説明

ガラス繊維用のサイジング組成物、サイズ剤処理されたガラス繊維、およびこれらを含む強化された生成物

本発明は、ガラス繊維へ塗布するための水性サイジング組成物、ならびにその水性サイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維で強化されたポリマー樹脂を提供する。いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物は、その中の酸−アミン成分の存在の結果もたらされる有利な特性を示す。本発明のサイジング組成物でコーティングされたガラス繊維ストランドは、多数の樹脂と適合性があると同時に、許容されるフィラメント切れのレベル、所望される耐摩耗性および/または所望されるストランド完全性とともに他の特性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願のデータ)
本明細書によって、この出願は、米国特許法§119(e)の下、2007年11月8日に出願された米国仮特許出願第61/002,370号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ガラス繊維用のサイジング組成物(sizing compositon)、サイズ剤処理された(sized)ガラス繊維、およびサイズ剤処理されたガラス繊維によって強化された物品に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
所望の特性を与えるのに使用可能なサイジング組成物は、代表的にはガラス繊維形成の後にガラス繊維に塗布される。本明細書で使用するとき、「サイジング組成物」、「サイジング剤(sizing)」、「バインダー組成物」、「バインダー」または「サイズ剤(size)」という用語は、形成後のフィラメントに塗布されるコーティング組成物をいう。いくつかの実施形態において、サイジング組成物は形成直後のフィラメントに塗布される。サイジング組成物は、後続の処理工程を通して保護体を提供してもよい。この後続の処理工程は、例えば、繊維が接触点を通過する、以下のようなものがある:繊維およびストランドを成形パッケージ上に巻取る工程、水または溶剤を除くために、水性ベースのサイジング組成物または溶剤ベースのサイジング組成物を乾燥する工程、1つのパッケージからボビンへと撚る工程、布地の中の経糸として通常は使用されるヤーンを非常に大きなパッケージ上に据えるビーミング(beaming)の工程、湿潤状態または乾燥状態で切断する工程、ストランドをより大きな束または集まりにするロービングの工程、強化材としての使用のために巻きをほどく工程、およびその他の下流の処理。
【0004】
さらに、サイジング組成物が、複合材料および他の製品の製造においてポリマーマトリックスを強化する繊維の上に置かれた場合には二重の役割を果たし得る。いくつかの適用において、上記サイジング組成物は保護体を提供し得、そしてさらに、繊維と、マトリックスポリマーまたは樹脂との間の適合性を提供し得る。例えば、いくつかの適用において、織布および不織布、マット、ロービング、ならびに切断ストランドの形状のガラス繊維が、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂などの樹脂と共に混合されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本発明の実施形態は、ガラス繊維のための水性サイジング組成物に関する。そしてまた、本発明の実施形態はさらに、本発明の水性サイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた少なくとも1つのガラス繊維を含むガラス繊維ストランド(fiber glass strand)に関する。本発明の水性サイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維ストランドは、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含むさまざまな樹脂の、被包、含浸および強化の適用に使用され得る。
【0006】
本発明の実施形態は、酸−アミン成分を含む水性サイジング組成物を提供し、当該酸−アミン成分は、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子と結合されている少なくとも1つのアミンの分子を含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、酸−アミン成分のアミンは、一般的にガラス繊維のためのサイジング組成物中で使用される1つまたはそれ以上のアミン化学種を含み、当該アミン化学種としては、アミノシランカップリング剤およびアミン潤滑剤が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、酸−アミン成分のアミンは、イミダゾリン、アルキルイミダゾリン、エトキシレートアミンオキシド、ポリアミノ脂肪酸の誘導体またはそれらの混合物を含む。
【0008】
さらに、酸−アミン成分のリン含有酸は、いくつかの実施形態において、亜リン酸、次亜リン酸(hypophosphorus acid)、ホスホン酸、有機リン酸、リン酸またはそれらの混合物を含む。さらに、硫黄含有酸は、いくつかの実施形態において、スルホン酸、有機スルホン酸、亜硫酸水素塩(hydrogen sulfide)、亜硫酸、硫酸またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、リン含有酸または硫黄含有酸は、Schellらの米国特許第6,207,737号(これは本明細書中で参考として援用される)に説明されている安定化剤の酸の形態を含み得る。
【0009】
少なくとも1つのアミンの分子は、本発明のいくつかの実施形態によると、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子と、静電相互作用、共有結合、双極子相互作用、水素結合、もしくはファンデルワールス相互作用またはそれらの組み合わせによって結合されている。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子は、上記少なくとも1つのアミンの分子を、少なくとも部分的に中和する。その結果、リン含有酸および/または硫黄含有酸は、いくつかの実施形態において、本発明の水性サイジング組成物のpHの調整を援助し得る。
【0010】
本発明の水性サイジング組成物のいくつかの実施形態において、酸−アミン成分は、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸ならびに少なくとも1つの追加的な酸の分子と結合されている、少なくとも1つのアミンの分子を含む。上記少なくとも1つの追加的な酸は、いくつかの実施形態において、リン含有酸または硫黄含有酸と結合されていないアミン分子のアミン官能基を中和するために選択される。リン含有酸または硫黄含有酸と結合されていないアミン官能基を中和することにおいて、上記少なくとも1つの追加的な酸はまた、水性サイジング組成物のpHの調整を援助し得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記少なくとも1つの追加的な酸は、アミン官能基を中和する能力、および所望のpHを水性サイジング組成物にもたらすのを援助する能力に従って選択される。1つの実施形態において、上記少なくとも1つの追加的な酸はカルボン酸を含む。カルボン酸は、いくつかの実施形態によると、アルカン酸を含み得て、アルカン酸としては、以下のものが挙げられるがこれに限定されない:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸またはそれらの混合物。カルボン酸は、他の実施形態においては、芳香族カルボン酸、アクリル酸またはそれらの誘導体などの不飽和カルボン酸を含み得る。いくつかの実施形態において、カルボン酸は、脂肪酸、またはピルビン酸およびアセト酢酸などのケト酸を含み得る。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1つの追加的な酸は、炭酸、アスコルビン酸またはそれらの混合物を含む。
【0012】
別の実施形態において、本発明は酸−アミノシラン成分を含むサイジング組成物を提供し、当該酸−アミノシラン成分は、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子と結合されている、少なくとも1つのアミノシランの分子を含む。アミノシランは、サイジング組成物中で使用され、当業者に知られているあらゆるアミノシランを含み得る。いくつかの実施形態において、例えば、アミノシランは、γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびγ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノプロピルトリアルコキシシラン、β−アミノエチルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチルアミノ−プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシシランまたはそれらの混合物を含み得る。さらに、上記少なくとも1つのアミノシランとの結合に適したリン含有酸および硫黄含有酸は、本明細書中に記載されたものと一致する。
【0013】
いくつかの実施形態において、酸−アミノシラン成分は、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸ならびに少なくとも1つの追加的な酸の分子と結合されている、少なくとも1つのアミノシランの分子を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの追加的な酸は、本明細書に記載されているようなカルボン酸を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、酸−アミノシランなどの酸−アミン成分は、サイジング組成物中における別個のフィルム形成成分の量が除去されるかまたは実質的に減らされるように、サイジング組成物に所望されるフィルム形成特性を与え得る。酸−アミン成分は、より大きい分子量の化学種を提供することによってフィルム構造に貢献し得、当該化学種は、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子と結合されている少なくとも1つのアミンの分子を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、それでもやはり、本発明のサイジング組成物は、酸−アミン成分によって提供されるあらゆるフィルム形成特性を補足する、少なくとも1つのフィルム形成剤をさらに含み得る。1つの実施形態において、例えば、サイジング組成物は少なくとも1つのフィルム形成剤および酸−アミン成分を含み、当該酸−アミン成分は少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子と結合されている少なくとも1つのアミンの分子を含む。
【0016】
あるいは、酸−アミン成分は本発明のサイジング組成物に所望されるフィルム形成特性を与え得るので、いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物はフィルム形成剤として主に機能する化学種を含まない。酸−アミン成分は、より大きい分子量の化学種を提供することによってフィルム構造に貢献し得、当該化学種は、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子と結合されている少なくとも1つのアミンの分子を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物は、1つまたは複数のカップリング剤、潤滑剤、殺生物剤、および/または消泡剤をさらに含み得る。カップリング剤および/または潤滑剤がアミン官能基を含むいくつかの実施形態において、当該カップリング剤および/または潤滑剤は、酸−アミン成分の形成に関与するアミノ官能性潤滑剤のあらゆるアミノシランに対して追加されるものである。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態は、本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた少なくとも1つのガラス繊維を含むガラス繊維ストランドを提供する。いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物は、一次サイジング剤である。他の実施形態において、本発明のサイジング組成物は、二次サイジング剤である。「一次サイジング剤」という用語は、繊維の形成直後に繊維に塗布されるサイジング組成物をいう。「二次サイジング剤」という用語は、一次サイジング剤の塗布後に繊維に塗布される組成物をいう。
【0019】
いくつかの実施形態において、例えば、少なくとも1つのフィルム形成剤および酸−アミン成分を含む本発明のサイジング組成物が、一次サイジング剤として少なくとも1つのガラス繊維に塗布される。別個のフィルム形成剤を含まない、酸−アミン成分を含むサイジング組成物が、二次サイジング剤として上記少なくとも1つのガラス繊維にその次に塗布される。あるいは、他の実施形態において、例えば、別個のフィルム形成剤を含まない、酸−アミン成分を含む本発明のサイジング組成物が、一次サイジング剤として、少なくとも1つのガラス繊維に塗布され、そして、酸−アミン成分および少なくとも1つのフィルム形成剤を含む本発明のサイジング組成物が、二次サイジング剤として、上記少なくとも1つのガラス繊維にその次に塗布される。
【0020】
本発明の実施形態は、本明細書に記載されているあらゆるサイジング組成物の、一次サイジング剤または二次サイジング剤としての使用を意図する。一次サイジング剤が、酸−アミン成分を含むいくつかの実施形態において、その次に塗布される二次サイジング剤は、酸−アミン成分を含まない。さらに、二次サイジング剤が酸−アミン成分を含むいくつかの実施形態において、ガラス繊維に塗布される一次サイジング剤は酸−アミン成分を含まない。
【0021】
本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた、少なくとも1つの繊維を含む、ガラス繊維ストランドのいくつかの実施形態は、連続的なストランドまたは切断ストランドを含み得る。さらに、連続的なガラス繊維ストランドは、いくつの実施形態によると、成形パッケージまたはダイレクトドロー(direct draw)パッケージなどの単一のパッケージとして巻取られ得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた少なくとも1つの繊維を含む複数のガラス繊維ストランドは、ロービングに組み立てられる。
【0023】
別の局面において、本発明はガラス繊維で強化された、熱可塑性または熱硬化性の複合材料を提供する。いくつかの実施形態において、ガラス繊維で強化された熱可塑性または熱硬化性の複合材料は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂、および本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた少なくとも1つのガラス繊維を含む。本明細書によって提供されるように、本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維は、所望のあらゆる長さをも有し得る。いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維は、G−LFT(粒状長繊維熱可塑性樹脂(Granular−Long Fiber Thermoplastic))およびD−LFT(直接的長繊維熱可塑性樹脂(Direct−Long Fiber Themoplastic))を含む、長繊維の強化への適用の使用に好適な寸法を有する。
【0024】
所望のあらゆる熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が、本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維とともに使われ得る。いくつかの実施形態において、本発明のガラス繊維で強化された熱可塑性樹脂は、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン、またはポリブチレンテレフタレート(PBT)およびポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルを含み得る。いくつかの実施形態において、本発明のガラス繊維で強化された熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂を含む。
【0025】
さらなる実施形態において、本発明はガラス繊維で強化された熱可塑性または熱硬化性の複合材料の製造方法を提供する。1つの実施形態において、ガラス繊維で強化された熱可塑性または熱硬化性の複合材料の製造方法は、複数のガラス繊維を提供する工程、当該複数のガラス繊維を本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングする工程および当該複数のコーティングされたガラス繊維を熱可塑性樹脂中または熱硬化性樹脂中に配置する工程を含む。本明細書によって提供されるように、ガラス繊維は連続的なガラス繊維ストランドに組み立てられ得る。上記ガラス繊維ストランドは、強化の適用のために、切断されたり、連続的なままであったりまたはロービングに組み立てられ得る。
【0026】
これらの、および他の実施形態は、以下の詳細な説明の中でより詳しく記載される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(詳細な説明)
本明細書の目的のために、別段示されない限り、本明細書中で使用される、材料の量、反応条件およびその他を表す全ての数値は、全ての事例において、用語「約」により修飾されるものと理解されるべきである。したがって、別段示されない限り、以下の明細書中で示される数値パラメータは、本発明により得られることが要求されている所望の特性に依存して変わり得る近似値である。最低でも、そして、特許請求の範囲に均等論を適用することを制限する試みとしてではなく、数値パラメータの各々は、少なくとも、報告される有効桁数を考慮し、および、通常の丸めの手法を使用することにより解釈されるべきである。
【0028】
本発明の広範な範囲を示す数値範囲および数値パラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例中で示される数値は、可能な限り正確に報告される。あらゆる数値は、しかしながら、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差の結果から必然的に生じる特定の誤差を、本質的に含む。さらに、本明細書中で開示される全ての範囲は、その中に包含される、いかなる部分的な範囲も含み、そして、その全ての部分的な範囲を含むことと理解されるべきである。例えば、言及された範囲「1〜10」が、最小値1と最大値10との間(その両端を含む)のいかなる部分的な範囲およびその全ての部分的な範囲を含むと考えるべきである。すなわち、それは、1〜6.1の例のように最小値1またはそれ以上から始まり、そして、5.5〜10の例のように最大値10またはそれ以下で終わる全ての部分的な範囲を含む。さらに、「本明細書中で援用される」として引用されるあらゆる参考文献は、その全体が援用されると理解されるべきである。
【0029】
さらに特筆されるのは、本明細書中で使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、1つの指示対象に明白におよび明確に限定されない限り、複数の指示対象を含む。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態は、ガラス繊維のための新規のサイジング組成物に関する。本明細書に記載されるサイジング組成物は一般的に水性サイジング組成物に関する。本発明のサイジング組成物のいくつかの実施形態は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂および/またはその他のポリマー樹脂を含む、さまざまな樹脂と適合性がある。本発明のいくつかの実施形態はさらに、サイジング組成物でコーティングされたガラス繊維ストランドに関する。さらに、本発明のいくつかの実施形態は、繊維で強化されたポリマー材料などの、ガラス繊維ストランドを含む製品に関する。
【0031】
本発明は、一般的に、ガラス繊維の製造、組み立ておよび塗布におけるその使用という状況の中で論ぜられる。しかしながら、当業者ならば、本発明が他の織物材料の加工に有用であり得ることは理解するであろう。
【0032】
本発明のガラス繊維ストランドのいくつかの実施形態は、さまざまな特性を有し得る。たとえば、ガラス繊維ストランドのいくつかの実施形態は、本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされ得る。その結果、上記少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維ストランドは、多数の樹脂と適合性があると同時に、許容されるフィラメント切れのレベル、所望される耐摩耗性および/または所望されるストランド完全性とともに他の特性を示す。
【0033】
いくつかの実施形態において、本発明は酸−アミン成分を含むサイジング組成物を提供し、当該酸−アミン成分は、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子と結合されている少なくとも1つのアミンの分子を含む。
【0034】
酸−アミン成分のアミンは、いくつかの実施形態において、リン含有酸または硫黄含有酸との結合の形成に使用可能な1つまたは複数のアミン基を有するあらゆるアミンを含む。いくつかの実施形態において、アミンは、1級アミン、2級アミン、もしくは3級アミン、またはそれらの混合物を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、酸−アミン成分のアミンは、ガラス繊維のためのサイジング組成物中で一般的に使用される1つまたは複数のアミン化学種を含み、当該アミン化学種としては、アミノシランカップリング剤およびアミン潤滑剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、酸−アミン成分のアミンは、アミノシラン、イミダゾリン、アルキルイミダゾリン、エトキシレートアミンオキシド、ポリエチレンイミン、ポリアミノ脂肪酸の誘導体またはそれらの混合物を含む。好適なアミノシランは、サイジング組成物中での使用され、当業者に知られているあらゆるアミノシランを含み得る。1つの実施形態において、例えば、アミノシランは、γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびγ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノプロピルトリアルコキシシラン、β−アミノエチルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチルアミノ−プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシシランまたはそれらの混合物を含み得る。
【0036】
酸−アミン成分の酸は、いくつかの実施形態において、リン含有酸を含み得る。リン含有酸のリン原子は、いくつかの実施形態において、3、4または5のいずれか1つの酸化状態であり得る。他の実施形態において、リン含有酸のリン原子は、5の最も高い酸化状態ではない。リン含有酸は、いくつかの実施形態において、亜リン酸(phosphorus acid)、次亜リン酸(hypophosphorus acid)、次リン酸、ホスホン酸、リン酸または有機リン酸を含む。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態における使用に好適な有機リン酸は、式(I)のものを含み得:
【0038】
【化1】

式中、Rは、−アルキル、−アルケニル、−アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−複素環、−アリールまたは−ヘテロアリールであり、そして、Rは−水素、−アルキル、−アルケニル、−アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−複素環、−アリールまたは−ヘテロアリールである。
【0039】
別の実施形態において、本発明のいくつかの実施形態における使用に好適な有機リン酸は、式(II)のものを含み得:
【0040】
【化2】

式中、RおよびRは、−水素、−アルキル、−アルケニル、−アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−複素環、−アリールまたは−ヘテロアリールからなる群より独立して選択される。
【0041】
有機リン酸は、いくつかの実施形態において、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、4−ヒドロキシフェニルホスホン酸、4−ヒドロキシブチルホスホン酸、ベンジルヒドリルホスホン酸(benzylhydrylphosphonic acid)、ベンジルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、ヘプタデシルホスホン酸、メチルベンジルホスホン酸、ナフチルメチルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、スチレンホスホン酸またはそれらの混合物を含み得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、酸−アミン成分の酸は、硫黄含有酸を含み得る。硫黄含有酸の硫黄原子は、いくつかの実施形態において、2、4または6のいずれか1つの酸化状態であり得る。他の実施形態において、硫黄含有酸の硫黄原子は、6の最も高い酸化状態にはない。硫黄含有酸は、1つの実施形態において、スルホン酸、有機スルホン酸、亜硫酸水素塩、亜硫酸、硫酸またはそれらの混合物を含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、酸−アミン成分は、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸ならびに少なくとも1つの追加的な酸の分子と結合されている、少なくとも1つのアミンの分子を含む。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1つの追加的な酸は、本明細書中で記載される(describer)ようなカルボン酸を含む。
【0044】
少なくとも1つのアミンの分子は、本発明のいくつかの実施形態によると、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子と静電相互作用、共有結合、水素結合、双極子相互作用、もしくはファンデルワールス相互作用またはそれらの組み合わせによって、結合されている。1つの実施形態において、例えば、少なくとも1つのアミンの分子は、式(III)に示されるように静電相互作用によって、少なくとも1つのリン含有酸の分子と結合されている。
【0045】
【化3】

式中、R〜Rは、−水素、−アルキル、−アルケニル、−アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−複素環、−アリールまたは−ヘテロアリールからなる群より独立して選択される。いずれかの理論により束縛されることを望まない一方で、リン含有酸が求電子的水素イオンをアミン基に提供して、ルイス酸塩基型相互作用で当該アミン基を中和すると考えられている。水素の転移は、アミン基の窒素に正電荷を配置し、それによって解離しているリン含有酸との静電相互作用の形成を促進している。アミン官能基の塩基性を中和する中で、リン含有および/または硫黄含有酸の分子は水性サイジング組成物のpHの調整を援助し得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、酸−アミン錯体のアミン分子は、リン含有酸または硫黄含有酸との結合のための単一のアミン官能基を備える。いくつかの実施形態において、アミン分子は、1つまたは複数のリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子との結合のための複数のアミン官能基を備える。
【0047】
いくつかの実施形態において、例えば、リン含有(phosphorous−containing)および/または硫黄含有の酸の分子は、アミン分子の、実質的に全てのアミン官能基を中和する。他の実施形態において、リン含有酸および/または硫黄含有酸の分子は、アミン分子の、実質的に全てに満たないアミン官能基を中和する。
【0048】
いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物は、アミン分子に対して化学量論な割合であるリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子を含む。他の実施形態において、本発明のサイジング組成物は、アミン分子に対して非化学量論的な割合であるリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子を含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、リン含有酸および/または硫黄含有酸の分子のアミン分子に対するモル比は、アミン分子中に存在するアミン官能基のモル量に基づく。そのような実施形態において、例えば、リン含有酸および/または硫黄含有酸のアミンに対するモル比は式(IV)によって決定される:
(リン含有酸のモル+硫黄含有酸のモル)/(アミン官能基のモル) (IV)。
【0050】
いくつかの実施形態において、式(IV)によって決定されるモル比は、約1未満である。いくつかの実施形態において、式(IV)によって決定されるモル比は、約0.75未満または約0.5未満である。いくつかの実施形態において、式(IV)によって決定されるモル比は、約0.25未満または約0.10未満である。他の実施形態において、式(IV)によって決定されるモル比は、約1よりも大きい。1つの実施形態において、式(IV)によって決定されるモル比は、約2よりも大きいまたは約3よりも大きい。
【0051】
式(IV)の演算の中で、例えば、アミン分子は2つのアミン官能基を備え得る。それゆえに、もし1モルのアミン分子がサイジング組成物中に提供されたならば、2モルのアミン官能基が存在する。さらに、もし、1モルのリン含有酸がアミン分子を含むサイジング組成物に添加されて、そして、0モルの硫黄含有酸が添加されたならば、式(IV)は(1+0)/2となり、それは0.5の、リン含有酸のアミンに対するモル比を提供する。
【0052】
サイジング組成物は、いくつかの実施形態において、酸−アミン成分を、総固形物を基準にして最大約100重量パーセントの量で含む。サイジング組成物は酸−アミン成分を、総固形物を基準にして、いくつかの実施形態においては最大約80重量パーセントまたは他の実施形態においては最大約60重量パーセントの量で含み得る。いくつかの実施形態において、サイジング組成物は酸−アミン成分を、総固形物を基準にして約1重量パーセントより多い量で含む。いくつかの実施形態において、サイジング組成物は酸−アミン成分を、総固形物を基準にして約10重量パーセントより多い量で含む。1つの実施形態においては、サイジング組成物は酸−アミン成分を、総固形物を基準にして40重量パーセントよりも多い量で含む。いくつかの実施形態において、サイジング組成物は、所望の特性をサイジング組成物に与えるのに有効な、あらゆる量の酸−アミン成分を含み得る。
【0053】
本明細書に記載されているような水性サイジング組成物の酸−アミン成分は、いくつかの実施形態において、酸−アミノシラン成分を含み、当該酸−アミノシラン成分は、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子と結合されている少なくとも1つのアミノシランの分子を含む。少なくとも1つのアミノシランの分子は、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子と、静電相互作用、共有結合、双極子−双極子相互作用、水素結合、もしくはファンデルワールス相互作用、またはそれらの組み合わせによって結合されている。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのアミノシランの分子は、酸−アミノシラン成分を形成する中で、少なくとも1つのリン含有酸および/または硫黄含有酸の分子によって少なくとも部分的に中和される。1つの実施形態において、例えば、安定化剤の酸の形態を含むリン含有酸は、上記の式(III)に提供される様式と一致する様式で、少なくとも部分的にアミノシランを中和する。
【0054】
市販されているアミノシランの非限定的な例としては、OSi Specialties社からの、A−1100 γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、A−1120 N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびA−1100シリーズの中の他のアミノ官能性シランと共に、ドイツ、デュッセルドルフのDegussa社からのDYNASYLAN(登録商標)AMEO 3−アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
【0055】
本発明のサイジング組成物は、いくつかの実施形態において、酸−アミン成分のフィルム形成特性の補足に使用可能な少なくとも1つのフィルム形成剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物は複数のフィルム形成剤を含み得る。当業者に知られていて本発明の目的と矛盾しないあらゆるフィルム形成剤が使われ得る。好適なフィルム形成剤は、いくつかの実施形態において、例えば、1つまたは複数のポリマー樹脂との適合性を有し得る。
【0056】
フィルム形成剤の選択は、フィルム形成剤を含むサイジング組成物でコーティングされたガラス繊維と樹脂との間の適合性を高めるために強化されるポリマー樹脂に依存してもよい。さらに、フィルム形成剤の選択はサイズ剤処理される繊維の種類に依存してもよい。
【0057】
本発明のさまざまな実施形態において多くのフィルム形成剤が使われ得る。本発明のさまざまな実施形態での使用のためのフィルム形成剤の非限定的な例としては、化学修飾されたポリオレフィン、ポリウレタン、エポキシド、またはそれらの混合物もしくは水性分散物が挙げられる。いくつかの実施形態において、フィルム形成剤はポリアクリレート、ポリエステルまたはポリ酢酸ビニルを含み得る。
【0058】
化学修飾されたポリオレフィンを含むフィルム形成剤は、いくつかの実施形態において、水性エマルションとして提供される。「化学修飾されたポリオレフィン」という用語は、酸または酸無水物で修飾された、非晶質かまたは結晶質のポリオレフィンをいい、それは米国特許第3,416,990号、米国特許第3,437,550号および米国特許第3,483,276号(それぞれ本明細書中で参考として援用される)の中で詳述される方法によって製造されるものなどである。これらのポリオレフィン、それらの修飾および乳化の解説は米国特許第5,130,197号(これは本明細書中で参考として援用される)に見出され得る。
【0059】
フィルム形成剤として有効な結晶質のカルボキシル化されたポリプロピレンポリマーの例としては、本発明のいくつかの実施形態において、デラウェア州ブルーミントンのHercules社から市販されているHERCOPRIME(登録商標)タイプの樹脂がある。非晶質のカルボキシル化されたポリプロピレンポリマーの例としては、テキサス州ロングビューのWestlake Chemical社から市販されているEPOLENE(登録商標)E−43樹脂がある。別の好適なフィルム形成剤物質としては、Byk−Cera社からNovacer1841エマルションという商標名(trade designation)の下で市販されている、EPOLENE E−43樹脂の水性エマルションがある。Chemical Corporation of America社から市販されている、CHEMCOR 43C30非晶質のカルボキシル化されたポリプロピレンの水性エマルションは、いくつかの実施形態での使用に好適なフィルム形成剤の別の例である。いくつかの実施形態においてフィルム形成剤として有効な、水性ポリオレフィンエマルションのもう1つの市販されている版としては、Protolube RL−5440ポリプロピレンエマルションの商標名の下で販売されているNational Starch社のProcter部門からの、カルボキシル化された非晶質ポリプロピレンがある。さらに好適なフィルム形成剤としては、オランダのDSM社からNeoxil605の商標名の下で市販されている、高分子量の、無水マレイン酸がグラフトされたポリプロピレンのエマルションの水性エマルションである。
【0060】
いくつかの実施形態に好適なフィルム形成剤は、ポリウレタンを含む。ポリウレタンフィルム形成物質は、いくつかの実施形態において、ポリアミド樹脂強化への適用に有効である。いくつかの実施形態において、ポリウレタンフィルム形成組成物は水性の分散物として提供され、当該水性の分散物としては、例えば、Crompton Corporation−Uniroyal Chemical社によって提供されるWITCOBOND(登録商標)シリーズがあり、このシリーズとしては、WITCOBOND(登録商標)W−290HおよびWITCOBOND(登録商標)W−296が挙げられるがこれらに限定されない。市販されているポリウレタン水性分散物の追加的な例としては、Reichhold Chemical社からのAquathane516およびHydrosize Technologies社からのHydrosize U2−01が挙げられる。
【0061】
いくつかの実施形態において、ポリウレタンフィルム形成剤は、有機イソシアネートまたはポリイソシアネートと、有機ポリヒドロキシル化化合物またはヒドロキシル末端のポリエーテルポリマーもしくはポリエステルポリマーとの間の反応により形成されるポリウレタンポリマーの水溶液を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリウレタン分散物は架橋性基を含んでいてもよい。
【0062】
好適なポリウレタンの別の例としては、ポリエーテル−ポリウレタンの水性エマルションである、Bayer Chemical社からのNAJ−1037がある。さらに、上記ポリウレタンは、ポリウレタンおよびブロックイソシアネートを含む分散物の一部であってもよい。例えば、次に述べるポリウレタン/ブロックイソシアネートのエマルションは、本発明のサイジング組成物での使用に好適であり得る:WITCOBOND60X(Crompton社)、Baybond403(Bayer社)、Baybond PU−130(Bayer社)、Baybond XP−7055(Bayer社)、Nopco D641(Henkel社)、Neoxil6158(DSM社)およびVestanat EP−DS−1205(Degussa社)。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の少なくとも1つのフィルム形成剤はエポキシド組成物を含み得る。エポキシドフィルム形成物質は、いくつかの実施形態において、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートの強化の適用に有効である。フィルム形成剤としての使用に好適なエポキシド組成物は、いくつかの実施形態によると、オハイオ州コロンバスのHexion Specialty Chemicals社から市販されている、EPONエポキシドおよびEPI−REZエポキシドを含む。
【0064】
本発明のサイジング組成物は、いくつかの実施形態において、少なくとも1つのフィルム形成剤を、総固形物を基準にして約85重量パーセント以下の量で含む。他の実施形態において、サイジング組成物は少なくとも1つのフィルム形成剤を、総固形物を基準にして約75重量パーセント以下の量で含む。いくつかの実施形態において、サイジング組成物は少なくとも1つのフィルム形成剤を、総固形物を基準にして約60重量パーセント以下の量で含む。いくつかの実施形態においてサイジング組成物は少なくとも1つのフィルム形成剤を、総固形物の基準に基づいて約50重量パーセント以下の量で含む。別の実施形態において、サイジング組成物は少なくとも1つのフィルム形成剤を、総固形物を基準にして約5重量パーセントよりも多い量で含む。
【0065】
本発明のサイジング組成物のいくつかの実施形態は、酸−アミン成分の形成に関与するあらゆるアミノ官能性カップリング剤に加えて、1つまたは複数の非アミノ官能性カップリング剤をさらに含む。非アミノ官能性カップリング剤の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、ビニル−トリメトキシシラン、ビニル−トリエトキシシラン、アリル−トリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4,5−エポキシシクロヘキシル−エチルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン(chloropropyltriemethoxysilane)およびクロロプロピルトリエトキシシラン。
【0066】
本発明のサイジング組成物の非限定的な実施形態はさらに、複数のカップリング剤を含み得て、そのいくつかは酸−アミン成分の形成に関与してもよく、そして他は酸−アミン成分の形成に関与しない。複数のカップリング剤の使用は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂およびその他の樹脂を含めた、さまざまな樹脂と適合性のあるサイジング組成物をもたらすという有利な結果となり得る。本発明のサイジング組成物中で使用される各カップリング剤の量および種類は、樹脂との適合性、ガラス繊維ストランド特性への影響(例えば、より少ないフィラメント切れ、耐摩耗性、ストランド完全性およびストランドの摩擦)およびサイジング組成物の他の成分との適合性に基づいて選択されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物は少なくとも1つのカップリング剤を、総固形物の基準に基づいて最大約40重量パーセントの量で含む。別の実施形態において、サイジング組成物は少なくとも1つのカップリング剤を、総固形物の基準に基づいて最大約25重量パーセントまたは最大約15重量パーセントの量で含む。いくつかの実施形態において、サイジング組成物は少なくとも1つのカップリング剤を、総固形物を基準にして最大約10重量パーセントまたは最大約5重量パーセントの量で含む。他の実施形態において、サイジング組成物は少なくとも1つのカップリング剤を、総固形物を基準にして最大約3重量パーセントまたは最大約1重量パーセントの量で含む。前述の量は、酸−アミン成分の形成に関与しない、サイジング組成物中のカップリング剤に相当する。
【0068】
1つの実施形態において、本発明のサイジング組成物はカップリング剤を含まない。
【0069】
いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物は少なくとも1つの潤滑剤をさらに含み得る。当業者に知られていて本発明の目的と矛盾しないあらゆる潤滑剤が使われ得る。潤滑剤は、例えば、本発明のサイジング組成物中において、内部潤滑(internal lubrication)(例えば、繊維−繊維磨耗)を援助するためおよび外部潤滑(external lubrication)(例えば、ガラス−接点磨耗)を援助するために使われ得る。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1つの潤滑剤は、少なくとも1つのカチオン性潤滑剤を含んでもよい。他の実施形態において、上記少なくとも1つの潤滑剤は、少なくとも1つの非イオン性潤滑剤を含んでもよい。さらなる実施形態において、上記少なくとも1つの潤滑剤は、少なくとも1つのカチオン性潤滑剤および少なくとも1つの非イオン性潤滑剤を含んでもよい。
【0070】
カチオン性潤滑剤は本発明の実施形態において、例えば、フィラメント−フィラメントまたはガラス−ガラスの磨耗の減少などによって、内部潤滑を援助するために、使われてもよい。一般的に当業者に知られているほとんどのカチオン性潤滑剤が本発明の実施形態の中で使われ得る。本発明のサイジング組成物中での使用に好適なカチオン性潤滑剤の非限定的な例としては、アミン基を有する潤滑剤、エトキシ化アミンオキシドを有する潤滑剤およびエトキシ化脂肪酸アミド(fatty amide)を有する潤滑剤が挙げられる。アミン基を有する潤滑剤の非限定的な例としては、修飾されたポリエチレンイミンがあり、その例としては、ノースカロライナ州シャーロットのPulcra Chemicals社から市販されている、部分的にアミド化されたポリエチレンイミンのEMERY6717がある。本発明の実施形態に有効なカチオン性潤滑剤の別の例としては、ALUBRASPIN226があり、それはニュージャージー州パルシパニーのBASF社から市販されている部分的にアミド化されたポリエチレンイミンである。
【0071】
いくつかの実施形態において潤滑剤は1つまたは複数の、分枝(branched)カルボン酸共重合体の部分エステルを含む。上記部分エステルおよびそれらの誘導体は、炭化水素の側鎖(pendant)およびエトキシ化エステル鎖を有するポリマーである。好適な分枝カルボン酸共重合体の部分エステルの市販されている版としては、Ketjenlube522部分エステルという商標名の下でイリノイ州シカゴのAkzo Chemie America社からのそれ(以前はDAPRAL(登録商標)GE202部分エステルとして販売されていた)がある。
【0072】
非イオン性潤滑剤は、いくつかの実施形態において、少なくとも1つのワックスを含む。本発明での使用に好適なワックスとしては、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、ポリプロピレンワックス、マイクロクリスタリンワックス(microcrystalline waxes)およびそれらのワックスの酸化誘導体が挙げられる。本発明での使用に好適なポリエチレンワックスの一例としては、Protolube HD−Aがあり、それはペンシルベニア州ピッツバーグのBayer社から市販されている高密度ポリエチレンワックスである。本発明の実施形態に好適なパラフィンワックスの例としては、Elon PWがあり、それはノースカロライナ州コンコードのElon Specialties社から市販されているパラフィンワックスのエマルションである。
【0073】
本明細書によって提供されるように、いくつかの実施形態において、アミン官能基を1つ多く含む潤滑剤は、酸−アミン成分の形成に関与し得る。
【0074】
サイジング組成物は、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの潤滑剤を、総固形物を基準にして最大約10重量パーセントの量で含む。別の実施形態において、サイジング組成物は少なくとも1つの潤滑剤を、総固形物を基準にして最大約5重量パーセントの量で含む。さらなる実施形態において、サイジング組成物は少なくとも1つの潤滑剤を、総固形物を基準にして約1重量パーセント未満の量で含む。いくつかの実施形態において、サイジング組成物は少なくとも1つの潤滑剤を総固形物を基準にして少なくとも1重量パーセントの量で含む。前述の量は、酸−アミン成分の形成に関与しない、上記サイジング組成物中の潤滑剤に相当する。
【0075】
いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物は、少なくとも1つの殺生物剤をさらに含み得る。殺生物剤は、酵母、かび、好気性細菌およびその他の生物学的生成物と関連する潜在的な問題を排除する予防手段として添加され得る。ガラス繊維のためのサイジング組成物中における、生物の成長を抑制することが当業者に知られているあらゆる殺生物剤が、本発明のサイジング組成物の実施形態に一般的に使われ得る。本発明において使われ得る殺生物剤の非限定的な例としては、有機スズ殺生物剤、メチレンチオシアネート殺生物剤、ニトロ−殺生物剤、ならびに塩素化された化合物および臭素化された化合物が挙げられる。本発明のサイジング組成物の実施形態での使用のための、市販されている殺生物剤の非限定的な例としては、Dow Chemical社からのBioban BP−30またはSchulke and Mayr社のParmetol(登録商標)DF35がある。
【0076】
いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物は、約5.0から約10.5まで変動するpHを有する。他の実施形態において、本発明のサイジング組成物は約6.0から約8.0まで変動するpHを有する。いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物は約5.0未満または約10.5より高いpHを有し得る。サイジング組成物のpHは、いくつかの実施形態において、前述のいずれかのpHの範囲内に収まるように調整される。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態は、本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた少なくとも1つのガラス繊維を含むガラス繊維ストランドを提供する。いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物は、一次サイジング組成物である。
【0078】
いくつかの実施形態において、例えば、少なくとも1つのフィルム形成剤および少なくとも1つの酸−アミン成分を含む本発明のサイジング組成物が、一次サイジング組成物として少なくとも1つのガラス繊維に塗布される。別個のフィルム形成剤を含まない、酸−アミン成分を含むサイジング組成物が、二次サイジング組成物として少なくとも1つのガラス繊維にその次に塗布される。あるいは、他の実施形態において、例えば、別個のフィルム形成剤を含まない、酸−アミン成分を含む本発明のサイジング組成物が、一次サイジング剤として、少なくとも1つのガラス繊維に塗布され、そして、酸−アミン成分および少なくとも1つのフィルム形成剤を含む本発明のサイジング組成物が、二次サイジング剤として、当該少なくとも1つのガラス繊維にその次に塗布される。
【0079】
本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた少なくとも1つの繊維を含むガラス繊維ストランドは、いくつかの実施形態において、切断ストランドを含み得る。切断ガラス繊維ストランドは、いくつかの実施形態において、約3mmから約25mmまで変動する長さを有し得る。他の実施形態において、切断ガラス繊維ストランドは、約5mmから約25mmまで変動する長さを有し得る。別の実施形態において、切断ガラス繊維ストランドは、約5mm未満または約25mmより長い長さを有する。
【0080】
本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた、少なくとも1つの繊維を含む、ガラス繊維ストランドのいくつかの実施形態は、連続的なストランドを含み得る。さらに、連続的なガラス繊維ストランドは、いくつかの実施形態によると、成形パッケージまたはダイレクトドローパッケージなどの単一のパッケージとして巻取られ得る。いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた少なくとも1つの繊維を含む複数のガラス繊維ストランドは、ロービングに組み立てられる。
【0081】
当業者は本発明が、多数のガラス繊維の、製造、組み立ておよび塗布に実施され得ることを分かるであろう。当業者に知られていて本発明の目的と矛盾しないあらゆるガラス繊維が使われ得る。
【0082】
本発明のサイジング組成物は、当業者に知られる好適な方法により、限定はされないが、静的または動的なアプリケーター(ローラーアプリケーターまたはベルトアプリケーターなど)でガラス繊維に接触させてもしくは噴霧されて、またはその他の手段などによって、ガラス繊維へ塗布され得る。サイジング組成物中の不揮発性成分の総濃度は、使用される塗布の手段、サイズ剤処理されるガラス繊維の特徴およびサイズ剤処理されたガラス繊維の意図される使用のために所望の乾燥サイズ剤コーティングの重量に応じて、広い範囲にわたって調整され得る。いくつかの実施形態において、上記サイジング組成物は、繊維の形成工程中に、ガラス繊維に塗布され得る。
【0083】
ガラス繊維上のサイジング組成物の量は、「強熱減量」または「LOI」として測定されてもよい。本明細書で使用されるとき、「強熱減量」または「LOI」という用語は、式1によって決定されるように、そのガラス繊維上に存在する乾燥サイジング組成物の重量パーセントを意味する:
【0084】
【化4】

式中、Wdryはオーブンの中で220°F(約104℃)で60分間乾燥させた後の、ガラス繊維の重量とコーティングの重量を加算したものであり、そして、Wbareはオーブンの中でガラス繊維を1150°F(約621℃)で20分間熱されて、それからデシケーター(dessicator)の中で室温まで冷まされた後の、むき出しのガラス繊維の重量である。
【0085】
いくつかの実施形態において、本発明のガラス繊維ストランドは約0.05から約1.5まで変動するLOIを有する。別の実施形態において、本発明のガラス繊維ストランドは約0.1から約0.5まで変動するLOIを有する。さらなる実施形態において、本発明のガラス繊維ストランドは約0.4のLOIを有する。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態は、ガラス繊維で強化された熱可塑性または熱硬化性の複合材料に関する。いくつかの実施形態において、ガラス繊維で強化された熱可塑性または熱硬化性の複合材料は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂、および本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた少なくとも1つのガラス繊維を含む。いくつかの実施形態において、本発明のガラス繊維で強化された熱可塑性樹脂は、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン、またはポリブチレンテレフタレート(PBT)およびポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルを含む。いくつかの実施形態において、本発明のガラス繊維で強化された熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂を含む。
【0087】
上記のガラス繊維は、ポリマーマトリックスを強化するために、あらゆる成形工程において使われ得て、その工程とは、当業者に知られていて、切断ストランド、連続的なストランドまたはそれらの混合物のどれかを利用するものである。例えば、切断繊維ストランドはマトリックスポリマー樹脂溶融物と混合され得る。その複合材料溶融物は、ポリマー部品または成形されたデバイス(shaped device)を製造するためにその次に成形され得る。いくつかの実施形態において、ガラス繊維はマトリックスポリマー樹脂と、乾燥粉末混合物の状態で、混合される。
【0088】
本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維は、所望のどんな長さをも有し得る。いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維は、G−LFT(粒状長繊維熱可塑性樹脂)およびD−LFT(直接的長繊維熱可塑性樹脂(Direct−Long Fiber Thermoplastic))を含む、長繊維の強化への適用の使用に好適な寸法を有する。繊維で強化された熱可塑性の複合材料のいくつかの実施形態において、ガラス繊維は、約5から50まで変動するアスペクト比を有する。本明細書で使用するとき、「アスペクト比」とは、ガラス繊維の長さをガラス繊維の直径で除算したものをいう。いくつかの実施形態において、本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維は、少なくとも100または少なくとも200のアスペクト比を有する。
【0089】
いくつかの実施形態において、繊維で強化された熱可塑性または熱硬化性の複合材料は、所望のあらゆる量で、本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含む。1つの実施形態において、複数のガラス繊維は複合材料の最大約90重量パーセントの量で存在し得る。別の実施形態において、上記複数のガラス繊維は複合材料の最大約80重量パーセントの量で存在する。いくつかの実施形態において、上記複数のガラス繊維は複合材料の最大約65重量パーセントの量で存在する。いくつかの実施形態において、上記複数のガラス繊維は複合材料の約10重量パーセントよりも多い量で存在する。いくつかの実施形態において、上記複数のガラス繊維は複合材料の約20重量パーセントよりも多い量で存在する。別の実施形態において、上記複数のガラス繊維は複合材料の約30重量パーセントよりも多い量で存在する。
【0090】
本発明の実施形態はさらに、ガラス繊維で強化された熱可塑性または熱硬化性(themoset)の複合材料の製造方法を提供する。1つの実施形態において、ガラス繊維で強化された熱可塑性または熱硬化性の複合材料の製造方法は、複数のガラス繊維を提供する工程、当該複数のガラス繊維を本発明のサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングする工程およびその複数のコーティングされたガラス繊維を熱可塑性樹脂中または熱硬化性樹脂中に配置する工程を含む。本明細書によって提供されるように、ガラス繊維は連続的なガラス繊維ストランドに組み立てられ得る。上記ガラス繊維ストランドは、切断されたり、連続的なままで使用されたり、または熱可塑性もしくは熱硬化性の強化の適用のために、ロービングに組み立てられ得る。
【実施例】
【0091】
本発明のいくつかの代表的な実施形態は、ここで、以下の具体的な非限定的な実施例の中で示される。
【0092】
(実施例1)
本発明のサイジング組成物の非限定的な実施形態を、以下の処方に従って調製した:
【0093】
【表1】

DYNASYLAN AMEO 3−アミノプロピルトリエトキシシラン(ドイツ、デュッセルドルフのDegussa社から)
Neoxil604 (オランダのDSM社から)
DAPRAL GE202(イリノイ州シカゴのAkzo Chemie社から)
PARMETOL DF35(Schulke and Mayr社から) 。
【0094】
実施例1のサイジング組成物を、約7リットルの脱塩水を攪拌機付きの主混合槽に供給することによって調製した。明記した量の酢酸を主混合槽に添加して、そして、得られた溶液を5分間攪拌した。攪拌後、明記した量のアミノシランを主混合槽に添加して、そして、得られた溶液を10分間攪拌した。明記した量の次亜リン酸(hypophosphorus acid)をその次に主混合槽に添加して、そして、得られた溶液を10分間攪拌した。主混合槽への次亜リン酸(hypophosphorus acid)の添加は、上記アミノシランおよび上記次亜リン酸(hypophosphorus acid)を含む酸−アミン成分の形成を引き起こした。
【0095】
明記した量のフィルム形成剤をその次に混合槽に攪拌しながら添加した。予備混合槽に熱湯を添加して、そして、明記した量の潤滑剤を予備混合槽に添加した。得られた混合物をその次に10分間攪拌し、潤滑剤を分散させた。潤滑剤分散物を次に主混合槽に添加した。明記した量の殺生物剤を主混合槽に添加して、そして、脱塩水を添加して、処方物を20リットルに計量した(balance)。調製したサイジング組成物は約7.5のpHを示した。
【0096】
(実施例2)
本発明のサイジング組成物の非限定的な実施形態を、以下の処方に従って調製した:
【0097】
【表2】

DYNASYLAN AMEO 3−アミノプロピルトリエトキシシラン(ドイツ、デュッセルドルフのDegussa社から)
Neoxil 604(オランダのDSM社から)
DAPRAL GE202(イリノイ州シカゴのAkzo Chemie社から)
PARMETOL DF35(Schulke and Mayr社から) 。
【0098】
実施例2のサイジング組成物を、約7リットルの脱塩水を攪拌機付きの主混合槽に供給することによって調製した。明記した量の酢酸を主混合槽に添加して、そして、得られた溶液を5分間攪拌した。攪拌後、明記した量のアミノシランを主混合槽に添加して、そして、得られた溶液を10分間攪拌した。明記した量の次亜リン酸(hypophosphorus acid)をその次に主混合槽に添加して、そして、得られた溶液を10分間攪拌した。本明細書によって提供されるように、主混合槽への次亜リン酸(hypophosphorus acid)の添加は、上記アミノシランおよび上記次亜リン酸(hypophosphorus acid)を含む酸−アミン成分の形成を引き起こした。
【0099】
明記した量のフィルム形成剤をその次に混合槽に攪拌しながら添加した。
【0100】
予備混合槽に熱湯を添加して、そして、明記した量の潤滑剤を予備混合槽に添加した。得られた混合物をその次に10分間攪拌し、潤滑剤を分散させた。潤滑剤分散物を次に主混合槽に添加した。明記した量の殺生物剤を主混合槽に添加して、そして、脱塩水を添加して、処方物を20リットルに計量した。調製したサイジング組成物は約7.5のpHを示した。
【0101】
(実施例3)
本発明のサイジング組成物の非限定的な実施形態を、以下の処方に従って調製した:
【0102】
【表3】

DYNASYLAN AMEO 3−アミノプロピルトリエトキシシラン(ドイツ、デュッセルドルフのDegussa社から)
Neoxil604(オランダのDSM社から)
DAPRAL GE 202(イリノイ州シカゴのAkzo Chemie社から)
PARMETOL DF35(Schulke and Mayr社から) 。
【0103】
実施例2のサイジング組成物を、約7リットルの脱塩水を攪拌機付きの主混合槽に供給することによって調製した。明記した量の酢酸を主混合槽に添加して、そして、得られた溶液を5分間攪拌した。攪拌後、明記した量のアミノシランを主混合槽に添加して、そして、得られた溶液を10分間攪拌した。明記した量の次亜リン酸(hypophosphorus acid)をその次に主混合槽に添加して、そして、得られた溶液を10分間攪拌した。本明細書によって提供されるように、主混合槽への次亜リン酸(hypophosphorus acid)の添加は、上記アミノシランおよび上記次亜リン酸(hypophosphorus acid)を含む酸−アミン成分の形成を引き起こした。
【0104】
明記した量のフィルム形成剤をその次に混合槽に攪拌しながら添加した。
【0105】
予備混合槽に熱湯を添加して、そして、明記した量の潤滑剤を予備混合槽に添加した。得られた混合物をその次に10分間攪拌し、潤滑剤を分散させた。潤滑剤分散物を次に主混合槽に添加した。明記した量の殺生物剤を主混合槽に添加して、そして、脱塩水を添加して、処方物を20リットルに計量した。調製したサイジング組成物は約7.5のpHを示した。
【0106】
(実施例4)
処方AおよびBを有する本発明のサイジング組成物の非限定的な実施形態を、実施例1のプロトコルに従って調製した。AおよびBの各サイジング組成物は、上記アミノシランおよび上記次亜リン酸を含む酸−アミン成分の形成をもたらした次亜リン酸(hypohosphorus acid)を含むリン含有酸を含んでいた。
【0107】
【表4】

1 1DYNASYLAN AMEO 3−アミノプロピルトリエトキシシラン(36%固形物)(ドイツ、デュッセルドルフのDegussa社から)
50%溶液
Neoxil 605(53.2%固形物)(オランダのDSM社から)
DAPRAL GE202(2%固形物)(イリノイ州シカゴのAkzo Chemie社から) 。
【0108】
処方C、DおよびEを有する比較用のサイジング組成物を、実施例1のプロトコルに従って調製した。比較用のサイジング組成物は、酸−アミン成分の形成のためのリン含有酸または硫黄含有酸を含んでいなかった。サイジング組成物DおよびEにおいては、次亜リン酸(hypophosphorus acid)成分を、オランダのTransmare社から入手した酸性塩である次亜リン酸ナトリウムに置き換えた。サイジング組成物Cは、上記酢酸以外の酸成分を有していなかった。
【0109】
【表5】

5 1DYNASYLAN AMEO 3−アミノプロピルトリエトキシシラン(36%固形物)(ドイツ、デュッセルドルフのDegussa社から)
Neoxil 605(53.2%固形物)(オランダのDSM社から)
DAPRAL GE202(2%固形物)(イリノイ州シカゴのAkzo Chemie社から) 。
【0110】
サイジング組成物Aを、サイジング剤アプリケーターを用いて少なくとも部分的に連続的なガラス繊維フィラメントに塗布した。上記ガラス繊維フィラメントをストランドへと集めて、そして、当該ストランドを連続的なロービングに組み立てた。上記ロービングを、その次に、巻取り機上の成形パッケージへと巻取って、そして、従来の技術を用いて乾燥した。前述の塗布、組み立て、巻取りおよび乾燥の工程を、B〜Eの各サイジング組成物のために独立して繰り返して、各サイジング組成物の独立したロービングの成形パッケージを製造した。
【0111】
サイジング組成物Aで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維フィラメントを含む連続的なロービングを、フィラメント切れ(フライ(fly))に対する耐久性について、以下の方法に従って検査した。上記連続的なロービングを、巻取りドラムに付けて、そして、フライボックス(fly box)中で、テンションバー(tension bar)5本にわたって、約0.5kg〜約1kgの連続的なロービングをバーにわたって引張するのに十分な時間だけ、引張した。上記ロービングをテンションバーにわたって引張した結果生じたあらゆるフィラメント切れを、フライボックスによって捕獲した。引張が完了した時点で、フライボックス中に集められたフィラメント切れの重量を量った。さらに、テンションバー5本にわたって引張した連続的なロービングの長さの重量も量った。その次に、式(V)に従ってフライ値(fly value)を決定した:
[(フィラメント切れの重量)/(引張されたロービングの重量)]×1000mg/kg (V)。
前述のフライ検査法を、サイジング組成物B〜Eに対応する各成形パッケージの連続的なロービングに対して、独立に繰り返した。フライ検査の結果を表Iの中に提供する。
【0112】
【表6】

表Iに提供されているように、酸−アミン成分を含むサイジング組成物AまたはBで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含む連続的なロービングは、サイジング組成物C〜Eの連続的なロービングと比較して、フライ検査において一桁分少ないフィラメント切れを示した。サイジング組成物AおよびBについてフィラメント切れの数が減少したことは、サイジング組成物は繊維の表面にわたって十分に広げられ、検査工程の間、繊維に対して保護を与えたという指標を提供する。酸−アミン成分を含むサイジング組成物AおよびBの、上記の所望される広がり特性は、酸−アミン成分のフィルム形成特性の結果であると考えられ得る。サイジング組成物DまたはEで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含む連続的なロービングは、フィラメント切れの著しく多い数を示した。これらのサイジング組成物の調製にはリン含有酸の塩が使用されため、上記サイジング組成物DおよびEは酸−アミン成分を含んでいなかった。
【0113】
(実施例5)
処方F〜Kを有する本発明のサイジング組成物の非限定的な実施形態を、実施例1のプロトコルに従って調製した。F〜Kの各サイジング組成物は、上記アミノシランおよび上記次亜リン酸を含む酸−アミン成分の形成をもたらした次亜リン酸(hypohosphorus acid)を含むリン含有酸を含んでいた。
【0114】
【表7】

DYNASYLAN AMEO 3−アミノプロピルトリエトキシシラン(36%固形物)(ドイツ、デュッセルドルフのDegussa社から)
50%溶液
10Neoxil 605(53.2%固形物)(オランダのDSM社から)
11DAPRAL GE202(2%固形物)(イリノイ州シカゴのAkzo Chemie社から) 。
【0115】
処方L〜Qを有する比較用のサイジング組成物を、実施例1のプロトコルに従って調製した。比較用のサイジング組成物は、酸−アミン成分の形成のためのリン含有酸または硫黄含有酸を含んでいなかった。サイジング組成物L〜Qにおいて、次亜リン酸(hypophosphorus acid)成分を、オランダのTransmare社から入手した酸性塩である次亜リン酸ナトリウムに置き換えた。
【0116】
【表8】

12 1DYNASYLAN AMEO 3−アミノプロピルトリエトキシシラン(36%固形物)(ドイツ、デュッセルドルフのDegussa社から)
13Neoxil 605(53.2%固形物)(オランダのDSM社から)
14DAPRAL GE202(2%固形物)(イリノイ州シカゴのAkzo Chemie社から) 。
【0117】
サイジング組成物Fを、サイジング剤アプリケーターを用いて連続的なガラス繊維フィラメントに塗布して、そして、当該連続的なガラス繊維フィラメントをストランドとして集めた。上記連続的なガラス繊維ストランドは、その次に、4.5mmのガラス繊維ストランドに切断し、そして、標準的な技術に従って乾燥した。G〜Qの各サイジング組成物に対応する切断ガラス繊維ストランドを製造するために、前述の塗布、集合、切断および乾燥の工程を、G〜Qの各サイジング組成物に対して繰り返した。
【0118】
F〜Qの各サイジング組成物の切断ガラス繊維ストランドを、その次に、以下の手順に従って毛羽形成への抵抗性について検査した。120gの切断ストランドの重量を計量し、中に帯電防止の布が配置された第一の鋼製カップの中に入れた。120gの切断ストランドの重量を計量し、中に第二の帯電防止の布が配置された第二の鋼製カップの中に入れた。切断ガラス繊維ストランドを含む両方の鋼製のカップを、ミネソタ州プリマスのRed Devil Equipment社によって製造された振とう機の中にしっかり固定し、そして、6分間振とうを行った。振とうに続けて、第一の鋼製カップの切断ガラス繊維ストランドをふるいにかけて、振とう処理の結果もたらされるあらゆる毛羽を分離した。すべての毛羽の重量を計量をした。第二の鋼製カップの切断ガラス繊維ストランドもさらにふるいにかけて、そして、結果として生じるあらゆる毛羽の重量を計量をした。各鋼製カップの切断ガラス繊維ストランドの毛羽%を、毛羽の重量を120gで除算し、そして、得られた値に100を乗算することによって計算した。第一および第二の鋼製カップの切断ガラス繊維ストランドの毛羽%をその次に平均し、最終の毛羽%値を出した。
【0119】
F〜Qの各サイジング組成物の切断ガラス繊維ストランドについて、毛羽検査を完了した。毛羽検査の結果を表IIに提供する。
【0120】
【表9】

表II中に示したように、酸−アミン成分を含む本発明のサイジング組成物(F〜K)で少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含む切断ガラス繊維ストランドは、酸−アミン成分を含まないサイジング組成物に比べて、一桁分、そしていくつかの場合は二桁分少ない毛羽%を示した。
【0121】
サイジング組成物F〜Kの毛羽%の減少は、サイジング組成物が繊維の表面にわたって十分に広げられて、切断ガラス繊維ストランドの完全性が向上したことの指標を提供する。酸−アミン成分を含むサイジング組成物F〜Kの上記の所望される広がり特性は、酸−アミン成分のフィルム形成特性の結果であると考えられ得る。サイジング組成物L〜Qの1つで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含む切断ガラス繊維ストランドは、著しく高い毛羽%を示した。これらのサイジング組成物の調製にはリン含有酸の塩が使用されたため、上記サイジング組成物L〜Qは酸−アミン成分を含んでいなかった。
【0122】
所望される特性は、本発明の実施形態により示され得て、限定はされないが以下を含み得る:酸−アミン成分を含み、有利なフィルム形成特性を有するがためにサイジング組成物中のフィルム形成剤の量を減少または除去する、サイジング組成物の提供;および、そのようなサイジング組成物でコーティングされ、工程の状況の間において減少した数のフィラメント切れおよび毛羽を示し得る、ガラス繊維ストランドの提供。
【0123】
本発明のさまざまな実施形態が、本発明のさまざまな目的の達成のために記載されてきた。これらの実施形態は、本発明の原理の例示に過ぎないことは認められるべきである。多数から成るこれらの改変および改作は、本発明の意図および範囲から逸脱することなしに当業者によって容易に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維のための水性サイジング組成物であって、
酸−アミン成分を含み、該酸−アミン成分は、少なくとも1つのリン含有酸または硫黄含有酸の分子と結合されている少なくとも1つのアミンの分子を含む、水性サイジング組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアミンの前記分子は、前記少なくとも1つのリン含有酸または前記少なくとも1つの硫黄含有酸の前記分子と、静電相互作用、共有結合またはそれらの組み合わせによって結合されている、請求項1に記載の水性サイジング組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのリン含有酸または硫黄含有酸の、前記アミンに対するモル比が約1未満である、請求項1または2に記載の水性サイジング組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つのリン含有酸または硫黄含有酸の、前記アミンに対するモル比が約0.75未満である、請求項1または2に記載の水性サイジング組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのリン含有酸または硫黄含有酸の、前記アミンに対するモル比が約0.5未満である、請求項1または2に記載の水性サイジング組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアミンが、アミノシラン、イミダゾリン、アルキルイミダゾリン、エトキシレートアミンオキシド、もしくはポリアミノ脂肪酸誘導体、またはそれらの混合物を含む、請求項1〜5のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項7】
前記リン含有酸が、亜リン酸(phosphorus acid)、次亜リン酸(hypophosphorus acid)、ホスホン酸、有機リン酸またはそれらの混合物を含む、請求項1〜6のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項8】
前記リン含有酸が式(I):
【化5】

の化合物を含み、式中、Rは、−アルキル、−アルケニル、−アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−複素環、−アリールまたは−ヘテロアリールであり、そして、Rは−水素、−アルキル、−アルケニル、−アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−複素環、−アリールまたは−ヘテロアリールである、
請求項1〜7のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項9】
前記リン含有酸が式(II):
【化6】

の化合物を含み、式中、RおよびRは、−水素、−アルキル、−アルケニル、−アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−複素環、−アリールまたは−ヘテロアリールからなる群より独立して選択される、
請求項1〜7のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つの硫黄含有酸が、スルホン酸、有機スルホン酸、亜硫酸水素塩、もしくは亜硫酸、またはそれらの混合物を含む、請求項1〜9のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項11】
前記酸−アミン成分が、総固形物を基準にして、前記サイジング組成物の最大約100重量パーセントの量で存在する、請求項1〜10のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの追加的な酸をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つの追加的な酸がカルボン酸を含む、請求項12に記載の水性サイジング組成物。
【請求項14】
前記カルボン酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、もしくはステアリン酸、またはそれらの混合物を含む、請求項13に記載の水性サイジング組成物。
【請求項15】
少なくとも1つのフィルム形成剤をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項16】
少なくとも1つのカップリング剤をさらに含む、請求項1〜15のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項17】
前記リン含有酸のリン原子の酸化状態が5ではない、請求項1〜16のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項18】
前記硫黄含有酸の硫黄原子の酸化状態が6ではない、請求項1〜17のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項19】
前記サイジング組成物が一次サイジング組成物である、請求項1〜18のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項20】
前記サイジング組成物が二次サイジング組成物である、請求項1〜19のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項21】
ガラス繊維のための水性サイジング組成物であって、
酸−アミノシラン成分を含み、該酸−アミノシラン成分は少なくとも1つのリン含有酸または硫黄含有酸の分子と結合されている少なくとも1つのアミノシランの分子を含む、水性サイジング組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1つのアミノシランが、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、β−アミノエチルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチルアミノ−プロピルトリメトキシシラン、もしくは3−アミノプロピルジメトキシシラン、またはそれらの混合物を含む、請求項21に記載の水性サイジング組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1つのリン含有酸または硫黄含有酸の、前記アミノシランに対するモル比が約1未満である、請求項21または22に記載の水性サイジング組成物。
【請求項24】
前記少なくとも1つのリン含有酸または硫黄含有酸の、前記アミノシランに対するモル比が約0.75未満である、請求項21または22に記載の水性サイジング組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1つのリン含有酸または硫黄含有酸の、前記アミノシランに対するモル比が約0.5未満である、請求項21または22に記載の水性サイジング組成物。
【請求項26】
少なくとも1つの追加的な酸をさらに含む、請求項21〜25のいずれか1つに記載の水性サイジング組成物。
【請求項27】
前記少なくとも1つの追加的な酸がカルボン酸を含む、請求項26に記載の水性サイジング組成物。
【請求項28】
ガラス繊維ストランドであって、
酸−アミン成分を含む水性サイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされた少なくとも1つのガラス繊維を含み、該酸−アミン成分が少なくとも1つのリン含有酸または硫黄含有酸の分子と結合されている少なくとも1つのアミンの分子を含む、ガラス繊維ストランド。
【請求項29】
複合材料であって、
ポリマー樹脂、および
該ポリマー樹脂の中に配置された複数のガラス繊維を含み、該複数のガラス繊維の少なくとも1つは、請求項1に記載の水性サイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされている、複合材料。
【請求項30】
前記複数のガラス繊維が、前記複合材料の最大約90重量パーセントの量で存在する、請求項29に記載の複合材料。
【請求項31】
前記ポリマー樹脂が熱可塑性樹脂を含む、請求項29または30に記載の複合材料。
【請求項32】
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリエステルまたはそれらの共重合体もしくは混合物を含む、請求項31に記載の複合材料。
【請求項33】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性樹脂を含む、請求項29または30に記載の複合材料。
【請求項34】
前記熱硬化性樹脂が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリフェノール、エポキシ(expoxy)またはそれらの共重合体もしくは混合物を含む、請求項33に記載の複合材料。
【請求項35】
複合材料を製造する方法であって、
複数のコーティングされたガラス繊維をポリマー樹脂中に配置する工程を含み、該複数のガラス繊維の少なくとも1つは、請求項1に記載の水性サイジング組成物で少なくとも部分的にコーティングされている、方法。

【公表番号】特表2011−504161(P2011−504161A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533313(P2010−533313)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/082941
【国際公開番号】WO2009/062137
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】