ガラスパネルユニット及びガラスカーテンウォール並びにガラスカーテンウォールの施工方法
【課題】ガラスカーテンウォールを構築するガラスパネルユニットの骨組みをガラスにより構成することによりガラスーテンウォールの外観意匠性を高めると同時に室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスを予め支持構造体に取り付けることが不要で施工が容易であり、安全にも優れるガラスパネルユニット及びガラスカーテンウォール並びにガラスカーテンウォールの施工方法を提供する。
【解決手段】ガラスパネル10、20は、主に風荷重を対象とした面外方向外力に対して構造的にはたらくリブガラス16が、枠材12の一辺に予め設けられている、或いは、取り付け可能な構造のものである。外観意匠性が高まるとともに、室内からの眺望を良好とでき、リブガラスを予め支持構造体に取り付けることが不要で施工が容易であり、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【解決手段】ガラスパネル10、20は、主に風荷重を対象とした面外方向外力に対して構造的にはたらくリブガラス16が、枠材12の一辺に予め設けられている、或いは、取り付け可能な構造のものである。外観意匠性が高まるとともに、室内からの眺望を良好とでき、リブガラスを予め支持構造体に取り付けることが不要で施工が容易であり、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラスパネルユニットに係り、特に建物のガラスカーテンウォールを構築するガラスパネルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
超高層ビルの外壁となるガラスカーテンウォールの構法として、金属製のフレームにガラスパネルを組み込んでユニット化されたガラスパネルユニットを、ビルに搬入して組み付けることによりガラスカーテンウォールを構築するユニタイズ構法が採用されている。このユニタイズ構法によれば、ビルにて金属製のフレームにガラスパネルを組み込む構法と比較して、工期を短縮できるメリットがある。
【0003】
すなわち、ユニタイズ構法は、ビルのフロアーとフロアーとの間のガラス窓を一つのガラスパネルユニットとして工場にて組み立て、これをビルの躯体に組み込むことにより工期の短縮化を図るものである。また、ガラスパネルユニット間のウェザータイトは、乾燥に長時間を要する湿式シールではなく、工期短縮の目的から乾式シールが採用されている。
【0004】
ガラスを主体としたこれからのガラスパネルユニットによるガラスカーテンウォールは、従来のユニタイズ構法のメリットを生かしつつ、更にガラスのもつ意匠性を引き出すデザインが求められる。
【0005】
ガラスパネルユニットを構成するためには、骨組みとして金属製部材を利用することが多い。また、支持部材として金属製部材に代えてガラス板を利用する構法は、従来から存在している。代表的な事例が、リブガラス構法である。リブガラス構法は、金属の縦枠に代えてガラス板を利用する構法であり、従来は現場にてフェイスガラスとサッシまたはカーテンウォール部材にリブガラスが組み付けられる。
【0006】
一方、現場では工期短縮化が望まれていることから、ガラスカーテンウォールはガラスパネルユニットの如くユニット化され、このガラスパネルユニットは大型化の傾向にある。
【0007】
しかしながら、前述した通り、ガラスパネルユニットによるカーテンウォールには、金属による骨組みが使用されているため、意匠上求められる外観が得られなかったり、室内からの眺望を阻害したりするという欠点があった。また、ガラスカーテンウォールはビルの顔であるため意匠性の向上が望まれており、眺望もビル建築技術の潮流から重要な要素となっている。更に、骨組みをガラスとした場合には、ガラスパネル構造体の骨組みが有するべき、水密・気密構造とガラスに対する地震時の変形吸収機構が技術上の大きな課題となっている。
【0008】
特許文献1では、ユニット化されたガラスパネルユニットを支持する部材(方立)としてガラスを利用している。このガラスをまず現場で施工(建物の躯体に固定)し、このガラスにガラスパネルユニットを、ブラケットを介して取り付けていく。このように、ガラスを方立として単独で施工する場合、特異な熟練を要する施工技術が必要であり、金属製方立を用いる一般的なユニタイズ構法に比べて施工時間を多く要すると同時に、ガラス製方立(ガラスマリオン、リブガラス)は厚さ方向には剛性が低いため、ユニットを取り付ける際に変形しやすく、取り付けに手間がかかる。また、特許文献1の構成は、少なくともユニットの横枠がリブガラスの中間部に位置することになり眺望が阻害される。安全面では、リブガラスの破損がユニットの脱落につながるので、リブガラスの安全率を高めたり、破損防止や二次災害の防止などのリスク対策に比較的多くの配慮が必要となる。
【特許文献1】特許第3762656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ガラスカーテンウォールを構築するガラスパネルユニットの骨組みをガラスによって構成することによりガラスカーテンウォールの外観意匠性を高めると同時に室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスを予め支持構造体に取り付けることが不要で施工が容易であり、安全にも優れるガラスパネルユニット及びガラスカーテンウォール並びにガラスカーテンウォールの施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載のガラスパネルユニットの発明は、前記目的を達成するために、ビジョン部を含む壁面を構成するガラス板と枠材とが予め一体に組み付けられて支持構造体に取り付けられるガラスパネルユニットにおいて、前記ガラス板の対向する2辺に装着された枠材の少なくとも一端にリブガラス保持部が設けられ、前記ガラス板の前記対向する2辺以外の辺に沿ってリブガラスが前記リブガラス保持部によって取り付け可能な構造であることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ガラス板の対向する2辺に装着された枠材の少なくとも一端に設けられたリブガラス保持部に、主に風荷重を対象とした面外方向外力に対して構造的にはたらくリブガラスが、ガラス板の前記対向する2辺以外の辺に沿って設けられる。これにより、ガラスカーテンウォールを構築するガラスパネルユニットの骨組みがリブガラスによって構成されるので、ガラスカーテンウォールの外観意匠性を高めることができ、リブガラスの中間部に枠材が不要なので、室内からの眺望も良好である。また、枠材に設けられたリブガラス保持部にリブガラスが取り付けられるため、リブガラスを予め支持構造体に取り付けることが不要となり施工が容易である。また、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。なお、リブガラス保持部は枠材の両端に設けてもよい。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記目的を達成するために、ビジョン部を含む壁面を構成するガラス板と枠材とが予め一体に組み付けられて支持構造体に取り付けられるガラスパネルユニットにおいて、パネル材の周囲にフレーム部材が装着されて構成されるスパンドレル部が、前記ビジョン部に隣接して一体的に設けられ、前記スパンドレル部の前記フレーム部材のうち前記ビジョン部に隣接された第1のフレーム部材の端部、又は該第1のフレーム部材の端部に接続された第2のフレーム部材の端部にリブガラス保持部が設けられ、前記ビジョン部の所定の辺に沿ってリブガラスが前記リブガラス保持部によって取り付け可能な構造であることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、スパンドレル部のフレーム部材のうちビジョン部に隣接された第1のフレーム部材の端部、又は第1のフレーム部材の端部に接続された第2のフレーム部材の端部に設けられたリブガラス保持部に、主に風荷重を対象とした面外方向外力に対して構造的にはたらくリブガラスが、ビジョン部の所定の辺に沿って設けられる。ビジョン部とスパンドレル部とが異なるパネル材やガラス板で構成される大型のガラスパネルユニットであっても、ガラスカーテンウォールを構築するガラスパネルユニットの骨組みがリブガラスによって構成されるので、ガラスカーテンウォールの外観意匠性に優れ、リブガラスの中間部に枠材が不要なので、室内からの眺望も良好である。また、枠材に設けられたリブガラス保持部にリブガラスが取り付けられるため、リブガラスを予め支持構造体に取り付けることが不要となり施工が容易である。また、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。なお、リブガラス保持部は第1のフレーム部材の両端に設けてもよい。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記リブガラス保持部が前記枠材に対して可動可能に構成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、リブガラス保持部をガラスパネルユニットの枠材と分離した部品とし、枠材に対して少なくとも水平方向に可動可能とすることが好ましい。これにより、面内層間変位によるリブガラスの変形を抑えることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3において、前記ガラスパネルユニットの周辺部に、乾式シール材であるレインバリアとウインドバリアとが取り付けられていることを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットの周辺部に、乾式シール材であるレインバリアとウインドバリアとを工場にて予め取り付けておくことが好ましい。これにより、現地での施工性が向上するとともに、これらのガラスパネルユニットによって構築されたガラスカーテンウォールの水密性、気密性を確保することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4において、前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットが前記支持構造体に取り付けられる際に隣接するガラスパネルユニットと連結するための係止部材と乾式シール材であるウェザータイト材とが取り付けられていることを特徴としている。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットの周辺部にインターロッキング構造の係止部材とゴム系のウェザータイト材とを備えることが好ましい。これにより、隣接するガラスパネルユニットを係止部材同士によって連結施工できるので、ガラスカーテンウォールの施工性が向上し、また、その係止部材同士の係止部をウェザータイト材によって密閉することにより、水密性、気密性が向上する。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項4において、前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、該ガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するためのシーリング材として湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットであって、前記乾式シール材と前記湿式シール材との接合部に接合部品が設けられていることを特徴としている。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットの周辺部に乾式シール材が取り付けられるとともに湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットにおいて、乾式シール材と湿式シール材との接合部に接合部品を配置することが好ましい。これにより、乾式シール材でシールされた領域の気密性、水密性を確保することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項5において、前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、該ガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するためのシーリング材として湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットであって、前記乾式シール材と前記湿式シール材との接合部に接合部品が設けられていることを特徴としている。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットの周辺部に係止部材と乾式シール材であるウェザータイト材とが取り付けられるとともに湿式シール材が施工されるガラスパネルユニットにおいて、係止部材及びウェザータイト材と湿式シール材との接合部に接合部品を配置することが好ましい。これにより、乾式シール材でシールされた領域の気密性、水密性を確保することができる。
【0024】
また、請求項6又は7において、前記接合部品に加え、この接合部品をガイドやバッカーとして利用し、前記乾式シール材と前記湿式シール材とがシール材により接合されていることが好ましい。これにより、接合部品に加え、シール材によって乾式シール材と湿式シール材とが接合されるので、気密性と水密性をより一層高めることができる。また、シール材を室内側から施工すれば、シール材の打設が容易になる。
【0025】
更に、前記接合部品の少なくとも一部を覆うカバー部材を、前記ガラスパネルユニットの室内側に着脱可能、かつ、前記接合部品と前記カバー部材との間に前記シール材が充填される間隙を形成可能に設けることが好ましい。これにより、カバー部材を取り外してシール施工、シール点検が可能となるので、シール施工性が向上し、シール点検も容易になる。
【0026】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7において、前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、該ガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するためのシーリング材として湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットであって、シール受け部材が取り付けられていることを特徴としている。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットの周辺部にシール受け部材を取り付けておくことが好ましい。これにより、シーリング材をガラスパネルユニットの室内側または室外側のいずれか一方向のみからでも施工でき、隣接するガラスパネルユニット同士の間を封着することができる。したがって、建物の構造上、ガラスパネルユニットの表裏両側からシール施工できない場合であっても、室内側または室外側のいずれか一方のみからシール施工できる。なお、シーリング材は、建物の外側から施工するよりも、建物の内側から施工する方が足場の設置が不要となり短工期を実現できるので、シール受け部材は建物の外側に位置する位置に設けておくことが好ましい。
【0028】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8において、前記リブガラス保持部が二つ以上の部品に分割されていることを特徴としている。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、リブガラス保持部をリブガラス前端側(面ガラス側)とリブガラス後端側(屋内側)との2つ以上の部品に分割することが好ましい。このように分割構造とすることにより、意匠性、及び地震時の変形吸収機能が向上する場合があるからである。
【0030】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9において、前記枠材には、前記リブガラスを枠材に接着させるための接着用ガラス片が設けられていることを特徴としている。
【0031】
請求項10に記載の発明によれば、リブガラスを枠材にシール材により接着させるための接着用ガラス片を、枠材に設けることが好ましい。これにより、リブガラスを金属製の枠材にシール材により直接接着させたものと比較して、リブガラスの接着性が向上する。また、熱膨張係数の等しいガラス同士を接着させることにより、熱膨張時にシール材にかかる応力を低減できるので、シール材の性能寿命も延びる。
【0032】
請求項11に記載のガラスカーテンウォールの発明は、前記目的を達成するために、請求項1または2に記載のガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置して構成されたガラスカーテンウォールであって、前記ガラスパネルユニットのリブガラス保持部に取り付けられたリブガラスが、隣接するガラスパネルユニットによって共有されていることを特徴としている。
【0033】
請求項11に記載の発明によれば、隣接するガラスパネルユニットが一枚のリブガラスを共有するので、リブガラスの枚数を削減できるとともに、施工が容易で短工期を実現できる。また、リブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高め、室内からの眺望も良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0034】
請求項12に記載のガラスカーテンウォールの施工方法の発明は、前記目的を達成するために、ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置して壁面を構成するガラスカーテンウォールの施工方法において、請求項1または2に記載のガラスパネルユニットのリブガラス保持部に予めリブガラスを装着した後、前記ガラスパネルユニットを前記ガラスカーテンウォールの施工現場に搬送し、該施工現場の支持構造体にガラスパネルユニットを取り付けることを特徴としている。
【0035】
請求項12に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットの製造工場にて、ガラスパネルユニットのリブガラス保持部にリブガラスを予め装着し、このガラスパネルユニットをガラスカーテンウォールの施工現場に搬送し、施工現場の支持構造体にガラスパネルユニットを取り付ける。これにより、施工が容易でガラスカーテンウォールの工期を短縮できるととともに、リブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高め、室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0036】
請求項13に記載のガラスカーテンウォールの施工方法の発明は、前記目的を達成するために、ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置して壁面を構成するガラスカーテンウォールの施工方法において、請求項1または2に記載のガラスパネルユニットを施工現場に搬送し、該施工現場の支持構造体に前記ガラスパネルユニットを取り付けた後、前記ガラスパネルユニットのリブガラス保持部にリブガラスを装着することによりガラスカーテンウォールを施工することを特徴としている。
【0037】
請求項13に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットを施工現場に搬送し、このガラスパネルユニットを施工現場の支持構造体に取り付けた後、このガラスパネルユニットのリブガラス保持部にリブガラスを装着する。これにより、施工が容易でガラスカーテンウォールの工期を短縮できるととともに、リブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高め、室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0038】
請求項14に記載の発明は、請求項12又は13において、前記ガラスパネルユニットのガラス面を搬送用又は揚重用治具に備えられた吸盤に装着した後、前記ガラスパネルユニットの取り付け位置に搬送し、前記ガラスパネルユニットを前記支持構造体に取り付けることを特徴としている。
【0039】
請求項14に記載の発明によれば、ガラス面を吸盤に装着して吊り下げ支持するので、吊り下げ用の専用治具や補強が不要であるので、施工が容易でガラスカーテンウォールの工期を短縮できるので好ましい。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係るガラスパネルユニットによれば、ガラスカーテンウォールを構築するガラスパネルユニットの骨組みをリブガラスにより構成したので、ガラスカーテンウォールの外観意匠性を高めることができ、リブガラスの中間部に枠材が不要なので、室内からの眺望も良好である。また、リブガラスを予め支持構造体に取り付けることが不要で施工が容易であり、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0041】
本発明に係るガラスカーテンウォールによれば、隣接するガラスパネルユニットが一枚のリブガラスを共有するので、リブガラスの枚数を削減できるとともに、施工が容易で短工期を実現できる。また、外観意匠性が向上し、室内からの眺望もより良好である。
【0042】
本発明に係るガラスカーテンウォールの施工方法によれば、ガラスパネルユニットのリブガラス保持部にリブガラスを予め装着し、このガラスパネルユニットをガラスカーテンウォールの施工現場に搬送し、施工現場の支持構造体にガラスパネルユニットを取り付けたので、施工が容易でガラスカーテンウォールの工期を短縮できるととともに、リブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高め、室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0043】
また、本発明に係る別のガラスカーテンウォールの施工方法によれば、ガラスパネルユニットを施工現場に搬送し、このガラスパネルユニットを施工現場の支持構造体に取り付けた後、このガラスパネルユニットのリブガラス保持部にリブガラスを装着したので、施工が容易でガラスカーテンウォールの工期を短縮できるととともに、リブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高め、室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、添付図面に従って本発明に係るガラスパネルユニット及びガラスカーテンウォール並びにガラスカーテンウォールの施工方法の好ましい実施の形態について説明する。
【0045】
図1(A)に示すガラスパネルユニット10は、ビジョン部としての壁面を構成する矩形のガラス板Gの対向する2辺である上辺部、及び下辺部に枠材12、12がシール材等により予め取り付けられたガラスパネルユニットである。これらの上下辺部の枠材12、12の図中右端部には、図2に示すようにそれぞれリブガラス保持部48、48が設けられ、これらのリブガラス保持部48、48に長尺形状のリブガラス14の長手方向の両端部(上下端部)が保持されてガラスパネルユニット10が構成されている。このリブガラス14は、ガラス板Gの縦辺部に沿って後付けされる構造である。リブガラス14は、不図示のシール材や接合材、枠材等によってガラス板Gの縦辺部に固着される。接合材とは、図3に示すように隣接する2枚のガラス板G、Gの縦辺部の目地部にリブガラス14を固定するための部材であり、例えば、隣接する2枚のガラス板G、Gの縦辺部の目地部に挿入されて隣接する2枚のガラス板G、Gの縦辺部近傍を挟持する一対の挟持部材54、54と、この挟持部材54、54に一体的に設けられ、リブガラス14を挟持するとともにリブガラス14に穿孔された貫通孔(不図示)にボルト56によって固定される固定部材58、58とから構成される。挟持部材54、54はボルト等の固定具によって連結されてもよく、連結部材を介して一体的に形成されているものでもよい。また、挟持部材54、54とガラス板G、Gとの当接面にはシーリング材を打設することが好ましい。なお、図4(A)、(B)に示すように、ガラス板Gの対向する2辺である縦辺部に枠材12、12が予め取り付けられたガラスパネルユニットにおいては、枠材12、12の上端部にリブガラス保持部48、48を設け、これらのリブガラス保持部48、48に長尺形状のリブガラス14の長手方向の両端部(リブガラス14の短辺)を保持させてガラスパネルユニットを構成すればよい。
【0046】
一方、図1(B)のガラスパネルユニット20は、スパンドレル部16とビジョン部18とからなる方式(スラブ、腰部、天井裏などの前面をカバーするスパンドレル部と、居室空間の前面を構成する、室内から外部を眺望する、いわゆる窓部といわれるビジョン部とを明確に区分した形式)のガラスパネルユニットであって、スパンドレル部16の矩形のガラス板(パネル材)G1とビジョン部18の矩形のガラス板G2とにパネル材が分割されたガラスパネルユニットである。また、スパンドレル部16のガラス板G1の4辺部には枠材(フレーム部材)12が取り付けられるとともに、ビジョン部18のガラス板G2の下辺部に枠材12が取り付けられ(スパンドレル部16とビジョン部18との境界部において、ガラス板G1のフレーム部材とガラス板G2の枠材とを共用し、何れか一方が見かけ上、省略される場合がある)、スパンドレル部16の縦辺の枠材12とビジョン部18の下辺部の枠材12との間にリブガラス14がガラス板G2の縦辺部に沿って後付けされる構造である。このリブガラス14も図2と同様にリブガラス保持部(図17〜図19において後述する)に取り付けられるとともに、不図示のシール材や接合材、枠材等によってガラス板G2の縦辺部に固着される。上記双方のガラスパネルユニット10、20とも枠材12、12間にリブガラス14が納められる形態である。
【0047】
すなわち、図1(A)、(B)のガラスパネルユニット10、20は、ビジョン部18を含む壁面を構成するガラス板G(G2)と枠材12とが予め一体に組み付けられて支持構造体に取り付けられるガラスパネルユニット10、20であり、ガラス板G(G2)の対向する2辺に装着された枠材12の少なくとも一端にリブガラス保持部48が設けられ、ガラス板G(G2)の前記対向する2辺以外の辺に沿ってリブガラス14が取り付け可能な構造のガラスパネルユニットである。つまり、リブガラス14は、ガラスパネルユニット10、20に設けられたリブガラス保持部48に予め設けられているものでもよく、また、ガラスパネルユニット10、20に設けられたリブガラス保持部48に後付けしたものであってもよい。要するに、支持構造体に取り付けられた最終形態のガラスパネルユニット10、20にリブガラス14が取り付けられていればよい。これにより、ガラスパネルユニット10、20の少なくとも一辺に、構造的にはたらくリブガラス14が備わり、ガラスカーテンウォールを構築するガラスパネルユニット10、20の骨組みがリブガラス14によって構成されるので、ガラスカーテンウォールの外観意匠性を高めることができ、リブガラス14の長手方向の中間部に特許文献1のような枠材が不要なので、室内からの眺望も良好である。また、枠材12に設けられたリブガラス保持部48にリブガラス14が取り付けられるため、リブガラス14を予め支持構造体に取り付けることが不要となり施工が容易であり工期を短縮できる。また、リブガラス14の破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0048】
図5に示すガラスカーテンウォールの水平方向断面図によれば、隣接する2枚のガラスパネルユニット10、10の縦辺に沿って枠材12、12が固着されており、ガラスパネルGの縦辺の周縁部は、不図示の緩衝材やシール材を介して枠材12に設けられた溝部に装着されている。これらの枠材12、12の対向面に乾式シール材であるゴム又はプラスチック製のレインバリア22とウインドバリア23とがそれぞれ所定の位置に固着されている。そして、これらのレインバリア22とウインドバリア23とが、対向するレインバリア22とウインドバリア23とに各々突き合わせられて密着されることにより、ガラスカーテンウォールが構築される。ここで、レインバリアとはレインバリア用のシール材を、ウインドバリアとはウインドバリア用のシール材を意味する。このガラスカーテンウォールによれば、レインバリア22とウインドバリア23とによって、水密性、気密性が確保される。なお、この例では、隣接するガラスパネルユニット10、10は、図5に図示されるガラスパネルGの縦辺に固着される枠材12に沿って、不図示のリブガラスが設けられる(後述する図6の例と同様)。リブガラスの長手方向の両端部(上下端部)は、ガラス板Gの対向する2辺である上下辺部に装着された枠材の一端に設けられたリブガラス保持部(不図示)に取り付けられる。
【0049】
例えば、図6の如く、レインバリア22とウインドバリア23とリブガラス14とを組み合わせ、このリブガラス14を枠材12に沿うようにガラス板Gにシール材24によって固着する構造を例示できる。すなわち、図6のガラスパネルユニットは、枠材12が設けられたガラス板Gの辺に沿ってリブガラス14が設けられており、ガラスパネルGの縦辺の周縁部は、不図示の緩衝材やシール材を介して枠材12の端面に装着されている。この場合、金属製の枠材12は、水密・気密機構として最小限必要な大きさに設計され、良好な外観意匠性を確保している。なお、リブガラス14の長手方向の両端部(上下端部)は、ガラス板Gの対向する2辺である上下辺部に装着された枠材の一端に設けられたリブガラス保持部(不図示)に取り付けられる。
【0050】
図5、図6の実施例によれば、ガラスパネルユニット10の周辺部に、乾式シール材であるレインバリア22とウインドバリア23とを工場にて予め取り付けておくことにより、現地での施工性が向上するとともに、これらのガラスパネルユニット10によって構築されたガラスカーテンウォールの水密性、気密性を確保することができる。
【0051】
なお、ガラス板Gが図7に示す複層ガラスの場合には、厚さが比較的大きいので、複層ガラスの周辺部に沿ってレインバリア22とウインドバリア23とを予め直接取り付けておくことができる。図7では、ガラス板Gの左右の縦辺の周縁部の室内側面(図7において、ガラス板Gの上側の面)に沿って、シール材を介してリブガラスが設けられる(不図示)。リブガラスの長手方向の両端部(上下端部)は、ガラス板Gの対向する2辺である上下辺部に装着された枠材の一端に設けられたリブガラス保持部(不図示)に取り付けられる。
【0052】
図8に示すガラスカーテンウォールの水平方向断面図によれば、ガラスパネルユニット10の枠材12にインターロッキング構造の係止部材26を一体形成するとともに、係止部材26にゴム系のウェザータイト材28を備えており、このガラスカーテンウォールは、隣接するガラスパネルユニット10、10を係止部材26、26同士によって連結することにより構築される。これにより、ガラスカーテンウォールの施工性が向上する。また、その係止部材26、26同士の係止部がウェザータイト材28、28によって密閉されているので、ガラスカーテンウォールの水密性、気密性が確保されている。また、係止部材26とウェザータイト材28とによって形成される空間は外気との等圧空間として利用することができ、水密性の向上が図れる。
【0053】
なお、図8に示した2つのウェザータイト材28、28は、そのうちの一方を一方の枠材12に取り付け、他方を他方の枠材12に取り付けてもよく、各々の枠材12、12に2つのウェザータイト材28、28を取り付け、施工時に各々を密着させるようにしてもよい。図8のガラスパネルユニット10では、ガラス板Gの縦辺の周縁部は、不図示の緩衝材やシール材を介して枠材12に設けられた溝部に装着されている。また、図8のガラスパネルユニット10にも、ガラス板Gの左右の縦辺の周縁部の室内側面(図8において、ガラス板Gの上側の面)に沿って、シール材を介してリブガラスが設けられる(不図示)。この場合、リブガラスは、図8に示す枠材12の側面と当接するように設けられ、リブガラスと枠材12との間にシール材または緩衝材を介装するのが好ましい。リブガラスの長手方向の両端部(上下端部)は、ガラス板Gの対向する2辺である上下辺部に装着された枠材の一端に設けられたリブガラス保持部(不図示)に取り付けられる。
【0054】
図9に示すガラスカーテンウォールの水平方向断面図によれば、ガラスパネルユニット10の周辺部である縦辺部に、板状のシール受け部材30が縦辺部に沿って固着されている。このシール受け部材30は、隣接するガラスパネルユニット10、10間の目地部において、対向する左右のガラスパネルユニット10、10の縦辺部の両方または何れか一方に、予め固着されている。このガラスパネルユニット10、10・・・を縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、シール受け部材30は目地部の前後方向において建物の外側に位置する位置に設けられ、これにより、隣接するガラスパネルユニット10、10間を封着するため、両ユニット間の目地部に湿式のシーリング材32が建物の内側から施工される。シーリング材32は、建物の外側から施工するようにしてもよいが、ユニタイズ構法の場合、外部足場が無いので、外部から施工する場合にはゴンドラを使用しなければならず工期が長くなる。よって、建物の内側からシーリング材32を施工する方が短工期を実現できるので好ましい。また、このシール受け部材30は、隣接するガラスパネルユニット10、10間の目地部のうち図5、図6に示したガラスパネルユニット10のレインバリア22とウインドバリア23とが設けられた箇所以外の箇所に設けることが可能である。また、このシール受け部材30は、図8に示したガラスパネルユニット10の枠材12が設けられていない箇所に設けることが可能である。
【0055】
図9の実施例によれば、ガラスパネルユニット10の周辺部にシール受け部材30を取り付けておくことにより、シーリング材32をガラスパネルユニット10の室内側(内部側)または室外側(外部側)の少なくともいずれか一方向から施工でき、隣接するガラスパネルユニット10、10間を封着することができる。また、シーリング材32は、建物の外側から施工するよりも、建物の内側から施工する方が短工期を実現できるので、シール受け部材30は建物の外側に位置する位置に設けておくことが好ましい。なお、図9では、リブガラスを図示せず省略したが、隣接するガラスパネルユニット10、10間の目地部において、ガラスパネルユニット10の室内側(内部側)にリブガラスを設け、リブガラスとガラスパネルユニット10、10とをシーリング材32により接着することができる。また、リブガラスとガラスパネルユニット10とを、図6におけるリブガラス14とガラスパネルユニット10と同様の位置関係として、シーリング材32とは異なる、図6のようなシーリング材24によりリブガラスとガラスパネルユニット10とを接着してもよい。いずれの場合も、リブガラスの長手方向の両端部(上下端部)は、ガラス板Gの対向する2辺である上下辺部に装着された枠材の一端に設けられたリブガラス保持部(不図示)に取り付けられる。
【0056】
図10、図11に示すガラスカーテンウォールの水平方向断面図には、隣接するガラスパネルユニット10、10が一枚のリブガラス14を共有している形態が示されている。
【0057】
図10の形態は、ガラスパネルユニット10の縦辺部に沿って固着されたシール受け部材30を利用して、建物の内側から湿式のシーリング材32を施工し、ガラスパネルユニット10、10の縦目地部に沿ってリブガラス14をガラスパネルユニット10、10、及びシール受け部材30に固着した例である。
【0058】
図11の形態は、ガラスパネルユニット10の縦辺部に沿って固着されたレインバリア22、22をシール受け部材として利用して、建物の内側からシーリング材32を施工し、ガラスパネルユニット10、10の縦目地部に沿ってリブガラス14をガラスパネルユニット10、10、及びレインバリア22、22に固着した例である。また、レインバリア22、22には、その当接部に水きり用のリップ部21が形成され、水密性が高められている。
【0059】
なお、図10、図11のいずれの場合も、リブガラス14の長手方向の両端部(上下端部)は、ガラス板Gの対向する2辺である上下辺部に装着された枠材の一端に設けられたリブガラス保持部(不図示)に取り付けられる。このリブガラス保持部は、隣接するガラスパネルユニット10、10間の目地部において、対向する左右のガラスパネルユニット10、10の両方または何れか一方の枠材の一端に設けられる。
【0060】
図10、図11のガラスカーテンウォールの例によれば、一枚のリブガラス14を隣接するガラスパネルユニット10、10によって共有したので、リブガラス14の枚数を削減でき、施工が容易で短工期を実現できるとともにリブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高め、室内からの眺望も良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0061】
なお、リブガラス14を共通化させる形態は、図5に示したガラスパネルユニット10のレインバリア22とウインドバリア23とが設けられていない箇所に適用することが可能である。また、レインバリア22とウインドバリア23とが設けられている箇所に適用してもよい。例えば、図5に示した各々の枠材12、12に固定板を接続し、これらの固定板と一枚のリブガラス14とを、このリブガラス14に穿孔された貫通孔を介してボルト等の固定治具により固定する。これにより、レインバリア22とウインドバリア23とが設けられている箇所において、リブガラス14を共通化させることができる。同様に、このリブガラス14を共通化させる形態として、図8に示したガラスパネルユニット10の枠材12が設けられていない箇所に適用することが可能である。また、枠材12が設けられている箇所に適用してもよい。例えば、図8に示した各々の枠材12、12に固定板を接続し、これらの固定板と一枚のリブガラス14とを、このリブガラス14に穿孔された貫通孔を介してボルト等の固定治具により固定する。これにより、枠材12が設けられている箇所において、リブガラス14を共通化させることができる。
【0062】
一方、図12の如く、スパンドレル部16とビジョン部18とにガラスパネルが分割されたガラスパネルユニット20(図1(B)参照)は、スパンドレル部16の上辺部、縦辺部の枠材(フレーム部材)12、12、12に、図13、図14の如く乾式シール材であるレインバリア22とウインドバリア23とが設けられる。これにより、スパンドレル部16において、水密性、気密性が確保される。そして、ビジョン部18の縦辺部に湿式シールであるシーリング材32が施工されることにより、隣接するガラスパネルユニット20、20同士が連結される。
【0063】
乾式シール(レインバリア22とウインドバリア23)と湿式シール(シーリング材32)の特徴について、施工の観点から説明すると、乾式シールは、主に工場にて構成材をユニットに取り付けることにより構成され、湿式シールは、ユニット施工後、現場で施工されることにより構成される。ユニタイズの場合、外部足場が無いので、外部から施工する場合にはゴンドラを使用する。スパンドレル部16は、室外側(外部側)からしか施工することができず、ビジョン部18は室内側(内部側)から施工できる。また、性能の観点から説明すると、乾式シールは、等圧構法と排水機構を備えていれば、長期間の使用に耐えることができ、性能は設計、製造精度に依存する。湿式シールは、シール性能と施工品質に依存し、一般的には定期的な打ち変えが必要である。更に、意匠の観点から説明すると、乾式シールは複雑な機構となるので、見付、見込みが大きくなり、これに対して湿式シールはシンプルでスマートな構成となる。以上の点から、ビジョン部18に湿式シールであるシーリング材32を施工すると、意匠性と眺望確保が向上し、また、室内からだけの施工とすることにより、打ち変えも容易になる。
【0064】
このようなシールの特徴を踏まえ、図13、図14の如く、レインバリア22及びウインドバリア23とシーリング材32との間の接合部に、ゴム又は樹脂性の接合部品34を配置することにより、スパンドレル部16の気密性、水密性が確保される。この接合部品34は、気密性と水密性を高めるために室内側から施工されるシール材36のスペーサ(ガイド、バッカー)としても使用できる。更に、図13、図14の如く、スパンドレル部16は、接合部品34とレインバリア22との間に等圧用空気導入口(等圧機構)38が形成されて排水性が確保されている。なお、図14の符号40は、等圧用空気導入口38から雨水が浸入するのを防止するレインバリア部品である。
【0065】
一方、図13、図14に示すガラスパネルユニット20は、ビジョン部18のガラスパネルG2の縦辺部(骨組みの一部)がガラスでありユニット間の目地部に湿式シールが施工されることにより生じる課題である、水密・気密性能、面内変形吸収性能を確保するため、以下の構造を呈している。
【0066】
すなわち、図9の如く、ビジョン部18のガラス目地部(ガラスパネルユニット20の突合せ部)のシーリング材32を室内側からのみで施工できるよう、ガラスパネルユニット20の外部側に予め又はシール施工時にゴム、又は樹脂製のシール受け部材30が設けられている(不図示)。
【0067】
また、図11の如く、シール受け部材として機能するレインバリア22の外部側に水きりを目的としたリップ部21を形成し、水密性能を向上させた構造も適用できる。
【0068】
したがって、図12〜図14の実施例によれば、ガラスパネルユニット20の周辺部に乾式シール材であるレインバリア22とウインドバリア23とが取り付けられ、さらに、ガラスパネルユニットの周辺部に、そのガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するための湿式シール材であるシーリング材32が施工されるガラスパネルユニット20において、乾式シール材と湿式シールとの接合部に接合部品34を配置したので、乾式シールでシールされた領域であるスパンドレル部16の気密性、水密性、及び排水性を確保することができる。
【0069】
また、図15の如く、スパンドレル部16とビジョン部18とにガラスパネルが分割されたガラスパネルユニット20は、スパンドレル部16の枠材12に係止部材26が形成されるとともに、係止部材26、26同士の係止部にウェザータイト材28が設けられている。これにより、スパンドレル部16において、気密性、水密性が確保される。そして、ビジョン部18の縦辺部に湿式シールであるシーリング材32が施工されることにより、隣接するガラスパネルユニット20、20同士が連結される。また、ウェザータイト材28、28とシーリング材32との接合部に接合部品34を配置することにより、スパンドレル部16の気密性と排水性が確保されている。この接合部品34も、シール材36によって、気密性と水密性が高められている。また、シール材36を室内側から施工することにより、シール材打ちの施工が容易になる。
【0070】
図16のガラスパネルユニット20の斜視図によれば、シール材36が充填される間隙が形成されるように、カバー部材(二点鎖線で示すブロック状部材)42が接合部品34の少なくとも一部を覆った状態で、ガラスパネルユニット20の枠材12に対し、不図示の係止部を介して着脱可能に構成されている。これにより、カバー部材42を枠材12から取り外してシール施工、シール点検が可能となるので、シール施工性が向上し、シール点検が容易になる。特に、スパンドレル部16とビジョン部18との境界部は、建物のスラブや梁に近接する位置であり、シール施工、シール点検が困難な場所である。よって、スパンドレル部16とビジョン部18との境界部に位置するカバー部材42を着脱可能とすることにより、シールの施工性がより向上し、シール点検作業もより効率よく実施できる。なお、図13〜図16では、シーリング材32の外部側にシール受け部材30を省略して示したが、図9〜図11の例と同様に、シール受け部材30(レインバリア22)を設けるのが好ましい。
【0071】
図17は、スパンドレル部16とビジョン部18とを有するガラスパネルユニット20の内観図が示されている。同図に示す実施例は、スパンドレル部16の枠材12のうちビジョン部18に隣接された枠材(第1のフレーム部材)12Aの端部にリブガラス保持部48が設けられ、ビジョン部18の縦辺(所定の辺)に沿ってリブガラス14がリブガラス保持部48によって取り付けられたものであり、各々のガラスパネルユニット20にリブガラス14が取り付けられたものである。また、枠材12Aの端部は、角柱状のリブガラス保持部48を嵌合させるための段部13Aが形成されている。
【0072】
図18に示す実施例は、スパンドレル部16の枠材12のうちビジョン部18に隣接された枠材12Aの端部に接続された枠材12B(第2のフレーム部材)の端部にリブガラス保持部48が設けられ、ビジョン部18の縦辺に沿ってリブガラス14がリブガラス保持部48によって取り付けられたものであり、一枚のリブガラス14を隣接するガラスパネルユニット20、20に共通化させたものである。また、枠材12Bの端部は、角柱状のリブガラス保持部48を嵌合させるための段部13Bが形成されている。なお、リブガラス保持部48は、シール材36が充填される間隙が形成されるように、枠材12B、12Bに対して着脱可能に構成されており、前述のカバー部材としても機能する。
【0073】
図19に示す実施例は、スパンドレル部16の枠材12のうちビジョン部18に隣接された枠材12Aの端部、及び枠材12Aに接続された枠材12Bの端部にリブガラス保持部48が設けられ、ビジョン部18の縦辺に沿ってリブガラス14がリブガラス保持部48によって取り付けられたものであり、一枚のリブガラス14を隣接するガラスパネルユニット20、20に共通化させたものである。また、枠材12A、12Bの端部によって、角柱状のリブガラス保持部48を嵌合させるための段部13Cが形成されている。なお、リブガラス保持部48は、シール材36が充填される間隙が形成されるように、枠材12A、12A、12B、12Bに対して着脱可能に構成されており、前述のカバー部材としても機能する。また、符号15は、隣接する2枚のガラス板G2、G2の縦辺部の目地部にリブガラス14を固定する接合部材である。
【0074】
次に、面内層間変形吸収性能を確保する手段について述べる。
【0075】
ガラスパネルユニット10(20)の骨組みである縦枠材としてリブガラス14を利用した場合、地震時の層間変形角を吸収し、リブガラス14の破損を防ぐ必要がある。ガラスパネルユニット10(20)にもともと備わっているクリアランスや吸収挙動によってもリブガラス14の破損を防止できるが、リブガラス14が破損するおそれが場合には、次の対策を講じる。
【0076】
まず、図20に示すように、シーリング材によりガラスパネルGとリブガラス14が接着接合されるガラスパネルユニット10では、リブガラス14の上下端部(長手方向両端部)の固定部に近い部分を低モジュラスシール、又は定形ゴム44とする。これにより、リブガラス14がガラスパネルGに対して変形し易くなるとともに、面内層間変位によるリブガラス14の変形が緩やかになり、リブガラス14に生じる応力が低減するので、リブガラス14の破損を防止することができる。なお、それ以外のシーリング材は、高モジュラスシール46とする。
【0077】
次に、図21(A)の実施例は、リブガラス14の上下端部(下部のみ図示)を保持するリブガラス保持部48をガラスパネルユニット10の枠材12と分離した部品とし、かつ、図21(B)で示すようにリブガラス保持部48を枠材12に対して少なくとも水平方向(矢印A方向)に、既知の可動構造により可動可能な構造とし、面内層間変位時にリブガラス14を水平方向に移動させて逃がすように構成している。かかる構成により、リブガラス14の変形を抑えることができ、リブガラス14に生じる応力が低減するので、リブガラス14の破損を防止することができる。
【0078】
次いで、図22(A)の実施例は、リブガラス14を受けるリブガラス保持部を室内側、室外側の2つの部材50、50に分割した例を示している。これらの部材50、50も、図22(B)で示すように枠材12に対して少なくとも水平方向(矢印A方向)に可動可能に取り付けられている。このように保持部材を二分割すると、保持部材をスリム化できるので意匠性が向上し、分割された保持部材がそれぞれ別方向に変位できるので地震時の変形吸収機能が向上する場合がある。
【0079】
図23の実施例は、リブガラス14を枠材12にシーリング材24により接着させるための接着用ガラス片52を枠材12に嵌合保持させている。この接着用ガラス片52の存在により、リブガラス14を金属製の枠材12にシーリング材24により直接接着させたものと比較して、リブガラス14の接着性が向上する。また、熱膨張係数の等しいガラス同士を接着させることにより、熱膨張時にシーリング材24にかかる応力を低減できるので、シーリング材24の性能寿命も延びる。
【0080】
一方、実施の形態のガラスパネルユニット10(20)を使用したガラスカーテンウォールの施工方法は、まず、ガラスパネルユニット10(20)の製造工場にて、ガラスパネルユニット10(20)のリブガラス保持部48にリブガラス14を予め装着し(図2参照)、このガラスパネルユニット10(20)をガラスカーテンウォールの施工現場に搬送し、施工現場の支持構造体にガラスパネルユニットを取り付ける。これにより、ガラスカーテンウォールの施工が容易で工期を短縮できるととともに、リブガラス14によってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高めることができ、室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全性にも優れる。
【0081】
また、別の施工方法として、リブガラス14の無いガラスパネルユニット10(20)を施工現場に搬送し、このガラスパネルユニット10(20)を施工現場の支持構造体に取り付けた後、このガラスパネルユニット10(20)のリブガラス保持部48にリブガラス14を装着する(図2参照)。これにより、ガラスカーテンウォールの施工が容易で工期を短縮できるととともに、リブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高めることができ、室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全性にも優れる。
【0082】
ガラスパネルユニットを施工現場の取付位置に搬送する場合には、ガラスパネルユニットのガラス面を搬送用又は揚重用治具に備えられた吸盤にて吸着した後、このガラスパネルユニットをガラスパネルユニットの取り付け位置にクレーンなどで搬送し、前記支持構造体に取り付ける。これにより、ガラス面を吸盤に装着して吊り下げ支持するので、吊り下げ用の専用治具や補強が不要であるので、施工が容易でガラスカーテンウォールの工期を短縮できる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態ないし実施例を図面により詳述してきたが、本発明は前記実施の形態ないし実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施の形態のガラスパネルユニットの斜視図
【図2】図1(A)に示したガラスパネルユニットの右側面図
【図3】隣接するガラス板同士の目地部にリブガラスを固定する接合材の構成を示した斜視図
【図4】(A)はガラスパネルの縦辺部に枠材が取り付けられたガラスパネルユニットの斜視図、(B)はリブガラス保持部を示す要部拡大斜視図
【図5】レインバリアとウインドバリアとを備えたガラスパネルユニットの水平方向断面図
【図6】リブガラスがガラスパネルにシール材により接着されたガラスパネルユニットの水平方向断面図
【図7】複層ガラスの周辺部にレインバリアとウインドバリアとが予め設けられたガラスパネルユニットの要部断面図
【図8】枠材に係止部材とウェザータイト材が設けられたガラスパネルユニットの水平方向断面図
【図9】シール受け部材により受けられたシーリング材によって、隣接するガラスパネルユニット間が封着されたガラスパネルユニットの水平方向断面図
【図10】隣接するガラスパネルユニットが一枚のリブガラスを共有するガラスカーテンウォールの水平方向断面図
【図11】隣接するガラスパネルユニットが一枚のリブガラスを共有するガラスカーテンウォールの水平方向断面図
【図12】スパンドレル部とビジョン部とを有するガラスパネルユニットの正面図
【図13】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した外観断面斜視図
【図14】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した外観断面斜視図
【図15】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した外観断面斜視図
【図16】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した内観断面斜視図
【図17】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した要部内観斜視図
【図18】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した要部内観斜視図
【図19】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した要部内観斜視図
【図20】リブガラスの上下端部の固定部に近い部分を低モジュラスシール又は定形ゴムで固定したガラスパネルユニットの斜視図
【図21】(A)はリブガラスの上下端の支持構造を示した拡大断面図、(B)は(A)のア-ア断面図
【図22】(A)はリブガラスの上下端の別の支持構造を示した拡大断面図、(B)は(A)のア-ア断面図
【図23】リブガラスを枠材にシール材により接着させるための接着用ガラス片を枠材に設けたガラスカーテンウォールの水平方向断面図
【符号の説明】
【0085】
G…ガラス板、10、20…ガラスパネルユニット、12…枠材、14…リブガラス、16…スパンドレル部、18…ビジョン部、22…レインバリア、23…ウインドバリア、24…シーリング材、26…係止部材、28…ウェザータイト材、30…シール受け部材、32…シーリング材、34…接合部品、36…シール材、38…等圧用空気導入口、40…レインバリア部品、42…カバー部材、44…低モジュラスシール又は定形ゴム、46…高モジュラスシール、48…リブガラス保持部、50…分割された保持部材、52…接着用ガラス片、54…挟持部材、56…ボルト、58…固定部材
【技術分野】
【0001】
本発明はガラスパネルユニットに係り、特に建物のガラスカーテンウォールを構築するガラスパネルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
超高層ビルの外壁となるガラスカーテンウォールの構法として、金属製のフレームにガラスパネルを組み込んでユニット化されたガラスパネルユニットを、ビルに搬入して組み付けることによりガラスカーテンウォールを構築するユニタイズ構法が採用されている。このユニタイズ構法によれば、ビルにて金属製のフレームにガラスパネルを組み込む構法と比較して、工期を短縮できるメリットがある。
【0003】
すなわち、ユニタイズ構法は、ビルのフロアーとフロアーとの間のガラス窓を一つのガラスパネルユニットとして工場にて組み立て、これをビルの躯体に組み込むことにより工期の短縮化を図るものである。また、ガラスパネルユニット間のウェザータイトは、乾燥に長時間を要する湿式シールではなく、工期短縮の目的から乾式シールが採用されている。
【0004】
ガラスを主体としたこれからのガラスパネルユニットによるガラスカーテンウォールは、従来のユニタイズ構法のメリットを生かしつつ、更にガラスのもつ意匠性を引き出すデザインが求められる。
【0005】
ガラスパネルユニットを構成するためには、骨組みとして金属製部材を利用することが多い。また、支持部材として金属製部材に代えてガラス板を利用する構法は、従来から存在している。代表的な事例が、リブガラス構法である。リブガラス構法は、金属の縦枠に代えてガラス板を利用する構法であり、従来は現場にてフェイスガラスとサッシまたはカーテンウォール部材にリブガラスが組み付けられる。
【0006】
一方、現場では工期短縮化が望まれていることから、ガラスカーテンウォールはガラスパネルユニットの如くユニット化され、このガラスパネルユニットは大型化の傾向にある。
【0007】
しかしながら、前述した通り、ガラスパネルユニットによるカーテンウォールには、金属による骨組みが使用されているため、意匠上求められる外観が得られなかったり、室内からの眺望を阻害したりするという欠点があった。また、ガラスカーテンウォールはビルの顔であるため意匠性の向上が望まれており、眺望もビル建築技術の潮流から重要な要素となっている。更に、骨組みをガラスとした場合には、ガラスパネル構造体の骨組みが有するべき、水密・気密構造とガラスに対する地震時の変形吸収機構が技術上の大きな課題となっている。
【0008】
特許文献1では、ユニット化されたガラスパネルユニットを支持する部材(方立)としてガラスを利用している。このガラスをまず現場で施工(建物の躯体に固定)し、このガラスにガラスパネルユニットを、ブラケットを介して取り付けていく。このように、ガラスを方立として単独で施工する場合、特異な熟練を要する施工技術が必要であり、金属製方立を用いる一般的なユニタイズ構法に比べて施工時間を多く要すると同時に、ガラス製方立(ガラスマリオン、リブガラス)は厚さ方向には剛性が低いため、ユニットを取り付ける際に変形しやすく、取り付けに手間がかかる。また、特許文献1の構成は、少なくともユニットの横枠がリブガラスの中間部に位置することになり眺望が阻害される。安全面では、リブガラスの破損がユニットの脱落につながるので、リブガラスの安全率を高めたり、破損防止や二次災害の防止などのリスク対策に比較的多くの配慮が必要となる。
【特許文献1】特許第3762656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ガラスカーテンウォールを構築するガラスパネルユニットの骨組みをガラスによって構成することによりガラスカーテンウォールの外観意匠性を高めると同時に室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスを予め支持構造体に取り付けることが不要で施工が容易であり、安全にも優れるガラスパネルユニット及びガラスカーテンウォール並びにガラスカーテンウォールの施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載のガラスパネルユニットの発明は、前記目的を達成するために、ビジョン部を含む壁面を構成するガラス板と枠材とが予め一体に組み付けられて支持構造体に取り付けられるガラスパネルユニットにおいて、前記ガラス板の対向する2辺に装着された枠材の少なくとも一端にリブガラス保持部が設けられ、前記ガラス板の前記対向する2辺以外の辺に沿ってリブガラスが前記リブガラス保持部によって取り付け可能な構造であることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ガラス板の対向する2辺に装着された枠材の少なくとも一端に設けられたリブガラス保持部に、主に風荷重を対象とした面外方向外力に対して構造的にはたらくリブガラスが、ガラス板の前記対向する2辺以外の辺に沿って設けられる。これにより、ガラスカーテンウォールを構築するガラスパネルユニットの骨組みがリブガラスによって構成されるので、ガラスカーテンウォールの外観意匠性を高めることができ、リブガラスの中間部に枠材が不要なので、室内からの眺望も良好である。また、枠材に設けられたリブガラス保持部にリブガラスが取り付けられるため、リブガラスを予め支持構造体に取り付けることが不要となり施工が容易である。また、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。なお、リブガラス保持部は枠材の両端に設けてもよい。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記目的を達成するために、ビジョン部を含む壁面を構成するガラス板と枠材とが予め一体に組み付けられて支持構造体に取り付けられるガラスパネルユニットにおいて、パネル材の周囲にフレーム部材が装着されて構成されるスパンドレル部が、前記ビジョン部に隣接して一体的に設けられ、前記スパンドレル部の前記フレーム部材のうち前記ビジョン部に隣接された第1のフレーム部材の端部、又は該第1のフレーム部材の端部に接続された第2のフレーム部材の端部にリブガラス保持部が設けられ、前記ビジョン部の所定の辺に沿ってリブガラスが前記リブガラス保持部によって取り付け可能な構造であることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、スパンドレル部のフレーム部材のうちビジョン部に隣接された第1のフレーム部材の端部、又は第1のフレーム部材の端部に接続された第2のフレーム部材の端部に設けられたリブガラス保持部に、主に風荷重を対象とした面外方向外力に対して構造的にはたらくリブガラスが、ビジョン部の所定の辺に沿って設けられる。ビジョン部とスパンドレル部とが異なるパネル材やガラス板で構成される大型のガラスパネルユニットであっても、ガラスカーテンウォールを構築するガラスパネルユニットの骨組みがリブガラスによって構成されるので、ガラスカーテンウォールの外観意匠性に優れ、リブガラスの中間部に枠材が不要なので、室内からの眺望も良好である。また、枠材に設けられたリブガラス保持部にリブガラスが取り付けられるため、リブガラスを予め支持構造体に取り付けることが不要となり施工が容易である。また、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。なお、リブガラス保持部は第1のフレーム部材の両端に設けてもよい。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記リブガラス保持部が前記枠材に対して可動可能に構成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、リブガラス保持部をガラスパネルユニットの枠材と分離した部品とし、枠材に対して少なくとも水平方向に可動可能とすることが好ましい。これにより、面内層間変位によるリブガラスの変形を抑えることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3において、前記ガラスパネルユニットの周辺部に、乾式シール材であるレインバリアとウインドバリアとが取り付けられていることを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットの周辺部に、乾式シール材であるレインバリアとウインドバリアとを工場にて予め取り付けておくことが好ましい。これにより、現地での施工性が向上するとともに、これらのガラスパネルユニットによって構築されたガラスカーテンウォールの水密性、気密性を確保することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4において、前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットが前記支持構造体に取り付けられる際に隣接するガラスパネルユニットと連結するための係止部材と乾式シール材であるウェザータイト材とが取り付けられていることを特徴としている。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットの周辺部にインターロッキング構造の係止部材とゴム系のウェザータイト材とを備えることが好ましい。これにより、隣接するガラスパネルユニットを係止部材同士によって連結施工できるので、ガラスカーテンウォールの施工性が向上し、また、その係止部材同士の係止部をウェザータイト材によって密閉することにより、水密性、気密性が向上する。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項4において、前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、該ガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するためのシーリング材として湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットであって、前記乾式シール材と前記湿式シール材との接合部に接合部品が設けられていることを特徴としている。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットの周辺部に乾式シール材が取り付けられるとともに湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットにおいて、乾式シール材と湿式シール材との接合部に接合部品を配置することが好ましい。これにより、乾式シール材でシールされた領域の気密性、水密性を確保することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項5において、前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、該ガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するためのシーリング材として湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットであって、前記乾式シール材と前記湿式シール材との接合部に接合部品が設けられていることを特徴としている。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットの周辺部に係止部材と乾式シール材であるウェザータイト材とが取り付けられるとともに湿式シール材が施工されるガラスパネルユニットにおいて、係止部材及びウェザータイト材と湿式シール材との接合部に接合部品を配置することが好ましい。これにより、乾式シール材でシールされた領域の気密性、水密性を確保することができる。
【0024】
また、請求項6又は7において、前記接合部品に加え、この接合部品をガイドやバッカーとして利用し、前記乾式シール材と前記湿式シール材とがシール材により接合されていることが好ましい。これにより、接合部品に加え、シール材によって乾式シール材と湿式シール材とが接合されるので、気密性と水密性をより一層高めることができる。また、シール材を室内側から施工すれば、シール材の打設が容易になる。
【0025】
更に、前記接合部品の少なくとも一部を覆うカバー部材を、前記ガラスパネルユニットの室内側に着脱可能、かつ、前記接合部品と前記カバー部材との間に前記シール材が充填される間隙を形成可能に設けることが好ましい。これにより、カバー部材を取り外してシール施工、シール点検が可能となるので、シール施工性が向上し、シール点検も容易になる。
【0026】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7において、前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、該ガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するためのシーリング材として湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットであって、シール受け部材が取り付けられていることを特徴としている。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットの周辺部にシール受け部材を取り付けておくことが好ましい。これにより、シーリング材をガラスパネルユニットの室内側または室外側のいずれか一方向のみからでも施工でき、隣接するガラスパネルユニット同士の間を封着することができる。したがって、建物の構造上、ガラスパネルユニットの表裏両側からシール施工できない場合であっても、室内側または室外側のいずれか一方のみからシール施工できる。なお、シーリング材は、建物の外側から施工するよりも、建物の内側から施工する方が足場の設置が不要となり短工期を実現できるので、シール受け部材は建物の外側に位置する位置に設けておくことが好ましい。
【0028】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8において、前記リブガラス保持部が二つ以上の部品に分割されていることを特徴としている。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、リブガラス保持部をリブガラス前端側(面ガラス側)とリブガラス後端側(屋内側)との2つ以上の部品に分割することが好ましい。このように分割構造とすることにより、意匠性、及び地震時の変形吸収機能が向上する場合があるからである。
【0030】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9において、前記枠材には、前記リブガラスを枠材に接着させるための接着用ガラス片が設けられていることを特徴としている。
【0031】
請求項10に記載の発明によれば、リブガラスを枠材にシール材により接着させるための接着用ガラス片を、枠材に設けることが好ましい。これにより、リブガラスを金属製の枠材にシール材により直接接着させたものと比較して、リブガラスの接着性が向上する。また、熱膨張係数の等しいガラス同士を接着させることにより、熱膨張時にシール材にかかる応力を低減できるので、シール材の性能寿命も延びる。
【0032】
請求項11に記載のガラスカーテンウォールの発明は、前記目的を達成するために、請求項1または2に記載のガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置して構成されたガラスカーテンウォールであって、前記ガラスパネルユニットのリブガラス保持部に取り付けられたリブガラスが、隣接するガラスパネルユニットによって共有されていることを特徴としている。
【0033】
請求項11に記載の発明によれば、隣接するガラスパネルユニットが一枚のリブガラスを共有するので、リブガラスの枚数を削減できるとともに、施工が容易で短工期を実現できる。また、リブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高め、室内からの眺望も良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0034】
請求項12に記載のガラスカーテンウォールの施工方法の発明は、前記目的を達成するために、ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置して壁面を構成するガラスカーテンウォールの施工方法において、請求項1または2に記載のガラスパネルユニットのリブガラス保持部に予めリブガラスを装着した後、前記ガラスパネルユニットを前記ガラスカーテンウォールの施工現場に搬送し、該施工現場の支持構造体にガラスパネルユニットを取り付けることを特徴としている。
【0035】
請求項12に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットの製造工場にて、ガラスパネルユニットのリブガラス保持部にリブガラスを予め装着し、このガラスパネルユニットをガラスカーテンウォールの施工現場に搬送し、施工現場の支持構造体にガラスパネルユニットを取り付ける。これにより、施工が容易でガラスカーテンウォールの工期を短縮できるととともに、リブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高め、室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0036】
請求項13に記載のガラスカーテンウォールの施工方法の発明は、前記目的を達成するために、ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置して壁面を構成するガラスカーテンウォールの施工方法において、請求項1または2に記載のガラスパネルユニットを施工現場に搬送し、該施工現場の支持構造体に前記ガラスパネルユニットを取り付けた後、前記ガラスパネルユニットのリブガラス保持部にリブガラスを装着することによりガラスカーテンウォールを施工することを特徴としている。
【0037】
請求項13に記載の発明によれば、ガラスパネルユニットを施工現場に搬送し、このガラスパネルユニットを施工現場の支持構造体に取り付けた後、このガラスパネルユニットのリブガラス保持部にリブガラスを装着する。これにより、施工が容易でガラスカーテンウォールの工期を短縮できるととともに、リブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高め、室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0038】
請求項14に記載の発明は、請求項12又は13において、前記ガラスパネルユニットのガラス面を搬送用又は揚重用治具に備えられた吸盤に装着した後、前記ガラスパネルユニットの取り付け位置に搬送し、前記ガラスパネルユニットを前記支持構造体に取り付けることを特徴としている。
【0039】
請求項14に記載の発明によれば、ガラス面を吸盤に装着して吊り下げ支持するので、吊り下げ用の専用治具や補強が不要であるので、施工が容易でガラスカーテンウォールの工期を短縮できるので好ましい。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係るガラスパネルユニットによれば、ガラスカーテンウォールを構築するガラスパネルユニットの骨組みをリブガラスにより構成したので、ガラスカーテンウォールの外観意匠性を高めることができ、リブガラスの中間部に枠材が不要なので、室内からの眺望も良好である。また、リブガラスを予め支持構造体に取り付けることが不要で施工が容易であり、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0041】
本発明に係るガラスカーテンウォールによれば、隣接するガラスパネルユニットが一枚のリブガラスを共有するので、リブガラスの枚数を削減できるとともに、施工が容易で短工期を実現できる。また、外観意匠性が向上し、室内からの眺望もより良好である。
【0042】
本発明に係るガラスカーテンウォールの施工方法によれば、ガラスパネルユニットのリブガラス保持部にリブガラスを予め装着し、このガラスパネルユニットをガラスカーテンウォールの施工現場に搬送し、施工現場の支持構造体にガラスパネルユニットを取り付けたので、施工が容易でガラスカーテンウォールの工期を短縮できるととともに、リブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高め、室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0043】
また、本発明に係る別のガラスカーテンウォールの施工方法によれば、ガラスパネルユニットを施工現場に搬送し、このガラスパネルユニットを施工現場の支持構造体に取り付けた後、このガラスパネルユニットのリブガラス保持部にリブガラスを装着したので、施工が容易でガラスカーテンウォールの工期を短縮できるととともに、リブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高め、室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、添付図面に従って本発明に係るガラスパネルユニット及びガラスカーテンウォール並びにガラスカーテンウォールの施工方法の好ましい実施の形態について説明する。
【0045】
図1(A)に示すガラスパネルユニット10は、ビジョン部としての壁面を構成する矩形のガラス板Gの対向する2辺である上辺部、及び下辺部に枠材12、12がシール材等により予め取り付けられたガラスパネルユニットである。これらの上下辺部の枠材12、12の図中右端部には、図2に示すようにそれぞれリブガラス保持部48、48が設けられ、これらのリブガラス保持部48、48に長尺形状のリブガラス14の長手方向の両端部(上下端部)が保持されてガラスパネルユニット10が構成されている。このリブガラス14は、ガラス板Gの縦辺部に沿って後付けされる構造である。リブガラス14は、不図示のシール材や接合材、枠材等によってガラス板Gの縦辺部に固着される。接合材とは、図3に示すように隣接する2枚のガラス板G、Gの縦辺部の目地部にリブガラス14を固定するための部材であり、例えば、隣接する2枚のガラス板G、Gの縦辺部の目地部に挿入されて隣接する2枚のガラス板G、Gの縦辺部近傍を挟持する一対の挟持部材54、54と、この挟持部材54、54に一体的に設けられ、リブガラス14を挟持するとともにリブガラス14に穿孔された貫通孔(不図示)にボルト56によって固定される固定部材58、58とから構成される。挟持部材54、54はボルト等の固定具によって連結されてもよく、連結部材を介して一体的に形成されているものでもよい。また、挟持部材54、54とガラス板G、Gとの当接面にはシーリング材を打設することが好ましい。なお、図4(A)、(B)に示すように、ガラス板Gの対向する2辺である縦辺部に枠材12、12が予め取り付けられたガラスパネルユニットにおいては、枠材12、12の上端部にリブガラス保持部48、48を設け、これらのリブガラス保持部48、48に長尺形状のリブガラス14の長手方向の両端部(リブガラス14の短辺)を保持させてガラスパネルユニットを構成すればよい。
【0046】
一方、図1(B)のガラスパネルユニット20は、スパンドレル部16とビジョン部18とからなる方式(スラブ、腰部、天井裏などの前面をカバーするスパンドレル部と、居室空間の前面を構成する、室内から外部を眺望する、いわゆる窓部といわれるビジョン部とを明確に区分した形式)のガラスパネルユニットであって、スパンドレル部16の矩形のガラス板(パネル材)G1とビジョン部18の矩形のガラス板G2とにパネル材が分割されたガラスパネルユニットである。また、スパンドレル部16のガラス板G1の4辺部には枠材(フレーム部材)12が取り付けられるとともに、ビジョン部18のガラス板G2の下辺部に枠材12が取り付けられ(スパンドレル部16とビジョン部18との境界部において、ガラス板G1のフレーム部材とガラス板G2の枠材とを共用し、何れか一方が見かけ上、省略される場合がある)、スパンドレル部16の縦辺の枠材12とビジョン部18の下辺部の枠材12との間にリブガラス14がガラス板G2の縦辺部に沿って後付けされる構造である。このリブガラス14も図2と同様にリブガラス保持部(図17〜図19において後述する)に取り付けられるとともに、不図示のシール材や接合材、枠材等によってガラス板G2の縦辺部に固着される。上記双方のガラスパネルユニット10、20とも枠材12、12間にリブガラス14が納められる形態である。
【0047】
すなわち、図1(A)、(B)のガラスパネルユニット10、20は、ビジョン部18を含む壁面を構成するガラス板G(G2)と枠材12とが予め一体に組み付けられて支持構造体に取り付けられるガラスパネルユニット10、20であり、ガラス板G(G2)の対向する2辺に装着された枠材12の少なくとも一端にリブガラス保持部48が設けられ、ガラス板G(G2)の前記対向する2辺以外の辺に沿ってリブガラス14が取り付け可能な構造のガラスパネルユニットである。つまり、リブガラス14は、ガラスパネルユニット10、20に設けられたリブガラス保持部48に予め設けられているものでもよく、また、ガラスパネルユニット10、20に設けられたリブガラス保持部48に後付けしたものであってもよい。要するに、支持構造体に取り付けられた最終形態のガラスパネルユニット10、20にリブガラス14が取り付けられていればよい。これにより、ガラスパネルユニット10、20の少なくとも一辺に、構造的にはたらくリブガラス14が備わり、ガラスカーテンウォールを構築するガラスパネルユニット10、20の骨組みがリブガラス14によって構成されるので、ガラスカーテンウォールの外観意匠性を高めることができ、リブガラス14の長手方向の中間部に特許文献1のような枠材が不要なので、室内からの眺望も良好である。また、枠材12に設けられたリブガラス保持部48にリブガラス14が取り付けられるため、リブガラス14を予め支持構造体に取り付けることが不要となり施工が容易であり工期を短縮できる。また、リブガラス14の破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0048】
図5に示すガラスカーテンウォールの水平方向断面図によれば、隣接する2枚のガラスパネルユニット10、10の縦辺に沿って枠材12、12が固着されており、ガラスパネルGの縦辺の周縁部は、不図示の緩衝材やシール材を介して枠材12に設けられた溝部に装着されている。これらの枠材12、12の対向面に乾式シール材であるゴム又はプラスチック製のレインバリア22とウインドバリア23とがそれぞれ所定の位置に固着されている。そして、これらのレインバリア22とウインドバリア23とが、対向するレインバリア22とウインドバリア23とに各々突き合わせられて密着されることにより、ガラスカーテンウォールが構築される。ここで、レインバリアとはレインバリア用のシール材を、ウインドバリアとはウインドバリア用のシール材を意味する。このガラスカーテンウォールによれば、レインバリア22とウインドバリア23とによって、水密性、気密性が確保される。なお、この例では、隣接するガラスパネルユニット10、10は、図5に図示されるガラスパネルGの縦辺に固着される枠材12に沿って、不図示のリブガラスが設けられる(後述する図6の例と同様)。リブガラスの長手方向の両端部(上下端部)は、ガラス板Gの対向する2辺である上下辺部に装着された枠材の一端に設けられたリブガラス保持部(不図示)に取り付けられる。
【0049】
例えば、図6の如く、レインバリア22とウインドバリア23とリブガラス14とを組み合わせ、このリブガラス14を枠材12に沿うようにガラス板Gにシール材24によって固着する構造を例示できる。すなわち、図6のガラスパネルユニットは、枠材12が設けられたガラス板Gの辺に沿ってリブガラス14が設けられており、ガラスパネルGの縦辺の周縁部は、不図示の緩衝材やシール材を介して枠材12の端面に装着されている。この場合、金属製の枠材12は、水密・気密機構として最小限必要な大きさに設計され、良好な外観意匠性を確保している。なお、リブガラス14の長手方向の両端部(上下端部)は、ガラス板Gの対向する2辺である上下辺部に装着された枠材の一端に設けられたリブガラス保持部(不図示)に取り付けられる。
【0050】
図5、図6の実施例によれば、ガラスパネルユニット10の周辺部に、乾式シール材であるレインバリア22とウインドバリア23とを工場にて予め取り付けておくことにより、現地での施工性が向上するとともに、これらのガラスパネルユニット10によって構築されたガラスカーテンウォールの水密性、気密性を確保することができる。
【0051】
なお、ガラス板Gが図7に示す複層ガラスの場合には、厚さが比較的大きいので、複層ガラスの周辺部に沿ってレインバリア22とウインドバリア23とを予め直接取り付けておくことができる。図7では、ガラス板Gの左右の縦辺の周縁部の室内側面(図7において、ガラス板Gの上側の面)に沿って、シール材を介してリブガラスが設けられる(不図示)。リブガラスの長手方向の両端部(上下端部)は、ガラス板Gの対向する2辺である上下辺部に装着された枠材の一端に設けられたリブガラス保持部(不図示)に取り付けられる。
【0052】
図8に示すガラスカーテンウォールの水平方向断面図によれば、ガラスパネルユニット10の枠材12にインターロッキング構造の係止部材26を一体形成するとともに、係止部材26にゴム系のウェザータイト材28を備えており、このガラスカーテンウォールは、隣接するガラスパネルユニット10、10を係止部材26、26同士によって連結することにより構築される。これにより、ガラスカーテンウォールの施工性が向上する。また、その係止部材26、26同士の係止部がウェザータイト材28、28によって密閉されているので、ガラスカーテンウォールの水密性、気密性が確保されている。また、係止部材26とウェザータイト材28とによって形成される空間は外気との等圧空間として利用することができ、水密性の向上が図れる。
【0053】
なお、図8に示した2つのウェザータイト材28、28は、そのうちの一方を一方の枠材12に取り付け、他方を他方の枠材12に取り付けてもよく、各々の枠材12、12に2つのウェザータイト材28、28を取り付け、施工時に各々を密着させるようにしてもよい。図8のガラスパネルユニット10では、ガラス板Gの縦辺の周縁部は、不図示の緩衝材やシール材を介して枠材12に設けられた溝部に装着されている。また、図8のガラスパネルユニット10にも、ガラス板Gの左右の縦辺の周縁部の室内側面(図8において、ガラス板Gの上側の面)に沿って、シール材を介してリブガラスが設けられる(不図示)。この場合、リブガラスは、図8に示す枠材12の側面と当接するように設けられ、リブガラスと枠材12との間にシール材または緩衝材を介装するのが好ましい。リブガラスの長手方向の両端部(上下端部)は、ガラス板Gの対向する2辺である上下辺部に装着された枠材の一端に設けられたリブガラス保持部(不図示)に取り付けられる。
【0054】
図9に示すガラスカーテンウォールの水平方向断面図によれば、ガラスパネルユニット10の周辺部である縦辺部に、板状のシール受け部材30が縦辺部に沿って固着されている。このシール受け部材30は、隣接するガラスパネルユニット10、10間の目地部において、対向する左右のガラスパネルユニット10、10の縦辺部の両方または何れか一方に、予め固着されている。このガラスパネルユニット10、10・・・を縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、シール受け部材30は目地部の前後方向において建物の外側に位置する位置に設けられ、これにより、隣接するガラスパネルユニット10、10間を封着するため、両ユニット間の目地部に湿式のシーリング材32が建物の内側から施工される。シーリング材32は、建物の外側から施工するようにしてもよいが、ユニタイズ構法の場合、外部足場が無いので、外部から施工する場合にはゴンドラを使用しなければならず工期が長くなる。よって、建物の内側からシーリング材32を施工する方が短工期を実現できるので好ましい。また、このシール受け部材30は、隣接するガラスパネルユニット10、10間の目地部のうち図5、図6に示したガラスパネルユニット10のレインバリア22とウインドバリア23とが設けられた箇所以外の箇所に設けることが可能である。また、このシール受け部材30は、図8に示したガラスパネルユニット10の枠材12が設けられていない箇所に設けることが可能である。
【0055】
図9の実施例によれば、ガラスパネルユニット10の周辺部にシール受け部材30を取り付けておくことにより、シーリング材32をガラスパネルユニット10の室内側(内部側)または室外側(外部側)の少なくともいずれか一方向から施工でき、隣接するガラスパネルユニット10、10間を封着することができる。また、シーリング材32は、建物の外側から施工するよりも、建物の内側から施工する方が短工期を実現できるので、シール受け部材30は建物の外側に位置する位置に設けておくことが好ましい。なお、図9では、リブガラスを図示せず省略したが、隣接するガラスパネルユニット10、10間の目地部において、ガラスパネルユニット10の室内側(内部側)にリブガラスを設け、リブガラスとガラスパネルユニット10、10とをシーリング材32により接着することができる。また、リブガラスとガラスパネルユニット10とを、図6におけるリブガラス14とガラスパネルユニット10と同様の位置関係として、シーリング材32とは異なる、図6のようなシーリング材24によりリブガラスとガラスパネルユニット10とを接着してもよい。いずれの場合も、リブガラスの長手方向の両端部(上下端部)は、ガラス板Gの対向する2辺である上下辺部に装着された枠材の一端に設けられたリブガラス保持部(不図示)に取り付けられる。
【0056】
図10、図11に示すガラスカーテンウォールの水平方向断面図には、隣接するガラスパネルユニット10、10が一枚のリブガラス14を共有している形態が示されている。
【0057】
図10の形態は、ガラスパネルユニット10の縦辺部に沿って固着されたシール受け部材30を利用して、建物の内側から湿式のシーリング材32を施工し、ガラスパネルユニット10、10の縦目地部に沿ってリブガラス14をガラスパネルユニット10、10、及びシール受け部材30に固着した例である。
【0058】
図11の形態は、ガラスパネルユニット10の縦辺部に沿って固着されたレインバリア22、22をシール受け部材として利用して、建物の内側からシーリング材32を施工し、ガラスパネルユニット10、10の縦目地部に沿ってリブガラス14をガラスパネルユニット10、10、及びレインバリア22、22に固着した例である。また、レインバリア22、22には、その当接部に水きり用のリップ部21が形成され、水密性が高められている。
【0059】
なお、図10、図11のいずれの場合も、リブガラス14の長手方向の両端部(上下端部)は、ガラス板Gの対向する2辺である上下辺部に装着された枠材の一端に設けられたリブガラス保持部(不図示)に取り付けられる。このリブガラス保持部は、隣接するガラスパネルユニット10、10間の目地部において、対向する左右のガラスパネルユニット10、10の両方または何れか一方の枠材の一端に設けられる。
【0060】
図10、図11のガラスカーテンウォールの例によれば、一枚のリブガラス14を隣接するガラスパネルユニット10、10によって共有したので、リブガラス14の枚数を削減でき、施工が容易で短工期を実現できるとともにリブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高め、室内からの眺望も良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全にも優れる。
【0061】
なお、リブガラス14を共通化させる形態は、図5に示したガラスパネルユニット10のレインバリア22とウインドバリア23とが設けられていない箇所に適用することが可能である。また、レインバリア22とウインドバリア23とが設けられている箇所に適用してもよい。例えば、図5に示した各々の枠材12、12に固定板を接続し、これらの固定板と一枚のリブガラス14とを、このリブガラス14に穿孔された貫通孔を介してボルト等の固定治具により固定する。これにより、レインバリア22とウインドバリア23とが設けられている箇所において、リブガラス14を共通化させることができる。同様に、このリブガラス14を共通化させる形態として、図8に示したガラスパネルユニット10の枠材12が設けられていない箇所に適用することが可能である。また、枠材12が設けられている箇所に適用してもよい。例えば、図8に示した各々の枠材12、12に固定板を接続し、これらの固定板と一枚のリブガラス14とを、このリブガラス14に穿孔された貫通孔を介してボルト等の固定治具により固定する。これにより、枠材12が設けられている箇所において、リブガラス14を共通化させることができる。
【0062】
一方、図12の如く、スパンドレル部16とビジョン部18とにガラスパネルが分割されたガラスパネルユニット20(図1(B)参照)は、スパンドレル部16の上辺部、縦辺部の枠材(フレーム部材)12、12、12に、図13、図14の如く乾式シール材であるレインバリア22とウインドバリア23とが設けられる。これにより、スパンドレル部16において、水密性、気密性が確保される。そして、ビジョン部18の縦辺部に湿式シールであるシーリング材32が施工されることにより、隣接するガラスパネルユニット20、20同士が連結される。
【0063】
乾式シール(レインバリア22とウインドバリア23)と湿式シール(シーリング材32)の特徴について、施工の観点から説明すると、乾式シールは、主に工場にて構成材をユニットに取り付けることにより構成され、湿式シールは、ユニット施工後、現場で施工されることにより構成される。ユニタイズの場合、外部足場が無いので、外部から施工する場合にはゴンドラを使用する。スパンドレル部16は、室外側(外部側)からしか施工することができず、ビジョン部18は室内側(内部側)から施工できる。また、性能の観点から説明すると、乾式シールは、等圧構法と排水機構を備えていれば、長期間の使用に耐えることができ、性能は設計、製造精度に依存する。湿式シールは、シール性能と施工品質に依存し、一般的には定期的な打ち変えが必要である。更に、意匠の観点から説明すると、乾式シールは複雑な機構となるので、見付、見込みが大きくなり、これに対して湿式シールはシンプルでスマートな構成となる。以上の点から、ビジョン部18に湿式シールであるシーリング材32を施工すると、意匠性と眺望確保が向上し、また、室内からだけの施工とすることにより、打ち変えも容易になる。
【0064】
このようなシールの特徴を踏まえ、図13、図14の如く、レインバリア22及びウインドバリア23とシーリング材32との間の接合部に、ゴム又は樹脂性の接合部品34を配置することにより、スパンドレル部16の気密性、水密性が確保される。この接合部品34は、気密性と水密性を高めるために室内側から施工されるシール材36のスペーサ(ガイド、バッカー)としても使用できる。更に、図13、図14の如く、スパンドレル部16は、接合部品34とレインバリア22との間に等圧用空気導入口(等圧機構)38が形成されて排水性が確保されている。なお、図14の符号40は、等圧用空気導入口38から雨水が浸入するのを防止するレインバリア部品である。
【0065】
一方、図13、図14に示すガラスパネルユニット20は、ビジョン部18のガラスパネルG2の縦辺部(骨組みの一部)がガラスでありユニット間の目地部に湿式シールが施工されることにより生じる課題である、水密・気密性能、面内変形吸収性能を確保するため、以下の構造を呈している。
【0066】
すなわち、図9の如く、ビジョン部18のガラス目地部(ガラスパネルユニット20の突合せ部)のシーリング材32を室内側からのみで施工できるよう、ガラスパネルユニット20の外部側に予め又はシール施工時にゴム、又は樹脂製のシール受け部材30が設けられている(不図示)。
【0067】
また、図11の如く、シール受け部材として機能するレインバリア22の外部側に水きりを目的としたリップ部21を形成し、水密性能を向上させた構造も適用できる。
【0068】
したがって、図12〜図14の実施例によれば、ガラスパネルユニット20の周辺部に乾式シール材であるレインバリア22とウインドバリア23とが取り付けられ、さらに、ガラスパネルユニットの周辺部に、そのガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するための湿式シール材であるシーリング材32が施工されるガラスパネルユニット20において、乾式シール材と湿式シールとの接合部に接合部品34を配置したので、乾式シールでシールされた領域であるスパンドレル部16の気密性、水密性、及び排水性を確保することができる。
【0069】
また、図15の如く、スパンドレル部16とビジョン部18とにガラスパネルが分割されたガラスパネルユニット20は、スパンドレル部16の枠材12に係止部材26が形成されるとともに、係止部材26、26同士の係止部にウェザータイト材28が設けられている。これにより、スパンドレル部16において、気密性、水密性が確保される。そして、ビジョン部18の縦辺部に湿式シールであるシーリング材32が施工されることにより、隣接するガラスパネルユニット20、20同士が連結される。また、ウェザータイト材28、28とシーリング材32との接合部に接合部品34を配置することにより、スパンドレル部16の気密性と排水性が確保されている。この接合部品34も、シール材36によって、気密性と水密性が高められている。また、シール材36を室内側から施工することにより、シール材打ちの施工が容易になる。
【0070】
図16のガラスパネルユニット20の斜視図によれば、シール材36が充填される間隙が形成されるように、カバー部材(二点鎖線で示すブロック状部材)42が接合部品34の少なくとも一部を覆った状態で、ガラスパネルユニット20の枠材12に対し、不図示の係止部を介して着脱可能に構成されている。これにより、カバー部材42を枠材12から取り外してシール施工、シール点検が可能となるので、シール施工性が向上し、シール点検が容易になる。特に、スパンドレル部16とビジョン部18との境界部は、建物のスラブや梁に近接する位置であり、シール施工、シール点検が困難な場所である。よって、スパンドレル部16とビジョン部18との境界部に位置するカバー部材42を着脱可能とすることにより、シールの施工性がより向上し、シール点検作業もより効率よく実施できる。なお、図13〜図16では、シーリング材32の外部側にシール受け部材30を省略して示したが、図9〜図11の例と同様に、シール受け部材30(レインバリア22)を設けるのが好ましい。
【0071】
図17は、スパンドレル部16とビジョン部18とを有するガラスパネルユニット20の内観図が示されている。同図に示す実施例は、スパンドレル部16の枠材12のうちビジョン部18に隣接された枠材(第1のフレーム部材)12Aの端部にリブガラス保持部48が設けられ、ビジョン部18の縦辺(所定の辺)に沿ってリブガラス14がリブガラス保持部48によって取り付けられたものであり、各々のガラスパネルユニット20にリブガラス14が取り付けられたものである。また、枠材12Aの端部は、角柱状のリブガラス保持部48を嵌合させるための段部13Aが形成されている。
【0072】
図18に示す実施例は、スパンドレル部16の枠材12のうちビジョン部18に隣接された枠材12Aの端部に接続された枠材12B(第2のフレーム部材)の端部にリブガラス保持部48が設けられ、ビジョン部18の縦辺に沿ってリブガラス14がリブガラス保持部48によって取り付けられたものであり、一枚のリブガラス14を隣接するガラスパネルユニット20、20に共通化させたものである。また、枠材12Bの端部は、角柱状のリブガラス保持部48を嵌合させるための段部13Bが形成されている。なお、リブガラス保持部48は、シール材36が充填される間隙が形成されるように、枠材12B、12Bに対して着脱可能に構成されており、前述のカバー部材としても機能する。
【0073】
図19に示す実施例は、スパンドレル部16の枠材12のうちビジョン部18に隣接された枠材12Aの端部、及び枠材12Aに接続された枠材12Bの端部にリブガラス保持部48が設けられ、ビジョン部18の縦辺に沿ってリブガラス14がリブガラス保持部48によって取り付けられたものであり、一枚のリブガラス14を隣接するガラスパネルユニット20、20に共通化させたものである。また、枠材12A、12Bの端部によって、角柱状のリブガラス保持部48を嵌合させるための段部13Cが形成されている。なお、リブガラス保持部48は、シール材36が充填される間隙が形成されるように、枠材12A、12A、12B、12Bに対して着脱可能に構成されており、前述のカバー部材としても機能する。また、符号15は、隣接する2枚のガラス板G2、G2の縦辺部の目地部にリブガラス14を固定する接合部材である。
【0074】
次に、面内層間変形吸収性能を確保する手段について述べる。
【0075】
ガラスパネルユニット10(20)の骨組みである縦枠材としてリブガラス14を利用した場合、地震時の層間変形角を吸収し、リブガラス14の破損を防ぐ必要がある。ガラスパネルユニット10(20)にもともと備わっているクリアランスや吸収挙動によってもリブガラス14の破損を防止できるが、リブガラス14が破損するおそれが場合には、次の対策を講じる。
【0076】
まず、図20に示すように、シーリング材によりガラスパネルGとリブガラス14が接着接合されるガラスパネルユニット10では、リブガラス14の上下端部(長手方向両端部)の固定部に近い部分を低モジュラスシール、又は定形ゴム44とする。これにより、リブガラス14がガラスパネルGに対して変形し易くなるとともに、面内層間変位によるリブガラス14の変形が緩やかになり、リブガラス14に生じる応力が低減するので、リブガラス14の破損を防止することができる。なお、それ以外のシーリング材は、高モジュラスシール46とする。
【0077】
次に、図21(A)の実施例は、リブガラス14の上下端部(下部のみ図示)を保持するリブガラス保持部48をガラスパネルユニット10の枠材12と分離した部品とし、かつ、図21(B)で示すようにリブガラス保持部48を枠材12に対して少なくとも水平方向(矢印A方向)に、既知の可動構造により可動可能な構造とし、面内層間変位時にリブガラス14を水平方向に移動させて逃がすように構成している。かかる構成により、リブガラス14の変形を抑えることができ、リブガラス14に生じる応力が低減するので、リブガラス14の破損を防止することができる。
【0078】
次いで、図22(A)の実施例は、リブガラス14を受けるリブガラス保持部を室内側、室外側の2つの部材50、50に分割した例を示している。これらの部材50、50も、図22(B)で示すように枠材12に対して少なくとも水平方向(矢印A方向)に可動可能に取り付けられている。このように保持部材を二分割すると、保持部材をスリム化できるので意匠性が向上し、分割された保持部材がそれぞれ別方向に変位できるので地震時の変形吸収機能が向上する場合がある。
【0079】
図23の実施例は、リブガラス14を枠材12にシーリング材24により接着させるための接着用ガラス片52を枠材12に嵌合保持させている。この接着用ガラス片52の存在により、リブガラス14を金属製の枠材12にシーリング材24により直接接着させたものと比較して、リブガラス14の接着性が向上する。また、熱膨張係数の等しいガラス同士を接着させることにより、熱膨張時にシーリング材24にかかる応力を低減できるので、シーリング材24の性能寿命も延びる。
【0080】
一方、実施の形態のガラスパネルユニット10(20)を使用したガラスカーテンウォールの施工方法は、まず、ガラスパネルユニット10(20)の製造工場にて、ガラスパネルユニット10(20)のリブガラス保持部48にリブガラス14を予め装着し(図2参照)、このガラスパネルユニット10(20)をガラスカーテンウォールの施工現場に搬送し、施工現場の支持構造体にガラスパネルユニットを取り付ける。これにより、ガラスカーテンウォールの施工が容易で工期を短縮できるととともに、リブガラス14によってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高めることができ、室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全性にも優れる。
【0081】
また、別の施工方法として、リブガラス14の無いガラスパネルユニット10(20)を施工現場に搬送し、このガラスパネルユニット10(20)を施工現場の支持構造体に取り付けた後、このガラスパネルユニット10(20)のリブガラス保持部48にリブガラス14を装着する(図2参照)。これにより、ガラスカーテンウォールの施工が容易で工期を短縮できるととともに、リブガラスによってガラスカーテンウォールの外観意匠性を高めることができ、室内からの眺望を良好とすることができ、リブガラスの破損がユニットの脱落には直接つながらないので安全性にも優れる。
【0082】
ガラスパネルユニットを施工現場の取付位置に搬送する場合には、ガラスパネルユニットのガラス面を搬送用又は揚重用治具に備えられた吸盤にて吸着した後、このガラスパネルユニットをガラスパネルユニットの取り付け位置にクレーンなどで搬送し、前記支持構造体に取り付ける。これにより、ガラス面を吸盤に装着して吊り下げ支持するので、吊り下げ用の専用治具や補強が不要であるので、施工が容易でガラスカーテンウォールの工期を短縮できる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態ないし実施例を図面により詳述してきたが、本発明は前記実施の形態ないし実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施の形態のガラスパネルユニットの斜視図
【図2】図1(A)に示したガラスパネルユニットの右側面図
【図3】隣接するガラス板同士の目地部にリブガラスを固定する接合材の構成を示した斜視図
【図4】(A)はガラスパネルの縦辺部に枠材が取り付けられたガラスパネルユニットの斜視図、(B)はリブガラス保持部を示す要部拡大斜視図
【図5】レインバリアとウインドバリアとを備えたガラスパネルユニットの水平方向断面図
【図6】リブガラスがガラスパネルにシール材により接着されたガラスパネルユニットの水平方向断面図
【図7】複層ガラスの周辺部にレインバリアとウインドバリアとが予め設けられたガラスパネルユニットの要部断面図
【図8】枠材に係止部材とウェザータイト材が設けられたガラスパネルユニットの水平方向断面図
【図9】シール受け部材により受けられたシーリング材によって、隣接するガラスパネルユニット間が封着されたガラスパネルユニットの水平方向断面図
【図10】隣接するガラスパネルユニットが一枚のリブガラスを共有するガラスカーテンウォールの水平方向断面図
【図11】隣接するガラスパネルユニットが一枚のリブガラスを共有するガラスカーテンウォールの水平方向断面図
【図12】スパンドレル部とビジョン部とを有するガラスパネルユニットの正面図
【図13】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した外観断面斜視図
【図14】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した外観断面斜視図
【図15】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した外観断面斜視図
【図16】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した内観断面斜視図
【図17】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した要部内観斜視図
【図18】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した要部内観斜視図
【図19】スパンドレル部とビジョン部との境界部を拡大して示した要部内観斜視図
【図20】リブガラスの上下端部の固定部に近い部分を低モジュラスシール又は定形ゴムで固定したガラスパネルユニットの斜視図
【図21】(A)はリブガラスの上下端の支持構造を示した拡大断面図、(B)は(A)のア-ア断面図
【図22】(A)はリブガラスの上下端の別の支持構造を示した拡大断面図、(B)は(A)のア-ア断面図
【図23】リブガラスを枠材にシール材により接着させるための接着用ガラス片を枠材に設けたガラスカーテンウォールの水平方向断面図
【符号の説明】
【0085】
G…ガラス板、10、20…ガラスパネルユニット、12…枠材、14…リブガラス、16…スパンドレル部、18…ビジョン部、22…レインバリア、23…ウインドバリア、24…シーリング材、26…係止部材、28…ウェザータイト材、30…シール受け部材、32…シーリング材、34…接合部品、36…シール材、38…等圧用空気導入口、40…レインバリア部品、42…カバー部材、44…低モジュラスシール又は定形ゴム、46…高モジュラスシール、48…リブガラス保持部、50…分割された保持部材、52…接着用ガラス片、54…挟持部材、56…ボルト、58…固定部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビジョン部を含む壁面を構成するガラス板と枠材とが予め一体に組み付けられて支持構造体に取り付けられるガラスパネルユニットにおいて、
前記ガラス板の対向する2辺に装着された枠材の少なくとも一端にリブガラス保持部が設けられ、前記ガラス板の前記対向する2辺以外の辺に沿ってリブガラスが前記リブガラス保持部によって取り付け可能な構造であることを特徴とするガラスパネルユニット。
【請求項2】
ビジョン部を含む壁面を構成するガラス板と枠材とが予め一体に組み付けられて支持構造体に取り付けられるガラスパネルユニットにおいて、
パネル材の周囲にフレーム部材が装着されて構成されるスパンドレル部が、前記ビジョン部に隣接して一体的に設けられ、
前記スパンドレル部の前記フレーム部材のうち前記ビジョン部に隣接された第1のフレーム部材の端部、又は該第1のフレーム部材の端部に接続された第2のフレーム部材の端部にリブガラス保持部が設けられ、前記ビジョン部の所定の辺に沿ってリブガラスが前記リブガラス保持部によって取り付け可能な構造であることを特徴とするガラスパネルユニット。
【請求項3】
前記リブガラス保持部が前記枠材に対して可動可能に構成されている請求項1又は2に記載のガラスパネルユニット。
【請求項4】
前記ガラスパネルユニットの周辺部に、乾式シール材であるレインバリアとウインドバリアとが取り付けられている請求項1〜3のいずれかに記載のガラスパネルユニット。
【請求項5】
前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットが前記支持構造体に取り付けられる際に隣接するガラスパネルユニットと連結するための係止部材と乾式シール材であるウェザータイト材とが取り付けられている請求項1〜4のいずれかに記載のガラスパネルユニット。
【請求項6】
前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、該ガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するためのシーリング材として湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットであって、前記乾式シール材と前記湿式シール材との接合部に接合部品が設けられている請求項4に記載のガラスパネルユニット。
【請求項7】
前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、該ガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するためのシーリング材として湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットであって、前記乾式シール材と前記湿式シール材との接合部に接合部品が設けられている請求項5に記載のガラスパネルユニット。
【請求項8】
前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、該ガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するためのシーリング材として湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットであって、シール受け部材が取り付けられている請求項1〜7のいずれかに記載のガラスパネルユニット。
【請求項9】
前記リブガラス保持部が二つ以上の部品に分割されている請求項1〜8のいずれかに記載のガラスパネルユニット。
【請求項10】
前記枠材には、前記リブガラスを枠材に接着させるための接着用ガラス片が設けられている請求項1〜9のいずれかに記載のガラスパネルユニット。
【請求項11】
請求項1または2に記載のガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置して構成されたガラスカーテンウォールであって、前記ガラスパネルユニットのリブガラス保持部に取り付けられたリブガラスが、隣接するガラスパネルユニットによって共有されていることを特徴とするガラスカーテンウォール。
【請求項12】
ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置して壁面を構成するガラスカーテンウォールの施工方法において、請求項1または2に記載のガラスパネルユニットのリブガラス保持部に予めリブガラスを装着した後、前記ガラスパネルユニットを前記ガラスカーテンウォールの施工現場に搬送し、該施工現場の支持構造体にガラスパネルユニットを取り付けることを特徴とするガラスカーテンウォールの施工方法。
【請求項13】
ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置して壁面を構成するガラスカーテンウォールの施工方法において、請求項1または2に記載のガラスパネルユニットを施工現場に搬送し、該施工現場の支持構造体に前記ガラスパネルユニットを取り付けた後、前記ガラスパネルユニットのリブガラス保持部にリブガラスを装着することによりガラスカーテンウォールを施工することを特徴とするガラスカーテンウォールの施工方法。
【請求項14】
前記ガラスパネルユニットのガラス面を搬送用又は揚重用治具に備えられた吸盤に装着した後、前記ガラスパネルユニットの取り付け位置に搬送し、前記ガラスパネルユニットを前記支持構造体に取り付ける請求項12または13に記載のガラスカーテンウォールの施工方法。
【請求項1】
ビジョン部を含む壁面を構成するガラス板と枠材とが予め一体に組み付けられて支持構造体に取り付けられるガラスパネルユニットにおいて、
前記ガラス板の対向する2辺に装着された枠材の少なくとも一端にリブガラス保持部が設けられ、前記ガラス板の前記対向する2辺以外の辺に沿ってリブガラスが前記リブガラス保持部によって取り付け可能な構造であることを特徴とするガラスパネルユニット。
【請求項2】
ビジョン部を含む壁面を構成するガラス板と枠材とが予め一体に組み付けられて支持構造体に取り付けられるガラスパネルユニットにおいて、
パネル材の周囲にフレーム部材が装着されて構成されるスパンドレル部が、前記ビジョン部に隣接して一体的に設けられ、
前記スパンドレル部の前記フレーム部材のうち前記ビジョン部に隣接された第1のフレーム部材の端部、又は該第1のフレーム部材の端部に接続された第2のフレーム部材の端部にリブガラス保持部が設けられ、前記ビジョン部の所定の辺に沿ってリブガラスが前記リブガラス保持部によって取り付け可能な構造であることを特徴とするガラスパネルユニット。
【請求項3】
前記リブガラス保持部が前記枠材に対して可動可能に構成されている請求項1又は2に記載のガラスパネルユニット。
【請求項4】
前記ガラスパネルユニットの周辺部に、乾式シール材であるレインバリアとウインドバリアとが取り付けられている請求項1〜3のいずれかに記載のガラスパネルユニット。
【請求項5】
前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットが前記支持構造体に取り付けられる際に隣接するガラスパネルユニットと連結するための係止部材と乾式シール材であるウェザータイト材とが取り付けられている請求項1〜4のいずれかに記載のガラスパネルユニット。
【請求項6】
前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、該ガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するためのシーリング材として湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットであって、前記乾式シール材と前記湿式シール材との接合部に接合部品が設けられている請求項4に記載のガラスパネルユニット。
【請求項7】
前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、該ガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するためのシーリング材として湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットであって、前記乾式シール材と前記湿式シール材との接合部に接合部品が設けられている請求項5に記載のガラスパネルユニット。
【請求項8】
前記ガラスパネルユニットの周辺部に、該ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置してガラスカーテンウォールが構成される際に、該ガラスパネルユニットと隣接するガラスパネルユニットとの間を封着するためのシーリング材として湿式シール材が施工される部分を有するガラスパネルユニットであって、シール受け部材が取り付けられている請求項1〜7のいずれかに記載のガラスパネルユニット。
【請求項9】
前記リブガラス保持部が二つ以上の部品に分割されている請求項1〜8のいずれかに記載のガラスパネルユニット。
【請求項10】
前記枠材には、前記リブガラスを枠材に接着させるための接着用ガラス片が設けられている請求項1〜9のいずれかに記載のガラスパネルユニット。
【請求項11】
請求項1または2に記載のガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置して構成されたガラスカーテンウォールであって、前記ガラスパネルユニットのリブガラス保持部に取り付けられたリブガラスが、隣接するガラスパネルユニットによって共有されていることを特徴とするガラスカーテンウォール。
【請求項12】
ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置して壁面を構成するガラスカーテンウォールの施工方法において、請求項1または2に記載のガラスパネルユニットのリブガラス保持部に予めリブガラスを装着した後、前記ガラスパネルユニットを前記ガラスカーテンウォールの施工現場に搬送し、該施工現場の支持構造体にガラスパネルユニットを取り付けることを特徴とするガラスカーテンウォールの施工方法。
【請求項13】
ガラスパネルユニットを縦方向および/または横方向に隣接配置して壁面を構成するガラスカーテンウォールの施工方法において、請求項1または2に記載のガラスパネルユニットを施工現場に搬送し、該施工現場の支持構造体に前記ガラスパネルユニットを取り付けた後、前記ガラスパネルユニットのリブガラス保持部にリブガラスを装着することによりガラスカーテンウォールを施工することを特徴とするガラスカーテンウォールの施工方法。
【請求項14】
前記ガラスパネルユニットのガラス面を搬送用又は揚重用治具に備えられた吸盤に装着した後、前記ガラスパネルユニットの取り付け位置に搬送し、前記ガラスパネルユニットを前記支持構造体に取り付ける請求項12または13に記載のガラスカーテンウォールの施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2008−202216(P2008−202216A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35896(P2007−35896)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(391017975)AGC硝子建材エンジニアリング株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(391017975)AGC硝子建材エンジニアリング株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
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