説明

ガラス板の曲げ成形装置及び曲げ成形方法

【課題】本発明は、曲率が大きくかつ品質的に優れた湾曲ガラス板を製造することができるとともに、湾曲ガラス板の生産効率を向上させることができるガラス板の曲げ成形装置及び曲げ成形方法を提供する。
【解決手段】本発明のガラス板の曲げ成形装置10によれば、搬送ローラ24をプレス時に下降移動させ、ガラス板Gの深曲げ部G1、G2を局所加熱し、モールド26によって深曲げ部G1、G2を局所バキュームし、モールド26を加熱し、プレスリング26にあおり部26A(26B)を設けたので、曲率が大きくかつ品質的に優れた湾曲ガラス板Gを製造することができる。また、プレスリング26と同期して動作するクエンチリング82、88、及びキャッチャーリング90を備えたので、湾曲ガラス板Gの生産効率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス板の曲げ成形装置及び曲げ成形方法に係り、特に自動車の窓ガラス等のように局所的に曲率の大きな部位のあるガラス板を曲げ成形する曲げ成形装置及び曲げ成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の窓ガラスには、様々な複雑形状、曲率をもった湾曲ガラス板が使用されているが、このような湾曲ガラス板は、加熱炉において軟化点近く(650〜700℃)まで加熱された平板状のガラス板をモールドと称される成形型に押し付け、これを風冷強化することにより製造される。
【0003】
ガラス板の曲げ製造装置としては、加熱炉の外部に曲げ成形機構が設置された炉外成形装置と、加熱炉の内部に曲げ成形機構が設置された炉内成形装置とに大別される。
【0004】
炉内成形装置の場合には、一般に、曲げ成形プレス用のモールドが加熱炉内に設置されているため、ガラス板は加熱温度が維持された状態で成形される。よって、炉内成形装置では、成形時の温度低下による強化不良等の不具合は生じないが、モールドが高温の炉内に設置されているためモールド及びモールドに付帯する機構のメンテナンスが非常に困難になる。一方、炉外成形装置で曲げ成形にプレス用のモールドを用いる場合には、モールドが炉外に設置されているため、前述したメンテナンスが容易になるという利点があるが、曲げ成形時にガラス板が外気の雰囲気によって脱熱されるため、曲げ成形の精度や強化処理の強度に支障が生じることがある。したがって、炉外成形装置では、加熱処理後の短時間で曲げ成形及び風冷強化を実施することが必要とされていた。
【0005】
特許文献1には、加熱炉によって曲げ成形温度まで加熱されたガラス板を、予備曲げ成形用搬送ローラによって炉外成形位置まで搬送しながら予備曲げする炉外成形機構が開示されている。この炉外成形装置によれば、加熱炉から搬出された高温のガラス板を直ちに予備曲げすることができるので、加熱処理後のガラス板を短時間で曲げ成形することができる。また、この炉外成形装置によれば、予備曲げされたガラス板が炉外成形位置においてプレスリングに載置されると、プレスリングの上昇移動によりモールドの成形面に押し付けられて所望の曲率に曲げ成形される。この後、プレスリングが風冷強化機構内の強化位置に挿入されると、風冷強化手段の上部吹口ヘッド及び下部吹口ヘッドからガラス板に向けて冷却エアが噴射され、ガラス板が風冷強化される。
【特許文献1】特開2005−15326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のガラス板の曲げ成形装置では、曲率が小さいものであれば、皺や反射歪み(ガラス面に映りこんだ像が歪む現象)等の品質不良を生じさせることなくガラス板を曲げ成形できる。しかし、最近では、曲率のより大きい部位を有する自動車用サイドガラスが要求されており、よって、曲率が大きくかつ品質的に優れた湾曲ガラス板の製造手法が望まれていた。
【0007】
また、特許文献1の曲げ成形装置では、プレスリングの移動量が大きいため、湾曲ガラス板の生産効率を上げることができないという問題があった。すなわち、前記プレスリングは、加熱炉から搬出されたガラス板を受け取る炉外成形位置から、モールドにガラス板を押し付けるプレス位置まで移動し、次に、プレス位置から風冷強化機構の強化位置まで移動し、次いで、炉外成形位置に復帰して次のガラス板の成形時まで待機する。つまり、プレスリングが上記移動を1枚のガラス板毎に行うため、湾曲ガラス板の生産効率を向上させることが困難であった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、曲率が大きくかつ品質的に優れた湾曲ガラス板を製造することができるとともに、湾曲ガラス板の生産効率を向上させることができるガラス板の曲げ成形装置及び曲げ成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために、加熱炉、ガラス搬送機構、プレス成形機構、風冷強化機構とを備えるガラス板の曲げ成形装置であって、前記加熱炉は、ガラス板を軟化点付近の曲げ成形温度まで加熱するとともに該ガラス板の曲げプレス曲率の大きい局所を他の曲げプレス曲率の小さい部分よりも高い温度で加熱する局所加熱ヒータを備え、前記ガラス搬送機構は、前記加熱炉から搬出されたガラス板を搬送するとともに前記プレス成形機構のプレスに合わせて上下移動可能な搬送ローラと、前記搬送ローラによって搬送されてきたガラス板の前端部に当接可能なポジショナ、該ポジショナをガラス板の搬送方向に沿って移動させる移動手段、該移動手段の駆動を制御してガラス板を前記搬送ローラ上の曲げプレス成形可能位置に位置決めする制御手段を備えた位置決め手段とを備え、前記プレス成形機構は、前記位置決め手段によって搬送ローラ上に位置決めされたガラス板を載置された該ガラス板の周縁部を支持するプレスリングと、ガラス板の曲げプレス曲率の大きい部分と当接するリング部が他のリング部に対して分離され可動されるプレスリング可動部と、 前記プレスリングに載置されたガラス板が押し付けられる成形面を有するモールドと、該モールドの該成形面を加熱するモールドヒータと、該モールドの成形面に形成されて該成形面に押し付けられた前記ガラス板を吸引して成形面に吸着する吸引孔、及び成形面に吸着された前記ガラス板の前記局所を他の部分よりも高い吸引力で吸引するモールド局所吸引手段とを備え、前記風冷強化機構は、前記プレスリングと前記モールドとによって曲げ成形された前記ガラス板を風冷強化する風冷強化手段と、曲げ成形されたガラス板を受け取り、前記風冷強化手段搬送する搬送手段と、前記風冷強化手段によって風冷強化されたガラス板を受け取り風冷強化手段から搬出する搬出手段とを備えたことを特徴とするガラス板の曲げ成形装置及び曲げ成形方法を提供する。
【0010】
ガラス板の成形時に、ガラス板がプレスリングに位置ずれした状態で載置されると、位置ずれした状態でモールドにプレスされるため、曲率の精度の悪い湾曲ガラス板が製造される。これを防止するために本発明においては、位置決め手段を設けている。すなわち、搬送ローラによって搬送されてきたガラス板がポジショナの前端部に当接すると、このポジショナを移動手段によってガラス板搬送方向に沿って移動させるとともに、ガラス板搬送速度よりも低速で炉外成形位置に向けて移動させる。これにより、ポジショナの移動速度と搬送ローラの搬送速度との速度差でガラス板の前端部がポジショナに押し付けられた状態でガラス板とポジショナは減速しながら移動し、ガラス板が炉外成形位置に位置決めされる。よって、ガラス板はプレスリングの正しい位置に載置されるので、曲率の精度の高い湾曲ガラス板を製造できる。
【0011】
また、ガラス板の成形時にガラス板を搬送ローラから確実に退避させなければ、ガラス板に搬送ローラの接触痕が生じ、湾曲ガラス板に反射歪みが生じる。そこで、本発明では、プレス時に搬送ローラを下降移動させてガラス板から確実に退避させることにより、反射歪みの発生を防止し、湾曲ガラス板の品質を向上させている。なお、搬送ローラを下降移動させることなく、プレスリングの上昇移動量を大きくしてもよいが、プレスリングの移動量が大きくなることは、生産効率を低下させる原因になるので、プレスリングの上昇移動量は最小限とし、不足分は搬送ローラの下降移動量によって担保している。よって、搬送ローラをプレス時に下降移動させることにより、湾曲ガラス板の生産効率が向上する。
【0012】
更に、加熱炉内の局所加熱ヒータによって、ガラス板の加熱後の曲げプレス工程における曲げプレス曲率の大きい部位(深曲げ部)を他の部分よりも高温で加熱(局所加熱)すると、深曲げ部の粘度が他の部分の粘度よりも高くなり、プレス時に発生する深曲げ部の反力が低減する。これにより、深曲げ部が曲げ易くなり、曲率の大きい深曲げを達成できる。
【0013】
更にまた、前記プレス成形機構のプレス時において、モールドによりガラス板の深曲げ部を他の部分よりも高い吸引力で吸引する局所吸引手段(局所バキューム)すると、深曲げ部をモールドの曲率の大きい部位に強制的に沿わせることができる。よって、深曲げ部が確実にモールドに密着されるので、深曲げ部に生じる皺の発生を防止でき、高品質の湾曲ガラス板を提供できる。
【0014】
また、モールドを加熱すると、外気の雰囲気温度でガラス板をプレスする従来のモールドよりも、プレス時間を短縮でき、ガラスの脱熱量も減少する。これにより、後段の風冷強化工程においてガラス板は、高温状態で風冷強化が行われるため、強化の品質が向上する。また、風冷強化機構では、高温の湾曲ガラス板を風冷強化するため風圧を下げることができる。これにより、高風圧に起因するガラス板の割れを防止できる。なお、外気雰囲気ではプレス時間が長くなり、脱熱量も多くなることから、風冷強化機構では風圧を上げざるを得ず、ガラス板が割れるという不具合が発生する。
【0015】
一方、プレスリングは少なくとも2分割され、ガラス板の曲げプレス曲率の大きい部分と当接するリング部が他のリング部に対して分離され可動されるプレスリング可動部(あおり部)が他のリング部に対して分離され、あおり部が他のリング部との分割ラインで可動(折り曲げ)される。したがって、ガラス板のプレス時にあおり部をモールドの成形面に向けて折り曲げることにより、ガラス板の深曲げ部が強制的にモールドの成形面に密着されるので、ガラス板の深曲げを達成できる。
【0016】
以上の如く、本発明は、ガラス板の位置決め手段を設けたので、曲率の精度の高い湾曲ガラス板を製造でき、また、搬送ローラをプレス時に下降移動させることにより、湾曲ガラス板の品質、及び生産効率が向上し、更に、局所加熱ヒータによるガラス板の局所加熱によって曲率の大きい深曲げを達成でき、更にまた、モールドによって局所バキュームすることにより、皺の無い高品質の湾曲ガラス板を提供でき、また、モールドを加熱することによって、ガラス板の割れを防止でき、プレスリングにあおり部を設けることによって、ガラス板の深曲げを達成できる。したがって、本発明によれば、曲率が大きくかつ品質的に優れた湾曲ガラス板を製造することができる。
【0017】
一方、プレスリングとモールドとによって曲げ成形されたガラス板をプレスリングではなく、別途設けた搬送手段で受け取り、このガラス板を搬送手段によって風冷強化手段に搬送する。これにより、プレスリングの移動範囲は、炉外成形位置とプレス位置との往復範囲のみとなるので、従来のプレスリングの移動範囲よりも大幅に短縮される。これによって、湾曲ガラス板の生産効率が向上する。
【0018】
また、風冷強化機構によって風冷強化された湾曲ガラス板を搬送手段ではなく、別途設けた搬出手段で受け取り、この湾曲ガラス板を搬出手段によって風冷強化機構から搬出する。これにより、前記搬送手段は、風冷強化手段による湾曲ガラス板の冷却中に、プレスリングとモールドとによって曲げ成形された湾曲ガラス板を受け取りに行くことができるので、設備全体としての生産タクトが短縮され、湾曲ガラス板の生産効率が向上する。
【0019】
本発明によれば、前記加熱炉の前記局所加熱ヒータは、前記ガラス板の曲げプレス曲率の大きい局所を他の曲げプレス曲率の小さい部分よりも約5〜20℃高い温度に加熱することが好ましい。
【0020】
本発明によれば、前記モールドの前記モールドヒータは、該モールドの成形面を360〜500℃に加熱することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るガラス板の曲げ成形装置及び曲げ成形方法によれば、曲率が大きくかつ品質的に優れた湾曲ガラス板を製造することができるとともに、湾曲ガラス板の生産効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に従って本発明に係るガラス板の曲げ成形装置及び曲げ成形方法の好ましい実施の形態について説明する。
【0023】
図1には、実施の形態のガラス板の曲げ成形装置10を側面から見た構造図が示されている。同図に示す曲げ成形装置10は、曲率の大きい部位(以下、「深曲げ部」と称する)を有する自動車用サイドガラスを製造する装置であり、ガラス板Gの搬送方向上流側から下流側に向かって加熱炉12、成形機構14、及び上流/下流の2台の風冷強化機構16A、16Bが順に配置されて構成されている。また、曲げ成形装置10の各部の動作は制御盤18によって統括制御されている。
【0024】
加熱炉12は、搬送方向に沿って複数の加熱ゾーンに区分けされ、加熱ゾーン毎に加熱温度が制御盤18によって制御されている。加熱炉12の内部には、直棒状の多数本のシリカロール21、21…からなるローラコンベア20が配設されている。曲げ成形前の平板状ガラス板Gは、ローラコンベア20によって加熱炉12の各加熱ゾーン内を図1の矢印A方向に搬送され、加熱炉12の出口において軟化点(650〜700℃)近くまで加熱される。また、加熱炉12内には、面ヒータである局所加熱ヒータ22、22…が配置され、これらの局所加熱ヒータ22、22…によってガラス板Gの深曲げ部G1、G2が集中的に加熱される。この局所加熱ヒータ22、22…は、ガラス板Gの上面から所定量離間して配置されるとともに、図2の如く搬送方向(矢印A)の両側に沿って複数台配置されており、局所加熱ヒータ22自身の温度は700〜800℃に制御されている。これにより、ガラス板Gの深曲げ部G1、G2が他の部分と比較して約5〜20℃程度高く加熱されるようになっている。なお、局所加熱ヒータ22の間隔、本数は加熱するガラス板Gの大きさ、厚さ、曲率等をパラメータとして適宜設定される。
【0025】
こうして加熱されたガラス板Gは、図1の如く加熱炉12の出口13から下流側に向けて配設された搬送ローラ24によって炉外に搬送され、搬送ローラ24による搬送中に位置決め手段100によって所定の曲げプレス成形可能な炉外成形位置(プレスリング26に正確に載置される位置)に位置決めされる。
【0026】
実施の形態の位置決め手段100は、ガラス板Gの搬送方向前端部に当接してガラス板Gを炉外成形位置に位置決めする一対のポジショナ102、102を備えている。
【0027】
ポジショナ102、102は搬送ローラ24の下流端に、ガラス板Gの幅よりも狭い間隔に配設されている。ポジショナ102、102は同一の動作を行うとともに、ガラス板Gの搬送タイミング及び搬送ローラ24によるガラス板搬送速度と同期が取れて動作するように図1に示す制御盤(制御手段)18によって制御されている。
【0028】
ポジショナ102は、サーボモータ104によって駆動される送りねじ装置(移動手段)106のねじ棒(不図示)に連結されている。サーボモータ104を制御盤18によって制御することにより、ポジショナ102は、ガラス板搬送方向及びその逆方向に所定の速度でスライド移動される。
【0029】
まず、ポジショナ102は、ガラス板Gが加熱炉12の出口13に搬送されてくるまで、二点鎖線で示した位置Aに待機されている。次に、ガラス板Gが出口13から下流側に搬送されてくると、ポジショナ102は、送りねじ装置106のサーボモータ104が駆動されて、待機位置Aからガラス板受取位置Bに移動していく。この時のポジショナ102の移動速度は、ガラス板搬送速度よりも低速に設定されているので、この移動中にガラス板Gの前端部がポジショナ102の先端部に当接する。ガラス板搬送速度とポジショナ102の移動速度の差は、ガラス板Gの前端部がポジショナ102の先端部に当接した時に、ガラス板Gに衝撃を与えない速度差に設定されている。これにより、ガラス板Gはポジショナ102によって損傷されることなく、ポジショナ102に押し付けられながら位置決めされていく。この間、ガラス板Gは、搬送ローラ24の搬送速度とポジショナ102の移動速度の差により、搬送ローラ24上をスリップしている。
【0030】
そして、ガラス板搬送速度とポジショナ102の移動速度とが共に減速されていき、ガラス板Gが搬送ローラ24上の炉外成形位置に位置したところで搬送ローラ24が停止するとともにこの位置Cでポジショナ102も停止する。これにより、ガラス板Gが炉外成形位置に正確に位置決めされる。なお、ガラス板搬送方向に直交する方向の位置決めは、搬送ローラ24をガラス搬送方向に直行する方向の移動手段を備え搬送ローラ24をオフセットさせることでガラス板を移動させて位置決めを行うことができる。また、図3の二点鎖線で示すようにガラス搬送方向に直行する方向動作する一対のポジショナ108、108を設け、これらのポジショナ108、108の各先端部をガラス板Gに押し付けて、位置決めを行うようにしてもよい。
【0031】
図4は、搬送ローラ24の周速度(ガラス板搬送速度)とポジショナ102の速度の変化を示したグラフである。図4の縦軸は速度V(mm/sec)を示し、横軸は時間Tを示している。同図によれば、ポジショナ102は待機位置A(図3参照)に位置されたt0時において停止しているが、搬送ローラ24はv1の速度でガラス板Gを搬送している。この後、ポジショナ102はガラス板搬送方向にt1時まで加速されて移動していき、そして、t1時からt3時まで等速度で移動し、t3時から減速されてt4時(炉外成形位置)に停止する。搬送ローラ24は、t1時とt3時との間のt2時から減速され、同じくt4時(炉外成形位置)に停止する。
【0032】
図3の如く、搬送ローラ24によるガラス板Gの搬送速度をポジショナ102の移動速度よりも常に高速に制御することにより、その速度差でガラス板Gの前端部がポジショナ102の先端部に押し付けられる。図3によれば、t3時の近傍でガラス板Gの前端部がポジショナ102の先端部に当接する。これにより、ガラス板Gがポジショナ102に位置決めされていき、ポジショナ102が位置Cに移動した際に、ガラス板Gが炉外成形位置に位置決めされる。
【0033】
炉外成形位置に位置決めされたガラス板Gは、図5に示すプレスリング26の図1中矢印Bで示す上昇移動によりプレスリング26に載置されるとともに、この状態で上昇されてプレス位置まで移動されると、プレスリング26の真上に配置されたモールド28の下向きの凸形状の成形面30に押し付けられる。これにより、平板状のガラス板Gは、成形面30の曲面形状に沿った所望の形状に曲げ成形される。この後、ガラス板Gは自重により若干量変形され、これにより最終形状の湾曲ガラス板Gに製造される。すなわち、モールド28の成形面30は、ガラス板Gの自重変形量を見越した形状に構成されている。なお、プレスリング26は、搬送ローラ24の各ローラ25、25…を切り欠いてその隙間に配置されているが、このようなプレスリング26を配置する技術は、例えば特開平9−52724号公報、特開2005−15326号公報において本願出願人が開示している。
【0034】
また、プレスリング26の上昇移動時に同期して、搬送ローラ24が下降移動するように、プレスリング26の昇降駆動部32及び搬送ローラ24の昇降駆動部34が制御盤18によって制御されている。また、制御盤18は、次のガラス板Gが加熱炉12から搬出される直前に、プレスリング26を下降移動させてガラス板Gの受け取り位置である炉外成形位置に待機させるとともに、搬送ローラ24を上昇移動させてガラス板Gの搬送位置に待機させるように各昇降駆動部32、34を制御する。なお、昇降駆動部32、34によって駆動手段が構成され、これらの駆動手段としては、送りねじ装置等の直動駆動手段を例示できる。これについては後述する。
【0035】
プレスリング26の上昇時、すなわち、ガラス板Gの成形時に、搬送ローラ24を下降移動させる理由について説明する。ガラス板Gの成形時にガラス板Gを搬送ローラ24から確実に退避させなければ、ガラス板Gに搬送ローラ24の各ローラ25、25…との接触痕が生じ、製造された湾曲ガラス板Gに光学的な欠点である反射歪みが生じる。そこで、実施の形態では、ガラス板Gの成形時に搬送ローラ24を下降移動させてガラス板Gから確実に退避させることにより、反射歪みの発生を防止している。以上がガラス板Gの成形時に搬送ローラ24を下降移動させる理由である。なお、プレスリング26とモールド28とによって成形機構14が構成されている。
【0036】
プレスリング26は図6に示すように、矩形状に構成されたフレーム36に4本の連結用バー38、38…を介して連結されている。フレーム36の四隅部には、昇降駆動部32である送りねじ装置のナット40が取り付けられ、このナット40に送りねじ装置の不図示のねじ棒が、図6の紙面に直交する方向に螺合されている。したがって、送りねじ装置の不図示のモータが駆動されると、ねじ棒が同期して回転駆動されることにより、ねじ棒とナット40との送り作用によってプレスリング26が、図6の紙面と直交する方向に移動される。これにより、プレスリング26は下降位置である炉外成形位置とモールド28に近接したプレス位置との間で往復移動される。また、この昇降駆動部32は、フレーム36の四隅部においてプレスリング26を昇降させる構造なので、すなわち、両持ち支持構造でプレスリング26を昇降させる構造なので、片持ち支持構造でプレスリングを昇降させる構造のものと比較して、ガラス板Gに高いプレス圧を良好にかけることができる。なお、昇降駆動部32は、送りねじ装置に限定されるものではないが、上述の如く両持ち支持構造でプレスリング26を昇降させる構造のものが好ましい。
【0037】
プレスリング26は図5、図6の如く、枠状でかつ図2に示す自動車用サイドガラス板Gの輪郭に沿った形状を有する。また、プレスリング26は、図7に示すようにガラス板Gの深曲げ部G1(G2)が載置される曲げプレス曲率の大きいリング部(以下、「あおり部」と称する)26A(26B)が、曲げプレス曲率の小さい他のリング部26Cと分離されている。
【0038】
リング部26Cは、プレスリング26を支持するベース42に複数のターンバックル44、44…を介して固定設置されている。あおり部26A(26B)も同様に、ベース42Aにターンバックル46、46を介して可動自在に設置されている。また、ベース42とベース42Aとは、ヒンジ47を介して連結され、ベース42Aを含むあおり部26A(26B)がベース42に対して上下方向に揺動自在となっている。また、あおり部26A(26B)の上端部にはトリガ片50が取り付けられ、このトリガ片50に、あおり部26A(26B)の駆動機構52が接続されている。
【0039】
駆動機構52はロッド54、カム板56、及びカム板56を回転させるモータ58からなるクランク機構である。ロッド54の上端部はピン60を介してトリガ片50に回動自在に連結され、ロッド54の下端部はピン62を介して円形のカム板56に回動自在に連結されている。したがって、モータ58の動力によってカム板56が回転されると、図7の二点鎖線で示すようにロッド54が上下移動されることによって、あおり部26A(26B)が、あおり部26A(26B)とリング部26Cとの分割ラインLを境にして折り曲げられる。したがって、ガラス板Gのプレス時(プレス直前、直後を含む)に、あおり部26A(26B)をモールド28の成形面30に向けて折り曲げることにより、ガラス板Gの深曲げ部G1(G2)が強制的に成形面30に密着される。
【0040】
一方、図8に示すようにモールド28は空洞状に構成され、この空洞部64がフレキシブルダクト66を介して図1の吸引ファン68に連結されている。また、モールド28の成形面30には、図8の如く空洞部64に連通する多数の小孔70、70…が形成されている。成形面30にプレスリング26によって押し付けられたガラス板Gは、吸引ファン68の吸引力により成形面30に密着されるとともに保持される。
【0041】
更に、成形面30のうち、ガラス板Gの深曲げ部G1、G2を吸引する曲率の大きな成形面30A(30B)は、その吸引力が曲率の小さな他の成形面30Cと比較して上げられている。すなわち、成形面30A(30B)には、他の面30Cとは異なる別系統の吸引系が設けられている。この吸引系によれば、モールド28の空洞部64内に、成形面30A(30B)に形成された小孔72、72…を囲むボックス74が設けられ、このボックス74が、モールド28の内部から外部に配設されたパイプ76を介して不図示の吸引ポンプに接続されている。したがって、吸引ポンプのバルブが開放駆動されると、ガラス板Gの深曲げ部分G1、G2は、上述したモールド28の成形面30A(30B)に大きな吸引力で吸引され、曲理の大きな成形面30A(30B)に沿って曲げ成形される。
【0042】
また、モールド28は、吊下部材78、78を介してスクリュウジャッキ80に連結されている。スクリュウジャッキ80の動作によってモールド28は昇降され、その上下方向位置が調整される。更に、モールド28の成形面30には電気ヒータ(不図示)が取り付けられており、この電気ヒータによってモールド24の形成面30を加熱(例えば360〜500℃)することにより、曲げ成形中のガラス板Gの温度低下が防止されている。
【0043】
ところで、プレスリング26は、ガラス板Gがモールド28の成形面30に吸着保持されている時間内に下降されて図1の炉外成形位置に復帰移動する。また、プレスリング26の下降移動に同期して上流側の風冷強化手段16Aの強化位置Sで待機していたクエンチリング(搬送手段)82がモールド28の下方位置、すなわち、ガラス板Gの下方位置に進出移動される。この後、吸引ファン68と吸引ポンプによるモールド28の吸引力が遮断されると、曲げ成形された湾曲ガラス板Gがモード28から落下し、クエンチリング82に載置される。クエンチリング82はガラス板Gを受け取ると、上流側の風冷強化手段16Aの強化位置Sに向けてガラス板Gを搬送する。この搬送時間内に、次のガラス板Gが炉外成形位置にあるプレスリング26に載置され、上述した曲げ成形動作を行う。
【0044】
風冷強化手段16A、16Bは、強化位置Sを挟んで上方に上部吹口ヘッド84と下方に下部吹口ヘッド86とを共に備えている。上部吹口ヘッド84及び下部吹口ヘッド86にはそれぞれダクト(不図示)が取り付けられ、各ダクトにはブロア(不図示)が連結されている。したがって、ブロアから供給される冷却エアは、ダクトを介して上部吹口ヘッド84及び下部吹口ヘッド86に供給されるとともに、これらのヘッドから強化位置Sに向けて噴射される。これにより、ガラス板Gはその両面が風冷されて強化される。
【0045】
風冷強化中においてガラス板Gは、下部吹口ヘッド86によるエア圧が上部吹口ヘッド84によるエア圧よりも高めに設定されているため、エアーフローティング状態で風冷強化される。この間に、上流側のクエンチリング82は、モールド24の下方位置に移動される。そして、このクエンチリング82の動作に同期して、下流側の風冷強化手段16Bで待機していた下流側のクエンチリング88が、上流側の風冷強化手段16Aの強化位置Sに挿入される。この後、風冷強化手段16Aによる風冷強化が停止されると、エアーフローティング状態であったガラス板Gがクエンチリング88に載置される。この後、クエンチリング88は、下流側の風冷強化手段16Bの強化位置Sに挿入される。これにより、ガラス板Gが下流側の風冷強化手段16Bによって風冷強化される。なお、この時、次のガラス板Gがクエンチリング82に載置され、上流側の風冷強化手段16Aによって風冷強化されている。下流側の風冷強化手段16Bにおいて風冷強化中にクエンチリング88は、上流側の風冷強化手段16Aの強化位置Sに移動され、風冷強化手段16Aで風冷強化されているガラス板Gを受け取る。また、下流側の風冷強化手段16Bでは、風冷強化手段16Bの下流側に配設されたキャッチャーリング90が、風冷強化手段16Bの強化位置Sに挿入される。この後、風冷強化手段16Bによる風冷強化が停止されると、エアーフローティング状態であったガラス板Gがキャッチャーリング90に載置される。この後、キャッチャーリング90は、風冷強化手段16Bの下流側に配設された複数本のローラ93、93…からなるクーリングローラコンベア92に向けて移動される。キャッチャーリング90からガラス板Gがクーリングローラコンベア92に受け渡されると、キャッチャーリング88は、風冷強化手段16Bの強化位置Sに移動され、次のガラス板Gを受け取る。このように風冷強化手段16A、16Bを2台設けるとともに、タクト動作するクエンチリング82、88とキャッチャーリング90とを設けることにより、生産効率を上げることができる。
【0046】
なお、クーリングコンベア90に移載されたガラス板Gは、次工程の検査工程に向けて搬送される。検査工程でガラス板Gは、反射歪み、皺、及びクラック等の欠陥が検査され、欠陥の無いものは良品工程へ、欠陥が発見されたものは不良品工程へ搬送される。
【0047】
次に、前記の如く構成されたガラス板の曲げ成形装置10の特徴について述べる。
【0048】
まず、ガラス板Gの成形時に、ガラス板Gがプレスリング26に位置ずれした状態で載置されると、位置ずれした状態でモールド28にプレスされるため、曲率の精度の悪い湾曲ガラス板が製造される。これを防止するために実施の形態の曲げ成形装置10では、位置決め手段100を設けている。
【0049】
すなわち、搬送ローラ24によって搬送されてきたガラス板Gがポジショナ102、102の前端部に当接すると、このポジショナ102を送りねじ装置106によってガラス板搬送方向に沿って移動させるとともに、ガラス板搬送速度よりも低速で炉外成形位置に向けて移動させる。これにより、ポジショナ102の移動速度と搬送ローラ24の搬送速度との速度差でガラス板Gの前端部がポジショナ102の先端部に押し付けられた状態でガラス板Gとポジショナ102は減速しながら移動し、ガラス板Gが炉外成形位置に位置決めされる。よって、ガラス板Gはプレスリング26の正しい位置に載置されるので、曲率の精度の高い湾曲ガラス板Gを製造できる。
【0050】
また、図1の成形機構14におけるガラス板Gの成形時に、ガラス板Gを搬送ローラ24から確実に退避させなければ、ガラス板Gに搬送ローラ24の各ローラ25、25…との接触痕が生じ、湾曲ガラス板Gに光学的欠点である反射歪みが生じる。
【0051】
そこで、実施の形態の曲げ成形装置10では、プレスリング26とモールド28とによるプレス時に、搬送ローラ24を下降移動させてガラス板Gから確実に退避させている。これにより、反射歪みの発生が防止されるので、製造された湾曲ガラス板Gの品質が向上する。なお、搬送ローラ24を下降移動させることなく、プレスリング26の上昇移動量を大きくしてもよい。しかしながら、プレスリング26の移動量が大きくなることは、生産効率を低下させる原因となるので、プレスリングの上昇移動量は最小限とし、移動量の不足分を搬送ローラ24の下降移動量によって担保している。よって、搬送ローラ24をプレス時に下降移動させることは、湾曲ガラス板Gの生産効率を向上させることに寄与する。
【0052】
また、実施の形態の曲げ成形装置10では、加熱炉12内に配置された図2の局所加熱ヒータ22、22…によって、ガラス板Gの深曲げ部G1、G2を他の部分よりも高温で局所加熱している。これにより、深曲げ部G1、G2の粘度が他の部分の粘度よりも高くなり、プレス時に発生する深曲げ部G1、G2の反力が低減する。したがって、プレス時に深曲げ部G1、G2が曲げ易くなるので、曲率の大きい深曲げ部位を有する自動車用サイドガラスに好適となる。
【0053】
更に、実施の形態の曲げ成形装置10では、プレス時において、モールド28によりガラス板Gの深曲げ部G1、G2を他の部分よりも高い吸引力で吸引している。これにより、深曲げ部G1、G2をモールド26の曲率の大きい成形面30A(30B)に強制的に沿わせることができる。よって、深曲げ部G1、G2が確実にモールド26の成形面30A(30B)に確実に密着するので、深曲げ部G1、G2に生じる皺の発生を防止でき、高品質の湾曲ガラス板Gを提供できる。
【0054】
更にまた、実施の形態の曲げ成形装置10では、モールド27をモールドヒータによって加熱している。これにより、外気の雰囲気温度でプレスする従来のモールドよりも、湾曲ガラスGの脱熱量が減少するので、後段の風冷強化手段16A、16Bにおいてガラス板は、高温状態で風冷強化が行われる。よって、強化の品質が向上する。また、風冷強化手段16A、16Bでは、高温の湾曲ガラス板Gを風冷強化するため風圧を下げることができる。よって、高風圧に起因する湾曲ガラス板Gの割れを防止できる。なお、外気雰囲気ではプレス時間が長くなり、脱熱量も多くなることから、風冷強化機構では風圧を上げざるを得ず、湾曲ガラス板が割れるという不具合が発生する。
【0055】
また、実施の形態の曲げ成形装置10では、図7の如くプレスリング26を分割して、あおり部26A(26B)を備えている。このあおり部26A(26B)をモールド28の成形面30A(30B)に向けて折り曲げることにより、ガラス板Gの深曲げ部G1、G2を強制的にモールド28の成形面30A(30B)に密着させることができるので、ガラス板Gの深曲げを良好に達成できる。
【0056】
以上の如く、実施の形態の曲げ成形装置10によれば、ガラス板Gの位置決め手段100を設けたので、曲率の精度の高い湾曲ガラス板Gを製造でき、搬送ローラ24をプレス時に下降移動させたので、湾曲ガラス板Gの品質、及び生産効率が向上し、また、ガラス板Gの局所加熱によって曲率の大きい深曲げを達成でき、更に、モールド26によって深曲げ部G1、G2を局所バキュームすることにより、皺の無い高品質の湾曲ガラス板Gを提供でき、更にまた、モールド26を加熱することによって、湾曲ガラス板Gの割れを防止でき、プレスリング26にあおり部26A(26B)を設けることによって、ガラス板Gの良好な深曲げを達成できる。
【0057】
したがって、実施の形態の曲げ成形装置10によれば、曲率が大きくかつ品質的に優れた湾曲ガラス板Gを製造することができる。
【0058】
一方、実施の形態の曲げ成形装置10では、プレスリング26とモールド28とによって曲げ成形された湾曲ガラス板Gをプレスリング26ではなく、別途設けたクエンチリング82で受け取り、この湾曲ガラス板Gをクエンチリング82によって風冷強化手段16Aに搬送している。これにより、プレスリング26の移動範囲は、炉外成形位置とプレス位置との往復範囲のみとなるので、従来のプレスリングの移動範囲よりも大幅に短縮される。これによって、湾曲ガラス板Gの生産効率が向上する。
【0059】
また、実施の形態の曲げ成形装置10では、風冷強化手段16Bによって風冷強化された湾曲ガラス板Gをクエンチリング88ではなく、別途設けたキャッチャーリング90で受け取り、この湾曲ガラス板Gをキャッチャーリング90によって風冷強化手段16Bから搬出している。
【0060】
これにより、クエンチリング88は、風冷強化手段16Bによる湾曲ガラス板Gの冷却中に、風冷強化手段16Aで風冷強化された湾曲ガラス板Gを受け取りに行くことができ、クエンチリング82も同様に、風冷強化手段16Aによる湾曲ガラス板Gの冷却中に、プレスリング26とモールド28とによって曲げ成形された湾曲ガラス板Gを受け取りに行くことができるので、設備全体としての生産タクトが短縮され、湾曲ガラス板Gの生産効率が向上する。
【0061】
なお、実施の形態では、ガラス板として自動車用サイドガラスを例示したが、これに限定されるものではなく、自動車用リヤガラスでもよく、船舶用等のガラス板であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施の形態のガラス板の曲げ成形装置の構造を示した説明図
【図2】局所加熱ヒータの構成を示した加熱炉の平面図
【図3】ポジショナの動作を模式的に示した平面図
【図4】搬送ローラによるガラス板の移動速度とポジショナの速度を示したグラフ
【図5】ローラコンベアとプレスリングの構成を示した平面図
【図6】プレスリングの平面図
【図7】プレスリングのあおり部の駆動機構を示した構造図
【図8】モールドの要部拡大断面図
【符号の説明】
【0063】
10…曲げ成形装置、12…加熱炉、14…成形機構、16A、16B…風冷強化手段、18…制御盤、20…ローラコンベア、21…シリカロール、22…局所加熱ヒータ、24…搬送ローラ、25…ローラ、26…プレスリング、26A、26B…あおり部、28…モールド、30…成形面、30A、30B…成形面、32、34…昇降駆動部、36…フレーム、38…連結用バー、40…ナット、42…ベース、44…ターンバックル、46…ターンバックル、47…ヒンジ、50…トリガ片、52…駆動機構、54…ロッド、56…カム板、58…モータ、60…ピン、62…ピン、64…空洞部、66…フレキシブルダクト、68…吸引ファン、70…小孔、72…小孔、74…ボックス、76…パイプ、78…吊下部材、80…スクリュウジャッキ、82…クエンチリング、84…上部吹口ヘッド、86…下部吹口ヘッド、88…クエンチリング、90…キャッチャーリング、92…クーリングローラコンベア、93…ローラ、100…位置決め手段、102…ポジショナ、104…サーボモータ、106…送りねじ装置、108…ポジショナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱炉、ガラス搬送機構、プレス成形機構、風冷強化機構を備えるガラス板の曲げ成形装置であって、
前記加熱炉は、ガラス板を軟化点付近の曲げ成形温度まで加熱するとともに該ガラス板の曲げプレス曲率の大きい局所を他の曲げプレス曲率の小さい部分よりも高い温度で加熱する局所加熱ヒータを備え、
前記ガラス搬送機構は、前記加熱炉から搬出されたガラス板を搬送するとともに前記プレス成形機構のプレスに合わせて上下移動可能な搬送ローラと、前記搬送ローラによって搬送されてきたガラス板の前端部に当接可能なポジショナ、該ポジショナをガラス板の搬送方向に沿って移動させる移動手段、該移動手段の駆動を制御してガラス板を前記搬送ローラ上の曲げプレス成形可能位置に位置決めする制御手段を備えた位置決め手段とを備え、
前記プレス成形機構は、前記位置決め手段によって搬送ローラ上に位置決めされたガラス板を載置された該ガラス板の周縁部を支持するプレスリングと、ガラス板の曲げプレス曲率の大きい部分と当接するリング部が他のリング部に対して分離され可動されるプレスリング可動部と、前記プレスリングに載置されたガラス板が押し付けられる成形面を有するモールドと、該モールドの該成形面を加熱するモールドヒータと、該モールドの成形面に形成されて該成形面に押し付けられた前記ガラス板を吸引して成形面に吸着する吸引孔、及び成形面に吸着された前記ガラス板の前記局所を他の部分よりも高い吸引力で吸引するモールド局所吸引手段とを備え、
前記風冷強化機構は、前記プレスリングと前記モールドとによって曲げ成形された前記ガラス板を風冷強化する風冷強化手段と、
曲げ成形されたガラス板を受け取り、前記風冷強化手段に搬送する搬送手段と、
前記風冷強化手段によって風冷強化されたガラス板を受け取り風冷強化手段から搬出する搬出手段と、
を備えたことを特徴とするガラス板の曲げ成形装置。
【請求項2】
前記加熱炉の前記局所加熱ヒータは、前記ガラス板の曲げプレス曲率の大きい局所を他の曲げプレス曲率の小さい部分よりも約5〜20℃高い温度に加熱する請求項1に記載のガラス板の曲げ成形装置。
【請求項3】
前記モールドの前記モールドヒータは、該モールドの成形面を360〜500℃に加熱する請求項1又は2に記載のガラス板の曲げ成形装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のガラス板の曲げ成形装置を用いてガラス板を曲げ成形することを特徴とするガラス板の曲げ成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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