説明

ガンマ照射滅菌ナノ粒子状ドセタキセル組成物および該組成物を作製するための方法

ドセタキセル、あるいはその塩、誘導体、コンジュゲートまたは類似体を含むナノ粒子状組成物であって、ガンマ照射を介して最終滅菌されている前記組成物、ならびにこうした組成物を作製しそして用いる方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、(1)2002年10月4日に出願された米国仮特許出願第60/415,749号の恩典を請求する、2003年9月4日に出願された米国特許出願第10/654,600号の一部継続出願であり;そして(2)2007年3月23日に出願された米国仮特許出願第60/896,647号の恩典を請求する。これらの出願は各々、その全体が本明細書に援用される。
発明の分野
本発明は、ドセタキセルのナノ粒子状組成物、そして特に癌、特に乳癌、卵巣癌、前立腺癌、および肺癌の治療に有用な最終滅菌ナノ粒子状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タキソイドまたはタキサンは、細胞分裂を停止することによって細胞増殖を阻害する化合物であり、そしてドセタキセルおよびパクリタキセルが含まれる。これらはまた、抗有糸分裂または抗微小管剤または有糸分裂阻害剤とも呼ばれる。
【0003】
抗腫瘍および抗白血病活性を有する、タキソイドに基づく組成物、ならびにその使用は、米国特許第5,438,072号に記載される。米国特許第6,624,317号は、癌治療において使用するためのタキソイド・コンジュゲートの調製に言及する。Magnusに対する米国特許第5,508,447号(「Magnus特許」)の図1Aは、タキサン環系の構造および番号付けを示す。Magnus特許は癌治療において使用するためのタキソールの合成に関する。米国特許第5,698,582号および第5,714,512号は、抗腫瘍および抗白血病治療としての注射に適した薬学的組成物において使用するタキサン誘導体に関する。米国特許第6,028,206号および第5,614,645号は、癌の治療に有用なタキソール類似体の調製に関する。米国特許第4,814,470号および第5,411,984号はどちらも、癌の治療において使用するための特定のタキソール誘導体の調製に関する。前述の特許はすべて、本明細書に援用される。
【0004】
ドセタキセルは、タキソイド・ファミリーに属する、半合成の抗新生物剤である。ドセタキセルは、白色からほぼ白色の粉末であり;非常に親油性であり、そして実質的に水に不溶性である。ドセタキセルの化学名は、5β−20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタクス−11−エン−9−オン−4−アセテート2−ベンゾエートを伴う(2R,3S)−N−カルボキシ−3−フェニルイソセリン,N−tert−ブチルエステル,13エステルである。ドセタキセルを調節するための1つの方法は、イチイ(yew)植物の再生可能針バイオマスから抽出される前駆体(タキソイド10−デアセチルバッカチンIII)から始める半合成による。
【0005】
ドセタキセルは、同時係属であり、そして共同所有される、米国特許出願第11/361,055号に記載されるようなナノ粒子内に配合されてもよい。ナノ粒子状活性剤組成物は、一般に、米国特許第5,145,684号(「’684特許」)に記載され、該特許の内容は、本明細書に援用される。’684特許は、粒子の表面上に吸着されたかまたは該表面と会合した非架橋表面安定剤を有する、ほとんど可溶性でない療法剤または診断剤のナノ粒子を解説する。
【0006】
ナノ粒子状活性剤組成物を作製する方法は、例えば、どちらも「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する、米国特許第5,518,187号および第5,862,999号;「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する米国特許第5,718,388号;ならびに「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」に関する米国特許第5,510,118号に記載され、これら特許は各々、本明細書に援用される。
【0007】
薬学的製品がひとたび製造されたら、投与前のエンドユーザーの場所で、製品を室温で保存可能であるように、十分な保存期間を有することが望ましい。薬学的製品の固体配合物は、同じ薬学的製品の液体配合物よりも安定であることが一般的に知られる。液体配合物を半固体配合物に変換する1つの方法は、凍結乾燥プロセスを通じる。
【0008】
凍結乾燥配合物は、典型的には3つの一般的な構成要素、活性成分、賦形剤、および溶媒を含有する。賦形剤は、いくつかの機能を果たすが、主に、活性成分のための安定な環境を提供する。賦形剤は、凍結プロセス中に活性成分を凍結保護することも可能であり、そして/または凍結ケーク(lyo cake)の構造品質を増進させる充填剤として働くことも可能である。
【0009】
十分な保存期間を有することに加えて、薬学的製品はまた、使用前に無菌でなければならない。製造後および最終使用前に薬学的製品を滅菌するために一般的に用いられる方法には:熱滅菌、滅菌ろ過、および放射線照射が含まれる。これらの滅菌法のすべてがナノ粒子状組成物を滅菌するのに有用なわけではなく、そして各方法は欠点を有する。
【0010】
1.ナノ粒子状活性剤組成物の熱滅菌
ナノ粒子状活性剤組成物の熱滅菌が遭遇しうる問題の1つは、構成要素活性剤粒子の可溶化およびそれに続く再結晶化である。このプロセスは、活性剤粒子のサイズ分布の増加を生じる。ナノ粒子状活性剤配合物が、滅菌温度(一般的に約121℃)より低い曇り点を有する表面修飾剤を含有する場合、表面修飾剤の構造が破壊され、その結果、滅菌温度以下で、ナノ粒子状活性剤が溶液から沈殿すると理論化される。したがって、いくつかのナノ粒子状活性剤配合物はまた、熱滅菌プロセス中の温度上昇に曝露された後、粒子凝集を示す。
【0011】
ナノ粒子状活性剤調製物における結晶成長および粒子凝集は、非常に望ましくない。ナノ粒子状活性剤組成物中の巨大な結晶の存在は、特に調製物が注射可能配合物中である場合、望ましくない副作用を引き起こしうる。粒子凝集および再結晶化によって形成されるより大きい粒子は、血流に干渉し、肺塞栓および死を引き起こすこともありうる。
【0012】
2.滅菌ろ過
ろ過は、膜フィルター孔サイズが約0.2ミクロン(200nm)以下である場合、均質な溶液を滅菌するために有効な方法であり、これは0.2ミクロンのフィルターが本質的にすべての細菌を除去するのに十分であるためである。滅菌ろ過は、典型的には、ミクロンサイズの薬剤粒子の慣用的懸濁物を滅菌するためには用いられず、これは薬剤物質粒子が膜孔を通過するには大きすぎるためである。滅菌ろ過はまた、典型的には、ナノ粒子状配合物を滅菌するためには用いられず、これはナノ粒子状組成物は0.2μm未満の平均粒子サイズを有しうるが、平均を構成する、0.2ミクロンより大きい粒子集団部分があるためである。したがって、0.2μmフィルターを通過する際、典型的なナノ粒子状組成物は、ミクロン・サイズの組成物と同じ運命を辿る:これらは滅菌フィルターを詰まらせてしまう。したがって、平均粒子サイズに寄与するより大きいサイズの粒子が0.2μm以下であるような非常に小さい平均粒子サイズを有するナノ粒子状活性剤組成物のみが、滅菌ろ過可能である。
【0013】
3.ガンマ照射
ガンマ照射は薬学的製品を滅菌するのに一般的であり、そして有効な方法である。しかし、ガンマ照射の1つの不都合は、使用前に、薬学的配合物の構成要素に対して照射が有する影響を決定しなければならないことである。例えば、米国特許第5,362,442号は、溶液中の特定の糖、特にグルコースのガンマ照射が、溶液中のその糖を分解させると報告されていることを報告している。配合物の各構成要素(例えばナノ粒子状組成物中の各個々の賦形剤)は、イオン化照射に対して異なって反応するため、滅菌プロセス中に投与される可能性が高い最大線量が、その保存期間中にナノ粒子状組成物の品質、安全性または性能に不都合に影響を及ぼさないことを検証しなければならない。
【0014】
現在、可溶性特性が増進し、次いで患者への投与に際して生物学的利用能増進および毒性減少を提供する、最終滅菌ドセタキセル配合物であって、ガンマ照射によって滅菌されている、前記配合物に関する必要性がある。本発明は、ドセタキセルおよびその類似体のナノ粒子状配合物を含む滅菌組成物、ならびに該組成物を作製するための方法を提供することによって、これらの必要性を満たす。こうした配合物には、限定されるわけではないが、注射可能ナノ粒子状ドセタキセルまたはその類似体の再分散可能な凍結物(lyo)が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,438,072号
【特許文献2】米国特許第6,624,317号
【特許文献3】米国特許第5,508,447号
【特許文献4】米国特許第5,698,582号
【特許文献5】米国特許第5,714,512号
【特許文献6】米国特許第6,028,206号
【特許文献7】米国特許第5,614,645号
【特許文献8】米国特許第4,814,470号
【特許文献9】米国特許第5,411,984号
【特許文献10】米国特許出願第11/361,055号
【特許文献11】米国特許第5,145,684号
【特許文献12】米国特許第5,518,187号
【特許文献13】米国特許第5,862,999号
【特許文献14】米国特許第5,718,388号
【特許文献15】米国特許第5,510,118号
【特許文献16】米国特許第5,362,442号
【発明の概要】
【0016】
特定の側面において、本発明は、ドセタキセルまたはその類似体を含む固体ナノ粒子状組成物であって、ガンマ照射を介して最終滅菌されている前記組成物、ならびに該組成物を作製しそして用いる方法に関する。
【0017】
本発明の1つの側面において、組成物は、ドセタキセルまたはその類似体を含む粒子であって、約2000nm未満の平均サイズを有する前記粒子を含む。組成物はまた、粒子の表面上に吸着されたかまたは該表面と会合した少なくとも1つの表面安定剤も含んでもよい。組成物はガンマ照射への曝露によって滅菌される。
【0018】
本発明のさらなる側面は、本発明記載の組成物を作製する方法に関する。
本発明のさらなる側面は、ガンマ照射された固体ナノ粒子状ドセタキセル投薬型で被験体を治療する方法であって、被験体に、ドセタキセルまたはその類似体を含む、ガンマ照射されたナノ粒子状投薬組成物の有効量を投与する工程を含む、前記方法に関する。
【0019】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明はどちらも、例示的でありそして説明的であり、そして請求されるような本発明のさらなる説明を提供することを意図する。以下の本発明の詳細な説明から、当業者には、他の目的、利点、および新規特徴が容易に明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
上記にそして開示全体で使用されるように、以下の用語は、別に示さない限り、以下の意味を有すると理解すべきである。
【0021】
本明細書において、「約」は、一般の当業者によって理解され、そして用いられる文脈に応じて、ある程度多様でありうる。用いられる文脈を考慮して、一般の当業者に明らかでない用語の使用がある場合、「約」は、特定の用語の最大プラスまたはマイナス10%を意味する。
【0022】
本明細書において、「安定」ドセタキセルまたはその類似体の粒子は、限定されるわけではないが、1以上の以下のパラメーターを持つドセタキセルまたはその類似体を示す:(1)ドセタキセルまたはその類似体の粒子が、粒子間引力、またはそうでなければ経時的な粒子サイズの有意な増加によって、認識可能に凝集(flocculate)または集塊(agglomerate)せず;(2)非結晶相から結晶相への変換によるなどで、ドセタキセルまたはその類似体の粒子の物理的構造が経時的に改変されず;(3)ドセタキセルまたはその類似体の粒子が化学的に安定であり;そして/または(4)ドセタキセルまたはその類似体が、本発明のナノ粒子調製において、ドセタキセルまたはその類似体の粒子の融点以上での加熱工程に供されていない。
【0023】
用語「慣用的」または「非ナノ粒子状」活性剤またはドセタキセルまたはその類似体は、可溶化されているか、または約2000nmより大きい有効平均粒子サイズを有する活性剤、例えばドセタキセルまたはその類似体を意味するものとする。本明細書に定義するようなナノ粒子状活性剤は、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有する。
【0024】
用語「粒子状」は、本明細書において、そのサイズ、形状または形態に関わりなく、別個の粒子、ペレット、ビーズまたは顆粒の存在によって特徴付けられる物質の状態を指す。用語「多粒子状」は、本明細書において、そのサイズ、形状または形態に関わりなく、複数の別個のまたは凝集した粒子、ペレット、ビーズ、顆粒またはその混合物を意味する。
【0025】
本明細書において、句「療法的有効量」は、こうした治療を必要とする被験体の有意な数において、そのために薬剤を投与する、特定の薬理学的応答を提供する、薬剤投薬量を意味する。特定の例において、特定の被験体に投与される薬剤の療法的有効量は、こうした投薬量が当業者によって療法的有効量と見なされるとしても、本明細書に記載する状態/疾患を治療する際に常には有効でないことが強調される。
【0026】
混入に関する用語「微生物」は、本明細書において、細菌、酵母およびカビを含むすべての生物学的混入物を含むと見なされる。
用語「滅菌する」または「滅菌された」は、本出願で用いた際、一般的に、製品中に存在する生物学的混入物を不活性化することを意味する。典型的な薬学的適用において、少なくとも25kGray線量の照射への曝露は、薬学的製品を滅菌する。他の滅菌技術の中でも、照射技術による適切な典型的滅菌が、USP<1212>(USP29−NF24)_,Sterilization and Sterility Assurance of Compendial Articlesに記載される。
【0027】
特定の側面において、本発明は、活性剤としてドセタキセルまたは類似体を含むナノ粒子状組成物の固体型が、ガンマ照射を介して成功裡に最終滅菌されうるという、驚くべき発見に関する。本発明の側面にしたがって滅菌されている固体を、任意の適切な投薬型に配合してもよい。本発明の態様には、ガンマ照射を介して滅菌されている、ドセタキセルまたは類似体を含む、再構成された固体ナノ粒子状組成物を含む液体組成物が含まれる。
【0028】
本発明の1つの側面において、ナノ粒子状組成物は、ドセタキセル、その塩、誘導体、コンジュゲートまたは類似体であってもよい薬学的活性成分を含有する粒子で構成される。好ましくは、粒子は、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有する。組成物はまた、粒子の表面上に吸着されたかまたは該表面と会合した少なくとも1つの表面安定剤も含んでもよい。組成物はガンマ照射への曝露によって滅菌される。本発明の特定の側面において、ガンマ照射および液体媒体中の再構成後、滅菌固体は、粒子サイズに再分散し、このサイズは、固体への取り込み前の元来のナノ粒子状粒子サイズと実質的に類似である。
【0029】
本発明のさらなる側面は、本発明記載の組成物を作製する方法に関する。本発明の1つの側面にしたがって、滅菌ナノ粒子状ドセタキセル組成物を作製するための方法は、場合によって少なくとも1つの賦形剤の存在下で、ドセタキセル、および少なくとも1つの表面安定剤を、製粉媒体を含有する水性媒体中で、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有するドセタキセルの粒子の分散物を提供するのに十分な期間に渡って、そしてそれに十分な条件下で、そして少なくとも1つの表面安定剤が粒子の表面上に吸着するように混合し;分散物から製粉媒体を除去し;分散物を凍結乾燥して凍結物を形成し;そして凍結物を滅菌して滅菌ドセタキセル組成物を産生する工程を含む。
【0030】
本発明の別の側面は、治療が必要な被験体を治療する方法であって、本発明にしたがったドセタキセルまたは類似体を含む固体滅菌ナノ粒子状組成物の療法的有効量を投与する工程を含む、前記方法を含む。本発明の別の側面は、治療が必要な哺乳動物を治療する方法であって、ガンマ照射を介して滅菌されたドセタキセルまたは類似体を含む、再構成された固体ナノ粒子状組成物を含む液体組成物の療法的有効量を投与する工程を含む、前記方法である。
ドセタキセル
本明細書において、用語「ドセタキセル」には、その類似体、誘導体、コンジュゲート、および塩が含まれ、そしてドセタキセルは結晶相、非結晶相、半結晶相、半非結晶相、またはその混合物であってもよい。ドセタキセルまたはその類似体は、1つの実質的に光学的に純粋なエナンチオマーの形で、あるいはエナンチオマーの混合物、ラセミ体またはその他としてのいずれかで存在してもよい。
【0031】
本発明に記載されそして含まれるドセタキセルの類似体には、限定されるわけではないが、
(1)C−3’および/またはC−2ベンゾエート位でフェニル基の代わりにシクロヘキシル基を含むドセタキセル類似体、例えば3’−デフェニル−3’シクロヘキシルドセタキセル、2−(ヘキサヒドロ)ドセタキセル、および3’−デフェニル−3’シクロヘキシル−2−(ヘキサヒドロ)ドセタキセル(Ojimaら, “Synthesis and structure−activity relationships of new antitumor taxoids. Effects of cyclohexyl substitution at the C−3’ and/or C−2 of taxotere(docetaxel),” J. Med. Chem., 37(16):2602−8(1994));
(2)C−3’またはC−2位でフェニルまたは芳香族基を持たない、ドセタキセル類似体、例えば3’−デフェニル−3’−シクロヘキシルドセタキセルおよび2−(ヘキサヒドロ)ドセタキセル;
(3)m−メトキシおよびm−クロロベンゾイルアミド類似体を含む、2−アミドドセタキセル類似体(Fangら, Bioorg. Med. Chem. Lett., 12(11):1543−6(2002);
(4)オキセタンD環を持たないが、生物学的活性に重要な4アルファ−アセトキシ基を所持する、ドセタキセル類似体、例えばMerckleら, “Semisynthesis of D−ring modified taxoids: novel thia derivatives of docetaxel,” J. Org. Chem., 66(15):5058−65(2001)、およびDekaら, Org. Lett., 5(26):5031−4(2003)に記載される、10−デアセチルバッカチンIIIまたはタキシンBおよびイソタキシンBから合成可能な、5(20)−チアドセタキセル類似体;
(5)5(20)デオキシドセタキセル;
(6)Iimuraら, “Orally active docetaxel analogue: synthesis of 10−deoxy−10−C−morpholinoethyl docetaxel analogues,” Bioorg. Med. Chem. Lett., 11(3):407−10(2001)に記載される、7−ヒドロキシル基が疎水性基(メトキシ、デオキシ、6,7−オレフィン、アルファ−F、7−ベータ−8−ベータ−メタノ、フルオロメトキシ)に修飾されるドセタキセル類似体を含む、10−デオキシ−10−C−モルホリノエチルドセタキセル類似体;
(7)Cassidyら, Clin. Can. Res., 8:846−855(2002)に記載されるドセタキセル類似体、例えばイソセリンN−アシル置換基としてt−ブチルカルバメートを有するが、C−10(アセチル基対ヒドロキシル)およびC−13イソセリン連結(エノールエステル対エステル)のドセタキセルとは異なる類似体;
(8)Larroqueら, “Novel C2−C3 “N−peptide linked macrocyclic taxoids. Part 1: Synthesis and biological activities of docetaxel analogues with a peptide side chain at C3”, Bioorg. Med. Chem. Lett. 15(21):4722−4726(2005)に記載される、C3にペプチド側鎖を有するドセタキセル類似体;
(9)XRP9881(10−デアセチルバッカチンIIIドセタキセル類似体);
(10)XRP6528(10−デアセチルバッカチンIIIドセタキセル類似体);
(11)オルタタキセル(14−ベータ−ヒドロキシ−デアセチルバッカチンIIIドセタキセル類似体);
(12)MAC−321(10−デアセチル−7−プロパノイルバッカチンドセタキセル類似体);
(13)DJ−927(7−デオキシ−9−ベータ−ジヒドロ−9,10,0−アセタールタキサンドセタキセル類似体);
(14)C2位に芳香族環を所持するC2−C3’ N連結を有し、そしてN3’およびオルト、メタ、またはパラ位のC2芳香族環の間で束縛されている、ドセタキセル類似体。パラ置換誘導体は微小管を安定化させることが不能であり、一方、オルトおよびメタ置換化合物は、低温誘導微小管分解アッセイにおいて、有意な活性を示す。Olivierら, “Synthesis of C2−C3'N−Linked Macrocyclic Taxoids; Novel Docetaxel Analogues with High Tubulin Activity,” J. Med. Chem., 47(24:5937−44(November 2004);
(15)C−2 OHおよびC−3’ NH部分を連結する22員(またはそれより多い)環を所持するドセタキセル類似体(C2 OHおよびC−3’ NH部分を連結する18、20、21、および22員環を所持するドセタキセル類似体の生物学的評価は、活性が環サイズに応じることを示した;22員環タキソイド3dのみが有意なチューブリン結合を示した)(Querolleら, “Synthesis of novel macrocyclic docetaxel analogues. Influence of their macrocyclic ring size on tubulin activity,” J. Med. Chem., 46(17):3623−30(2003).);
(16)7ベータ−O−グリコシル化ドセタキセル類似体(Anastasiaら, “Semi−Synthesis of an O−glycosylated docetaxel analogue,” Bioorg. Med. Chem., 11(7):1551−6(2003));
(17)10−アルキル化ドセタキセル類似体、例えばアルキル部分の末端にメトキシカルボニル基を有する10−アルキル化ドセタキセル類似体(Nakayamaら, “Synthesis and cytotoxic activity of novel 10−alkylated docetaxel analogs,” Bioorg. Med. Chem. Lett., 8(5):427−32(1998));
(18)2’,2’−ジフルオロ、3’−(2−フリル)、および3’−(2−ピロリル)ドセタキセル類似体(Uotoら, “Synthesis and structure−activity relationships of novel 2’, 2’−difluoro analogues of docetaxel,” Chem. Pharm. Bull.(Tokyo), 45(11):1793−804(1997));ならびに
(19)蛍光およびビオチン化ドセタキセル類似体、例えば(a)7または3’位にN−(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾ−4−イル)アミド−6−カプロイル鎖、(b)3’位に、N−(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾ−4−イル)アミド−3−プロパノイル基、あるいは(c)7、10または3’位に5’−ビオチニルアミド−6−カプロイル鎖を所持するドセタキセル類似体(Duboisら, “Fluorescent and biotinylated analogues of docetaxel: synthesis and biological evaluation,” Bioorg. Med. Chem., 3(10):1357−68(1995))
が含まれる。
組成物
本発明の特定の側面にしたがって、組成物は、限定されるわけではないが、経口、肺、直腸、目、結腸、非経口、大槽内、膣内、腹腔内、局部、頬側、鼻、および局所投与を含む任意の薬学的に許容されうる投与経路を介した投与用に配合されている。
【0032】
本発明の特定の側面において、組成物は、限定されるわけではないが、液体分散物、固体分散物、液体充填カプセル、ゲル、エアロゾル、軟膏、クリーム、凍結乾燥配合物、錠剤、カプセル、多粒子充填カプセル、多粒子で構成される錠剤、圧縮錠剤、および活性成分の溶腸性コーティングビーズが充填されたカプセルを含む任意の薬学的に許容されうる投薬型に配合されている。
【0033】
本発明の特定の態様にしたがって、1以上の糖の包含が組成物を調製する際に有用である。実施の任意の単数または複数の理論によって束縛されることを意図することなく、糖が1以上の機能を果たしうる。例えば、糖は、表面修飾剤として、結晶成長阻害剤として、充填剤として働くことも可能であり、そして/または粒子の凝集を防止するように働くことも可能である。本発明の組成物中で有用な糖の例には、限定されるわけではないが、スクロース、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ソルビトール、マルトース、トレハロース、および他の糖が含まれる。
【0034】
本発明の1つの態様にしたがって、凍結乾燥投薬型は、投薬型を滅菌するのに十分な量の放射線に曝露される。ガンマ照射の例示的な量には、限定されるわけではないが、約5〜約50kGray、約15kGray〜約40kGray、約15〜約30kGray、約20〜約30、または約25〜約40kGrayの照射総線量を提供するガンマ照射量が含まれる。本発明の1つの態様において、滅菌は、凍結物を約25kGrayのガンマ照射に曝露することによって達成される。
【0035】
好ましい態様において、組成物は、注射可能投薬型で使用するために配合される。
本発明の別の側面において、組成物は、限定されるわけではないが、制御放出配合物、迅速融解配合物、遅延放出配合物、延長放出配合物、脈動性放出配合物、ならびに即時放出および制御放出の混合配合物を含む投薬型に配合される。
【0036】
本発明は、ナノ粒子状ドセタキセルまたはその類似体の粒子および少なくとも1つの表面安定剤を含む組成物を提供する。表面安定剤は、好ましくは、ドセタキセルまたはその類似体の粒子の表面上に吸着されているかまたは該表面と会合している。本明細書に有用な表面安定剤は、ドセタキセルまたはその類似体の粒子と、あるいはそれ自体と化学的に反応しない。別の態様において、本発明の組成物は、2以上の表面安定剤を含んでもよい。
【0037】
本明細書で有用な表面安定剤は、ナノ粒子状活性剤の表面上に物理的に吸着するかまたは該表面と会合するが、活性剤粒子と化学的に反応しない。
例示的で有用な表面安定剤には、限定されるわけではないが、既知の有機および無機薬学的賦形剤、ならびにペプチドおよびタンパク質が含まれる。こうした賦形剤には、多様なポリマー、低分子量オリゴマー、天然産物、および界面活性剤が含まれる。有用な表面安定剤には、非イオン性表面安定剤、陰イオン性表面安定剤、陽イオン性表面安定剤、および双性イオン性表面安定剤が含まれる。1より多い表面安定剤の組み合わせを本発明で用いてもよい。
【0038】
表面安定剤の代表的な例には、限定されるわけではないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのランダムコポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホスクシネート、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、デキストラン、アカシアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000等のマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレン・ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween20(登録商標)およびTween80(登録商標)(ICI Speciality Chemicals)などの商業的に入手可能なTween(登録商標));ポリエチレングリコール(例えば、Carbowaxs 3550(登録商標)および934(登録商標)(Union Carbide))、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非結晶セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、酸化エチレンおよびホルムアルデヒドを伴う4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー(チロキサポール、スペリオン(superione)およびトリトンとしても知られる)、ポロキサマー(例えば、酸化エチレンおよび酸化プロピレンのブロックコポリマーであるPluronics F68(登録商標)およびF108(登録商標));ポロキサミン(例えば、エチレンジアミンへの酸化プロピレンおよび酸化エチレンの逐次添加から得られる四官能性ブロックコポリマーであり、Poloxamine 908(登録商標)としても知られる、Tetronic 908(登録商標)(BASF Wyandotte Corporation, ニュージャージー州パーシッパニー));Tetronic 1508(登録商標)(T−1508)(BASF Wyandotte Corporation)、アルキルアリールポリエーテルスルホネートであるTritons X−200(登録商標)(Dow);ステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物であるCrodestas F−110(登録商標)(Croda Inc.);Olin−IOG(登録商標)またはSurfactant 10−G(登録商標)(Olin Chemicals, コネチカット州スタンフォード)としても知られるp−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール);Crodestas SL−40.RTM.(Croda, Inc.);およびC1837CHC(O)N(CH)−−CH(CHOH)(CHOH)であるSA9OHCO(Eastman Kodak Co.);デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド;n−デシルβ−D−マルトピラノシド;n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド;n−ドデシルβ−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド;n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド;n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノイルβ−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチル−β−D−グルコピラノシド;オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、リゾチーム等が含まれる。
【0039】
有用な表面安定剤のさらなる例には、限定されるわけではないが、ポリマー、バイオポリマー、多糖、セルロース誘導体、アルギネート、リン脂質、ポリ−n−メチルピリジニウムクロリド、塩化アントリルピリジニウム(anthryul pyridinum chloride)、陽イオン性リン脂質、キトサン、ポリリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド(PMMTMABr)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)、およびポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルサルフェートが含まれる。
【0040】
他の有用な安定剤には、限定されるわけではないが、陽イオン性脂質、スルホニウム、ホスホニウム、および四級アンモニウム化合物、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツ塩化または臭化トリメチルアンモニウム、ココナッツ塩化または臭化メチルジヒドロキシエチルアンモニウム、塩化デシルトリエチルアンモニウム、塩化または臭化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、C12−15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ココナッツ塩化または臭化ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、硫酸ミリスチルトリメチルアンモニウムメチル、塩化または臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化または臭化ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウム、N−アルキル(C12−18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、塩化ジメチルジデシルアンモニウム、N−アルキルおよび(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハロゲン化物、アルキル−トリメチルアンモニウム塩およびジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩および/またはエトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウム、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、クロリド一水和物、N−アルキル(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリドおよび塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、C12、C15、C17トリメチルアンモニウムブロミド、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、塩化ジメチルアンモニウム、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、塩化トリセチルメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリエチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(ALIQUAT336TM)、POLYQUAT 10TM、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、コリンエステル(例えば、脂肪酸のコリンエステル)、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物(例えば、塩化ステアリルトリモニウムおよび塩化ジステアリルジモニウム)、臭化または塩化セチルピリジニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOLTMおよびALKAQUATTM(Alkaril Chemical Company)、アルキルピリジニウム塩;アミン、例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートおよびビニルピリジン、アミン塩、例えば、酢酸ラウリルアミン、酢酸ステアリルアミン、アルキルピリジニウム塩、およびアルキルイミダゾリウム塩、および酸化アミン;イミドアゾリニウム塩;プロトン化四級アクリルアミド;メチル化四級ポリマー、例えば、ポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロリド]およびポリ−[N−メチルビニルピリジニウムクロリド];ならびに陽イオン性グアーが含まれる。
【0041】
他の有用な陽イオン性表面安定剤は、J. CrossおよびE. Singer, Cationic Surfactants: Analytical and Biological Evaluation(Marcel Dekker, 1994); P.およびD. Rubingh(監修), Cationic Surfactants: Physical Chemistry(Marcel Dekker, 1991);およびJ. Richmond, Cationic Surfactants: Organic Chemistry(Marcel Dekker, 1990)に記載されている。
【0042】
本発明の特定の態様において有用な好ましい表面安定剤の例には、限定されるわけではないが、ポロキサマー188、ポロキサマー338、ポロキサマー407、ポリソルベート80、およびレシチンが含まれる。
【0043】
他の既知の薬学的賦形剤および表面安定剤は、本明細書に特に援用される、American Pharmaceutical AssociationおよびThe Pharmaceutical Society of Great Britainによって合同で出版された、Handbook of Pharmaceutical Excipients(The Pharmaceutical Press, 2000)に詳細に記載されている。該文献に列挙される薬学的賦形剤には、アカシア、アセスルファムカリウム、アルブミン、アルコール、アルギン酸、脂肪酸ポリエステル、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、アスパルテーム、ベントナイト、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ブロノポール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチルパラベン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム二塩基性無水物、リン酸カルシウム二塩基性脱水型、リン酸カルシウム三塩基性、ステアリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、キャノーラ油、カルボマー、二酸化炭素、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、ヒマシ油、水素化酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、粉末化微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、セトステアリルアルコール、セトリミド、セチルアルコール、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロジフルオロエタン(HCFC)、クロロフルオロカーボン(cFC)、コレステロール、クエン酸一水和物、コロイド状二酸化ケイ素、着色剤、コーン油、綿実油、クレゾール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、シクロデキストリン、デキストレート、デキストリン、デキストロース、セバシン酸ジブチル、ジエタノールアミン、フタル酸ジエチル、ジフルオロエタン(HFC)、ジメチルエーテル、ドキュセート・ナトリウム、エデト酸、エチルセルロース、エチルマルトール、オレイン酸エチル、エチルパラベン、エチルバニリン、フルクトース、フマル酸、ゼラチン、グルコース、液体グリセリン、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、グリコフロール、グアーガム、ヘパトフルオロプロパン(HFC)、炭化水素(HC)、塩酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、イミド尿素、イソプロピルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、カオリン、乳酸、ラクチトール、ラクトース、ラノリン、ラノリンアルコール、含水ラノリン、レシチン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、リンゴ酸、マルチトール、マルチトール溶液、マルトデキストリン、マルトール、マルトース、マンニトール、中鎖トリグリセリド、メグルミン、メントール、メチルセルロース、メチルパラベン、ミネラルオイル、軽油、ミネラルオイルおよびラノリンアルコール、モノエタノールアミン、窒素、酸化二窒素、オレイン酸、パラフィン、ピーナツ油、ワセリン、ワセリンおよびラノリンアルコール、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ポラクリリンカリウム、ポロキサマー、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、酸化ポリエチレン、ポリメタクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリビニルアルコール、塩化カリウム、クエン酸カリウム、ソルビン酸カリウム、ポビドン、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、アルギン酸プロピレングリコール、没食子酸プロピル、プロピルパラベン、サッカリン、サッカリンナトリウム、ゴマ油、セラック、アルギン酸ナトリウム、アスコルビン酸(acorbate)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム脱水型、ナトリウムシクラメート、ラウリル硫酸ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビタンエステル(ソルビタン脂肪酸エステル)、ソルビトール、大豆油、デンプン、デンプン、アルファ化デンプン、滅菌可能トウモロコシ、ステアリン酸、ステアリルアルコール、スクロース、圧縮可能糖(compressible sugar)、粉砂糖、糖球体、座薬基剤、固い脂肪、タルク、酒石酸、テトラフルオロエタン(HFC)、チメロサール、二酸化チタン、トラガカント、トリアセチン、トリエタノールアミン(triethanolarnine)、クエン酸トリエチル、バニリン、I型水素化植物油、水、陰イオン性乳化ワックス、カルナウバ・ワックス、セチルエステルワックス、微結晶性ワックス、非イオン性乳化ワックス、白蝋、黄蝋、キサンタンゴム、キシリトール、ゼイン、およびステアリン酸亜鉛が含まれる。
【0044】
本発明の特定の他の態様において、組成物は、活性剤の表面上に吸着されたかまたは該表面と会合した表面安定剤として、少なくとも1つのペプチドまたはタンパク質を含んでもよい。ペプチドおよび/またはタンパク質表面安定剤を、活性剤のサイズ減少前、好ましくは減少中、または減少後のいずれかで、活性剤と接触させてもよい。
ナノ粒子状ドセタキセルおよび表面安定剤の濃度
ドセタキセルまたはその類似体および1以上の表面安定剤の相対量は非常に多様でありうる。個々の構成要素の最適量は、例えば、選択される表面安定剤(単数または複数)およびドセタキセルまたはその類似体の物理的および化学的特性、例えば親水性親油性バランス(HLB)、融点、および安定剤の水溶液の表面張力等に応じる。
【0045】
本発明の構成要素の濃度は、乾燥組成物の%w/wによって測定される。一般の当業者によって理解されるであろうように、乾燥組成物中の構成要素の量を変換して、組成物が液体分散型にある場合の水性分散媒体を明らかにしてもよい。
【0046】
好ましくは、乾燥凍結乾燥組成物中のドセタキセルまたはその類似体の濃度は、他の賦形剤を含まず、ドセタキセルまたはその類似体および少なくとも1つの表面安定剤を合わせた総重量に基づいて、重量約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%で存在しうる。
【0047】
好ましくは、乾燥凍結乾燥組成物中の少なくとも1つの表面安定剤の濃度は、他の賦形剤を含まず、ドセタキセルまたはその類似体および少なくとも1つの表面安定剤を合わせた総乾燥重量に基づいて、重量約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%であってもよい。
他の薬学的賦形剤
本発明にはまた、集合的にキャリアーと称される、1以上の非毒性の生理学的に許容されうるキャリアー、佐剤またはビヒクルを伴うナノ粒子状ドセタキセルまたはその類似体の組成物も含まれる。非経口注射(例えば静脈内、筋内、または皮下)、固体、液体、またはエアロゾル型の経口投与、膣、鼻、直腸、目、局部(粉末、軟膏、または滴)、頬側、大槽内、腹腔内、または局所投与等のために、組成物を配合してもよい。本発明の特定の態様において、ナノ粒子状ドセタキセルまたはその類似体の配合物は、注射可能型である。
【0048】
乾燥組成物中に含まれてもよい賦形剤の限定されない例は、充填剤、結晶成長阻害剤、フリーラジカルスカベンジャー剤、および再分散剤である。好ましくは、賦形剤は、乾燥組成物%w/wで測定すると、約5〜約95、約10〜約95、約20〜約95、約50〜約90、約60〜約90、約70〜約90、または約70〜約80の量で存在する。
【0049】
本発明の1つの態様において、賦形剤は、好ましくは、乾燥組成物%w/wで測定すると、約5〜約95、約10〜約95、約20〜約95、約50〜約90、約60〜約90、約70〜約90、または約70〜約80の量で存在する。
【0050】
本発明の側面にしたがった薬学的組成物はまた、1以上の結合剤、充填剤、潤滑剤、懸濁剤、甘味料、フレーバー剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、および他の賦形剤も含んでもよい。こうした賦形剤が当該技術分野に知られる。
【0051】
非経口注射に適した組成物は、例えば、生理学的に許容されうる滅菌水性または非水性溶液、分散物、懸濁物またはエマルジョン、および滅菌注射可能溶液または分散物に再構成するための滅菌粉末を含んでもよい。適切な水性および非水性キャリアー、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例には、水、エタノール、塩化ナトリウム、リンゲル溶液、乳酸リンゲル溶液、安定剤溶液、等張性増進剤(スクロース、デキストロース、マンニトール等)、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレン−グリコール、グリセロール等)、その適切な混合物、植物油(オリーブ油など)およびオレイン酸エチルなどの注射可能有機エステルが含まれる。適切な流体は、Mack Publishing Co.によって刊行された、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第17版, 1543ページに言及される。
注射可能ナノ粒子状ドセタキセル配合物
本発明の1つの態様において、少ない注射体積中に高濃度を含み、投与に際して迅速に溶解しうる、注射可能ナノ粒子状ドセタキセルまたはその類似体の配合物を提供する。
【0052】
本発明の特定の態様において有用な例示的な保存剤には、限定なしに、メチルパラベン(%w/wに基づいて約0.18%)、プロピルパラベン(%w/wに基づいて約0.02%)、フェノール(%w/wに基づいて約0.5%)、およびベンジルアルコール(最大2%v/v)が含まれる。例示的なpH調整剤は水酸化ナトリウムであり、そして例示的な液体キャリアーは注射用滅菌水である。他の有用な保存剤、pH調整剤、および液体キャリアーが当該技術分野に周知である。
ナノ粒子状ドセタキセル粒子サイズ
当業者に周知の任意の慣用的粒子サイズ測定技術によって、粒子サイズを測定してもよい。こうした技術には、例えば、沈降場流動分画、光子相関分光法、光散乱、およびディスク遠心分離が含まれる。光散乱測定技術を利用する例示的な装置は、日本・京都市南区のHoriba社によって製造される、Horiba LA−910レーザー散乱粒子サイズ分布分析装置である。
【0053】
上述の測定技術は、典型的には、統計分布として組成物の粒子サイズを報告する。したがって、この分布から、一般の当業者は、平均、中央値、および最頻値を計算するとともに、確率密度関数として分布を視覚的に示すことも可能である。さらに、分布のパーセンタイル順位を同定してもよい。
【0054】
一般の当業者に理解されるように、分布は、固体粒子の数分布、重量分布、または体積分布に基づいて定義可能である。好ましくは、本発明の粒子サイズ分布は、重量分布にしたがって定義される。
【0055】
本明細書において、「有効平均粒子サイズ」は、所定の粒子サイズxに関して、粒子集団の50%が、x未満の重量サイズであり、そして粒子集団の50%が、xより大きい重量サイズであることを意味する。例えば、「2000nmの有効平均粒子サイズ」を有する、ドセタキセル、ドセタキセルの誘導体、ドセタキセルのコンジュゲートおよびドセタキセルの類似体の粒子を含む組成物は、粒子の50%が約2000nmより小さい重量サイズであり、そして粒子の50%が2000nmより大きい重量サイズであることを意味する。
【0056】
本発明の組成物は、約2ミクロン未満の有効平均粒子サイズを有するドセタキセルまたはその類似体の粒子を含む。本発明の他の態様において、ドセタキセルまたはその類似体の粒子は、光散乱法、顕微鏡、または他の適切な方法によって測定した際、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約650nm未満、約600nm未満、約550nm未満、約500nm未満、約450nm未満、約400nm未満、約350nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、または約50nm未満の有効平均粒子サイズを有する。
【0057】
本発明の別の態様において、本発明の組成物は注射可能投薬型であり、そしてドセタキセルまたはその類似体の粒子は、好ましくは、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約650nm未満、約600nm未満、約550nm未満、約500nm未満、約450nm未満、約400nm未満、約350nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、または約50nm未満の有効平均粒子サイズを有する。注射可能組成物は、約1ミクロンより大きく、最大約2ミクロンである有効平均粒子サイズを有する、ドセタキセルまたはその類似体を含んでもよい。
【0058】
本明細書において、数字が続く用語「D」、例えばD50は、粒子集団の50%がそれより小さく、そして粒子集団の50%がそれより大きい粒子サイズである。別の例では、粒子サイズ分布のD90は、粒子の90%が、重量にしてそのサイズより下に属し;そして逆に、粒子の10%のみが、重量にしてより大きい粒子サイズのものである粒子サイズであることを示す。
【0059】
本明細書において、用語「D平均」は、組成物中の粒子集団に関する数値平均である。例えば、組成物が100粒子を含む場合、組成物の総重量を組成物中の粒子数で割る。
本発明のガンマ照射滅菌固体ナノ粒子状組成物は、好ましくは、再分散活性剤粒子の有効平均粒子サイズが約2ミクロン未満であるように、適切なビヒクル中での再構成に際して再分散する。これは、投与に際して、本発明のナノ粒子状活性剤組成物が実質的にナノ粒子状粒子サイズに再分散せず、次いで投薬型が、活性剤をナノ粒子状粒子サイズに配合することによって得られる利点が失われうるため、重要である。
【0060】
これは、ナノ粒子状活性剤組成物が、活性剤の小さい粒子サイズから利益を得るためである;活性剤が投与に際して小さい粒子サイズに再分散しなければ、ナノ粒子状活性剤系の極端に高い表面自由エネルギー、および自由エネルギーの全体の減少を達成するための熱力学的駆動力のため、「塊」または集塊活性剤粒子が形成される。こうした集塊粒子が形成されると、粒子の非経口投与は、塞栓または毛細管閉塞から生じる、深刻な毒性につながりうる。さらに、投薬型の生物学的利用能は、こうした集塊粒子を形成しないナノ粒子状活性剤の型で観察されるよりもはるかに下に低下しうる。
【0061】
本発明の他の態様において、本発明の再分散粒子(水性、生体関連、または任意の他の適切な媒体中に再分散)は、光散乱法、顕微鏡、または他の適切な方法によって測定した際、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、または約50nm未満の有効平均粒子サイズを有する。
ナノ粒子状活性剤組成物を作製する方法
本発明の特定の側面にしたがって、ナノ粒子状活性剤組成物は、例えば、製粉、ホモジナイズ、および沈降技術などの当該技術分野に知られる方法を用いて作製可能である。ナノ粒子状活性剤組成物を作製する例示的な方法が、米国特許第5,145,684号に記載される。
【0062】
ナノ粒子状活性剤組成物を作製する方法はまた、どちらも「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する米国特許第5,518,187号および第5,862,999号;「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する米国特許第5,718,388号;「Co−Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents with Crystal Growth Modifiers」に関する米国特許第5,665,331号;「Co−Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents with Crystal Growth Modifiers」に関する米国特許第5,662,883号;「Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents」に関する米国特許第5,560,932号;「Process of Preparing X−Ray Contrast Compositions Containing Nanoparticles」に関する米国特許第5,543,133号;「Method of Preparing Stable Drug Nanoparticles」に関する米国特許第5,534,270号;「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」に関する米国特許第5,510,118号;および「Method of Preparing Nanoparticle Compositions Containing Charged Phospholipids to Reduce Aggregation」に関する米国特許第5,470,583号にも記載され、これらはすべて、本明細書に特に援用される。
ナノ粒子状活性剤分散物を得るための製粉
本発明の1つの側面にしたがって、ナノ粒子状活性剤の分散物を得るための水性活性剤分散物の製粉は、活性剤がほとんど可溶性でない液体分散媒体中に少なくとも1つの活性剤を分散させる工程を含む。「ほとんど可溶性でない」によって、活性剤が、約30mg/ml未満、約20mg/ml未満、好ましくは約10mg/ml未満、そしてより好ましくは約1mg/ml未満の液体分散媒体中の溶解度を有することを意味する。こうした液体分散媒体は、例えば、水、水性塩溶液、ベニバナ油などの油、ならびにエタノール、t−ブタノール、ヘキサン、およびグリコールなどの溶媒であってもよい。
【0063】
この後、粉砕媒体の存在下で、機械的手段を適用して、活性剤の粒子サイズを所望の有効平均粒子サイズに減少させる。活性剤粒子は、少なくとも1つの表面安定剤の存在下でサイズを減少させてもよい。あるいは、摩耗後に、活性剤粒子を、1以上の表面安定剤と接触させてもよい。サイズ減少プロセス中、活性剤/表面安定剤組成物に、希釈剤などの他の化合物を添加してもよい。連続して、またはバッチ様式で、分散物を製造してもよい。次いで、生じたナノ粒子状活性剤分散物を固体型に配合した後、固体型をガンマ照射してもよい。
ナノ粒子状活性剤組成物を得るための沈降
本発明の別の側面にしたがって、所望のナノ粒子状活性剤組成物を形成する別の方法は、マイクロ沈降による。これは、いかなる微量毒性溶媒または可溶化重金属不純物も含まずに、1以上の表面安定剤および1以上のコロイド安定性増進性表面活性剤の存在下で、ほとんど可溶性でない活性剤の安定分散物を調製する方法である。こうした方法は、例えば:(1)適切な溶媒中にほとんど可溶性でない活性剤を溶解し;(2)工程(1)由来の配合物を、少なくとも1つの表面安定剤を含む溶液に添加して、溶液を形成し;そして(3)適切な非溶媒を用いて、工程(2)由来の配合物を沈降させる工程を含む。該方法には、慣用的手段による分散物の透析またはディアフィルトレーションおよび濃縮によって、存在するとすれば、いかなる形成された塩も除去する工程が続いてもよい。次いで、生じたナノ粒子状活性剤分散物を固体型に配合した後、固体型をガンマ照射してもよい。
ナノ粒子状活性剤組成物を得るためのホモジナイズ
ナノ粒子状活性剤組成物を調製する、例示的なホモジナイズ法は、「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」に関する米国特許第5,510,118号に記載される。
【0064】
本発明の別の側面にしたがって、こうした方法は、液体分散媒体中に、活性剤粒子を分散させ、その後、分散物をホモジナイズに供して、活性剤の粒子サイズを、所望の有効平均粒子サイズに減少させる工程を含む。少なくとも1つの表面安定剤の存在下で、活性剤粒子のサイズを減少させることも可能である。あるいは、粒子サイズ減少前または後のいずれかに、活性剤粒子を1以上の表面安定剤と接触させてもよい。しかし、活性剤粒子を湿らせる補助として少なくとも1つの表面安定剤の存在下で、液体分散媒体中に活性剤粒子を分散させることが好ましい。粒子サイズ減少プロセス前、該プロセス中、または該プロセス後のいずれかで、希釈剤などの他の化合物を、活性剤/表面安定剤組成物に添加してもよい。連続して、またはバッチ様式で、分散物を製造してもよい。次いで、生じたナノ粒子状活性剤分散物を固体型に配合した後、固体型をガンマ照射してもよい。
ナノ粒子状活性剤組成物の固体型を作製する方法
ナノ粒子状活性剤分散物のスプレー乾燥
本発明の側面にしたがって、粒子サイズ減少後に液体ナノ粒子状活性剤分散物を乾燥させることによって、ナノ粒子状活性剤分散物の固体型を調製してもよい。好ましい乾燥法はスプレー乾燥である。
【0065】
例示的なスプレー乾燥プロセスにおいて、蠕動ポンプを用いてナノ粒子状活性剤分散物をアトマイザーに供給し、そして小滴の細かいスプレーに微粒化する。乾燥チャンバー中で、スプレーを熱い空気と接触させて、小滴からの水分の蒸発を生じる。生じたスプレーをサイクロンに通過させ、そこで粉末を分離し、そして収集する。ナノ粒子活性剤分散物を、賦形剤の存在下または非存在下でスプレー乾燥させてもよい。
【0066】
スプレー乾燥粉末をガンマ照射してもよいし、または粉末をさらに固体投薬型、例えば錠剤、サシェーなどにプロセシングした後、固体投薬型をガンマ照射してもよい。また、ナノ粒子状活性剤のガンマ照射されたスプレー乾燥粉末を、鼻または肺投与用のエアロゾルに配合してもよいし、あるいは粉末を液体分散媒体中に再分散して、そして続く液体投薬型を適切な適用中、例えば経口組成物、注射可能組成物、目の組成物、液体鼻および肺エアロゾル、点耳剤等で用いてもよい。
ナノ粒子状活性剤分散物の凍結乾燥
本発明の態様にしたがって、粒子サイズ減少後、液体ナノ粒子状活性剤分散物を凍結乾燥させることによって、ナノ粒子状活性剤分散物の固体または粉末型もまた調製可能である。
【0067】
凍結乾燥工程において、分散物を凍結し、そして真空下に置いた後、氷が液体相を通過せずに、固体から蒸気に直接変化することを可能にして、ナノ粒子状活性剤配合物から水を除去する。凍結乾燥プロセスは、4つの独立のプロセスからなる:凍結、昇華、第一の乾燥工程、および第二の乾燥工程である脱離。多くの凍結乾燥剤を用いて、ナノ粒子状活性剤分散物の凍結乾燥工程を達成してもよい。
【0068】
適切な凍結乾燥条件には、例えば、EP 0,363,365(McNeil−PPC Inc.)、米国特許第4,178,695号(A. Erbeia)、および米国特許第5,384,124号(Farmalyoc)に記載されるものが含まれ、これらはすべて、本明細書に援用される。典型的には、ナノ粒子状活性剤分散物を適切な容器中に入れ、そして約−5℃〜約−100℃の温度に凍結させる。次いで、凍結分散物を、最長約7日間の期間、減圧に供する。温度、圧力、分散媒体、およびバッチサイズなどのパラメーターの組み合わせは、凍結乾燥プロセスに必要な時間に影響を及ぼすであろう。減少した温度および圧の条件下で、昇華によって、凍結溶媒を除去して、ナノ粒子状活性剤が全体に分布した、固体多孔即時放出固体投薬型を生じる。
【0069】
ガンマ照射後、凍結乾燥固体型を、例えば、粉末、錠剤、座薬、または他の固体投薬型に配合してもよいし、粉末を鼻または肺投与用のエアロゾルに配合してもよいし、あるいは粉末を液体投薬型、例えば点眼剤、液体鼻および肺エアロゾル、点耳剤、注射可能組成物などに再構成してもよい。
【0070】
本発明の1つの態様は、滅菌ナノ粒子状ドセタキセル組成物を作製するための方法であって:場合によって少なくとも1つの賦形剤を含むドセタキセル、および少なくとも1つの表面安定剤を、製粉媒体を含有する水性媒体中、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有し、そして少なくとも1つの表面安定剤が粒子表面上に吸着されている、ドセタキセルの粒子の分散物を提供するのに十分な期間に渡って、そしてそれに十分な条件下で、混合し;分散物から製粉媒体を除去し;分散物を凍結乾燥して凍結物を形成し;そして凍結物を滅菌して滅菌ドセタキセル組成物を産生する工程を含む、前記方法を含む。
ナノ粒子状活性剤分散物の顆粒化
本発明の側面にしたがって、流動床中で、少なくとも1つの表面安定剤を含むナノ粒子状活性剤分散物を含む混合物を、場合によって少なくとも1つの薬学的に許容されうる水溶性または水分散性賦形剤の溶液とともに顆粒化して、顆粒を形成することによって、本発明の固体型を調製してもよい。この後に、顆粒のガンマ照射が続いてもよいし、または固体投薬型のガンマ照射を顆粒から調製してもよい。
ガンマ照射
本発明の態様にしたがって、固体ナノ粒子状活性剤粒子を、照射期間中、比較的一定のままである周囲温度でガンマ照射に供する。少なくとも25kGrayの照射に薬学的製品を曝露するのに十分な量で、ガンマ照射を適用する。固体ナノ粒子状活性剤が曝露されたガンマ照射の総量は:(1)活性剤組成物を滅菌し、そして(2)ナノ粒子状活性剤組成物の完全性を維持することが実験的に検証されている。ガンマ照射の適用は、活性剤を有意に分解しないか、または活性剤の有効性を減少させない。この方式で、活性剤を傷つけることなく、滅菌製品のcGMP必要性を満たす製品を提供することが可能である。
【0071】
本発明の好ましい側面において、約5kGray〜約50kGray以下の好ましい累積量で、ガンマ照射を適用する。一般的に、ガンマ照射は、通常、約25kGray〜約40kGray以上の範囲で適用されて、約25kGrayの好ましい総線量曝露を提供するであろう。
【0072】
本発明の1つの側面は、ガンマ照射後の再構成または再分散に際して、最終滅菌固体ナノ粒子状活性剤が、その全体の安定性を維持することである。特に、最終滅菌固体ナノ粒子状活性剤は、液体媒体中の固体の再分散後、粒子サイズ、pH、浸透圧、アッセイ、および安定剤濃度の保持によって証明されるように、再分散性を維持する。
組成物の投与
特定の態様において、本発明は、滅菌投薬型の投与を必要とする被験体を治療する方法を提供する。本明細書において、用語「被験体」は、動物、好ましくはヒトを含む哺乳動物を意味するよう用いられる。用語「患者」および「被験体」は交換可能に使用可能である。
【0073】
こうした投薬型の特に有用な適用の限定されない例には、注射可能投薬型、エアロゾル投薬型、および免疫無防備状態の被験体、免疫抑制剤で治療されている被験体、例えば移植被験体、高齢被験体、および若齢または幼児被験体に投与されるべき投薬型が含まれる。
【0074】
特定の側面において、限定されるわけではないが、経口、直腸、膣、目、非経口(限定されるわけではないが、静脈内、筋内、または皮下投与を含む)、大槽内、肺、膣内、腹腔内、局部(限定されるわけではないが軟膏または滴を含む)、耳を介して、あるいは頬側または鼻スプレーとしてを含めて、任意の慣用法を介して、本発明の滅菌投薬型を被験体に投与してもよい。
【0075】
非経口注射に適した滅菌投薬型には、限定されるわけではないが、生理学的に許容されうる滅菌水性または非水性溶液、分散物、懸濁物またはエマルジョン、および滅菌注射可能溶液または分散物に再構成するための滅菌粉末が含まれてもよい。例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散物の場合は必要な粒子サイズを維持することによって、そして界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持してもよい。
【0076】
経口投与のための滅菌投薬型には、限定なしに、薬学的に許容されうるエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップ、およびエリキシルが含まれてもよい。活性剤および表面安定剤に加えて、滅菌投薬型は、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤などの、当該技術分野で一般的に用いられる不活性希釈剤を含んでもよい。例示的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、綿実油、ラッカセイ油、コーン胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油などの油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、あるいはこれらの物質の混合物等である。
【0077】
一般的に、本発明の側面にしたがった滅菌投薬型を、所望の生理学的効果を提供するのに十分なレベルの薬剤または活性剤を用いて、その必要がある哺乳動物被験体に投与するであろう。本発明の組成物の活性剤の有効量を実験的に決定してもよく、そしてこれを純粋な型で、あるいはこうした型が存在する場合は、薬学的に許容されうる塩、エステル、またはプロドラッグ型で使用してもよい。本発明の滅菌投薬型における活性剤の実際の投薬レベルは、特定の組成物および投与法および治療しようとする状態のために望ましい療法反応を得るのに有効である活性剤量を得るため、多様であることも可能である。したがって、選択される投薬レベルは、望ましい療法効果、投与経路、投与される活性剤の強度、望ましい治療期間、および他の要因に応じる。望ましい生理学的結果を得るのに必要な活性剤レベルは、標準的な教科書、例えばGoodman and GillmanおよびPhysician’s Desk Referenceを参照することによって、一般の当業者によって容易に決定される。
【0078】
投薬単位組成物は、一日用量を構成するのに使用可能であるような、こうした約数のこうした量を含有してもよい。しかし、任意の特定の被験体用の特定の用量レベルは、多様な要因:達成しようとする細胞または生理学的応答のタイプおよび度合い;使用する特定の剤または組成物の活性;使用する特定の剤(単数または複数)または組成物;患者の年齢、体重、全身健康状態、性別、および食餌;投与時間、投与経路、および活性剤の排出速度;治療期間;特定の活性剤と組み合わせてまたは同時に用いられる活性剤;ならびに医学業に周知の同様の要因に応じることが理解されるであろう。
治療法
ヒト療法において、in vivoで薬剤の必要とされる療法的量を送達し、そして不変方式で、薬剤を生物学的に利用可能にするドセタキセルまたはその類似体の投薬型を提供することが重要である。したがって、本発明の別の側面は、抗腫瘍および抗白血病治療を含む抗癌治療を必要とするヒトを含む哺乳動物を治療する方法であって、該哺乳動物に本発明のナノ粒子状ドセタキセルまたはその類似体の配合物を投与する工程を含む前記方法を提供する。
【0079】
本発明のナノ粒子状ドセタキセルまたはその類似体の組成物で治療可能な癌の例示的なタイプには、限定されるわけではないが、乳癌、肺癌(限定されるわけではないが、非小細胞肺癌を含む)、卵巣癌、前立腺癌、固形腫瘍(限定されるわけではないが、頭部および頸部、乳房、肺、胃腸、泌尿生殖器、黒色腫および肉腫を含む)、原発性CNS新生物、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、未分化星状細胞腫、未分化髄膜腫、退形成乏突起神経膠腫、脳悪性血管周囲細胞腫、下咽頭の扁平上皮癌、喉頭の扁平細胞癌、白血病、口唇および口腔の扁平上皮癌、上咽頭の扁平上皮癌、中咽頭の扁平上皮癌、子宮頸癌、および膵臓癌が含まれる。
【0080】
本発明の1つの態様において、本発明のナノ粒子状ドセタキセルまたはその類似体の組成物の有効投薬量は、匹敵する非ナノ粒子状ドセタキセル配合物、例えばTAXOTERE(登録商標)に関して必要とされるより多い。20mg(0.5mL)および80mg(2.0mL)バイアルで入手可能なTAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル)に関する投薬スケジュールは、治療のターゲットとされる癌のタイプで多様である。乳癌では、推奨される投薬量は、3週間ごとに、1時間に渡る、静脈内の60〜100mg/mである。非小細胞肺癌の場合、TAXOTERE(登録商標)は、以前に白金に基づく化学療法に失敗した後にのみ用いられる。この例で推奨される投薬量は、3週間ごとに、1時間に渡る、静脈内の75mg/mである。150mg/mおよび200mg/mのTAXOTERE(登録商標)を投与された患者において、毒性副作用が報告された。対比させると、本発明の1つの態様にしたがって、TAXOTERE(登録商標)に比較して、本発明のドセタキセル組成物のより多い耐容性投薬単位を、毒性副作用を誘発することなく、患者に投与することも可能である。本発明のための耐容投薬量には、毒性副作用がないと報告されるTAXOTERE(登録商標)の最大耐容用量、すなわち150mg/m未満よりも、1%、5%、10%、50%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、または666%多い投薬量が含まれてもよい。本発明のナノ粒子状ドセタキセルまたはその類似体の組成物のこうしたより多い耐容投薬量には、約100、200、300、400、500、600、700、800、900より大きく、最大1000mg/mの投薬量が含まれる。
【0081】
本発明の別の態様において、a)ドセタキセル組成物のTmaxは、投与後、哺乳動物被験体の血漿中でアッセイした際、同じ投薬量で投与した非ナノ粒子状ドセタキセル配合物に関するTmaxより低く;(b)ドセタキセル組成物のCmaxは、投与後、哺乳動物被験体の血漿中でアッセイした際、同じ投薬量で投与した非ナノ粒子状ドセタキセル配合物に関するCmaxより高く;(c)ドセタキセル組成物のAUCは、投与後、哺乳動物被験体の血漿中でアッセイした際、同じ投薬量で投与した非ナノ粒子状ドセタキセル配合物に関するAUCより高く;または(d)その任意の組み合わせである。
【0082】
本発明の態様にしたがって、(a)Tmaxは、同じ投薬量で投与した非ナノ粒子状ドセタキセル配合物によって示されるTmaxの約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、および約5%以下からなる群より選択され;(b)Cmaxは、同じ投薬量で投与したドセタキセルの非ナノ粒子状配合物によって示されるCmaxの少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、少なくとも約1000%、少なくとも約1100%、少なくとも約1200%、少なくとも約1300%、少なくとも約1400%、少なくとも約1500%、少なくとも約1600%、少なくとも約1700%、少なくとも約1800%、または少なくとも約1900%大きいものからなる群より選択され;(c)AUCは、同じ投薬量で投与したドセタキセルの非ナノ粒子状配合物によって示されるAUCの少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約550%、少なくとも約600%、少なくとも約750%、少なくとも約700%、少なくとも約750%、少なくとも約800%、少なくとも約850%、少なくとも約900%、少なくとも約950%、少なくとも約1000%、少なくとも約1050%、少なくとも約1100%、少なくとも約1150%、または少なくとも約1200%大きいものからなる群より選択され;あるいは(d)その任意の組み合わせである。
【0083】
本発明の別の側面にしたがって、組成物は、絶食状態の被験体への投与後、約6時間未満、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約2時間未満、約1時間未満、または約30分間未満のTmaxを示す。
【0084】
本発明の1つの態様において、注射可能組成物を含む、ナノ粒子状ドセタキセルまたはその類似体の組成物は、ポリソルベート、エタノール、またはその組み合わせを含まない。さらに、注射可能配合物に配合された際、本発明の組成物は、注射しようとする小体積中に高濃度を提供しうる。本発明の注射可能ドセタキセルまたはその類似体の組成物を、例えば、ボーラス注射中で投与するか、または適切な期間にわたって緩慢注入で投与してもよい。
【0085】
一般の当業者は、ドセタキセルまたはその類似体の有効量を実験的に決定可能であり、そしてこれを純粋な型で、あるいはこうした型が存在する場合は薬学的に許容されうる塩、エステル、またはプロドラッグ型で、使用してもよいことを認識するであろう。本発明の注射可能および経口組成物中のドセタキセルまたはその類似体の実際の投薬レベルは、特定の組成物および投与法に関して望ましい療法的応答を得るために有効である量のドセタキセルまたはその類似体を得るため、多様でありうる。したがって、選択される投薬レベルは、望ましい療法効果、投与経路、投与されるドセタキセルまたはその類似体の強度、望ましい治療期間、および他の要因に応じる。
【実施例】
【0086】
実施例
以下の実施例は、本発明を例示するために提供される。しかし、本発明は、これらの実施例に記載される特定の状態または詳細に限定されないものとする。明細書全体に渡って、米国特許を含む公的に入手可能な文書に対するあらゆる言及は、本明細書に特に援用される。
【0087】
実施例は例示の目的のために、そして現時点での本発明の最適の様式を記載するために以下に示される。本発明の範囲は、いかなる点でも、本明細書に示す実施例によって限定されない。
【0088】
実施例1
本実施例は、ガンマ照射の滅菌線量(少なくとも25kGy)に対して化学的および物理的に安定な、ナノ粒子状ドセタキセルを含む2つの組成物を記載する。
【0089】
水中に、10%ドセタキセル三水和物、2.5%ポビドンK17、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、および10%マンニトール(すべてw/w%)を含む配合物を、100mLチャンバーを備え、そして500μmの非常に架橋されたポリスチレン製粉媒体(PolyMill−500)が装填されたNanoMill−01中でプロセシングした。分散物を2930rpmで75〜85分間製粉した。1つの代表的な実験において製粉完了時、粒子は、163nmの平均直径(体積統計)を有し、D50=159nm、D90=211nm、およびD95=228nmであった。2つの実験から採取した材料を以下に記載するように使用するために合わせた。
【0090】
合わせた10%ドセタキセル分散物の部分を、30%スクロース溶液で1:1に希釈して、5%ドセタキセル、1.25%ポビドンK17、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、15%スクロース、および5%マンニトールを含む配合物を得た(配合物1)。10%分散物の第二の部分を20%スクロース、10%マンニトール溶液で1:1に希釈して、5%ドセタキセル、1.25%ポビドンK17、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、10%スクロース、および10%マンニトールを含む配合物を得た(配合物2)。配合物1および配合物2の両方の試料をバイアルに充填し、そして凍結乾燥した。配合物1の最終乾燥組成物は、18.87%ドセタキセル、4.72%ポビドンK17、0.94%デオキシコール酸ナトリウム、56.60%スクロース、および18.87%マンニトールであり、そして配合物2の最終乾燥組成物は、18.87%ドセタキセル、4.72%ポビドンK17、0.94%デオキシコール酸ナトリウム、37.74%スクロース、および37.74%マンニトールであった。凍結乾燥粉末を含有するバイアルを、ある範囲のガンマ照射線量(15、20、25、30、35、および40kGy)に供し、そして次いで、水で再構成した際の化学的安定性および粒子サイズ分布に関して評価した。配合物1を73.5%の注射用水で再構成して、配合物1の注射可能型の以下の濃度を生じた:5%ドセタキセル、1.25%PVP、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、15%スクロース、および5%マンニトール。配合物2を73.5%の注射用水で再構成して、配合物1の注射可能型の以下の濃度を生じた:5%ドセタキセル、1.25%PVP、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、10%スクロース、および10%マンニトール。滅菌後再構成分散物の結果(表1〜4)によって、ガンマ照射の結果、どちらの配合物でもドセタキセルナノ粒子の平均粒子サイズに認識可能な増加はなく、また配合物粘度に観察可能な増加はなかったことが示される。さらに、化学的分析によって、産物の不純物プロフィールには非常に少量の増加しかないことが示された。
表1. ガンマ照射および再構成後の配合物1に関する粒子サイズデータ(nm)
【0091】
【表1】

【0092】
表2. ガンマ照射および再構成後の配合物1に関する強度および関連物質データ
【0093】
【表2】

【0094】
表3. ガンマ照射および再構成後の配合物2に関する粒子サイズデータ(nm)
【0095】
【表3】

【0096】
表4. ガンマ照射および再構成後の配合物2に関する強度および関連物質データ
【0097】
【表4】

【0098】
報告閾値=0.05%。
他の賦形剤を含まず、薬剤および表面安定剤を合わせた総乾燥重量に基づく、表面安定剤に比較した薬剤の量の比(パーセントで提供)は、配合物1および2に関して、80%である。
【0099】
実施例2
ポビドン(K17)、デオキシコール酸ナトリウム、およびデキストロースの水性溶液中で薬剤物質を製粉することによって、ドセタキセルの安定液体コロイド状分散物を調製した。液体組成物の最終配合は、5%ドセタキセル、1.25%ポビドンK17、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、20%デキストロース、および73.5%水であった。この物質をガンマ照射(15、20、25、30、35、または40kGy)に供すると、配合物は、ガンマ線量の関数として粘性の顕著な増加を示し、そして>15kGyの照射に供された薬剤粒子は非常に凝集した。
表5. ガンマ照射後の液体ナノ粒子状ドセタキセル配合物に関する粒子サイズデータ(nm)
【0100】
【表5】

【0101】
本実施例は、すべてのナノ粒子状ドセタキセル配合物がガンマ照射によって滅菌可能なわけではないことを立証する。
実施例3(配合物3および4)
実施例1および2と一致して、ドセタキセルの安定液体コロイド状分散物を調製した。配合物3の最終乾燥組成物は、18.87%ドセタキセル、4.70%ポビドンK17、1.39%デオキシコール酸ナトリウム、56.35%スクロース、および18.87%マンニトールを含み、そして配合物4の最終乾燥組成物は、18.87%ドセタキセル、4.70%ポビドンK17、1.39%デオキシコール酸ナトリウム、37.57%スクロース、および37.57%マンニトールであった。凍結乾燥粉末を含有するバイアルを、ある範囲のガンマ照射線量(15、20、25、30、35、および40kGy)に供し、そして次いで、水で再構成した際の化学的安定性および粒子サイズ分布に関して評価した。配合物3を73.38%の注射用水で再構成して、配合物3の注射可能型の以下の濃度を生じた:5%ドセタキセル、1.25%PVP、0.37%デオキシコール酸ナトリウム、15%スクロース、および5%マンニトール。配合物4を73.38%の注射用水で再構成して、そして配合物4の注射可能型の以下の濃度を生じた:5%ドセタキセル、1.25%PVP、0.37%デオキシコール酸ナトリウム、10%スクロース、および10%マンニトール。
【0102】
本明細書記載のすべての数値範囲には、そこに含まれる範囲および特定の整数のすべての組み合わせおよびサブコンビネーションが含まれる。
当業者には、本明細書に記載されるものに加えて、前述の説明から、本発明の多様な修飾が明らかであろう。こうした修飾もまた、付随する請求項の範囲内に属すると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ドセタキセル、ドセタキセルの塩、ドセタキセルの誘導体、ドセタキセルのコンジュゲートおよびドセタキセルの類似体からなる群より選択される少なくとも1つの活性剤を含む粒子であって、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有する、前記粒子;および
(b)粒子の表面上に吸着された少なくとも1つの表面安定剤
を含み、ガンマ照射への曝露によって滅菌されている、滅菌組成物。
【請求項2】
活性剤が、結晶、非結晶、半結晶、半非結晶、およびその混合物からなる群より選択される型である、請求項1の組成物。
【請求項3】
活性剤がドセタキセルである、請求項1の組成物。
【請求項4】
ドセタキセルが、無水、水和、および三水和(triydrate)結晶型、およびその混合物からなる群より選択される型である、請求項3の組成物。
【請求項5】
有効平均粒子サイズが:約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約650nm未満、約600nm未満、約550nm未満、約500nm未満、約450nm未満、約400nm未満、約350nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、および約50nm未満からなる群より選択される、請求項1の組成物。
【請求項6】
(a)経口、肺、直腸、目、結腸、非経口、大槽内、膣内、腹腔内、局部、頬側、鼻、および局所投与からなる群より選択される投与経路用に;
(b)液体分散物、固体分散物、液体充填カプセル、ゲル、エアロゾル、軟膏、クリーム、凍結乾燥配合物、錠剤、カプセル、多粒子充填カプセル、多粒子で構成される錠剤、圧縮錠剤、および活性剤の溶腸性コーティングビーズが充填されたカプセルからなる群より選択される投薬型に;
(c)制御放出配合物、迅速融解配合物、遅延放出配合物、延長放出配合物、脈動性放出配合物、ならびに即時放出および制御放出の混合配合物からなる群より選択される投薬型に;または
(d)(a)、(b)、および(c)の任意の組み合わせに
配合されている、請求項1の組成物。
【請求項7】
注射可能配合物である、請求項6の組成物。
【請求項8】
肺投与用に配合されている、請求項6の組成物。
【請求項9】
固体型である、請求項6の組成物。
【請求項10】
液体型である、請求項6の組成物。
【請求項11】
(a)少なくとも1つの表面安定剤が、他の賦形剤を含まず、活性剤および少なくとも1つの表面安定剤を合わせた総乾燥重量に基づいて、重量約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%からなる群より選択される量で存在するか;
(b)粒子が、他の賦形剤を含まず、活性剤および少なくとも1つの表面安定剤を含む粒子を合わせた総重量に基づいて、重量約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%からなる群より選択される量で存在するか;あるいは
(c)(a)および(b)の組み合わせである
請求項1の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの表面安定剤が、陰イオン性表面安定剤、陽イオン性表面安定剤、双性イオン性表面安定剤、非イオン性表面安定剤、およびイオン性表面安定剤からなる群より選択される、請求項1の組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの表面安定剤が、ポビドン、塩化セチルピリジニウム、アルブミン、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、カゼイン、ホスファチド、デキストラン、グリセロール、アカシアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、非結晶セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸化エチレンおよびホルムアルデヒドを伴う4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー、ポロキサマー;ポロキサミン、荷電リン脂質、ジオクチルスルホスクシネート、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、スルホン酸アルキルアリールポリエーテル、ステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物、p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルb−D−グルコピラノシド;n−デシルb−D−マルトピラノシド;n−ドデシルb−D−グルコピラノシド;n−ドデシルb−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチル−b−D−グルコピラノシド;n−ヘプチルb−D−チオグルコシド;n−ヘキシルb−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノイルb−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチル−b−D−グルコピラノシド;オクチルb−D−チオグルコピラノシド;リゾチーム、PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、酢酸ビニルおよびビニルピロリドンのランダムコポリマー、陽イオン性ポリマー、陽イオン性バイオポリマー、陽イオン性多糖、陽イオン性セルロース誘導体、陽イオン性アルギネート、陽イオン性非ポリマー化合物、陽イオン性リン脂質、陽イオン性脂質、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルサルフェート、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ホスホニウム化合物、四級アンモニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツ塩化トリメチルアンモニウム、ココナツ臭化トリメチルアンモニウム、ココナツ塩化メチルジヒドロキシエチルアンモニウム、ココナツ臭化メチルジヒドロキシエチルアンモニウム、塩化デシルトリエチルアンモニウム、塩化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、C12−15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12−15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナツ塩化ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、ココナツ臭化ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、硫酸ミリスチルトリメチルアンモニウムメチル、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウム、臭化ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウム、N−アルキル(C12−18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、塩化ジメチルジデシルアンモニウム、N−アルキルおよび(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ハロゲン化トリメチルアンモニウム、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウム、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、クロリド一水和物、N−アルキル(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、塩化ジメチルアンモニウム、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、塩化トリセチルメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリエチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、POLYQUAT 10TM、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOLTM、ALKAQUATTM、アルキルピリジニウム塩;アミン、アミン塩、酸化アミン、イミドアゾリニウム塩、プロトン化四級アクリルアミド、メチル化四級ポリマー、および陽イオン性グアーからなる群より選択される、請求項1の組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの表面安定剤がポビドンである、請求項13の組成物。
【請求項15】
少なくとも1つの表面安定剤がデオキシコール酸ナトリウムである、請求項13の組成物。
【請求項16】
少なくとも1つの表面安定剤が、ポロキサマー188、ポロキサマー338、ポロキサマー407、ポリソルベート80、およびレシチンからなる群より選択される、請求項1の組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの賦形剤をさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの表面安定剤がタンパク質である、請求項1の組成物。
【請求項19】
表面安定剤がアルブミンである、請求項18の組成物。
【請求項20】
アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項19の組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの賦形剤が、スクロース、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ソルビトール、マルトース、およびトレハロースからなる群より選択される糖である、請求項17の組成物。
【請求項22】
少なくとも1つの賦形剤が、充填剤、結晶成長阻害剤、フリーラジカルスカベンジャー剤、および再分散剤からなる群より選択される、請求項17の組成物。
【請求項23】
少なくとも1つの賦形剤が、乾燥組成物%w/wで測定すると、約5〜約95、約10〜約95、約20〜約95、約50〜約90、約60〜約90、約70〜約90、または約70〜約80からなる群より選択される量で存在する、請求項17の組成物。
【請求項24】
ガンマ照射が、約5〜約50kGray、約15kGray〜約40kGray、約15〜約30kGray、および約20〜約30kGrayからなる群より選択される照射総線量を提供する、請求項1の組成物。
【請求項25】
ガンマ照射が約25kGrayの総線量を提供する、請求項1の組成物。
【請求項26】
約18.87%ドセタキセル、約4.72%ポビドン、約0.94%デオキシコール酸ナトリウム、約56.60%スクロース、および約18.87%マンニトールを含む、乾燥組成物。
【請求項27】
約18.87%ドセタキセル、約4.72%ポビドン、約0.94%デオキシコール酸ナトリウム、約37.74%スクロース、および約37.74%マンニトールを含む、乾燥組成物。
【請求項28】
活性剤が:
(a)C−3’ベンゾエート位、C−2ベンゾエート位でフェニル基の代わりにシクロヘキシル基を含むドセタキセル類似体、またはその組み合わせ;
(b)C−3’またはC−2位でフェニルまたは芳香族基を持たない、ドセタキセル類似体;
(c)2−アミドドセタキセル類似体;
(d)オキセタンD環を持たないが、4アルファ−アセトキシ基を所持する、ドセタキセル類似体;
(e)5(20)デオキシドセタキセル;
(f)10−デオキシ−10−C−モルホリノエチルドセタキセル類似体;
(g)イソセリンN−アシル置換基としてt−ブチルカルバメートを有するが、C−10(アセチル基対ヒドロキシル)およびC−13イソセリン連結(エノールエステル対エステル)のドセタキセルとは異なる類似体;
(h)C3にペプチド側鎖を有するドセタキセル類似体;
(i)XRP9881(10−デアセチルバッカチンIIIドセタキセル類似体);
(j)XRP6528(10−デアセチルバッカチンIIIドセタキセル類似体);
(k)オルタタキセル(14−ベータ−ヒドロキシ−デアセチルバッカチンIIIドセタキセル類似体);
(l)MAC−321(10−デアセチル−7−プロパノイルバッカチンドセタキセル類似体);
(m)DJ−927(7−デオキシ−9−ベータ−ジヒドロ−9,10,O−アセタールタキサンドセタキサール類似体);
(n)C2位に芳香族環を所持するC2−C3’ N連結を有し、そしてN3’およびオルト位のC2芳香族環の間で束縛されている、ドセタキセル類似体;
(o)C2位に芳香族環を所持するC2−C3’ N連結を有し、そしてN3’およびメタ位のC2芳香族環の間で束縛されている、ドセタキセル類似体;
(p)C−2 OHおよびC−3’ NH部分を連結する22員(またはそれより多い)環を所持するドセタキセル類似体;
(q)7ベータ−O−グリコシル化ドセタキセル類似体;
(r)10−アルキル化ドセタキセル類似体;
(s)2’,2’−ジフルオロドセタキセル類似体;
(t)3’−(2−フリル)ドセタキセル類似体;
(u)3’−(2−ピロリル)ドセタキセル類似体;ならびに
(v)蛍光およびビオチン化ドセタキセル類似体
からなる群より選択される、請求項1の組成物。
【請求項29】
ドセタキセル類似体が:
(a)3’−デフェニル−3’シクロヘキシルドセタキセル;
(b)2−(ヘキサヒドロ)ドセタキセル;
(c)3’−デフェニル−3’シクロヘキシル−2−(ヘキサヒドロ)ドセタキセル;
(d)3’−デフェニル−3’−シクロヘキシルドセタキセル;
(e)2−(ヘキサヒドロ)ドセタキセル;
(f)m−メトキシドセタキセル類似体;
(g)m−クロロベンゾイルアミドドセタキセル類似体;
(h)5(20)−チアドセタキセル類似体;
(i)7−ヒドロキシル基が疎水性基メトキシに修飾されている、ドセタキセル類似体;
(j)7−ヒドロキシル基が疎水性基デオキシに修飾されている、ドセタキセル類似体;
(k)7−ヒドロキシル基が疎水性基6,7−オレフィンに修飾されている、ドセタキセル類似体;
(l)7−ヒドロキシル基が疎水性基アルファ−Fに修飾されている、ドセタキセル類似体;
(m)7−ヒドロキシル基が疎水性基7−ベータ−8−ベータ−メタノに修飾されている、ドセタキセル類似体;
(n)7−ヒドロキシル基が疎水性基フルオロメトキシに修飾されている、ドセタキセル類似体;
(o)アルキル部分の末端にメトキシカルボニル基を有する10−アルキル化ドセタキセル類似体;
(p)7または3’位に、N−(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾ−4−イル)アミド−6−カプロイル鎖を所持するドセタキセル類似体;
(q)3’に、N−(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾ−4−イル)アミド−3−プロパノイル基を所持するドセタキセル類似体;および
(r)7、10または3’位に、5’−ビオチニルアミド−6−カプロイル鎖を所持するドセタキセル類似体
からなる群より選択される、請求項28の組成物。
【請求項30】
滅菌ナノ粒子状組成物を作製するための方法であって:
ドセタキセル、ドセタキセルの塩、ドセタキセルの誘導体、ドセタキセルのコンジュゲートおよびドセタキセルの類似体からなる群より選択される少なくとも1つの活性剤を含む水性分散物を凍結乾燥し、ここで、粒子は、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有し、そして少なくとも1つの表面安定剤が粒子表面上に吸着されて、凍結物(lyo)を形成し;そして
凍結物を滅菌して滅菌組成物を産生する
工程を含む、前記方法。
【請求項31】
凍結乾燥工程前に、ドセタキセル、ドセタキセルの塩、ドセタキセルの誘導体、ドセタキセルのコンジュゲートおよびドセタキセルの類似体からなる群より選択される少なくとも1つの活性剤、ならびに少なくとも1つの表面安定剤を、水性媒体中、水性分散物を提供するのに十分な期間に渡って、そしてそれに十分な条件下で、混合する工程をさらに含む、請求項30の方法。
【請求項32】
混合工程が、製粉、摩耗、ホモジナイズ、沈降、超臨界流体プロセシング、凍結、ナノエレクトロスプレー技術、またはこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項31の方法。
【請求項33】
滅菌工程が、約5〜約50kGray、約15kGray〜約40kGray、約15〜約30kGray、および約20〜約30kGrayからなる群より選択されるガンマ照射線量に凍結物を曝露する工程を含む、請求項30の方法。
【請求項34】
滅菌工程が、約25kGrayのガンマ照射に凍結物を曝露する工程を含む、請求項30の方法。
【請求項35】
水性分散物が、充填剤、結晶成長阻害剤、フリーラジカルスカベンジャー剤、および再分散剤からなる群より選択される少なくとも1つの賦形剤をさらに含む、請求項30の方法。
【請求項36】
凍結乾燥工程前の水性分散物が、約2000nm未満、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1ミクロン未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、および約50nm未満からなる群より選択される有効平均粒子サイズを有する、請求項30の方法。
【請求項37】
滅菌工程後に、凍結物を水性媒体中に再分散させて、約2ミクロン未満、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1ミクロン未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、および約50nm未満からなる群より選択される有効平均粒子サイズを有する滅菌後分散物を形成する工程をさらに含む、請求項30の方法。
【請求項39】
ドセタキセル、ドセタキセルの塩、ドセタキセルの誘導体、ドセタキセルのコンジュゲートおよびドセタキセルの類似体からなる群より選択される少なくとも1つの活性剤、充填剤、結晶成長阻害剤、フリーラジカルスカベンジャー剤、再分散剤からなる群より選択される賦形剤、ならびに少なくとも1つの表面安定剤を、製粉媒体と、水性媒体中、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有し、そして少なくとも1つの表面安定剤が粒子表面上に吸着されている少なくとも1つの活性剤の粒子の分散物を提供するのに十分な期間に渡って、そしてそれに十分な条件下で、製粉し;
分散物から製粉媒体を除去し;
分散物を凍結乾燥して凍結物を形成し;そして
凍結物を滅菌して滅菌組成物を産生する
工程を含む工程から作製された、最終滅菌凍結乾燥組成物。
【請求項40】
滅菌工程が、滅菌を生じるのに有効なガンマ照射の線量に凍結物を曝露する工程を含む、請求項39の組成物。
【請求項41】
ドセタキセル、あるいはその塩、誘導体、コンジュゲートまたは類似体が必要な被験体を治療する方法であって:
(a)ドセタキセル、その塩、誘導体、コンジュゲートまたは類似体を含む粒子であって、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有する、前記粒子;および
(b)粒子の表面上に吸着された少なくとも1つの表面安定剤
を含む組成物であって、ガンマ照射への曝露によって滅菌されている前記組成物の有効量を被験体に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項42】
組成物が注射によって投与される、請求項41の方法。
【請求項43】
(a)ドセタキセル、ドセタキセルの塩、ドセタキセルの誘導体、ドセタキセルのコンジュゲートおよびドセタキセルの類似体からなる群より選択される少なくとも1つの活性剤の重量約5%の粒子であって、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有する、前記粒子;
(b)2つの表面安定剤であって、一方または両方が粒子の表面上に吸着されている、前記の2つの表面安定剤;
(c)スクロース;および
(d)マンニトール
を含み、該組成物が、ガンマ照射への曝露によって滅菌され、そして約100、200、300、400、500、600、700、800、900および1000mg/mからなる群より選択される投薬量で患者に投与される、静脈内投与用のドセタキセルの滅菌液体投薬型。

【公表番号】特表2010−522207(P2010−522207A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554749(P2009−554749)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/057701
【国際公開番号】WO2008/118754
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(507250508)エラン・ファルマ・インターナショナル・リミテッド (23)
【Fターム(参考)】