説明

ガラス製品のゴブ検査装置

【課題】オリフィスから切り出されたゴブ形状を容易に解析できるようにし、ガラス製品の品質を向上させる。
【解決手段】オリフィスから切り出されて落下しているゴブを水平方向にスキャンするラインセンサカメラと、該ラインセンサカメラからのデータを処理する処理手段を有し、該処理手段は、ゴブ1個分の前記データにおいて所定の明るさ閾値BB1を超える素子数の合計が所定の素子数閾値EBを超えたときに不良ゴブであると判定することで、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスびんなどのガラス製品を、成形機で大量に製造する際に、金型に装入するゴブの異物、泡及びゴブ形状の検査を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスびんなどのガラス製品の、傷、泡、異物などの欠陥の検査は、徐冷炉で徐冷された後に(いわゆるコールドエンドで)可視光により行われている。このような装置は、一般に下記特許文献1〜3に示されるように、ガラス製品を回転させながら、製品に向かって投光器で光を照射し、その反射光又は透過光をカメラで捉え、その画像を処理して欠陥を発見するものである。
【0003】
一方、ガラスびんなどのガラス製品を、成形機で大量に製造する際に、金型に装入するゴブの体積又は重量を測定する装置ないし方法が、下記特許文献4〜6に開示されている。
特許文献6には、さらに、ゴブ形状の3次元データを好適なゴブ形状のデータと比較し、ゴブの形状を適切なゴブ形状に近づけてガラス製品の品質を向上させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−4649号公報
【特許文献2】特開2000−19130号公報
【特許文献3】特開平7−103915号公報
【特許文献4】特公昭63−52326号公報
【特許文献5】特開平7−33445号公報
【特許文献6】WO2003/8348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
成形されたガラス製品について行う従来の欠陥検査は、欠陥が発生した製品部分によって正確な検査が困難な場合がある。例えばガラスびんの場合、口部や底部における泡、異物の欠陥を洩れなく発見するのは困難で、不良品が良品と判定され、検査をパスしてしまうことがあった。
【0006】
本発明は、このような検査洩れを少なくし、若しくはなくすことを課題とするものである。
【0007】
ガラス製品の表面に発生する傷(微小クラック、しわなど)や凹凸は、ゴブの形状に起因する場合が多い。
前記特許文献6は、ゴブ形状の3次元データを好適なゴブ形状のデータと比較し、ゴブの形状を好適なゴブ形状に近づけてガラス製品の品質を向上させるものである。
しかし、ゴブは2〜3秒程度の間隔でオリフィスから切り出されるものであるから、このような短い間にゴブ形状の3次元データを比較解析するのは困難で、仮に可能とあるとしても非常に高価な測定機器、データ処理機器を必要とし、実用的ではない。
【0008】
本発明は、容易にゴブ形状の解析ができるようにし、実用的にガラス製品の品質を向上させることをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
〔請求項1〕
本発明は、オリフィスから切り出されて落下しているゴブを水平方向にスキャンするラインセンサカメラと、該ラインセンサカメラからのデータを処理する処理手段を有し、該処理手段は、ゴブ1個分の前記データにおいて所定の明るさ閾値BB1を超える素子数の合計が所定の素子数閾値EBを超えたときに不良ゴブであると判定することを特徴とするガラス製品のゴブ検査装置である。
【0010】
オリフィスから切り出されたゴブは、高温のため発光している。落下しているゴブを水平方向にスキャンするラインセンサカメラで捉えることで、ゴブ全体をスキャンすることができる。
ゴブに泡や異物が混入していると、その部分が他の部分よりも明るくなるので、適宜の明るさ閾値BB1を設けることで、泡や異物の混入を知ることができる。(図4)
素子数閾値EBは、誤判定を避けるため、又は軽度の欠陥を許容するために適宜の値に設けられる。
【0011】
ラインセンサカメラを設ける位置は、オリフィスから切り出されて自由落下しているゴブを捉えられる位置であればよく、特に制限されないが、なるべく水平方向にゴブを捉えることが望ましい。
【0012】
ラインセンサカメラは、主に可視光を捉える、市販されている通常のものを使用できる。また、ゴブ自体が発光しているために、特に照明手段は必要としない。
【0013】
〔請求項2〕
また本発明は、オリフィスから切り出されて落下しているゴブを水平方向にスキャンするラインセンサカメラと、該ラインセンサカメラからのデータを処理する処理手段を有し、該処理手段は、前記データの各ラインにおいて所定の明るさ閾値BB2 を超える部分の素子数からゴブ幅Wを算出し、このゴブ幅Wを垂直方向に連続させることでゴブ画像を作成することを特徴とするガラス製品のゴブ検査装置である。
【0014】
明るさ閾値BB2 は、背景の明るさとゴブの明るさの間の適当な明るさを選択する。明るさ閾値BB2 を超える部分の素子数はゴブ幅Wに対応する。このゴブ幅Wを垂直方向に連続させることで、ゴブ画像が作成される。
ゴブ画像は、実際のゴブの形状とは若干異なっている。これは、ゴブが落下する速度は重力加速度により増加するため、カメラでスキャンするラインの間隔が下方ほど広くなるからである。しかし、作成されたゴブ画像はゴブ形状の特徴を反映しているので、ゴブ画像を解析することで、ゴブ形状の欠点を見出し、正常なゴブ形状に復旧する処置を講じることが可能となる。
【0015】
〔請求項3〕
また本発明は、前記処理手段が、1個分の前記ゴブ画像において所定の明るさ閾値BB1 を超える素子数の合計が所定の素子数閾値EBを超えたときに不良ゴブであると判定することを特徴とする請求項2に記載の検査装置である。
【0016】
この発明は、前記請求項1と請求項2の発明を組み合わせたものである。
【0017】
〔請求項4〕
また本発明は、前記処理手段が、1個分の前記ゴブ画像において、前記ゴブ幅Wが所定のゴブ幅閾値WBに満たないラインの数を算出し、そのライン数が所定のライン数閾値LBを超えるときに不良ゴブであると判定する請求項2又は3に記載の検査装置である。
【0018】
この発明は、糸引きの欠陥のあるゴブ(図5)を発見できる。糸引き部分は、多数のラインにおいてゴブ幅が極端に狭くなるので、適宜のゴブ幅閾値WBとライン数閾値LBを設け、ゴブ幅Wが所定のゴブ幅閾値WBに満たないラインの数を算出し、そのライン数が所定のライン数閾値LBを超えるときに、糸引きによる不良ゴブであると判定できる。
糸引きゴブは、製品表面に傷(しわ、微小クラックなど)や凹凸を生じさせる原因となる。
【0019】
〔請求項5〕
また本発明は、ガラス製品の成形機から徐冷炉までの間のコンベア上を搬送されているガラス製品を排除するリジェクタを有し、前記処理手段が、判定した前記不良ゴブから成形したガラス製品を該リジェクタで前記コンベア上から排除する請求項1、3又は4に記載の検査装置である。
【0020】
泡、異物、糸引きの不良ゴブで成形した製品には欠陥が生じるので、不良ゴブで成形した製品を排除することで、コールドエンドにおける検査で欠陥製品がパスしてしまう危険を大幅に減少できる。
不良ゴブ自体を排除しないで、製品成形後に排除するのは、ゴブ自体を排除すると製品を成形しない(1回パス)の金型が生じ、この金型が冷えてしまい、次に成形する製品に微小クラックやしわなどの欠陥が生じる可能性があるからである。
製品の排除を成形機から徐冷炉までの間で行うのは、処理手段に成形機のタイミング信号などを送ることで、処理手段が、検査したゴブで成形した製品がリジェクタの正面に到達して排除するタイミングを個別に把握でき、正確に不良ゴブによる製品を排除できるからである。
リジェクタは、コンベア上のガラス製品をエアで吹き飛ばすタイプのもの、押し出すタイプのものなど、周知のものを使用できる。
【0021】
〔請求項6〕
また本発明は、前記処理手段が記憶手段及び表示手段を備え、前記ゴブ画像を該記憶手段に記録でき、それを該表示手段に表示可能である請求項2〜5のいずれかに記載の検査装置である。
【0022】
ゴブ画像を記憶手段(メモリ、ハードディスクなど)に記録しておくことで、必要に応じてそれらの画像を表示手段(CRT,液晶モニタなど)に呼び出し、不良品が発生した原因の解析などに利用することができる。
【0023】
〔請求項7〕
また本発明は、前記記憶手段に、好ましい形状を有する基準ゴブ画像が記録され、前記表示手段に該基準ゴブ画像と検査を行うゴブ画像を同一画面に表示できる請求項6に記載の検査装置である。
【0024】
好ましい形状のゴブ画像(基準ゴブ画像)は、良好な製品を安定して成形しているときの、本発明装置により作成したゴブ画像を用いることができる。
基準ゴブ画像と検査を行うゴブ画像を同一画面に表示することで、検査中のゴブ形状の解析を容易に行うことができる。特に、図6(C)のように重ね合わせて表示できるようにすることが望ましい。
【0025】
〔請求項8〕
また本発明は、前記処理手段が、前記基準ゴブ画像と検査を行うゴブ画像を重ね合わせる処理を行い、重なり合う画像部分の画素数が所定の画素数閾値PB1 よりも少ないとき、又は重なり合わない画像部分の画素数が所定の画素数閾値PB2 を超えるときに不良ゴブであると判定する請求項7に記載の検査装置である。
【0026】
基準ゴブ画像と検査を行うゴブ画像を重ね合わせる処理は、例えば、両画像の重心が一致するように重ね合わせることができる。重なり合う画像部分の画素数が少ないとき、又は重なり合わない画像部分の画素数が多いときは、検査を行うゴブの形状が基準ゴブの形状と大きく異なっていることになり、このような不良ゴブを自動的に発見できる。
【0027】
〔請求項9〕
また本発明は、前記重ね合わせる処理を、前記基準ゴブ画像と検査を行うゴブ画像の異なる位置関係で複数回行い、その重なり合う画像部分の最大画素数が所定の画素数閾値PB1 よりも少ないとき、又は重なり合わない画像部分の最小画素数が所定の画素数閾値PB2 を超えるときに不良ゴブであると判定する請求項8に記載の検査装置である。
【0028】
基準ゴブ画像と検査を行うゴブ画像を重ね合わせる処理を、例えば両画像の重心が一致する位置関係だけでなく、それから少しずつずらした複数の位置関係で行うことで、形状不良ゴブの判定精度が向上する。
【0029】
〔請求項10〕
また本発明は、警報手段を備え、前記処理手段が前記不良判定をしたときに該警報手段を作動させる請求項8又は9に記載の検査装置である。
【0030】
自動的にゴブの形状不良が発見されたときに警報を発することで、速やかに対処し、必要に応じて、正常なゴブ形状に復旧する処置を講じることが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
ゴブの形状は、製品の形状に比べて単純であるので、泡、異物などの混入を精度良く発見できる。
不良ゴブから成形された製品をホットエンドで排除することで、コールドエンドの検査で欠陥製品がパスしてしまう危険を大幅に減少できる。
ラインセンサカメラを用い、データの解析も簡単なので、設備費用が安価であり、2秒程度の間隔で切り出される全てのゴブの検査にも十分に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】オリフィスから切り出されたゴブとラインセンサカメラの説明図である。
【図2】実施例の検査装置の概略の説明図である。
【図3】ラインデータと明るさ閾値の説明図である。
【図4】ゴブ画像の説明図である。
【図5】ゴブ画像の説明図である。
【図6】ゴブ画像と基本ゴブ画像の説明図である。
【図7】ゴブ画像と基本ゴブ画像の重ね合わせ位置関係の説明図である。
【図8】成形機で成形されたガラス製品が条例炉に入るまでの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0033】
以下、いわゆるIS成形機でガラス製品(ガラスびん)を成形する過程におけるゴブの検査に適用した実施例について説明する。
図1は、オリフィス21からゴブ10が切り出されたところを示している。
溶融ガラス25が満たされたスパウト20には、回転するチューブ23、上下動するプランジャ24が装備され、プランジャ24が下降して溶融ガラス25がオリフィスから押し出されると、シャー22が作動してこれを切断し、ゴブ10が切り離されて落下する。
落下したゴブは、トラフ、デフレクタなどの移送手段26により、成形機に装備された金型(粗型)内に装入され、成形される。
【0034】
ラインセンサカメラ1は、シャーカットされて自由落下するゴブを水平方向に見るように設置されている。ラインセンサカメラ1の受光素子列は水平に向いており、ゴブを水平方向にスキャンする。
ラインセンサカメラ1が設置される環境は高温であるので、カメラはクーリングボックス(図示せず)内に収納するなどして冷却することが望ましい。
【0035】
図2は、実施例の検査装置の構成の概略を示している。
この検査装置は、ラインセンサカメラ1、処理手段2、リジェクタ3、表示手段4、入力手段及び警報手段などを有する。
ラインセンサカメラ1は、移動体の表面を線視野で捉え、一定ピッチ毎に平均した走査をおこないビデオ信号として出力する。今回使用したカメラは水平方向に2048画素有し、高分解能な画像取り込みができる。ゴブが素子列と直角方向に移動することによって、ゴブの全面を画像データとして取り込む。
処理手段2は市販のコンピュータ(パーソナルコンピュータ)で、記憶手段(メモリ、ハードディスク)を内蔵し、表示手段4(モニタ)及び入力手段(キーボード、マウス)が接続されている。
警報手段は、ブザー、点滅灯などである。
【0036】
IS成形機6は、この場合第1セクションから第10セクションの10個のセクション(図1における丸数字はセクション番号を表す。)を有し、第1セクションがコンベアの最も下流側、第10セクションが最も上流側になっている。(図8)
IS成形機6に附属している制御システムは、シャーカット信号、タイミング信号、リセット信号を有する。
シャーカット信号は、制御システムがシャー22を動作させるときに発するパルス信号である。
タイミング信号は、IS成形機の動作速度に同期したパルス信号で、例えば、1周期の動作を完了する間(全てのセクションで1回成形を完了する間)に1800パルスを出力する。
ゴブを切断するシャーカットのタイミング、成形機の全ての部分の動作やコンベア7の搬送速度などはこのタイミング信号に同期している。
リセット信号は、IS成形機6が1周期の動作を完了するごとに1パルス出力されるものである。
【0037】
処理手段2は、IS成形機6の制御システムからシャーカット信号、タイミング信号及びリセット信号を受け取ることで、検査したゴブから成形されたガラス製品11がリジェクタ3の正面まで搬送されてリジェクタを動作させるタイミングを把握できる。(図8)
【0038】
ラインセンサカメラ1からのデータ(ラインデータ)は処理手段2に送られ、解析される。
図3は、ラインデータの1例で、横軸がカメラの素子配列の座標、縦軸が各素子で検出された明るさ(電圧)である。ラインデータは、図3の左から右に向かってスキャンされ、処理手段2に送られる。
明るさには2つの閾値BB1、BB2 が設けられている。
明るさが閾値BB2 を超えた素子座標から、閾値BB2 より暗くなる素子座標までの距離(素子数)がそのラインのゴブ幅Wになる。
図3において、明るさが閾値BB1 よりも明るい領域E1、E2 がある。この部分は、泡又は異物の欠陥があって、他の部分よりも明るくなっているところである。
【0039】
図4は、このゴブ幅Wを垂直方向に連続させることで作成したゴブ画像12の例である。
このゴブには泡14と異物15が入っている。一般に泡14は、その周りの部分が明るくなる。異物15はその全体が明るくなる。
明るさ閾値BB1 は、泡や異物の部分の明るさと一般部分の明るさの中間の適当な明るさに設定されているので、ゴブ1個分のラインデータにおいて、BB1 よりも明るい領域E1、E2 の素子数の総計、Σ(E1+E2+・・)が、そのゴブに存在する欠陥の面積に相当し、その総計が所定の素子数閾値EBを超えたときに不良ゴブであると判定される。
素子数閾値EBは、誤判定を避けること、軽度の欠陥の又は許容されるべき程度を考慮して適宜に定めればよい。
【0040】
図5は、他のゴブ画像の例である。
これは、いわゆる糸引き16の欠陥があるゴブで、シャーに異物(溶解窯の不溶レンガ粒など)が挟まったときなどに発生する。
糸引き16の部分は、極端に狭いゴブ幅Wとなっているラインが多数存在するから、所定のゴブ幅閾値WBとライン数閾値LBを適宜に定め、ゴブ幅閾値WBに満たないゴブ幅となっているラインの数を算出し、そのライン数がライン数閾値LBよりも多くなっているときに、糸引きの欠陥を有する不良ゴブと判断される。
【0041】
図6(A)は、検査中のゴブ画像の一例を示している。ゴブ画像は、必要に応じて記憶手段に記録される。
図6(B)は、既に記録手段に記録されている基準ゴブ画像の例である。これは、良好な製品を安定して成形しているときに作成し、記録した画像である。
表示手段には、(C)に示すように、ゴブ画像12と基準ゴブ画像13を、これらの重心G、G’が一致するように重ねて表示できる。このようにすることで、検査中のゴブの形状を容易に考察できる。
【0042】
また、本実施例の処理手段は、基準ゴブ画像と検査を行うゴブ画像を重ね合わせる処理を自動的に行い、重なり合う画像部分(格子模様の部分)の画素数が所定の画素数閾値PB1 よりも少ないとき、又は重なり合わない画像部分(斜線模様の部分)の画素数が所定の画素数閾値PB2 を超えるときに不良ゴブであると判定する。
このとき、基準ゴブ画像と検査を行うゴブ画像を重ね合わせる処理は、双方の画像の重心がG、G’が一致する位置関係のみならず、図7に示すように、GとG’の位置が少しずれる多数の位置関係について行い、その多数の重ね合わせパターンの中から、重なり合う画像部分の画素数が最も多いパターンにおけるその画素数が所定の画素数閾値PB1 よりも少ないとき、又は、重なり合わない画像部分の最も少ないパターンにおけるその画素数が所定の画素数閾値PB2 を超えるときに不良ゴブであると判定される。
【0043】
泡、異物、糸引きによって不良ゴブと判定されたゴブから成形された製品は、ホットエンドにおいて排除される。
図8は、成形機で成形されたガラス製品が徐冷炉に入るまでの様子を示している。
実施例の検査装置で検査されたゴブは、IS成形機の粗型に装入され、成形機内でパリソン成形、仕上成形が行われ、成形されたガラス製品11はコンベア7の上を徐冷炉8に向かって搬送されて行き、プッシャー9によって徐冷炉8の中に送り込まれる。
リジェクタ3は、IS成形機6と徐冷炉8の間のコンベア7の脇に設けられている。
処理手段2は、不良と判定したゴブ10から成形されたガラス製品11が、リジェクタ3の正面に搬送されてくるタイミングでリジェクタ3を作動させ、そのガラス製品を廃棄部5に向かって吹き飛ばし、コンベア7上から排除する。
【0044】
処理手段は、基準ゴブ画像と検査を行うゴブ画像の重ね合わせ処理から不良ゴブと判定した場合、直ぐに警報手段を作動させ、警報を発する。
これにより、係員はそのゴブの画像を基準ゴブ画像と共に表示手段の画面に呼び出し、ゴブ形状を解析することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ラインセンサカメラ
2 処理手段
3 リジェクタ
4 表示装置
5 廃棄部
6 成形機
7 コンベア
8 徐冷炉
9 プッシャー
10 ゴブ
11 ガラス製品
12 ゴブ画像
13 基準ゴブ画像
14 泡
15 異物
16 糸引き
20 スパウト
21 オリフィス
22 シャー
23 チューブ
24 プランジャ
25 溶融ガラス
26 移送手段
27 金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリフィスから切り出されて落下しているゴブを水平方向にスキャンするラインセンサカメラと、
該ラインセンサカメラからのデータを処理する処理手段を有し、
該処理手段は、ゴブ1個分の前記データにおいて所定の明るさ閾値BB1を超える素子数の合計が所定の素子数閾値EBを超えたときに不良ゴブであると判定することを特徴とするガラス製品のゴブ検査装置。
【請求項2】
オリフィスから切り出されて落下しているゴブを水平方向にスキャンするラインセンサカメラと、
該ラインセンサカメラからのデータを処理する処理手段を有し、
該処理手段は、前記データの各ラインにおいて所定の明るさ閾値BB2を超える部分の素子数からゴブ幅Wを算出し、このゴブ幅Wを垂直方向に連続させることでゴブ画像を作成することを特徴とするガラス製品のゴブ検査装置。
【請求項3】
前記処理手段が、1個分の前記ゴブ画像において所定の明るさ閾値BB1を超える素子数の合計が所定の素子数閾値EBを超えたときに不良ゴブであると判定することを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記処理手段が、1個分の前記ゴブ画像において、前記ゴブ幅Wが所定のゴブ幅閾値WBに満たないラインの数を算出し、そのライン数が所定のライン数閾値LBを超えるときに不良ゴブであると判定する請求項2又は3に記載の検査装置。
【請求項5】
ガラス製品の成形機から徐冷炉までの間のコンベア上を搬送されているガラス製品を排除するリジェクタを有し、前記処理手段が、判定した前記不良ゴブから成形したガラス製品を該リジェクタで前記コンベア上から排除する請求項1、3又は4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記処理手段が記憶手段及び表示手段を備え、前記ゴブ画像を該記憶手段に記録でき、それを該表示手段に表示可能である請求項2〜5のいずれかに記載の検査装置。
【請求項7】
前記記憶手段に、好ましい形状を有する基準ゴブ画像が記録され、前記表示手段に該基準ゴブ画像と検査を行うゴブ画像を同一画面に表示できる請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記処理手段が、前記基準ゴブ画像と検査を行うゴブ画像を重ね合わせる処理を行い、重なり合う画像部分の画素数が所定の画素数閾値PB1よりも少ないとき、又は重なり合わない画像部分の画素数が所定の画素数閾値PB2を超えるときに不良ゴブであると判定する請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
前記重ね合わせる処理を、前記基準ゴブ画像と検査を行うゴブ画像の異なる位置関係で複数回行い、その重なり合う画像部分の最大画素数が所定の画素数閾値PB1よりも少ないとき、又は重なり合わない画像部分の最小画素数が所定の画素数閾値PB2を超えるときに不良ゴブであると判定する請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
警報手段を備え、前記処理手段が前記不良判定をしたときに該警報手段を作動させる請求項8又は9に記載の検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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