説明

ガラスチョップドストランド集合体の異物除去方法

【課題】 本発明は、ガラスチョップドストランドの集合体に混入した異物を効果的に除去する異物除去方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、ガラスチョップドストランド1の集合体に混入した異物2を除去する異物除去方法であって、ガラスチョップドストランド1及び異物2を面状に拡散させる拡散ステップと、拡散ステップで拡散したガラスチョップドストランド1及び異物2を空中に放つ放出ステップと、放出ステップで空中に放たれたガラスチョップドストランド1及び異物2の色彩を検出する色彩検出ステップと、色彩検出ステップの検出結果に基づき、空気噴射で異物2の落下軌跡を変えることにより、ガラスチョップドストランド1と異物2とを選別する選別ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスチョップドストランドの集合体に混入した異物を除去する異物除去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような分野に関する技術文献として、特開2002−273264号公報が知られている。この公報には、所定の間隔で平行に配列された永久磁石列を上下に複数段重ね合わせた構造を備える異物除去装置が記載されている。この異物除去装置では、ガラスチョップドストランドの集合体が永久磁石の間を通過する際に、金属製の異物が永久磁石に吸着されることで異物の除去が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−273264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の異物除去装置は、永久磁石の吸着力によって異物を除去するものであるため、金属製の異物しか除去できず、塗料やゴム等の非金属製の異物が残ってしまうと言う問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ガラスチョップドストランドの集合体に混入した異物を効果的に除去する異物除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ガラスチョップドストランドの集合体に混入した異物を除去する異物除去方法であって、ガラスチョップドストランド及び異物を面状に拡散させる拡散ステップと、拡散ステップで拡散したガラスチョップドストランド及び異物を空中に放つ放出ステップと、放出ステップで空中に放たれたガラスチョップドストランド及び異物の色彩を検出する色彩検出ステップと、色彩検出ステップの検出結果に基づき、空気噴射で異物の落下軌跡を変えることにより、ガラスチョップドストランドと異物とを選別する選別ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る異物除去方法によれば、面状に拡散されて空中に放たれたガラスチョップドストランド及び異物の色彩を検出することで異物を判別し、空気噴射で異物の落下軌跡を変えることにより、ガラスチョップドストランドと異物との色彩の違いを利用してガラスチョップドストランドと異物を選別することが可能になる。この方法によれば、色彩により異物を判別するので、金属製以外の異物を判別することが可能となり、ガラスチョップドストランドの集合体に混入した異物を効果的に除去することができる。
【0008】
また、本発明においては、放出ステップにおいて空中に放たれたガラスチョップドストランド及び異物の落下軌跡は凸曲線を描くことが好ましい。
ガラスチョップドストランドより比重の小さい異物は、ガラスチョップドストランドと同じ勢いで凸曲線を描くように放たれた場合、空気抵抗の影響でガラスチョップドストランドより手前の地点に落下する。従って、落下軌跡が凸曲線を描くようにガラスチョップドストランド及び異物を空中に放つことにより、落下地点の差異を利用してガラスチョップドストランドと比重の小さい異物とを選別することが可能となる。
【0009】
また、本発明においては、選別ステップにおいて、凸曲線を描くガラスチョップドストランド及び異物の落下軌跡の内側から外側に向かって空気噴射することが好ましい。
ガラスチョップドストランドの集合体に混入する異物は、ガラスチョップドストランドより小型である場合が多く、凸曲線の外側寄りをガラスチョップドストランドが通り、内側寄りを異物が通る可能性が高い。このため、凸曲線を描く落下軌跡の内側から外側に向かって空気噴射することで、より確実に異物の落下軌跡の変えることができる。
【0010】
また、本発明においては、ガラスチョップドストランドに含まれる水分が1.0%以下であることが好ましい。
この場合、ガラスチョップドストランド同士の絡まりがほどけやすくなり、異物からも分離しやすくなるため、ガラスチョップドストランドと異物とを拡散させやすくすることができる。このことは、異物除去効率の向上に寄与する。
【0011】
また、本発明においては、放出ステップにおいて、ガラスチョップドストランド及び異物は滑り台を滑り落ちることにより空中に放たれることが好ましい。
滑り台を滑り落とさせることで、落下軌跡が凸曲線を描くようにガラスチョップドストランド及び異物を放つことができる。さらに、滑り落ちる途中で、滑り台との摩擦力の違いによりガラスチョップドストランドと異物との絡まりがほどけることで、ガラスチョップドストランドと異物との拡散が実現される。
【0012】
また、本発明においては、放出ステップにおいて、ガラスチョップドストランド及び異物は回転ローラの外周面上に運ばれた後、回転ローラの回転力により空中に放たれることが好ましい。
回転ローラの回転力で外周面上のガラスチョップドストランド及び異物が勢いをつけて放たれることで、落下軌跡がより大きな凸曲線を描くようにガラスチョップドストランド及び異物を放つことができる。このことは、ガラスチョップドストランドと比重の小さい異物との落下地点の差を大きくするので、ガラスチョップドストランドと比重の小さい異物の選別をより確実に行うことができる。
【0013】
また、本発明においては、凸曲線を描くガラスチョップドストランドの落下軌跡の内側に格納部を配置し、この格納部に一部の前記異物を格納することが好ましい。
この場合、ガラスチョップドストランドと分けて、落下軌跡の内側に設けられた格納部に比重の小さい異物を格納することができる。比重の小さい異物としては、主にガラスチョップドストランドから発生したモノフィラメントが綿状になっている毛羽玉を挙げることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ガラスチョップドストランドの集合体に混入した異物を効果的に除去する異物除去方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る異物除去方法の一実施形態を説明するための概略側面図である。
【図2】他の実施形態における異物除去方法を説明するための概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る異物除去方法について詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1の実施形態]
【0017】
図1に示すように、第1の実施形態に係る異物除去方法は、ガラスチョップドストランド1の集合体に混入した異物2を除去するための方法である。第1の実施形態に係る異物除去方法では、ガラスチョップドストランド1の集合体を運ぶために滑り台4を用いている。
【0018】
ガラスチョップドストランド1は、溶融状態のガラスを紡糸してガラス長繊維を形成した後、多数のガラス長繊維を束ねて所定の長さに切断することで、円柱形状や板状にしたものである。第1の実施形態に係る異物除去方法では、ガラスチョップドストランド1として、ガラス長繊維のフィラメント径が5〜13μm、束数が1000〜6000本、番手が200〜5000tex、断面積が約1.0〜3.0mm、長さが1.0〜13.0mmのものを対象とすることが特に好ましい。このようなガラスチョップドストランド1の製造工程においては、製造機器の表面から剥がれた金属片や塗料、ガイド用のゴムローラ表面から生じたゴム片、及びガラスチョップドストランド表面から剥離したサイズ剤の塊などが異物として混入する場合が多い。なお、異物2の形状としては、直径が0.1mm程度の粒状のものが多い。
【0019】
このような異物2の存在は、ガラスチョップドストランド1を素材とした各種成形品の外観不良や色相不良などの原因となる。また、ガラスチョップドストランド1から分離したガラスモノフィラメント3(毛羽玉)も綿状になっているので、ホッパ出口の目詰まりや成形品の強度のばらつきなどの原因となるため、異物として除去する必要がある。以下、異物2及びモノフィラメント3が混入したガラスチョップドストランド1の集合体をストランド混合体と呼ぶ。
【0020】
ストランド混合体は、製造後、滑り台4の上方に備えられたホッパ(図示せず)内に溜められ、このホッパから滑り台4の傾斜面4a上にストランド混合体が一定量ずつ落とされる。
【0021】
滑り台4は、所定の角度で傾斜した傾斜面4aを有する板状部材である。この滑り台4の長さは、例えば30〜60cmであり、傾斜面4aの傾斜角度は45〜65°であることが好ましい。
【0022】
傾斜面4a上に落とされたストランド混合体は、傾斜面4a上を滑り落ちる途中で、ガラスチョップドストランド1、異物2、及びモノフィラメント3の間の摩擦力の違いにより徐々に散っていき、傾斜面4aに沿って面状に拡散する。このとき、ガラスチョップドストランド1は傾斜方向に沿って縦向きになるよう回転するので、効率良くストランド混合体の絡まりがほどける。このようにして、ストランド混合体は、ガラスチョップドストランド1、異物2、及びモノフィラメント3が散って、面状に広がった重なりのない状態となり、この状態で滑り台4の下端から空中に放たれる。また、ストランド混合体は、滑り台4の幅方向(図1の紙面と直交する方向)に一定の広がりを持った状態で斜め下に放たれる。
【0023】
このとき、ガラスチョップドストランド1に含まれる水分は、1.0%以下であることが好ましい。この場合、ガラスチョップドストランド1同士の絡まりがほどけやすくなり、異物2やモノフィラメント3からも離れやすくなるため、ホッパからの落下時や傾斜面4a上を滑る途中で、ストランド混合体が十分にばらけることとなる。一方、ガラスチョップドストランド1に含まれる水分が多いと、ガラスチョップドストランド1同士が異物2やモノフィラメント3を巻き込んで絡まりやすくなるため、異物2等の除去の効率が低下することがある。
【0024】
滑り台4の下端から空中に放たれたガラスチョップドストランド1、異物2、モノフィラメント3は、凸曲線状(放射線状)の軌跡を描いて落下する。ガラスチョップドストランド1及び異物2の描く落下軌跡を図1の矢印A、モノフィラメント3の落下軌跡を図1の矢印Bとして示す。
【0025】
矢印Bに示したように、比重の小さいモノフィラメント3は、空気抵抗の違いからガラスチョップドストランド1及び異物2よりも滑り台4の手前側に落下する。このため、ガラスチョップドストランド1、異物2、及びモノフィラメント3が凸曲線の落下軌跡を描くように空中に放つことで、モノフィラメント3をガラスチョップドストランド1及び異物2と選別することが可能になる。なお、モノフィラメント3に限られず、十分に比重の小さい異物2も同様に選別することができる。
【0026】
モノフィラメント3は、格納箱12のうち最も滑り台4に近いモノフィラメント格納部12B内に落下して格納される。なお、格納箱12は、三つの格納部に分かれており、滑り台4側からモノフィラメント格納部12B、ストランド格納部12A、異物格納部12Cの順に仕切られている。また、モノフィラメント3の落下軌跡ほど明確ではないが、異物2の落下軌跡は、ガラスチョップドストランド1の落下軌跡がより滑り台4側になる場合が多い。
【0027】
滑り台4の斜め下には、ガラスチョップドストランド1、異物2、及びモノフィラメント3の落下軌跡を前後で挟む位置に一対の光源5,6が設けられている。光源5,6は、例えば蛍光灯であり、落下するガラスチョップドストランド1、異物2、及びモノフィラメント3に対して光を照射する。
【0028】
光源5,6の下方には、同じくガラスチョップドストランド1、異物2、及びモノフィラメント3の落下軌跡を前後で挟む位置に一対のカメラ7,8が設けられている。カメラ7,8は、例えばCCDラインセンサカメラであり、落下するガラスチョップドストランド1、異物2、及びモノフィラメント3を撮像する。また、カメラ7,8は、滑り台4の幅方向に広がるガラスチョップドストランド1、異物2、及びモノフィラメント3よりも幅の広い撮像領域を有している。
【0029】
カメラ7,8は、互いの撮像方向が落下軌跡の付近で交差するように配置されている。カメラ7,8の撮像方向には、落下軌跡を挟んだ位置に背景盤9,10がそれぞれ配置されている。背景盤9,10は、ガラスチョップドストランド1、異物2、及びモノフィラメント3の色彩が明確に現れるように、適切な濃度の色で色付けられている。このように、落下軌跡を挟んで光源及びカメラを二台ずつ設ける構成とすることで、片側のみに設ける場合より、色彩の検出精度の向上が図られる。
【0030】
カメラ7,8によって画像が撮像されると、その画像データに含まれる対象物(ストランド混合体)ごとの色彩が検出され、検出された色彩に基づいて異物2であるか否かが判別される。具体的には、対象物の色彩が光波長データとして算出され、対象物のうち所定の設定範囲外の光波長を有するものを異物2として判別する。この設定範囲は、ガラスチョップドストランド1の色彩を含み、且つ、金属片やゴム片などの異物2が含まれないように設定されており、工程中に混入する恐れの高い異物2の色彩を考慮して設定すればよく、例えば、10〜830nmの範囲である。好適に使用される範囲は400〜830nmの可視光領域の範囲や、10〜400nmの遠近紫外線領域の範囲である。特に、可視光領域と遠近紫外線領域の併用は精度を向上するために有効である。
【0031】
滑り台4側のカメラ8の下方には、滑り台4の幅方向に並列に(図1の紙面と直交方向に)、複数個のエアーエジェクタ11が設けられている。それぞれのエアーエジェクタ11は2〜10mmの間隔に設けられていて、エアーエジェクタ11は、カメラ7,8が撮像した画像データの色彩情報に基づいて異物2と判別された対象に対して、対応したエアーエジェタ11から圧縮空気を噴射する。このように、エアーエジェクタ11が異物2に対して圧縮空気を噴射して異物2の落下軌跡を変えることにより、ガラスチョップドストランド1と異物2との選別が行われる(図1の矢印C参照)。ガラスチョップドストランド1は、矢印Aに示す落下軌跡を描いて、格納箱12のストランド格納部12A内に落下する。異物2は、エアーエジェクタ11の空気噴射により、矢印Aの途中から矢印Cに示す落下軌跡を描き、格納箱12のうち最も滑り台4から離れた異物格納部12C内に落下する。
【0032】
また、エアーエジェクタ11は、凸曲線を描くガラスチョップドストランド1及び異物2の落下軌跡の内側から外側に向かって圧縮空気を噴射する。落下軌跡の内側は、水平方向で滑り台4側に相当し、落下軌跡の外側は、水平方向で滑り台4と反対側に相当する。このように、エアーエジェクタ11が滑り台4側から異物2に対して圧縮空気を噴射することで、ガラスチョップドストランド1の陰に異物2が隠れる可能性を低減することができ、より確実な異物2の落下軌跡の変更が実現できる。しかも、異物2をモノフィラメント3の落下軌跡から離れる方向(滑り台4と反対の方向)に飛ばすことで、異物2とモノフィラメント3とを別々に格納することができるので、後処理が容易である。
【0033】
以上説明したように、第1の実施形態に係る異物除去方法では、まずストランド混合体がホッパからの落下及び滑り台4を滑り落ちる途中で面状に拡散される。その後、ストランド混合体は、拡散した状態で滑り台4の下端から空中に放たれる。空中に放たれたストランド混合体は、カメラ7,8により撮像されて色彩が検出される。その後、色彩検出の結果に基づいて判別された異物2がエアーエジェクタ11の空気噴射により落下軌跡を変えられることで、ガラスチョップドストランド1と異物2とが選別される。このように、第1の実施形態に係る異物除去方法によれば、色彩により異物を判別するので、金属製以外の異物を判別することが可能となり、ガラスチョップドストランドの集合体に混入した異物を効果的に除去することができる。
【0034】
しかも、この異物除去方法によれば、落下軌跡が凸曲線を描くように放つことで、空気抵抗の違いからガラスチョップドストランド1及び異物2と異なる地点に比重の小さいモノフィラメント3を落下させることができるので、落下地点の差異を利用してモノフィラメント3をガラスチョップドストランド1及び異物2と選別することが可能になる。
[第2の実施形態]
【0035】
図2に示すように、第2の実施形態に係る異物除去方法では、滑り台4に代えて、振動フィーダ13及び回転ローラ14を用いている点のみが異なる。
【0036】
第2の実施形態に係る異物除去方法では、図示しないホッパに溜められたストランド混合体が振動フィーダ13上に一定量ずつ落とされる。振動フィーダ13は、斜め下に位置する回転ローラ14に向かって緩やかに傾斜する長方形状の振動面を有し、振動によって振動面上のストランド混合体を拡散させながら、ストランド混合体を回転ローラ14の外周面14a上へと送り出す。
【0037】
回転ローラ14は、水平方向に延在する中心軸を有しており、この中心軸と連結されたモータ(図示せず)の駆動力によって図2の矢印Dの方向に縦回転する。回転ローラ14の外周面14aは、平滑に形成されている。この回転ローラ14では、ストランド混合体と外周面14aとの間に適切な強さの摩擦力が作用しており、外周面14a上のストランド混合体は回転ローラ14の回転力により振動フィーダ13からはなれる方向へ勢いを付けて放たれる。
【0038】
以上説明した第2の実施形態に係る異物除去方法によれば、第1の実施形態に係る異物除去方法と同様に、色彩により異物を判別するので、金属製以外の異物を判別することが可能となり、ガラスチョップドストランドの集合体に混入した異物を効果的に除去することができる。また、回転ローラ14の回転力で外周面14a上のストランド混合体が勢いを付けて放たれることで、落下軌跡がより大きな凸曲線を描くようにストランド混合体を放つことができる。このことは、ガラスチョップドストランド1とモノフィラメント3との落下地点の差を大きくするので、ガラスチョップドストランド1とモノフィラメント3との選別をより確実に行うことができる。
【0039】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、滑り台4や振動フィーダ14、回転ローラ14に代えて、ベルトコンベアなどを利用しても良い。また、上記第1の実施形態に係る異物除去方法において、滑り台4を振動ながらストランド混合体を滑り落としてもよい。その他、ホッパから拡散させながら直接落下させる態様も考えられ得る。
【0040】
また、光源5,6及びカメラ7,8は、落下軌跡を挟むように二台ずつ備える必要はなく、落下軌跡の一方の側のみに一台ずつ備える態様であっても良い。
【実施例】
【0041】
以下、本発明に係る異物除去方法による実施例について説明する。
【0042】
(実施例1)
実施例1では、金属製の細片10個、ゴム製の細片20個、及びサイズ剤の塊10個を異物としてガラスチョップドストランド1の集合体10kgに混入してストランド混合体を用意して異物除去を行った。実施例1では、第1の実施形態に係る異物除去方法と同じ装置を使用した。なお、エアーエジェクタ11を5mm間隔で滑り台4の幅方向と並行に設け、異物判別における白色蛍光管は波長400〜600nmの市販の蛍光管を使用した。
【0043】
(実施例2)
実施例2では、光源5、カメラ7を用いず、凸曲線を描く落下軌跡の内側すなわち滑り台4側に配置された光源6、カメラ8のみを使用した。その他の条件は、実施例1と同様にした。
【0044】
(実施例3)
実施例3では、凸曲線を描く落下軌跡の外側すなわち滑り台4とは反対方向にエアーエジェクタ11を配置し、落下軌跡の外側から内側に向かって圧縮空気を噴射した。この実施例3では、異物2が落下軌跡の内側に飛ばされるため、異物2はモノフィラメント3と同じモノフィラメント格納部12Bに格納される。その他の条件は、実施例1と同様にした。
【0045】
これらの結果を表1に示す。なお、表1に示す異物量は、異物格納部12C(実施例3ではモノフィラメント格納部12B)に格納されたストランド混合体の総重量を意味する。すなわち、空気噴射に巻き込まれるなどにより異物2と共に格納されたガラスチョップドストランド1及びモノフィラメント3の重量も異物量に含まれる。また、異物除去率とは、混入させた異物の総個数(40個)に対して、実施例1および実施例2においては異物格納部12Cに、実施例3においてはモノフィラメント格納部12Bに格納された異物の個数の割合を示す。
【表1】

【0046】
表1に示すように、実施例2は、実施例1と比べて異物除去率が低く、選別した異物量が少ない結果となった。実施例3は、実施例1と比べて異物除去率が低く、異物量が多い結果となった。また、実施例1、実施例2、実施例3の全てにおいてモノフィラメント30gが選別できた。なお、実施例3の異物量150gには、モノフィラメント30gが含まれているため、異物量に含まれる異物2及びガラスチョップドストランド1の重量は120gとなる。また、実施例3における異物除去率が低く異物量が多いという結果は、実施例1よりも多くのガラスチョップドストランド1が異物量に含まれていることを意味する。
【0047】
実施例2の結果より、光源及びカメラは落下軌跡の前後に配置することが好ましいと考えられる。これは、光源及びカメラによるストランド混合体の色彩検出精度が向上するためと考えられる。
【0048】
実施例3の結果より、落下軌跡の外側から内側に向かって空気噴射を行うよりも、落下軌跡の内側から外側に向かって空気噴射を行うことが好ましいと考えられる。これは、エアーエジェクタ11が滑り台4側から異物2に対して圧縮空気を噴射することで、ガラスチョップドストランド1の陰に異物2が隠れる可能性を低減することができ、より確実な異物2の落下軌跡の変更が実現できるためと考えられる。
【符号の説明】
【0049】
1…ガラスチョップドストランド、2…異物、3…モノフィラメント、4…滑り台、5,6…光源、7,8…カメラ、9,10…背景盤、11…エアーエジェクタ、12…格納箱、12A…ストランド格納部、12B…モノフィラメント格納部、12C…異物格納部。























【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスチョップドストランドの集合体に混入した異物を除去する異物除去方法であって、
前記ガラスチョップドストランド及び前記異物を面状に拡散させる拡散ステップと、
前記拡散ステップで拡散した前記ガラスチョップドストランド及び前記異物を空中に放つ放出ステップと、
前記放出ステップで空中に放たれた前記ガラスチョップドストランド及び前記異物の色彩を検出する色彩検出ステップと、
前記色彩検出ステップの検出結果に基づき、空気噴射で前記異物の落下軌跡を変えることにより、前記ガラスチョップドストランドと前記異物とを選別する選別ステップと、
を含むことを特徴とする異物除去方法。
【請求項2】
前記放出ステップにおいて空中に放たれた前記ガラスチョップドストランド及び前記異物の落下軌跡は凸曲線を描くことを特徴とする請求項1に記載の異物除去方法。
【請求項3】
前記選別ステップにおいて、凸曲線を描く前記ガラスチョップドストランド及び前記異物の前記落下軌跡の内側から外側に向かって空気噴射することを特徴とする請求項2に記載の異物除去方法。
【請求項4】
前記ガラスチョップドストランドに含まれる水分が1.0%以下であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の異物除去方法。
【請求項5】
前記放出ステップにおいて、前記ガラスチョップドストランド及び前記異物を傾斜面から滑り落として空中に放つことを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか一項に記載の異物除去方法。
【請求項6】
前記放出ステップにおいて、前記ガラスチョップドストランド及び前記異物を回転ローラの外周面上に運んだ後、前記回転ローラの回転力により空中に放つことを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか一項に記載の異物除去方法。
【請求項7】
凸曲線を描く前記ガラスチョップドストランドの落下軌跡の内側に格納部を配置し、前記格納部に一部の前記異物を格納することを特徴とする請求項2〜6のうちいずれか一項に記載の異物除去方法。


























【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−78877(P2011−78877A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231706(P2009−231706)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000003975)日東紡績株式会社 (251)
【Fターム(参考)】