ガラス板梱包用パレットおよびガラス板梱包体
【課題】ガラス板梱包用パレットの重量増加を抑制しつつ、当該パレットに縦姿勢で積層した状態で梱包された複数枚のガラス板が、輸送時に破損するという事態を可及的に低減する。
【解決手段】基台部2と、基台部2の後方側から立ち上がる背面部3と、基台部2と背面部3のうち少なくとも一方と係わり合って配設された台座部4とを備え、台座部4の上方で且つ背面部3の前方に、複数枚のガラス板Gが縦姿勢で積層されるガラス板梱包用パレット1であって、台座部4におけるガラス板Gが積層されるガラス板積層領域Xに、上下方向に1段の支持梁6が配設されると共に、この1段の支持梁6は、ガラス板Gの幅方向に延び且つ複数本が並列に配列されている。
【解決手段】基台部2と、基台部2の後方側から立ち上がる背面部3と、基台部2と背面部3のうち少なくとも一方と係わり合って配設された台座部4とを備え、台座部4の上方で且つ背面部3の前方に、複数枚のガラス板Gが縦姿勢で積層されるガラス板梱包用パレット1であって、台座部4におけるガラス板Gが積層されるガラス板積層領域Xに、上下方向に1段の支持梁6が配設されると共に、この1段の支持梁6は、ガラス板Gの幅方向に延び且つ複数本が並列に配列されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板を輸送する際に、ガラス板を梱包するための梱包技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(以下、単にFPDという)用のガラス基板を初めとする各種ガラス板を輸送する場合には、ガラス板梱包用パレット(以下、単にパレットともいう)上に、複数枚のガラス板を、各ガラス板の間に合紙等の保護シートを介在させて縦姿勢(略鉛直姿勢)で積層した状態で梱包するのが通例とされている。
【0003】
この種のパレットとしては、底台をなす基台部と、基台部の後方側から立ち上がる背面部と、基台部上方に配設された台座部とを備え、台座部の上面でガラス板の下辺部を支持した状態で、そのガラス板を背面部の前面側に立て掛けるようにして、複数枚のガラス板を縦姿勢で積層させて配列するものが挙げられる。
【0004】
そして、上記の台座部の構成としては種々のものが提案されているが、積層されるガラス板の下辺部をその幅方向に間隔が空いた複数の平面で支持するものと、積層されるガラス板の下辺部全体を単一の平面で支持するものとに大別される。
【0005】
前者の具体例としては、例えば下記の特許文献1、2に開示のものが挙げられる。詳述すると、下記の特許文献1には、基台部(台座)の上面にガラス板の幅方向に間隔を空けて立設された複数の底片と、この底片の上面に載置され且つガラス板の幅方向に間隔を空けて配置された2枚の底受け板とから台座部を構成することが開示されている。また、下記の特許文献2には、基台部(ベース)を格子状に構成し、その基台部の上面のうち、ガラス板の幅方向に間隔を空け且つガラス板の積層方向に延びる部分に緩衝材を被せ、この緩衝材が被せられた部分で台座部を構成することが開示されている。
【0006】
一方、後者の具体例としては、例えば下記の特許文献3、4に開示のものが挙げられる。詳述すると、下記の特許文献3には、基台部(台座)上にガラス板の幅方向に間隔を空けて立設された複数の底片と、この複数の底片の上に載置された単一の底受け板とから台座部を構成することが開示されている。また、下記の特許文献4には、基台部の前端縁でガラス板の幅方向に亘って配設された梁と、この梁によって前端縁が支持され且つ後端縁が背面部(背面支持体)に支持された載置部とから台座部を構成することが開示されている。
【特許文献1】特開2005−298062号公報
【特許文献2】特開平7−267290号公報
【特許文献3】特開2005−132490号公報
【特許文献4】特開2006−315759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、FDP用のガラス基板に代表されるように、各種ガラス板の大型化・薄肉化が推進されており、これに伴ってガラス板が破損を来たし易くなっているのが実情である。そのため、パレット上に、縦姿勢で積層された複数枚のガラス板をそれぞれの相互間に保護シートを介在させた状態で配列させて梱包して輸送する際には、割れ等によるガラス板の破損を抑制することが重要となる。
【0008】
特に、ガラス板を縦姿勢で積層した場合には、主にガラス板の背面と下辺部とを支持することになるので、衝撃に弱いガラス板の下辺部の支持形態、すなわちパレットの台座部の構成は、上記のガラス板の破損を抑制するという観点からも非常に重要なものとなる。
【0009】
しかしながら、従来、このような観点から有効な対策が何ら講じられていないのが実情である。すなわち、上記の特許文献1、2に開示の台座部により、積層されるガラス板の下辺部をその幅方向に間隔を空けて支持する場合には、ガラス板の下辺部は、ガラス板の幅方向に沿って断続的に支持されることになる。そのため、台座部の在る箇所ではガラス板の下辺部は保持された位置から動き難く、これとは逆に台座部のない箇所ではガラス板の下辺部は比較的自由に動くことができる上、下方から何ら支持されていないので撓み等の変形を来たし易くなる。その結果、ガラス板の下辺部の支持箇所と非支持箇所との境界で、ガラス板の下辺部に応力集中が生じ、その応力集中部を起点としてガラス板が破損を来たすという事態が生じ得る。
【0010】
そのため、このようなガラス板の破損を抑制するという観点からは、各ガラス板の下辺部全体を均等に支持することが必要となる。
【0011】
しかしながら、上記の特許文献3に開示の台座部では、ガラス板の下辺部全体を底受け板で支持しているものの、底受け板の下面を複数の底片によってガラス板の幅方向に沿って断続的に支持しているため、積層されたガラス板の重量が底受け板に掛かると、底受け板のうち下方が支持されていない領域が、ガラス板の幅方向において部分的に撓み等の変形を来たすことになる。その結果、かかる底受け板の上に積層される複数枚のガラス板の下辺部にも部分的に不均一な変形が生じ、上記の特許文献1、2の場合と同様にガラス板に破損が生じる場合がある。
【0012】
また、上記の特許文献4に開示の台座部では、ガラス板の下辺部を支持する板状の載置台が、その前端縁と後端縁のみで支持され、ガラス板の下辺部を実際に支持する領域では何ら支持されていない。そのため、ガラス板の重量によって載置台に生じる撓み等の変形はより顕著なものとなって現れ、ガラス板が破損する可能性はより一層高くなる。
【0013】
このようにガラス板の下辺部全体を平面板(底受け板または載置台)で支持したとしても、平面板自体は撓み剛性が低いため、かかる平面板にガラス板を積層した場合には、ガラス板の幅方向に撓み等の変形が生じてしまう。
【0014】
そこで、ガラス板の重量によって撓み等の変形が生じない程度まで平面板を厚肉にすることで、上記のガラス板の破損を抑制することも考えられるが、この場合にはパレットの重量が不当に増大してしまう。一般に、パレットにガラス板を積層して梱包した梱包体は、輸送に際してその総重量に制約が課せられるため、パレットの重量が不当に増大した場合には、ガラス板の積層枚数を大幅に減少させる必要が生じ、ガラス板の輸送効率が著しく低下する。したがって、ガラス板を輸送するというパレットの本来的な機能からも、実用的な対策とは成り得ない。
【0015】
本発明は、上記実情に鑑み、ガラス板梱包用パレットの重量増加を抑制しつつ、当該パレットに縦姿勢で積層した状態で梱包された複数枚のガラス板が、輸送時に破損するという事態を可及的に低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために創案された本発明に係るガラス板梱包用パレットは、基台部と、該基台部の後方側から立ち上がる背面部と、前記基台部と前記背面部のうち少なくとも一方と係わり合って配設された台座部とを備え、前記台座部の上方で且つ前記背面部の前方に、複数枚のガラス板が縦姿勢で積層されるガラス板梱包用パレットにおいて、前記台座部におけるガラス板が積層されるガラス板積層領域に、上下方向に複数段または1段の支持梁が配設されると共に、前記複数段の支持梁のうち最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、前記ガラス板の幅方向に延び且つ複数本が並列に配列されていることに特徴づけられる。
【0017】
このような構成によれば、台座部のガラス板積層領域には、ガラス板の幅方向に延びる複数本の支持梁(最上段の支持梁または1段の支持梁)が並列に配列されていることから、当該ガラス板積層領域のガラス板の幅方向における撓み剛性を十分に高めることができる。そのため、積層されるガラス板の重量によって、台座部のガラス板積層領域においてガラス板の幅方向で撓み等の変形を来たすという事態を好適に抑制することができる。したがって、ガラス板積層領域で各ガラス板の下辺部全体を下方から均等に支持した状態を維持することができ、各ガラス板の下辺部に不当な応力集中が生じてガラス板が破損するという事態を可及的に低減することが可能となる。
【0018】
さらに、このような作用効果は、台座部のガラス積載領域を支持梁で補強することによって実現されるものであることから、従来の底受け板や、載置台等の平面板自体をガラス板の重量によって変形を来たさない程度の厚肉にする場合に比して、パレットの重量増加を確実に抑制することができる。したがって、輸送可能重量との関係から、ガラス板の積層枚数を減少させる必要もなく、ガラス板の輸送効率を良好に維持することができる。
【0019】
上記の構成において、前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁の上に、その支持梁よりも剛性の低い板状部材を敷設してもよい。
【0020】
すなわち、例えば金属等からなる板状部材でガラス板の積層領域を形成する場合であっても、支持梁によって当該板状部材が補強されることから、板状部材自体をガラス板の重量によって変形を来たさない程度の厚肉にする必要がなく、パレットの不当な重量増加を防止することができる。
【0021】
この場合、前記板状部材が、平面部をなすようにすることが好ましい。
【0022】
このようにすれば、各ガラス板を積層する際に、ガラス板の積層領域が平面部をなすことになるので、その積層作業を円滑に実行することが可能となる。
【0023】
上記の構成において、前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁が、パイプ状部材であることが好ましい。ここで、パイプ状部材としては、例えば角パイプや丸パイプ等が挙げられる。
【0024】
このようにすれば、台座部のガラス板積層領域におけるガラス板の幅方向の撓み剛性を維持しつつ、支持梁の重量を軽量化することができる。したがって、ガラス板の輸送効率の観点からも有利となる。
【0025】
この場合、前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、隣接するもの同士が隙間なく並列に配列されていることが好ましい。
【0026】
このようにすれば、支持梁によって台座部のガラス板積層領域における剛性がより高められることになるので、ガラス板に破損が生じるという事態を適正に抑制することができる。
【0027】
上記の構成において、前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁を、2種以上の異種部材を並列に配列して構成してもよい。なお、ここでいう「2種以上の異種部材を並列に配列して構成」する一例としては、角パイプ(中空部材)で形成された支持梁と、角柱(中実部材)で形成された支持梁とを、並列に複数本配列することが挙げられる。
【0028】
このようにすれば、台座部の撓み剛性を、ガラス板の積層枚数との関係から、最適となるように調整することができるので、ガラス板の破損を抑制する上で有利となる。
【0029】
上記の構成において、前記台座部におけるガラス板が積層されない非ガラス板積層領域にも、上下方向に複数段または1段の支持梁を配設されると共に、前記複数段の支持梁のうち最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、前記ガラス板の幅方向に延び且つ1本または並列に複数本が配列されていることが好ましい。
【0030】
このようにすれば、台座部全体としての剛性が高められることになるので、ガラス板の破損を抑制する上で有利となる。
【0031】
この場合、前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁が、前記非ガラス板積層領域よりも、前記ガラス板積層領域において密に配列されていることが好ましい。
【0032】
このようにすれば、台座部のうち、積層される複数枚のガラス板の重量が直接作用するガラス板積載領域が重点的に補強され、積層される複数枚のガラス板の重量が直接作用しない非ガラス板積載領域が補助的に補強されることになる。したがって、ガラス板の幅方向における撓みをより確実に抑制しつつ、パレットの不当な重量増加を防止することができる。
【0033】
上記の構成において、前記基台部と一体化された前記背面部と、前記台座部とを一体化し、前記台座部を前記背面部のみに固定した状態となるように構成し、前記台座部を前記基台部に対して縁切り状態として該基台部の変形に追随して変形しないように構成してもよい。ここで、「台座部を基台部の変形に追随して変形しないように構成」とは、台座部の全部が基台部の変形に追随しないように構成されているものに限られず、台座部の一部が基台部の変形に追随して変形しても、台座部のうちガラス板の下辺部と接触する面が基台部の変形に追随して変形しないように構成されているものをも含む意味である。なお、台座部の底面と、基台部の上面との間には、空隙が設けられていてもよく、また緩衝部材が介設されていてもよい。
【0034】
すなわち、ガラス板梱包用パレットは、その台座部の上方で且つ背面部の前方に、複数枚のガラス板を縦姿勢で積層した状態で梱包した後、一旦床面上に載置され、その後輸送用のトラックの荷台上等に載置されるが、床面や荷台等の表面は凹凸があるのが通例であるため、その凹凸に合致するように、当該パレットの底部をなす基台部が変形を来たし得る。このようなパレットの基台部の変形は、フォークリフトの爪によって基台部を支持した状態で、当該梱包体をトラックの荷台等に積載すべく、持ち上げる際にも同様にして生じ得るが、この場合には基台部とフォークリフトの爪との接触部のみに当該梱包体の全重量が作用するため、その変形がより顕著となる。そのため、かかる基台部の変形の影響を何ら考慮しない構成のパレットでは、台座部にもその変形の影響が生じ、ひいては台座部によって下辺部が支持されている複数枚のガラス板に破損が生じるおそれがある。これに対し、上記のような構成によれば、基台部が変形を来たした場合には、それに伴って背面部も変形し且つ背面部に固定された台座部も変形しようとするが、台座部は背面部のみに固定されていることから、基台部の変形が直接的に台座部に影響することはない。しかも、台座部は、基台部に対して縁切り状態となり且つ基台部の変形に追随して変形しないように構成されていることから、基台部に変形が生じても、台座部によるガラス板の下辺部の支持形態は、基台部の変形による影響を受けることなく良好に維持される。
【0035】
また、同様に基台部の変形によって台座部が変形するという事態を防止する観点から、上記の構成において、前記台座部を前記基台部上に縁切り状態で載置すると共に、該台座部を前記基台部の変形に追随しないように構成するようにしてもよい。ここで、「台座部を基台部の変形に追随して変形しないように構成」とは、台座部の全部が基台部の変形に追随しないように構成されているものに限られず、台座部の一部が基台部の変形に追随して変形しても、台座部のうちガラス板の下辺部と接触する面が基台部の変形に追随して変形しないように構成されているものをも含む意味である。
【0036】
このようにすれば、台座部が、基台部に縁切り状態で載置され、且つ基台部の変形に追随しないように構成されていることから、輸送に際して基台部に変形が生じたとしても、台座部によるガラス板の下辺部の支持状態は、基台部の変形の影響を受けることなく、良好に維持される。したがって、仮に基台部に変形が生じた場合であっても、ガラス板の下辺部に不当な応力が生じることなく、ガラス板が破損を来たすという事態を可及的に低減することが可能となる。
【0037】
上記の構成において、前記台座部の最下部を、前記基台部の実質上の上面よりも下方に沈み込ませることが好ましい。
【0038】
このようにすれば、ガラス板の下辺部を支持する台座部の最下部が、基台部の実質上の上面よりも下方位置まで沈み込んでいることから、基台部の上面に載置された台座部によって同一の大きさのガラス板を同一姿勢で支持した場合に比して、ガラス板を梱包した梱包体の全高を低くすることができる。したがって、梱包体を輸送するに際して、専用品ではなく普及品であるコンテナを使用することができると共に、当該コンテナ内に、ガラス板を鉛直姿勢から不当に傾斜させることなく、鉛直姿勢に近い状態で収納することができ、結果としてコンテナ内へのガラス板の積層効率を良好に維持することができる。
【0039】
一方、上記課題を解決するために創案された本発明に係るガラス板梱包体は、以上の構成を備えてなるガラス板梱包用パレットに、複数枚のガラス板をそれぞれの相互間に保護シートを介在させた状態で縦姿勢で積層して梱包したことに特徴づけられる。
【0040】
このようにすれば、上記種々のガラス板梱包用パレットを使用してなるガラス板梱包体については、それぞれに対応するガラス板梱包用パレットに関して既に述べた事項と同様の作用効果を享受することができる。
【0041】
このガラス梱包体において、梱包された個々のガラス板は、厚みが0.7mm以下であって且つ一辺の寸法が1000mm以上であることが好適である。
【0042】
このようにすれば、FPD用ガラス基板、特に液晶ディスプレイ用ガラス基板の近年の大型化及び薄肉化に的確に対処することが可能となる。
【発明の効果】
【0043】
以上のように本発明によれば、ガラス板梱包用パレットの重量増加を抑制しつつ、当該パレットに縦姿勢で積層した状態で梱包された複数枚のガラス板が、輸送時に破損するという事態を可及的に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0045】
図1は、本発明の第1実施形態に係るガラス板梱包用パレットに複数枚のガラス板を縦姿勢で積層して梱包した状態を模式的に示す斜視図であり、図2は、このパレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。これら各図に示すように、このパレット1は、床面上等に載置される底台をなす基台部2と、この基台部2の後方側から立ち上がる背面部3と、基台部2と背面部3のうち少なくとも一方と係わり合って配設された台座部4とを備えている。そして、台座部4は、縦姿勢で積層された複数枚のガラス板Gの下辺部を下方から支持し、背面部3は、そのガラス板Gの背面側を立て掛け支持するようになっている。
【0046】
詳述すると、台座部4は、積層された複数枚のガラス板Gの下辺部全体を支持する平面板(板状部材)5を備えている。そして、この平面板5のうち、ガラス板Gが実際に積層されるガラス板積層領域Xは、積層されるガラス板Gの幅方向(平面板5の長手方向)における撓みを抑制するために、角柱をなす複数本の支持梁6によって下方から直接的に支持された状態で補強されている。具体的には、ガラス板Gの幅方向に長尺な複数本の支持梁6が、間隔を空けてガラス板Gの幅方向と平行に並列に配列された状態で、平面板5のガラス板積層領域Xの下面に溶接等により固定されている。このように支持梁6を配置することで、平面板5のガラス板積層領域Xをガラス板Gの幅方向に亘って連続的に支持するようにしている。また、適宜省略することは可能であるが、本実施形態では、平面板5のガラス板積層領域Xよりも前方側の非ガラス板積層領域Yの下面にも溶接等によって支持梁6が固定されている。なお、平面板5の上面のうち、少なくともガラス板積層領域Xに対応する部分には、略全面に亘ってゴムシートや発泡樹脂シート等からなる板状の緩衝材(図示省略)が敷設されている。
【0047】
さらに、この実施形態では、各支持梁6が、基台部2の上面に垂直に立設された状態で基台部2に上面2aに溶接等により固定されている。そして、図2に示すように、各支持梁6の高さが、基台部2の後側(背面部3側)に位置するものから前側に位置するものに向かって漸次高くなっている。これにより、各支持梁6によって支持されている平面板5は、前側よりも後側が下側寄りとなる傾斜姿勢で、基台部2の上面に支持梁6を介して固定されている。
【0048】
一方、積層されるガラス板Gを立て掛け支持する背面部3の前面3aは、下側よりも上側が後側寄りとなる傾斜姿勢で基台部2の上面に立設された状態で基台部2に固定されており、上記の平面板5とのなす角が略90度になるように設定されている。なお、背面部3の前面にも、上述の平面板5と同様に緩衝材が敷設されている。
【0049】
このように構成されたパレット1に、図1に示すように、発泡樹脂シート等からなる保護シート(図示省略)を介在させながら複数枚のガラス板Gを積層すると、積層されたガラス板Gは、台座部4の平面板5と背面部3の前面によって、上側が下側よりも後方に傾斜した縦姿勢で支持される。このように縦姿勢でガラス板Gを積層した場合、ガラス板Gの重量は、主に平面板5に作用することになるが、平面板5は支持梁6によってガラス板Gの幅方向に亘って連続的に下方から支持された状態で補強されていることから、平面板5のガラス板Gの幅方向における撓み剛性が増し、積層されるガラス板Gの重量によって、平面板5がガラス板Gの幅方向における撓み等の変形を来たすという事態を抑制することができる。そのため、平面板5によって各ガラス板Gの下辺部全体を下方から均等に支持した状態を維持することができるので、各ガラス板Gの下辺部に不当な応力集中が生じて、破損が生じるという事態を低減できる。
【0050】
さらに、このような作用効果は、平面板5のガラス板積層領域Xを支持梁6で補強することによって実現されるものであることから、平面板5自体をガラス板Gの重量によって変形を来たさない程度の厚肉にする場合に比して、パレット1の重量増加を好適に抑制することができる。
【0051】
なお、平面板5のガラス板Gの幅方向における曲げ剛性を高めるという観点からは、図3に示すように、支持梁6が、平面板5の下面に対して垂直に固定されていることが好ましい。
【0052】
図4は、本発明の第2実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す斜視図である。同図に示すように、この第2実施形態に係るパレット1が、上述の第1実施形態に係るパレット1と相違するところは、ガラス板Gの幅方向に延びる上記の支持梁6と交差するように、基台部2の上面2aにガラス板Gの幅方向に間隔を空けて複数本の支持梁7を更に固定配置し、これら支持梁7の上に、上記複数の支持梁6を配設して一体化して、上下方向に2段の支持梁6、7を配設した点にあり、このような構成であっても第1実施形態に係るパレット1と同様の作用効果を享受することができる。また、平面板5のガラス板Gの幅方向における曲げ剛性を高める観点からは、図5に示すように、2段目の支持梁6が、平面板5に垂直に固定されていることが好ましい。
【0053】
図6は、本発明の第3実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第3実施形態に係るパレット1が、上述の第2実施形態に係るパレット1と相違するところは、1段目の支持梁7が断面略三角形状をなし、その上面が、前側よりも後側が下側寄りになるように傾斜している点にある。このようにすれば、平面板5を傾斜させる場合であっても、ガラス板Gの幅方向に亘って連続する2段目の支持梁6の高さを、後側から前側に向かって漸次高くする必要がないので、2段面の支持梁6の重量増加を抑制することができる。そして、1段目の支持梁7は、ガラス板Gの幅方向に間隔を空けて配置されていることから、上記第2実施形態に係るパレット1よりも、パレット1の重量を軽量化することができ、輸送に際して有利となる。
【0054】
なお、図7に示すように、1段目の支持梁7と基台部2との間に空間部が形成されるように、この支持梁7を複数(図示例では二本)の梁を組み合わせて形成すれば、その空間部に対応する領域分だけ、支持梁7の体積を減少させることができるので、パレット1の軽量化に寄与し得る。
【0055】
図8は、本発明の第4実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第4実施形態に係るパレット1が、上述の第1実施形態に係るパレット1と相違するところは、各支持梁6を側面視で略台形状の外縁をなす略角パイプとし、且つ隣接するもの同士を隙間なく配設した状態で一体化した点にある。このようにすれば、複数の支持梁6を連接させた状態で並列に配列した場合であっても、各支持梁6は中空であるので、パレット1の不当な重量の増加を防止することができる。さらに、各支持梁6が連接していることから、ガラス板Gの幅方向のみならず、ガラス板Gの積層方向における平面板5の撓み剛性をも高めることができる。
【0056】
この場合には、連接する複数の支持梁6の上面で単一の平面を形成することができるので、平面板5を省略し、支持梁6の上面に緩衝材を敷設してガラス板Gの下辺部を支持するようにしてもよい。
【0057】
また、図9に示すように、上述の第3実施形態に係るパレット1と同様に、基台部2の上面にガラス板Gの幅方向に間隔を空けて複数の支持梁7を配置し、これら支持梁7の上面に、角パイプで形成された複数本の支持梁6を隙間なく並列に配列して一体化してもよい。
【0058】
図10は、本発明の第5実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第5実施形態に係るパレット1が、上述の4実施形態に係るパレット1と相違するところは、平面板5のうち、ガラス板積層領域Xの下方に位置する支持梁6を、非ガラス板積層領域Yの下方に位置する支持梁6よりも密に配置した支持梁高密度領域Zを設けた点にある。このようにすれば、平面板5のうち、積層されるガラス板Gの重量が直接作用するガラス板積層領域Xが重点的に補強され、ガラス板Gの重量が直接作用しない非ガラス板積層領域Yが補助的に補強されるため、ガラス板Gの積層状態により適合した態様で平面板5を補強することができる。このとき、支持梁高密度領域Zは少なくともガラス板積層領域Xの80%以上であることが好ましい。なお、図示しないが、平面板5の非ガラス板積層領域Yは、ガラス板積層領域Xに積層されたガラス板Gの前面を保護する保護部材や、積層されたガラス板Gをパレット1に固定するための固定部材を配置する際に利用される。この場合、ガラス板の支持態様を均一にするという観点からは、支持梁高密度領域Zに配置された複数の支持梁6の相互間隔は、一定とすることが好ましい。
【0059】
また、図11に示すように、支持梁6として角パイプを使用して、非ガラス板積層領域Yの下方に位置する支持梁6よりもガラス板積層領域Xの下方に位置する支持梁6について、ガラス板Gの積層方向における寸法を小さくすることにより、ガラス板積層領域Xに対応した支持梁6を、非ガラス板積層領域Yに対応した支持梁6よりも密に配置してもよい。この場合、支持梁高密度領域Zは少なくともガラス板積層領域Xの80%以上であることが好ましく、ガラス板Gの支持態様を均一にするという観点からは、支持梁高密度領域Zに配置された複数の支持梁6の寸法が、ガラス板Gの積層方向において相互に等しいことがより好ましい。
【0060】
図12は、本発明の第6実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第6実施形態に係るパレット1が、上述の第1〜5に係るパレット1と相違するところは、複数本の支持梁6を相互に形状の異なる数種の部材から構成した点にある。詳述すると、図示例では、角パイプ(中空)をなす支持梁6と、角柱(中実)をなす支持梁6とを、間隔を空けた状態で交互に配列することで平面板5を支持するようにしている。このように、複数本の支持梁6を相互に形状の異なる数種類の部材から構成すれば、平面板5上に積層されるガラス板Gの積層枚数に応じて平面板5の撓み剛性等を適宜調整することが可能となる。
【0061】
なお、ガラス板Gの支持態様を均一にするという観点からは、図13に示すように、支持梁高密度領域Zに位置する支持梁(例えば角パイプ)6を同一部材から構成し、この支持梁6と、支持梁高密度領域Z以外に位置する支持梁(例えば角柱)6とを、異種部材で構成することが好ましい。このとき、支持梁高密度領域Zは少なくともガラス板積層領域Xの80%以上であることが好ましい。
【0062】
図14は、本発明の第7実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第7実施形態に係るパレット1が、上述の第1〜6実施形態に係るパレット1と相違するところは、台座部4を基台部2に固定された背面部3と一体化して、台座部4を背面部3のみに固定した状態となるように構成し、台座部4を基台部2に対して縁切り状態として基台部2の変形に追随して変形しないように構成した点にある。詳述すると、この台座部4は、角パイプで形成された複数本の支持梁6を隙間なく並列に配列して一体化し、この一体化された複数の支持梁6が平面板5の下面に固定されると共に、支持梁6はその下方においてガラス板Gの幅方向に間隔を空けて配置された支持梁7により支持されている。そして、このように構成された台座部4の底面と、基台部2との間に、空隙が設けられ、この空隙によって基台部2の変形が台座部4に伝わることを抑制している。なお、この実施形態では、角パイプで形成された複数本の支持梁6を連接させた状態でそれぞれを溶接等により一体化しており、さらにガラス板積層領域Xの下方に位置する支持梁6が、非ガラス板積層領域Yの下方に位置する支持梁6よりも、相対的に密に配置されている。また、支持梁7が背面部3のみに溶接されることにより、台座部4が背面部3に固定されている。このとき、支持梁高密度領域Zは少なくともガラス板積層領域Xの80%以上であることが好ましい。
【0063】
このようにすれば、パレット1にガラス板Gを積層して梱包した梱包体を、フォークリフトの爪によってその基台部2を支持した状態でトラックの荷台等に積載すべく、持ち上げる際に、その基台部2の変形が、台座部4と基台部2との間の空隙によって、台座部4に伝わることを好適に抑制することができる。したがって、このように基台部2に変形が生じた場合であっても、台座部4の平面板5に変形が生じるという事態が適正に抑制されるので、ガラス板Gの下辺部に不当な応力集中が生じることがなく、ガラス板Gに割れ等の破損が発生するという不具合を可及的に低減できる。このような作用効果が享受できるのは、平面板5を支持梁6で補強し、平面板5自体に適度な剛性を付与したことによるところが大きい。なお、台座部4と、基台部2との間の空隙を設ける代わりに、空隙に対応する部分に緩衝材を介設してもよい。また、台座部4の背面部3への固定は、支持梁7のみではなく、支持梁6、平面板5についても背面部3に溶接することにより、固定してもよい。
【0064】
図15は、本発明の第8実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第8実施形態に係るパレット1が、上述の第7実施形態に係るパレット1と相違するところは、ガラス板積層領域Xに設けられた支持梁高密度領域Zに位置する支持梁6が、背面部3に溶接された支持梁7により支持される構造となっており、非ガラス板積層領域Yを含む支持梁高密度領域Z以外の領域は支持梁6のみで構成されている点にある。このとき、支持梁高密度領域Zはガラス板積層体Xの80%以上であるとよい。
【0065】
図16は、本発明の第9実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第9実施形態に係るパレット1が、上述の第1〜8実施形態に係るパレット1と相違するところは、台座部4を基台部2の上面に縁切り状態で載置することで、台座部4が基台部2の変形に追随しないように構成した点にある。詳述すると、基台部2の上面に、緩衝材8を敷設し、その上に台座部4が載置されている。そして、これら緩衝材8および台座部4は、基台部2に固定されることなく、単に物理的に接触した状態となっている。さらに、この状態で、台座部4は、背面部3にも固定されることなく、単に物理的に接触した状態となっている。すなわち、台座部4は、基台部2に対して移動可能な状態となっている。
【0066】
このようにすれば、台座部4が基台部2に縁切り状態で載置され、しかもその平面板5は支持梁6によって補強されていることから、基台部2の変形が生じたとしても、その変形に追随して台座部4、特にその平面板5に変形を来たすという事態を可及的に低減することができる。したがって、仮に基台部2に変形が生じた場合であっても、ガラス板Gの下辺部に不当な応力が生じることなく、ガラス板Gに割れ等の破損が生じることを可及的に低減することができる。
【0067】
なお、基台部2に対する台座部4の移動範囲を規制する規制手段を設けてもよい。具体的には、台座部4に向かって進退移動可能な複数のピンを基台部2に設け、このピンを適宜進退移動させて、その先端部と台座部4との間に所定の隙間を形成し、この隙間でもって台座部4の移動範囲を規制するようにしてもよい。
【0068】
図17は、本発明の第10実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第10実施形態に係るパレット1が、上述の第1〜9実施形態に係るパレット1と相違するところは、台座部4の底面における最下部4aを、基台部2の実質上の上面2aよりも下方に沈み込ませた点にある。詳述すると、この実施形態では、台座部4の底部における最下部4aが、基台部2に形成されたフォークリフトの爪が差し込まれる爪挿入部9の上面9aよりも下方に位置するようになっている。なお、図17に示すパレット1においては、その他の構成は上述の第9実施形態と同一である。
【0069】
このようにすれば、基台部2の上面2aに載置された台座部4によって同一の大きさのガラス板Gを同一姿勢で支持した場合に比して、ガラス板Gを梱包した梱包体の全高を低くすることができる。したがって、梱包体を輸送する際して、専用品ではなく普及品であるコンテナを使用することができると共に、当該コンテナ内に、ガラス板Gを鉛直姿勢から不当に傾斜させることなく、鉛直姿勢に近い状態で収納することができ、結果としてコンテナ内へのガラス板Gの積層効率を良好に維持することができる。
【0070】
また、図18に示すように、台座部4を、背面部3に固定することなく、緩衝材8を介して基台部2の底面を形成する底面板の上に縁切り状態で載置することで、台座部4の最下部4aが、基台部2の実質上の上面(好ましくは基台部2の爪挿入部9の上面9a)よりも下方に位置するようにしてもよい。
【実施例】
【0071】
本発明が所期の目的を達成するかを否かを認識すべく、以下に示す試験ならびにその検討を行った。本発明の実施例1として、上述の図1に示すパレット1について、平面板5として、幅300mm×長さ2100mm×厚み6mmの鉄板を使用し、支持梁6として幅15mm×長さ2100mm×高さ20mm〜100mmの鉄製の角柱を使用した。そして、この平面板5を5本の支持梁6で補強した。
【0072】
また、本発明の実施例2として、上述の図6に示すパレット1について、2段目の支持梁6として、幅15mm×長さ2100mm×高さ50mmの鉄製の角柱を使用し、平面板5として実施例1と同一寸法のものを使用した。そして、この平面板5を5本の支持梁6で補強した。なお、1段目の支持梁7は、ガラス基板Gの幅方向に略等間隔に5本配列した。
【0073】
さらに、本発明の実施例3として、上述の図9に示すパレット1について、平面板5として、ガラス板積層方向寸法が280mm、ガラス板幅方向寸法が2100mm、厚みが4.5mmの鉄板を使用し、2段目の支持梁6として、幅40mm×長さ2100mm×高さ40mmの鉄製の角パイプを使用した。そして、この平面板5を8本の支持梁6で補強した。なお、1段目の支持梁7は、ガラス基板Gの幅方向に略等間隔に5本配列した。
【0074】
また、本発明の実施例4として、上述の図11に示すパレット1について、ガラス板積層領域Xに対応する2段目の支持梁6として、幅35mm×長さ2100mm×高さ50mmの角パイプを使用し、非ガラス板積層領域Yに対応する2段目の支持梁6として、幅70mm×長さ2100mm×高さ50mmのものを使用した。平面板5は実施例3と同一寸法のものを使用した。そして、この平面板5のガラス板積層領域Xを6本の支持梁6で補強すると共に、非ガラス板積層領域Yを1本の支持梁6で補強した。なお、1段目の支持梁7は、ガラス基板Gの幅方向に略等間隔に5本配列した。
【0075】
さらに、本発明の実施例5として、実施例4の支持梁6に使用される鉄製の角パイプを、中実の棒状体に変更したものを作製した。具体的には、ガラス板積層領域Xに対応する支持梁6として、幅5mm×長さ2100mm×高さ50mmの鉄製の中実棒状体を使用し、非ガラス板積層領域Yに対応する支持梁6として、幅30mm×長さ2100mm×高さ50mmのものを使用した。平面板5としては、実施例1と同一寸法のものを使用した。そして、平面板5のガラス板積層領域Xには6本の薄手(幅5mm)の支持梁6を用いて、各支持梁6間に35mmの間隔を設けて配列すると共に、非ガラス板積層領域Yには1本の厚手(幅15mm)の支持梁6を用いて、前記ガラス板積層領域Xの最前端の支持梁6から45mmの間隔を設けて配列して補強した。
【0076】
そして、以上の実施例1〜5に係るパレット1のそれぞれにつき、幅2000mm×高さ1600mm×厚み0.7mmの液晶ディスプレイ用のガラス基板Gを250枚積層した状態で梱包した梱包体を作製した。そして、各実施例で40個(ガラス基板Gの総枚数10000枚)の梱包体を実際に輸送して、そのときのガラス基板Gの破損割合を検査した。その結果、全ての梱包体において輸送によるガラス基板の破損は発生しなかった。
【0077】
一方、従来型のパレット、すなわち平面部の下面を支持梁で、ガラス板の幅方向に亘って連続的に支持する構成を採用していないパレットに、ガラス基板Gを梱包した梱包体の輸送時のガラス基板の破損割合は、梱包されたガラス板の総枚数の約1.0%であった。
【0078】
このことからも、本発明に係るパレット1を使用すれば、梱包体の輸送性能が大幅に改善されることが確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1実施形態に係るガラス板梱包用パレットを模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示すパレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【図14】本発明の第7実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図15】本発明の第8実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図16】本発明の第9実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図17】本発明の第10実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図18】本発明の第10実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 パレット
2 基台部
2a 基台部の上面
3 背面部
3a 背面部の前面
4 台座部
4a 台座部の最下部
5 平面板
6,7 支持梁
8 緩衝材
9 爪挿入部
G ガラス板
X ガラス板積層領域
Y 非ガラス板積層領域
Z 支持梁高密度領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板を輸送する際に、ガラス板を梱包するための梱包技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(以下、単にFPDという)用のガラス基板を初めとする各種ガラス板を輸送する場合には、ガラス板梱包用パレット(以下、単にパレットともいう)上に、複数枚のガラス板を、各ガラス板の間に合紙等の保護シートを介在させて縦姿勢(略鉛直姿勢)で積層した状態で梱包するのが通例とされている。
【0003】
この種のパレットとしては、底台をなす基台部と、基台部の後方側から立ち上がる背面部と、基台部上方に配設された台座部とを備え、台座部の上面でガラス板の下辺部を支持した状態で、そのガラス板を背面部の前面側に立て掛けるようにして、複数枚のガラス板を縦姿勢で積層させて配列するものが挙げられる。
【0004】
そして、上記の台座部の構成としては種々のものが提案されているが、積層されるガラス板の下辺部をその幅方向に間隔が空いた複数の平面で支持するものと、積層されるガラス板の下辺部全体を単一の平面で支持するものとに大別される。
【0005】
前者の具体例としては、例えば下記の特許文献1、2に開示のものが挙げられる。詳述すると、下記の特許文献1には、基台部(台座)の上面にガラス板の幅方向に間隔を空けて立設された複数の底片と、この底片の上面に載置され且つガラス板の幅方向に間隔を空けて配置された2枚の底受け板とから台座部を構成することが開示されている。また、下記の特許文献2には、基台部(ベース)を格子状に構成し、その基台部の上面のうち、ガラス板の幅方向に間隔を空け且つガラス板の積層方向に延びる部分に緩衝材を被せ、この緩衝材が被せられた部分で台座部を構成することが開示されている。
【0006】
一方、後者の具体例としては、例えば下記の特許文献3、4に開示のものが挙げられる。詳述すると、下記の特許文献3には、基台部(台座)上にガラス板の幅方向に間隔を空けて立設された複数の底片と、この複数の底片の上に載置された単一の底受け板とから台座部を構成することが開示されている。また、下記の特許文献4には、基台部の前端縁でガラス板の幅方向に亘って配設された梁と、この梁によって前端縁が支持され且つ後端縁が背面部(背面支持体)に支持された載置部とから台座部を構成することが開示されている。
【特許文献1】特開2005−298062号公報
【特許文献2】特開平7−267290号公報
【特許文献3】特開2005−132490号公報
【特許文献4】特開2006−315759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、FDP用のガラス基板に代表されるように、各種ガラス板の大型化・薄肉化が推進されており、これに伴ってガラス板が破損を来たし易くなっているのが実情である。そのため、パレット上に、縦姿勢で積層された複数枚のガラス板をそれぞれの相互間に保護シートを介在させた状態で配列させて梱包して輸送する際には、割れ等によるガラス板の破損を抑制することが重要となる。
【0008】
特に、ガラス板を縦姿勢で積層した場合には、主にガラス板の背面と下辺部とを支持することになるので、衝撃に弱いガラス板の下辺部の支持形態、すなわちパレットの台座部の構成は、上記のガラス板の破損を抑制するという観点からも非常に重要なものとなる。
【0009】
しかしながら、従来、このような観点から有効な対策が何ら講じられていないのが実情である。すなわち、上記の特許文献1、2に開示の台座部により、積層されるガラス板の下辺部をその幅方向に間隔を空けて支持する場合には、ガラス板の下辺部は、ガラス板の幅方向に沿って断続的に支持されることになる。そのため、台座部の在る箇所ではガラス板の下辺部は保持された位置から動き難く、これとは逆に台座部のない箇所ではガラス板の下辺部は比較的自由に動くことができる上、下方から何ら支持されていないので撓み等の変形を来たし易くなる。その結果、ガラス板の下辺部の支持箇所と非支持箇所との境界で、ガラス板の下辺部に応力集中が生じ、その応力集中部を起点としてガラス板が破損を来たすという事態が生じ得る。
【0010】
そのため、このようなガラス板の破損を抑制するという観点からは、各ガラス板の下辺部全体を均等に支持することが必要となる。
【0011】
しかしながら、上記の特許文献3に開示の台座部では、ガラス板の下辺部全体を底受け板で支持しているものの、底受け板の下面を複数の底片によってガラス板の幅方向に沿って断続的に支持しているため、積層されたガラス板の重量が底受け板に掛かると、底受け板のうち下方が支持されていない領域が、ガラス板の幅方向において部分的に撓み等の変形を来たすことになる。その結果、かかる底受け板の上に積層される複数枚のガラス板の下辺部にも部分的に不均一な変形が生じ、上記の特許文献1、2の場合と同様にガラス板に破損が生じる場合がある。
【0012】
また、上記の特許文献4に開示の台座部では、ガラス板の下辺部を支持する板状の載置台が、その前端縁と後端縁のみで支持され、ガラス板の下辺部を実際に支持する領域では何ら支持されていない。そのため、ガラス板の重量によって載置台に生じる撓み等の変形はより顕著なものとなって現れ、ガラス板が破損する可能性はより一層高くなる。
【0013】
このようにガラス板の下辺部全体を平面板(底受け板または載置台)で支持したとしても、平面板自体は撓み剛性が低いため、かかる平面板にガラス板を積層した場合には、ガラス板の幅方向に撓み等の変形が生じてしまう。
【0014】
そこで、ガラス板の重量によって撓み等の変形が生じない程度まで平面板を厚肉にすることで、上記のガラス板の破損を抑制することも考えられるが、この場合にはパレットの重量が不当に増大してしまう。一般に、パレットにガラス板を積層して梱包した梱包体は、輸送に際してその総重量に制約が課せられるため、パレットの重量が不当に増大した場合には、ガラス板の積層枚数を大幅に減少させる必要が生じ、ガラス板の輸送効率が著しく低下する。したがって、ガラス板を輸送するというパレットの本来的な機能からも、実用的な対策とは成り得ない。
【0015】
本発明は、上記実情に鑑み、ガラス板梱包用パレットの重量増加を抑制しつつ、当該パレットに縦姿勢で積層した状態で梱包された複数枚のガラス板が、輸送時に破損するという事態を可及的に低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために創案された本発明に係るガラス板梱包用パレットは、基台部と、該基台部の後方側から立ち上がる背面部と、前記基台部と前記背面部のうち少なくとも一方と係わり合って配設された台座部とを備え、前記台座部の上方で且つ前記背面部の前方に、複数枚のガラス板が縦姿勢で積層されるガラス板梱包用パレットにおいて、前記台座部におけるガラス板が積層されるガラス板積層領域に、上下方向に複数段または1段の支持梁が配設されると共に、前記複数段の支持梁のうち最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、前記ガラス板の幅方向に延び且つ複数本が並列に配列されていることに特徴づけられる。
【0017】
このような構成によれば、台座部のガラス板積層領域には、ガラス板の幅方向に延びる複数本の支持梁(最上段の支持梁または1段の支持梁)が並列に配列されていることから、当該ガラス板積層領域のガラス板の幅方向における撓み剛性を十分に高めることができる。そのため、積層されるガラス板の重量によって、台座部のガラス板積層領域においてガラス板の幅方向で撓み等の変形を来たすという事態を好適に抑制することができる。したがって、ガラス板積層領域で各ガラス板の下辺部全体を下方から均等に支持した状態を維持することができ、各ガラス板の下辺部に不当な応力集中が生じてガラス板が破損するという事態を可及的に低減することが可能となる。
【0018】
さらに、このような作用効果は、台座部のガラス積載領域を支持梁で補強することによって実現されるものであることから、従来の底受け板や、載置台等の平面板自体をガラス板の重量によって変形を来たさない程度の厚肉にする場合に比して、パレットの重量増加を確実に抑制することができる。したがって、輸送可能重量との関係から、ガラス板の積層枚数を減少させる必要もなく、ガラス板の輸送効率を良好に維持することができる。
【0019】
上記の構成において、前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁の上に、その支持梁よりも剛性の低い板状部材を敷設してもよい。
【0020】
すなわち、例えば金属等からなる板状部材でガラス板の積層領域を形成する場合であっても、支持梁によって当該板状部材が補強されることから、板状部材自体をガラス板の重量によって変形を来たさない程度の厚肉にする必要がなく、パレットの不当な重量増加を防止することができる。
【0021】
この場合、前記板状部材が、平面部をなすようにすることが好ましい。
【0022】
このようにすれば、各ガラス板を積層する際に、ガラス板の積層領域が平面部をなすことになるので、その積層作業を円滑に実行することが可能となる。
【0023】
上記の構成において、前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁が、パイプ状部材であることが好ましい。ここで、パイプ状部材としては、例えば角パイプや丸パイプ等が挙げられる。
【0024】
このようにすれば、台座部のガラス板積層領域におけるガラス板の幅方向の撓み剛性を維持しつつ、支持梁の重量を軽量化することができる。したがって、ガラス板の輸送効率の観点からも有利となる。
【0025】
この場合、前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、隣接するもの同士が隙間なく並列に配列されていることが好ましい。
【0026】
このようにすれば、支持梁によって台座部のガラス板積層領域における剛性がより高められることになるので、ガラス板に破損が生じるという事態を適正に抑制することができる。
【0027】
上記の構成において、前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁を、2種以上の異種部材を並列に配列して構成してもよい。なお、ここでいう「2種以上の異種部材を並列に配列して構成」する一例としては、角パイプ(中空部材)で形成された支持梁と、角柱(中実部材)で形成された支持梁とを、並列に複数本配列することが挙げられる。
【0028】
このようにすれば、台座部の撓み剛性を、ガラス板の積層枚数との関係から、最適となるように調整することができるので、ガラス板の破損を抑制する上で有利となる。
【0029】
上記の構成において、前記台座部におけるガラス板が積層されない非ガラス板積層領域にも、上下方向に複数段または1段の支持梁を配設されると共に、前記複数段の支持梁のうち最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、前記ガラス板の幅方向に延び且つ1本または並列に複数本が配列されていることが好ましい。
【0030】
このようにすれば、台座部全体としての剛性が高められることになるので、ガラス板の破損を抑制する上で有利となる。
【0031】
この場合、前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁が、前記非ガラス板積層領域よりも、前記ガラス板積層領域において密に配列されていることが好ましい。
【0032】
このようにすれば、台座部のうち、積層される複数枚のガラス板の重量が直接作用するガラス板積載領域が重点的に補強され、積層される複数枚のガラス板の重量が直接作用しない非ガラス板積載領域が補助的に補強されることになる。したがって、ガラス板の幅方向における撓みをより確実に抑制しつつ、パレットの不当な重量増加を防止することができる。
【0033】
上記の構成において、前記基台部と一体化された前記背面部と、前記台座部とを一体化し、前記台座部を前記背面部のみに固定した状態となるように構成し、前記台座部を前記基台部に対して縁切り状態として該基台部の変形に追随して変形しないように構成してもよい。ここで、「台座部を基台部の変形に追随して変形しないように構成」とは、台座部の全部が基台部の変形に追随しないように構成されているものに限られず、台座部の一部が基台部の変形に追随して変形しても、台座部のうちガラス板の下辺部と接触する面が基台部の変形に追随して変形しないように構成されているものをも含む意味である。なお、台座部の底面と、基台部の上面との間には、空隙が設けられていてもよく、また緩衝部材が介設されていてもよい。
【0034】
すなわち、ガラス板梱包用パレットは、その台座部の上方で且つ背面部の前方に、複数枚のガラス板を縦姿勢で積層した状態で梱包した後、一旦床面上に載置され、その後輸送用のトラックの荷台上等に載置されるが、床面や荷台等の表面は凹凸があるのが通例であるため、その凹凸に合致するように、当該パレットの底部をなす基台部が変形を来たし得る。このようなパレットの基台部の変形は、フォークリフトの爪によって基台部を支持した状態で、当該梱包体をトラックの荷台等に積載すべく、持ち上げる際にも同様にして生じ得るが、この場合には基台部とフォークリフトの爪との接触部のみに当該梱包体の全重量が作用するため、その変形がより顕著となる。そのため、かかる基台部の変形の影響を何ら考慮しない構成のパレットでは、台座部にもその変形の影響が生じ、ひいては台座部によって下辺部が支持されている複数枚のガラス板に破損が生じるおそれがある。これに対し、上記のような構成によれば、基台部が変形を来たした場合には、それに伴って背面部も変形し且つ背面部に固定された台座部も変形しようとするが、台座部は背面部のみに固定されていることから、基台部の変形が直接的に台座部に影響することはない。しかも、台座部は、基台部に対して縁切り状態となり且つ基台部の変形に追随して変形しないように構成されていることから、基台部に変形が生じても、台座部によるガラス板の下辺部の支持形態は、基台部の変形による影響を受けることなく良好に維持される。
【0035】
また、同様に基台部の変形によって台座部が変形するという事態を防止する観点から、上記の構成において、前記台座部を前記基台部上に縁切り状態で載置すると共に、該台座部を前記基台部の変形に追随しないように構成するようにしてもよい。ここで、「台座部を基台部の変形に追随して変形しないように構成」とは、台座部の全部が基台部の変形に追随しないように構成されているものに限られず、台座部の一部が基台部の変形に追随して変形しても、台座部のうちガラス板の下辺部と接触する面が基台部の変形に追随して変形しないように構成されているものをも含む意味である。
【0036】
このようにすれば、台座部が、基台部に縁切り状態で載置され、且つ基台部の変形に追随しないように構成されていることから、輸送に際して基台部に変形が生じたとしても、台座部によるガラス板の下辺部の支持状態は、基台部の変形の影響を受けることなく、良好に維持される。したがって、仮に基台部に変形が生じた場合であっても、ガラス板の下辺部に不当な応力が生じることなく、ガラス板が破損を来たすという事態を可及的に低減することが可能となる。
【0037】
上記の構成において、前記台座部の最下部を、前記基台部の実質上の上面よりも下方に沈み込ませることが好ましい。
【0038】
このようにすれば、ガラス板の下辺部を支持する台座部の最下部が、基台部の実質上の上面よりも下方位置まで沈み込んでいることから、基台部の上面に載置された台座部によって同一の大きさのガラス板を同一姿勢で支持した場合に比して、ガラス板を梱包した梱包体の全高を低くすることができる。したがって、梱包体を輸送するに際して、専用品ではなく普及品であるコンテナを使用することができると共に、当該コンテナ内に、ガラス板を鉛直姿勢から不当に傾斜させることなく、鉛直姿勢に近い状態で収納することができ、結果としてコンテナ内へのガラス板の積層効率を良好に維持することができる。
【0039】
一方、上記課題を解決するために創案された本発明に係るガラス板梱包体は、以上の構成を備えてなるガラス板梱包用パレットに、複数枚のガラス板をそれぞれの相互間に保護シートを介在させた状態で縦姿勢で積層して梱包したことに特徴づけられる。
【0040】
このようにすれば、上記種々のガラス板梱包用パレットを使用してなるガラス板梱包体については、それぞれに対応するガラス板梱包用パレットに関して既に述べた事項と同様の作用効果を享受することができる。
【0041】
このガラス梱包体において、梱包された個々のガラス板は、厚みが0.7mm以下であって且つ一辺の寸法が1000mm以上であることが好適である。
【0042】
このようにすれば、FPD用ガラス基板、特に液晶ディスプレイ用ガラス基板の近年の大型化及び薄肉化に的確に対処することが可能となる。
【発明の効果】
【0043】
以上のように本発明によれば、ガラス板梱包用パレットの重量増加を抑制しつつ、当該パレットに縦姿勢で積層した状態で梱包された複数枚のガラス板が、輸送時に破損するという事態を可及的に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0045】
図1は、本発明の第1実施形態に係るガラス板梱包用パレットに複数枚のガラス板を縦姿勢で積層して梱包した状態を模式的に示す斜視図であり、図2は、このパレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。これら各図に示すように、このパレット1は、床面上等に載置される底台をなす基台部2と、この基台部2の後方側から立ち上がる背面部3と、基台部2と背面部3のうち少なくとも一方と係わり合って配設された台座部4とを備えている。そして、台座部4は、縦姿勢で積層された複数枚のガラス板Gの下辺部を下方から支持し、背面部3は、そのガラス板Gの背面側を立て掛け支持するようになっている。
【0046】
詳述すると、台座部4は、積層された複数枚のガラス板Gの下辺部全体を支持する平面板(板状部材)5を備えている。そして、この平面板5のうち、ガラス板Gが実際に積層されるガラス板積層領域Xは、積層されるガラス板Gの幅方向(平面板5の長手方向)における撓みを抑制するために、角柱をなす複数本の支持梁6によって下方から直接的に支持された状態で補強されている。具体的には、ガラス板Gの幅方向に長尺な複数本の支持梁6が、間隔を空けてガラス板Gの幅方向と平行に並列に配列された状態で、平面板5のガラス板積層領域Xの下面に溶接等により固定されている。このように支持梁6を配置することで、平面板5のガラス板積層領域Xをガラス板Gの幅方向に亘って連続的に支持するようにしている。また、適宜省略することは可能であるが、本実施形態では、平面板5のガラス板積層領域Xよりも前方側の非ガラス板積層領域Yの下面にも溶接等によって支持梁6が固定されている。なお、平面板5の上面のうち、少なくともガラス板積層領域Xに対応する部分には、略全面に亘ってゴムシートや発泡樹脂シート等からなる板状の緩衝材(図示省略)が敷設されている。
【0047】
さらに、この実施形態では、各支持梁6が、基台部2の上面に垂直に立設された状態で基台部2に上面2aに溶接等により固定されている。そして、図2に示すように、各支持梁6の高さが、基台部2の後側(背面部3側)に位置するものから前側に位置するものに向かって漸次高くなっている。これにより、各支持梁6によって支持されている平面板5は、前側よりも後側が下側寄りとなる傾斜姿勢で、基台部2の上面に支持梁6を介して固定されている。
【0048】
一方、積層されるガラス板Gを立て掛け支持する背面部3の前面3aは、下側よりも上側が後側寄りとなる傾斜姿勢で基台部2の上面に立設された状態で基台部2に固定されており、上記の平面板5とのなす角が略90度になるように設定されている。なお、背面部3の前面にも、上述の平面板5と同様に緩衝材が敷設されている。
【0049】
このように構成されたパレット1に、図1に示すように、発泡樹脂シート等からなる保護シート(図示省略)を介在させながら複数枚のガラス板Gを積層すると、積層されたガラス板Gは、台座部4の平面板5と背面部3の前面によって、上側が下側よりも後方に傾斜した縦姿勢で支持される。このように縦姿勢でガラス板Gを積層した場合、ガラス板Gの重量は、主に平面板5に作用することになるが、平面板5は支持梁6によってガラス板Gの幅方向に亘って連続的に下方から支持された状態で補強されていることから、平面板5のガラス板Gの幅方向における撓み剛性が増し、積層されるガラス板Gの重量によって、平面板5がガラス板Gの幅方向における撓み等の変形を来たすという事態を抑制することができる。そのため、平面板5によって各ガラス板Gの下辺部全体を下方から均等に支持した状態を維持することができるので、各ガラス板Gの下辺部に不当な応力集中が生じて、破損が生じるという事態を低減できる。
【0050】
さらに、このような作用効果は、平面板5のガラス板積層領域Xを支持梁6で補強することによって実現されるものであることから、平面板5自体をガラス板Gの重量によって変形を来たさない程度の厚肉にする場合に比して、パレット1の重量増加を好適に抑制することができる。
【0051】
なお、平面板5のガラス板Gの幅方向における曲げ剛性を高めるという観点からは、図3に示すように、支持梁6が、平面板5の下面に対して垂直に固定されていることが好ましい。
【0052】
図4は、本発明の第2実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す斜視図である。同図に示すように、この第2実施形態に係るパレット1が、上述の第1実施形態に係るパレット1と相違するところは、ガラス板Gの幅方向に延びる上記の支持梁6と交差するように、基台部2の上面2aにガラス板Gの幅方向に間隔を空けて複数本の支持梁7を更に固定配置し、これら支持梁7の上に、上記複数の支持梁6を配設して一体化して、上下方向に2段の支持梁6、7を配設した点にあり、このような構成であっても第1実施形態に係るパレット1と同様の作用効果を享受することができる。また、平面板5のガラス板Gの幅方向における曲げ剛性を高める観点からは、図5に示すように、2段目の支持梁6が、平面板5に垂直に固定されていることが好ましい。
【0053】
図6は、本発明の第3実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第3実施形態に係るパレット1が、上述の第2実施形態に係るパレット1と相違するところは、1段目の支持梁7が断面略三角形状をなし、その上面が、前側よりも後側が下側寄りになるように傾斜している点にある。このようにすれば、平面板5を傾斜させる場合であっても、ガラス板Gの幅方向に亘って連続する2段目の支持梁6の高さを、後側から前側に向かって漸次高くする必要がないので、2段面の支持梁6の重量増加を抑制することができる。そして、1段目の支持梁7は、ガラス板Gの幅方向に間隔を空けて配置されていることから、上記第2実施形態に係るパレット1よりも、パレット1の重量を軽量化することができ、輸送に際して有利となる。
【0054】
なお、図7に示すように、1段目の支持梁7と基台部2との間に空間部が形成されるように、この支持梁7を複数(図示例では二本)の梁を組み合わせて形成すれば、その空間部に対応する領域分だけ、支持梁7の体積を減少させることができるので、パレット1の軽量化に寄与し得る。
【0055】
図8は、本発明の第4実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第4実施形態に係るパレット1が、上述の第1実施形態に係るパレット1と相違するところは、各支持梁6を側面視で略台形状の外縁をなす略角パイプとし、且つ隣接するもの同士を隙間なく配設した状態で一体化した点にある。このようにすれば、複数の支持梁6を連接させた状態で並列に配列した場合であっても、各支持梁6は中空であるので、パレット1の不当な重量の増加を防止することができる。さらに、各支持梁6が連接していることから、ガラス板Gの幅方向のみならず、ガラス板Gの積層方向における平面板5の撓み剛性をも高めることができる。
【0056】
この場合には、連接する複数の支持梁6の上面で単一の平面を形成することができるので、平面板5を省略し、支持梁6の上面に緩衝材を敷設してガラス板Gの下辺部を支持するようにしてもよい。
【0057】
また、図9に示すように、上述の第3実施形態に係るパレット1と同様に、基台部2の上面にガラス板Gの幅方向に間隔を空けて複数の支持梁7を配置し、これら支持梁7の上面に、角パイプで形成された複数本の支持梁6を隙間なく並列に配列して一体化してもよい。
【0058】
図10は、本発明の第5実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第5実施形態に係るパレット1が、上述の4実施形態に係るパレット1と相違するところは、平面板5のうち、ガラス板積層領域Xの下方に位置する支持梁6を、非ガラス板積層領域Yの下方に位置する支持梁6よりも密に配置した支持梁高密度領域Zを設けた点にある。このようにすれば、平面板5のうち、積層されるガラス板Gの重量が直接作用するガラス板積層領域Xが重点的に補強され、ガラス板Gの重量が直接作用しない非ガラス板積層領域Yが補助的に補強されるため、ガラス板Gの積層状態により適合した態様で平面板5を補強することができる。このとき、支持梁高密度領域Zは少なくともガラス板積層領域Xの80%以上であることが好ましい。なお、図示しないが、平面板5の非ガラス板積層領域Yは、ガラス板積層領域Xに積層されたガラス板Gの前面を保護する保護部材や、積層されたガラス板Gをパレット1に固定するための固定部材を配置する際に利用される。この場合、ガラス板の支持態様を均一にするという観点からは、支持梁高密度領域Zに配置された複数の支持梁6の相互間隔は、一定とすることが好ましい。
【0059】
また、図11に示すように、支持梁6として角パイプを使用して、非ガラス板積層領域Yの下方に位置する支持梁6よりもガラス板積層領域Xの下方に位置する支持梁6について、ガラス板Gの積層方向における寸法を小さくすることにより、ガラス板積層領域Xに対応した支持梁6を、非ガラス板積層領域Yに対応した支持梁6よりも密に配置してもよい。この場合、支持梁高密度領域Zは少なくともガラス板積層領域Xの80%以上であることが好ましく、ガラス板Gの支持態様を均一にするという観点からは、支持梁高密度領域Zに配置された複数の支持梁6の寸法が、ガラス板Gの積層方向において相互に等しいことがより好ましい。
【0060】
図12は、本発明の第6実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第6実施形態に係るパレット1が、上述の第1〜5に係るパレット1と相違するところは、複数本の支持梁6を相互に形状の異なる数種の部材から構成した点にある。詳述すると、図示例では、角パイプ(中空)をなす支持梁6と、角柱(中実)をなす支持梁6とを、間隔を空けた状態で交互に配列することで平面板5を支持するようにしている。このように、複数本の支持梁6を相互に形状の異なる数種類の部材から構成すれば、平面板5上に積層されるガラス板Gの積層枚数に応じて平面板5の撓み剛性等を適宜調整することが可能となる。
【0061】
なお、ガラス板Gの支持態様を均一にするという観点からは、図13に示すように、支持梁高密度領域Zに位置する支持梁(例えば角パイプ)6を同一部材から構成し、この支持梁6と、支持梁高密度領域Z以外に位置する支持梁(例えば角柱)6とを、異種部材で構成することが好ましい。このとき、支持梁高密度領域Zは少なくともガラス板積層領域Xの80%以上であることが好ましい。
【0062】
図14は、本発明の第7実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第7実施形態に係るパレット1が、上述の第1〜6実施形態に係るパレット1と相違するところは、台座部4を基台部2に固定された背面部3と一体化して、台座部4を背面部3のみに固定した状態となるように構成し、台座部4を基台部2に対して縁切り状態として基台部2の変形に追随して変形しないように構成した点にある。詳述すると、この台座部4は、角パイプで形成された複数本の支持梁6を隙間なく並列に配列して一体化し、この一体化された複数の支持梁6が平面板5の下面に固定されると共に、支持梁6はその下方においてガラス板Gの幅方向に間隔を空けて配置された支持梁7により支持されている。そして、このように構成された台座部4の底面と、基台部2との間に、空隙が設けられ、この空隙によって基台部2の変形が台座部4に伝わることを抑制している。なお、この実施形態では、角パイプで形成された複数本の支持梁6を連接させた状態でそれぞれを溶接等により一体化しており、さらにガラス板積層領域Xの下方に位置する支持梁6が、非ガラス板積層領域Yの下方に位置する支持梁6よりも、相対的に密に配置されている。また、支持梁7が背面部3のみに溶接されることにより、台座部4が背面部3に固定されている。このとき、支持梁高密度領域Zは少なくともガラス板積層領域Xの80%以上であることが好ましい。
【0063】
このようにすれば、パレット1にガラス板Gを積層して梱包した梱包体を、フォークリフトの爪によってその基台部2を支持した状態でトラックの荷台等に積載すべく、持ち上げる際に、その基台部2の変形が、台座部4と基台部2との間の空隙によって、台座部4に伝わることを好適に抑制することができる。したがって、このように基台部2に変形が生じた場合であっても、台座部4の平面板5に変形が生じるという事態が適正に抑制されるので、ガラス板Gの下辺部に不当な応力集中が生じることがなく、ガラス板Gに割れ等の破損が発生するという不具合を可及的に低減できる。このような作用効果が享受できるのは、平面板5を支持梁6で補強し、平面板5自体に適度な剛性を付与したことによるところが大きい。なお、台座部4と、基台部2との間の空隙を設ける代わりに、空隙に対応する部分に緩衝材を介設してもよい。また、台座部4の背面部3への固定は、支持梁7のみではなく、支持梁6、平面板5についても背面部3に溶接することにより、固定してもよい。
【0064】
図15は、本発明の第8実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第8実施形態に係るパレット1が、上述の第7実施形態に係るパレット1と相違するところは、ガラス板積層領域Xに設けられた支持梁高密度領域Zに位置する支持梁6が、背面部3に溶接された支持梁7により支持される構造となっており、非ガラス板積層領域Yを含む支持梁高密度領域Z以外の領域は支持梁6のみで構成されている点にある。このとき、支持梁高密度領域Zはガラス板積層体Xの80%以上であるとよい。
【0065】
図16は、本発明の第9実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第9実施形態に係るパレット1が、上述の第1〜8実施形態に係るパレット1と相違するところは、台座部4を基台部2の上面に縁切り状態で載置することで、台座部4が基台部2の変形に追随しないように構成した点にある。詳述すると、基台部2の上面に、緩衝材8を敷設し、その上に台座部4が載置されている。そして、これら緩衝材8および台座部4は、基台部2に固定されることなく、単に物理的に接触した状態となっている。さらに、この状態で、台座部4は、背面部3にも固定されることなく、単に物理的に接触した状態となっている。すなわち、台座部4は、基台部2に対して移動可能な状態となっている。
【0066】
このようにすれば、台座部4が基台部2に縁切り状態で載置され、しかもその平面板5は支持梁6によって補強されていることから、基台部2の変形が生じたとしても、その変形に追随して台座部4、特にその平面板5に変形を来たすという事態を可及的に低減することができる。したがって、仮に基台部2に変形が生じた場合であっても、ガラス板Gの下辺部に不当な応力が生じることなく、ガラス板Gに割れ等の破損が生じることを可及的に低減することができる。
【0067】
なお、基台部2に対する台座部4の移動範囲を規制する規制手段を設けてもよい。具体的には、台座部4に向かって進退移動可能な複数のピンを基台部2に設け、このピンを適宜進退移動させて、その先端部と台座部4との間に所定の隙間を形成し、この隙間でもって台座部4の移動範囲を規制するようにしてもよい。
【0068】
図17は、本発明の第10実施形態に係るパレット1の要部を拡大して模式的に示す側面図である。同図に示すように、この第10実施形態に係るパレット1が、上述の第1〜9実施形態に係るパレット1と相違するところは、台座部4の底面における最下部4aを、基台部2の実質上の上面2aよりも下方に沈み込ませた点にある。詳述すると、この実施形態では、台座部4の底部における最下部4aが、基台部2に形成されたフォークリフトの爪が差し込まれる爪挿入部9の上面9aよりも下方に位置するようになっている。なお、図17に示すパレット1においては、その他の構成は上述の第9実施形態と同一である。
【0069】
このようにすれば、基台部2の上面2aに載置された台座部4によって同一の大きさのガラス板Gを同一姿勢で支持した場合に比して、ガラス板Gを梱包した梱包体の全高を低くすることができる。したがって、梱包体を輸送する際して、専用品ではなく普及品であるコンテナを使用することができると共に、当該コンテナ内に、ガラス板Gを鉛直姿勢から不当に傾斜させることなく、鉛直姿勢に近い状態で収納することができ、結果としてコンテナ内へのガラス板Gの積層効率を良好に維持することができる。
【0070】
また、図18に示すように、台座部4を、背面部3に固定することなく、緩衝材8を介して基台部2の底面を形成する底面板の上に縁切り状態で載置することで、台座部4の最下部4aが、基台部2の実質上の上面(好ましくは基台部2の爪挿入部9の上面9a)よりも下方に位置するようにしてもよい。
【実施例】
【0071】
本発明が所期の目的を達成するかを否かを認識すべく、以下に示す試験ならびにその検討を行った。本発明の実施例1として、上述の図1に示すパレット1について、平面板5として、幅300mm×長さ2100mm×厚み6mmの鉄板を使用し、支持梁6として幅15mm×長さ2100mm×高さ20mm〜100mmの鉄製の角柱を使用した。そして、この平面板5を5本の支持梁6で補強した。
【0072】
また、本発明の実施例2として、上述の図6に示すパレット1について、2段目の支持梁6として、幅15mm×長さ2100mm×高さ50mmの鉄製の角柱を使用し、平面板5として実施例1と同一寸法のものを使用した。そして、この平面板5を5本の支持梁6で補強した。なお、1段目の支持梁7は、ガラス基板Gの幅方向に略等間隔に5本配列した。
【0073】
さらに、本発明の実施例3として、上述の図9に示すパレット1について、平面板5として、ガラス板積層方向寸法が280mm、ガラス板幅方向寸法が2100mm、厚みが4.5mmの鉄板を使用し、2段目の支持梁6として、幅40mm×長さ2100mm×高さ40mmの鉄製の角パイプを使用した。そして、この平面板5を8本の支持梁6で補強した。なお、1段目の支持梁7は、ガラス基板Gの幅方向に略等間隔に5本配列した。
【0074】
また、本発明の実施例4として、上述の図11に示すパレット1について、ガラス板積層領域Xに対応する2段目の支持梁6として、幅35mm×長さ2100mm×高さ50mmの角パイプを使用し、非ガラス板積層領域Yに対応する2段目の支持梁6として、幅70mm×長さ2100mm×高さ50mmのものを使用した。平面板5は実施例3と同一寸法のものを使用した。そして、この平面板5のガラス板積層領域Xを6本の支持梁6で補強すると共に、非ガラス板積層領域Yを1本の支持梁6で補強した。なお、1段目の支持梁7は、ガラス基板Gの幅方向に略等間隔に5本配列した。
【0075】
さらに、本発明の実施例5として、実施例4の支持梁6に使用される鉄製の角パイプを、中実の棒状体に変更したものを作製した。具体的には、ガラス板積層領域Xに対応する支持梁6として、幅5mm×長さ2100mm×高さ50mmの鉄製の中実棒状体を使用し、非ガラス板積層領域Yに対応する支持梁6として、幅30mm×長さ2100mm×高さ50mmのものを使用した。平面板5としては、実施例1と同一寸法のものを使用した。そして、平面板5のガラス板積層領域Xには6本の薄手(幅5mm)の支持梁6を用いて、各支持梁6間に35mmの間隔を設けて配列すると共に、非ガラス板積層領域Yには1本の厚手(幅15mm)の支持梁6を用いて、前記ガラス板積層領域Xの最前端の支持梁6から45mmの間隔を設けて配列して補強した。
【0076】
そして、以上の実施例1〜5に係るパレット1のそれぞれにつき、幅2000mm×高さ1600mm×厚み0.7mmの液晶ディスプレイ用のガラス基板Gを250枚積層した状態で梱包した梱包体を作製した。そして、各実施例で40個(ガラス基板Gの総枚数10000枚)の梱包体を実際に輸送して、そのときのガラス基板Gの破損割合を検査した。その結果、全ての梱包体において輸送によるガラス基板の破損は発生しなかった。
【0077】
一方、従来型のパレット、すなわち平面部の下面を支持梁で、ガラス板の幅方向に亘って連続的に支持する構成を採用していないパレットに、ガラス基板Gを梱包した梱包体の輸送時のガラス基板の破損割合は、梱包されたガラス板の総枚数の約1.0%であった。
【0078】
このことからも、本発明に係るパレット1を使用すれば、梱包体の輸送性能が大幅に改善されることが確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1実施形態に係るガラス板梱包用パレットを模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示すパレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【図14】本発明の第7実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図15】本発明の第8実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図16】本発明の第9実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図17】本発明の第10実施形態に係るガラス板梱包用パレットの要部を拡大して模式的に示す側面図である。
【図18】本発明の第10実施形態に係るガラス板梱包用パレットの変形例を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 パレット
2 基台部
2a 基台部の上面
3 背面部
3a 背面部の前面
4 台座部
4a 台座部の最下部
5 平面板
6,7 支持梁
8 緩衝材
9 爪挿入部
G ガラス板
X ガラス板積層領域
Y 非ガラス板積層領域
Z 支持梁高密度領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台部と、該基台部の後方側から立ち上がる背面部と、前記基台部と前記背面部のうち少なくとも一方と係わり合って配設された台座部とを備え、前記台座部の上方で且つ前記背面部の前方に、複数枚のガラス板が縦姿勢で積層されるガラス板梱包用パレットにおいて、
前記台座部におけるガラス板が積層されるガラス板積層領域に、上下方向に複数段または1段の支持梁が配設されると共に、前記複数段の支持梁のうち最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、前記ガラス板の幅方向に延び且つ複数本が並列に配列されていることを特徴とするガラス板梱包用パレット。
【請求項2】
前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁の上に、その支持梁よりも剛性の低い板状部材が敷設されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項3】
前記板状部材の上面が、平面部をなすことを特徴とする請求項2に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項4】
前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁が、パイプ状部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項5】
前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、隣接するもの同士が隙間なく並列に配列されていることを特徴とする請求項4に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項6】
前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、2種以上の異種部材を並列に配列して構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項7】
前記台座部におけるガラス板が積層されない非ガラス板積層領域にも、上下方向に複数段または1段の支持梁が配設されると共に、前記複数段の支持梁のうち最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、前記ガラス板の幅方向に延び且つ1本または並列に複数本が配列されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項8】
前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁が、前記非ガラス板積層領域よりも、前記ガラス板積層領域において密に配列されていることを特徴とする請求項7に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項9】
前記基台部と固定された前記背面部と、前記台座部とを一体化して、該台座部を前記背面部のみに固定した状態となるように構成し、前記台座部を前記基台部に対して縁切り状態として該基台部の変形に追随して変形しないように構成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項10】
前記台座部を前記基台部上に縁切り状態で載置すると共に、該台座部を前記基台部の変形に追随しないように構成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項11】
前記台座部の最下部を前記基台部の実質上の上面よりも下方に沈み込ませたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレットに、複数枚のガラス板をそれぞれの相互間に保護シートを介在させた状態で縦姿勢で積層して梱包したことを特徴とするガラス板梱包体。
【請求項13】
前記梱包された個々のガラス板は、厚みが0.7mm以下であって且つ一辺の寸法が1000mm以上であることを特徴とする請求項12に記載のガラス板梱包体。
【請求項1】
基台部と、該基台部の後方側から立ち上がる背面部と、前記基台部と前記背面部のうち少なくとも一方と係わり合って配設された台座部とを備え、前記台座部の上方で且つ前記背面部の前方に、複数枚のガラス板が縦姿勢で積層されるガラス板梱包用パレットにおいて、
前記台座部におけるガラス板が積層されるガラス板積層領域に、上下方向に複数段または1段の支持梁が配設されると共に、前記複数段の支持梁のうち最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、前記ガラス板の幅方向に延び且つ複数本が並列に配列されていることを特徴とするガラス板梱包用パレット。
【請求項2】
前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁の上に、その支持梁よりも剛性の低い板状部材が敷設されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項3】
前記板状部材の上面が、平面部をなすことを特徴とする請求項2に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項4】
前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁が、パイプ状部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項5】
前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、隣接するもの同士が隙間なく並列に配列されていることを特徴とする請求項4に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項6】
前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、2種以上の異種部材を並列に配列して構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項7】
前記台座部におけるガラス板が積層されない非ガラス板積層領域にも、上下方向に複数段または1段の支持梁が配設されると共に、前記複数段の支持梁のうち最上段の支持梁または前記1段の支持梁は、前記ガラス板の幅方向に延び且つ1本または並列に複数本が配列されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項8】
前記最上段の支持梁または前記1段の支持梁が、前記非ガラス板積層領域よりも、前記ガラス板積層領域において密に配列されていることを特徴とする請求項7に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項9】
前記基台部と固定された前記背面部と、前記台座部とを一体化して、該台座部を前記背面部のみに固定した状態となるように構成し、前記台座部を前記基台部に対して縁切り状態として該基台部の変形に追随して変形しないように構成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項10】
前記台座部を前記基台部上に縁切り状態で載置すると共に、該台座部を前記基台部の変形に追随しないように構成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項11】
前記台座部の最下部を前記基台部の実質上の上面よりも下方に沈み込ませたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレット。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラス板梱包用パレットに、複数枚のガラス板をそれぞれの相互間に保護シートを介在させた状態で縦姿勢で積層して梱包したことを特徴とするガラス板梱包体。
【請求項13】
前記梱包された個々のガラス板は、厚みが0.7mm以下であって且つ一辺の寸法が1000mm以上であることを特徴とする請求項12に記載のガラス板梱包体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−273626(P2008−273626A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43118(P2008−43118)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]