説明

ガードル

【課題】骨盤の自然な開閉運動を阻害せずに安定した動きをサポートするガードルの提供。
【解決手段】背部の仙骨と対応する位置に仙骨押さえ片4を装着し、前部の仙骨押さえ片4と対向する位置に腹部押さえ片を装着する。仙骨押さえ片4は、身生地より厚い布片の内部両側に、背骨を挟むようにそれぞれボーンを埋設して成り、下端中央が頂点となる五角形状に形成して、その下端中央部を他の部分より厚い仙尾押さえ部としても良い。腹部押さえ片は、左右対称となるよう斜めに傾斜して、丹田に相当する位置で交差する2本の伸縮ベルトとすることがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨盤の動きを助けるガードルに関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活の癖や筋力の低下によって骨盤が歪むと、姿勢が悪くなって美容上の問題があるばかりか、股関節の動きが悪くなったり、身体の一部に負担が掛かって、肩こりや腰痛を引き起こすなど、健康にも悪影響を与えかねない。
このような事態を防ぐために、腰周りを取り巻くように伸縮性のあるバンドを装着し、骨盤を固定して歪みやズレを矯正するガードルが種々提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
ところで、骨盤は、仙骨とその左右に張り出した腸骨とで立体的に形成され、腸骨が仙骨の上をゆっくりスライドすることで開閉運動をしている。腸骨が背中側に上昇したときに骨盤が閉じて、骨盤内のスペースが狭くなる。また、腸骨が下垂して骨盤が開くと、骨盤内のスペースが広がる。
そして、骨盤は、閉じていく時期と開いていく時期とが約二週間ずつ交互に訪れると共に、朝閉じて夜間に広がる一日周期で開閉を繰り返し、睡眠と覚醒、生殖機能、排泄機能等をバランス良く維持している。
ところが、上記従来のガードルのように、伸縮性のあるバンドで骨盤を取り巻いてしまうと、骨盤の自然な動きが押さえ込まれ、開閉運動が阻害されて、骨盤内の臓器の働きが悪くなるばかりか、生活のリズムにも悪影響を与える。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3102742号公報
【特許文献2】特開2000−135233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、骨盤の自然な動きを阻害することなく安定した動きをサポートするガードルの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガードルは、背部の仙骨と対応する位置に仙骨押さえ片を装着し、前部の前記仙骨押さえ片と対向する位置に腹部押さえ片を装着してある。
前記仙骨押さえ片は、ガードルの身生地より厚い布片の内部両側に、背骨を挟むようにそれぞれボーンを埋設して形成すると良い。
前記仙骨押さえ片は、下端中央が頂点となる五角形状とし、その下端中央部を他の部分より厚い仙尾押さえ部としても良い。
前記腹部押さえ片は、左右対称となるよう斜めに傾斜して、丹田に相当する位置で交差する2本の伸縮ベルトとすることがある。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、着用するだけで骨盤の開閉運動の中心となる仙骨を前後から挟むように押さえるので、骨盤の動きを阻害することなく、仙骨がフラットな位置に支持されて仙腸関節の左右差が改善し、この結果、骨盤の歪みが矯正されて開閉運動が安定する。また、仙骨部分を暖めることもできる。
請求項2に係る発明によれば、背骨の両側を押さえて、骨盤が左右バランスよく開閉するのを助ける。
請求項3に係る発明によれば、女性器官へ通じる神経が集中した仙尾部分を刺激して、これら器官の機能を整えることができる。
請求項4に係る発明によれば、丹田を刺激すると共に、腹部を押さえて高い補整効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、ロングタイプのガードルである実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、ガードルを裏返して背部から見た図、図2は、仙骨押さえ片の背面図、図3は、ガードルを裏返して前部から見た図、図4は、着用状態の背面図である。
図1及び図3に示すように、本発明のガードルは、それぞれ伸縮性布を素材とする身生地から成る、腰部片1、腹部片2、及び、筒状の左右の脚部片3を有する。腰部片1の両側部と腹部片2の両側部とは縫合部12を介して接合され、左右の脚部片3は股間を通り臀裂に沿う縫合部13を介して接合される。また、腰部片1の下端と脚部片3の背部上端とは縫合部14を介して接合され、腹部片2と脚部片3の前部上端とは縫合部14に連続した縫合部15を介して接合されている。
【0009】
ガードルの背部に配置される腰部片1は、図1に示すように、臀部の膨らみの上方に配置され、その上縁がウェスト口の後部を構成し、その下縁は中央部が下方に長く延びて仙骨a(図4)の下端に達するようよう傾斜している。
また腰部片1は、伸縮布をウェスト口で折り返して2重に重ねて成り、その間において仙骨aに相当する位置には、仙骨押さえ片4を挟み込んである。
仙骨押さえ片4は、図2に示すように、ガードルの身生地より厚いファイバーフィル等の布片5の内部両側に、背骨を挟むように平帯状のボーン6を縦方向に埋設して成る。
また、仙骨押さえ片4は、ガードルの大きさに合わせて、ガードルを装着する女性の仙骨より一回り大きくなるように、下端が頂点となる五角形に形成され、その下端部には他部分よりも肉厚の仙尾押さえ部7が設けられる。
【0010】
ガードルの前部に配置される腹部片2は、図3に示すように、ウェスト口から股部に向かって次第に幅狭くなっており、素材となる伸縮性布の上端部を裏面に折り返してある。また、腹部片2の裏面にはパワーネット等を素材とする補整用の腹当て布8が取り付けられている。
さらに、腹部片2の裏側には、2本の伸縮ベルト9,9から成る腹部押さえ片10が装着される。伸縮ベルト9,9は、ゴムベルト等より成り、ガードル本体の素材である伸縮性布よりも強い収縮力を有する。
伸縮ベルト9,9の上端は、腹部片2と腰部片1との縫合部12に縫い込まれ、伸縮ベルト9,9の下端は腹部片2と脚部片3との縫合部15に縫い込まれており、2本の伸縮ベルト9,9は左右対称となるよう斜めに傾斜して、丹田に相当する位置で交差している。丹田は仙骨aとほぼ対向しているので、伸縮ベルト9,9の交差部分は仙骨押さえ片4と対向することになる。
【0011】
脚部片3は、脚部、臀部及び脇部を覆う部材であって、伸縮性布を筒状に形成して成る。また、脚部片3の背部裏面には、緊迫力の強い緊迫ベルト11が臀部の下部に沿って貼着され、ヒップアップ効果を発揮するようになっている。
このガードルを着用すると、図4に示すように、骨盤bの開閉の中心である仙骨aを腹部押さえ片10と仙骨押さえ片4とで前後から挟むように押さえるので、骨盤bが安定して開閉する。また、仙骨押さえ片4で仙骨a部分を暖めることもできる。さらに、仙骨aの下端に位置し、女性器官へ通じる神経が集まっている仙尾cを肉厚の仙尾押さえ部7が押圧して刺激するので、女性機能を整える効果も期待できる。
なお、ガードルはショートタイプ或いはセミロングタイプであっても良く、腹部押さえ片は、緊迫力を強くした補整用の腹当て布とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例を示すガードルの背部裏面図。
【図2】仙骨押さえ片の背面図。
【図3】本発明の実施例を示すガードルの前部裏面図。
【図4】本発明の実施例を示すガードルの着用状態における背面図。
【符号の説明】
【0013】
1 腰部片
2 腹部片
3 脚部片
4 仙骨押さえ片
5 布片
6 ボーン
7 仙尾押さえ部
8 腹当て布
9 伸縮ベルト
10 腹部押さえ片
11 緊迫ベルト
12,13,14,15 縫合部
a 仙骨
b 骨盤
c 仙尾

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背部の仙骨と対応する位置に仙骨押さえ片を装着し、前部の前記仙骨押さえ片と対向する位置に腹部押さえ片を装着したことを特徴とするガードル。
【請求項2】
前記仙骨押さえ片は、ガードルの身生地より厚い布片の内部両側に、背骨を挟むようにそれぞれボーンを埋設して成る請求項1に記載のガードル。
【請求項3】
前記仙骨押さえ片は、下端中央が頂点となる五角形状とし、その下端中央部を他の部分より厚い仙尾押さえ部とした請求項1又は2に記載のガードル。
【請求項4】
前記腹部押さえ片は、左右対称となるよう斜めに傾斜して、丹田に相当する位置で交差する2本の伸縮ベルトより成る請求項1〜3のいずれかに記載のガードル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−184704(P2008−184704A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18198(P2007−18198)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(593104039)トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社 (26)
【出願人】(507030944)有限会社Z−MON (4)
【Fターム(参考)】