説明

ガラスびん検査器良否判定の適否確認方法

【課題】 サンプルびんを連続して検査装置に流し、各検査器の良否表示を集約して表示できるようにし、サンプルチェックを熟練を要せず、正確かつ短時間で行うことができるようにする。
【解決手段】 各々のサンプルびんについて検査器を設定し、各々のサンプルびんについて、検査装置から送られる各検査器の良否信号から設定した検査器の良否信号のみを選別し、その良否判定結果を表示するサンプルチェッカをガラスびん検査装置に接続することで、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の検査器を設けた検査装置でガラスびんを検査する際に、所定の欠点を有するサンプルびんを用いて、各検査器が適正に良否判定を行っているかどうかをチェックする、ガラスびん検査器良否判定の適否確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスびんは、成形ラインから検査装置に送り込まれ、種々の検査が行われる。検査装置は複数の検査器を備えており、各検査器により異なる内容の検査が行われる。検査結果によりびんは、良品、不良品、サンプル品に区分けされる。良品は検査結果が良好な合格品、不良品及びサンプル品は検査結果が不合格のものである。サンプル品は不良の程度を確認するためのもので、任意の検査器(検査項目)で不合格となったものがサンプル品として設定される。どのようなものをサンプル品とするかは任意である。検査装置からの判定信号に基づき、振り分け装置が良品、不良品、サンプル品を振り分ける。
【0003】
このような検査装置及び振り分け装置からなる検査システムは、例えば特許第3199318号公報(特許文献1)に開示されている。
【0004】
図1はガラスびん成形ラインの末端側に設けた検査装置20及び振り分け装置の平面図である。成形されたガラスびん21は、成形ラインから矢印Pのように検査装置20に送りこまれる。検査装置20には複数の検査器A、B、C…が設けられており、例えば、Aは口部傷検査器、Bは異物検査器、Cは口部肉厚検査器…というように、各検査器により異なる内容の検査が行われる。検査装置20に送り込まれたびんは反時計回りに間欠的に回転しステーションを移動しながら、各検査器A、B、C…の順で順次検査されていく。この場合、第一ステーションには検査器A、第二ステーションには検査器B、第三ステーションには検査器Cが備えられているが、一つのステーションに複数の検査器を設けることもできる。検査を終了したびんは多数の羽根18aを有する羽根車18により振り分け装置に送り込まれ、良品、不良品又はサンプル品に振り分けられる。
【0005】
検査装置からの判定信号は振り分け装置(のコンピュータ)に送られる。振り分け装置は、びんを移動させるコンベア16の上にガイド17によって区分けされたメイン通路1、不良品通路2、サンプル品通路3を有する。不良品通路2及びサンプル品通路3は、いずれもメイン通路1から分岐している。
【0006】
振り分け装置(のコンピュータ)は、検査装置20からの判定信号(良品、不良品又はサンプル品)に基づき、タイミングセンサ12、コンベア速度センサ13からの信号によってそのびんがどの位置にあるかを把握し、適宜不良品排除手段4又はサンプル品排除手段5を作動し、又は作動せず、びん21をメイン通路1、不良品通路2又はサンプル品通路に導くと共に、成形品表示器8と判定信号表示器9を作動する。
【0007】
成形品表示器8と判定信号表示器9は、多数のLEDを横に並べたものである。成形品表示器8は、メイン通路1上のびんの位置に対応してLEDが発光し、びんの移動に伴ってLEDの発光も移動していく。判定信号表示器9も、メイン通路1上のびんの位置に対応してLEDが発光し、びんの移動に伴ってLEDの発光も移動していくが、そのびんが良品であるときは緑色、サンプル品であるときはオレンジ色、不良品であるときは赤色に発光する。これらの表示器により、各びんが正しい通路に振り分けられていることを確認することができる。
【0008】
メイン通路1と不良品通路2の分岐点付近には不良品排除手段4(エアノズル等)が、不良品通路2の末端にはカレットシュート14が設けられている。不良品がメイン通路1を流れてきて不良品排除手段4を通過するときに、振り分け装置のコンピュータの指令により不良品排除手段4がエアを噴出し、不良品を不良品通路2方向に吹き飛ばす。吹き飛ばされた不良品は不良品通路2の末端のカレットシュート14に落下する。不良品は、不良品通路2の入口を通過する際に不良品センサ6によって検知され、不良品センサ6は検知信号を前記コンピュータに送り、コンピュータは不良品が確実に排除されたことを確認する。確認できないときはせき止め手段19を作動してメイン通路のびんをせき止める。
【0009】
メイン通路1とサンプル品通路3の分岐点付近にはサンプル品排除手段5(エアノズル等)が設けられている。サンプル品がメイン通路1を流れてきてサンプル品排除手段5を通過するときに、コンピュータの指令によりサンプル品排除手段5がエアを噴出し、サンプル品をサンプル品通路3方向に吹き飛ばす。サンプル品は、サンプル品通路3の入口を通過する際にサンプル品センサ7によって検知され、サンプル品センサ7は検知信号をコンピュータに送り、コンピュータはサンプル品が確実に排除されたことを確認する。確認できないときはせき止め手段19を作動してメイン通路のびんをせき止める。メイン通路から排除されたサンプル品は、サンプル品通路3からこれに接続されているサンプリングコンベア10に流れる。サンプリングコンベア10は、作業員が待機している検査装置20方向に向かって設けられている。サンプリングコンベアの末端には切替手段11及びカレットシュート15が設けられている。切替手段11は、例えばエアシリンダ等により動作するもので、流れてきたサンプル品を堰き止めて採取可能な状態と、サンプル品をカレットシュート15に導いて廃棄する状態とを切り替えることができる。
【0010】
このような検査システムにおいては、各検査器が適正に良品又は不良品と判定しているかどうかを確認しなければならない。判定が適正でなければ、適正となるように検査器の調整が必要となる。各検査器の判定が適正かどうかは、サンプルチェックにより行われる。
【0011】
従来のサンプルチェックは、所定の欠点を有するサンプルびんを検査装置に流し、所定の検査器の良否表示(良品判定又は不良品判定)を確認し、検査装置の出口でサンプルびんを回収し、良否表示の結果をチェックシートに書き込む。通常この作業を30本程度のサンプルびんについて繰り返し行う。
【特許文献1】特許第3199318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来のサンプルチェックには、次のような問題があった。第一に、検査器の良否表示が各検査器ごとに設けられているので、各サンプルびんに応じた検査器の所在を知り、そこに出向いて表示を確認しなければならないので、作業が煩雑で熟練を要し、間違いや見逃しの可能性がある。第二に、サンプルびんを1本ずつ流してチェックを行うので、チェックに時間がかかる。30本のサンプルチェックを行うのに30分程度を要していた。
【0013】
本発明は、サンプルびんを連続して検査装置に流し、各検査器の良否表示を集約して表示できるようにし、サンプルチェックを熟練を要せず、正確かつ短時間で行うことができるようにすることを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(構成1)本発明は、複数の検査器を設けたガラスびんの検査装置に所定の欠点を有するサンプルびんを流し、前記各検査器が適正に良否判定を行っているかを確認する方法において、
前記検査装置にサンプルチェッカを接続し、
該サンプルチェッカは、入力部、制御部及び表示部を有し、
前記入力部で各々のサンプルびんについて検査器を設定し、
前記制御部は、各々のサンプルびんについて、前記検査装置から送られる各検査器による良否信号から、前記入力部で設定した検査器から送られた良否信号のみを選別し、前記表示部に前記設定した検査器の良否判定結果を表示させるものであり、
その表示部に表示された良否判定結果に基づいて、その検査器が適正に良否判定を行っているかを確認することを特徴とするガラスびん検査器良否判定の適否確認方法である。
【0015】
(構成2)また本発明は、前記表示部が、前記良否判定結果と共に、そのサンプルびんの呼び名を表示するものである請求項1に記載のガラスびん検査器良否判定の適否確認方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明におけるサンプルチェッカは、各々のサンプルびんについて予め設定した検査器の良否判定が表示部に表示されるので、これを検査装置に接続することで、各サンプルびんに応じた検査器に出向いて表示を確認する必要が無くなり、作業が非常に簡単になり、熟練を要せず、間違いや見逃しが無くなる。
【0017】
サンプルびんの良否判定は、自動的に表示部に表示されるので、サンプルびんを連続して流すことが可能となり、サンプルチェック作業を短時間で完了することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
サンプルチェッカの制御部は、例えばコンピュータとすることができる。各々のサンプルびんに対応する検査器の設定はキーボード、タッチパネルなどの入力部で行う。選別した検査器の良否判定を表示する表示部としてはモニタテレビなどが好適であるが、タッチパネルを用いて入力部と兼用することもできる。
【実施例】
【0019】
図2はサンプルチェッカを組み込んだ検査システムの信号の流れを示すブロック図である。検査システムは検査装置、振り分け装置及びサンプルチェッカからなる。検査装置及び振り分け装置としては、前記特許文献1に示されるような従来のものが使用可能である。
【0020】
検査装置には、複数の検査器A、B、C…が備えられており、例えば、Aは口部傷検査、Bは異物検査、Cは口部肉厚検査というように、各検査器により異なる内容の検査が行われる。各検査器A、B、C…は、検査装置本体から送られるタイミング信号に基づくタイミングで検査を行い、良否信号を検査装置本体に送り返す。タイミング信号は本体が反時計回りに回転し、ステーションを移動させるごとに所定のタイミングで発するパルスである。
【0021】
検査装置の入口には入びんセンサ22が設けられており、びんが検査装置に入るごとにボトルプレゼンス信号が検査装置本体に入力される。ボトルプレゼンス信号は、検査装置が回転するごとに、検査装置本体のメモリ内でシフトレジストし、検査装置本体は入ってきた各びんが今どのステーションにあるかを把握しており、びんの存在するステーションの検査器に対して前記のタイミング信号を送る。
【0022】
検査装置本体は、それぞれのびんについての各検査器からの良否信号を総合し、そのびんについての総合判定信号(良品、不良品又はサンプル品)を振り分け装置に送る。振り分け装置はこの総合判定信号に基づいてびんの振り分けを行う。
【0023】
サンプルチェッカは制御部と入力・表示部からなる。制御部はコンピュータ、入力・表示部はタッチパネルである。制御部には各検査器A、B、C…からの良否信号、入びんセンサ22からのボトルプレゼンス信号及び検査装置本体からのタイミング信号が入力される。この場合、良否信号及びボトルプレゼンス信号は検査装置本体を経由して入力されるが、各検査器や入びんセンサから直接入力してもよいし、他の任意の機器を経由して入力してもよい。制御部においても、前記の検査装置本体と同様に、ボトルプレゼンス信号とタイミング信号から、検査装置に入ってきた各びんが今どのステーションにあるかを把握しているので、各検査器から送られてくる良否信号がどのびんについての検査結果であるかを認識できる。
【0024】
図3は入力・表示部(タッチパネル)における入力画面である。図中「サンプルNo.」はサンプルびんのナンバーで、所定の欠点を有するサンプルびんの呼び名、「検査器名」は各サンプルびんに対応する検査を行う検査器、「ST」は検査器のステーション番号である。この画面で、各サンプルびんについて検査を行う検査器名、及び/又は検査器のステーション番号を設定する。各サンプルびんについて設定した検査器名、ステーション番号は制御部のメモリに記憶される。
【0025】
図4は入力・表示部における実行画面である。この画面でサンプルチェックが実行され、各サンプルびんについて設定した検査器の良否判定結果が表示される。同図において、「判定結果」の欄の「選択」は、そのサンプルNo.のびんについて検査器名が設定されていること、「/」は設定されていないことを意味する。
【0026】
サンプルチェックを実行するには、先ず、図4のサンプルモードボタンを押してサンプルモードに設定する。サンプルモードボタンを押すと、びんを検査装置に供給するコンベアの上流側にあるストッパ(図示せず)が作動し、びんがせき止められる。サンプルモード信号は制御部から検査装置本体に送られ、検査機本体内の検査中のびんがすべて検査終了したのを確認後に検査装置が自動停止すると共に、検査装置本体がサンプルモードに設定される。検査装置本体がサンプルモードに設定されると、検査された全てのびんについて、検査装置本体が振り分け装置に送る総合判定信号は「サンプル品」となる。
【0027】
次に、検査装置の入口にサンプルびんをNo.1から順番に並べ、図4のサンプルスタートボタンを押す。サンプルスタート信号は制御部から検査装置本体に送られ、検査装置が作動を開始し、各サンプルびんについて各検査器からの良否信号を制御部に送ってくる。良否信号には「良品」又は「不良品」の判定データの他にその検査器名のデータも含まれるので、制御部は各サンプルびんについて設定されている検査器名と、良否信号に含まれる検査器名とを比較し、一致した良否信号のみを選択し、表示部にその良否データ「OK」又は「NG」を表示する。検査が終了すると、図4の「選択」の表示は「OK」又は「NG」の表示に変わる。検査を終了した全てのびんは、振り分け装置においてサンプル品通路に振り分けられる。
【0028】
このように、サンプルチェッカの作動中をサンプルモードとし、サンプルモードにおいては振り分け装置が全ての製品をサンプル品として振り分けるようにすると、サンプル品の回収が自動化され、サンプル品が誤ってメイン通路に流れて良品に混じってしまったり、不良品通路に流れて廃棄されるのを完全に防止できる。
【0029】
サンプルチェックが終了すると、図4のサンプル終了ボタンを押す。サンプル終了信号は制御部から検査装置本体に送られ、検査装置は自動停止する。更にサンプルモードボタンを押すと、サンプルモードが解除され、検査装置は通常運転を開始する。びんを検査装置に供給するコンベアの上流側にあるストッパ(図示せず)を解除して成形したびんを検査装置に送り込み、通常の作業に戻る。
【0030】
例えば、サンプルNo.1のサンプルびんが口部に傷を有するものである場合、図3の設定画面においてサンプルNo.1には検査器A(口部傷検査器)を設定する。検査後、図4のサンプルNo.1の「判定結果」が「NG」を表示していれば、検査器AはサンプルNo.1の欠点を適正に検査し、正常に作動していることとなる。もしも「判定結果」が「OK」を表示していれば、検査器AはサンプルNo.1の欠点を見逃したこととなるので、調整が必要となる。
【0031】
本実施例においては、30本のサンプルびんのサンプルチェックを約10分間で完了する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】検査システムの平面説明図である。
【図2】検査システムにおける信号の流れを示すブロック図である。
【図3】入力・表示部の設定画面の説明図である。
【図4】入力・表示部の実行画面の説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 メイン通路
2 不良品通路
3 サンプル品通路
4 不良品排除手段
5 サンプル品排除手段
6 不良品センサ
7 サンプル品センサ
8 成形品表示器
9 判定信号表示器
10 サンプリングコンベア
11 切替手段
12 タイミングセンサ
13 速度センサ
14 カレットシュート
15 カレットシュート
16 コンベア
17 ガイド
18 羽根車
19 せき止め手段
20 検査装置
21 びん
22 入びんセンサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査器を設けたガラスびんの検査装置に所定の欠点を有するサンプルびんを流し、前記各検査器が適正に良否判定を行っているかを確認する方法において、
前記検査装置にサンプルチェッカを接続し、
該サンプルチェッカは、入力部、制御部及び表示部を有し、
前記入力部で各々のサンプルびんについて検査器を設定し、
前記制御部は、各々のサンプルびんについて、前記検査装置から送られる各検査器の良否信号から、前記入力部で設定した検査器から送られた良否信号のみを選別し、前記表示部に前記設定した検査器の良否判定結果を表示させるものであり、
その表示部に表示された良否判定結果に基づいて、その検査器が適正に良否判定を行っているかを確認することを特徴とするガラスびん検査器良否判定の適否確認方法。
【請求項2】
前記表示部が、前記良否判定結果と共に、そのサンプルびんの呼び名を表示するものである請求項1に記載のガラスびん検査器良否判定の適否確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−221218(P2008−221218A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161418(P2008−161418)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【分割の表示】特願2003−385208(P2003−385208)の分割
【原出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【出願人】(000222222)東洋ガラス株式会社 (102)
【Fターム(参考)】