとも5倍の深さを有することを特徴とする請求項16に記載の通気孔。
【請求項19】
前記チャネルは、傾斜した側壁を備えていることを特徴とする請求項16に記載の通気孔。
【請求項20】
前記側壁は、前記チャネルの軸線から5°の傾斜を有していることを特徴とする請求項16に記載の通気孔。
【請求項21】
前記側壁は、前記チャネルの軸線から3°から7°の傾斜を有していることを特徴とする請求項16に記載の通気孔。
【請求項22】
前記チャネルは、前記マスクの外表面から外向きに延び、前記チャネルは、前記マスク上の前記隆起部の内壁によって形成されていることを特徴とする請求項1から21のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項23】
前記チャネルは、前記マスクの内表面の内側に延び、前記チャネルは、前記マスク内の溝の内壁によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の通気孔。
【請求項24】
前記チャネルは、表面処理および/または輪郭形成を備える側壁を有することを特徴とする請求項16から23のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項25】
前記表面処理は、前記オリフィスに隣接した前記側壁の区画に適用されることを特徴とする請求項24に記載の通気孔。
【請求項26】
前記表面処理は、粗面を含んでいることを特徴とする請求項24から25のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項27】
前記表面輪郭形成は、波形形成を含んでいることを特徴とする請求項24から26のいずれか一項に記載の通気孔。
【請求項28】
前記波形形成は、前記オリフィスに直交して並べられた波形化区画を含んでいることを特徴とする請求項27に記載の通気孔。
【請求項29】
大気圧よりも加圧された呼吸に適したガスを、ヒトまたは動物の患者に供給するシステムと共に使用されるマスクから、ガスを逃がす通気孔アセンブリであって、
固体区画と、
前記固体区画内に形成された、前記マスクの内部と流体連通している細長い曲線状のオリフィスとを備える、通気孔アセンブリ。
【請求項30】
前記固体区画は、前記マスクの半島区画であることを特徴とする請求項29に記載の通気孔アセンブリ。
【請求項31】
前記固体区画は、前記通気孔アセンブリの半島区画であることを特徴とする請求項29に記載の通気孔アセンブリ。
【請求項32】
前記通気孔アセンブリは、エラストマー材料から形成された挿入体を備え、前記挿入体は、前記マスクに取付け可能であることを特徴とする請求項29に記載の通気孔アセンブリ。
【請求項33】
前記挿入体は、ほぼ三日月形状であるとともに、前記挿入体を通る複数のオリフィスを含んでいることを特徴とする請求項32に記載の通気孔アセンブリ。
【請求項34】
前記オリフィスは、蹄鉄形、三日月形、270°の半円形、および曲線のスロットから成る群から選択された形状を有することを特徴とする請求項29に記載の通気孔アセンブリ。
【請求項35】
前記オリフィスと前記マスクの内部との間に延びるチャネルをさらに備え、前記チャネルは、表面処理および/または輪郭形成を有する側壁を備えていることを特徴とする請求項29から33のいずれか一項に記載の通気孔アセンブリ。
【請求項36】
前記表面処理は、前記オリフィスに隣接した前記側壁の区画に適用されていることを特徴とする請求項35に記載の通気孔アセンブリ。
【請求項37】
前記表面処理は、粗面を含んでいることを特徴とする請求項35または36に記載の通気孔アセンブリ。
【請求項38】
前記表面輪郭形成は、波形形成を含んでいることを特徴とする請求項35または36に記載の通気孔アセンブリ。
【請求項39】
前記波形形成は、前記オリフィスに直交して並べられた波形化区画を含んでいることを特徴とする請求項38に記載の通気孔アセンブリ。
【請求項40】
大気圧よりも加圧された呼吸に適したガスを、哺乳類の患者の気道に供給するシステムと共に使用されるマスク内に、通気孔アセンブリを形成する方法であって、
a)前記通気孔アセンブリの型であって、チャネルを形成する隆起部と非円形の断面を有する細長いオリフィスとを含む型を形成する工程と、
b)表面処理および/または輪郭形成を前記隆起部の少なくとも1つの内側壁に適用する工程と、
c)前記チャネルを有する成型された通気孔アセンブリを形成するため、材料を前記型に注入する工程と、
を含む方法。
【請求項41】
前記表面処理を適用する工程は、前記側壁を粗面化するため、前記側壁にサンドブラストを施す工程を含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記表面輪郭形成は、前記側壁上の波形化された溝を含むことを特徴とする請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記表面処理および/または輪郭形成が、前記隆起部の狭い部分に隣接した前記側壁の区画に適用されていることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項44】
大気圧よりも加圧された呼吸に適したガスを、ヒトまたは動物の患者に供給するシステムと共に使用されるマスクから、ガスを逃がす通気孔アセンブリであって、
前記マスクの内部と流体連通しているオリフィスと、
前記オリフィスと前記マスクの内側区画との間のチャネルであって、側壁に沿って波形形成を有するとともに、前記側壁が前記チャネルの出口に円鋸歯状の縁部を有するチャネルとを備える、通気孔アセンブリ。
【請求項45】
前記波形形成が、前記オリフィスに直交して並べられた波形化区画を含むことを特徴とする請求項44に記載の通気孔アセンブリ。
【請求項46】
大気圧よりも加圧された呼吸に適したガスを、哺乳類の気道に供給するシステムと共に使用されるマスク用の逃がし通気孔であって、
ガス逃がしに適合された、向かい合った縁部または側壁を有する通気オリフィスと、
オリフィス出口と前記マスクの内表面との間のチャネルと、を備え、
前記オリフィスは、130〜150°の円弧全体にわたって延びる、4〜20mmの直径を含む湾曲した構成を有し、
前記チャネルは、0.5〜1.0mmの幅、2.5〜3.5mmの深さ、1〜2mmの入口半径、および3〜7mmの抜き勾配を含むことを特徴とする逃がし通気孔。
【請求項47】
前記オリフィスは、142°の円弧全体にわたって延びる、7.7mmの直径を含み、前記チャネルは、0.85mmの幅、3mmの深さ、1.5mmの入口半径、および6°の抜き勾配を含んでいることを特徴とする請求項46に記載の逃がし通気孔。
【請求項48】
マスクフレームと、前記マスクフレームに設けられた請求項46または47に記載の少なくとも1つの逃がし通気孔とを含む、マスクアセンブリ。
【請求項49】
2つの逃がし通気孔が前記マスクフレームに設けられていることを特徴とする請求項48に記載のマスクアセンブリ。
【請求項50】
マスクフレームと、
前記マスクフレームに設けられた2つの逃がし通気孔であって、ガス逃がしに適合された細長い湾曲した通気オリフィスをそれぞれ含む通気孔と、
を備える、マスクアセンブリ。
【請求項51】
前記マスクフレームは、前頭部支持体を受け入れるように適合された受け部を含み、前記2つの通気孔が、前記マスクフレーム上で前記受け部の離間した側壁の間に配置されていることを特徴とする請求項50に記載のマスクアセンブリ。
【請求項52】
前記2つの通気孔は、全体でほぼ逆S字形を形成するようにして縦に連なって配置されていることを特徴とする請求項50または51に記載のマスクアセンブリ。
【請求項53】
前記2つの通気孔は、各前記通気孔の中央を通って延びる線が前記マスクフレームの長手方向軸線にほぼ直交するようにして方向付けられていることを特徴とする請求項50から52のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項54】
前記2つの通気孔は、垂直に並べられていることを特徴とする請求項50に記載のマスクアセンブリ。
【請求項55】
前記通気孔の両方が、前記フレームの底部に向かって下向きに湾曲していることを特徴とする請求項54に記載のマスクアセンブリ。
【請求項56】
前記通気孔の両方が、前記フレームの頂部に向かって上向きに湾曲していることを特徴とする請求項54に記載のマスクアセンブリ。
【請求項57】
前記2つの通気孔が、水平に並べられていることを特徴とする請求項50に記載のマスクアセンブリ。
【請求項58】
前記通気孔が、互いに向かって湾曲していることを特徴とする請求項57に記載のマスクアセンブリ。
【請求項59】
前記通気孔は、互いから離れる方向に湾曲していることを特徴とする請求項57に記載のマスクアセンブリ。
【請求項60】
前記2つの通気孔は、垂直方向にずれ、前記2つの通気孔は互いに向かって湾曲していることを特徴とする請求項50に記載のマスクアセンブリ。
【請求項61】
前記2つの通気孔は、わずかに重なり合って縦に連なって配置されていることを特徴とする請求項50に記載のマスクアセンブリ。
【請求項62】
前記2つの通気孔は、全体でほぼS字形を形成するようにされ、間に小さな間隙を有して縦に連なって配置されていることを特徴とする請求項50に記載のマスクアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図11A】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公表番号】特表2008−526394(P2008−526394A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550639(P2007−550639)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000036
【国際公開番号】WO2006/074516
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(500046450)レスメド リミテッド (192)
【Fターム(参考)】