説明

ガラス

【課題】LiO成分を含有していても低い平均線膨張係数を有し、熱間加工においても失透が生じず、比較的低温での溶融が可能であるガラスを提供すること。
【解決手段】 酸化物基準の質量%で、SiO成分、B成分、Al成分およびLiO成分を含有し、これらの成分の合量が90%以上であり、これらの成分の質量%の比LiO/Alが0.9以上であり、0〜300℃における平均線膨張係数が30×10−7−1以下であるガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種基板材やMEMS装置の気密封止部材として有用な低い平均線膨張係数を有するガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
平均線膨張係数の低いガラスは精密機器分野における基板材、耐熱ガラス等の幅広い分野で使用されており、近年では望遠鏡用のミラー基板用などの用途において、平均線膨張係数が低く、かつ熱間加工性に優れたガラスが求められている。
また、センサまたはアクチュエータ(機械的駆動機構)と、それを駆動する集積回路とが混在するMEMS(マイクロエレクトロニクスメカニカルシステム)装置においては、外部要因から内部を保護するための気密封止する方法として陽極接合が用いられる。この陽極接合とはガラスとシリコンウエハを接合する方法であり、これに用いられるガラスは可動イオンを含有し、シリコンウエハと近似した低い平均線膨張係数を有することが好ましい。
【0003】
また、上記気密封止基板を、ガラスよりも大量生産性に優れるグリーンシート焼結により作製するという考えもある。アルミナやコージェライトなどのセラミックスとガラスを混合焼結したものである。ここで、セラミックスは絶縁性や高機械強度の発現要素として、そしてガラスはセラミックス粒子の結着材としてそれぞれ機能する。この場合、一般的に用いられるアルミナやコージェライトなどのセラミックスを用いる場合、アルミナやコージェライト自体はシリコンよりも膨張係数が大きいため、フィラーガラスの膨張係数をシリコンよりも小さくし、焼結体としての膨張係数をシリコンに近似する様に調整する必要がある。
【0004】
集積回路とMEMS装置の混在するデバイスを、携帯電話などの民生用に活用するためには、低コストで製造する必要がある。従って、上記機密封止基板自体も低コストで作られる必要があり、ガラスにも低コスト化が求められている。
【0005】
ガラスを低温で溶融することが可能であれば低コストにつながるが、ガラスを低温で溶融するためには、アルカリ成分を含有させることが有効であり、同時にアルカリ成分は陽極接合時の可動イオンとして機能する。しかし、アルカリ成分はガラスの平均線膨張係数を増大させるため、低温での溶融が可能な低膨張ガラスを得ることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許文献1には低膨張ガラスが開示されているが、熱膨張係数(平均線膨張係数)は36〜39×10−7−1であり、十分に低い平均線膨張係数が得られておらず、リヒートプレスなどの熱間加工性については議論されていない。
さらに可動イオンとして好ましいリチウム成分の含有量が少なく、陽極接合性が低いことが予測される。
【特許文献1】特開平1−93437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題はLiO成分を含有していても低い平均線膨張係数を有し、熱間加工においても失透が生じず、比較的低温での溶融が可能であるガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記の課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定成分の含有範囲を規定することによって、上記の課題を解決することを見いだし、この発明を完成したものであり、その具体的な構成は以下の通りである。
【0009】
(構成1)
酸化物基準の質量%で、SiO成分、B成分、Al成分およびLiO成分を含有し、これらの成分の合量が90%以上であり、
これらの成分の質量%の比LiO/Alが0.9以上であり、
0〜300℃における平均線膨張係数が30×10−7−1以下であるガラス。
(構成2)
酸化物基準の質量%で、
SiO 64%〜95%
2%〜35%
Al 0.1%〜10%
Li 0.1%〜10%
の各成分を含有する構成1に記載のガラス。
(構成3)
酸化物基準の質量%で、
NaO成分を0〜5%、および/または
O成分を0〜5%、および/または
CsO成分を0〜5%
の各成分を含有する構成1または2に記載のガラス。
(構成4)
酸化物基準の質量%で、NaO成分、LiO成分、KO成分およびCsO成分の合量が17%以下である構成1〜3のいずれかに記載のガラス。
(構成5)
酸化物基準の質量%で、
MgO成分を0〜5%、および/または
CaO成分を0〜5%、および/または
SrO成分を0〜5%、および/または
BaO成分を0〜5%、
の各成分を含有する構成1〜4のいずれかに記載のガラス。
(構成6)
酸化物基準の質量%でAs成分および/またはSb成分を0%〜2%含有する構成1〜5のいずれかに記載のガラス。
(構成7)
酸化物基準の質量%でCeO成分および/またはSnO成分を0%〜2%含有する構成1〜6のいずれかに記載のガラス。
(構成8)
ガラス転移点が600℃以下である構成1〜7のいずれかに記載のガラス。
(構成9)
粘度が103.0dPa・sを示すときの温度が1500℃以下である構成1〜8のいずれか記載のガラス。
【発明の効果】
【0010】
本発明によればLiO成分を含有しながらも、30×10−7−1以下の低い平均線膨張係数を有し、リヒート成形などの熱間加工においてもガラスに失透が生じにくいガラスを得ることが可能である。また、本発明ガラスはその製造工程において、原料からガラス融液を得る際の最高温度(以下「溶融温度」とする)を1600℃以下とすることが可能であり、低コストでの生産が可能である
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例15と比較例1(コーニング社#7740)の温度−粘度グラフの図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のガラスの平均線膨張係数は、熱的寸法安定性を要求する各種基板材、構造部材、または透過光学系材料等として好ましく適用可能となるために、0℃〜300℃において30×10−7−1以下が好ましく、29×10−7−1以下がより好ましく、28×10−7−1以下が最も好ましい。また、0℃〜300℃における平均線膨張係数の下限値は、本発明のガラスにおいては15×10−7−1まで得ることが可能である。
【0013】
ガラス転移点は、熱間加工を要する各種基板材、構造部材等として好ましく適用可能となるために、600℃以下が好ましく、595℃以下がより好ましく、590℃以下が最も好ましい。また、ガラス転移点は低い程好ましいが、本発明のガラスにおいては490℃まで低い値を示すことが可能である。本発明のガラスはこのようにガラス転移点が低いため、リヒート成形などの熱間加工においても低い温度で加工することが可能である。
【0014】
ガラス原料の溶融温度はガラス製造のコストを低くし、ガラスの清澄を容易とするために1600℃以下であることが好ましく、1580℃以下がより好ましく、1560℃以下が最も好ましい。また、本発明のガラスの前記溶融温度は1450℃程度まで低い値を示すことが可能である。
【0015】
本発明のガラスを構成する各成分について説明する。なお、特に記載の無い場合、本明細書においては前記各成分は酸化物基準の質量%にて表現する。
ここで、「酸化物基準」とは、本発明のガラスの構成成分の原料として使用される酸化物、硝酸塩等が溶融時にすべて分解され酸化物へ変化すると仮定して、ガラス中に含有される各成分の組成を表記する方法であり、この生成酸化物の質量の総和を100質量%として、ガラス中に含有される各成分の量を表記する。
【0016】
本発明のガラスは酸化物基準の質量%で、SiO成分、B成分、Al成分およびLiO成分を含有し、これらの成分の合量が90%以上であり、これらの成分の質量%の比LiO/Alが0.9以上であることを特徴とする。
これらの条件を満たすことにより、LiO成分を比較的多く含有しつつ低い平均線膨張係数を有するガラスを得ることができる。
【0017】
SiO成分、B成分、Al成分およびLiO成分の合量が90%未満であると低い平均線膨張係数が得られないため、前記の合量は90%以上が好ましく、92%以上がより好ましく、94%以上が最も好ましい。
【0018】
LiO成分のAl成分に対する比LiO/Alの値が0.9未満であると溶融温度が高くなってしまう。従って、LiO/Alの値は0.9以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.1以上が最も好ましい。またこの値が11を超えると低い平均線膨張係数が得難くなり、熱間加工時に失透が生じやすくなるためLiO/Alの値は11以下が好ましく、10.5以下がより好ましく、10以下が最も好ましい。
【0019】
SiO成分はガラス骨格を形成する成分であり、その含有量が64%未満であると、所望の平均線膨張係数が得難くなるためSiO成分の含有量の下限は64%以上とすることが好ましく、65%以上とすることがより好ましく、66%以上とすることが最も好ましい。
また、本発明のガラスの溶融温度をより低くし、低温溶融性を得やすくするためには、前記SiO成分の含有量の上限は95%以下とすることが好ましく、93%以下とすることがより好ましく、90%以下とすることが最も好ましい。
【0020】
成分もSiO成分と同様にガラス骨格を形成する成分であり、この成分の含有量が2%未満であると、ガラス原料の溶融が困難となりやすいため、前記B成分の含有量の下限を2%以上とすることが好ましく、3%以上とすることがより好ましく、4%以上とすることが最も好ましい。
また、前記B成分の含有量が35%を超えるとガラスの平均線膨張係数が大きくなるとともに、分相傾向が増大するため、前記B成分の含有量の上限は35%以下とすることが好ましく、33%以下とすることがより好ましく、30%以下とすることが最も好ましい。
【0021】
Al成分は本発明のガラス骨格を形成することができ、また、分相を抑制する成分である。Al成分が0.1%未満であると、平均線膨張係数が大きくなりやすくなるとともに、ガラスの分相傾向が大きくなりやすく、熱間成型時に失透が生じやすくなるため、0.1%以上とすることが好ましく、0.12%以上とすることがより好ましく、0.13%とすることが最も好ましい。
またAl成分の含有量が10%を超えると溶融温度が高温になるとともに、ガラス転移点が高くなるため、熱間加工性が悪くなりやすい。従って、Al成分の上限は10%以下とすることが好ましく、9%以下とすることがより好ましく、8%以下とすることが最も好ましい。
【0022】
LiO成分はガラス転移点の低下、溶融温度の低下に貢献する成分である。また、陽極接合時の可動イオンとして振る舞い、陽極接合性を良好とする成分である。LiO成分の含有量が0.1%未満であると、低い溶融温度が得られにくくなり、陽極接合性が良好で無くなるために、LiO成分の下限は0.1%であることが好ましく、0.15%であることがより好ましく、0.2%であることが最も好ましい。
また、LiO成分の含有量が10%を超えると平均線膨張係数が大きくなりやすく、熱間成形時にガラスが失透し易くなるためLiO成分の上限は10%であることが好ましく、9%であることがより好ましく、8%であることが最も好ましい。
【0023】
NaO成分、KO、CsOの各成分はガラス転移点の低下および溶融温度を低下させやすくする成分であり、任意で添加できる成分である。ただし含有量が大きくなると平均線膨張係数が大きくなりやすく、陽極接合時には電気抵抗が増大することから、その含有量の上限はそれぞれ、好ましくは5%以下、より好ましくは4.5%以下であり、最も好ましくは4%以下である。
【0024】
また、LiO成分、NaO成分、KO、CsO成分の合計の含有量が17%を超えると平均線膨張係数が大きくなりやすく、熱間成型時に失透が生じやすく、化学的耐久性が悪化しやすくなることから、これらの成分の合計量は17%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、14%以下であることが最も好ましい。
【0025】
O成分を含有する場合、KO成分がLiO成分よりも多いと平均線膨張係数が大きくなりやすいため、KO成分はLiO成分と同等または少ないほうが好ましい。
【0026】
MgO成分、CaO成分は溶融温度を低くさせやすくする任意で添加できる成分である。ただし含有量が大きくなると、ガラス転移点が高くなるとともに、熱間成型時の失透性が増大するため、その含有量の上限は、それぞれ好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、最も好ましくは2%以下である。
【0027】
SrO成分は溶融温度を低下させやすくする任意で添加できる成分である。ただし添加量が多いと平均線膨張係数が大きくなりやすくなるため、その含有量の上限は、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、最も好ましくは2%以下である。
【0028】
BaO成分はガラスの分相を抑制しやすくするとともに、溶融温度を低下させやすくする任意で添加できる成分である。ただし添加量が多いと平均線膨張係数が大きくなりやすくなるため、その含有量の上限は、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、最も好ましくは2%以下である。
【0029】
As成分およびSb成分はガラスの清澄剤として任意で添加できる成分である。ただし多量に加えても清澄効果は大きくならないため、As成分および/またはSb成分の含有量は2%を上限とし、好ましくは1.3%以下、最も好ましくは1%以下である。
【0030】
しかし、As成分およびSb成分は近年人体や環境への影響を考慮して使用が控えられる傾向にあり、この点においてはこれらの成分はできるだけ含有しないことが好ましい。本発明のガラスにおいては上記清澄剤の代替としてCeO成分および/またはSnO成分を使用できる。これらの成分もAs成分およびSb成分と同様に多量に加えても清澄効果は大きくならないため、CeO成分および/またはSnO成分の含有量は2%を上限とし、好ましくは1.3%以下、最も好ましくは1%以下である。
【0031】
TiO成分を添加すると、ガラス転移点(Tg)が大幅に上がり、所望のTgが得にくくなる。また、熱処理をした時に結晶化を発生または促進させる成分であるため、含有しないことが好ましい。
【0032】
塩化物原料から導入されるCl、臭化物原料から導入されるBrは、揮発成分が環境に悪影響を与えるだけでなく、内部品質の不均質性の問題も生じやすい点で、含有しない方が好ましい。
【0033】
PbO成分はガラスを製造、加工、及び廃棄をする際に環境対策上の措置を講ずる必要があり、そのためのコストを要するため、本発明のガラスにPbOを含有させるべきでない。
【0034】
さらに本発明のガラスにおいては、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Eu、Nd、Sm、Tb、Dy、Er等の各成分は本発明の目的への貢献が少なく、ガラスが着色してしまうため透過光学系材料としての使用を考慮した場合、含有しないことが好ましい。
ただし、ここでいう含有しないとは、不純物として混入される場合を除き、人為的に含有させないことを意味する。
【0035】
ガラスの粘度が103.0dPa・sを示すときの温度は溶融温度と高い相関関係を有するので、溶融温度が低いことを示す指標として用いることができる。本発明のガラスは粘度が103.0dPa・sを示すときの温度が1500℃以下であり、より好ましい態様においては1490℃以下、最も好ましい態様においては1480℃以下となる。
【0036】
本発明のガラスの製造方法としては、公知の溶融法を用いる事が出来る。すなわち、本発明のガラスが酸化物基準で表わされた組成となるように珪砂、硼酸、酸化アルミニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、亜砒酸、五酸化アンチモン、酸化錫、酸化セリウム等からなるガラス原料を、石英、アルミナまたは白金などからなる坩堝へ充填する。そして電気炉、ガス炉などの溶融炉で加熱溶融する。本発明のガラスはガラス原料の溶融温度が1600℃以下であり、前記溶融炉での加熱溶融時の温度は1450℃〜1600℃、好ましい態様においては1450℃〜1550℃の温度で溶融することができる。
溶融後、必要に応じ清澄、撹拌を行いガラスを均質化させ、その後成形型に溶融ガラスを流しこみ急冷することによって成形、徐冷炉において徐冷する。
【0037】
徐冷炉から取りだしたガラスは必要に応じて切断、研削、研磨を行うことで、各種基板材、構造部材、透過光学系材料などを得ることができる。
【0038】
また、徐冷炉から取りだしたガラスを粉末状に加工し、アルミナやコージェライトなどのセラミックス粉末と共にグリーンシートを成形し、焼結することも可能である。
【実施例】
【0039】
本発明の実施例について説明する。ガラスが酸化物基準で表わされた表1に示す組成比となるように珪砂、硼酸、酸化アルミニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、亜砒酸からなるガラス原料バッチを調製した。バッチはアルミナまたは石英坩堝へ充填し、1400〜1500℃の電気炉により、6時間加熱溶融した。溶融したガラスを板状に成型し徐冷した。
【0040】
表1〜表5に本発明の実施例の酸化物基準の質量%で表わされたガラス組成、ガラス転移点(Tg)、0℃〜50℃における平均線膨張係数(α0〜50)、0℃〜50℃における平均線膨張係数(α0〜300)、比重、ガラスの粘度が103.0dPa・sを示すときの温度(T at 1E3 dPa.s)、80%の透過率を示す波長(λ80%)と5%の透過率を示す波長(λ5%)を示す。
また、図1に本発明の実施例15と比較例1の温度−粘度グラフを示す。
【0041】
なお、ガラスの粘度が103.0dPa・sを示すときの温度の測定は球引上げ式粘度計を用いて測定をすることができ、例えば有限会社オプト企業製BVM−13LHを用いて測定することができる。
また、平均線膨張係数はJOGIS(日本光学硝子工業会規格)16−2003「光学ガラスの常温付近の平均線膨張係数の測定方法」に則り、温度範囲を0℃から50℃および0℃から300℃の範囲に換えて測定した値をいう。
また、ガラス転移点はJOGIS08−2003「光学ガラスの熱膨張の測定方法」により測定した値である。
【0042】
透過率測定については、JOGIS02−2003に準じて行った。尚、本発明においては、着色度ではなく肉厚10mmのガラスにおいて80%の透過率を示す波長(λ80%)と5%の透過率を示す波長(λ5%)を示した。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率を測定し、透過率80%時の波長(λ80%)と5%の透過率を示す波長(λ5%)を求めた。



【0043】
【表1】

















【0044】
【表2】

















【0045】
【表3】


















【0046】
【表4】


















【0047】
【表5】

【0048】
次に本発明のガラスの熱間成型時の失透性を評価する為に、実施例15のガラスを約20×20×10mmサイズのブロックに加工し、本発明のガラスが粘度logη=7.5を示す温度である890℃となるように電気炉の温度を設定し、当該温度に到達した後に電気炉に前記のガラスを投入し、890℃で1hr保持し、熱処理をした。
熱処理後のガラスを観察したところ失透の発生はなく、熱処理の前後での透過率の変化を調査したところ、透過率に変化は見られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物基準の質量%で、SiO成分、B成分、Al成分およびLiO成分を含有し、これらの成分の合量が90%以上であり、
これらの成分の質量%の比LiO/Alが0.9以上であり、
0〜300℃における平均線膨張係数が30×10−7−1以下であるガラス。
【請求項2】
酸化物基準の質量%で、
SiO 64%〜95%
2%〜35%
Al 0.1%〜10%
Li 0.1%〜10%
の各成分を含有する請求項1に記載のガラス。
【請求項3】
酸化物基準の質量%で、
NaO成分を0〜5%、および/または
O成分を0〜5%、および/または
CsO成分を0〜5%
の各成分を含有する請求項1または2に記載のガラス。
【請求項4】
酸化物基準の質量%で、NaO成分、LiO成分、KO成分およびCsO成分の合量が17%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のガラス。
【請求項5】
酸化物基準の質量%で、
MgO成分を0〜5%、および/または
CaO成分を0〜5%、および/または
SrO成分を0〜5%、および/または
BaO成分を0〜5%、
の各成分を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のガラス。
【請求項6】
酸化物基準の質量%でAs成分および/またはSb成分を0%〜2%含有する請求項1〜5のいずれかに記載のガラス。
【請求項7】
酸化物基準の質量%でCeO成分および/またはSnO成分を0%〜2%含有する請求項1〜6のいずれかに記載のガラス。
【請求項8】
ガラス転移点が600℃以下である請求項1〜7のいずれかに記載のガラス。
【請求項9】
粘度が103.0dPa・sを示すときの温度が1500℃以下である請求項1〜8のいずれかに記載のガラス。

【図1】
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【公開番号】特開2010−228969(P2010−228969A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78571(P2009−78571)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000128784)株式会社オハラ (539)
【Fターム(参考)】