説明

ガラスフィルム積層体及びその製造方法

【課題】製造されたガラスフィルム積層体をロール巻きする際に、重なり合ったガラスフィルム積層体同士が貼り付いてしまうことがなく、また、ガラスフィルム積層体を搬送して各工程に供した際に、ガラスフィルムに対して斜めのパターン形成等の加工不具合を防いで加工時の位置精度を向上させることができるガラスフィルム積層体を提供する。
【解決手段】支持フィルム1と、粘着層2と、粘着層2を介して支持フィルム1に積層されたガラスフィルム3とを備え、ガラスフィルム3の幅Aが支持フィルム1の幅Bよりも大きく、ガラスフィルム3が支持フィルム1の両側端部1a,1bからはみ出すように配置されたガラスフィルム積層体10によって、上記課題を解決した。このとき、ガラスフィルム3の幅Aが、支持フィルム1の幅Bよりも1mm〜20mm大きいことが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスフィルム積層体に関し、さらに詳しくは、例えば有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ等のディスプレイ、カラーフィルタ、太陽電池等に用いられる薄ガラス(「ガラスフィルム」ともいう。)に支持フィルムを貼付してなるガラスフィルム積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラスの製造技術の進歩により、厚さが100μm程度又はそれ以下の薄ガラス(ガラスフィルム)が製造されている。例えば、特許文献1には厚さが200μm以下のガラスフィルムが提案され、特許文献2には厚さが0.1〜100μmのガラスフィルムが提案されている。こうしたガラスフィルムは可撓性を有することから、そのガラスフィルム上への膜形成等にロールtoロールプロセスが適用できるため、従来のシート(枚葉)プロセスと比較して高い生産性を得ることができる。しかし、薄いガラスフィルムは耐衝撃性に劣り、工程上の取り扱いが困難になる。
【0003】
工程上の取り扱いを向上させるため、特許文献3には、粘着層を間に介してガラスフィルムと支持シートとを積層したガラスフィルム積層体が提案されている。このガラスフィルム積層体では、ガラスフィルムよりも幅広の支持シートを積層すると、ガラスフィルムの端部から支持シートがはみ出すことになる。そのため、そのはみ出した支持シート部がガラスフィルムの端部を保護するように作用するので、耐衝撃性に劣るガラスフィルムの保護効果をさらに高めることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−133174号公報
【特許文献2】特開2001−97733号公報
【特許文献3】特開2010−228166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したガラスフィルム積層体の製造においては、支持シートの全面に粘着層を設けた後にガラスフィルムと貼り合わせている。そのため、製造されたガラスフィルム積層体では、ガラスフィルムの端部からはみ出した支持シート部に粘着層が存在することになり、製造されたガラスフィルム積層体をロール巻きする際に、重なり合ったガラスフィルム積層体同士が貼り付いてしまうという問題があった。また、製造されたガラスフィルム積層体をロール搬送する際に、そのロール等の搬送部材にガラスフィルム積層体が貼り付いてしまうという問題もあった。
【0006】
また、製造されたガラスフィルム積層体を搬送する際には、ガラスフィルム積層体の幅方向の両端部を検出して搬送し、ガラスフィルム積層体の搬送直進性を確保している。そのため、幅広の支持シート(以下、本発明では「支持フィルム」という。)に対してガラスフィルムが曲がって貼り付いているガラスフィルム積層体の場合では、例えばフォトリソグラフィ工程に搬送されてガラスフィルム上に成膜された膜をパターニングする際に、ガラスフィルム積層体に対しては例えば露光マスクが正しく配置されるものの、曲がって貼り付いているガラスフィルムに対しては例えば露光マスクは斜めに配置されることになり、ガラスフィルムに対して斜めのパターンが形成されるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、製造されたガラスフィルム積層体をロール巻き等する際に、重なり合ったガラスフィルム積層体同士が貼り付いてしまうこと等がなく、また、ガラスフィルム積層体を搬送して各工程に供した際に、ガラスフィルムに対して斜めのパターン形成等の加工不具合を防いで加工時の位置精度を向上させることができるガラスフィルム積層体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係るガラスフィルム積層体は、支持フィルムと、粘着層と、該粘着層を介して前記支持フィルムに積層されたガラスフィルムとを備え、前記ガラスフィルムの幅が前記支持フィルムの幅よりも大きく、前記ガラスフィルムが前記支持フィルムの両側端部からはみ出すように配置されていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、ガラスフィルムの幅が支持フィルムの幅よりも大きく、且つそのガラスフィルムが支持フィルムの両側端部からはみ出すように配置されているので、支持フィルムがガラスフィルムの端部よりも内方に配置され、支持フィルムに設けられている粘着層が露出しない。その結果、ガラスフィルム積層体をロール巻きする際に、重なり合ったガラスフィルム積層体同士が露出した粘着層によって貼り付くことがない。さらに、ガラスフィルム積層体の搬送時にはガラスフィルム積層体の幅方向の両端部を検出するが、その両端部はガラスフィルムの両端部であるので、例えば露光マスク等がガラスフィルムに対して斜めに配置されることがなく、パターン形成等の加工不具合を防ぐことができ、加工時の位置精度を向上させることができる。
【0010】
本発明に係るガラスフィルム積層体において、前記ガラスフィルムの幅が、前記支持フィルムの幅よりも1mm〜20mm大きいことが好ましい。
【0011】
この発明によれば、ガラスフィルムの幅Aが支持フィルムの幅Bよりも1mm〜20mm大きく、この幅の差(A−B)がガラスフィルムの幅方向の各端部で分配幅として分配される。この分配幅によりガラスフィルムの幅方向の各端部と支持フィルムの各端部との距離が最低0mm超、最大約20mmとなるので、ガラスフィルムの各端部にはその距離だけ支持フィルムが存在していない領域がある。この発明では、ガラスフィルムの各端部と支持フィルムの各端部との距離が最大約20mmであるので、上記した作用効果(ロール巻き時の貼り付き防止及び加工時の位置精度向上)を奏するとともに、ガラスフィルムの端部に衝撃が加わって仮に割れることがあったとしても、その割れ片は小さく、周囲に散乱して不具合を起こし難い。
【0012】
本発明に係るガラスフィルム積層体において、前記ガラスフィルムの幅が、前記支持フィルムの幅よりも1mm〜10mm大きいことが好ましい。
【0013】
この発明によれば、ガラスフィルムの幅が支持フィルムの幅よりも1mm〜10mm大きく、ガラスフィルムの幅方向の各端部と支持フィルムの各端部との距離が最低0mm超、最大約10mmとなるので、上記した作用効果(ロール巻き時の貼り付き防止及び加工時の位置精度向上)を奏するとともに、ガラスフィルムの端部に衝撃が加わって仮に割れることがあったとしても、その割れ片はより小さく、周囲に散乱して不具合を起こす程度がより小さい。
【0014】
本発明に係るガラスフィルム積層体において、前記ガラスフィルム上には、パターニングされた膜が少なくとも設けられている。
【0015】
この発明によれば、ガラスフィルム上に、透明電極膜、金属膜、半導体膜、有機化合物膜、無機化合物膜等から選ばれるいずれか1種又は2種以上の膜がパターニングされた態様で設けられているので、そうしたガラスフィルム積層体は、例えば有機ELディスプレイ用素子基板、液晶ディスプレイ用素子基板、カラーフィルタ用素子基板、太陽電池用素子基板等に応用される。本発明に係るガラスフィルム積層体は、上記のように、ロール巻き時等の貼り付き防止及び加工時の位置精度向上という効果を奏するので、そうした効果を奏するガラスフィルム積層体にパターニングされた膜が設けられることによって、そのガラスフィルム積層体を例えば有機ELディスプレイ用素子基板等として用いて有機ELディスプレイ等を製造した場合に、工程不具合を少なくすることができ、且つ多種のパターンを位置精度よく形成できるという効果を奏する。
【0016】
上記課題を解決するため本発明に係るガラスフィルム積層体の製造方法は、粘着層が設けられた支持フィルムを準備する工程と、前記支持フィルムの幅よりも大きいガラスフィルムを準備する工程と、前記ガラスフィルムが前記支持フィルムの両側端部からはみ出すように前記粘着層を介して前記ガラスフィルムと前記支持フィルムとを貼り合わせる工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、支持フィルムと、支持フィルムの幅よりも大きいガラスフィルムとを準備し、ガラスフィルムが支持フィルムの両側端部からはみ出すように粘着層を介してガラスフィルムと支持フィルムとを貼り合わせるので、製造されたガラスフィルム積層体は上記同様の作用効果(ロール巻き時の貼り付き防止及び加工時の位置精度向上)を奏するものとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るガラスフィルム積層体及びその製造方法によれば、支持フィルムがガラスフィルムの端部よりも内方に配置され、支持フィルムに設けられている粘着層が露出しないので、ガラスフィルム積層体をロール巻きする際に、重なり合ったガラスフィルム積層体同士が露出した粘着層によって貼り付くことがない。さらに、ガラスフィルム積層体の搬送時にはガラスフィルム積層体の幅方向の両端部を検出するが、その両端部はガラスフィルムの両端部であるので、例えば露光マスク等がガラスフィルムに対して斜めに配置されることがなく、パターン形成等の加工不具合を防ぐことができ、加工時の位置精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るガラスフィルム積層体の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明に係るガラスフィルム積層体の例を示す模式的な断面図である。
【図3】ガラスフィルムの端部から支持フィルムの端部までの距離を示す模式的な平面図である。
【図4】膜が設けられたガラスフィルム積層体の一例を示す模式的な断面図である。
【図5】ガラスフィルム積層体の製造装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るガラスフィルム積層体及びその製造方法について、図面を参照して詳しく説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有すれば種々の変形が可能であり、以下に具体的に示す実施形態に限定されるものではない。
【0021】
[ガラスフィルム積層体]
本発明に係るガラスフィルム積層体10は、図1に示すように、支持フィルム1と、粘着層2と、粘着層2を介して支持フィルム1に積層されたガラスフィルム3とを備えている。そして、ガラスフィルム3の幅Aが支持フィルム1の幅Bよりも大きく、ガラスフィルム3が支持フィルム1の両側端部1a,1bからはみ出すように配置されていることに特徴がある。
【0022】
以下、各構成について詳しく説明する。
【0023】
(支持フィルム)
支持フィルム1は、図1に示すように、ガラスフィルム3を支持するためのフィルムであり、粘着層2を介してガラスフィルム3に貼り合わされている。支持フィルム1としては、可撓性のある樹脂フィルムが用いられる。支持フィルム1を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ナイロン、セロファン、シリコーン樹脂等を挙げることができる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン等を好ましく挙げることができる。
【0024】
支持フィルム1は、上記した樹脂材料で形成された単層フィルムであってもよいし、多層化されたフィルムであってもよい。また、発泡性の樹脂材料で作製された支持フィルム1であってもよいし、安定剤、可塑剤、衝撃改良剤、着色剤、強化剤等を加えた樹脂材料で作製された支持フィルム1であってもよい。支持フィルム1の着色の有無や透光性(透明、半透明、不透明等)も特に限定されない。
【0025】
支持フィルム1の厚さは、1μm〜200μmであることが好ましく、10μm〜50μmであることがより好ましい。この厚さ範囲の支持フィルム1は、ガラスフィルム3を支持できるとともに、得られたガラスフィルム積層体10をロール巻きした際の不具合が生じない。支持フィルム1の厚さが1μm未満の場合には、薄すぎてガラスフィルム3を支持する効果を実質的に奏さない。一方、支持フィルム1の厚さが200μmを超えると、得られたガラスフィルム積層体10をロール巻きする際に、支持フィルム内の残留応力が大きくなり、支持フィルム1とガラスフィルム3との間で剥離が起こったり、ガラスフィルム3が破壊したりすることがある。
【0026】
支持フィルム1は、枚葉態様の支持フィルムであってもよいが、ロール巻き可能な長尺態様の支持フィルムが好ましく用いられる。本発明では、後述するように、支持フィルム1の幅Bがガラスフィルム3の幅Aよりも小さいので、枚葉態様の支持フィルム1とガラスフィルム3を用いた場合には、その支持フィルム1の各辺、例えば四辺形の場合には4辺の端部が、ガラスフィルム3の端部よりも内方に配置されることになる。一方、ロール巻きされた長尺態様の支持フィルム1とガラスフィルム3を用いた場合には、図3に示すように、その支持フィルム1の幅方向Xの両辺の端部1a,1bが、ガラスフィルム3の両辺の端部3a,3bよりも内方に配置されることになる。
【0027】
こうした支持フィルム1は、一般的に知られている製造方法によりフィルム化することができ、押出法、カレンダー法、溶液・エマルジョンキャスト法等での製造が可能である。
【0028】
(粘着層)
粘着層2は、支持フィルム1とガラスフィルム3とを積層させるために、支持フィルム1とガラスフィルム3との間に設けられている。粘着層2は、最終的にガラスフィルム3から剥離できる層に限られず、ガラスフィルム3から剥離せずにガラスフィルム3に永久的又は半永久的に接着する層、すなわち接着層も包含する。
【0029】
粘着層2を構成する材料としては、天然ゴムや合成ゴムに粘着付与剤、軟化剤、老化防止剤等を混合したゴム系粘着剤、アクリル酸エステルと他種官能性単量体とを共重合したアクリル系粘着剤、シリコーンゴムと樹脂からなるシリコーン系粘着剤、ポリエーテルやポリウレタン系粘着剤等を挙げることができる。また、形態としては、溶剤型粘着剤、非水エマルジョン型粘着剤、水系エマルジョン型粘着剤、水溶性型粘着剤、無溶剤型粘着剤、液状硬化型粘着剤等を挙げることができる。なお、粘着層2がガラスフィルム3に永久的又は半永久的に接着する接着層として設けられる場合には、各種の熱可塑性樹脂接着剤や熱硬化性樹脂接着剤を適用してもよい。
【0030】
粘着層2は、上記した材料で形成された単層構造であってもよいし、多層化された層であってもよい。また、粘着層2には、必要に応じて各種の添加剤を加えた粘着剤で形成された粘着層2であってもよい。粘着層2の着色の有無や透光性(透明、半透明、不透明等)も特に限定されない。
【0031】
粘着層2の厚さは、0.5μm〜100μmであることが好ましく、1μm〜50μmであることがより好ましい。この厚さ範囲の粘着層2は、その粘着層2を構成する粘着剤の種類にもよるが、支持フィルム1とガラスフィルム3とをその後のハンドリングやロール巻きの際に問題が生じないように、好ましく貼り合わせることができる。粘着層2の厚さが0.5μm未満の場合には、支持フィルム1とガラスフィルム3との間の貼り合わせが不十分となることがある。一方、粘着層2の厚さが100μmを超えると、粘着層2が層間剥離したり、貼り合わせの際に粘着層2がガラスフィルム3からはみ出し、ロールに接触したりすることがある。
【0032】
粘着層2の形成には、上記の材料を溶剤に溶解して粘着層用塗工液とし、この塗工液を支持フィルム1上に直接塗工する方法、又は、この塗工液を剥離性シートに一旦塗工した後に支持フィルム1上に転写する方法(転写方式)を用いることができる。後者の転写方式は、支持フィルム1に耐溶剤性がない場合や、支持フィルム1に溶剤乾燥時の熱に対する耐熱性がない場合等に好ましく用いられる。
【0033】
塗工方法としては、例えば、ダイコート法、コンマコート法、ナイフコート法、グラビアコート法、ロールコート法等を用いることができる。
【0034】
なお、粘着層2は、支持フィルム1の外寸を超えない。すなわち、粘着層2は、支持フィルム1の平面視形状と同じ形状で設けられている。したがって、支持フィルム1を超えない大きさで支持フィルム1の一方の面に設けられており、通常は同じ大きさで支持フィルム1の全面に設けられている。なお、本発明の作用効果(ロール巻き時の貼り付き防止及び加工時の位置精度向上)を妨げないのであれば、支持フィルム1よりも若干小さい大きさで設けられていてもよく、例えば1mmだけ小さい寸法で設けられていてもよい。
【0035】
(ガラスフィルム)
ガラスフィルム3は、粘着層2を介して支持フィルム1に積層される薄ガラスである。ガラスフィルム3を構成するガラス材質としては、ソーダライムガラス、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリホウ珪酸ガラス等、ほぼいかなるガラス組成のものも適用できる。ガラスフィルム3にアルカリ成分が含有されていると、表面で陽イオンの置換が発生し、いわゆるソーダ吹き現象が生じ、構造的に粗となることがある。なお、無アルカリホウ珪酸ガラスとは、アルカリ成分が実質的に含まれていないガラスのことであって、具体的には、アルカリ成分が1000ppm以下のガラスのことである。また、強化ガラス、表面処理ガラス等の二次加工を施したガラスフィルム3も、得られるガラスフィルム積層体10の用途に応じて可能である。
【0036】
ガラスフィルム3は、原理的にはガラス溶融体の固化する温度より上の温度にてガラス溶融体を引き延ばして作ることができる。ガラス組成、ガラス溶融体の厚さ、温度、引き取り速度によりガラスフィルム3の厚さを制御することができる。
【0037】
ガラスフィルム3の厚さは、10μm〜200μmであることが好ましく、30μm〜150μmであることがより好ましい。この厚さ範囲のガラスフィルム3は、ハンドリング、ロール巻き等に効果的である。ガラスフィルム3の厚さが10μm未満の場合には、そのガラスフィルム3自体のハンドリングが極めて難しくなると共に、僅かな衝撃で破損しやすくなり、長尺のガラスフィルム3の幅方向Xに断線が走ることがある。一方、ガラスフィルム3の厚さが200μmを超えると、得られたガラスフィルム積層体10をロール巻きする際に、ガラスフィルム3内の残留応力が大きくなり、ガラスフィルム3と支持フィルム1との間で剥離が起こったり、ガラスフィルム3が破壊したりすることがある。
【0038】
ガラスフィルム3は、枚葉態様のガラスフィルム3であってもよいが、ロール巻き可能な長尺態様のガラスフィルム3が好ましく用いられる。本発明では、後述するように、ガラスフィルム3の幅Aが支持フィルム1の幅Bよりも大きいので、枚葉態様のガラスフィルム3と支持フィルム1を用いた場合には、図1及び図2に示すように、そのガラスフィルム3の各辺、例えば四辺形の場合には4辺の端部3a,3bが、支持フィルム1の端部1a,1bからはみ出すように配置されることになる。一方、ロール巻きされた長尺態様のガラスフィルム3と支持フィルム1を用いた場合には、図1〜図3に示すように、そのガラスフィルム3の幅方向Xの両辺の端部3a,3bが、支持フィルム1の両辺の端部1a,1bよりもはみ出すように配置されることになる。
【0039】
ガラスフィルム3の幅Aは、支持フィルム1の幅Bよりも1mm〜20mm大きいことが好ましい。この幅の差(A−B)は、ガラスフィルム3の幅方向Xの各端部3a,3bで分配幅として分配される。粘着層2を介したガラスフィルム3と支持フィルム1との積層は、通常、粘着層2が設けられた支持フィルム1と、ガラスフィルム3とを貼り合わせて行うが、貼り合わせ時の制御により、幅方向Xの位置ずれを少なくして、分配幅をほぼ左右対称にすることができる。幅の差(A−B)が例えば20mmの場合、ガラスフィルム3の一方の端部3aから支持フィルム1の端部1aまでの距離aを10mmとし、ガラスフィルム3の他方の端部3bから支持フィルム1の端部1bまでの距離bを10mmとし、ほぼ分配幅を同じ値にすることができる。また、幅の差(A−B)が例えば1mmの場合も同様、ガラスフィルム3の一方の端部3aから支持フィルム1の端部1aまでの距離aを0.5mmとし、ガラスフィルム3の他方の端部3bから支持フィルム1の端部1bまでの距離bを0.5mmとすることができる。
【0040】
一方、貼り合わせ時の制御によっては、分配幅は、ガラスフィルム3の幅方向Xの各端部3a,3bと支持フィルム1の各端部1a,1bとの距離a,bが最低0mm超、最大約20mmとなる。このことは、図1〜図3に示すように、ガラスフィルム3の各端部3a,3bには最低0mm超、最大約20mmの距離a,bだけ支持フィルム1が存在していない領域があることを意味する。本発明では、ガラスフィルム3の各端部3a,3bと支持フィルム1の各端部1a,1bとの距離a,bが最大20mm以内であれば、上記した作用効果(ロール巻き時の貼り付き防止及び加工時の位置精度向上)を奏するとともに、ガラスフィルム3の端部3a,3bに衝撃が加わって仮に割れることがあったとしても、その割れ片は小さく、周囲に散乱して不具合を起こし難いという効果を奏することを確認した。
【0041】
特に、ガラスフィルム3の幅Aと支持フィルム1の幅Bとの差(A−B)が1mm〜10mmの範囲であることが好ましい。これにより、ガラスフィルム3の幅方向Xの各端部3a,3bと支持フィルム1の各端部1a,1bとの距離a,bが最低0mm超、最大約10mmとなるので、上記した作用効果(ロール巻き時の貼り付き防止及び加工時の位置精度向上)を奏するとともに、ガラスフィルム3の端部3a,3bに衝撃が加わって仮に割れることがあったとしても、その割れ片はより小さく、周囲に散乱して不具合を起こす程度がより小さい。
【0042】
距離a,bの最小距離amin,bminは、0mmを超える長さであり、好ましくは0.2mm、特に好ましくは0.5mmである。ここで、0mmを超える長さとしたのは、0mmの場合は、ガラスフィルム3の端部位置と支持フィルム1の端部位置とが一致し、端部を検出して搬送直進性を制御する際に、ガラスフィルム3の端部を測定しているのか支持フィルム1の端部を測定しているのかが明確に特定できず、結果として位置検出に誤差が生じるおそれがあるためである。好ましい長さを0.2mmとしたのは、0.2mmであれば、必ずガラスフィルム3の端部を検出することになり、位置検出に誤差が生じるおそれがなく、特に0.5mmであればその効果が安定的に確保できる。
【0043】
一方、距離a,bの最大距離amax,bmaxは、上記のように、20mmが好ましく、10mmがより好ましい。後述の実施例の結果からも理解できるように、実用レベルでは、最大距離amax,bmaxは20mmであればよいが、10mmの場合には、上記したように、ガラスフィルム3の端部3a,3bに衝撃が加わって仮に割れることがあったとしても、その割れ片はより小さくなり、周囲に散乱して不具合を起こす程度がより小さいものとなる。
【0044】
なお、ガラスフィルム3の幅A、支持フィルム1の幅B、ガラスフィルム3の幅方向Xの各端部3a,3bと支持フィルム1の各端部1a,1bとの距離a,bは、種々の方法で測定できる。本発明及び後述する各実施例では、測定対象であるガラスフィルム3、支持フィルム1及びガラスフィルム積層体10を平面視した際の拡大画像と、基準スケールの拡大画像とを比較して測定した。
【0045】
以上説明したように、本発明に係るガラスフィルム積層体10によれば、ガラスフィルム3の幅Aが支持フィルム1の幅Bよりも大きく、且つそのガラスフィルム3が支持フィルム1の両側端部1a,1bからはみ出すように配置されているので、支持フィルム1がガラスフィルム3の端部3a,3bよりも内方に配置され、支持フィルム1に設けられている粘着層2が露出しない。その結果、ガラスフィルム積層体10をロール巻きする際に、重なり合ったガラスフィルム積層体同士が露出した粘着層2によって貼り付くことがない。さらに、ガラスフィルム積層体10の搬送時にはガラスフィルム積層体10の幅方向Xの両端部を検出するが、その両端部はガラスフィルム3の両端部3a,3bであるので、例えば露光マスク等がガラスフィルム3に対して斜めに配置されることがなく、パターン形成等の加工不具合を防ぐことができ、加工時の位置精度を向上させることができる。
【0046】
(その他の構成)
ガラスフィルム3上には、図4に示すように、膜4を設けてもよい。膜4は特に限定されないが、例えば、透明電極膜、金属膜、半導体膜、レジスト膜、有機化合物膜、無機化合物膜等から選ばれるいずれか1種又は2種以上の膜を挙げることができる。特にこうした膜4が、その用途に応じてパターニングされていることが好ましい。
【0047】
パターニング方法は、従来公知の各種の方法を適用でき、特に限定されない。例えば、レジストを用いたフォトリソグラフィを適用してパターニングしてもよいし、ドライエッチングやウエットエッチングでパターニングしてもよい。
【0048】
ガラスフィルム3上にパターニングされた膜4を設けてなるガラスフィルム積層体10の例としては、例えば、有機ELディスプレイ用素子基板、液晶ディスプレイ用素子基板、カラーフィルタ用素子基板、太陽電池用素子基板等を挙げることができる。有機ELディスプレイ用素子基板では、ガラスフィルム積層体10のガラスフィルム3上に、パターニングされたITO等の透明電極膜等を設けることができる。液晶ディスプレイ用素子基板では、同様のパターニングされたITO等の透明電極膜や、パターニングされた配向膜を設けることができる。カラーフィルタ用素子基板では、同様のパターニングされたITO等の透明電極膜や、着色層区画用隔壁、及び着色層等を設けることができる。また、太陽電池用素子基板では、同様のパターニングされたITO等の透明電極膜等を設けることができる。また、これらの各素子基板に各種の機能膜パターンを形成するために、ガラスフィルム3上にレジスト膜を成膜し、そのレジスト膜を例えばフォトリソグラフィでパターニングしてなる膜4であってもよい。
【0049】
本発明に係るガラスフィルム積層体10は、上記のように、ロール巻き時等の貼り付き防止及び加工時の位置精度向上という効果を奏するので、そうした効果を奏するガラスフィルム積層体10にパターニングされた膜4が設けられることによって、そのガラスフィルム積層体10を例えば有機ELディスプレイ用素子基板、液晶ディスプレイ用素子基板、カラーフィルタ用素子基板、太陽電池用素子基板等として用いて有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、カラーフィルタ、太陽電池等を製造した場合に、工程不具合を少なくすることができ、且つ多種のパターンを位置精度よく形成できるという効果を奏する。
【0050】
[ガラスフィルム積層体の製造方法]
本発明に係るガラスフィルム積層体10の製造方法は、粘着層2が設けられた支持フィルム1を準備する工程と、支持フィルム1の幅Bよりも大きいガラスフィルム3を準備する工程と、ガラスフィルム3が支持フィルム1の両側端部1a,1bからはみ出すように粘着層2を介してガラスフィルム3と支持フィルム1とを貼り合わせる工程と、を有する。この製造方法は、上記した本発明に係るガラスフィルム積層体10を製造するための一態様である。なお、上記した本発明に係るガラスフィルム積層体10は他の方法で製造したものであってもよい。
【0051】
図5は、この製造方法を実施することができるガラスフィルム積層体10の製造装置20の一例を示す模式図である。図5に示すように、ロール巻き状の支持フィルムロール23は支持フィルム供給部22に装着され、ロール巻き状のガラスフィルムロール25はガラスフィルム供給部24に装着されている。支持フィルムロール23は、粘着層2が片面に設けられた支持フィルム1がカバーシートを介してロール巻きされており、そのカバーシートを剥離しながら支持フィルムロール23から繰り出された支持フィルム1と、ガラスフィルムロール25から繰り出されたガラスフィルム3とが貼り合わせ部26で貼り合わされる。なお、支持フィルム1とガラスフィルム3とは、必要に応じて配置されたガイドローラ28で貼り合わせ部26まで案内される。
【0052】
貼り合わせ部26では、ニップローラ30によって、支持フィルム1とガラスフィルム3とを粘着層2を介して貼り合わせる。貼り合わせた後のガラスフィルム積層体10は、搬送路32を通って巻取部34に送られ、ロール巻き状のガラスフィルム積層体ロール36となる。
【0053】
この製造方法で製造されたガラスフィルム積層体10は、上記した本発明に係るガラスフィルム積層体10と同様の作用効果(ロール巻き時の貼り付き防止及び加工時の位置精度向上)を奏するものとなる。特に、貼り合わせ工程後に、得られたガラスフィルム積層体10をフォトリソグラフィ工程等に搬送する際には、ガラスフィルム積層体10の幅方向の両端部を検出して搬送するので、ガラスフィルム3が支持フィルム1の両側端部1a,1bからはみ出すように粘着層2を介してガラスフィルム3と支持フィルム1とを貼り合わせれば、得られたガラスフィルム積層体10の搬送直進性を確保でき、フォトリソグラフィ工程でのパターニング時の不具合が生じないという効果がある。
【実施例】
【0054】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の結果で得られた内容のみには限定されない。以下の実施例では、ガラスフィルム積層体10を製造し、さらにフォトリソグラフィ工程に供してガラスフィルム積層体10上に設けた膜4をパターニングした場合に、その一連の工程で、パターンの位置精度、ロールへの貼り付き、割れ、割れ片起因の装置不具合について評価した。
【0055】
[実施例1]
支持フィルム1として、厚さ39μm、幅250mm、長さ10mの粘着層付きPETフィルム(日東電工株式会社製、RP207)が3インチのコアに巻かれた支持フィルムロール23を準備した。この支持フィルム1に設けられた粘着層2上には、カバーシートが剥離自在に貼り付けられている。ガラスフィルム3として、厚さ70μm、幅300mm、長さ10mの薄板ガラス(日本電気硝子株式会社製、OA−10G)が6インチのコアに巻かれたガラスフィルムロール25を準備した。
【0056】
続いて、図5に示したラミネート装置を用い、支持フィルム供給部22に支持フィルムロール23を設置し、ガラスフィルム供給部24にガラスフィルムロール25を設置した。続いて、ガラスフィルムロール25から繰り出したガラスフィルム3と、支持フィルムロール23から繰り出した支持フィルム1とを、各々のフィルムの中心合わせを行って貼り合わせ部26のニップローラ30でラミネートした。その後、搬送路32を搬送させて、直径が6インチのコアに巻き取り、ガラスフィルム積層体ロール36を作製した。
【0057】
次に、ガラスフィルム積層体ロール36を塗工装置(図示しない)の巻出部にセットし、ガラスフィルム積層体10を繰り出した。続いて、繰り出されたガラスフィルム積層体10のガラスフィルム3上に、マイクログラビア印刷によってフォトレジストを塗布し、その後に巻き取った。続いて、フォトレジストを形成した後のガラスフィルム積層体ロールを露光装置の巻出部にセットし、ガラスフィルム積層体ロールを繰り出した。なお、露光装置への繰り出しはガラスフィルム積層体10の端部3a,3bを超音波センサで検出し、ガラスフィルム積層体10の端部3a,3bが一定の位置となるようにして露光ステージに搬送し、5回の露光動作を実施した。続いて、現像装置を用いて現像を行い、5箇所にパターンが形成されたパターン付ガラスフィルム積層体を得た。
【0058】
[実施例2]
実施例1において、粘着層付きPETフィルム(日東電工株式会社製、RP207)の幅を260mmとした以外は実施例1と同様にして、パターン付ガラスフィルム積層体を得た。
【0059】
[実施例3]
実施例1において、粘着層付きPETフィルム(日東電工株式会社製、RP207)の幅を270mmとした以外は実施例1と同様にして、パターン付ガラスフィルム積層体を得た。
【0060】
[実施例4]
実施例1において、粘着層付きPETフィルム(日東電工株式会社製、RP207)の幅を280mmとした以外は実施例1と同様にして、パターン付ガラスフィルム積層体を得た。
【0061】
[実施例5]
実施例1において、粘着層付きPETフィルム(日東電工株式会社製、RP207)の幅を290mmとした以外は実施例1と同様にして、パターン付ガラスフィルム積層体を得た。
【0062】
[実施例6]
実施例1において、粘着層付きPETフィルム(日東電工株式会社製、RP207)の幅を295mmとした以外は実施例1と同様にして、パターン付ガラスフィルム積層体を得た。
【0063】
[実施例7]
実施例1において、粘着層付きPETフィルム(日東電工株式会社製、RP207)の幅を298mmとした以外は実施例1と同様にして、パターン付ガラスフィルム積層体を得た。
【0064】
[実施例8]
実施例1において、粘着層付きPETフィルム(日東電工株式会社製、RP207)の幅を299mmとした以外は実施例1と同様にして、パターン付ガラスフィルム積層体を得た。
【0065】
[比較例1]
実施例1において、粘着層付きPETフィルム(日東電工株式会社製、RP207)の幅を300mmとした以外は実施例1と同様にして、パターン付ガラスフィルム積層体を得た。
【0066】
[比較例2]
実施例1において、粘着層付きPETフィルム(日東電工株式会社製、RP207)の幅を305mmとした以外は実施例1と同様にして、パターン付ガラスフィルム積層体を得た。
【0067】
[測定と結果]
実施例1〜8及び比較例1,2により得られたパターン付ガラスフィルム積層体について、ガラスフィルム3の端部3a,3bと支持フィルム1の端部1a,1bの位置関係を測定し、その結果を表1示した。ガラスフィルム3の端部3a,3bと支持フィルム1の端部1a,1bとの位置関係とは、図3に示すように、Y方向に延びる長さ10mのガラスフィルム積層体10において、その幅方向Xの一方の側のガラスフィルム3の端部3aと支持フィルム1の端部1aとの距離aの最大値amax及び最小値amin、及び、幅方向Xの他方の側のガラスフィルム3の端部3bと支持フィルム1の端部1bとの距離bの最大値bmax及び最小値bmin、を示している。プラスの数値は、支持フィルム1の端部1a,1bがガラスフィルム3の端部3a,3bの内方に存在する場合であり、マイナスの数値は、支持フィルム1の端部1a,1bがガラスフィルム3の端部3a,3bよりも外側にはみ出た場合である。
【0068】
表1中の搬送テストの評価項目である「パターンの位置精度」、「ロールへの貼り付き」、「割れ」及び「割れ片起因の装置不具合」は、作製したガラスフィルム積層体10を用いてフォトリソグラフィ工程を経た後に評価したものである。ここで、パターン位置精度とは、5つのパターン各々のガラスフィルム3の端部3a,3bからの距離a,bの均一性を示す。その結果を表1に示した。表1での評価結果は5段階の相対評価で行い、「1」を最も良好であったものとし、「3」以下の数字(3,2,1)であればガラスフィルム積層体10を用いてフォトリソグラフィ工程に供する上で大きな歩留まりの低下が生じないと判断できるレベルとした。
【0069】
【表1】

【0070】
表1の結果から分かるように、支持フィルム1の幅Bがガラスフィルム3の幅Aよりも小さく、且つ、ガラスフィルム3の端部3a,3bが支持フィルム1の端部1a,1bからはみ出すように配置されている場合(実施例1〜8)には、ガラスフィルム積層体10の搬送時でのロールへの貼り付きが起こらず、パターニング工程でのパターン位置精度の低下といった不具合も生じなかった。
【0071】
さらに、ガラスフィルム3の端部3a,3bと支持フィルム1の端部1a,1bとの距離a,bの最小距離amin,bminを、0mmを超える長さとした例(実施例1〜8)では、必ずガラスフィルム3の端部を検出でき、位置検出の精度を安定的に確保できた。一方、距離a,bの最大距離amax,bmaxが20mm以下の場合(実施例3〜8)には、割れが生じたとしてもそれが装置のトラブルとなるリスクを小さくできることが分かった。なお、特に距離a,bの最大距離amax,bmaxが10mm以下の場合(実施例5〜8)には、割れの問題自体を低減でき、仮に割れが生じたとしてもそれが装置のトラブルとなるリスクをより小さくできることが分かった。
【0072】
前記した割れの問題や割れに起因した不具合に対しては、ガラスフィルム3の幅Aと支持フィルム1の幅Bとの差(A−B)を20mm以下とすることがよく(実施例4〜8)、特にその差(A−B)を10mm以下とすることがよい(実施例5〜8)ことが分かった。
【符号の説明】
【0073】
1 支持フィルム
1a,1b 支持フィルムの端部
2 粘着層
3 ガラスフィルム
3a,3b ガラスフィルムの端部
10,10A,10B,10C ガラスフィルム積層体
20 ガラスフィルム積層体の製造装置
22 支持フィルム供給部
23 支持フィルムロール
24 ガラスフィルム供給部
25 ガラスフィルムロール
26 貼り合わせ部
28 ガイドローラ
30 ニップローラ
32 搬送路
34 巻取部
36 ガラスフィルム積層体ロール
【0074】
A ガラスフィルムの幅
B 支持フィルムの幅
a ガラスフィルムの一方の端部から支持フィルムの端部までの距離
min aの最小距離
max aの最大距離
b ガラスフィルムの他方の端部から支持フィルムの端部までの距離
min bの最小距離
max bの最大距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フィルムと、粘着層と、該粘着層を介して前記支持フィルムに積層されたガラスフィルムとを備え、前記ガラスフィルムの幅が前記支持フィルムの幅よりも大きく、前記ガラスフィルムが前記支持フィルムの両側端部からはみ出すように配置されていることを特徴とするガラスフィルム積層体。
【請求項2】
前記ガラスフィルムの幅が、前記支持フィルムの幅よりも1mm〜20mm大きい、請求項1に記載のガラスフィルム積層体。
【請求項3】
前記ガラスフィルムの幅が、前記支持フィルムの幅よりも1mm〜10mm大きい、請求項1又は2に記載のガラスフィルム積層体。
【請求項4】
前記ガラスフィルム上には、パターニングされた膜が少なくとも設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスフィルム積層体。
【請求項5】
粘着層が設けられた支持フィルムを準備する工程と、
前記支持フィルムの幅よりも大きいガラスフィルムを準備する工程と、
前記ガラスフィルムが前記支持フィルムの両側端部からはみ出すように前記粘着層を介して前記ガラスフィルムと前記支持フィルムとを貼り合わせる工程と、を有することを特徴とするガラスフィルム積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−22902(P2013−22902A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161786(P2011−161786)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】