説明

ガンマ−トコフェロールの投与によりCOX−2介在障害を選択的に治療する方法

本発明は、ガンマ−トコフェロールのCOX−II特異的阻害活性の新規な観察に基づき、ガンマ−トコフェロールを結合組織成分の前駆体と組み合わせて、特に動物患者の関節結合部における、損傷又は変性した結合組織を修復することができることである。関節の炎症性障害を治療する本発明の方法は、シクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量のガンマ−トコフェロール、及び結合組織成分の生成を増加させる少なくとも1つの化合物を結合組織の形成促進に有効な量で含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含む。本発明はまた、少なくとも50%w/wのガンマ−トコフェロール又はこの誘導体を有するトコフェロール製剤であって、レシピエント哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量のトコフェロール製剤、及び結合組織成分の生成を増加させる少なくとも1つの化合物を含む、薬学的又は獣医学的組成物も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願/特許&参照による組み込み
本出願は、内容が参照により本明細書に明示的に組み込まれている、2005年2月22日に出願した米国仮出願第60/655,190号の優先権を主張するものである。
【0002】
その中で引用されている全文献、又はこれらの出願中の全文献(「出願引用文献」)、及び出願引用文献で引用又は参照されている全文献、及び本明細書で引用又は参照されている全文献(「本明細書引用文献」)、及び本明細書引用文献で引用又は参照されている全文献は、本明細書又は本明細書に参照により組み込まれているいずれかの文献で言及されたいずれかの製品に関する、メーカーの取扱説明書、説明書、製品仕様書、及び製品シートのいずれかとともに、参照により本明細書に組み込まれ、本発明の実践において使用することができる。
【0003】
本発明は、とりわけ、シクロオキシゲナーゼ−2(「COX−2」)が介在する障害を、COX−2を阻害する量のガンマ−トコフェロールを含む製剤を投与することで、哺乳動物におけるCOX−2を選択的に阻害して治療する方法を提供する。本発明はまた、結合組織の治療及び修復のための、並びに、ガンマ−トコフェロール及びコンドロイチン及び/若しくはグルコサミン、又はこれらの塩若しくは誘導体を含む製剤の有効量を投与して、炎症性及び変形性の結合組織障害を患う哺乳動物における疼痛を制御するための、組成物及び方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
喘息、肝炎及び関節リウマチなどの炎症性疾患は、ヒト及び他の哺乳動物における死亡又は障害の重大な原因である。慢性炎症は、心血管疾患、神経変性障害、及び関節結合部の障害を含む変性疾患を発症する原因となる。炎症時に、アラキドン酸(AA)由来の様々なエイコサノイドは、炎症反応を仲介するうえで重要な役割を果たす。例えば、シクロオキシゲナーゼ(COX)に触媒されたAAの酸化よって生じるプロスタグランジンE2(PGE2)は、疼痛及び発熱、並びにサイトカイン生成活性化の原因となる。PGE2は、シクロオキシゲナーゼの構成型(COX−1)又は誘導型(COX−2)のいずれかにより生成することができる。ほとんどの炎症状態で、COX−2は、アップレギュレートされ、炎症性促進PGE2の生成に関与する第一酵素となる。5−リポキシゲナーゼ触媒経路を介したAA由来の別の酸化性生物である、ロコトリエンB4(LTB4)は、最も強力な走化性物質の1つである。PGE2及びLTB4の中心的な役割を果たすため、COX−2及び5−リポキシゲナーゼは、炎症関連疾患の薬物療法における主要な標的として認識されている。特に、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)に分類されるCOX−2阻害剤は、炎症反応の緩和に効果があり、特定の炎症関連疾患に対する有効な治療を提供する。
【0005】
ビタミンEには、8種類の化合物が含まれる。4種類のトコフェロール(アルファ、ベータ、ガンマ、及びデルタ)及び4種類のトコトリエノール(アルファ、ベータ、ガンマ、及びデルタ)である。これらのうち、アルファ−トコフェロールのみが、広く研究されている。しかし、ガンマ−トコフェロールは、米国の食事におけるビタミンEの主形態であるが、ほとんどの栄養補助食品に見られるビタミンEの主要形態であるアルファ−トコフェロールと比べて、ほとんど注目されていない。デルタ−トコフェロールは、幾つかの食物源に豊富に含まれる、別の形態のビタミンEである(例えば、大豆及び大豆油中で、ガンマ−トコフェロールとともに見出されることが多い)。トコトリエノールは、主にパーム油に多く含まれる。
【0006】
ビタミンE、及び特にトコフェロールは、抗酸化物質及び窒素酸化物スカベンジャーとして当技術分野で周知であり、高血圧、血栓塞栓症、心血管疾患、癌、ナトリウム排泄増加疾患、神経病理学的病変の形成、免疫系応答の低減などを治療及び予防するため、又はコンパニオン動物における核酸損傷を低減するため食物において使用される。例えば、US6,048,891、6,242,749、6,410,589、6,242,362、US2003/0022818 A1、2003/0035821及び2004/0102421を参照のこと。
【0007】
ガンマ−トコフェロールは、炎症治療に使用するため、COX−2阻害剤として使用できることが知られている。例えば、Q. Jaingら., FASEB Journal (May 2003), 17, 816-22、S. Christianら., J. Lipid Res. (2002), 43, 1978-85、Q. Jaingら, Am. J. Clin. Nut. (2001), 74, 714-22、Q. Jaingら., Free Radical Biology & Med., (2001), 31, S47、Q. Jaingら., Proc. Natl. Assoc. Sci. U.S.A. (2000), 97, 11494-11499、K. O'Learyら., Mutat. Res. (2004), 551, 245-254、及びQ. Jaing, Proc. Natl. Assoc. Sci. U.S.A. (2000), 97, 11494-11499を参照のこと。US2004/0102421 A1は、フィチル置換クロマノール及びNSAIDシクロキシゲナーゼ阻害剤を含む抗炎症組成物の使用を説明しており、ガンマ−トコフェロールは、PGE、LTB、及びTNG−α経路を遮断するこの能力のため、炎症性疾患の治療又は予防に使用することができることを示している。
【0008】
当技術分野では、コンドロイチン及びこの塩又はグルコサミンなどを含むその他の物質が、関節リウマチ又は変形性関節症などの関節結合部の変性疾患に伴う炎症の治療に加えて、単に症状を治療するだけでなく、結合組織、軟骨、骨及び関節滑液の修復を促進することが認識されている。US5,364,845又はUS5,916,565を参照のこと。
【0009】
哺乳動物の結合組織は、関節炎、関節の炎症及び凝りなど、疼痛性又は消耗性の疾患をもたらしうる物理的な力からの圧迫及び緊張に絶えず曝されている。このような疾患は、首、背中、腕、腰、足首及び足などの関節結合部で特に激しい。しかし、結合組織の疾患治療は、罹患組織に施される外傷の遮断が、特にスポーツ選手及び競走馬などの哺乳動物のケースでは、不可能である場合が多いため、問題となりうる。その結果、これらの状況では、治療は、通常、変性過程の段階を問わず、疾患症状の直接の原因ではなくこれらの制御が対象となる。
【0010】
現在、コルチコステロイドなどのステロイド、又は高用量アスピリンのようなNSAIDSなどの他の抗炎症性物質が、これらの疾患の治療に広く使用されている。例えば、V idalらPharmocol. Res. Commun. 10 557-569 (1978)を参照のこと。さらに、ヒアルロン酸及び多硫酸グリコサミノグリカンもまた、動物薬、特にウマの治療に使用されている。しかし、これらの物質は、結合組織障害に伴う疼痛及び腫脹をしばしば緩和するが、現在利用可能な薬剤はほとんどみな、効果が弱まりつつある。さらに、これらの薬剤は、生体自体の本来の治癒過程をも阻害し、損傷した結合組織の悪化を増大させる可能性がある。
【0011】
結合組織は、きわめて多量の、結合組織の主成分であるコラーゲン、及び結合組織の他の主成分であるプロテオグリカンを製造し、リモデリングすることで、自らを修復する。この連続プロセスは、結合組織に損傷が生じた場合、圧迫を受ける。このような場合、結合組織の生成は、通常の速度の2又は3倍になり、これによりコラーゲン及びプロテオグリカン双方の構成単位の需要を増加させる。
【0012】
コラーゲンの生成では、律速段階(rate-limiting step)は、生成段階ではなく、新しく合成されたコラーゲンの成熟段階である。過剰なコラーゲンは、単純にアミノ酸に分解される。しかし、プロテオグリカン(PG)は、この生成において、特異的な律速反応を有する。すなわち、PGの主成分であるグリコサミノグリカン(GAG)を生成するための、グルコースのグルコサミンへの変換である。
【0013】
グルコサミンは、グルコサミン硫酸、ガラクトサミン及びN−アセチルグルコサミンなどを含む、GAGに見出されるあらゆる修飾糖の主要な前駆体である。グルコサミンはまた、コンドロイチン硫酸のような他のGAGが付加されたPGの骨格であるヒアルロン酸の50%を構成する。グルコサミンが形成されると、GAGポリマーの合成及びコラーゲンの合成が、必然的に付随する。
【0014】
幾つかの開示は、グルコースのグルコサミンへの変換である律速段階を、外因性グルコサミンの提供により回避することを示唆している。例えば、生体表面の創傷の治癒を助けるための、グルコサミン、又はこの誘導体の静脈内投与が、Carlozziらに対して発行された米国特許第3,232,836号に開示されている。Rovatiに対して発行された米国特許第3,682,076号では、関節炎状態を治療するための、グルコサミン及びこの塩の使用が開示されている。最後に、消化管の炎症性疾患を治療するための、グルコサミン塩の使用も、Pruddenに対して発行された米国特許第4,006,224号に開示されている。GAGに見出される修飾糖の過剰量を提供して、律速段階を迂回することも示唆されている。例えば、Rovatiらに対して発行された米国特許第3,6797,652号では、関節の変性疾患治療のための、N−アセチルグルコサミンの使用が開示されている。
【0015】
或いは、GAG自体の過剰量(様々な修飾糖の有無に関係なく)を使用することができる。例えば、Furuhashiに対して発行された米国特許第3,371,012号では、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン(GAGに見出される修飾糖)及びコンドロイチン硫酸(GAG)を含む、眼の移植材料(graft material)のための防腐剤が開示されている。さらに、Sollらに対して発行された米国特許第4,486,416号は、眼内レンズ移植術の外傷に曝された角膜の内皮細胞を、コンドロイチン硫酸の予防的有効量を投与して予防する方法を開示している。Goldmanに対して発行された米国特許第5,141,928号は、グリコサミノグリカンポリ硫酸を用いた眼損傷の予防及び治療を開示している。これらの方法には、フィブロネクチン、コンドロイチン硫酸及びコラーゲンの角膜運動性組成物の、切り口への塗布が含まれる。Lindbladに対して発行された米国特許第4,801,619号では、プロテオグリカン分解による進行性軟骨変性を治療するための、ヒアルロン酸の関節内投与が開示されている。
【0016】
抗炎症剤の鎮痛作用と結合組織損傷の修復を促進することができる化合物とを組み合わせることにより、損傷した関節結合部の可動性を改善し、損傷による疼痛及び不快感を緩和する組成物、及びこの使用方法が必要とされている。
【0017】
本出願におけるいずれの文献の引用又は識別も、こうした文献が、本発明の従来技術として利用可能であることを承諾するものではない。
【特許文献1】US6,048,891
【特許文献2】US6,242,749
【特許文献3】US6,410,589
【特許文献4】US6,242,362
【特許文献5】US2003/0022818 A1
【特許文献6】US2003/0035821
【特許文献7】US2004/0102421
【特許文献8】US2004/0102421 A1
【特許文献9】US5,364,845
【特許文献10】US5,916,565
【特許文献11】米国特許第3,232,836号
【特許文献12】米国特許第3,682,076号
【特許文献13】米国特許第4,006,224号
【特許文献14】米国特許第3,6797,652号
【特許文献15】米国特許第3,371,012号
【特許文献16】米国特許第4,486,416号
【特許文献17】米国特許第5,141,928号
【特許文献18】米国特許第4,801,619号
【非特許文献1】Q. Jainget al., FASEB Journal (May 2003), 17, 816-22
【非特許文献2】S. Christian et al., J. Lipid Res. (2002), 43, 1978-85
【非特許文献3】Q. Jaing et al., Am. J. Clin. Nut. (2001), 74, 714-22
【非特許文献4】Q. Jainget al., Free Radical Biology & Med., (2001), 31, S47
【非特許文献5】Q. Jainget al., Proc. Natl. Assoc. Sci. U.S.A. (2000), 97, 11494-11499
【非特許文献6】K. O'Leary et al., Mutat. Res. (2004), 551, 245-254
【非特許文献7】Q. Jaing, Proc. Natl. Assoc. Sci. U.S.A. (2000), 97, 11494-11499
【非特許文献8】Vidal et al pharmocol. Res. Commun. 10 557-569 (1978)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、抗炎症剤の鎮痛作用と、結合組織損傷の修復を促進することができる化合物とを組み合わせることで、損傷した関節結合部の可動性を改善する、組成物及びこの使用方法の必要性に対処する。本発明は、ガンマ−トコフェロールのCOX−II特異的阻害活性の新規な予期しない観察に基づき、ガンマ−トコフェロールを結合組織成分の前駆体と組み合わせて、特に動物患者の関節結合部における、損傷又は変性した結合組織を修復することができる。一方、患者は、疼痛及び不快感の低減という利点を経験する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の組成物及び方法は、様々な炎症性障害の治療に適することを意図するものではあるが、本発明は、結合組織、特に関節結合部の軟骨組織及びコラーゲン組織における炎症性障害の治療に、特に有用である。したがって、本発明は、哺乳動物におけるシクロオキシゲナーゼ−2介在障害を、シクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害して治療する方法であって、哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量のガンマ−トコフェロール又はこの誘導体を含む薬学的組成物の、哺乳動物への投与を含む方法を提供する。
【0020】
本発明は、さらに、哺乳動物における炎症又は炎症性疾患状態を、シクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害して治療する方法を提供する。この方法は、少なくとも50%w/wのガンマ−トコフェロール又はこの有効な誘導体若しくは塩を含有する、レシピエント哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量のトコフェロール製剤と、必要に応じ、コンドロイチン又はグルコサミン、又はこれらの塩若しくは誘導体、又はこれらのいずれかの組合せから選択される、結合組織成分の生成を増加させる少なくとも1つの化合物であって、結合組織の形成促進に有効な量の少なくとも1つの化合物と、必要に応じ、薬学的又は獣医学的賦形剤、添加剤若しくは溶剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容可能な成分とを含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含む。
【0021】
本発明の様々な実施形態では、ガンマ−トコフェロール濃度は、少なくとも50%w/w、少なくとも55%w/w、少なくとも60%w/w、少なくとも65%w/w、少なくとも70%w/w、少なくとも75%w/w、少なくとも80%w/w、少なくとも85%w/w、又は少なくとも90%w/wから選択することができるが、これに限定されない。本発明のこの態様の1つの有利な実施形態では、トコフェロール製剤の少なくとも50%w/wは、ガンマ−トコフェロールである。本発明のこの態様の1つの実施形態では、トコフェロール製剤の少なくとも60%w/wは、ガンマ−トコフェロールである。別の実施形態では、トコフェロール製剤の少なくとも75%w/wは、ガンマ−トコフェロールである。さらに別の実施形態では、トコフェロール製剤の少なくとも90%w/wは、ガンマ−トコフェロールである。
【0022】
本発明のこの態様の様々な実施形態では、被験哺乳動物は、コンパニオン動物であってよく、炎症性疾患状態は、関節リウマチ又は変形性関節症であってよい。
【0023】
本発明のこの態様の実施形態では、薬学的組成物は、さらに、コンドロイチン又はグルコサミン又はこれらの塩若しくは誘導体の少なくとも1つを、結合組織の形成促進、及び関節結合部の炎症に有効な量で含むことができる。
【0024】
本発明はまた、上記方法に有用な薬学的又は獣医学的組成物も提供する。この組成物は、少なくとも50%w/wのガンマ−トコフェロール又はこの有効な誘導体若しくは塩を含有する、レシピエント哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量のトコフェロール製剤、及びコンドロイチン又はグルコサミン、又はこれらの塩若しくは誘導体、又はこれらのいずれかの組合せから選択される、結合組織成分の生成を増加させる、結合組織の形成促進に有効な量の少なくとも1つの化合物を含む。
【0025】
本発明のこの態様の1つの実施形態では、薬学的又は獣医学的組成物におけるトコフェロール製剤の少なくとも60%w/wは、ガンマ−トコフェロールである。
【0026】
本発明の別の実施形態では、薬学的又は獣医学的組成物におけるトコフェロール製剤の少なくとも75%w/wは、ガンマ−トコフェロールである。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態では、薬学的又は獣医学的組成物におけるトコフェロール製剤の少なくとも90%w/wは、ガンマ−トコフェロールである。
【0028】
本発明の様々な実施形態では、薬学的又は獣医学的添加剤は、着色剤、抗酸化剤及びpH調節剤、賦形剤又は溶剤から選択することができる。
【0029】
本発明のさらに別の態様は、それを必要とする動物における結合組織の治療及び修復、並びに疼痛管理の方法である。この方法は、ガンマ−トコフェロールを少なくとも50%w/w含むトコフェロール製剤と、グルコサミン及びコンドロイチン、又はこれらの塩若しくは誘導体から成る群から選択される、少なくとも1つの結合組織前駆体成分と、必要に応じ、少なくとも1つの薬学的又は獣医学的賦形剤、添加剤若しくは溶剤とを含む、薬学的又は獣医学的組成物の有効量を投与することを含む。本発明の組成物及び方法により治療することができる炎症性疾患状態には、例えば、関節リウマチ又は変形性関節症が含まれるが、これらに限定されない。治療領域には、関節結合部が含まれる。
【0030】
本開示、及び特に特許請求の範囲及び/又はパラグラフにおいて、「含む(comprises)」、「含まれた(comprised)」、「含んでいる(comprising)」などの用語は、米国特許法における意味に帰する意味を有することができ、例えば、これらは、「含む(includes)」、「含まれた(included)」、「含んでいる(including)」などを意味しうる。「本質的に〜から成る(consisting essentially of及びconsists essentially of)」などの用語は、米国特許法における意味に帰する意味を有する。例えば、これらは、明示的に記載されていない要素の余地を残し、しかし従来技術において見い出される要素、又は本発明の基本的な若しくは新規な特徴に影響する要素を除外するものである。
【0031】
これら及びその他の実施形態は、以下の詳細な説明により開示され、又は以下の詳細な説明から明らかであり、以下の詳細な説明により包含される。
【0032】
以下の詳細な説明は、例証として与えられたものであり、本発明を、記述された特定の実施形態にのみ限定するものではなく、添付図面と併せて最もよく理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、哺乳動物におけるシクロオキシゲナーゼ−2介在障害を、シクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害して治療する方法であって、哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量のガンマ−トコフェロール又はこの誘導体を含む薬学的組成物の、哺乳動物への投与を含む方法を提供する。
【0034】
本発明は、さらに、哺乳動物における炎症又は炎症性疾患状態を、シクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害して治療する方法を提供する。この方法は、少なくとも50%w/wのガンマ−トコフェロール又はこの有効な誘導体若しくは塩を含有する、レシピエント哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量のトコフェロール製剤と、トコフェロール製剤と、必要に応じ、コンドロイチン又はグルコサミン、又はこれらの塩若しくは誘導体、又はこれらのいずれかの組合せから選択される、結合組織成分の生成を増加させる、結合組織の形成促進に有効な量の少なくとも1つの化合物と、必要に応じ、薬学的又は獣医学的賦形剤、添加剤若しくは溶剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容可能な成分とを含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含む。
【0035】
本発明はまた、上記方法に有用な薬学的又は獣医学的組成物も提供する。この組成物は、少なくとも50%w/wのガンマ−トコフェロール又はこの有効な誘導体若しくは塩を含有する、レシピエント哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量のトコフェロール製剤と、トコフェロール製剤、及びコンドロイチン又はグルコサミン、又はこれらの塩若しくは誘導体、又はこれらのいずれかの組合せから選択される、結合組織成分の生成を増加させる、結合組織の形成促進に有効な量の少なくとも1つの化合物を含む。
【0036】
本発明の組成物及び方法は、様々な炎症性障害の治療に適することを企図するものではあるが、本発明は、結合組織、特に関節結合部の軟骨組織及びコラーゲン組織における炎症性障害の治療に特に有用であり、このような関節結合部の結合組織に機械的損傷がある場合は最も有用である。
【0037】
昔からの慣習法に従い、特許請求の範囲を含め、本明細書で使用されている「a」及び「an」は、「1つ(one)」又は「複数の(more)」を意味すると理解される。
【0038】
本明細書で使用されている「シクロオキシゲナーゼ−2」(COX−2)とは、酵素プロスタグランジン−エンドぺロキシドシンターゼ2(E.C.1.14.99.1)のことを言う。
【0039】
本明細書で使用されている「哺乳動物」とは、ヒト及びヒト以外のいずれかの動物のことを言う。哺乳動物は、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、若しくはウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラマなどの家畜といった飼いならされたコンパニオン動物、又は野生環境下若しくは飼育下で見られる飼いならされていない哺乳動物であってよいが、これらに限定されない。
【0040】
「トコフェロール」は、6−クロマノール環構造及び2位の側鎖を特徴とする分子ファミリー(トコフェロール及びトコトリエノールの両方、及びこれらの誘導体を含む)のいずれかを意味する。トコフェロールは、4’,8’,12’−トリメチルトリデシルフィトル側鎖を有し、トコトリエノールは、側鎖の3’位、7’位及び11’位における二重結合の存在によって異なる。本明細書では、「トコフェロール」とは、ガンマ−トコフェロール,3,4−ジヒドロ−2,7,8−トリメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−1−ベンジオピラン−6−オール;2,7,8−トリメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−6−クロマノール;7,8−ジメチルトコール;オキシロトコフェロールのことを言う。当技術分野で既知の通り、トコフェロール及びこれらの誘導体は、アルキル基、二重結合、並びに他の置換基の数及び位置、並びに環及び側鎖のバリエーションにより、異なることができる。「アルキル」は、メチル、ブチル及びオクチルなどの炭素並びに水素のみを含有する、環状、分鎖又は直鎖状の化学基である。アルキル基は、1つ又は複数の置換基、例えば、ハロゲン、アルコキシ、アシロキシ、アミノ、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、又はベンジルなどで非置換又は置換することができる。アルキル基は、1つ又は幾つかの位置で飽和又は不飽和状態になることができる。典型的には、アルキル基は、1〜8炭素、好ましくは、1〜6、及びより好ましくは1〜4炭素原子を含むであろう。さらなるトコフェロールは、酸素、窒素、硫黄及び/又はリンを含有するものなど、環状構造又は様々な他の部分の側鎖との結合により構築することができる。トコフェロール誘導体も、当技術分野で既知の通り、ガンマ−トコフェロールで見られるものから側鎖長を修飾して製造することができる。ガンマ−トコフェロールを含むトコフェロールは、環状構造及び側鎖の立体化学及び結合飽和度によって、異なることもできる。
【0041】
プロドラッグを含む、さらなるトコフェロール誘導体は、糖又は他の部分の、側鎖又は環状構造との結合により製造することができる。これらは、トコフェロールの溶解性の増加、及び機能活性の増加を含む、幾つかの機能のいずれかに役立つことができる。故に、当技術分野で理解されている通り、本発明は、ガンマ−トコフェロール誘導体の使用を包含するが、ここで、誘導体は、少なくとも、動物におけるCOX−2を特異的に阻害する機能活性を維持することを条件として、置換、付加、及び他の改変が、6−クロマノール環及び/又は側鎖で行われている。本明細書で使用される「ガンマ−トコフェロール」は、或いは、ガンマ−トコフェロール誘導体の混合物であってよい。これらの混合物には、1つのトコフェロールの立体異性体の混合物(例えば、ガンマ−トコフェロールの+及び−立体異性体。(+/−)は、ラセミ混合物を指す)、又は構造的に異なるガンマ−トコフェロールの混合物が含まれるが、これに限定されない。したがって、「ガンマ−トコフェロール誘導体」は、LLU−α、LLU−ガンマ、ラセミ型クロマン、クロマンメチルエステル、クロマンエステル、クロマンアミド、Rクロマンエステル、酸化クロマン誘導体、ラセミ型2,5,7,8−テトラメチル−2−(β−カルボキシエチル)−6−ヒドロキシクロマン、2,5,7,8−テトラメチル−2−(β−カルボキシエチル)−クロマン,2,7,8−トリメチル−2−(β−カルボキシエチル)クロマン、ラセミ型4−メチル−6−(5,6−ジメチルベンゾキノイル)−4−ヘキサノリド、4−メチル−6−(3,5,6−トリメチルベンゾキノイル)−4−ヘキサノリド、(S)−4−メチル−6−(5,6−ジメチルベンゾキノイル)−4−ヘキサノリド、2,7,8−トリメチル−2−(β−カルボキシエチル)−6−アセチルクロマン、2,7,8−トリメチル−2−(β−カルボキシエチル)−6−アセチルクロマンメチルエステル、及びベンゾジピランメチルエステルを含むが、これらに限定されない、ガンマ−トコフェロール代謝物及び合成クロマン誘導体を意味する。その他のガンマ−トコフェロール代謝物及び合成クロマン誘導体は、当業者に既知であるか、今後発見される可能性があるが、この定義により包含される。
【0042】
本明細書で使用されている用語「炎症」及び「炎症性疾患」とは、損傷に対する、生きた血管新生組織のCOX−2介在反応のことを言う。炎症は、物理的、化学的、又は生物学的作用物質による損傷又は異常刺激に反応した、罹患した血管及び隣接組織の細胞学的及び化学的反応の基本的な、ありふれた複合体である。炎症は、通常、損傷部位に体液及び血液細胞の集積をもたらし、通常は、1つの治癒過程である。しかし、炎症は、通常は炎症の正常な進行の機能障害を介して、傷害を引き起こす場合がある。炎症性疾患は、炎症の原因となる、炎症の結果生じる、又は炎症による影響を受けることに関連した、これらを特徴とするものである。炎症性疾患又は傷害の例には、喘息、肺炎症、結核、ハンセン病、サルコイドーシス、及び珪肺などの慢性肉芽腫性疾患、腎炎、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、慢性気管支炎、強皮症、ループス、多発性筋炎、炎症性腸疾患、潰瘍、シェーグレン症候群、ライター症候群、乾癬、骨盤内炎症性疾患、眼窩炎症性疾患、及び血栓症が含まれるが、これらに限定されない。この疾患群の中に、関節リウマチがある。関節リウマチは、関節の慢性炎症性疾患で、Tリンパ球の滑液への浸潤、及び罹患した関節の軟骨及び骨の最終的な破壊を特徴とする。幾つかの試験は、浸潤しているTリンパ球が、活性化され、周辺組織の破壊の原因となることを示唆している。
【0043】
用語「有効量」又は「治療有効量」は、ガンマ−トコフェロールの場合、COX−2を阻害し、コラーゲンなどの結合組織の合成速度を上昇させ、これにより所望の治療、改善、阻害又は予防効果をもたらすのに効果がある、本発明の化合物の量を表すことを意味する。治療有効量の決定は、特に本明細書で提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力内である。本発明の方法に使用されるいずれかの製剤では、治療有効量又は治療有効投与量は、初めはインビトロ及び細胞培養アッセイから推定することができる。例えば、投与量は、所望の濃度又は滴定量を得るために、動物モデルにおいて処方することができる。こうした情報は、他の動物患者における有用な投与量をより正確に決定するために使用することができる。
【0044】
用語「薬学的組成物」とは、生理学的又は薬学的に適当な担体及び賦形剤など、他の化合物を伴う、本明細書に記載された1種又は複数種の有効成分の製剤のことを言う。薬学的組成物の目的は、化合物の生物への投与を容易にするためである。
【0045】
用語「有効成分」とは、生物学的効果を担う化合物(例えば、ガンマ−トコフェロール)のことを言う。
【0046】
本明細書では同義的に使用されうる「生理学的に許容可能な」及び「薬学的に許容可能な」とは、担体、希釈剤、添加剤、溶剤、着色剤、治療活性剤、又は生物に重大な刺激をもたらさず、投与化合物の生物活性及び特性を抑制しない、治療組成物のいずれか他の成分のことを言う。
【0047】
用語「賦形剤」とは、有効成分の投与をさらに容易にするため、薬学的組成物に添加される不活性物質のことを言う。賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖及び様々なデンプン類、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用されている用語「結合組織」とは、コラーゲンなどのマトリックスの固体又は弾性支持物質を高度に含む動物組織のことを言い、軟骨、黄色若しくは弾性組織、及び白色若しくは膠原線維組織、例えば、靭帯及び腱を含む。このような組織は、膝、肘、指及び足指の関節などの間接結合部、並びに脊椎間の部位に見られる。このような組織は、弾性及び関節をもたらし、隣接骨が、運動中互いに接触するのを回避する。関節接合部の結合組織は、物理的圧迫、又は組織の完全性の破壊、運動の抵抗及び疼痛をもたらす炎症性変性疾患により損傷される。本発明の文脈における結合組織には、血液は含まれないが、解剖学的に関節結合部と関連のない、又は一体でない他の結合組織を含めることができる。
【0049】
ヒト及び動物の関節軟骨は、細胞外マトリックスに埋め込まれた軟骨細胞から成る、高度に特殊化した組織である。マトリックスは、主にコラーゲンタンパク質から成る繊維成分、及びプロテオグリカン、ヒアルロン酸及び水から成る非繊維成分を含有している。プロテオグリカンのサブユニットは、タンパク質コアを取り囲むグリコサミノグリカン(コンドロイチン及びケラチン硫酸)から成る。軟骨代謝には、進行中の、コンドロイチンにより仲介される、合成、修復及び変性のプロセスが伴う。変形性関節症及び関節リウマチのように、これらのプロセスのバランスが乱れた場合、軟骨損傷を来たす。軟骨マトリックスの破壊は、隣接する軟骨細胞の異化活性を増加する、炎症細胞から局所生成されるIL−1が原因でと考えられている。経口グルコサミンは、適正な関節機能に必要な物質の生産を刺激し、関節の修復を刺激する。経口投与されたグルコサミン硫酸は、関節軟骨に選択的に取り込まれ、軟骨の主要な構造成分であるグリコサミノグリカンの生産を刺激する。これはまた、硫黄の軟骨への取り込みを促進する。
【0050】
ガンマ−トコフェロールは、トリグリセリド及びコレステロールと同じような、水不溶性の、非膨潤性両新媒性物質である。故に、脂質の吸収に関与するプロセスの多くが、混合胆汁塩ミセル内における乳化、可溶化、小腸による取り込み、リポタンパク質粒子内でのパッケージング、及びリンパ系を介した血液循環への分泌といった、ガンマ−トコフェロールの吸収にも必要である。ガンマ−トコフェロールは、他の脂質とほとんど同様の形で、組織へ移行され、細胞膜間のトコフェロールの自発的移行及び交換が実証されている。ガンマ−トコフェロールは、肝臓を含む様々な組織の脂質に迅速に吸収されるため、ガンマ−トコフェロールの抗酸化物質及びラジカルスカベンジャー活性は、主に脂質相で生じ、水相では、接線方向に生じるのみである。一方、LLU−αは、ガンマ−トコフェロールより大幅に親水性であり、主に水相で抗酸化物質、ナトリウム排泄増加化合物、及びラジカルスカベンジャーとして作用する。故に、本発明者は、レシピエント動物の生体の脂質相及び水相に、選択的COX−2阻害物質を選択的に提供するため、ラセミ型LLU−α(S)−LLU−αによる強化を伴う及び伴わないガンマ−トコフェロール、又は他のガンマ−トコフェロール誘導体を含む栄養補助食品を使用する、疾患の治療及び予防方法を企図する。
【0051】
ガンマ−トコフェロール及びトコフェロールの他の異性体のソースは、当技術分野でよく知られている。例えば、"The Merck Index" 12 ed., p. 1620, Merck & Co., Whitehouse Station, NY (1996)、米国特許第6,426,362号、米国特許第6,410,589号、米国特許第6,262,279号、及び第5,462,865号、第4,122,094号などを参照のこと。ビタミンEは、α−トコフェロール及びガンマ−トコフェロールの混合物である。ビタミンE栄養補助食品は、主にアルファ型から成るが、植物由来の多くのソースは、大半がガンマ−トコフェロールを含有している。本発明は、トコフェロールの少なくとも50%w/wが、ガンマ−トコフェロールであるトコフェロールの使用を企図する。別の実施形態では、企図されたトコフェロール混合物は、トコフェロールの少なくとも60%w/wが、ガンマ−トコフェロールである。さらに別の実施形態は、トコフェロールの少なくとも75%w/wが、ガンマ−トコフェロールである混合物との併用による、トコフェロールの少なくとも90%w/wが、ガンマ−トコフェロールであるトコフェロールの使用が特に有利であることが企図されている。さらに、本発明の組成物は、COX−2特異的阻害活性を保持する、又は増強するガンマ−トコフェロールの塩若しくはその他の誘導体、又はこれらのいずれかの組合せを含むことができることが企図される。
【0052】
グルコサミンは、あらゆるヒト及び動物の組織成分であり、特に軟骨で高濃度に見出される。化学的にはアミノ単糖類であるグルコサミンは、生体における結合組織のマトリックスを含む、O−結合型及びN−結合型グリコサミノグリカンの構成単位を提供する。硫酸型の90%超が、小腸から容易に吸収される。吸収されたグルコサミンのうち、25%は、尿中に排泄され、65%は、呼気二酸化炭素として排出され、10%は、組織に留まる。軟骨の軟骨細胞に取り込まれると、グルコサミンは、プロテオグリカンに組み込まれる。
【0053】
同様に、コンドロイチン、グリコサミン、β−グルカン及び/又はフィトステロール、並びにイソフラボンのほか、これらの化合物の薬学的又は獣医学的塩は、当技術分野でよく知られており、商業的供給源を通じて、又は既知の合成方法の修正により入手可能である。当業者であれば、特定の化合物を調製するために、自由に使用できる"Chemical Abstracts"を持っているであろう。β−グルカンは、コレステロールを減少させ、免疫増強物質として機能することが、当技術分野で知られている。さらに、糖尿病治療において使用しうる。フィトステロールは、コレステロールも減少させることで知られ、免疫調節及び癌予防に関与している可能性がある。イソフラボンは、これらのエストロゲン様作用のため、閉経後の女性の栄養補助食品に使用され、コレステロールを減少させることができる。
【0054】
被験組成物は、当業者によく知られた手順及び利用可能な方法を用いる、即時放出型、持続放出型(extended release)、制御放出型、時限放出型、持続放出型(sustained release)、遅延放出型、長時間作用型、パルス送達などが含まれるが、これらに限定されない様々な放出形態で投与してよい。代表的な持続放出型(sustained release)物質の説明は、Remington's Pharmaceutical Sciencesに組み込まれた物質において見出すことができる。
【0055】
本発明の製剤に含めることができる他の薬学的又は獣医学的添加剤には、着色剤、甘味剤、抗酸化剤、又はpH調節剤、又はこれらの組合せが挙げられる。本発明の製剤は、当業者に既知の、本明細書の組成物成分の溶解に必要な、薬学的に許容可能な有機溶剤及び水性溶剤を含有することができる。
【0056】
乳白剤は、特定の波長の特定の光及び/又はエネルギーを、吸収及び/又は反射するために添加することができ、故に、製剤の安定性を高めることができる。乳白剤には、例えば、酸化亜鉛又は酸化チタンなどがあり、約0.5〜2.5%の量で存在することができる。酸化チタンは、特に有利である。これらの化合物は、当業者によく知られている。
【0057】
さらに、本発明の製剤は、抗酸化剤、防腐剤、又はpH安定剤など、他の不活性成分を含有することができる。これらの化合物は、製剤技術においてよく知られている。アルファトコフェロール(ガンマ−トコフェロールの割合を、製剤中の総トコフェロールの50%w/w未満に低下させない量の)、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、n−没食子酸プロピル、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、モノチオグリセロールなどの抗酸化剤は、本製剤に添加することができる。抗酸化剤は、一般に、本製剤の総重量に対して約0.01〜約2.0%の量で本製剤に添加されるが、約0.05〜約1.0%が、特に有利である。パラベン(メチルパラベン及び/又はプロピルパラベン)などの防腐剤は、約0.01〜約2.0%の範囲量で本製剤に使用するのに適しているが、約0.05〜約1.0%が、特に有利である。他の防腐剤には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブロノポール、ブチルパラベン、セトリミド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、エチルパラベン、イミド尿素、メチルパラベン、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメローサルなどが挙げられる。これらの化合物の有利な範囲としては、約0.01〜約5%が挙げられる。
【0058】
着色剤は、本発明の製剤に添加することができる。本発明により企図された着色剤は、当技術分野で一般に知られている。特定の着色剤には、例えば、色素、アルミニウムレーキ、カラメル、酸化鉄に基づく着色剤、又は先述した物質のいずれかの組合せがある。有機色素及び酸化チタンは、特に有利である。有利な範囲としては、約0.1%〜約25%が挙げられる。
【0059】
本製剤を酸化する化合物もまた企図される。製剤のpHを低下する酸化化合物及びこれらの使用もまた、当業者によく知られている。このような酸化安定剤の例としては、アスコルビン酸、リンゴ酸、イソアスコルビン酸、システイン塩酸塩、システイン二塩酸塩、クエン酸、フマル酸、酢酸、ソルビン酸、グリシン塩酸塩、アルギニン塩酸塩、コハク酸塩酸塩、コハク酸、酒石酸、リン酸、塩酸、グルコノデルタラクトンなどからなる群から選択される化合物があるが、これらに限定されない。キレート剤は、EDTA、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンが含まれうるが、これらに限定されない。
【0060】
本発明の局所製剤は、ジメチルアセトアミド、Transcutol(商標)、DMSO又はジメチルイソルビド、又はキレート剤などの浸透促進剤を含有することもできる。浸透促進剤は、双方の活性を溶解しないような量である、少量で使用される。
【0061】
適当な投与経路には、例えば、経口、直腸、経粘膜、特に経鼻、腸内送達、又は筋肉内、皮下及び髄内注射を含む非経口送達のほか、髄膜、直接脳室内、静脈内、鼻腔内、又は眼内注射があるが、これらに限定されない。或いは、例えば、患者の組織領域への薬学的組成物の直接注射によるなど、全身ではなく局所形式で、薬学的組成物を投与してもよい。好ましくは、本発明の薬学的組成物は、以下で詳細に説明されるように、経口、筋肉内投与、又は損傷した関節結合部などの損傷部位への直接送達用にデザインされる。
【0062】
被験薬物組成物は、薬学的組成物での使用に適した担体、媒体又は賦形剤と併せて投与することができる。こうした物質には、希釈剤、結合剤及び粘着剤、潤滑剤、可塑剤、崩壊剤、着色剤、充填物質、香味料、甘味料、並びに緩衝剤及び吸着剤など、特定の薬用組成物を調製するための種々の物質が含まれるが、これらに限定されない。こうした担体は、薬学的組成物の調製手順と同様に、製薬技術においてよく知られている。
【0063】
企図した送達経路により、組成物は、液体、溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、多層錠、二層錠、カプセル、ゼラチンカプセル、カプレット、トローチ、チュアブルトローチ、ビーズ、粉末、顆粒、分散性顆粒、カシェ剤、圧注、座薬、クリーム、局所剤、吸入剤、エアロゾール吸入剤、パッチ、粒子吸入剤、インプラント、デポ剤移植、摂取可能な、注入可能な投与形態、又は輸液を含む、1種又は複数種の投与形態で投与することができるが、これらに限定されない。投与形態は、結合剤、溶剤、充填剤、可塑剤などを含む、様々な他の成分を含むことができる。
【0064】
本明細書に記載されている薬学的組成物は、例えば、ボーラス注入又は持続注入などにより非経口投与するために処方することができる。注入用製剤は、例えば、必要に応じ防腐剤を添加した、アンプル又は複数回投与容器中に、ユニット投与形態で存在することができる。組成物は、油性媒体又は水性媒体中の懸濁液、溶液又は乳液であってよく、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤などの処方剤を含有することができる。
【0065】
非経口投与のための薬学的組成物には、水溶液型の活性製剤水溶液が含まれる。さらに、有効成分の懸濁液は、適当な油性又は水ベースの注射懸濁液として調製することができる。適切な親油性の剤又は媒体には、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル、トリグリセリド若しくはリポソームなどの合成脂肪酸エステルが含まれる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘性を増加させる、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストランなどの物質を含有することができる。必要に応じ懸濁液はまた、適切な安定剤、又は有効成分の可溶性を増加させて高濃度溶液の調製を可能にする物質を含有していてもよい。
【0066】
注入では、薬学的組成物の有効成分は、水溶液で処方することができ、好ましくは、ハンクス液、リンゲル液、若しくは生理食塩緩衝液など、生理学的に適合する緩衝液、又は油性若しくはアジュバントベース液で処方することができる。経粘膜投与では、浸透するバリアに適した浸透剤が、処方に使用される。こうした浸透剤は、一般に当技術分野で知られている。
【0067】
経口投与では、薬学的組成物は、活性化合物を、当技術分野でよく知られた薬学的に許容可能な担体と併用して、容易に処方することができる。こうした担体は、薬学的組成物を、錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして、レシピエント動物による経口摂取のために処方できるようにする。本発明の組成物の調製に使用するのに適した様々な経口製剤は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、米国特許出願第2004/0037869号に記載されている。経口使用のための薬学的製剤は、固体賦形剤を用いて製造することができ、必要に応じ得られた混合物を粉砕し、必要に応じて適当な助剤を添加した後、顆粒混合物を加工して、錠剤又は糖衣錠コアを得てもよい。適当な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、トレハロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖などの充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボメチルセルロースナトリウムなどのセルロース製剤;及び/又は、ポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に許容可能なポリマーである。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウムといったこれらの塩などの崩壊剤を添加することができる。
【0068】
糖衣錠コアは、適当なコーティングとともに提供される。この目的のため、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適した有機溶剤又は溶剤混合液を含有していてもよい濃縮糖溶液が、使用されうる。染料又は色素は、活性化合物の用量の様々な組合せを識別又は特徴づけるために、錠剤又は糖衣錠のコーティングに添加することができる。
【0069】
経口で使用することのできる薬学的組成物には、ゼラチンから製造されるプッシュフィットカプセルのほか、ゼラチン、及びグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤から製造されるソフト密閉カプセルが挙げられる。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの滑剤、及び、必要に応じ、安定剤と混合した有効成分を含有することができる。ソフトカプセルでは、有効成分は、脂肪油、液体パラフィン、若しくは液体ポリエチレングリコールなどの適した液体中で、溶解又は懸濁することができる。さらに、安定剤を添加してもよい。経口投与用の製剤は全て、選択された投与経路に適した投与量であるべきである。
【0070】
本明細書に記載された有効成分の毒性及び治療有効性は、標準的な薬学的手順により、インビトロで、細胞培養又は実験動物で判定することができる。これらのインビトロ及び細胞培養アッセイ、並びに動物試験で得られたデータは、ヒトで使用するための投与量の範囲を策定するのに処方の際に使用することができる。投与量は、使用する投与形態及び使用する投与経路により、変えることができる。正確な処方、投与経路及び投与量は、患者の状態を考慮して、医師により選択されることができる。(例えば、Fingl,ら., 1975, in "The Pharmacological Basis of Therapeutics", Ch. 1 p1参照のこと)。
【0071】
投与する組成物の量は、言うまでもなく、治療を受ける患者、疾患の重症度、投与様式、処方する獣医師の判断などに左右されるであろう。投与の量及び間隔は、結合組織の損傷部位の疼痛及び炎症を抑制し、組織の再生を促進するのに十分な有効成分量を、標的損傷において提供するため、個別に調節することができる(最小有効濃度、MEC)。MECは、調製ごとに異なるであろうが、インビトロデータから推定することができる。MECを得るのに必要な投与量は、個体の特性及び投与経路に左右されるであろう。検出アッセイは、血漿濃度を判定するのに使用することができる。
【0072】
治療する状態の重症度及び奏効性により、投与は、単回投与又は複数回投与であってよく、治療コースは、数日〜数週間、又は治療が奏効するまで、若しくは疾患状態の減少が得られるまで続きうる。
【0073】
本発明の投与形態は、24時間での単回投与、又は24時間での複数回投与において、1種類の活性治療物質又は複数種の活性治療物質を投与することを伴う。投与量は、それぞれの投与量が、別の少なくとも1回の投与量とは異なるという点で、一定でなくてもよい。
【0074】
適応及び経験的決定により、多種多様な投与量を使用することができる。典型的な投与量は、1mg〜1グラム、好ましくは少なくとも10mg、より好ましくは少なくとも100mgの範囲である。しかし、より一般的には、組成物は、正確な投与を容易にするため、単位投与形態で提示される。「単位投与形態」とは、ヒト被験者及び他の動物用の単一投与量として適した、物理的に別個の単位(unit)のことを言い、各単位は、所望の治療効果を生むように計算された活性物質の既定量を、適した薬学的賦形剤を伴って含有している。典型的な単位投与形態には、予め充填され、前処理された、液体組成物のアンプル若しくはシリンジ、又は固体組成物の場合、ピル、錠剤、カプセルなどがある。
【0075】
市販のガンマ−トコフェロールを200〜800mgの用量で含む、ソフトゼラチンカプセルの調製は、当業者に理解されているが、本発明者は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、米国特許出願第2004/0037869号で教示されているようなチュアブル製剤を含む、液体、錠剤、粉末形態を含む、本発明の組成物の他の送達方法を企図する。ガンマ−トコフェロールは、アルコールフリー、又は酢酸若しくはコハク酸エステルとして存在することができる。特に有利な組成物には、少なくとも50%w/wのガンマ−トコフェロールが含まれる。これらの製剤は、当業者を手引きするためのみに意図されたものであり、開示された方法で使用するのに有効となるガンマ−トコフェロール製剤は、低いもので50%w/wのガンマ−トコフェロールから、最大100%w/wのガンマ−トコフェロールを含むことができるが、望ましくは、約50%w/wのガンマ−トコフェロールから約95%w/wのガンマ−トコフェロールを含有することができる。
【0076】
経口投与に適した液体形態としては、緩衝剤、懸濁化剤及び調剤、着色剤、香味剤などを伴う、適当な水性又は非水性媒体が挙げられる。固形形態には、例えば、類似した性質の以下の成分、又は化合物のいずれかを含めることができる。微結晶性セルロース、トラガカントガム又はゼラチンなどの結合剤;デンプン又はラクトースなどの賦形剤、アルギニン酸、プリモゲル、又はコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤;コロイド状コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロース又はサッカリンなどの甘味剤;又はペパーミント、サリチル酸メチル、若しくはオレンジフレーバーなどの香味剤。
【0077】
上述した成分は、代表に過ぎない。他の物質のほか、処理方法などは、参照により本明細書に組み込まれている、Part 8 of Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th edition, 1985, Mack Publishing Company, Easton, Pa.に説明されている。
【0078】
本発明の組成物は、必要に応じて、有効成分を含有する1種又は複数種の単位投与形態を含有することができる、FDA認可キットなどのパック又はディスペンサ装置で存在することができる。パックは、例えば、金属、又はブリスターパックなどのプラスチックホイルを含むことができる。パック又はディスペンサ装置には、投与のための説明書が添付されうる。パック又はディスペンサ装置は、医薬品のメーカー、使用又は販売を規制する政府機関により規定された形態で、容器に注意書が入っていてもよい。注意書は、組成物形態、又はヒト若しくは獣医用の投与形態に関する、機関による承認を反映している。こうした注意書は、例えば、処方薬に関し、米国食品医薬品局により承認された表示、又は承認された能書きであってよい。適合する薬学的担体中に、処方された本発明の製剤を含む組成物は、上記でさらに詳述されているように、適当な容器で調製、収納され、適応症状の治療に関して表示されることもできる。
【0079】
したがって、本発明の1つの態様は、哺乳動物におけるシクロオキシゲナーゼ−2介在障害を、前記シクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害して治療する方法を提供する。この方法は、哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量のガンマ−トコフェロール又はこの誘導体を含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含む。ガンマ−トコフェロールは、哺乳動物におけるCOX−2の選択的阻害剤であるという新規な観察は、以下の実施例1、表1で説明されている。ガンマ−トコフェロールの、動物の関節結合部の炎症により生じた疼痛を緩和する能力は、実施例2及び図1〜4に表されている。この態様の1つの実施形態では、治療される動物は、コンパニオン動物である。
【0080】
本発明の別の態様は、哺乳動物における炎症又は炎症性疾患状態を、シクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害して治療する方法である。この方法は、少なくとも50%w/wのガンマ−トコフェロール又はこの有効な誘導体若しくは塩を有する、レシピエント哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量のトコフェロール製剤と、必要に応じ、コンドロイチン又はグルコサミン、又はこれらの塩若しくは誘導体、又はこれらのいずれかの組合せから選択される、結合組織成分の生成を増加させる、結合組織の形成促進に有効な量の少なくとも1つの化合物と、必要に応じ、薬学的又は獣医学的賦形剤、添加剤若しくは溶剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容可能な成分とを含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含み、ここで、ガンマ−トコフェロールは、シクロオキシゲナーゼ−2活性により誘発された炎症及び疼痛を選択的に阻害し、必要に応じ、結合組織の再生を促進する。
【0081】
本発明の様々な実施形態では、ガンマ−トコフェロール濃度は、少なくとも50%w/w、少なくとも55%w/w、少なくとも60%w/w、少なくとも65%w/w、少なくとも70%w/w、少なくとも75%w/w、少なくとも80%w/w、少なくとも85%w/w、少なくとも90%w/wから選択することができるが、これに限定されない。本発明のこの態様の1つの実施形態では、トコフェロール製剤の少なくとも60%w/wは、ガンマ−トコフェロールである。別の実施形態では、トコフェロール製剤の少なくとも75%w/wは、ガンマ−トコフェロールである。さらに別の実施形態では、トコフェロール製剤の少なくとも90%w/wは、ガンマ−トコフェロールである。
【0082】
本発明のこの態様の様々な実施形態では、哺乳動物は、コンパニオン動物であってよく、炎症性疾患状態は、関節リウマチ又は変形性関節症であってよい。
【0083】
本発明のこの態様の実施形態では、薬学的組成物は、さらに、コンドロイチン又はグルコサミン又はこれらの塩若しくは誘導体の少なくとも1つを、結合組織の形成促進、及び関節結合部の炎症に有効な量で含むことができる。
【0084】
本発明の別の態様は、少なくとも50%w/wのガンマ−トコフェロール又はこの有効な誘導体若しくは塩を有する、レシピエント哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量のトコフェロール製剤と、コンドロイチン又はグルコサミン、又はこれらの塩若しくは誘導体、又はこれらのいずれかの組合せから選択される、結合組織成分の生成を増加させる少なくとも1つの化合物であって、結合組織の形成促進に有効な量の少なくとも1つの化合物と、薬学的又は獣医学的賦形剤、添加剤が、着色剤、抗酸化剤及びpH調節剤又は溶剤から選択される、必要に応じ、少なくとも1つの薬学的に許容可能な成分とを含む、薬学的又は獣医学的組成物である。
【0085】
本発明のこの態様の1つの実施形態では、薬学的又は獣医学的組成物は、トコフェロール製剤の少なくとも60%w/wをガンマ−トコフェロールとして有する。
【0086】
本発明の別の実施形態では、薬学的又は獣医学的組成物は、トコフェロール製剤の少なくとも75%w/wをガンマ−トコフェロールとして有する。
【0087】
さらに別の実施形態では、薬学的又は獣医学的組成物は、トコフェロール製剤の少なくとも90%w/wをガンマ−トコフェロールとして有する。
【0088】
本発明の様々な実施形態では、薬学的又は獣医学的添加剤は、着色剤、抗酸化剤及びpH調節剤から選択することができ、賦形剤は、トレハロースであってよく、溶剤は、エタノール又はプロピレングリコールである。
【0089】
本発明のさらに別の態様は、それを必要とする動物における結合組織の治療及び修復、並びに疼痛管理の方法である。この方法は、少なくとも50%w/wのガンマ−トコフェロールを含むトコフェロール製剤と、グルコサミン及びコンドロイチン、又はこれらの塩若しくは誘導体からなる群から選択される、少なくとも1つの結合組織前駆体成分と、必要に応じ、少なくとも1つの薬学的又は獣医学的賦形剤、添加剤若しくは溶剤とを含む、薬学的又は獣医学的組成物の有効量を投与することを含む。本発明の組成物及び方法により治療することができる炎症性疾患状態には、例えば、関節リウマチ又は変形性関節症が含まれるが、これらに限定されない。治療領域には、関節結合部が含まれる。
【0090】
当然のことながら、本発明は、本明細書に記載されている特定の組成物又は方法に限定されず、記載されているものと同等の処方又は方法ステップを有するいずれかの組成物は、本発明の範囲内にある。組成物の製剤投与法及び方法ステップは、当業者が、記載されている工程及びこの均等物により、組成物を製造し、これを使用することができるようにするための見本に過ぎない。本明細書で示され、記載されている発明の形態は、本発明の有利な実施形態を構成しているが、本発明の可能な形態を全て説明することを意図したものではないことも、理解されよう。単語は、限定ではなく説明の単語である。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に対する様々な変更及びバリエーションを行うことができる。
【0091】
本発明は、以下の非限定的実施例により説明される。
【実施例1】
【0092】
ガンマ−トコフェロールはCOX−2特異的
66.6%のガンマ−トコフェロールを含むトコフェロール組成物、又は3種類の既知のCOX−2阻害剤を、様々な濃度で、イヌ6匹に投与し、次いで、化合物ごとにIC50を決定した。結果は、以下の表1にまとめられている。
【0093】
【表1】

【実施例2】
【0094】
関節結合部の炎症により生じた跛行の治療有効性
結晶性尿酸により引き起こされた跛行モデルのイヌを用いて、本発明製剤の有効性を評価する試験を行った。66.4%w/w又は90.9%w/wのガンマ−トコフェロールを、10及び100mg/kg体重で含む、本発明による製剤を、イヌに投与した。尿酸により引き起こされた跛行に対するガンマ−トコフェロールの効果を、図1〜4に示されているように、4時間又は8時間後に記録した。
【0095】
テスト動物の跛行程度の改善は、66.4%w/w又は90.9%w/wのガンマ−トコフェロールを投与してから8時間後に、どちらの用量レベルでも見られた。図1に示されているように、投与濃度に関係なく、どちらの用量レベルでも改善は明らかであった。テスト動物の状態における類似の改善は、図2に示されているように、投与量10又は100mg/kg体重で、66.4%w/w又は90.9%w/wのガンマ−トコフェロールのいずれかを含有する組成物で見られた。
【0096】
テスト動物により忍容された、尿酸処理した関節に対する力の程度は、図3に示されているように、投与レベル10又は100mg/kg体重のいずれかで、及び図4に示されているように、投与されたガンマ−トコフェロールの66.4%w/w又は90.9%w/wのいずれかの濃度で、ガンマ−トコフェロールを投与した後に増加した。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】イヌの跛行に関する尿酸結晶モデルにより、試験動物の疾患を改善するため、本発明の製剤の有効性を、異なる用量レベルのガンマ−トコフェロール、プラセボ及びNSAIDと比較した図である。
【図2】尿酸により引き起こされたイヌの跛行について、様々な濃度及び用量レベルのガンマ−トコフェロール、プラセボ及びNSAIDの効果を比較した図である。
【図3】イヌの跛行に関する尿酸結晶モデルにおいて、2種類の用量レベルの投与したガンマ−トコフェロール、プラセボ及びNSAIDにおける、持続力の増加を示した図である。
【図4】イヌの跛行に関する尿酸結晶モデルにおいて、様々な濃度及び投与レベルのガンマ−トコフェロール、プラセボ及びNSAIDにおける、持続力の増加を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物におけるシクロオキシゲナーゼ−2が介在する障害を、前記シクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害して治療する方法であって、少なくとも50%w/wのガンマ−トコフェロール又はこの有効な誘導体若しくは塩を有するトコフェロール製剤を、レシピエント哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量で含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項2】
哺乳動物における炎症又は炎症性疾患状態を、シクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害して治療する方法であって、(a)少なくとも50%w/wのガンマ−トコフェロール又はこの有効な誘導体若しくは塩を含有する、レシピエント哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量のトコフェロール製剤と、(b)結合組織成分の生成を増加させる少なくとも1つの化合物であって、コンドロイチン又はグルコサミン、又はこれらの塩若しくは誘導体、又はこれらのいずれかの組合せから選択される、結合組織の形成促進に有効な量の前記化合物と、(c)必要に応じ、薬学的又は獣医学的賦形剤、添加剤若しくは溶剤から選択される、少なくとも1つの薬学的に許容可能な成分とを含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含み、前記薬学的組成物が、シクロオキシゲナーゼ−2活性により誘発された炎症及び疼痛を選択的に阻害し、結合組織の再生を促進する方法。
【請求項3】
トコフェロール製剤が、少なくとも60%w/wのガンマ−トコフェロール、少なくとも75%w/wのガンマ−トコフェロール、又は少なくとも90%w/wのガンマ−トコフェロールを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
炎症性疾患状態が、関節リウマチ又は変形性関節症である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
薬学的組成物が、関節接合部に送達される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
(a)少なくとも50%w/wのガンマ−トコフェロール又はこの有効な誘導体若しくは塩を含有する、レシピエント哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害するのに有効な量のトコフェロール製剤と、
(b)結合組織成分の生成を増加させる少なくとも1つの化合物であって、コンドロイチン又はグルコサミン、又はこれらの塩若しくは誘導体、又はこれらのいずれかの組合せから選択される、結合組織の形成促進に有効な量の前記化合物と、
(c)必要に応じ、薬学的若しくは獣医学的賦形剤、又は、着色剤、抗酸化剤及びpH調節剤又は溶剤から選択される薬学的若しくは獣医学的添加剤、から選ばれる少なくとも1つの薬学的に許容可能な成分と
を含む、薬学的又は獣医学的組成物。
【請求項7】
トコフェロール製剤が、少なくとも50%w/w、少なくとも55%w/w、少なくとも60%w/w、少なくとも65%w/w、少なくとも70%w/w、少なくとも75%w/w、少なくとも80%w/w、少なくとも85%w/w、又は少なくとも90%w/wのガンマ−トコフェロールを含む、請求項6に記載の薬学的又は獣医学的組成物。
【請求項8】
キットの構成要素であって、前記キットが、包装材料、薬学的又は獣医学的組成物を含有する容器、及びレシピエント哺乳動物においてシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害し、前記哺乳動物の損傷した結合組織を再生する組成物の使用説明書を含む、請求項6に記載の薬学的又は獣医学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−531569(P2008−531569A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557099(P2007−557099)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/006046
【国際公開番号】WO2006/091571
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(304040692)メリアル リミテッド (73)
【Fターム(参考)】