説明

ガラス繊維を有するガス発生組成物

組成物および方法は、膨張式拘束システムにおいて使用されるガス発生剤に関する。ガス発生剤粒状物は、少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤を有する燃料混合物を含み、これは燃焼中に圧力感受性の影響を受けやすい燃焼率を有する。ガス発生剤組成物は、圧力感受性を低下させるため、および/またはガス発生剤の燃焼安定性を増大させるために、その中に分散された複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子をさらに含む。このようなガス発生剤は、噴霧乾燥技術により形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、主に膨張式拘束システムに関し、より具体的には、そのようなシステムで使用するためのガラス繊維を含む火工ガス発生組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本章の記述は、本開示に関する背景情報を提供するものであり、先行技術を構成するものではない。
【0003】
受動型膨張式拘束システムは、自動車などの様々な用途において使用されている。特定のタイプの受動型膨張式拘束システムは、たとえばエアバッグクッションを膨張させるため(たとえばガス開始剤および/またはインフレータ)あるいはシートベルトテンショナを作動させるために(たとえばマイクロガス発生器)、火工ガス発生剤を使用することによって乗員の負傷を最小限に抑える。自動車用エアバッグインフレータの性能および安全要件は、乗客の安全性を強化するために、増加し続けている。
【0004】
ガス発生剤および開始剤の材料選定は、他の配慮の中でもとりわけ現在の業界性能仕様、指針、および規格に準拠すること、安全なガスおよび排出物を発生すること、材料の継続的な安定性、ならびに製造における費用効率を含む、様々な要因を解決することを伴う。さらに、火工ガス発生剤組成物は、取り扱い、保存、および廃棄の間、安全でなければならない。
【0005】
インフレータガス発生剤設計における重要な変数は、ガス発生量に対するガス発生剤効率の改善、観察される燃焼率によって決定される相対的速さ、および費用を含む。通常、ガス発生剤組成物の燃焼率は、
=k(P)
で表されることが可能であり、ここでrは燃焼率(線形)、kは定数、Pは圧力、およびnは圧力指数であり、圧力指数は、圧力(P)に対する線形燃焼率(r)の対数−対数グラフを通って引かれる線形回帰線の勾配である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガス発生剤材料の性能の重要な態様の1つは、その燃焼率圧力感受性によって反映される燃焼安定性であり、これは圧力指数、または圧力(P)に対する燃焼率(r)の対数−対数グラフの線形回帰線の勾配に関連する。対応する材料または製剤が異なる圧力条件下で反応するときなど、より高い燃焼率圧力感受性を呈するガス発生剤材料は、潜在的に望ましくない性能ばらつきをもたらす可能性があるので、一般的にはより低下または低減された燃焼率圧力感受性を呈するガス発生剤材料を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
様々な態様において、本開示は、ガス発生剤を作る方法、およびそれによって製造される組成物を提供する。特定の態様において、ガス発生剤組成物は、少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤を含む。少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤を含むガス発生剤組成物は、燃焼中に(いかなる圧力感受性調整ガラス繊維粒子も不存在の下で)圧力感受性の影響を受けやすい燃焼率を有する。本教示によれば、ガス発生剤組成物は複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子をさらに含み、これは随意的に、二酸化ケイ素、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノホウケイ酸カルシウム、およびそれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む。特定の態様において、複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子はアルミノホウケイ酸カルシウムガラス繊維を含み、これらは通常、「E」ガラス・ミルド・ファイバと称される。このように、複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子がガス発生剤組成物に含まれるとき、ガス発生剤は燃焼中に、比較用ガス発生剤(少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤を含むが、複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子がない)と比較して、低減された圧力感受性および/または増大した燃焼安定性を有する。特定の態様において、ガス発生剤は、圧力感受性調整ガラス繊維粒子について約0.6以下の線形燃焼率圧力指数を有する。
【0008】
別の態様において、ガス発生剤粒状物は、少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤を含む混合物を含む。このようなガス発生剤粒状物は、燃焼中に圧力感受性の影響を受けやすい燃焼率を有する混合物を含む。特定の変形例において、酸化剤は、一次酸化剤および過塩素酸塩含有化合物を含む二次酸化剤を含む。ガス発生剤粒状物は、重量で約1%以上約10%未満の割合で燃料混合物内に分布する複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子を含み、複数の圧力感受性調整ガラス繊維は燃焼中に燃料混合物の圧力感受性を減少し、ガス発生剤組成物が約0.6以下の線形燃焼率圧力指数を有するようになっている。特定の態様において、このような燃料混合物は、硝酸グアニジン;塩基性硝酸銅を含む一次酸化剤;および過塩素酸アルカリ金属塩、過塩素酸アンモニウム、およびこれらの組合せから選択される二次酸化剤を含むことができる。
【0009】
さらに別の態様において、本開示はガス発生剤における燃焼率圧力感受性を低下させる方法を提供し、この方法は、ガス発生剤を形成するために少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤を含む混合物に複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子を導入するステップを含む。特定の態様において、ガス発生剤は、燃焼中および圧力感受性調整ガラス繊維の導入後に圧力感受性の影響を受けやすい燃焼率を有し、ガス発生剤圧力感受性が減少し、および/または燃焼安定性が強化される。特定の態様において、ガス発生剤組成物は、燃焼中に約0.6以下の線形燃焼率圧力指数を有する。
【0010】
さらなる適用性の領域は、本明細書に提供される記載より明らかになるだろう。説明および具体例が、説明目的のみを意図しており、本開示の範囲を限定するように意図していないことは、理解されるべきである。
【0011】
本開示は、詳細な説明および以下の添付図面より、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】膨張式エアバッグ拘束装置用のインフレータを含む例示的な助手席側エアバッグモジュールの部分断面図である。
【図2】燃焼中の圧力感受性を呈する従来技術によるガス発生剤組成物のインフレータの比較用ガス発生剤性能(時間対圧力)、および圧力感受性調整ガラス繊維粒子を有する本開示によって調製されたガス発生剤材料の燃焼性能を反映するグラフである。
【図3】例示的な噴霧乾燥工程の簡略図である。
【図4】圧力感受性調整ガラス繊維粒子を含まないガス発生剤材料の燃焼プロファイル(圧力(P)の対数に対する燃焼率(r)の対数)である。
【図5】1重量%の圧力感受性調整ガラス繊維粒子を有するガス発生剤材料の燃焼プロファイル(圧力(P)の対数に対する燃焼率(r)の対数)である。
【図6】3重量%の圧力感受性調整ガラス繊維粒子を有するガス発生剤材料の燃焼プロファイル(圧力(P)の対数に対する燃焼率(r)の対数)である。
【図7】5重量%の圧力感受性調整ガラス繊維粒子を有するガス発生剤材料の燃焼プロファイル(圧力(P)の対数に対する燃焼率(r)の対数)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、ガス発生剤組成物、およびそのようなガス発生剤組成物を作る方法を対象とする。ガス発生剤は、点火材料、推進剤、ガス発生材料、および火工材料とも称されるが、これらは図1の客室用インフレータアセンブリ32およびエアバッグ36を収納するための被覆コンパートメント34を含む簡素化された例示的エアバッグモジュール30などのエアバッグモジュールのインフレータとして使用される。ガス発生剤材料50は燃焼して、膨張を提供するためにエアバッグ36に向けられるガス生成物の大部分を生成する。このような装置は、急な減速および/または衝突が検知されたときに電気的に点火される導火線または開始剤40を使用する場合が多い。導火線40からの放出は、通常は、急速かつ放熱的に燃焼してガス発生剤材料50に点火する点火材料42に点火する。
【0014】
ガス発生剤50は、固体粒状物、ペレット、タブレットなどの形状を取ることができる。ガス発生剤50の中に存在する不純物およびその他の物質は、追加ガス、エアロゾル、および微粒子を含む、燃焼反応中の様々なその他の化合物の形成を促進する。しばしば燃焼中に、ガス発生剤50の付近で、スラグまたはクリンカが形成される。スラグ/クリンカは、しばしば様々な微粒子およびその他の化合物を隔離するのに役立つ。しかし、ガスに同伴された微粒子を除去してエアバッグ36への侵入に先立ってガスの気体温度を減少するために、ガス発生剤50とエアバッグ36との間に、フィルタ52が随意的に設けられる。乗り物の乗客はこれらの物質に曝露される可能性があるので、排出物とも称される、ガス発生剤50によって発生したガスの成分の質および毒性は重要である。排出物中の有害となる可能性のある化合物の濃度を最小化することが望ましい。
【0015】
様々な異なるガス発生剤組成物(たとえば50)が、自動車乗員膨張式拘束システムに使用される。ガス発生剤材料の選定は、他の配慮の中でもとりわけ現在の業界性能仕様、指針、および規格に準拠すること、安全なガスまたは排出物を発生すること、ガス発生剤材料の取り扱い安全性、材料の継続的な安定性、および製造における費用効率を含む、様々な要因を伴う。ガス発生剤組成物は、取り扱い、保存、および廃棄の間、安全であることが好ましく、これらは好ましくはアジドを含まない。
【0016】
様々な態様において、ガス発生剤は、通常は少なくとも1つの燃料成分および少なくとも1つの酸化剤成分を含み、ガス状反応生成物(たとえばCO、HO、およびN)を形成するために一度点火されて高速燃焼した、その他の微量の含有物を含んでもよい。1つ以上の化合物が高速燃焼されて熱およびガス状生成物を形成する;たとえば、ガス発生剤が燃焼して、膨張式拘束装置のための加熱膨張ガスを生成するか、またはピストンを作動する。特定の態様において、ガス発生剤は、少なくとも1つの燃料成分を有する酸化還元対を含む。ガス発生組成物は1つ以上の酸化成分も含み、酸化成分はガス生成物を発生するために燃料成分と反応する。
【0017】
本開示の様々な態様によれば、ガス発生剤生産の全体的な費用を削減しながら、膨張式拘束装置における優れた性能特性をもたらす、望ましい組成を有するガス発生剤が提供される。特定の態様において、ガス発生剤組成物の選定は、ガス発生剤性能のための様々な望ましい基準を満たしてもよい;しかしながら、燃焼中に圧力感受性の影響を受けやすい線形燃焼率を有するなど、燃焼不安定性に悩まされるかも知れない。燃焼中に圧力感受性を呈するガス発生剤は、可変であって潜在的に予測不可能な燃焼性能および潜在的に過剰な排出物種を含む、様々な潜在的有害条件を引き起こす圧力条件の変化に応じて、燃焼中に可変または変動する燃焼率を有してもよい。場合によっては、このようなガス発生剤は消滅して潜在的に再燃し、望ましくない効果を増幅するかも知れない。相対的に圧力とは無関係(たとえば圧力無反応)な燃焼率を含む、燃焼中に相対的に一定の性能を有するガス発生剤組成物を採用することが、望ましい。
【0018】
様々な態様において、本開示のガス発生剤は、少なくとも1つの燃料、および燃焼中に望ましくない圧力感受性に悩まされる燃焼率を呈する少なくとも1つの酸化剤を含む、火工混合物を含む。全てのガス発生剤がある程度の圧力感受性を示す一方で、不都合なまたは望ましくない圧力感受性が燃焼不安定性に影響を及ぼす可能性がある。本明細書において、「圧力感受性」とは、燃焼変動性および不安定性をもたらすガス発生剤の望ましくない圧力感受性に言及すると考えられる。例として、低動作圧力(たとえば1,000psi未満)での圧力感受性の増大は、望ましくない燃焼不安定性を招くかも知れない。圧力感受性を最小限に抑えるために、たとえば1,000psi(約6.9MPa)から約5,000psi(約34.5MPa)など、ガスインフレータの典型的な動作圧力の範囲にわたって相対的に一定の勾配(圧力(P)に対する燃焼率(r)の対数−対数グラフを通って引かれる線形回帰線の勾配)を呈する線形燃焼率を有するガス発生剤材料を有することが、望ましい。様々な態様において、燃焼安定性性能を強化した、特に膨張装置において使用されるガス発生剤材料の燃焼率圧力感受性が低減された、ガス発生剤組成物が提供される。
【0019】
特定の態様において、許容可能な圧力感受性を有するガス発生剤材料は、約0.60以下、随意的に約0.50以下の線形燃焼率勾配を有する。約0.60以下、随意的に約0.50以下の燃焼率勾配を有する材料は、高温から低温への性能変化要件を満たし、インフレータの性能変動性および圧力要件も減少させることができる。このため、様々な態様において、ガス発生剤材料がインフレータ作用の圧力範囲にわたって一定の勾配を有することが望ましく、これは通常は約1,000psiから約5,000psiであり、望ましくは約0.60以下の一定の勾配を有する。この点について、本開示のガス発生剤は、以下により詳細に論じされるように、たとえば低減された線形燃焼率圧力感受性(すなわち比較的低い圧力指数(n)または圧力(P)に対する燃焼率(r)の対数−対数グラフを通って引かれた線形回帰線の勾配)、より高い線形燃焼率(すなわち燃焼反応率)、より高いガス発生量(発生剤のモル/質量)、より高い実現質量密度、より高い理論密度、より高い充填密度、またはその燃焼を有することによって、改善された圧力感受性(すなわち低減された圧力感受性)および強化された燃焼性能を有する。
【0020】
本開示によれば、様々なガス発生剤組成物は、燃焼中に圧力感受性に悩まされる燃焼率を呈する。このようなガス発生剤は、ガラス繊維粒子(たとえば複数のガラス繊維粒子)を含み、望ましくはこれが、同じ組成を有しながら圧力感受性減少ガラス繊維粒子を欠いている比較用ガス発生剤組成物と比較して、燃料率圧力感受性を減少(たとえば減少、縮小、または最小化)させる。本開示による圧力感受性減少成分としての使用に適した例示的なガラス繊維は、非晶形の、二酸化ケイ素、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノホウケイ酸カルシウム、またはそれらの組合せを含むが、ただしこのようなガラス繊維は当業者にとって既知のその他の元素または化合物を含んでもよい。特に適切な圧力感受性調整ガラス繊維は、アルミノホウケイ酸カルシウムを含む。
【0021】
特定のアルミノホウケイ酸カルシウム含有ガラス繊維は、「E」ガラス・ミルド・ファイバとして知られている。典型的なEガラス組成は、二酸化ケイ素(SiO)約53.5重量%、酸化ホウ素(B)約8%、酸化アルミニウム(Al)約14.5%、酸化カルシウム(CaO)約21.7%、および酸化マグネシウム(MgO)約1.1%である。Eファイバと類似の、その他の市販のファイバは、一般的に同じ含有物を異なるパーセンテージで含有するA、B、C、およびDタイプのファイバであって、本ガス発生剤組成物における成分を調整する圧力感受性として使用されると考えられる。
【0022】
ガラスは、連続的、準連続的、またはブローンファイバを含む、繊維状に形成されることが可能である。繊維を形成する様々な方法は、溶融ガラスストリームが回転するかまたはオリフィス内を通過させられ、冷却されて連続繊維を形成する、紡糸、直接溶融、またはるつぼ法を含む。本開示による使用のためのガラス繊維は、従来の方法および機器を使用することによって形成され得る。たとえば、ガラス組成物は、回転、CAT、修正された回転法、フレームブローン法、および切断ストランドまたは連続フィラメントガラス繊維工程など、様々な従来のガラス繊維製造工程によって、繊維状に形成されることが可能である。さらに、ガラス繊維は、従来の切削機器において切削されてもよい。切削ガラス繊維は、本教示とともに使用されるのに、特に適している。例として、ガラス繊維はハンマーミルで切削されて様々な密度になることができ、このため特定の態様において、圧力感受性調整ガラス粒子繊維は、マイクロガラス・ミルド・ファイバなどの切削ガラス繊維を含む。したがって、このようなガラス繊維は、本教示によるガス発生剤組成物に含まれ、圧力に対して敏感な燃焼率プロファイルに反映される燃焼不安定性に悩む材料のため、驚くほど実証された優れた燃焼安定性および低減された燃焼率圧力感受性を有する。
【0023】
本明細書において、ガラス粒子繊維は、約10:1以上のアスペクト比(AR)を有する軸方向形状を有する。通常、円筒形(たとえば棒または繊維)のアスペクト比(AR)は、AR=L/Dとして定義され、ここでLは最長寸法の長さであって、Dは円筒または繊維の直径である。本開示における使用に適した例示的なガラス繊維粒子は通常、比較的高いアスペクト比を有し、随意的に約10:1から約50:1の範囲であって、例示によれば、特定の態様では約10:1から約20:1のアスペクト比を有する。特定の態様において、ガラス繊維の平均長(すなわち最長寸法)は、約3μm以上であり、随意的に約5μm以上であって、特定の態様では随意的に約10μm以上である。特定の態様において、本開示によって使用されるガラス繊維の寸法は、直径が約6から約13μmの範囲であって、長さが約3μmから約24mmの範囲である。さらに別の態様において、ガラス繊維の長さは約3μm以上であって、約600μm以下である。特定の態様において、ガラス繊維の平均直径は、約10μm以上であって、約50μm以下である。
【0024】
特に適切なガラス繊維の1つは、Fibertec Co.よりMicroglass Milled Fiber 9007D(商標)として市販されており、これは約10μmの平均直径、約150μmの長さ(したがってアスペクト比は約15:1)、およびハンマーミル切削後約0.525g/cmの平均密度を有する、マイクロガラス切削「Eガラス」繊維(CAS No.65997−17−3)である。
【0025】
本開示の様々な態様によれば、ガス発生剤組成物は、安定した燃焼プロファイルおよび低減された燃焼率圧力感受性を有する。特定の態様において、ガス発生剤は、複数のガラス繊維粒子とともに、少なくとも1つの窒素含有非アジド燃料、および塩基性硝酸銅などの少なくとも1つの酸化剤を含む、燃料物質を含む。特定の実施形態において、ガス発生剤組成物は随意的に少なくとも1つの過塩素酸塩含有酸化剤を含み、以下により詳細に論じられるように、これは思いがけずガス発生剤の動的特性および排出物挙動を強化する。さらに、特定の態様において、ガス発生剤は実質的に高分子結合剤を含まない。
【0026】
特定の態様において、ガス発生剤は、その対応部分が参照によって本願に組み込まれる、”Monolithic Gas Generant Grains”と題されるHusseyらの米国特許公開番号第2007/0296190号(米国シリアル番号第11/472,260号)に開示されるような、結合剤を実質的に含まないモノリシック粒状物などの、その中に含まれる物質の弾道燃焼プロファイルを最適化する、固有の形状に形成されてもよい。
【0027】
特定の態様において、ガス発生剤は、噴霧乾燥工程によって形成されるガス発生剤粉末から形成される。特定の態様において、少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤を含み、随意的に過塩素酸塩含有酸化剤を含む水性混合物は、噴霧乾燥されて粉末材料を形成する。特定の態様において、水性混合物は、様々なその他の任意の含有物も含む。特定の実施形態において、水性混合物は、その中に導入および混合された複数のガラス繊維粒子をさらに含み、水性混合物は噴霧乾燥されてガス発生剤粉末を生成する。粉末はその後圧縮されて、ガス発生剤の粒状物を形成する。
【0028】
別の実施形態において、水性混合物は、少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤、ならびに噴霧乾燥されて粉末材料を形成する別の任意の含有物を含有する混合物を含む。その後、粉末材料は複数のガラス繊維粒子および随意的に過塩素酸塩含有酸化剤と混合(たとえば乾式混合)される。粉末およびガラス繊維の混合物はその後圧縮されて、ガス発生剤の粒状物を形成する。
【0029】
様々な実施形態において、ガス発生剤組成物は、少なくとも1つの燃料を含む。好ましくは、燃料成分は窒素含有化合物であるが、アジドフリー化合物である。特定の態様において、好適な燃料は、テトラゾールおよびその塩(たとえばアミノテトラゾール、テトラゾールの無機塩)、ビテトラゾール(たとえばジアンモニウム5,5’−ビテトラゾール)、1,2,4−トリアゾール−5−オン、硝酸グアニジン、ニトログアニジン、硝酸アミノグアニジンなどを含む。これらの燃料は、その比較的低い燃焼率のため、一般的にガス発生剤燃料として分類され、所望の燃焼率およびガス生成を得るために、しばしば1つ以上の酸化剤と組み合わせられる。特定の実施形態において、ガス発生剤は、燃料成分として少なくとも硝酸グアニジンを含み、随意的にその他の適切な燃料も含んでもよい。
【0030】
特定の実施形態において、本開示のガス発生剤の適切な火工材料は、置換塩基性金属硝酸塩を含む。置換塩基性金属硝酸塩は、酸性有機化合物を塩基性金属硝酸塩と反応させることによって形成される反応生成物を含むことができる。適切な酸性有機化合物の例は、テトラゾール、イミダゾール、イミダゾリジノン、トリアゾール、ウラゾール、ウラシル、バルビツール酸、オロチン酸、クレアチニン、尿酸、ヒダントイン、ピラゾール、これらの誘導体および混合物を含むが、これらに限定されない。このような酸性有機化合物の例は、5−アミノテトラゾール、ビテトラゾール二水和物、およびニトロイミダゾールを含む。通常、適切な塩基性金属硝酸塩化合物は、塩基性金属硝酸塩、塩基性遷移金属硝酸塩ヒドロキシ複塩、塩基性遷移金属硝酸塩層状複水酸化物、およびそれらの混合物を含む。塩基性金属硝酸塩の適切な例は、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸鉄、塩基性硝酸マンガン、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。塩基性硝酸銅は、高酸素対金属比および燃焼時の良好なスラグ形成能力を有する。例として、適切なガス発生剤組成物は随意的に、約5から約60重量%(wt.%)の硝酸グアニジン共燃料および約5から約95wt.%の置換塩基性金属硝酸塩を含む。しかし、所望の燃焼率を有するガス発生剤およびガス発生量を提供することが可能な、関連技術において周知のまたは開発されるべきいずれの適切な燃料も、本開示の様々な実施形態において使用されると考えられる。
【0031】
当業者によって理解されるように、このような燃料成分は、共燃料または酸化剤など、ガス発生剤中の付加的な成分と組み合わせられてもよい。たとえば、特定の実施形態において、ガス発生剤組成物は、上述のように、置換塩基性金属硝酸塩燃料、および硝酸グアニジンのような、窒素含有共燃料または酸化剤を含む。本開示のガス発生剤に含まれるべき適切な燃焼率、密度、およびガス発生量を有するガス発生剤組成物の適切な例は、その対応部分が参照によって本願に組み込まれる、Mendenhallらの米国特許番号第6,958,101号に記載されるものを含む。本開示のガス発生剤組成物における、硝酸グアニジンなどの様々な共燃料の使用の望ましさは、通常は、燃焼率、費用、安定性(たとえば熱的安定性)、入手可能性、および互換性(たとえばその他の標準的または有用な火工組成物成分との互換性)などの要因の組合せに基づく。
【0032】
このように、本開示のガス発生剤組成物のための特定の適切な酸化剤は、非限定的な例によれば、アルカリ金属(たとえばLi、Na、K、Rb、および/またはCsを含む、IUPAC周期表の1属の元素)、アルカリ土類金属(たとえばBe、Ng、Ca、Sr、および/またはBaを含む、IUPAC周期表の2属の元素)、ならびに硝酸アンモニウム、亜硝酸塩、および過塩素酸塩;金属酸化物(Cu、Mo、Fe、Bi、La、などを含む);塩基性金属硝酸塩(たとえばMn、Fe、Co、Cu、および/またはZnを含む、IUPAC周期表の第4周期の遷移金属元素);硝酸アンモニウムの遷移金属錯体(たとえばIUPAC周期表の3〜12属から選択される元素);金属硝酸アミン、金属水酸化物、およびそれらの組合せを含む。燃焼時に効率的に燃料から高い燃焼率およびガス発生量を実現するガス発生剤を形成するために、燃料成分とともに1つ以上の共燃料/酸化剤が選択される。適切な酸化剤の非限定的な具体例の1つは、アンモニウムジニトラミドを含む。酸化剤が名目上は一次酸化剤、二次酸化剤などとして見なされてもよいように、ガス発生剤は酸化剤の組合せを含んでもよい。
【0033】
本開示の特定の変形例において、ガス発生剤組成物は、過塩素酸塩含有化合物を含む酸化剤、言い換えると過塩素酸基(ClO)を含む化合物を含む。このような過塩素酸塩酸化剤化合物は、通常は水溶性である。非限定的な例により、アルカリ、アルカリ土類、および過塩素酸アンモニウムは、ガス発生剤組成物において使用されると考えられる。特定の態様において、過塩素酸塩含有酸化剤は、過塩素酸アンモニウムおよび過塩素酸アルカリ金属塩から選択される。このため、特に適切な過塩素酸塩酸化剤化合物は、過塩素酸アンモニウム(NHClO)、過塩素酸ナトリウム(NaClO)、過塩素酸カリウム(KClO)、過塩素酸リチウム(LiClO)、およびそれらの組合せを含む。特定の態様において、酸化剤は、硝酸カリウム(KNO)、硝酸ストロンチウム(Sr(NO)、硝酸ナトリウム(NaNO)、過塩素酸アンモニウム(NHClO)、過塩素酸ナトリウム(NaClO)、過塩素酸カリウム(KClO)、過塩素酸リチウム(LiClO)、過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO)、およびそれらの組合せを含む酸化剤化合物から選択される。
【0034】
酸化剤は、ガス発生組成物の約60重量%以下;随意的に約50重量%以下;随意的に約40重量%以下;随意的に約30重量%以下;随意的に約25重量%以下;随意的に約20重量%以下;および特定の態様においてはガス発生剤組成物の約15重量%以下の量で、ガス発生剤組成物中にそれぞれ存在してもよい。酸化剤が過塩素酸塩酸化剤である、特定の態様において、これはガス発生剤中に約25重量%未満存在する。例として、過塩素酸塩含有酸化剤は、特定の実施形態において、ガス発生剤の約1から約20重量%;随意的に約2から15重量%;随意的に約3から約10重量%存在する。
【0035】
特定の実施形態において、ガス発生剤は、ガス発生剤組成物を形成するために一次酸化剤および二次酸化剤を含む、酸化剤の組合せと混合された少なくとも1つの燃料成分を含む。特定の変形例において、ガス発生剤組成物は、ガス発生剤組成物を形成するために、塩基性硝酸銅または硝酸アンモニウムなどの一次酸化剤、および硝酸カリウムなどの二次酸化剤を含む酸化剤の組合せと混合された、硝酸グアニジンまたはジアンモニウム5,5’−ビテトラゾール(DABT)などの少なくとも1つの燃料成分を含む。さらに別の態様において、燃料は、一次酸化剤および過塩素酸塩含有酸化剤を含む二次酸化剤を含む、酸化剤の組合せと混合された少なくとも1つの燃料成分を含むガス発生剤を含む。例として、燃料は、ガス発生剤組成物を形成するために、硝酸グアニジン、塩基性硝酸銅を含む一次酸化剤、および過塩素酸カリウムを含む二次酸化剤を含んでもよい。
【0036】
本教示によれば、ガス発生剤組成物は、ガス発生剤の燃料混合物全体に分散された複数の圧力感受性調整ガラス繊維を含む。特定の態様において、複数の遷移が、ガス発生剤粒状物に、実質的に均一に混合および分散される。ガス発生剤組成物は随意的に、約0以上約10wt.%以下のガラス繊維;随意的に約1以上約5wt.%以下のガラス繊維;随意的に約2以上約4wt.%以下のガラス繊維;および特定の態様において、随意的に約2.5以上約3wt.%以下のガラス繊維を含む。
【0037】
特定の態様において、適切なガス発生剤組成物は、ガス発生剤組成物全体の約40から約60wt.%存在する燃料成分;ガス発生剤組成物全体の約25から約60wt.%存在する一次酸化剤;およびガス発生剤組成物全体の約1から約20wt.%存在する二次酸化剤を含む。ガス発生剤組成物は、燃料混合物に加えて、ガス発生剤組成物の約1重量%以上約10重量%未満存在する複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子をさらに含む。さらに別の態様において、ガス発生剤は、約5重量%以下のスラグ促進剤および約5重量%以下の潤滑または圧迫解放剤など、それぞれ約5重量%以下のその他の含有物を含む。
【0038】
特定の態様において、ガス発生剤組成物は、約24wt.%の5−アミノテトラゾール燃料、約65から約66wt.%の硝酸アンモニウム、約6から約7wt.%の硝酸カリウム、および約3wt.%のガラス繊維を含む。特定の態様において、このようなガラス繊維は、アルミノホウケイ酸カルシウムを含む、切削された「E」タイプのガラス繊維である。さらに別の実施形態において、ガス発生剤組成物は、約21から約22wt.%のジアンモニウム5,5’−ビテトラゾール(DABT)燃料、約67wt.%の硝酸アンモニウム、および約5wt.%のガラス繊維(SiO)を含む。
【0039】
ガス発生剤に適切なその他の添加剤はガス発生剤組成物に含まれ得る、スラグ形成剤、流動補助剤、粘度調整剤、加圧補助剤、分散補助剤、または粘化剤を含む。ガス発生剤組成物は、たとえば酸化アルミニウムおよび/または溶融二酸化ケイ素のような非繊維ベースの二酸化ケイ素など、耐火性化合物などのスラグ形成剤を随意的に含む。とりわけ、従来のスラグ形成二酸化ケイ素粒子および/または粉末は、以下により詳細に論じられるように、本教示のガラス繊維のように、燃焼安定性に影響を与えず、圧力感受性の調整ももたらさない。その他の適切な粘度調整化合物/スラグ形成剤は、酸化セリウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ビスマス、酸化モリブデン、酸化ランタンなどを含む。通常、このようなスラグ形成剤は、ガス発生剤組成物の0から約10wt.%、随意的に約0.5から約5wt.%の量だけ、ガス発生剤組成物に含まれてもよい。
【0040】
塩基性炭酸銅またはその他の適切な炭酸塩など、気体温度を低下させる冷却剤が、0から約20wt.%だけガス発生剤組成物に添加されてもよい。同様に、圧縮処理中に使用するための加圧補助剤は、非限定的な例として、黒鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛・窒化ホウ素などの潤滑剤および/または解放剤を含み、打錠または加圧に先立って添加されてもよく、0から約2%だけガス発生剤中に存在することができる。特定の態様においてはガス発生剤組成物が高分子結合剤を実質的に含まないことが好ましいが、特定の代替態様においては、ガス発生剤組成物は、粉砕力を改善するために低レベルの特定の受容可能な結合剤または賦形剤を随意的に含み、その一方で排出物および燃焼特性に著しく悪影響を与えることはない。このような賦形剤は、例として、微結晶性セルロース、でんぷん、カルボキシアルキルセルロース、たとえばカルボキシメチルセルロース(CMC)、を含む。存在する場合には、このような賦形剤は、10wt.%未満、随意的に約5wt.%未満、および随意的に約2.5wt.%以下だけ、ガス発生剤組成物に含まれることが可能である。
【0041】
これに加えて、ガラス繊維の他に、燃焼率勾配の圧力感受性を調整することによって火工燃料剤の燃焼プロファイルを調整させるために、その他の含有物が添加されることが可能である。したがって、ガス発生剤は、ガラス繊維およびその他の異なる圧力感受性調整剤を含む、複数の圧力感受性調整剤を含んでもよい。その一例は、その全体が参照によって本願に組み込まれる、Mendenhallらの”Gas Generation with Copper Complexed Imidazole and Derivatives”と題される米国特許公開番号第2007/0240797号(米国特許出願シリアル番号第11/385,376号)に、その他の類似の添加剤とともにより詳細に記載されている、銅ビス−4−ニトロイミダゾールである。複数のガラス繊維を含む、圧力感受性調整剤の総量は、0から約10wt.%だけ、現在のガス発生剤組成物中に存在することができる。火工ガス発生剤組成物向けの、周知または今後開発されるその他の添加剤も同様に、ガス発生剤組成物の所望の燃焼プロファイル特性を不等に損なわない限り、本開示の様々な実施形態において使用されると考えられる。
【0042】
特定の態様において、ガス発生剤は、約30から約70重量部、より好ましくは約40から約60重量部の少なくとも1つの燃料(たとえば硝酸グアニジン)、約25から約80重量部の酸化剤(たとえば、塩基性硝酸銅および過塩素酸カリウムなどの一次および二次酸化剤)、二酸化ケイ素、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノホウケイ酸カルシウム、およびそれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含むガラス繊維を含む、0から約10重量部の圧力感受性調整剤、および随意的に約0から約5重量部の、溶融シリカ(SiO)またはその同等物のようなスラグ形成剤、および0から1重量部の加圧補助剤または解放補助剤または潤滑剤を含んでもよい。
【0043】
より高い燃焼安定性を含む、ガス発生剤性能の著しい改善は、圧力感受性調整ガラス繊維剤がガス発生剤組成物に含まれるときに、本教示によって実現される。さらに、このようなガラス繊維は、噴霧乾燥の前または最中に、または代替態様においては乾式混合または混合を通じてガス発生剤粉末が形成された後に、ガス発生剤に導入されてもよい。
【0044】
ガス発生剤組成物は、実質的に溶解または懸濁される水性媒体に添加される1つ以上の燃料成分の水性分散液から形成されてもよい。酸化剤成分は、溶液中に溶解されるかまたは固体粒子の安定した分散液として随意的に存在する燃料溶液中で、分散されるかまたは安定化される。溶液または分散液は、スラリの形態であってもよい。水性分散液またはスラリは、液滴のストリームを形成するために、噴霧ノズル中に混合物を通過させることによって、噴霧乾燥される。以下により詳細に記載されるように、液滴は熱風に接触し、液滴から水分およびその他のいかなる溶媒も効果的に除去し、続いてガス発生剤組成物の固体粒子を生じる。
【0045】
水性分散液を形成する成分の混合物はスラリの形態を取ってもよく、スラリは、液体媒体またはキャリア中に懸濁された、微細(比較的小さい粒径)で実質的に不溶性の粒子固体の、流動性またはポンピング可能な混合物である。圧力感受性調整ガラス繊維のような、キャリア中に懸濁された固体物質の混合物も、考えられる。いくつかの実施形態において、上記で先に論じられたように、スラリは約500μm未満、随意的に約200μm以下、および場合によっては約100μm以下の平均最大粒径を有する粒子またはガラス繊維を含む。過塩素酸塩含有酸化剤が酸化剤として選択される、特定の実施形態において、これは約200μm以下、随意的に約150μm以下、および特定の態様においては約100μm以下の平均粒径を有する。ガス発生剤組成物中の過塩素酸塩の粒径がガス発生剤の性能にとって重要な状況においては、ほとんどの過塩素酸塩がある程度の水溶性を有するため、所望の粒径で噴霧乾燥工程の後に乾式混合されることが可能である。このため、スラリは、キャリア中に、流動性および/またはポンピング可能な懸濁固形物およびその他の物質を含有する。
【0046】
適切なキャリアは、通常は水である、水性溶液を含む;しかしキャリアは、1つ以上の有機溶媒またはアルコールも含有してもよい。いくつかの実施形態において、キャリアは共沸混合物を含んでもよく、これは、特定の温度および圧力で一定の化学量論比で望ましく蒸発する水および特定のアルコールなど、2つ以上の液体の混合物を指す。キャリアは、有害反応を回避して、さらにスラリを形成するいくつかの成分の可溶性を最大化するために、燃料および酸化剤成分との互換性のために選択されるべきである。適切なキャリアの非限定的な例は、水、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、およびそれらの組合せを含む。
【0047】
スラリの粘度は、噴霧乾燥工程中に注入またはポンプ送達されることが可能なようになっている。いくつかの実施形態において、たとえば水および/または溶媒含有量を最小化するために粘度は比較的高く維持され、そのため噴霧乾燥中のキャリア除去にはより少ないエネルギーが必要とされる。しかし、高圧噴霧乾燥のためにより多いポンプ流量を促進するため、粘度が減少されてもよい。このような調整は、噴霧化ならびに所望の噴霧乾燥液滴および粒径を選択および調整する際に、なされてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、スラリは約15重量%以上の含水量を有し、約20wt.%以上、随意的に約30wt.%以上、または随意的に約40wt.%以上であってもよい。いくつかの実施形態において、スラリの含水量は、約15重量%から85重量%の範囲である。含水量が増加するにつれて、スラリの粘度が減少し、このためポンピングおよび取り扱いが容易になる。いくつかの実施形態において、スラリは約50,000から250,000センチポアズの範囲の粘度を有する。このような粘度は、印加された圧力の下でスラリを流させるが、スラリを安定状態のままにもする、適切なレオロジー特性を提供するために望ましいと考えられている。
【0049】
特定の実施形態において、ガラス繊維を含む複数の圧力感受性調整剤は、本教示にしたがって、水性ガス発生剤分散液に混合される。さらに、いくつかの実施形態において、溶融シリカ粒子のような、ある量の非繊維シリカ(SiO)が水性分散液に含まれ、これは酸化剤成分を形成するスラグの役割を果たすことができるが、分散液を濃縮して、バルク分散液および液滴中の固体酸化剤粒子およびガラス繊維の移動を減少または防止するのにも役立つことが可能である。非繊維シリカは、ガス発生剤の点火時に発生されるガスから容易に除去されるガラス状スラグを形成するために、酸化還元反応中に酸化剤と反応することも可能である。非繊維シリカは、好ましくは超微粒子形状である。特定の実施形態において、非繊維シリカの好適な等級は、約7nmから約20nmの平均粒径を有するものを含むが、ただし特定の態様においては、約50μm以下の平均粒径を有するシリカも採用されてもよい。
【0050】
水性分散液を形成する場合の特定の態様において、組成物は、十分な水性溶液と混合されて、実質的に全ての燃料成分を噴霧温度で溶解する;しかし、特定の態様においては、噴霧乾燥工程において蒸発されるべき水分量を最小化するために、水分量を都合のよい最小値に制限することが望ましい。たとえば、分散液は、約30から約45重量部の燃料成分に対して約100重量部以下の水を有してもよい。
【0051】
酸化剤成分は、分散液を形成するために、勢いよくかくはんすることによって燃料溶液中に均一に分散してもよく、ここで酸化剤の粒子は、安定した分散液を形成するために十分に分離される。不水溶性酸化剤の場合、完全にまたはほぼ完全に分散した状態に達すると、粘度は最小値に到達する。特定の態様において、過塩素酸塩のような酸化剤は、約200μm以下の平均粒径を有する。特定の実施形態において、圧力感受性調整剤ガラス繊維もまた分散液中に均一に混合される。酸化剤粒子および任意の圧力感受性調整剤ガラス繊維の効率的な分散を実現するために、高せん断ミキサが使用されてもよい。混合物中の固体粒子および繊維のいかなる実質的な移動(すなわち降下または沈降)も防止するために、分散液の粘度は十分に高くすべきである。
【0052】
粒子を形成して材料を乾燥させるために、噴霧乾燥工程が使用される。これは、ガス発生剤を作るために酸化還元対成分の液体原料を使用する、粉末、粒状、または凝集粒子形状の乾燥固体の連続生産に適している。噴霧乾燥は、溶液、分散液、乳剤、スラリ、およびポンピング可能な懸濁液に適用可能である。乾燥最終製品を正確な品質基準および物理特性に合わせるために、噴霧乾燥パラメータの変動が使用されてもよい。これらの基準および特性は、粒径分布、残留水分含有量、かさ密度、および粒子形態を含む。
【0053】
噴霧乾燥は、たとえば酸化還元対成分の分散液を霧状の液滴に噴霧化することなど、水性混合物の噴霧化を含む。液滴はその後、乾燥室内で熱風と接触させられる。液滴からの水分の蒸発および乾燥粒子の形成は、制御された温度および気流条件の下で進行する。粉末は、乾燥室から連続的に排出されて、たとえばサイクロンまたはバグフィルタを使用して、排気ガスから回収されてもよい。全体の工程はほんの数秒しかかからないだろう。いくつかの実施形態において、分散液またはスラリは、噴霧化に先立って加熱される。
【0054】
噴霧乾燥装置は通常、分散液用の供給ポンプ、噴霧器、空気加熱器、空気分散器、乾燥室、および粉末回収用システム、排気浄化システム、およびプロセス制御システムを含む。機器、プロセス特性、および品質要件は、個別の仕様に基づいて調整されてもよい。噴霧化は、結果的な粉末仕様が合致するように、所望の液滴粒径分布を有する噴霧を形成することを含む。噴霧器は、液滴形成の様々な手法を採用してもよく、回転(ホイール)噴霧器および様々なタイプの噴霧ノズルを含む。たとえば、回転ノズルは遠心力エネルギーを使用する噴霧化を提供し、圧力ノズルは圧力エネルギーを使用する噴霧化を提供し、二流体ノズルは運動エネルギーを使用する噴霧化を提供する。乾燥機中の蒸発速度および製品温度を制御するために、噴霧液滴と乾燥空気との間の初期接触を制御するために、気流調整および構成(並流、対流、および/または混成流)が使用されてもよい。
【0055】
ガス発生剤成分の水性分散液は、直径約0.5mmから2.5mmの1つ以上のオリフィスを有するノズルを通じて液滴を圧力下に置くことによって、直径約40μmから約200μmの液滴を形成するために、噴霧ノズルを使用して噴霧化されてもよい。液滴は、約80℃から約250℃、好ましくは約80℃から約180℃の範囲の温度で液滴を熱風のストリームに落とし込むか、さもなければ接触させることによって、噴霧乾燥されてもよい。液滴を乾燥するのに必要とされる熱伝達を実現するために、空気ストリームの出口および入口温度は異なってもよい。先の事例的空気温度範囲は、それぞれ出口および入口温度の例をさらに示す。
【0056】
噴霧乾燥液滴から生成された粒子は、最も薄い寸法で約0.5μmから約5μm、および好ましくは約0.5μmから約1μmの一次結晶サイズを有する、ガス発生剤成分の超微細混晶の凝集対を含んでもよい。しかし、特定の実施形態において、不水溶性酸化剤成分は、非常に小さい粒径において獲得され、分散液を形成するために溶解した燃料成分の水性溶液に取り込まれることが可能であり、それによって水性溶媒に必要な含水量を減少させる。さらに、複数のガラス繊維は、たとえば噴霧乾燥工程において(たとえば噴霧乾燥機において)小粒(凝集体)を形成するなど、核形成部位の役割を果たす。
【0057】
したがって、ガス発生剤の乾燥粒子は、酸化剤との実質的に完全な反応に必要とされる範囲内の狭いサイズ分布を有する燃料結晶(たとえば硝酸グアニジン結晶)の実質的に円筒形の微孔性凝集体の形状を取ってもよい。たとえば、球状の微孔性凝集体は、直径約20μmから約100μmであってもよく、一次燃料結晶は、最も薄い寸法で約0.5μmから約5μmおよび通常は約0.5μmから約1μmである。通常、固体酸化剤の粒子および/またはガラス繊維は燃料結晶によって封入され、ここで酸化剤粒子および/またはガラス繊維は、燃料成分結晶のための結晶成長部位の役割を果たす。噴霧乾燥工程は、その後の処理作業において危険となり得る非常に細かい超微細塵を発生する。
【0058】
燃料(たとえば硝酸グアニジン)および一次酸化剤(たとえば塩基性硝酸銅)の混合物、および二次酸化剤(たとえば過塩素酸カリウム)、ならびに任意の複数のガラス繊維を噴霧乾燥することは、様々な噴霧乾燥技術および機器を使用して実現されてもよい。例示的な簡素化された噴霧乾燥システムが、図3に示される。スラリ源252は、ガス発生剤の個々の成分を含むスラリを収容し、これは混合室254に供給される。スラリは、熱風の対流ストリームに対向して高速で、1つ以上の噴霧化ノズル256を強制的に通される。スラリはこうして噴霧化され、水分が除去される。熱風は、空気源258を熱交換器260に供給することによって発生し、これは熱伝達ストリーム262も受ける。熱伝達ストリーム262は、1つ以上のヒータ264を通過してもよい。混合室254におけるスラリの噴霧化は、排出物ストリーム270に同伴される高速乾燥粉末を生成する。排出物ストリーム270は、バグハウスまたは電気集塵装置などの収集装置272を通過することができ、これが粉末/微粒子をガスから分離する。粉末274は、収集装置272から回収され、その後ペレット化、圧縮、あるいは膨張装置におけるガス発生剤としての使用に適した形状に形成されることが可能である。分離装置272からの排気ストリーム276は、洗浄機システム280など、必要に応じて1つ以上の下流の処理を随意的に通過することができる。
【0059】
本方法は、関連技術において周知の様々な噴霧乾燥機を採用してもよい。たとえば、適切な噴霧乾燥装置および付属機器は、Anhydro Inc.(イリノイ州オリンピアフィールズ)、BUCHI Corporation(デラウェア州ニューキャッスル)、Marriott Walker Corporation(ミシガン州バーミンガム)、Niro Inc.(メリーランド州コロンビア)、およびSpray Drying Systems, Inc.(メリーランド州エルダーズバーグ)によって製造されているものを含む。
【0060】
特定の態様において、粉末状または微粒子材料を形成するための適切な噴霧乾燥工程は、その関連する部分が参照によって本願に組み込まれる、二流体ノズル噴霧乾燥技術を記載した、Chanらの米国特許番号第5,756,930号に記載されたような工程を含む。単一オリフィス噴水ノズルによって生じた生成物は、通常は二流体ノズルから生じたものよりも実質的に大きい粒径を有し、さらなる処理を必要とすることなく、打錠(すなわち圧力下で加圧または圧縮すること)に特に適している。特定の態様において、後に打錠されることが可能な材料を製造するために、通常は噴霧乾燥の後にさらなるローラ圧縮および再粉砕を必要とする、二流体ノズルで生成された粉末と比較して、これは有利である。二流体ノズル噴霧乾燥および単一オリフィス噴水ノズルのいずれかが本開示による使用に適している一方で、特定の態様においては、単一オリフィス噴水ノズル噴霧乾燥工程で生成された材料を加圧することによって作られたガス発生剤粒状物が特に適しており、その点において、これらは圧縮、密度、および均一性において優れている。
【0061】
様々な態様において、本方法は、少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤を含む高燃焼率ガス発生剤組成物を生成するために使用されてもよい。たとえば、適切な非限定的ガス発生剤組成物は、硝酸グアニジン、5−アミノテトラゾール、および/またはジアンモニウム5,5’−ビテトラゾール(DABT)から選択される燃料、塩基性硝酸銅、硝酸アンモニウム、および/または硝酸カリウムから選択される一次酸化剤、ならびに過塩素酸カリウムおよび/または過塩素酸アンモニウムなどの二次過塩素酸塩含有酸化剤を含む。ガス組成物は、たとえば約1から約10wt.%のガラス繊維を含む。ガス発生剤組成物は、最大約5重量%の、非繊維二酸化ケイ素などのスラグ促進剤も含んでもよい。工程は、スラリを製造するために、まず硝酸グアニジンを完全に溶解し、次に塩基性硝酸銅および過塩素酸カリウムを水性混合物に添加することによって、この成分の水性混合物を形成することを含む。先に述べられたように、ガラス繊維は随意的に水性混合物に混合されて燃料混合物とともに噴霧乾燥されてもよく、またはガス発生剤粉末が形成された後に乾式混合されることが可能である。スラリは、自由に流れる粉末を製造するために、単一オリフィス噴水ノズルを用いて噴霧乾燥される。その結果得られる粉末は、膨張式拘束システムにおけるガス発生剤としての使用に適した粒状物を製造するために、加圧されてタブレット、円柱、またはその他の形状になる。単一オリフィス噴水ノズルからの材料を使用して結果的に得られるタブレットおよびペレットは通常、二流体ノズルからの材料を使用して製造されたタブレットおよびペレットと比較して、ガス発生剤粒状物またはペレットの空洞または欠けなどの物理的欠陥が少ない。
【0062】
この点に関して、上記で先に論じられたように、特定のガス発生剤材料は圧縮モノリシック粒状物型に形成されることが可能であり、これは最大理論密度の約90%以上の実密度を有することができる。本開示の特定の態様によれば、実密度は約93%以上、より好ましくは最大理論密度の約95%超、さらに好ましくは最大理論密度の約97%超である。いくつかの実施形態において、実密度はガス発生剤材料の最大理論密度の約98%を超える。ガス発生剤材料におけるこのように高い実際の質量密度は、上述の噴霧乾燥技術によってガス発生剤粒状物を形成する特定の方法において獲得され、ここで高圧縮力が、実質的に結合剤を含まないガス発生剤原料に印加される。
【0063】
本開示によれば、ガス発生剤材料は、乾燥粉末および/または微粉形状である。乾燥粉末は、約50,000psi(およそ350MPa)超、好ましくは約60,000psi(およそ400MPa)超、より好ましくは約65,000psi(およそ450MPa)超、および最も好ましくは約74,000psi(およそ500MPa)超の印加力で圧縮される。粉末材料はダイまたは金型に配置されることが可能であり、ここで印加力が材料を圧縮して所望の粒状物またはタブレット形状を形成する。
【0064】
さらに、ガス発生剤の充填密度が比較的高いことが好ましい;そうでなければ、与えられた範囲での低性能を招くかも知れない。充填密度は、発生剤材料の実際の体積をその形状で利用可能な総体積で割ったものである。本開示の様々な態様によれば、ガス発生剤形状の充填密度は、約60%以上、さらに好ましくは約62%以上であることが、好ましい。特定の態様において、ガス発生剤は、約62から約63%の充填密度を有する。
【0065】
上述のように、特定の態様において、たとえば噴霧乾燥によって、粉末が形成された後に、圧力感受性調整剤ガラス繊維がガス発生剤粉末に添加されることが可能である。加圧または圧縮に先立って、複数のガラス繊維が粉末と乾式混合または混合されてもよい。たとえばエアバッグなどの膨張式拘束具におけるガス発生充填で使用するために、乾燥粒子または粉末は、容易に加圧されてペレットまたは粒状物とされてもよい。加圧操作は、噴霧乾燥ガス発生剤粒子を、ある量の水、または非限定的な例によれば黒鉛粉末、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、および/または黒鉛窒化ホウ素などの、その他の加圧補助剤と混合することによって、促進されてもよい。水は、水および疎水性溶融シリコンの混合物の形態で提供されてもよく、これは高せん断ミキサを使用して粒子と混合されてもよい。組成物はその後加圧されて、ペレットまたは粒状物などの様々な形状とされてもよい。特定の実施形態において、適切なガス発生剤粒状物密度は、約1.8g/cm以上および約2.2g/cm以下である。
【0066】
いくつかの実施形態において、ガス発生剤を作る方法は、その後噴霧乾燥によって処理されるガス発生剤製剤を調製するために、混合タンクなどの処理容器を使用する。たとえば、処理容器には、水、硝酸グアニジン、ならびに塩基性硝酸銅および過塩素酸カリウムなどの酸化剤が充填されてもよく、これらは混合されて水性分散液を形成する。スラリの温度は、およそ1時間にわたって約80℃から約90℃で平衡化されてもよい。付加的な燃料成分、酸化剤成分、ガラス繊維、スラグ化補助剤などの添加剤および成分が、このときに反応混合物に添加されてもよい。結果的に生じる水性分散液はその後噴霧乾燥機にポンプ送達されて、乾燥粉末または微粒子状ガス発生剤生成物を形成する。混合、加圧、点火剤被覆などのさらなる処理ステップは、その後標準手順にしたがって実行されることが可能である。
【0067】
実施例1
実施例1ならびに比較例AおよびBは、下記の表1に示された構成物質を表示された量で混合することによって形成されたガス発生剤である。ガス発生剤は、乾燥重量に基づいて、およそ20グラムの材料のスラリを形成するために、適切な量の各含有物をおよそ50重量%の湯の中で混合することによって形成された。スラリはその後かくはんしながらおよそ80℃で乾燥され、粒状粉末を生成した。乾燥粒状粉末はその後加圧されて、それぞれ直径0.5インチ、長さおよそ0.5インチのいくつかのペレットになった。ペレットはその後、加圧された密封容器内で点火され、一端からの燃焼時間が測定された。この工程は、圧力に対する燃焼率のデータを生成するために、複数の圧力において繰り返された。
【0068】
比較例A、Bおよび実施例1の各々の発生剤混合物は互いに類似しており、それぞれ5−アミノテトラゾール燃料、ならびに硝酸アンモニウムの一次酸化剤および硝酸カリウムの二次酸化剤を含有する。比較例Aは、200m/gの平均表面積および125g/lのかさ密度を有する、CAB−O−SIL(登録商標)M−7DとしてCabot Corp.より市販されている、5wt.%の未処理非晶質溶融シリカ粒子を含有する。比較例Bは、約40μm未満の粒子の98%のサイズ分布および約800g/lの非圧縮かさ密度を有する、MIN−U−SIL(登録商標)40としてU.S. Silica Comp.より市販されている、3wt.%の粉砕結晶シリカ粒子を含有する。
【0069】
実施例1は、Fibertec 9007DとしてFibertec Co.より市販されている、約5wt.%の切削ガラス繊維を含有する。実施例1ならびに比較例AおよびBは、密度を求めるため、およびそれぞれのガス発生剤の燃焼データの特徴付けのために試験を受けるが、これは1平方インチあたり1,000ポンド(約6.9MPa)および3,000psi(約20.7MPa)での燃焼率を含む。
=k(P)
の燃焼率の燃焼率定数および勾配を求めるために、燃焼率プロファイルも特徴付けられ、ここでr=燃焼率(線形)、k=定数、P=圧力、およびn=圧力指数であって、圧力指数は圧力(P)に対する燃焼率(r)の対数−対数グラフを通って引かれる線形回帰線の勾配である。燃焼データからわかるように、それぞれ1,000および3,000psiでの燃焼率は、比較例AおよびBと比較すると、実施例1の方が高く、「n」圧力指数(圧力(P)に対する燃焼率(r)の対数−対数グラフの勾配)は著しく低い(それぞれ0.75および0.71に対して0.55)。また、燃焼率定数(k)は、比較例A(0.002)および例B(0.002)よりも実施例1(0.009)の方が望ましく高い。より低い圧力指数および増加した燃焼率定数は、ガス発生剤に圧力感受性調整ガラス繊維を導入することによる、類似の燃料混合物について改善された燃焼安定性および低減された圧力感受性を実証している。
【0070】
表1

【0071】
実施例2
実施例2ならびに比較例CおよびDは、下記の表2に示された化合物を表示された量で混合することによって形成されたガス発生剤であり、実施例1に記載されたのと同じ方法で形成および試験された。比較例C〜Dおよび実施例2の各々の燃料混合物は互いに類似しており、ジアンモニウム5,5’−ビテトラゾール(DABT)燃料、ならびに硝酸アンモニウムの一次酸化剤および硝酸カリウムの二次酸化剤を含有している。比較例Cは、5wt.%の溶融シリカ粒子CAB−O−SIL(登録商標)M−7Dを含有し、比較例Dは5wt.%の粉砕シリカ粒子MIN−U−SIL(登録商標)40を含有する。実施例2は、Fibertec 9007Dとして市販されている、約5wt.%の切削ガラス繊維を含有する。実施例2ならびに比較例CおよびDは、密度を求めるため、およびそれぞれのガス発生剤の燃焼データの特徴付けのために試験を受けるが、これは1平方インチあたり1,000ポンド(約6.9MPa)および3,000psi(約20.7MPa)での燃焼率を含む。
【0072】
燃焼データからわかるように、1,000および3,000psiでの燃焼率は、比較例C(1,000psiで0.17および3,000psiで0.39)および比較例D(1,000psiで0.17および3,000psiで0.47)と比較すると実施例2(1,000psiで0.34および3,000psiで0.67)の方が高く、「n」圧力指数(圧力(P)に対する燃焼率(r)の対数−対数グラフの勾配)は著しく低い(それぞれ0.73および0.92に対して0.62)。また、燃焼率定数(k)は、比較例C(0.001)および例D(0.003)よりも実施例2(0.005)の方が望ましく高い。著しく低い圧力指数および増加した燃焼率定数は、ガス発生剤へのガラス繊維の導入による、類似の燃料混合物について改善された燃焼安定性および低減された圧力感受性を実証している。
【0073】
表2

【0074】
実施例3
実施例3のガス発生剤は、下記の表3に示された化合物を表示された量で混合することによって形成され、これは加圧されて0.25インチ×0.080インチの寸法を有するタブレットとなり、標準インフレータに組み込まれた。比較例Eのガス発生剤もまた実施例3と同じ方法で加圧されてタブレット(0.25×0.080インチ)となり、同じタイプの標準インフレータに組み込まれた。
【0075】
表3

【0076】
インフレータは展開されて、性能、ガス排出物、および微粒子排出量が測定された。図2は、燃焼中の実施例3および比較例Eのガス発生剤性能を示す。60リットルのインフレータタンクにおいて得られた滑らかな圧力対時間曲線に基づいて観察されるように、実施例3の燃焼安定性は改善されている。比較例E(いかなるガラス繊維も欠けているが、実施例3のように溶融シリカを有する)は60リットルのタンクインフレータの中で展開され、燃焼曲線は約60および100ミリ秒の間で顕著な落ち込みを示し、これは望ましくない圧力感受性を示す。実施例3は、60から100ミリ秒の間隔の間に低減された圧力感受性を実証するのみならず(曲線は著しく滑らかである)、下記の表4に示されるように、ガス排出物および微粒子排出量も改善されている。
【0077】
表4は、圧力感受性調整ガラス繊維を有する実施例3のタブレットから発生した排出物と、同じガス発生剤組成物を有するがガラス繊維が欠けている、比較例Eの従来のガス発生剤タブレットとを比較する。米国自動車研究評議会(USCAR)は、エアバッグ装置における排出物構成物質の最大推奨レベルの指針を公表している。望ましくは、これらの排出物の発生は、これらの指針以下に抑えられる。運転席側膨張式拘束装置向けの特定の現行のUSCAR指針は、表4に含まれる。
【0078】
フーリエ変換赤外分析(FTIR)によって、ガス発生剤の燃焼中の平均排出物分析を示す時間加重平均(TWA)を明らかにするために、30分間試験が実行され、ガス発生剤に圧力感受性調整ガラス繊維が含まれるときに(実施例3)、NOおよびNOを含む酸化窒素種、ならびにアンモニウムおよび浮遊微粒子などが改善されることを示した。観察されるように、一酸化炭素、アンモニア、NOおよびNO、浮遊微粒子、ならびに平均周囲部分重量微量ガスレベル(排出物レベル)は、USCAR規格未満である。平均高温排出物は、80℃で発火するインフレータからのデータである。インフレータから逃れた微粒子の量は、通常は高温条件の方が多く、そのためこれは一般的に、より低温の周囲条件で予想される排出物産出量(より小さい規模を有する)を予測する。
【0079】
表4

【0080】
実施例4
実施例4〜6および比較例Fのガス発生剤は、以下の表5に示される化合物を混合することによって形成された。
【0081】
表5

【0082】
燃焼率(r)および平均圧力(P)を測定するために、実施例4〜6および比較例Fの各ガス発生剤が調製された。図5は実施例4のPに対するrの対数−対数グラフを示し、図6は実施例5のPに対するrの対数−対数グラフを示し、図7は実施例6のPに対するrの対数−対数グラフを示す;そして図4は、比較例FのPに対するrの対数−対数グラフである。図4からわかるように、比較例Fについて、初期勾配(n’)(初期燃焼率、たとえば約2.75未満の対数圧力の間)は、数式1の圧力指数(n)に関連する。図4において、n’は約0.6344である。特定の態様において、燃焼の初期および後期段階の間に圧力感受性を低下させることが望ましく、いわゆる「初期勾配」(n)における低減によって反映されるように、ここでほとんどの圧力感受性が一般的に観察される。その後の勾配(圧力の対数が約2.75よりも大きい、後の燃焼中)は、一般的に低くなる傾向があり、このためより小さい圧力感受性を呈するが、圧力感受性調整ガラス繊維の使用によって有効に低減されてもよい。図4において、その後の勾配(n’)は約0.4062である。表5および図4から7のそれぞれに見られるように、ガス発生剤に添加される圧力感受性調整ガラス繊維の量が増加すると、初期燃焼圧力および後の燃焼圧力の両方において、初期およびその後の圧力指数(n、n)の両方が減少する。
【0083】
具体的には、本開示の特定の態様によれば、たとえば1wt.%のガラス繊維をガス発生剤組成物に添加することによって約10%以上だけ、3wt.%のガラス繊維をガス発生剤組成物に添加することによって約20%以上だけ、および5wt.%のガラス繊維をガス発生剤組成物に添加することによって約27%だけなど、約5%を超えるだけ低圧力において圧力指数を減少することによって、圧力感受性調整ガラス繊維は燃焼を安定させる。
【0084】
数式1の圧力指数(n)によって反映されるように、圧力感受性は採用されるガス発生剤材料に応じて変化するが、その一方で通常は燃焼中に圧力感受性を示す材料は、約0.5以上の初期線形燃焼率圧力指数(n)を有し、随意的に約0.525以上、随意的に約0.55以上、随意的に約0.575以上、随意的に約0.6以上、随意的に約0.625以上、随意的に約0.65以上、随意的に0.675以上、および特定の態様においては約0.7以上であってもよい。さらに、本教示の特定の態様によれば、初期線形燃焼率圧力指数nは、約0.6以下まで減少し、随意的に約0.575以下まで減少、随意的に約0.55以下まで減少、随意的に約0.525以下まで減少、随意的に約0.5以下まで減少、随意的に約0.475以下まで減少、特定の態様においては約0.45以下まで減少してもよく、特定の態様においては随意的に約0.425以下、随意的に約0.4以下、および特定の態様においては随意的に約0.3以下であってもよい。特定の態様において、圧力感受性調整ガラス繊維は、燃焼率定数(k)を約0.005以上に増加し、随意的に約0.006以上に、随意的に約0.007以上に、随意的に約0.008以上に、および特定の態様においては随意的に約0.009以上に増加してもよい。
【0085】
様々な態様において、本開示はこのように、少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤を含むガス発生剤を提供し、ここで発生剤は、燃焼中に圧力感受性の影響を受けやすい燃焼率を有する。ガス発生剤は、燃料混合物中に分散された、二酸化ケイ素、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、および/またはアルミノホウケイ酸カルシウムを含む、複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子をさらに含む。特定の態様において、このようなガラス繊維粒子は、約1重量%以上および約10重量%未満だけ、ガス発生剤中に存在する。
【0086】
複数の圧力感受性調整ガラス繊維は、燃焼中の燃料混合物の圧力感受性を減少し、それによってガス発生剤組成物が約0.6以下の線形燃焼率圧力指数を有し、同指数は、随意的に約0.575以下まで減少、随意的に約0.55以下まで減少、随意的に約0.525以下まで減少、随意的に約0.5以下まで減少、随意的に約0.475以下まで減少、特定の態様においては約0.45以下まで減少させることができ、特定の態様においては随意的に約0.425以下、随意的に約0.4以下、および特定の態様においては約0.38以下となりうる。さらに別の態様において、線形燃焼率圧力指数は、燃焼中に圧力感受性の影響を受けやすい燃料混合物において、少なくとも約3%だけ減少し、随意的に約5%以上減少、随意的に約10%以上、随意的に約15%以上、随意的に約20%以上、随意的に約25%以上、特定の態様においては、約30%以上減少してもよい。
【0087】
特定の態様において、ガス発生剤材料に複数の圧力感受性調整ガラス繊維を包含することで混合物の圧力感受性を低減し、これは約50%以上の線形燃焼率定数(k)の増加によって反映される通りであり、随意的に約100%以上、随意的に約150%以上、随意的に約200%以上、随意的に約250%以上、随意的に約300%以上、随意的に約350%以上、および特定の態様においては約400%以上の増加であってもよい。
【0088】
特定の実施形態において、ガス発生剤組成物は、上記のような平均アスペクト比(AR)を有する複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子を含み、たとえば特定の態様において、ARは約10:1から50:1の範囲であってもよく、ガラス繊維粒子は約10μm以上および約200μm以下の平均長さを有してもよい。特定の態様において、複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子は切削ガラス繊維を含み、これは望ましくは様々なガス発生剤組成物の圧力感受性を低下させる。
【0089】
さらに別の態様において、本教示は、ガス発生剤において燃焼率圧力感受性を低下させる方法を提供する。方法は、ガス発生剤を形成するためにたとえばアルミノホウケイ酸カルシウムを含む複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子を、少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤を含む混合物に導入することを含む。特定の態様において、混合物は、燃焼中に圧力感受性の影響を受けやすい燃焼率を有し、圧力感受性調整ガラス繊維が導入された後は、ガス発生剤組成物は、約0.6以下の線形燃焼率圧力指数を有する。
【0090】
さらに別の態様において、方法は、粉末を生成するために、上記で先に述べられたように、少なくとも1つの燃料、少なくとも1つの酸化剤、および複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子を含む水性混合物を噴霧乾燥することをさらに含む。粉末は、ガス発生剤粒状物を生成するためにさらに加圧される。
【0091】
特定の態様において、別の方法は、噴霧乾燥粉末を生成するために、上記で先に述べられたように、少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤を含む水性混合物を噴霧乾燥することをさらに含む。圧力感受性調整ガラス繊維粒子は、噴霧乾燥粉末と混合(たとえば乾式混合または混合)される。粉末および圧力感受性調整ガラス繊維粒子はその後加圧されて、ガス発生剤粒状物を生成する。
【0092】
上記の実施例およびその他の実施形態は、この技術の組成物および方法の全範囲の記述について限定すると意図されるものではない。特定の実施形態、材料、組成物、および方法の同等の変更、修正、および変形例は、実質的に類似の結果を伴う本開示の範囲内でなされてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤、ならびに二酸化ケイ素、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノホウケイ酸カルシウム、およびそれらの組合せからなる群より選択される化合物を含む複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子を含むガス発生剤組成物であって、前記少なくとも1つの燃料および前記少なくとも1つの酸化剤を含むが上記複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子を含まない比較用ガス発生剤が、燃焼中に圧力感受性の影響を受けやすい燃焼率を有するのに対し、燃焼中の圧力感受性が低減し、および/または圧力安定性が増大しているガス発生剤組成物。
【請求項2】
ガス発生剤組成物が約0.6以下の線形燃焼率圧力指数を有する、請求項1に記載のガス発生剤組成物。
【請求項3】
前記複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子が、ガス発生剤組成物の約1重量%以上および約10重量%未満だけ存在する、請求項1に記載のガス発生剤組成物。
【請求項4】
前記燃料がガス発生剤組成物の総量の約40から約60重量%であって、前記少なくとも1つの酸化剤が一次酸化剤および二次酸化剤を含み、前記一次酸化剤がガス発生剤組成物の総量の約25から約60重量%であって、前記二次酸化剤がガス発生剤組成物の総量の約1から約20重量%である、請求項3に記載のガス発生剤組成物。
【請求項5】
ガス発生剤組成物の総量中約5重量%以下のスラグ促進剤、およびガス発生剤組成物の総量中約5重量%以下の潤滑または圧迫解放剤をさらに含む、請求項4に記載のガス発生剤組成物。
【請求項6】
前記酸化剤が、一次酸化剤と、過塩素酸塩含有化合物を含む二次酸化剤とを含む、請求項1に記載のガス発生剤組成物。
【請求項7】
前記燃料が硝酸グアニジンを含み、前記一次酸化剤が塩基性硝酸銅を含み、前記二次酸化剤が過塩素酸アルカリ金属塩および過塩素酸アンモニウムから選択される、請求項6に記載のガス発生剤組成物。
【請求項8】
前記複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子が、約10:1から約50:1の範囲の平均アスペクト比(AR)を有する、請求項1に記載のガス発生剤組成物。
【請求項9】
前記複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子が、約10:1から約20:1の範囲の平均アスペクト比(AR)を有し、約3μm以上の長さを有する、請求項1に記載のガス発生剤組成物。
【請求項10】
前記複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子が、約10μm以上および約200μm以下の長さを有する、請求項1に記載のガス発生剤組成物。
【請求項11】
前記複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子が、アルミノホウケイ酸カルシウムを含む切削ガラス繊維を含む、請求項1に記載のガス発生剤組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤を含む混合物であって、燃焼中に圧力感受性の影響を受けやすい燃焼率を有する混合物と;
約1重量%以上および約10重量%未満だけ燃料混合物中に分散された、二酸化ケイ素、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノホウケイ酸カルシウム、およびそれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子であって、ガス発生剤組成物が約0.6以下の線形燃焼率圧力指数を有するように、燃焼中に前記混合物の前記圧力感受性を低下させる複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子と
を含むガス発生剤。
【請求項13】
前記複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子が、約10:1から約50:1の範囲の平均アスペクト比(AR)、および約10μm以上および約200μm以下の平均長さを有する、請求項12に記載のガス発生剤組成物。
【請求項14】
前記複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子が、アルミノホウケイ酸カルシウムを含む切削ガラス繊維を含む、請求項12に記載のガス発生剤組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの酸化剤が、一次酸化剤と、過塩素酸塩含有化合物を含む二次酸化剤とを含む、請求項12に記載のガス発生剤組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つの燃料混合物が硝酸グアニジンを含み、前記一次酸化剤が塩基性硝酸銅を含み、前記二次酸化剤が過塩素酸アルカリ金属塩および過塩素酸アンモニウムから選択される、請求項15に記載のガス発生剤組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの燃料がガス発生剤組成物の総量の約40から約60重量%であって、前記少なくとも1つの酸化剤が一次酸化剤および二次酸化剤を含み、前記一次酸化剤がガス発生剤組成物の総量の約25から約60重量%でり、前記二次酸化剤がガス発生剤組成物の総量の約1から約20重量%である、請求項12に記載のガス発生剤組成物。
【請求項18】
ガス発生剤中の燃焼率圧力感受性を低下させる方法であって、
ガス発生剤を形成するために、二酸化ケイ素、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノホウケイ酸カルシウム、およびそれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子を混合物に導入するステップを含み、前記混合物が少なくとも1つの燃料および少なくとも1つの酸化剤を含み、且つ、複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子の存在によって燃焼中に前記圧力感受性が低下する、および/または前記ガス発生剤の燃焼安定性が強化されるように、燃焼中に圧力感受性の影響を受けやすい燃焼率を有する、方法。
【請求項19】
前記圧力感受性調整ガラス繊維を導入するステップの後に、ガス発生剤が約0.6以下の線形燃焼率圧力指数を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
粉末を生成するために、前記少なくとも1つの燃料、前記少なくとも1つの酸化剤、および前記複数の圧力感受性調整ガラス繊維粒子を含む水性混合物を噴霧乾燥するステップと、ガス発生剤粒状物を生成するために粉末を加圧するステップとをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
粉末を生成するために、前記少なくとも1つの燃料および前記少なくとも1つの酸化剤を含む水性混合物を噴霧乾燥するステップであって、前記圧力感受性調整ガラス繊維粒子が前記粉末と混合されるステップと、ガス発生剤粒状物を生成するために、粉末および圧力感受性調整ガラス繊維粒子を加圧するステップとをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの燃料が硝酸グアニジンを含み、前記少なくとも1つの酸化剤が、塩基性硝酸銅、ならびに過塩素酸アルカリ金属塩、過塩素酸アンモニウム、およびそれらの組合せから選択された過塩素酸塩含有酸化剤を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記過塩素酸塩酸化剤が、約200μm以上の平均粒径を有する、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−509235(P2012−509235A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535598(P2011−535598)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/062223
【国際公開番号】WO2010/056512
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(597065363)オートリブ エーエスピー,インコーポレイティド (87)
【Fターム(参考)】