説明

ガラス窓貼付用フィルム

【課題】施工時のエア抜きやシワ取りが容易で、かつ、貼り付け後の修正が可能で、かつ、施工後の乾燥が早く、かつ、不要となった際に容易に剥がせて剥がし跡が残らない、ガラス窓貼付用フィルムを提供すること。
【解決手段】上記の課題は、少なくともガラス窓貼付面となるポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層を有する積層体において、全面に貫通孔が設けられ、前記積層体の前記貫通孔との境界部が前記貫通孔を囲むリング状に連続した膜厚部を形成していることを特徴とするガラス窓貼付用フィルムにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線透過量低減、ガラス片飛散防止、表面保護等の目的で窓ガラス表面に貼るためのフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より直射日光による室温上昇や物品表面の退色防止、または、ガラスが割れた際の破片の飛散防止等を目的として、窓ガラスに粘着剤付きフィルムを貼付することが行われていて、ホームセンター等でも一般消費者向けに販売されている。
【0003】
近年、このようなフィルムの基材として、多層共押しフィルムを使用し、特定波長の光線の層間における屈折を利用した透明赤外線反射フィルムを用いた窓ガラス貼付用フィルムに関する発明が開示されている。(特許文献1参照)
【0004】
また、窓ガラス貼付用フィルムの施工は、汚れを除去した窓ガラス表面に台所洗剤等の界面活性剤を希釈した液を吹き付けた後、ガラス窓貼付用フィルムをあてがって、当該フィルム表面をなでるように押し付け、界面活性剤希釈液と混入した空気を追い出すことによって成されるが、界面活性剤希釈液に珪酸系化合物を添加混合することにより耐湿接着強度を向上させるための発明も開示されている。(特許文献2参照)
【0005】
しかしながら、従来流通しているガラス窓貼付用フィルムは、施工後にきれいにフィルムを剥がすのが困難であり、不要になった際にフィルムを除去するのが非常に困難かつ面倒であった。さらに、施工途中に粘着面同士がくっついてしまうと跡が残ったり、極端な場合には剥がせなくなったりするという問題があった。また、ガラスとフィルムの間に生じた空気溜りの空気を抜くためにフィルム表面を中央側から端部に向かってしごいて空気溜りをフィルム端面まで移動させる必要があるが、途中で空気溜りが複数に分裂してしまったり、移動しなくなったりするため、空気溜りを完全に除去できない問題や、一旦剥がすと粘着力が失われてしまい、施工後にシワや空気溜りを発見しても、貼り直しができず、フィルムを交換せざるを得ないという問題があり、施工には細心の注意と技術が必要であった。従って、特に大きな窓ガラスへの施工は一般の人間に困難な作業であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2010−504872号公報
【特許文献2】特開昭62−17631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本願発明は、上記のような問題を可決し、施工時のエア抜きやシワ取りが容易であり、かつ、施工後にシワや空気溜りを発見した際には、容易に修正が可能であるとともに、施工後の乾燥が早く、また、不要となった際にフィルムが容易に剥がせて剥がし跡が残らない、ガラス窓貼付用フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような問題点を解決すべく種々研究を重ねた結果、本願請求項1に係る発明は、少なくともガラス窓貼付面となるポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層を有する積層体において、全面に貫通孔が設けられ、前記積層体の前記貫通孔との境界部が前記貫通孔を囲むリング状に連続した膜厚部を形成していることを特徴とするガラス窓貼付用フィルムである。全面に貫通孔が存在し、前記積層体の前記貫通孔との境界部が前記貫通孔を囲むリング状に連続した膜厚部が形成されているため、施工時に当該貫通孔から容易にガラスとフィルムの間の空気溜りの空気を容易に抜くことができ、また、当該貫通孔から容易に界面活性剤希釈液を抜くことができ、当該貫通孔から水蒸気を放出できるので、乾燥も早い。さらに、ポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層を有する積層体を用いポリビニルアルコール樹脂層をガラス窓貼付面とすることで、施工後にシワやタルミを発見しても、当該部分を一旦剥がして界面活性剤希釈液を吹き付けて貼り直すことができる。また、不要になった際にも容易に剥がすことができ、剥がし跡も殆ど残らず、多少残っても濡れ雑巾等で容易に拭き取ることができる。さらに、前記貫通孔との境界部が前記貫通孔を囲むリング状に連続した膜厚部とすることで施工時に一つ一つの貫通孔の周囲がガラス面から浮き上がって乾燥を早める効果を奏する。さらに、前記貫通孔との境界部が前記貫通孔を囲むリング状に連続した膜厚部とすることで、貫通孔きっかけとなってフィルムが切れることを防止できる。
【0009】
本発明において、前記積層体の前記貫通孔との境界部とは、貫通孔の周辺部、輪郭部と言い換えることができる。前記積層体の貫通孔をとりまく、まわりの部位を示しており、特に、貫通孔と接する、もしくは、貫通孔と極めて近接した部位であることを強調した表現として用いるものである。
【0010】
本発明に係るガラス窓貼付用フィルムは、印刷を施すことによって遮光性を付与したり、意匠性を付与したりすることができる。
【0011】
本願発明の請求項2のガラス窓貼付用フィルムは、少なくともガラス窓貼付面となるポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層を有する前記積層体の全面に熱針方式の穿孔による貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載のガラス窓貼付用フィルムである。熱針方式の穿孔により前記積層体の前面に貫通孔を設けることにより、前記貫通孔との境界部が前記貫通孔を囲むリング状に連続した膜厚部とする貫通孔を容易且つ廉価に作成可能となる。また、孔開け加工の際に、フィルムの破片などを生じることがないので、ガラス窓貼付用フィルムとガラス窓を貼り合わせる際に、ガラスとガラス窓貼付用フィルムの間にフィルム破片などの異物が入り込んで外観を損ねることもほとんどない。
【0012】
本願発明の請求項3のガラス窓貼付用フィルムは、少なくともガラス窓貼付面となるポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層を有する積層体のポリビニルアルコール樹脂ではない面にさらに機能性フィルムが貼り合わされ、かつ、機能性フィルム貼り合わせ後に前記貫通孔が設けられていることを特徴とするガラス窓貼付用フィルムである。
また、ポリビニルアルコール樹脂ではない面に各種機能フィルムを貼り合わせることにより、貼り合わせた機能フィルムが有する機能を付与したり、強度を向上させたり、意匠性を向上させたりすることができる。
【0013】
本願発明の請求項4のガラス窓貼付用フィルムは、前記低吸水性フィルム層を形成する低吸水性フィルムが、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、または、二軸延伸ポリエチレフタレートフィルムであることを特徴とするガラス窓貼付用フィルムである。ポリビニルアルコール樹脂層と積層する低吸水性フィルムとして二軸延伸ポリプロピレンフィルム、または、二軸延伸ポリエチレフタレートフィルムを用いることにより、界面活性剤希釈液を吹き付けたガラス面に貼り付けてもカールやタルミが殆ど発生しないため、施工が容易で、かつ、施工直後の状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るガラス窓貼付用フィルムは、全面に貫通孔が存在しガラス窓貼付用フィルム積層体の前記貫通孔との境界部が前記貫通孔を囲むリング状に連続した膜厚部を形成しているため施工時に当該貫通孔から容易にガラスとフィルムの間の空気溜りの空気を容易に抜くことができ、また、当該貫通孔から容易に界面活性剤希釈液を抜くことができ、当該貫通孔から水蒸気を放出できるので、乾燥も早い。更に、施工後にシワやタルミを発見しても、当該部分を一旦剥がして界面活性剤希釈液を吹き付けて貼り直すことができる。更に、不要になった際にも容易に剥がすことができ、剥がし跡も殆ど残らず、多少残っても濡れ雑巾等で容易に拭き取ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るガラス窓貼付用フィルムの概略断面図である。
【図2】本発明に係るガラス窓貼付用フィルムに設けた貫通孔のパターンの一例を示す概略平面図である。
【図3】本発明に係るガラス窓貼付用フィルムのポリビニルアルコール樹脂ではない面にさらに機能性フィルムを貼り合わせた実施例を示す概略断面図である。
【図4】本発明に係るガラス窓貼付用フィルムをガラス窓に貼った状態の貫通孔部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面等を用いて以下に詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0017】
本発明に係るガラス窓貼付用フィルムの基本構造は、図1に示すようにガラス窓貼付面となるポリビニルアルコール樹脂層2と低吸水性フィルム層3を有する積層体に貫通孔5を設けたものである。積層体の前記貫通孔5との境界部は前記貫通孔を囲むリング状に連続した膜厚部7を形成している必要がある。
【0018】
(低吸水性フィルム)
本発明に係るガラス窓貼付用フィルムの基材フィルムとして低吸水性フィルムを用いる理由は、吸水性が高いフィルムはガラス窓に貼り付ける際に用いる界面活性剤希釈液の水分を吸収して伸び、タルミやシワの原因になるのみならず、乾燥すると収縮して元の寸法に戻るため、自然に剥がれてしまうためである。
このような理由で本発明に係るガラス窓貼付用フィルムの基材フィルムに用いることができないフィルムとして、ナイロンフィルム、セロハンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、パルプ等吸水性繊維からなる紙等がある。
【0019】
本発明に係る低吸水性フィルムとして用いることができるフィルムには、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム等があるが、特に二軸延伸ポリプロピレンフィルム、および、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが、加工適正とコストに優れ、好適に用いることができる。
【0020】
本発明に係る低吸水性フィルムの厚みについては、薄ければ施工時のエア抜きや貼り直しが容易であり、かつ、軽量で輸送に便利である。また、厚ければ施工時の位置合わせが容易であり、慣れると施工時間を短縮でき、かつ、物理的強度に優れるためガラス窓の割れ防止や、ガラスが割れた時の飛散防止効果が向上するので、特に限定する必要は無いが、一般的には12μm〜100μmの範囲で要求物性やコストを考慮して選択すれば良い。
【0021】
(ポリビニルアルコール樹脂)
本発明で用いられるポロビニルアルコール樹脂層は、特に限定されるものではないが、低吸水性フィルムにポリビニルアルコール樹脂水溶液を塗布することで形成することができる。使用されるポリビニルアルコールは特に限定されるものではないが、塗布し易い水溶液の粘度の点で、重合度は300〜1500、けん化度88.0〜99.5%が望ましい。ポリビニルアルコール樹脂水溶液は濃度1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%である。通常は表面張力が高いため、少量の活性剤、レベリング剤、アンカー剤、または、アルコールなどを活用してもよい。また、コーターでの攪拌、循環などによる発泡を防止するため、消泡剤を添加する場合もある。また、塗膜の滑り性等を良くするために、少量のスリップ剤、アンチブロッキング剤を添加しても良い。
【0022】
ポリビニルアルコール樹脂水溶液のコーティング法は特に限定されるものではなく、グラビアロールコーティング法、リバースロールコーティング法、マイヤバーコーティング法等のいずれを用いても構わない。塗布したポリビニルアルコール樹脂水溶液はコーターの乾燥ゾーンで乾燥するが、塗布量が多いと貼付時の接着強度は上がるが、塗布後の乾燥が困難になり生産効率を著しく低下する。逆に、少ないと貼付時に充分な接着強度が得られないので、塗膜の乾燥重量で0.5g/m2〜5.0g/m2、好ましくは1.0g/m2〜3.0g/m2の範囲である。
【0023】
尚、水を含むと粘着性を発現するポリビニルアルコール樹脂が積層されているのであれば、低吸水性フィルムにポリビニルアルコール樹脂を塗布した市販の酸素バリア性フィルム(例えば、製品名「XOP5000」、ダイセルバリューコーティング株式会社製、製品名「A−OPBH」、三井化学東セロ株式会社製)に熱針方式で貫通孔5を設けても、本発明に係るガラス窓貼付用フィルム1として好適に用いることができる。
【0024】
(有孔加工)
本発明に係るガラス窓貼付用フィルム1において、貫通孔5を設けることによって得られる効果は、施工時に使用した界面活性剤希釈水を容易にフィルムとガラスの間から貫通孔を経て排出させることができること、および、容易に乾燥するので施工後の養生期間を短くできることの二点を特に挙げることができる。
【0025】
もし、低吸水性フィルム層3にポリビニルアルコール樹脂層を積層したまま、貫通孔5を設けずにガラス窓のガラス6に貼った場合、空気溜りを抜くのが困難であることは従来のガラス窓貼付用フィルムと同じだが、一般的に低吸水性フィルムの透湿度が低いためフィルムの周縁部のみ乾燥し、それ以外の箇所はいつまでも乾燥しないので実用的ではない。
【0026】
さらに、本発明に係るガラス窓貼付用フィルムにおいては、前記積層体の前記貫通孔5との境界部が前記貫通孔を囲むリング状に連続した膜厚部7を形成している必要がある。これは、貫通孔5をきっかけとしてフィルムが切れるのを防止するとともに、施工時に一つ一つの孔の周囲がガラス面から浮き上がって乾燥を早める効果を奏する。ガラスに張り合わされるポリビニルアルコール樹脂層2側の膜厚部7は、貼り合わせ時に使用される界面活性剤希釈液(特に含まれている水分)を吸収して軟化または一部溶解し、乾燥とともに膜厚部7の段差が低減されるので、乾燥後に浮いて空気溜りを生じることはない。
【0027】
単に針で押し開けた貫通孔や、外周面に多数のダイヤモンド粉末を付着させたローラーや、金属ロール表面を鮫肌状に加工したローラーを用いた、フィルムにキズを付けただけの貫通孔の場合、貫通孔の周辺には、小さな裂け傷が生じて開口しており、キズの箇所はフィルムが蓋をしてしまうため孔を開けていないフィルムと同様に乾燥が遅く、更に、施工時に空気抜きや水抜きのために表面を擦るとキズの部分がきっかけとなってフィルムが切れてしまうという大きな欠陥を有する。また、施工後に、フィルムを剥がす際にも、貫通孔の小さな裂け目をきっかけとしてフィルムが裂けやすく、容易に且つきれいにはがすことを阻害する。
【0028】
本発明に係るガラス窓貼付用フィルム1に貫通孔5を設ける方法としては、先端が細い熱した金属をフィルムに貫通させる、いわゆる熱針方式の孔開け加工が最も適している。工業的には、熱針式有孔加工機を用いることで実現できる。図4に概略図を示したように、熱針で貫通孔5を設けることによって、貫通孔5の周囲に溶けたフィルムがリング状に付着して膜厚部7を形成し、貫通孔5の強度を向上させ、かつ、施工時に一つ一つの孔の周囲がガラス面から浮き上がって乾燥を早める効果を奏する。また、孔開け加工の際にフィルムの破片が発生しにくいので、フィルムとガラスの間に異物が入り込んで貼付後の外観を劣化させることも殆ど無い。更に、熱針方式の貫通孔は常に開口しているため、空気抜きや水抜きが容易で、かつ、水蒸気が容易に抜ける。熱針を刺す面は、ポリビニルアルコール樹脂面、または、その反対面のどちらでも構わないが、紙や不織布等、厚い機能性フィルム4を貼り合わせた場合は、ポリビニルアルコール樹脂面側から熱針を刺すことにより、安定的に有孔加工できる。
【0029】
これに対し、外周面に多数のダイヤモンド粉末を付着させたローラーや、金属ロール表面を鮫肌状に加工したローラーを用いた、フィルムにキズを付けただけの貫通孔5の場合、異物として小さなフィルム片が多数発生してガラス窓に貼付した際に空気溜りが多数生じて見苦しい外観を呈し、また、キズの箇所はフィルムが蓋をしてしまうため孔を開けていないフィルムと同様に乾燥が遅く、更に、施工時に空気抜きや水抜きのために表面を擦るとキズの部分がきっかけとなってフィルムが切れてしまうという大きな欠陥を有する。
【0030】
本発明に係るガラス窓貼付用フィルム1に設ける貫通孔5の形状はほぼ円形から楕円形を呈し、その大きさは、通常の熱針加工で実施可能な範囲で良いが、孔が小さすぎると乾燥が遅くなる場合があり、大きすぎると遮光性や表面保護機能が損なわれるので、孔径0.2mm〜2.0mmの範囲から選定すると良い。また、開孔間隔は小さすぎると遮光性が損なわれ、大きすぎると乾燥が遅くなり、孔の大きさにもよるが、1mm〜25mmの範囲が一般的である。しかしながら、貫通孔5で文字や図柄を表現する場合等はこの限りではなく、各々のパターンに合わせた間隔を設定すれば良い。
【0031】
また、貫通孔5の開孔パターンは、例えば図2に示したように隙間無く並べた四角形の頂点位置に開孔するのが一般的であるが、これにこだわる必要は無く、貫通孔の点で文字を表現したり、星座や図柄を表現したりしても構わない。
【0032】
(機能フィルムの貼り合わせ)
本発明に係るガラス窓貼付用フィルム1は、図3に示したように、ポリビニルアルコール樹脂層2と低吸水性フィルム層3の積層体のポリビニルアルコール樹脂ではない面に機能フィルム4を貼り合わせた後、全面に熱針方式で貫通孔5を設けることによって、貼り合わせたフィルムが有する機能を付与したり、強度を向上させたり、意匠性を向上させたりすることができる。
【0033】
貼り合わせる機能性フィルムは、単層でも複層でも構わず、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、紙、不織布、金属蒸着フィルム、金属酸化物蒸着フィルム等、通常の食品包装材料に基材フィルムとして用いられるものを特に好適に用いることができる。尚、金属箔は熱針による有孔加工を施すことができないが、熱針が貫通する際に孔の周囲で伸びて孔が生じる場合があり、その孔が塞がらないように箔の材質、厚さや、金属箔の外側にプラスチックフィルムを貼る等、機能性フィルム4の仕様を設計すれば良い。
【0034】
例えば、機能性フィルム4として、アルミ蒸着フィルムを貼り合わせれば、高度な遮光性が得られると共に、ガラス窓貼付用フィルム表面が帯電し難くなって異物が付着し難くなり、ガラス窓に貼った後の外観向上にも硬化があり、和紙を貼り合わせれば、障子のような雰囲気を醸し出すことができ、タテ・ヨコに繊維が交差している直交不織布(例えば、製品名「ミライフ」、JX日鉱日石ANCI株式会社製)、割繊維不織布(例えば、製品名「ワリフ」、JX日鉱日石ANCI株式会社製)、および、ネット状に繊維を交差させた不織布(例えば、製品名「コンウェッドネット」、JX日鉱日石ANCI株式会社製)等の不織布を貼り合わせれば、ガラス窓の割れ防止や、防犯効果、ガラスが割れた時の飛散防止効果が向上し、赤外線反射フィルムを貼り合わせれば、赤外線反射機能を得ることができる等である。
【0035】
貼り合わせ方法は通常のフィルム同士の貼り合わせに使用する、ドライラミネーション、または、ノンソルベントラミネーション等を好適に用いることができる。また、溶融樹脂の押し出しラミネーションも用いることができるが、現行技術では厚さ100μmを超えるフィルムへの有孔加工が困難になる場合があるので注意が必要である。
【0036】
(印刷)
本発明に係るガラス窓貼付用フィルム1は、ポリビニルアルコール樹脂層2を積層した低吸水性フィルム層3のポリビニルアルコール樹脂ではない面に文字や図柄等の印刷を施すこと、および、当該非塗布面に文字や図柄等の印刷を施した機能性フィルム4を貼り合わせることができる。
【0037】
本発明に係るガラス窓貼付用フィルムは、貼り合わせ面を施工者などに容易に認識できることが必要な用途では、文字や絵柄を印刷することによって貼り合わせ面の識別を容易にすることができる。それでも間違え易いような場合は、直接貼り合わせ面を表示する文字や図柄を印刷すると良い。
【0038】
印刷する文字としては、前記貼り合わせ面表示以外にも、企業名、カレンダー、標語等、絵柄としては、星座、ステンドグラス模様、鳥よけの円、ロゴ等を窓に表示するとそれ自体有用であるし、建設現場においてガラスの存在を知らしめることもできる。
【0039】
また、全面に黒ベタ印刷して遮光性を付与したり、黒ベタの一部を抜いて文字や図柄を表現したり、紫外線吸収インキや赤外線反射インキをベタ印刷したりすることによって、機能性を付加することもできる。
【0040】
更に、例えば、ポリビニルアルコール樹脂層2を積層した低吸水性フィルム層3のポリビニルアルコール樹脂ではない面にベタ印刷を施し、機能性フィルム4としてアルミ蒸着フィルムを貼り合わせれば、室内側には遮光性、室外側には防眩効果を付与でき、白ベタ印刷の室内側に黒ベタ印刷を施せば、室外からは孔や施工ミスによる空気溜りの存在に気付き難くなり、室内には遮光性を付与できるなど、前記の絵柄や文字、インキを重ねて印刷したり、機能性フィルム4と印刷を組み合わせることによって、窓の外側と内側で異なる機能を付与することもできる。
【0041】
ポリビニルアルコール樹脂層2を積層した低吸水性フィルム層3のポリビニルアルコール樹脂ではない面に印刷し、そのまま貫通孔5を設けて用いる場合、フィルム表面に印刷面が剥き出しになるので、擦れ等によってインキ落ちしやすくなるが、短期間のみ使用する場合や、ガラス窓貼付用フィルム1を輸送用保護フィルムとして用いる場合等、多少のインキ落ちは問題にならない用途も存在する。インキ落ちが問題となる場合は、ポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層の積層体のポリビニルアルコール樹脂ではない面に印刷し、当該印刷面に印刷面保護を目的とした機能性フィルム4を貼り合わせたり、前記ポリビニルアルコール樹脂ではない面に印刷を施した機能性フィルム4を貼り合わせたりすると良い。
【実施例】
【0042】
次に、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。尚、実施例では塗布用ポリビニルアルコール樹脂として一般的に用いられる、けん化度は99%のものを使用したが、本発明に係るガラス窓貼付用フィルムに塗布するポリビニルアルコール樹脂は、水分を吸収して接着性が発現すればよく、酸素バリア性は不要であるため、前記けん化度未満のポリビニルアルコール樹脂でも問題なく用いることができる。また、ガラス窓貼付用フィルムを製造する際に用いるフィルムの幅も920mmに限定する必要は無い。
【0043】
<実施例1>
低吸水性フィルムである幅920mm、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「FOR」、フタムラ化学株式会社製)を使用し、コロナ処理面に、けん化度99%のポリビニルアルコール樹脂水溶液をグラビアコーターにて乾燥後塗布重量が1.0g/m2となるよう塗布し、ポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層を形成する二軸延伸ポリプロピレンフィルムフィルムの積層体を得た後、必要に応じて適宜スリットし、その後、熱針式有孔加工機を用いて全面に縦横5mm間隔で0.8mmの貫通孔を設けることによって、本発明に係るガラス窓貼付用フィルムを得た。
当該ガラス窓貼付用フィルムは、ガラス窓に貼り付けることによって、表面保護効果、および、破片飛散防止効果を奏する。
【0044】
<実施例2>
低吸水性フィルムである幅920mm、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「E5102」、東洋紡績株式会社製)を使用し、コロナ処理面に、けん化度99%のポリビニルアルコール樹脂水溶液をグラビアコーターにて乾燥後塗布重量が1.0g/m2となるよう塗布し、ポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層を形成する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体を得た後、必要に応じて適宜スリットし、その後、熱針式有孔加工機を用いて全面に縦横2.0mm間隔で0.2mmの貫通孔を設けることによって、本発明に係るガラス窓貼付用フィルムを得た。
当該ガラス窓貼付用フィルムは、ガラス窓に貼り付けることによって、表面保護効果、および、破片飛散防止効果を奏する。
【0045】
<実施例3>
低吸水性フィルムである幅920mm、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「FORBT」、フタムラ化学株式会社製)の片面に、グラビア印刷機を用いた表刷り印刷で全面黒ベタに「室内側」の抜き文字を300mm間隔でエンドレス印刷を施し、残りの片面にけん化度99%のポリビニルアルコール樹脂水溶液をグラビアコーターにて乾燥後塗布重量が1.0g/m2となるよう塗布し、ポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層を形成する二軸延伸ポリプロピレンフィルムの積層体を得た後、必要に応じて適宜スリットし、その後、熱針式有孔加工機を用いて全面に縦横5mm間隔で0.8mmの貫通孔を設けることによって、本発明に係るガラス窓貼付用フィルムを得た。
当該ガラス窓貼付用フィルムは、施工時に貼り合わせ面を容易に認識でき、かつ、ガラス窓に貼り付けることによって、遮光効果、表面保護効果、および、破片飛散防止効果を奏する。
【0046】
<実施例4>
低吸水性フィルムである幅920mm、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「FORBT」、フタムラ化学株式会社製)の片面に白ベタ印刷を施し、当該白ベタ印刷面に、幅920mm、厚さ12μmのアルミ蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「1310」、東レフィルム加工株式会社製)のアルミ蒸着面を、二液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を用いて貼り合わせてから、ポリエチレンテレフタレート面にけん化度99%のポリビニルアルコール樹脂水溶液をグラビアコーターにて乾燥後塗布重量が1.5g/m2となるよう塗布し、ポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層、機能性フィルムの積層体を得た後、必要に応じて適宜スリットし、その後、熱針式有孔加工機を用いて全面に縦横3.5mm間隔で0.5mmの貫通孔を設けることによって、本発明に係るガラス窓貼付用フィルムを得た。
当該ガラス窓貼付用フィルムは、ガラス窓に貼り付けることによって、高度の遮光効果、紫外線遮蔽効果、赤外線反射効果、表面保護効果、破片飛散防止効果、および、窓外への防眩効果を奏する。
【0047】
<実施例5>
幅920mm、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「E5102」、東洋紡績株式会社製)のコロナ処理面に、グラビア印刷機を用いて黒色の文字と多色の図柄を印刷した後、二酸化チタン顔料からなる白色インキで全面白ベタで裏打ちし、機能性フィルムを製造した。
前記印刷済機能性フィルムと、低吸水性フィルムとして、幅920mm、厚さ40μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「FHK2」、フタムラ化学株式会社製)とを、二液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を用いて貼り合わせてから、ポリプロピレン面にけん化度99%のポリビニルアルコール樹脂水溶液をグラビアコーターにて乾燥後塗布重量が2.0g/m2となるよう塗布し、ポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層、機能性フィルムの積層体を得た後、必要に応じて適宜スリットし、その後、熱針式有孔加工機を用いて全面に縦10mm×横15m間隔で1mmの貫通孔を設けることによって、本発明に係るガラス窓貼付用フィルムを得た。
当該ガラス窓貼付用フィルムは、施工時に貼り合わせ面を容易に認識でき、かつ、ガラス窓に貼り付けることによって、遮光効果、紫外線遮蔽効果、赤外線反射効果、表面保護効果、および、破片飛散防止効果を奏する。
【0048】
<実施例6>
ポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層の積層体として、幅920mm、厚さ20μmのポリビニルアルコールコート二軸延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「XOP5050」、ダイセルバリューコーティング株式会社製)のポリプロピレン面に、グラビア印刷機を用いた表刷り印刷で全面黒ベタに「室内側」の抜き文字を300mm間隔でエンドレス印刷した後、必要に応じて適宜スリットし、その後、熱針式有孔加工機を用いて全面に縦横3.5mm間隔で0.5mmの貫通孔を設けることによって、本発明に係るガラス窓貼付用フィルムを得た。
当該ガラス窓貼付用フィルムは、施工時に貼り合わせ面を容易に認識でき、かつ、ガラス窓に貼り付けることによって、遮光効果、表面保護効果、および、破片飛散防止効果を奏する。
【0049】
<実施例7>
ポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層の積層体として、幅920mm、厚さ20μmのポリビニルアルコールコート二軸延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「XOP5050」、ダイセルバリューコーティング株式会社製)のポリプロピレン面に、グラビア印刷機を用いた表刷り印刷で全面白ベタ印刷した後、当該印刷面に二液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を用いて幅920mm、坪量20g/m2のレーヨン混抄紙(製品名「ソフロンM200」、ユニ・チャーム国光ノンウーヴン株式会社製)を機能性フィルムとして貼り合わせ、必要に応じて適宜スリットし、その後、熱針式有孔加工機を用いて全面に縦横5mm間隔で0.8mmの貫通孔を設けることによって、本発明に係るガラス窓貼付用フィルムを得た。
当該ガラス窓貼付用フィルムは、施工時に貼り合わせ面を容易に認識でき、かつ、ガラス窓に貼り付けることによって、遮光効果、紫外線遮蔽効果、赤外線反射効果、表面保護効果、および、破片飛散防止効果を奏すると共に、室内に和風の雰囲気を醸し出すことができた。
【0050】
<実施例8>
ポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層の積層体として、幅920mm、厚さ20μmのポリビニルアルコールコート二軸延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「XOP5050」、ダイセルバリューコーティング株式会社製)のポリプロピレン面に、グラビア印刷機を用いた表刷り印刷で全面白ベタ印刷と前面黒ベタ印刷をこの順に実施した後、当該印刷面に二液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を用いて幅920mm、坪量37g/m2の割繊維不織布(製品名「ワリフLX14」、JX日鉱日石ANCI株式会社製)を機能性フィルムとして貼り合わせた後、必要に応じて適宜スリットし、その後、熱針式有孔加工機を用いて全面に縦横5mm間隔で0.8mmの貫通孔を設けることによって、本発明に係るガラス窓貼付用フィルムを得た。
当該ガラス窓貼付用フィルムは、施工時に貼り合わせ面を容易に認識でき、かつ、ガラス窓に貼り付けることによって、遮光効果、紫外線遮蔽効果、赤外線反射効果、表面保護効果、および、破片飛散防止効果を奏すると共に、窓ガラス割りによる侵入がし難くなることによる防犯効果も発揮する。
【0051】
<比較例1>
幅920mm、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「E5102」、東洋紡績株式会社製)のコロナ処理面に、けん化度99%のポリビニルアルコール樹脂水溶液をグラビアコーターにて乾燥後塗布重量が1.0g/m2となるよう塗布し比較例1のポリビニルアルコール樹脂塗布フィルムを得た。
【0052】
<比較例2>
幅920mm、厚さ20μmのポリビニルアルコールコート二軸延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「XOP5050」、ダイセルバリューコーティング株式会社製)のポリプロピレン面に、グラビア印刷機を用いた表刷り印刷で全面黒ベタに「室内側」の抜き文字を300mm間隔でエンドレス印刷した後、必要に応じて適宜スリットし、その後、外周面に多数のダイヤモンド粉末を付着させたローラーで前記フィルム全面に貫通孔を設けることにより、比較例2のポリビニルアルコール樹脂塗布フィルムを得た。
【0053】
(フィルムのスリット)
実施例1〜8、および、比較例2で得たフィルムは全て、貫通孔を設ける前に900mm幅にスリットした。
【0054】
(窓ガラスへの貼り付け)
前記スリット済みの比較例1,2で得たフィルム2種、及び、前記スリット後に熱針式有孔加工機を用いて全面に貫通孔を設けた実施例1〜8で得たフィルム8種類、合計10種類の前記スリット済フィルムを長さ約1800mmに2枚ずつ切り取り、幅870mm×高さ1580mmの、南に面したガラス窓の室内側の面を住宅・家具用弱アルカリ性洗剤で拭き掃除して汚れを除去し、台所用中性洗剤を水で約100倍に希釈した液体のミストをハンドスプレーで窓ガラスに吹き付けながら前記フィルムのポリビニルアルコール樹脂塗布面を重ね合わせ、布で表面を擦って空気溜りと洗剤の希釈液を追い出しながらタルミを取るようにして貼り合わせ、余分なフィルムをカッターで除去することにより窓ガラス20枚に施工した。
【0055】
その結果、実施例1〜8の本発明に係るガラス窓貼付用フィルムは空気溜りと洗剤希釈液を全面に存在する貫通孔から容易に抜くことができ、簡単に施工できた。また、洗剤希釈液の抜けが良いため、貫通孔を設けた間隔や、ポリビニルアルコール樹脂の塗布量によって異なるが、施工後1〜2時間で乾燥した。
【0056】
しかしながら、比較例1のフィルムは空気溜りを抜くのが非常に困難で、空気溜りを全部抜いたつもりでも何箇所か残ってしまい、まばらに空気溜りが残っているため外観が良くなかった。また、洗剤希釈液を追い出せたかどうか非常に分かり辛かった。
【0057】
また、比較例2のフィルムは比較例1のフィルムと比べれば空気溜りと洗剤希釈液の追い出しは容易だったが、タルミを取るために布で強く擦ったところ、貫通孔がきっかけとなって数箇所切れてしまい、施工後の外観が見苦しかった。
【0058】
全てのフィルムを窓ガラスに貼り付けた後、2ケ月放置し、様子を観察した結果、20枚全てのフィルムで特に変化は認められなかった。
【0059】
(フィルム剥がし)
2ケ月経過後、フィルムを手で剥がした。
その結果、実施例1〜8の本発明に係るガラス窓貼付用フィルムは、剥がすきっかけは爪でフィルムの端を何回か引っ掻かないと作れなかったが、剥がし始めると非常に滑らかに、多少の手応えを感じつつ、きれいに剥がすことができた。フィルムを剥がした後のガラス表面には、目を近づけて良く見ると貫通孔周囲に溜まったポリビニルアルコール樹脂が薄くリング状に残っていたが、濡れ雑巾で簡単に拭き去ることができた。
【0060】
しかしながら比較例1のフィルムは、剥がすきっかけは本発明に係るガラス窓貼付用フィルム同様に、爪でフィルムの端を引っ掻かなければならなかったが、剥がし始めたところ、内部は追い出しきれなかった洗剤希釈液によってポリビニルアルコール樹脂が溶解し、フィルムが剥き出しになった面が広く存在し、フィルムは殆どガラスに接着していなかった。
【0061】
また、比較例2のフィルムは、剥がすきっかけは他のフィルムと同様で、剥がし始めると貫通孔の部分で軽く接着しているのみで、その他の部分は比較例1のフィルムと同様に、フィルムとガラスの間でポリビニルアルコール樹脂が施工時に除去しきれず残った洗剤希釈液に溶解してしまっており、殆どガラスに接着していなかったのみならず、フィルムの下端には洗剤希釈液に溶解したポリビニルアルコール樹脂溶液が乾燥せずに溜まっていた。
【0062】
本実施例においては、低吸水性フィルムとして、加工適正とコストに優れる二軸延伸ポリプロピレンフィルム、未延伸ポリプロピレンフィルム及び、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた例を記載したが、低吸水性フィルムとして、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルムを用いて、実施例と同様のサンプルを作製した際にもほぼ同様の効果が得られた。
【符号の説明】
【0063】
1: ガラス窓貼付用フィルム
2: ポリビニルアルコール樹脂層
3: 低吸水性フィルム層
4: 機能性フィルム
5: 貫通孔
6: ガラス
7: 貫通孔を囲むリング状に連続した膜厚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともガラス窓貼付面となるポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層を有する積層体において、全面に貫通孔が設けられ、前記積層体の前記貫通孔との境界部が前記貫通孔を囲むリング状に連続した膜厚部を形成していることを特徴とするガラス窓貼付用フィルム。
【請求項2】
少なくともガラス窓貼付面となるポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層を有する前記積層体の全面に熱針方式の穿孔による貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載のガラス窓貼付用フィルム。
【請求項3】
少なくともガラス窓貼付面となるポリビニルアルコール樹脂層と低吸水性フィルム層を有する積層体のポリビニルアルコール樹脂ではない面にさらに機能性フィルムが貼り合わされ、かつ、機能性フィルム貼り合わせ後に前記貫通孔が設けられていることを特徴とする、請求項1または、請求項2に記載のガラス窓貼付用フィルム。
【請求項4】
前記低吸水性フィルム層を形成する低吸水性フィルムが、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、または、二軸延伸ポリエチレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3のいずれかに記載のガラス窓貼付用フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−107346(P2013−107346A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255551(P2011−255551)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】