説明

ガングリオシドN−グリコリルGM3を認識する組み換え抗体及び断片と、腫瘍の診断及び治療におけるその使用

本発明は、本質的に、免疫原性の減少した免疫グロブリンの遺伝子工学による産生、より詳細にはガングリオシドN−グリコリル−GM3を含有するが、他のN−グリコリル型若しくはN−アセチル型ガングリオシドも硫酸グリコシドも含有しない抗原を認識するモノクローナル抗体に関する。特に、本発明は、ガングリオシドN−グリコリルGM3又は同誘導体断片に対する組み換えモノクローナル抗体をコードするペプチド配列に関する。本発明は、さらに上述した抗体又はその断片を含有する医薬品組成物並びに乳癌及びメラノーマに対する同組成物の診断的又は治療的使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫学の分野に関し、特に遺伝子工学技術を用いて免疫原性の減少した、癌治療に使用するための免疫グロブリンを得ることに関する。本発明は、特にN−グリコリルGM3ガングリオシドを含有し、かつN−グリコリル若しくはN−アセチルなどの他の関連するガングリオシドも硫酸化糖脂質も含有しない抗原を認識するモノクローナル抗体又は誘導される断片をコードするペプチド配列に関する。
【背景技術】
【0002】
ガングリオシドは、シアル酸を含有するスフィンゴ糖脂質であり、脊椎動物の原形質膜に存在する(Stults CLMら、Methods Enzymology 179:167〜214頁、1989年)。これらの分子の一部は、抗原又は腫瘍マーカーに関連する腫瘍として文献において報告され(Hakamori SH:Curr Opin Immunol 3:646〜653頁、1991年)、癌の診断及び治療における抗ガングリオシド抗体の使用について記載されている(Hougton ANら、NAS USA 82:1242〜1246頁、1985年;ZhangSら、Int J Cancer 73:42〜49頁、1997年)。哺乳類細胞内のより一般的なシアル酸として、N−アセチル(NAc)及びN−グリコリル(NGc)が挙げられる(Corfield APら、Cell Biol Monogr 10:5〜50頁、1982年)。一般にNGcは、ヒト及びニワトリの正常組織において発現されないが、他の脊椎動物では広く分布する(Leeden RWら、シアル酸の生物学的役割(Biological Role of Sialic Acid.)Rosemberg A及びShengtrund CL(Eds).Plenum Press、ニューヨーク、1〜48頁、1976年、Kawai Tら、Cancer Research 51:1242〜1246頁、2001年)。しかしながら、文献からの報告では、抗NGc抗体は一部のヒト腫瘍及び腫瘍細胞系を認識することが示されている(Higashi Hら、Jpn J.Cancer Res.79:952〜956頁、1988年、Fukui Yら、Biochem Biophys Res Commun 160:1149〜1154頁、1989年)。GM3(NGc)ガングリオシド濃度の上昇が、ヒト乳癌内に認められ(Marquina Gら、Cancer Research 56:5165〜5171頁、1996年)、これによってこの分子を癌治療に対する標的として使用することが極めて興味深いものになっている。
【0003】
出願特許EP0972782A1には、受託番号ECACC98101901でブダペスト条約により寄託されたハイブリドーマによって産生されるマウスモノクローナル抗体が記載されている。このモノクローナル抗体は、IgG1アイソタイプを有し、低密度リポタンパク(VLDL)と疎水的にコンジュゲートしたNGcGM3ガングリオシドで、Freundアジュバントの存在下でBalb/cマウスを免疫することによって産生された。該抗体はNGcGM3ガングリオシドに優先的に結合し、ヒト乳房及びメラノーマ腫瘍において発現される抗原を認識する(CarrAら、Hybridoma 19:3:241〜247頁、2000年)。この抗体は、該配列を有する細胞に対して強い細胞溶解活性を示した。これは治療手段になりうると考えられる特性である、
【0004】
さらに、腫瘍によって誘発される新血管形成は、腫瘍成長の制御における主要なパラメータの1つであることは知られている。これによって抗原過程の阻害に関する新たな治療上の武器の探索を目指す直接的研究が行われる。この過程に関する14F7抗体の効果に関しては実験的証拠がある。該証拠は、マトリックスゲルアッセイ(Angiogenesis.Vol.4、113〜121頁、2001年;Anti−Cancer Res.Vol.18、783〜790頁、1998年)において認められている。マトリックスゲルは、基底膜タンパク質の混合物であり、内皮細胞を取り囲む細胞外マトリックスである。新血管形成過程におけるその有用性は、新たな血管の発達中における内皮細胞−マトリックス間相互作用の生理的重要性に発する。同様にラミニンなどのこのゲル成分は、この過程に関する重要なマーカーであると考えられる。
【0005】
このモデル種は、腫瘍に直結する事象を調節し、ひいてはその成長と転移に影響を及ぼす医薬の評価を可能にする、腫瘍が誘発する血管新生に関連する機序の研究においても利用されている。
【0006】
マウス14F7などの非ヒトモノクローナル抗体における同利用は、特に反復治療計画ではヒトへの治療に不利益をもたらすことが確実である。たとえば、マウスモノクローナル抗体は比較的短い血液半減期を有する。さらに同抗体は、ヒトへの使用時にエフェクター機能などの重要な免疫学的特性を失う。
【0007】
そしてもっと重要となりうることは、マウスモノクローナル抗体は、ヒトに注入される際に免疫原性を示すほど大量なアミノ酸配列を含有する。多数の研究によると、患者に出現する外来抗体の投与後における免疫応答はかなり強く、初期治療後の抗体治療効果を実質上取り除く可能性があることが示されている。さらに、マウスモノクローナル抗体を用いて患者に治療を施した後でさえ、対象外マウス抗体を用いたそれ以降の治療がHAMA応答として知られる交叉反応性に起因して奏効しないどころか危険性を示す可能性があると考えられる(Khazaeli、M.B.ら、Journal of Immunotherapy 15:42〜52頁、1994年)。
【0008】
Mateoら(米国特許第5712120号)は、マウス抗体の免疫原性を低下させるための方法について記載している。Mateoらによって示された方法(Mateo Cら、Hybridoma 19:6:463〜471頁、2000年)による修飾抗体は、抗原に対する元の抗体の認識能及び結合能を保持し、免疫原性の低下を招き、その治療的有用性を高める。この方法により、キメラ抗体と比較した場合に少数の突然変異を伴い、免疫原性の低下を示す修飾抗体が得られる。
【0009】
上述したことから、免疫原性の低下を示し、単純な経済的方法で得られ、かつヒト用の治療製剤にとって十分な結果を示す、治療用抗体の改良型が得られると推測される。
【0010】
抗体断片の使用は、疾患の免疫診断においてかなり有用とされていることも知られる。その他(ヨーロッパ出願特許EP0796334A1)に含まれるIra Pastan氏は、Lewis Y抗原に関連する炭水化物を特異的に認識する抗体の可変領域を用いたFv型一本鎖断片の構築について示す。同筆者は、該断片に基づいて該抗原を有する細胞を検出するための方法を開発し、これらの断片が抗原を含む細胞に対して発揮する阻害効果の証拠についてさらに提供する。
【0011】
14F7モノクローナル抗体の結合部位に関する知見は、種々の疾患の免疫療法における同抗原の可能性のために、実際的かつ理論的観点から見て興味深い。Souriau、Cら、Expert Opin.Biol.Ther.1、845〜855頁、2001年及びChester、K.A.ら、in Dis.Markers.16、53〜62頁、2000年によると、scFv型の抗体断片を使用すると、腫瘍組織内への浸透性の向上などのその薬理特性を生かして、治療上、非常に有用であると考えられる。
【0012】
ハイブリドーマ由来の繊維状ファージ上に暴露される抗体断片のミニライブラリーの構築によって、このレパートリー内で抗原に対する特異的認識能を有する分子の選択が可能になる。目的は、元の抗体の認識により小さい粒子サイズ及び細菌宿主による産生能を組み合わせる抗体断片を速やかに得ることである。この技術は、従来のクローニング技術によるハイブリドーマの可変領域の遺伝子の単離及び操作の際に得られる細菌中で、非機能性を示さない又は産生不可能な抗体断片の複数の変異体の顕現を可能にする(Roovers、R.C.ら、Br.J.Cancer.78、1407〜1416頁、1998年)。
【0013】
繊維状ファージにおける抗体断片の提示に関する技術によって、抗体の結合部位に接近することに加え、その親和性を改善する目的を有する抗体に対し、修飾を施し(Chames、P.ら、J.Immunol.161、5421〜5429頁、1998年、Lamminmaki、Uら、J.Mol.Biol.291、589〜602頁、1999年、Parhami−Serenら、J.Immunol.Methods.259、43〜53頁、2002年)、又はその特異性を調節する(Iba、Y.ら、Prot.Engn.、11、361〜370頁、1998年、Miyazaki、C.ら、Prot.Engn.12、407〜415頁、1999年、Darveau、R.P.ら、J.Clin.Immunoassay.15、25〜29頁、1992年)ための唯一の機会が提供される。
【0014】
繊維状ファージにおける抗体断片の発現は、種々のVLの元の抗体VHとの組み合わせ若しくはその逆を示す鎖の交換を可能にする(Lantto,J.ら、Methods Mol.Biol.178、303〜316頁、2002年)ことから、抗原認識の下及び抗体の親和性に対するその影響下で機能する各鎖の役割に関する研究が可能になる(Kabat、E.A.、Wu,T.T.、J.Immunol.147、1709〜1719頁、1991年、Barbas III、C.F.、Lerner、R.A.方法:酵素学における方法への手引き(Methods:A companion to Methods in Enzymology)2、119〜124頁、1991年)。鎖の交換によって、結合部位の特性が修飾され、さらにさまざまな種由来の免疫グロブリンの配列が組み合わされ、認識特異性を保存する同変異体が選択できる(Klimka、A.ら、Br.J.Cancer.83、252〜260頁、2000年、Steinberger、P.ら、J.Biol.Chem.275、36073〜36078頁、2000年、Rader、C.ら、Proc.NatI.Acad.Sci.USA.95、8910〜8915頁、1998年、Beiboer、S.W.H.ら、J.Mol.Biol.296、833〜849頁、2000年)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、親和性が変化しない元の抗原を認識し、患者に投与される場合に免疫原性の低下を招く、マウス14F7モノクローナル抗体由来の修飾抗体について述べる。本発明の別の知見は、元(の抗体)とは異なるが、特異性、親和性及び認識性を保持した軽鎖の可変領域を含み、可溶性分子として細菌宿主によって発現されるだけでなく、繊維状ファージの表面上にも提示できる、該抗体に由来する断片を得たことである。14F7抗体由来の断片は、治療的な武器として有用である。さらに、M13繊維状ファージ表面上に存在する14F7抗体のscFv型断片の発現によって、治療目的による結合部位の操作や、高親和性を有する変異体の取得が可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的の1つは、14F7配列を部分的に保存するにすぎないが、その特異性、親和性及び認識性を保持する抗体断片の特性決定である。
【0017】
得られる修飾抗体とその断片のいずれもが、NGcGM3抗原を発現する腫瘍細胞を特異的に認識することから該腫瘍の診断若しくは治療において使用され、それらの元となったマウス抗体に比べて免疫原性の低下を招くという利点を有する。
【0018】
本発明の目的は、修飾された14F7抗体又はそのFv一本鎖断片を含む新たな治療効果のある組成についてである。ここで該抗体又は断片は、抗原を発現する腫瘍の部位決定若しくは治療に有用な放射性同位体に結合される場合がある。
【0019】
さらに本発明の目的は、放射性同位体に結合した修飾された14F7抗体若しくはその断片を含む医薬品組成物を用いてNGcGM3ガングリオシドを発現する腫瘍の放射免疫診断又は放射免疫治療を行うための方法を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明では、重鎖及び軽鎖の超可変領域(CDR)の以下の配列を特徴とする、寄託番号ECACC98101901を有するハイブリドーマによって産生されるマウス14F7モノクローナル抗体由来のキメラ抗体について記載する。
重鎖


軽鎖

【0021】
好ましくは、該キメラ抗体は重鎖及び軽鎖の枠組み構造領域(FR)における以下の配列を特徴とする。
重鎖


軽鎖

【0022】
さらにキメラ抗体は、IgG1ヒト重鎖の定常領域及びCkヒト軽鎖の定常領域を含有することを特徴とする。
【0023】
好ましい提示では、本発明は、重鎖及び軽鎖の枠組み構造領域が以下の突然変異のいずれかを含むことを特徴とする、寄託番号ECACC98101901を有するハイブリドーマによって産生されるマウス14F7モノクローナル抗体由来の修飾抗体について述べる。
重鎖


軽鎖

【0024】
好ましくは、該修飾抗体は、IgG1ヒト重鎖の定常領域及びCkヒト軽鎖の定常領域を含有することを特徴とする。
【0025】
本発明の別の局面として、ハイブリドーマ(寄託ECACC98101901)から得られる重鎖の可変領域の配列を含み、14F7の認識特異性を保存する14F7抗体由来のFv一本鎖型断片について述べる。
【0026】
好ましくは、該Fv断片は、細菌宿主によって繊維状ファージ若しくは可溶性分子上に提示される抗体断片として産生可能な参照対象のハイブリドーマによって産生される軽鎖可変領域とは異なる、免疫が付与されていないマウス又はヒト由来の軽鎖可変領域を含む。
【0027】
本発明は、さらに14F7由来の断片を産生するキメラ抗体並びにヒト化抗体及び細菌クローンを発現する細胞系に関する。
【0028】
さらに本発明は、本発明の組み換えモノクローナル抗体の1つ若しくはその断片を含有することを特徴とする悪性乳房腫瘍やメラノーマ腫瘍に加え、その転移及び再発における治療及び/又は部位決定及び同定を目的とした医薬品組成物、並びにその用途に適する賦形剤に関する。該抗体又は断片は、悪性腫瘍の部位決定及び/又は治療にとって有用な放射性同位体に結合できると考えられる。
【0029】
最後に本発明は、悪性腫瘍の治療及び/又は部位決定及び同定に有用な医薬品組成物の製造における上記の組み換え抗体の使用に関する。以下に本発明の実施方法及び使用方法に関して詳細に述べる。
【0030】
1.14F7マウス抗体の可変領域に対するPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によるcDNAの合成及び増幅
マウス14F7抗体は、低密度のリポタンパクと疎水的にコンジュゲートされ、かつFreundアジュバントの存在下で、GM3(NeuGc)ガングリオシドによって免疫が付与されたBalb/cマウスによって得られる(EP0972782A1、Carr Aら、Hybridoma 19:3:241〜247頁、2000年)。RNAは、製造業者の使用説明書に従ってTRIZOL抽出法(GIBCO BRL、ニューヨーク州)を用いてNGcGM3ガングリオシドを認識する14F7モノクローナル抗体(マウスIgG1 Mab)を産生する10個のハイブリドーマ細胞から得られる。
【0031】
製造業者の推奨に従って、試薬であるAccess RT−PCR(Promega、米国)セットを用いて相補的DNA(cDNA)の合成とVH及びVLの可変領域の増幅が実施された。つまり、ポリAテイルにおいてRNAとVH及びVLの各可変領域の両末端に対応するオリゴヌクレオチドとをハイブリダイズするように設計された25ピコモルのdTオリゴヌクレオチドの存在下で、5μgのRNAから反応が行われた。60℃で10分間インキュベートしてから反応緩衝液中で0.2mMの各デオキシヌクレオチド(dNTPs)1mM MgSO、5μLのAMV−逆転写酵素及び5μLのDNAポリメラーゼを含有する混合物を全体で50μLの容量になるように添加する。試料を48℃で45分間、94℃で2分間インキュベートしてから40サイクルにわたり94℃(30秒)、60℃(1分)、68℃(2分)の温度でPCRを施し、最後に68℃で7分間インキュベートする。
【0032】
2.キメラ遺伝子の構築及び増幅されたcDNAの配列決定
VH及びVKのPCR産物は、VHに対する制限酵素Eco RV−Nhe I、VKに対する制限酵素Eco RV−Sal Iによって消化され、各々の発現ベクター内にクローニングされる(Coloma MJら、J Immunol Methods 152:89〜104頁、1992年)。VH領域は、IgG1ヒト定常領域及び選択マーカーとしてL−ヒスチジノールに抵抗性を有する遺伝子を含んでいるPAH4604ベクター内でクローニングされる。VK領域は、ミコフェノール酸に抵抗性を有する遺伝子及び定常ヒトκ領域を保有するPAH4622ベクター内でクローニングされる。産生される遺伝子構築は、それぞれ14F7VH−PAH4604及び14F7VK−PAG4622と命名された。
【0033】
両構築は、製造業者によって示されたプロトコルに従い、配列決定用試薬キットT7DNAポリメラーゼ(Amershan−Pharmacia)を用いて、ジデオキシヌクレオチド法によって配列決定される(Sanger Fら、PNAS USA 74:5463〜5470頁、1979年)。
【0034】
3.キメラ抗体の発現
NSO細胞は、酵素PvuIで線形化された10μgの14F7VH−PAH4604及び10μgの14F7VK−PAG4622を用いて電気穿孔される。DNAをエタノールによって沈殿させ、50μLのPBS(リン酸緩衝液生理食塩水溶液)内で混合し、溶解させた。約10個の細胞を半集密まで成長させ、遠心分離によって収集した。その後、細胞を0.5mLのPBS中でエレクトロポレーショントレー内にあるDNAとともに再懸濁させる。10分後、氷中で細胞に200V及び960Fのパルスを施し、10分間氷中で保存した。細胞をModified Dulbecco(DMEM−F12)選択培地中の96ウェルプレート内で10%ウシ胎仔血清(FCS)及び10mMのL−ヒスチジノールとともに培養する。選択培地に添加して10日過ぎて、トランスフェクトされたクローンを可視化する。
【0035】
キメラ免疫グロブリンの産生は、クローン上清からELISAによって測定される。このために、ポリスチレンプレート(高結合、Costar)を4℃で一晩中pH9.8の炭酸重炭酸緩衝液100mM中でヤギ抗ヒトIgG血清によってコーティングする。次いでプレートをPBS−Tween(リン酸緩衝液生理食塩水溶液、0.5%Tween−20、pH7.5)で洗浄し、PBS−Tween−FCSで希釈された培地上清試料を添加し、37℃で1時間インキュベートする。プレートをPBS−Tween中で再洗浄し、次いでペルオキシダーゼ(Jackson)とコンジュゲートしたヤギ抗ヒトκ鎖血清中で、37℃で1時間インキュベートする。その後プレートを同一の方法で洗浄し、基質のo−フェニレンジアミンを含有するpH4.2のクエン酸−リン酸緩衝液溶液とともにインキュベートする。15分後492nmで吸光度を測定する。
【0036】
キメラ抗体の抗原認識能は、NGcGM3及びNacGM3ガングリオシドを用いた競合ELISAによって検証される。つまり、ポリスチレンプレート(Polysorp、Nunc)をメタノール中で4μg/mLのNGcGM3若しくはNAcGM3で50μLの溶液によってコーティングし、37℃で1時間インキュベートする。次いでプレートをトリス−HCI緩衝液中でpH7.8〜8.0の200μLのウシ血清アルブミン溶液(BSA)1%によって37℃で1時間ブロッキングする。PBSで3回洗浄後、トリス−HCI−BSA1%中で希釈された試料をビオチニル化されたマウス14F7抗体1mg/mLの存在下で2μg/mL〜0.01μg/mLの濃度範囲で37℃で2時間添加する。プレートをPBSで洗浄後、同反応をストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲート(Jackson)とともに37℃で1時間進行させる。492nmで吸光度を測定する。
【0037】
4.Tエピトープのヒト化によるヒト化Ab 14F7hTの構築、Tエピトープの予測
14F7の可変ドメイン配列は、AMPHI Programによって解析される(Margalit Hら、J Immunol 138:2213〜2229頁、1987年)。これによりT細胞の免疫原性に関与している、両親媒性ヘリックス構造を有する7番目若しくは11番目のアミノ酸のセグメントが同定できる。これらのアルゴリズムは、この場合、マウス14F7モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域内のTエピトープ提示に関与する断片について予測する。
【0038】
−ヒト免疫グロブリンによる同一性解析
14F7の可変ドメインのアミノ酸配列を報告されたヒト免疫グロブリンの可変領域配列と比較することで、解析対象のマウス分子との同一性が最も高いヒト免疫グロブリンが同定される。これに対し、BLASTプログラムを介してインターネットで利用可能なSWISSPROTデータベースが使用できる(Altschul SFら、Nucleic Acids Res 25:3389〜3402頁、1997年)。
【0039】
−免疫原性の低下に対する解析
本方法の本質は、FRにおける突然変異を最小限にしてTエピトープ候補の破裂又はヒト化によって免疫原性の低下を得ることにある。これは抗原認識部位の三次元構造に関与する同位置以外の両親媒性ヘリックス構造を有する同セグメントでは特別である。
【0040】
本方法によると、マウス免疫グロブリンのVH及びVLの可変領域配列は、同一性が最も高いヒト免疫グロブリンと比較され、マウスとヒトの間で配列決定上異なる残基は、FRの領域内に存在する両親媒性領域内でのみ同定される(Kabat E、免疫学的利益に関するタンパク質配列(Sequences of proteins of immunological interest)、Fifth Edition、National Institute of Health、1991年)。これらの「マウス」の残基は、ヒト配列と同一位置に認められる残基によって抑制されやすいものとなる。
【0041】
正準構造を担うFRの位置に存在する残基、すなわちベルニエ(Vernier)ゾーン又は間期におけるVH−VL間の相互作用に関与するゾーンに存在する残基は、抗体の可変ドメインの三次元構造に作用することによって抗原との結合に作用できると考えられることから突然変異を受ける可能性がない。三次元構造上に導入される置換の影響について、可変領域の分子モデリングによってさらなる情報を入手できる。
【0042】
突然変異の解析において、両親媒性ヘリックス内のプロリン残基の存在などの因子又は特定のマウスの残基が最も同一性が高いヒト配列内の同一位置に認められないが他のヒト免疫グロブリンに常在するという事実を考慮することは可能であることから、最大の突然変異を含有するバージョンが得られる可能性がある。すなわちこの場合、ヒト配列と異なるあらゆるマウスの残基は変異を受けるが、他のバージョンは突然変異の種々の組み合わせによって取得できる。
【0043】
14F7のマウス配列上でTエピトープ候補を同定し、またこれらのセグメント内でヒトの残基とは異なる残基を同定した後で、従来の部位特異的突然変異誘発法によって置換を行う。
【0044】
−NSO細胞内におけるヒト化14F7hT抗体のクローニング及び発現
14F7hT抗体のVH及びVL領域に対応する遺伝子構築は、一旦前述した方法によって得られると、キメラ抗体構築の場合において上記と同様に発現ベクターごとにクローニングされ、次の遺伝子構築すなわち14F7hTVK−PAG4622及び14F7hTVH−PAH4604が得られる。これらの遺伝子のNSO細胞へのトランスフェクションは、まさにキメラ抗体の場合の記載と同一条件下にある。ヒト化抗体を産生するクローンもまたELISAによって検出される。
【0045】
ヒト化抗体による抗原特異的な認識能は、NGcGM3及びNAcGM3ガングリオシドを用いた競合ELISAによって検証される。この方法は、キメラ抗体の場合の記載と一致する。
【0046】
5.14F7ハイブリドーマ由来の繊維状ファージ上での抗体断片ライブラリーの構築
メッセンジャーRNAは、14F7ハイブリドーマの細胞から単離され、相補的DNAが合成され、そして重鎖及び軽鎖の可変領域に対応する配列が広域スペクトルのマウス可変領域とハイブリダイズするように設計された2セットのオリゴヌクレオチドを用いて別々に増幅される。各々の増幅された重鎖の可変領域は、精製されて適切な酵素によって消化され、予め同酵素で消化済みの(繊維状ファージ表面上に一本鎖抗体を提示するように設計された)ファージミドpHG−1mベクターに連結される。結合反応の産物は精製され、電気穿孔によってTG1大腸菌(E.coli)株の細菌内に導入される。形質転換された細菌は、わずかな多様性をもつ重鎖可変領域(すべてが14F7ハイブリドーマ由来の領域に属する)のセミライブラリー(semi−library)を構成する。このセミライブラリーに対応するDNAは精製され、(予め精製され適切な酵素によって消化された)軽鎖の可変領域の収集物に別々に連結される。最後にこれらの遺伝子構築は、電気穿孔によってTG1株の細菌内に導入され、多種の独立ライブラリーに一致させる。それらの1つは軽鎖の可変領域によって構築される多様性が限られたミニライブラリーであり、14F7ハイブリドーマ細胞からも得られる。鎖交換のライブラリーも得られ、ここではハイブリドーマ由来の重鎖の可変領域がマウス及びヒトのリンパ球から得られる軽鎖の可変領域の種々の収集物と結合される。
【0047】
6.N−グリコリルGM3に対する抗体断片を産生するクローンの単離及び特性決定
各ライブラリーのコロニーを無作為に採取することで、補助ファージM13K07を用いてそれらからファージが産生される。抗体断片を有するファージに対するN−グリコリルGM3の認識は固相酵素免疫検定法(ELISA)によって直接解析される。したがって、機能断片を産生するクローンは局在化される。各ライブラリーを形成する形質転換された細菌のすべての混合物由来の抗体断片を有するファージを産生することで、機能抗体断片に富む調製物が得られ、ライブラリーの多様性が探索される。得られるファージ混合物は、固体表面に結合される抗原N−グリコリルGM3と接触状態に置き、結合能を有する抗体断片を含むファージは保持され、そしてその残りは徹底した洗浄によって除去される。結合ファージはpH変化によって溶出され、増殖により、抗原上の新たな選択サイクルに対する出発物質として機能する新たなファージ混合物が得られる。さまざまな選択サイクルの経過後、コロニー由来のファージ上に提示される抗体断片の認識について解析される。したがって、初期ライブラリー内で希釈される機能断片を産生するさらなるクローンが同定される。
【0048】
クローンによって産生される抗体断片の特性決定には、一群の関連ガングリオシを対象とするELISAによる特異性の解析、免疫組織化学による腫瘍認識の研究、ファージ内のその提示といった状況以外での可溶性を示す機能性抗体断片としての産生能の評価、その可変領域の完全な配列決定などが含まれる。
【実施例】
【0049】
以下の実施例では、用いられるすべての制限酵素又は修飾及び試薬や材料については、特に他になければ市販品から入手した。
【0050】
(実施例1)
14F7キメラモノクローナル抗体の入手
VHに対するEco RV−NheIやVKに対するEco RV−Sal Iといった制限酵素部位に特異的なオリゴヌクレオチドを用いたVentポリメラーゼ酵素によって、cDNAの合成及びマウスの可変領域のVH及びVKにおけるPCRによる増幅を実施した。スイッチオリゴヌクレオチドを以下に示す。
VH:
オリゴヌクレオチド1(シグナルペプチドにおけるハイブリッド):


VK:
オリゴヌクレオチド1(シグナルペプチドにおけるハイブリッド):

【0051】
VH及びVKのPCR産物をteh制限酵素であるVHに対するEco RV−Nhe I及びVKに対するEco RV−Sal Iを用いて消化し、これら各々の発現ベクターすなわちVH及びVKに対するPAH4604及びPAG4622の中でそれぞれクローニングした。哺乳類細胞において免疫グロブリンの発現のためにこれらのベクターを使用するが、同ベクターはSherie Morrison(UCLA、カリフォルニア州、米国)によって提供された。ベクターPAH4604はヒトIgG1定常領域を含み、PAG4622はヒト定常κ領域を含む(ColomaJら、J Immunol Methods 152:89〜104頁、1992年)。一旦14F7のVH及びVK領域が先のベクター内でクローニングされていると、構築の14F7VH−PAH4604及び14F7VK−PAG4622が形成される。
【0052】
製造業者によって示されたプロトコルに従い、T7DNAポリメラーゼ配列決定用キット(Amershan−Pharmacia)を用いたジデオキシヌクレオチド方法(Sanger Fら、DNA鎖終結阻害物質によるDNA配列決定(DNA sequencing with chain−terminating inhibitors.)PNAS USA 1979年;74:5463〜5470頁)によって12個の独立したクローンの配列を決定した。VH及びVKの配列は、Kabat分類(Kabat E、免疫学的利益に関するタンパク質配列(Sequences of proteins of immunological interest)、Fifth Edition、National Institute of Health、1991年)によると、それぞれIIB及びVサブグループと高度な関連性を有する(図1A及びB)。
【0053】
酵素PvuIで線形化された10μgの14F7VH−PAH4604及び10μgの14F7VK−PAG4622を用いてNS0細胞に対して電気穿孔した。DNAをエタノールで沈殿させ、50μLのPBS中で混合し溶解させた。半集密になるまで成長した約10個の細胞を遠心分離によって収集し、DNAintheエレクトロポレーショントレー内のDNAとともに0.5mLのPBS中で再懸濁した。氷中で10分後、細胞に200V及び960Fのパルスを施し、氷中で10分間インキュベートした。細胞をDulbecco Modified(DMEM−F12)選択培地内の96ウェルプレート内で10%FCS及び10mMのLヒスチジノールとともに培養した。トランスフェクトされたクローンを選択培地への添加の10日後に可視化する。クローン上清を用い、キメラ免疫グロブリンの産生をELISAによって測定する。このため、pH9.8の炭酸重炭酸緩衝液100mM中で、ポリスチレンプレート(高結合、Costar)をヤギ抗ヒトIgG血清(Sigma)によって4℃で一晩中コーティングする。次いでプレートをPBS−Tween(リン酸緩衝液生理食塩水溶液、0.5% Tween−20、pH7.5)によって洗浄し、PBS−Tween−FCS中で希釈された培養上清試料を添加し、37℃で1時間インキュベートする。プレートをPBS Tween中で再洗浄してからペルオキシダーゼ(Jackson)とコンジュゲートしたヤギ抗ヒトκ鎖血清中で37℃で1時間インキュベートする。その後、プレートを同様に洗浄し、基質o−フェニレンジアミンを含有するpH4.2のクエン酸−リン酸緩衝液溶液とともにインキュベートする。15分後、492nmで吸光度を測定する。
【0054】
(実施例2)
NGcGM3及びNAcGM3抗体に対する14F7Q抗体の反応性
競合ELISAを用いて14F7キメラ抗体(Ab)の反応性を測定した。図2は、GM3 N−グリコリル型ガングリオシドでコーティングされたポリエステリン(polyesterine)プレート(Polysorp、Nunc)の認識性において、マウス14F7と比較した場合のキメラ14F7の特異性について示す。両Abは、同様の濃度におけるマウスのビオチニル化された14F7 Abによる抗原認識の50%阻害について示す。抗体のいずれかに対するGM3のN−アセチル化変異体でプレートをコーティングすると、免疫反応性は全く認められなかった。対象外AbとしてマウスC5 Mabを用いた。
【0055】
(実施例3)
種々のバージョンのヒト化抗体の入手
VH及びVKの領域に対して、14F7のVH及びVK配列を14F7抗体の最も同一性の高いヒト配列が得られるヒト配列データベースと比較した(図1A及び図1B)。さらに両配列において、両親媒性領域又はTエピトープ候補を決定した。その後、マウスVH及びVK配列をヒト配列に変換するのに必要な突然変異をTエピトープとヒト化する方法に従って測定した。筆者らは最大限実施可能な突然変異について以下に述べる。
【0056】
VH領域の場合、5、9、11、12、18、19、20、38、40、42及び48の位置において突然変異を導入した。この場合、アミノ酸Q、N、L、A、M、K、M、K、R、D及びIをアミノ酸V、A、V、V、V、R、V、R、A、G及びVのそれぞれと置換した。1回目のPCRにおいてオリゴヌクレオチド1、2、3及び4を用いてPCR産物(Kamman Mら、Nucleic Acids Research 17:5404〜5410頁、1989年)を重複させることによってこれらの突然変異を実施し、別のPCRにおいてオリゴヌクレオチド2及び4のみを用いてこれらの結果を重複させた。使用したオリゴヌクレオチド配列を以下に示す。
重鎖の突然変異5、9、11及び12に対するオリゴヌクレオチド:

【0057】
一旦先の突然変異の配列を決定して検証してから、18、19及び20の位置における突然変異をこれらを保有するDNA内に導入することで、アミノ酸V、R、Vに対してM、K、Mをそれぞれ置換させる。
【0058】
下記に該突然変異について示したオリゴヌクレオチド1、2、3及び4について示す。前述のように、PCR産物を重複させた。
重鎖の突然変異18、19、及び20に対するオリゴヌクレオチド:

【0059】
同様に一旦先の突然変異の配列を決定して検証してから、突然変異R、A、GをDNAが運ぶ38、40及び42位置に導入することで、アミノ酸K、R、Dをそれぞれ置換させる。
【0060】
下記に該突然変異について記述したオリゴヌクレオチド1、2、3及び4を示す。前述のように、PCR産物を重複させた。
重鎖の突然変異38、40、及び42に対するオリゴヌクレオチド:

【0061】
最後に先の突然変異の配列決定による検証後、48の位置における突然変異をそれらを保有するDNA内に導入し、アミノ酸IをVと置換させる。以下にこの突然変異に用いられるオリゴヌクレオチド1、2、3及び4について示す。PCR産物を前述のように重複させた。
重鎖の突然変異48に対するオリゴヌクレオチド:

【0062】
すべてのこれらの突然変異を配列によって検証した。得られた遺伝子構築を14F7hTVHと命名した。
【0063】
これらの置換がVernierゾーンのアミノ酸に関与したか又は抗原認識における主要な位置であることから、重鎖の場合、VH14F7と最も類似するヒト抗体の間には、突然変異が施されなかった種々のアミノ酸が存在する。
【0064】
軽鎖に対し、位置39、40、41、42及び58において突然変異を実施し、R、T、H、E及びIをK、P、G、Q及びVのそれぞれと置換させた。突然変異を重鎖の場合と同じ方法で導入した。以下に用いられるオリゴヌクレオチド配列を示す。
軽鎖の突然変異39、40、41、及び42に対するオリゴヌクレオチド:

【0065】
先の突然変異の配列決定によって検証後、位置58における突然変異をそれらを保有するDNA内に導入し、アミノ酸IをVと置換させる。以下に、この突然変異において用いられるオリゴヌクレオチド1、2、3及び4を示す。前述のように、PCR産物を重複させた。
軽鎖の突然変異58に対するオリゴヌクレオチド:

【0066】
一旦突然変異を実施すると、配列によって検証した。
【0067】
産生された遺伝子構築を14F7hTVKと命名した。
【0068】
VK及びVHのヒト化領域をベクターPAG4622及びPAH4604内でクローニングし、構築の14F7hTVH−PAH4604及び14F7hTVK−PAG4622をそれぞれ形成した。Pvu Iによる消化によって予め線形化済みのヒト化可変領域の14F7hTVH−PAH4604及び14F7hTVK−PAG4622を保有する10μgの各ベクターを用いて、NSO細胞を電気穿孔した。エレクトロポレーション過程及び14F7hTヒト化抗体を発現するクローン検出は、キメラ抗体に対して示されるものと一致した。
【0069】
(実施例4)
in vivo血管新生モデルにおける腫瘍成長の低下に対する14F7 Abの効果
メラノーマB16腫瘍細胞系と血管新生誘導原としてのマトリックスゲルとの混合物をin vivo血管新生モデルとして用いた。
【0070】
C571BL6雄マウスの腹部正中線にマトリックスゲルと共に腫瘍系(B16)を皮下移植し、腫瘍性血管新生過程の誘発を測定した。そのために、メラノーマB16細胞をマトリックスゲル0.5mL及びヘパリン64単位/mLと混合し、対照群にはそれだけの混合物を割り当てて、或いは他の抗体との組み合わせて、これを動物の腹部領域内に皮下注入によって投与した。接種15日後に動物を犠牲にし、真皮及び表皮の残基とともにゲルパールを抽出し、腫瘍サイズを肉眼で検査した。図3は、14F7で処理されたマウスの腫瘍の腫瘤サイズがいかに大幅に減少したかについて示す。
【0071】
新生血管を区別するために、ヘマトキシリン/エオシンで染色されるゲル及び抗PECAM Mab(内皮マーカー)による免疫染色が施されるゲルに関し、病理組織学的解析を実施する。図4のA及びBでは、処理されていない動物の腫瘍切片と比較した場合に、14F7で処理された動物の組織切片において血管数の減少が認められる。
【0072】
(実施例5)
14F7ハイブリドーマ由来の繊維状ファージ上の抗体断片ライブラリーの構築
TriPure単離試薬(Boehringer Mannheim、ドイツ)を用いて5.0×10個の14F7ハイブリドーマ細胞からメッセンジャーRNAを単離し、Pro−STAR First Strand RT−PCR試薬キット(Stratagene、米国)を用いて相補的DNAを合成した。以下に示される、すなわち94℃で50秒、55℃で1分、72℃で1分という条件で、ハイブリドーマ由来の重鎖及び軽鎖の可変領域を26サイクル分のポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。このため、変性されたオリゴヌクレオチド用キットのすべての可能な組み合わせを用いた(多種多様なマウス可変領域とハイブリダイズするように設計した)。このことを以下の表に示す。
【0073】
VH及びVLの増幅に用いられるオリゴヌクレオチド。変性位置をオリゴヌクレオチド配列における括弧内に示す。制限酵素部位の配列は下線で示される。

【0074】
増幅された重鎖の可変領域を精製し、続いて制限酵素Sfi I及びApaLIを用いて消化させた。消化産物を精製し、ファゴミジウム(phagomidium)ベクターpHG−1m(Heber BiotecS.A.、キューバ)(図5)のDNAと連結した。産生される遺伝子構築とともに、E.coli株のTG1の細菌をエレクトロポレーションによって形質転換した。形質転換された細菌群は、中程度のサイズの2.3×10個のメンバーを有する14F7ハイブリドーマ由来の重鎖可変領域のセミライブラリーに一致した。セミライブラリーのプラスミドDNAを精製し、Not I及びSal I酵素によって連続消化した。このDNAを予め同一の酵素で消化した軽鎖可変領域の4つの収集物と別々に連結させた。TG1株の細菌をこれらの新たな遺伝子構築によって形質転換し、4つの独立したライブラリーを得た。これらの1つはそれぞれが1.6×10個のサイズを有する14F7ハイブリドーマ由来の重鎖及び軽鎖の両方の可変領域を含む多様性がわずかのミニライブラリーであった。他の3つは、予めマウス(κアイソタイプ)及びヒト(κ及びΛアイソタイプ)から得られる軽鎖の可変領域のさまざまな収集物を取り込んだ鎖交換ライブラリーであり、メンバーのサイズはそれぞれ1.0×107、1.4×10、及び1.2×10個であった。
【0075】
(実施例6)
N−グリコリルGM3に対する抗体断片を産生するクローンの単離
各ライブラリーから無作為に採取された92個のクローン由来の抗体断片を運ぶファージを前述の手順に従って微量滴定プレートウェル内で産生した(Marks、J.D.ら、J.Mol.Biol.222、581〜597頁、1991年)。その特異性を1μg/ml N−グリコリルGM3及びN−アセチルGM3でコーティングされたポリ塩化ビニールプレート(Costar、米国)上のELISAにおいて評価した。結合したファージをペルオキシダーゼ(Amersham、スウェーデン)とコンジュゲートした抗M13モノクローナル抗体によって検出した。無作為に選別された個々のクローンの特性決定に加え、各ライブラリーに一致する1群の細菌によって産生されるファージ混合物由来のN−グリコリルGM3に結合能を有するファージの選択を実施した。このため、参照の方法に従って、ファージを補助ファージM13K07を用いて産生し、ポリエチレングリコールとともに沈殿させることによって精製し、プラスチック表面(Inmuno tubes、Nunc、デンマーク)に結合したN−グリコリルGM3に接触状態に置いた。チューブを十分に洗浄し、トリエチルアミン100mmol/lの存在下でファージを溶出させた。溶出液を中和し、E.coli株のTG1細菌に感染させるのに用いた。感染させた細菌群から抗体を保有するファージを産生して再精製した。同ファージを前述したものと同一条件で新しい選択ラウンド用の出発物質として用いた。4回にわたる選択サイクル後、各ライブラリー由来のファージで感染させた細菌の92個のコロニーを無作為に採取し、ライブラリーから無作為に採取されたクローンを評価するために前述と同様の形態でN−グリコリルGM3の認識を実施した。
【0076】
ライブラリーのクローンの直接解析から、3つの鎖交換ライブラリーにおける可変領域において認められた、N−グリコリルGM3を認識する抗体断片を運ぶファージから産生するクローンを単離した。陽性のクローンは、14F7ハイブリドーマ由来の可変領域によって単独で形成されるミニライブラリー内には1つも認められなかった。いくつかの選択サイクルの後、鎖交換ライブラリーからクローンを単離したところ、元の配列のミニライブラリー内には1つも認められなかった。以下の表は、N−グリコリルGM3を認識する抗体断片を産生するクローン量及びそれが各ライブラリーから解析されたクローンの全数において表れる頻度について示す。1種類のクローンのみがN−アセチルGM3との交叉反応性を示すファージを産生した。
【表1】

【0077】
(実施例7)
N−グリコリルGM3を認識する14F7由来の抗体断片の特性決定
11個の抗体断片の可変領域を、挿入された抗体断片をコードする配列の5’及び3’末端をはさむpHG−1mベクターの領域内でハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを用いた自動シーケンサーALF Express II(Pharmacia、スウェーデン)によって完全な配列決定を実施した。すべての重鎖の可変領域の配列が14F7に対して報告された配列に一致し、PCRにおいて変性オリゴヌクレオチドの使用によって導入されたと推定される枠組み構造1及び枠組み構造4の領域においてのみ変化が認められたことが確認された。配列をリセットした中で3つのCDRには何の変異も認められなかった。それに対し、11種類のクローンの軽鎖の可変領域の配列すべてが14F7の配列と異なり、異なる配列の5群、すなわちマウス複製起点の2群、ヒト複製起点の1群(κアイソタイプ)及び他のヒト複製起点でΛアイソタイプ以外の2群に区分された。各配列群を代表する1種類のクローンを後の特性決定のために採取した。
【0078】
選択されたクローンにおける軽鎖の可変領域間にみられる差異を示し、以下の表はそれらの元の同一性、それらの複製起点、アイソタイプ及びカバト(Kabat)分類によるサブグループ内分類に関する。
【表2】

【0079】
クローンの軽鎖の可変領域間の差異及び14F7抗体として最初に報告された差異を3つの相補的決定領域を含むすべての配列に沿って局在化し、以下に示す(図6)。
【化1】

【0080】
結合特異性は、コーティングとして、N−グリコリル GM3及びN−アセチル GM3に加え、種々のN−アセチル化ガングリオシド及び1種のN−グリコリル化ガングリオシドを含む1群の関連したガングリオシドの使用を特徴とする方法に準じてELISAによって確認された。図7は、特性の決定された抗体断片を産生する5種類のクローンによる種々の抗原の認識について示す。標的抗原N−グリコリル GM3に対する結合のみを検出した。
【0081】
クローンによる(ファージのコンテクスト外部の)可溶性の抗体断片の産生は、1mmol/lのイソプロピル−チオガラクトピラノシドの存在下で誘発した。上清を収集し、ペリプラズマティック(periplasmatic)画分を確立された手順に従って採取した(de Haard、H.J.Biol.Chem.274、18218〜18230頁、1999年)。以下の修飾を除く記載の抗原と類似する該抗原でコーティングされたプレート上でELISAにより、N−グリコリル GM3の認識活性を培養上清内及びペリプラズマティック画分内の両方で検出した。10μg/mlの(遺伝子構築内で抗体断片に融合されるc−mycペプチドを対象とする)1E10モノクローナル抗体及び抗マウス免疫グロブリンコンジュゲート(Sigma、米国)を用い、結合抗体断片を検出した。製造業者の使用説明書に従い、マトリックスHIS−Select HC Nickel Affinity Gel(Sigma、米国)を用い、金属イオンに対する単一の親和性クロマトグラフィーにおいてペリプラズマティック画分から抗体断片を精製した。図8に、ELISAによって測定された精製された可溶性を有する断片の活性について示す。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】14F7Mabの可変領域のVH(a)及びVK(b)のアミノ酸配列及びそれぞれの最も同一性の高いヒト配列を示す図である。CDRには下線、両親媒性領域及びTエピトープ候補には網掛けを施している。突然変異を施した可変領域のヒト化がもたらす配列についても示す。
【図2】競合ELISAによって測定される14F7Q抗体の認識性を示す図である。X軸:抗体濃度Y軸:492nmで測定される吸光度iorC5モノクローナル抗体を負の制御として用いた。
【図3】マウス腫瘍(メラノーマB16腫瘍細胞系)の成長に関する14F7モノクローナル抗体の効果を示す図である。
【図4】A)14F7モノクローナル抗体の血管形成に対する効果に関する免疫組織化学的研究について示す図である。矢印は免疫染色された血管を示す。B)14F7モノクローナル抗体によって誘導された血管新生の阻害について示す図である。
【図5】pHG−1mベクターを示す図である。
【図6】14F7モノクローナル抗体のVL領域及び選択されたFv一本鎖断片のタンパク質配列を示す図である。各点は14F7のVL配列との同一性を示す。
【図7】抗体断片を運ぶファージによる認識特異性を示す図である。ファージ中で暴露された断片による14F7 Abのガングリオシドに対する結合の阻害が認められる。プレートはN−グリコリル GM3によってコーティングされ、ファージはウイルス粒子及びさまざまな濃度の14F7とともにインキュベートされた。
【図8】可溶性の精製された断片によるN−グリコリルGM3の認識性を示す図である。
【配列表】











【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下に示す重鎖及び軽鎖の超可変領域(CDR)の配列を特徴とする、マウス14F7モノクローナル抗体に由来し、寄託ECACC98101901のハイブリドーマによって産生される組み換え抗体。
重鎖


軽鎖

【請求項2】
前記14F7抗体の重鎖及び軽鎖のCDR及び枠組み構造領域(FR)と、IgG1ヒト重鎖の定常領域及びCkヒト軽鎖の定常領域とを含有し、前記ヒト重鎖、及び軽鎖の枠組み構造領域(FR)が以下の配列を有する14F7抗体のキメラ変異体であることを特徴とする請求項1に記載の抗体。
重鎖


軽鎖

【請求項3】
前記の重鎖及び軽鎖の枠組み構造領域(FR)内に点突然変異を含有することにより、免疫原性が減少した、14F7モノクローナル抗体のヒト化変異体であることを特徴とする請求項1及び2に記載の抗体。
【請求項4】
以下の突然変異のいずれかを含有する重鎖及び軽鎖の枠組み構造領域を有する、前記14F7モノクローナル抗体のヒト化変異体であることを特徴とする請求項3に記載の抗体。
重鎖:


軽鎖

【請求項5】
マウス14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及びあるマウス抗体の軽鎖の可変領域を含有することを特徴とする、マウス14F7モノクローナル抗体に由来し、寄託番号ECACC98101901のハイブリドーマによって産生される一本鎖Fv断片。
【請求項6】
前記軽鎖の可変領域が前記14F7抗体自体であることを特徴とする請求項5に記載の一本鎖Fv断片。
【請求項7】
前記の重鎖及び軽鎖の超可変領域(CDR)の配列が以下に示されるものであることを特徴とする請求項6に記載の一本鎖Fv断片。
重鎖


軽鎖

【請求項8】
前記14F7抗体の重鎖及び軽鎖のCDR及び枠組み構造領域(FR)を含有し、重鎖及び軽鎖の前記枠組み構造領域(FR)が以下の配列を有することを特徴とする、請求項7に記載の一本鎖Fv断片。
重鎖


軽鎖

【請求項9】
重鎖及び軽鎖の前記枠組み構造領域(FR)に点突然変異を含有することにより、免疫原が減少した、請求項8に記載の一本鎖Fv断片。
【請求項10】
重鎖及び軽鎖の前記枠組み構造領域が以下の突然変異のいずれかを含有する、請求項9に記載の一本鎖Fv断片。
重鎖


軽鎖

【請求項11】
14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及び配列が以下の通りのある軽鎖可変領域を含有することを特徴とする、マウス14F7モノクローナル抗体に由来し、請求項5に記載の寄託番号ECACC98101901のハイブリドーマによって産生される一本鎖Fv断片。
【化1】

【請求項12】
マウス14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及び配列が以下の通りのある軽鎖可変領域を含有することを特徴とする、マウス14F7モノクローナル抗体に由来し、請求項5に記載の寄託番号ECACC98101901のハイブリドーマによって産生される一本鎖Fv断片。
【化2】

【請求項13】
マウス14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及びあるヒト抗体の軽鎖可変領域を含有することを特徴とする、マウス14F7モノクローナル抗体に由来し、寄託番号ECACC98101901のハイブリドーマによって産生される一本鎖Fv断片。
【請求項14】
マウス14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及び配列が以下の通りのある軽鎖可変領域を含有することを特徴とする、請求項13に記載の一本鎖Fv断片。
【化3】

【請求項15】
マウス14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及び配列が以下の通りのある軽鎖可変領域を含有することを特徴とする、請求項13に記載の一本鎖Fv断片。
【化4】

【請求項16】
マウス14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及び配列が以下の通りのある軽鎖可変領域を含有することを特徴とする、請求項13に記載の一本鎖Fv断片。
【化5】

【請求項17】
請求項1から4までのいずれかの組み換え抗体を発現することを特徴とする細胞系。
【請求項18】
請求項5から16までのいずれかの一本鎖Fv断片を発現することを特徴とする細胞系。
【請求項19】
請求項1から4までのいずれかの組み換え抗体を含むことを特徴とする、悪性腫瘍を治療するための医薬品組成物。
【請求項20】
請求項5から16までのいずれかの一本鎖Fv断片及び適切な賦形剤を含むことを特徴とする、悪性腫瘍を治療するための医薬品組成物。
【請求項21】
悪性乳房腫瘍、メラノーマ、並びにこれらの転移及び再発を治療するための請求項19の医薬品組成物の使用。
【請求項22】
悪性乳房腫瘍、メラノーマ、並びにこれらの転移及び再発を治療するための請求項20の医薬品組成物の使用。
【請求項23】
請求項1から4までのいずれかの組み換え抗体及び適切なマーカーを含むことを特徴とする、「in vivo」での悪性腫瘍の部位決定及び同定のための試薬。
【請求項24】
悪性乳房腫瘍、メラノーマ、並びにこれらの転移及び再発の「in vivo」での部位決定及び同定に対して用いることを特徴とする請求項23に記載の試薬。
【請求項25】
請求項5から16までのいずれかの一本鎖Fv断片及び適切なマーカーを含むことを特徴とする、「in vivo」での悪性腫瘍の部位決定及び同定のための試薬。
【請求項26】
悪性乳房腫瘍、メラノーマ、並びにこれらの転移及び再発の「in vivo」での部位決定及び同定に対して用いることを特徴とする請求項25に記載の試薬。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下に示す重鎖及び軽鎖の超可変領域(CDR)の配列を特徴とする、マウス14F7モノクローナル抗体に由来し、寄託ECACC98101901のハイブリドーマによって産生される組み換え抗体。
重鎖


軽鎖

【請求項2】
前記14F7抗体の重鎖及び軽鎖のCDR及び枠組み構造領域(FR)と、IgG1ヒト重鎖の定常領域及びCkヒト軽鎖の定常領域とを含有し、前記ヒト重鎖、及び軽鎖の枠組み構造領域(FR)が以下の配列を有する14F7抗体のキメラ変異体であることを特徴とする請求項1に記載の抗体。
重鎖


軽鎖

【請求項3】
前記の重鎖及び軽鎖の枠組み構造領域(FR)内に点突然変異を含有することにより、免疫原性が減少した、14F7モノクローナル抗体のヒト化変異体であることを特徴とする請求項1及び2に記載の抗体。
【請求項4】
以下の突然変異のいずれかを含有する重鎖及び軽鎖の枠組み構造領域を有する、前記14F7モノクローナル抗体のヒト化変異体であることを特徴とする請求項3に記載の抗体。
重鎖:


軽鎖

【請求項5】
マウス14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及びあるマウス抗体の軽鎖の可変領域を含有することを特徴とする、マウス14F7モノクローナル抗体に由来し、寄託番号ECACC98101901のハイブリドーマによって産生される一本鎖Fv断片。
【請求項6】
前記軽鎖の可変領域が前記14F7抗体自体であることを特徴とする請求項5に記載の一本鎖Fv断片。
【請求項7】
前記の重鎖及び軽鎖の超可変領域(CDR)の配列が以下に示されるものであることを特徴とする請求項6に記載の一本鎖Fv断片。
重鎖


軽鎖

【請求項8】
前記14F7抗体の重鎖及び軽鎖のCDR及び枠組み構造領域(FR)を含有し、重鎖及び軽鎖の前記枠組み構造領域(FR)が以下の配列を有することを特徴とする、請求項7に記載の一本鎖Fv断片。
重鎖


軽鎖

【請求項9】
重鎖及び軽鎖の前記枠組み構造領域(FR)に点突然変異を含有することにより、免疫原が減少した、請求項8に記載の一本鎖Fv断片。
【請求項10】
重鎖及び軽鎖の前記枠組み構造領域が以下の突然変異のいずれかを含有する、請求項9に記載の一本鎖Fv断片。
重鎖


軽鎖

【請求項11】
14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及び配列が以下の通りのある軽鎖可変領域を含有することを特徴とする、マウス14F7モノクローナル抗体に由来し、請求項5に記載の寄託番号ECACC98101901のハイブリドーマによって産生される一本鎖Fv断片。
【化1】

【請求項12】
マウス14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及び配列が以下の通りのある軽鎖可変領域を含有することを特徴とする、マウス14F7モノクローナル抗体に由来し、請求項5に記載の寄託番号ECACC98101901のハイブリドーマによって産生される一本鎖Fv断片。
【化2】

【請求項13】
マウス14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及びあるヒト抗体の軽鎖可変領域を含有することを特徴とする、マウス14F7モノクローナル抗体に由来し、寄託番号ECACC98101901のハイブリドーマによって産生される一本鎖Fv断片。
【請求項14】
マウス14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及び配列が以下の通りのある軽鎖可変領域を含有することを特徴とする、請求項13に記載の一本鎖Fv断片。
【化3】

【請求項15】
マウス14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及び配列が以下の通りのある軽鎖可変領域を含有することを特徴とする、請求項13に記載の一本鎖Fv断片。
【化4】

【請求項16】
マウス14F7モノクローナル抗体の重鎖の可変領域の配列、及び配列が以下の通りのある軽鎖可変領域を含有することを特徴とする、請求項13に記載の一本鎖Fv断片。
【化5】

【請求項17】
請求項1から4までのいずれかの組み換え抗体を発現することを特徴とする細胞系。
【請求項18】
請求項5から16までのいずれかの一本鎖Fv断片を発現することを特徴とする細胞系。
【請求項19】
請求項1から4までのいずれかの組み換え抗体を含むことを特徴とする、悪性腫瘍を治療するための医薬品組成物。
【請求項20】
請求項5から16までのいずれかの一本鎖Fv断片及び適切な賦形剤を含むことを特徴とする、悪性腫瘍を治療するための医薬品組成物。
【請求項21】
悪性乳房腫瘍、メラノーマ、並びにこれらの転移及び再発を治療するための請求項19の医薬品組成物。
【請求項22】
悪性乳房腫瘍、メラノーマ、並びにこれらの転移及び再発を治療するための請求項20の医薬品組成物。
【請求項23】
請求項1から4までのいずれかの組み換え抗体及び適切なマーカーを含むことを特徴とする、「in vivo」での悪性腫瘍の部位決定及び同定のための試薬。
【請求項24】
悪性乳房腫瘍、メラノーマ、並びにこれらの転移及び再発の「in vivo」での部位決定及び同定に対して用いることを特徴とする請求項23に記載の試薬。
【請求項25】
請求項5から16までのいずれかの一本鎖Fv断片及び適切なマーカーを含むことを特徴とする、「in vivo」での悪性腫瘍の部位決定及び同定のための試薬。
【請求項26】
悪性乳房腫瘍、メラノーマ、並びにこれらの転移及び再発の「in vivo」での部位決定及び同定に対して用いることを特徴とする請求項25に記載の試薬。

【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−524194(P2006−524194A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504218(P2006−504218)
【出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際出願番号】PCT/CU2004/000006
【国際公開番号】WO2004/094477
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(500185689)
【Fターム(参考)】