説明

キッチンカウンタ

【課題】清掃を容易にできるとともに、シンクの外周縁に形成され、表面側に露出するフランジ部の意匠性を高めるキッチンカウンタを提供する。
【解決手段】シンク20は、床面に対し略垂直に延びる折返し片25を周設したフランジ部22を有した形状とし、接合部30は、開口部13の内周縁15の全体に対して折返し片25の開口部13内周縁側の面25aを対向させ、カウンタ10とシンク20との表面側14、24aを、隙間を介して整合させた状態に保持し、折返し片25とシンク側壁26との間のフランジ部裏面24bに、フランジ部22を裏側から表側に圧締部材50を、折返し片25及びシンク側壁26から硬質接着剤が注入される空隙を隔てて、かつ、カウンタと離間させて介在させて、カウンタ10及びシンク20の裏面側から硬質接着剤を注入することにより形成され、接合部30の一部が目地Jを形成するように隙間の表面側に露出する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンカウンタに関し、詳しくは、カウンタに形成した開口部に、接合部を介してシンクを接合固着させてなるキッチンカウンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のキッチンカウンタとしては、カウンタに形成された開口部近傍の裏面に、シンクの外周縁に形成されたフランジ部を下方から重合させて接着剤あるいはボルトなどの冶具を用いて取付けたものが知られている。
このような取付け構造では、カウンタの開口部の内周縁下端と、シンクのフランジ部内周縁上端との間の接合部に隙間や段差が形成される、あるいは、シール剤が露出することとなり、その隙間や段差、シール剤に汚れが付着しやすく、また、それらが側周面に形成されることから清掃が容易ではなかった。
【0003】
例えば、特許文献1では、このような取付け構造とせず、木製の芯材の表面に、メラミン化粧板を貼着一体化した天板の前記芯材にシンク取付孔を開設すると共に、前記化粧板には、該取付孔より小径な通孔を開設して係合片部を突出形成し、他方、合成樹脂製の肉厚成型シンクの上部フランジの上面に、前記化粧板の係合片部の通孔と略同径且つ該化粧板の板厚に相当する深さの段部を形成し、そのシンクの段部に前記化粧板の係合片部を嵌合接着して面一とすると共に、前記芯材と前記シンクとを発泡体で結合して、天板とシンクとを取付ける構造としたものが提案されている。
このものでは、シンクのフランジ上面に化粧板の係合片部が載置されて面一となるため、シンクの色彩を化粧板表面の色彩と合わせることにより、天板とシンクの一体感が図れるとされている。
【0004】
また、特許文献2では、シンクの上端周縁に外側方に向けてフランジ部を形成し、該フランジ部の外周縁から下方に向けて高さ1〜2mmの突起部を形成するとともに、シンクの上端部付近は、下方に行く程、シンクの中心側に傾斜するようなテーパ部を形成する一方、人造大理石で成形されたカウンタの開口縁の周囲上面には、該カウンタの他部位よりも前記フランジ部の肉厚分だけ段落させた前記フランジ部が載置されるフランジ載置部を、形成し、更に、該フランジ載置部の外周縁に、前記突起部を逃がすための逃がし部を形成している。また、該カウンタの開口縁の周囲下面に固定される桟木には、前記テーパ部よりもやや傾斜角度を大とされた、開口側の側面に下方に行く程、開口内側に傾斜するような傾斜面部が形成されている。
前記構成とされた前記カウンタの前記シンクへの取付けは、前記フランジ部の下面を前記フランジ載置部に当接させ、前記突起部を前記逃がし部に配置し、前記桟木の前記傾斜面部を、前記シンクの前記テーパ部に沿って圧接するように前記桟木を前記カウンタの下面に固定し、該突起部にコーキング材を充填して、前記フランジ部の上面とそれに隣接するカウンタの上面とが面一となるようにして行われる。
このものでは、前記逃がし部への微量なコーキング材と、前記突起部の該逃がし部への引っ掛けによりカウンタとシンクとを接合しているので、カウンタからのシンクの取り外しが容易になるとともに、前記テーパ部を前記桟木の前記傾斜面部に圧接するようにしたことで、前記シンクの重量を分散して受けて、前記シンクを前記カウンタに安定性よく取り付けることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−5779号公報(図1参照)
【特許文献2】特開2002−348932号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1及び2のようなカウンタ(天板)とシンクとの取付け構造では、前記したような、従来のカウンタに形成された開口部近傍の裏面に、シンクの外周縁に形成されたフランジ部を下方から重合させて接着剤あるいはボルトなどの冶具を用いて取付けたものと異なり、シンクの外周縁に形成されたフランジ部が表面側に露出するため、その露出するフランジ部を平滑に形成して意匠性に優れたものとすることが好ましい。
この点において、前記特許文献1に記載の天板とシンクの取付け構造では、天板とシンクの一体感が図れるとされているが、シンクのフランジ部の段部と、化粧板の係合片部とを全周に亘って略同径かつ略同厚に形成する必要があり、特にステンレスなどで製され、波打ちや変形等が生じやすいシンクのフランジ部の表面側を平滑として意匠性を高めるためには、接合工程に非常に手間が掛かるものである。
【0007】
前記特許文献2に記載のものでも、前記フランジ載置部の段落と前記フランジ部の肉厚を略同厚に形成する必要があり、前記同様に接合工程に非常に手間が掛かるものである。
また、カウンタとシンクとは微小な突起部と逃がし部、及びそれらを接合するコーキング材により接合されているため、コーキング材の接着面積が少なく、コーキング材やシンクの経年劣化等によりシンクのフランジ部近傍に浮きなどが生じ、フランジ部の平滑性が失われる恐れがあった。
さらに、前記逃がし部、すなわち、カウンタとシンクのフランジ部との接合部が、表面側に形成されるため、容易に清掃が行えるものではあるが、カウンタとシンクとの接合部に、従来多用されているコーキング材は、シリコンシーラントやブチルゴムなどの軟質剤とされており、接合部にカビなどが発生すると、その分子構造の粗さからカビは、表面層に留まらず内層にまで滲入することもあり、カビの除去が困難となる恐れがあった。
【0008】
本発明は、前記問題を解決するために提案されたもので、その目的は、清掃を容易にできるとともに、シンクの外周縁に形成され、表面側に露出するフランジ部の意匠性を高めるキッチンカウンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のキッチンカウンタは、カウンタに形成した開口部に、接合部を介してシンクを接合固着させてなるキッチンカウンタであって、前記シンクは、その周縁に、床面に対し略垂直に延びる折返し片を周設したフランジ部を有した形状とされ、前記接合部は、前記開口部の内周縁の全体に対して前記折返し片の開口部内周縁側の面を対向させ、前記カウンタと前記シンクとの表面側を、隙間を介して整合させた状態に保持し、その状態で、前記折返し片と前記シンク側壁との間の前記フランジ部裏面に、該フランジ部を裏側から表側に圧締するための圧締部材を、前記折返し片及び前記シンク側壁から硬質接着剤が注入される空隙を隔てて、かつ、前記カウンタと離間させて介在させて、前記カウンタ及び前記シンクの裏面側から前記硬質接着剤を注入することにより形成され、前記接合部の一部が目地を形成するように前記隙間の表面側に露出する構成とされていることを特徴とする。
【0010】
請求項2では、請求項1において、前記圧締部材は、一端が前記フランジ部の水平部の裏面に当接する略角柱状あるいは略円柱状とされ、かつ、前記フランジ部裏面に、周方向に沿って、間隔を隔てて複数個、介在されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3では、請求項2において、前記圧締部材には、前記硬質接着剤が流通し得る空所または凹所が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4では、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記カウンタの開口部近傍裏面には、桟木が周設されており、前記圧締部材には、前記桟木に向けて延出する圧締部取付片が形成され、該圧締部取付片を該桟木に固着させて、前記フランジ部を裏側から表側に圧締する構成としていることを特徴とする。
【0013】
請求項5では、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記圧締部材は、前記接合部を形成する際に、前記開口部の内周縁と前記折返し片との間に介在させて位置決めを行う位置決め部と連結されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6では、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記カウンタと前記シンクとの表面側は、前記目地を挟んで、略面一に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7では、請求項1乃至6のいずれか1項において、前記カウンタは、人造大理石で構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1乃至7に記載のキッチンカウンタによれば、カウンタとシンクとの接合部の一部をなす目地が該カウンタと該シンクとの表面側に露出しているので、汚れが視認しやすく、清掃を容易に行える。
また、前記カウンタと前記シンクとを硬質接着剤を注入して接合固着しているので、表面側に露出する前記目地に汚れが付着し難く、清掃性が良いとともに、カビなどが発生しても、硬質であるため、内層にまで滲入しにくく、除去しやすいものとなる。
さらに、前記シンクのフランジ部に床面に対し略垂直に延びる折返し片を周設しているので、該シンクを形成する際に、前記フランジ部の強度が向上し、波打ちや変形が生じにくいものとなり、該シンクの成型後の変形が低減できることから前記フランジ部の表面をフラットな形状とすることができるとともに、前記目地の幅を安定して略均一とすることができる。また、前記カウンタと前記シンクとの接合強度が高められる。
さらにまた、前記接合部は、前記開口部の内周縁と前記折返し片とを対向させ、その状態で、前記折返し片と前記シンク側壁との間の前記フランジ部裏面に、該フランジ部を裏側から表側に圧締するための圧締部材を介在させて、前記カウンタ及び前記シンクの裏面側から硬質接着剤を注入することにより形成されるので、表面側に露出する該フランジ部の表面をフラットにして、前記カウンタと接合できる。
【0017】
また、前記圧締部材を、前記折返し片、前記シンク側壁から前記硬質接着剤が注入される空隙を隔てて介在させているので、前記硬質接着剤が注入される流路を阻害することなく、前記請求項1と同様の効果が得られる。
【0018】
請求項2では、前記圧締部材を、前記フランジ部裏面に、周方向に沿って、間隔を隔てて複数個、介在させているので、前記カウンタと前記シンクとの接合強度を阻害することなく、容易にフラットな形状とできる。
【0019】
請求項3では、前記圧締部材には、前記硬質接着剤が流通し得る空所または凹所を形成しているので、前記硬質接着剤が注入される流路を阻害することなく、前記請求項1と同様の効果が得られる。
【0020】
請求項4では、前記カウンタの開口部近傍裏面に桟木を周設し、前記圧締部材には該桟木に向けて延出する圧締部取付片を形成して、該圧締部取付片を該桟木に固着させて、前記フランジ部を裏側から表側に圧締する構成としているので、前記カウンタと前記シンクとの接合強度が高められるとともに、該桟木に前記圧締部取付片を固着させることで、圧締が行え、接合工程の容易化が図れ、前記フランジ部の表面側の平滑性の調整を容易に行うことができる。
【0021】
請求項5では、前記圧締部材を、前記接合部を形成する際に、前記開口部の内周縁と前記折返し片との間に介在させて位置決めを行う位置決め部と連結しているので、前記同様の効果が得られるとともに、部品点数を増やすことなく、前記カウンタと前記シンクとの表面側に形成される前記目地の幅調整を容易に行うことができ、該カウンタと該シンクとの接合工程の容易化が図れる。
【0022】
請求項6では、前記カウンタと前記シンクとの表面側を、前記目地を挟んで、略面一となるように形成しているので、該カウンタと該シンクとに段差が殆ど形成されず、汚れが付着し難くなるとともに、外観がフラットな形状となり意匠性に優れたものとなる。
【0023】
請求項7では、前記カウンタを、人造大理石で構成しているので、意匠性に優れ、高級感があるキッチンカウンタとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るキッチンカウンタの実施形態の一例を示し、図3(b)におけるY部の拡大概略断面図である。
【図2】同実施形態に係るキッチンカウンタの一部を示す概略斜視図である。
【図3】同実施形態に係るキッチンカウンタの一部を示し、(a)は、一部破断概略平面図、(b)は、(a)におけるX−X線矢視概略断面図である。
【図4】同実施形態における接合部の形成過程を説明する概略断面図である。
【図5】(a)、(b)は、いずれも本発明に係るキッチンカウンタの他の実施形態を示す、図1と同様図である。
【図6】(a)、(b)は、いずれも本発明に係るキッチンカウンタの更に他の実施形態を示す、図1と同様図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1乃至図4は、第1実施形態に係るキッチンカウンタを示し、図1は、同実施形態に係るキッチンカウンタの一例を示し、図3(b)におけるY部の拡大概略断面図、図2は、同実施形態に係るキッチンカウンタの一部を示す概略斜視図、図3は、同実施形態に係るキッチンカウンタの一部を示し、(a)は、一部破断概略平面図、(b)は、(a)におけるX−X線矢視概略断面図、図4は、同実施形態における接合部の形成過程を説明するための図であり、硬質接着剤が注入される前の状態を示す概略断面図である。
尚、図2及び図3においては、キッチンカウンタが通常備える水栓蛇口やコンロ、カウンタ下方に配設される収容部、該収容部に内設される配管等は、図示省略している。
また、以下の実施形態において指す前後方向は、キッチンカウンタに対し使用者が対面した状態における手前側を前側、奥側を後側とし、その前後方向に直交する方向を左右方向として説明する。
【0026】
図例のキッチンカウンタAは、図1乃至図3に示すように、耐熱性の樹脂で成型された人造大理石のカウンタ10と、絞り成型されたステンレス製のシンク20とを備える。
カウンタ10は、前記収容部(不図示)の天板を構成し、その前側縁は垂下し、前垂れ部11が形成され、後側縁は立ち上り、バックガード12が形成され、略中央には平面視略長方形で角が丸く形成され、シンク20が配設される開口部13が開設されている。開口部13は、シンク20のフランジ部22の外周縁よりも、やや大径に形成され、成型誤差や成型後のカウンタ10及びシンク20の膨張・収縮や変形から最低限必要となる隙間が開口部13の内周縁15と折返し片25との間に形成されている。
【0027】
折返し片25とシンク20の側壁26との間の後記するフランジ部22の裏面には、圧締部材50を介在させており、本実施形態では、図示のように、折返し片25、シンク20の側壁26から、後記する硬質接着剤が注入される空隙G1、G2を隔てて介在させている。
圧締部材50は、合成樹脂、金属または木材等で略角柱状あるいは略円柱状に形成され、一端51がフランジ部22の裏面に当接した状態で、その他端52が、硬質接着剤が注入されることにより形成される接合部30から露出するような高さに形成されている。
本実施形態では、圧締部材50を、フランジ部22の水平部裏面24bの周方向に沿って、間隔を隔てて複数個、介在させており、水平部裏面24bの前側には3つの前側圧締部材50a、同後側には3つの後側圧締部材50b、同左側には2つの左側圧締部材50c、同右側には2つの右側圧締部材50dが配設されている。
【0028】
シンク20の底面21の中央後方側には、排水口21aが形成され、上方は開口しており、その開口外周上端縁には、外方に向けて延出するフランジ部22が形成されている。
フランジ部22は、テーパ部23、水平部24、折返し片25を有しており、テーパ部23は、内方に向けてやや傾斜した形状とされ、水平部24は、テーパ部23よりも外周側に水平に形成され、水平部24の外周縁からは、床面に対し略垂直に延びた折返し片25が周設されている。折返し片25には、全周に亘って間隔を空けて複数箇所に保持孔25bが開設されている。
また、カウンタ10の開口部13近傍の裏面16には、桟木40が周設されている。桟木40は、合板やパーチクルボード、角材等の木製あるいは合成樹脂で断面視矩形に形成され、開口部13の内周縁15から一定の間隔を空けて、その全周に亘って裏面16に固着されている。
【0029】
カウンタ10とシンク20とは接合部30を介して接合固着されており、接合部30は、カウンタ10の表面側14及びシンク20の上端部となるフランジ部22の水平部24の表面側24aに位置する第1接合層31と、それらの裏面側に位置する第2接合層32とからなる。
また、接合部30は、開口部13の内周縁15と折返し片25とを対向させ、カウンタ10とシンク20との表面側14、24aを、隙間を介して整合させた状態に保持し、その状態で、折返し片25とシンク20の側壁26との間のフランジ部22の裏面に、フランジ部22を裏側から表側に圧締する圧締部材50を介在させて、カウンタ10及びシンク20の裏面側から第1接合層31を形成する第1硬質接着剤と第2接合層32を形成する第2硬質接着剤とを注入することにより形成されて、第1接合層31の一部が目地Jを形成するように前記隙間の表面側に露出する構成としている。
更に、本実施形態では、カウンタ10とシンク20との表面側14、24aが目地Jを挟んで、略面一となるように形成されている。
【0030】
詳しくは、図4に示すように、目地Jに対応させて環状に形成されたシリコンゴム冶具61が配設された台座60の上面60aに、カウンタ10を上下反転して載置し、カウンタ10の開口部13にシンク20を上下反転して台座60の上面60aに載置して、目地Jに対応する箇所にシリコンゴム冶具61が弾接あるいは当接するように配置する。
この際、カウンタ10の開口部13の内周縁15とシンク20のフランジ部22の折返し片25の外周面25aとの隙間が全周に亘って略均一となるようにするとともに、カウンタ10の表面側14と、シンク20の水平部24の表面側24aとが、略面一となるように整合させるようにして、位置決めを行い、台座60及びシリコンゴム冶具61に対して、上方(図4の状態における上方を指す)からカウンタ10及びシンク20を押圧して圧接させる。
尚、前記隙間は、意匠性の観点及び成型誤差等吸収の観点から0.5mm〜5.0mm程度となるようにすることが好ましく、より好ましくは、2.0mm前後とすることで、カウンタ10とシンク20との接合強度を阻害することなく、意匠性に優れたものとなる。
【0031】
また、この際、フランジ部22の水平部裏面24bの前記した所定の箇所に、各圧締部材50の一端51を当接させ、各圧締部材50の他端52を上方から下方(図4における白抜矢印Z方向)に向けて均一に押圧して、フランジ部22の水平部24を、台座60に対して圧締する。
これにより、シンク20を台座60に載置する際等に、フランジ部22の水平部24の表面側24aに高低差や歪み等が生じたり、台座60とフランジ部22の水平部24の表面側24aとの間に隙間等が生じた場合にも、表面側24aをフラットな形状に保持できる。特に、本実施形態のように、複数の圧締部材50を水平部裏面24bに、周方向に沿って、間隔を隔てて配設し、他端52を均一に押圧して、フランジ部22の水平部24を、台座60に対して圧締するようにしているので、例えば、水平部裏面24bの全周あるいは略全周に亘って設ける場合と比し、前記カウンタと前記シンクとの接合強度を阻害することなく、容易にフラットな形状とできる。
【0032】
前記したように、カウンタ10、シンク20を台座60の上面60aに位置決めするとともに、各圧締部材50を押圧した状態で、それらの裏面側から硬質接着剤を注入する(以下、図1参照)。
硬質接着剤としては、例えば、主剤と硬化剤を混合して構成された、2液常温硬化型の樹脂組成物からなる接着剤が好適であり、主剤としては、エポキシ樹脂系やウレタン樹脂系、硬化剤としては、主剤に応じてポリアミド系やイソシアネート系などが挙げられる。
このような2液常温硬化型の接着剤は、硬化反応が進んで完全に硬化すると、硬質となる。これにより、前記のように各圧締部材50でフラットな形状に保持されたフランジ部22の表面側24aがフラットな形状とすることができる。
【0033】
この際、本実施形態では、2種類の硬質接着剤を使用している。
すなわち、硬質接着剤は、第1接合層31を形成する第1硬質接着剤と第2接合層32を形成する第2硬質接着剤を使用し、該第1硬質接着剤は、該第2硬質接着剤よりも低粘性のものとしている。
本実施形態では、前記第1硬質接着剤として、低粘性のエポキシ樹脂系の2液常温硬化型の接着剤を使用し、前記第2硬質接着剤として、該第1硬質接着剤よりも粘度の高い高粘性のウレタン樹脂系の2液常温硬化型の接着剤を適用しているが、これに限られず、第1硬質接着剤をウレタン樹脂系、第2硬質接着剤をエポキシ樹脂系、または、いずれもエポキシ樹脂系にする、あるいは、いずれもウレタン樹脂系にしてもよい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂や、ウレタン変性エポキシ樹脂などのように変性させたエポキシ樹脂を使用してもよい。
また、ウレタン樹脂としては、無黄変や難黄変タイプなどのウレタン樹脂を使用してもよい。これによれば、耐候性、耐光性に優れたものとなる。
【0034】
前記のようにカウンタ10と、シンク20を整合させた状態で、前記第1硬質接着剤を先に注入する。該第1硬質接着剤は、前記したように低粘性のものとしているので、カウンタ10の開口部13の内周縁15とシンク20の折返し片25の外周面25aとの間や、シンク20の折返し片25の内周面25cとシンク20の側壁外周面26aとの間に形成される隙間、折返し片25に開設された保持孔25b、折返し片25の内周面25c及びシンク20の側壁外周面26aと各圧締部材50との間に形成される空隙G1及びG2にも、その低粘性から隙間無く、かつ気泡等を生じることなく充填される。また、表面側では、前記したシリコンゴム冶具61により、前記第1硬質接着剤の「かけ」、「はみ出し」等が形成されず、略均一に目地Jが形成される。
尚、前記第1硬質接着剤は、図例のように桟木40のシンク側の側面41に、その一部が接触するような量まで注入することが好ましい。これにより、後記するようにカウンタ10とシンク20との接合強度を高めることが出来る。
【0035】
次いで、前記第1硬質接着剤が硬化する前に、該第1硬質接着剤の上から桟木40の上端部近傍(図4に示す状態における上端を指す)まで、前記第2硬質接着剤を注入する。
これによれば、前記第1硬質接着剤が前記したような隙間や空隙に注入され、また低粘性であることから硬化時間が長くなる場合でも、前記第2硬質接着剤の硬化発熱が該第1硬質接着剤の硬化反応を助け、より早く硬化させることができる。
また、前記第2硬質接着剤を前記第1硬質接着剤よりも安価なものとして、図例のように、該第1硬質接着剤よりも該第2硬質接着剤を多く注入することで、カウンタ10とシンク20との接合強度を阻害することなく、安価に製造できる。
【0036】
前記した状態で、各硬質接着剤が十分に硬化すると第1接合層31及び第2接合層32が形成され、その後に、接合固着されたカウンタ10及びシンク20を台座60の上面60aから脱離させると、カウンタ10とシンク20の表面側14、24aは、目地J、すなわち、表面側に露出する第1接合層31の一部を挟んで略面一に形成されることとなる。
尚、図1及び後記する図5並びに図6では、第1接合層31、31A、31Bと第2接合層32との境界面が形成されているが、いずれも各接合層を模式的に現したものであり、実際には、硬化反応が進むにつれて、その境界面近傍では、前記第1硬質接着剤と前記第2硬質接着剤とが混和された状態で硬化することは言うまでもない。
また、本実施形態では、接合部30を形成する硬質接着剤として、2種類の第1硬質接着剤と第2硬質接着剤とを使用しているが、1種類の硬質接着剤を使用して、接合部30を形成する態様としてもよい。
【0037】
さらに、圧締部材50の形状や、水平部裏面24bへの配設箇所や配設個数は、図例のものに限られず、フランジ部22の形状等に合わせて適宜、選択可能であり、例えば、水平部裏面24bの周方向に沿って、全周に亘って圧締可能なように環状に形成、あるいは、水平部裏面24bの前後左右それぞれの周方向に沿った直線の長さに合わせて、長尺に形成してもよい。これによれば、水平部24の表面側24aの平滑性を、より高めることができる。
さらにまた、カウンタ10を台座60の上面60aに載置した後に、前記のように、カウンタ10を上方から押圧するのではなく、台座60に、カウンタ10側に開口する空気吸引口(不図示)を有した空気吸引路(不図示)を設け、空気吸引手段(不図示)により吸引することで、カウンタ10を台座60に密接させるようにしてもよい。この場合は、台座60の上面60aに、前記空気吸引口を囲むように環状の凹溝を設けて、該凹溝に、環状に形成されたゴムなどの気密にするためのシール部材(不図示)を配設することが好ましい。
【0038】
以上に説明したように、本実施形態に係るキッチンカウンタAによれば、カウンタ10とシンク20との接合部30の一部をなす目地Jがカウンタ10とシンク20の表面側14、24aに露出しているので、汚れが視認しやすく、清掃を容易に行える。
また、カウンタ10とシンク20とを前記硬質接着剤を注入して接合固着しているので、表面側に露出する目地Jに汚れが付着し難く、清掃性が良いとともに、カビなどが発生しても、前記したように硬化すると硬質となるため、内層にまで滲入しにくく、除去しやすいものとなる。
さらに、シンク20のフランジ部22に床面に対し略垂直に延びる折返し片25を周設しているので、シンク20を絞り成型により形成する際に、フランジ部22の強度が向上し、波打ちや変形が生じにくいものとなり、シンク20の成型後の変形が低減できることからフランジ部22の表面(特に水平部24)をフラットな形状とすることができるとともに、目地Jの幅を安定して略均一とすることができる。また、カウンタ10とシンク20との接合強度が高められる。
【0039】
さらにまた、接合部30は、開口部13の内周縁15と折返し片25とを対向させ、その状態で、フランジ部22の水平部裏面24bに、フランジ部22の水平部24を裏側から表側に圧締するための圧締部材50を介在させて、それらの裏面側から前記硬質接着剤を注入することにより形成されるので、シンク20の成型後に、フランジ部22に変形等が生じた場合にも、水平部24の表面側24aをフラットにして、カウンタ10と接合することができる。
特に、本実施形態のように、水平部裏面24bの前後左右にそれぞれ、2〜3つづつ圧締部材50を配設する構成とすれば、水平部24の表面側24aを周方向に沿って、容易にフラットな形状に保持できる。
また、本実施形態では、圧締部材50を、折返し片25、シンク20の側壁26から前記硬質接着剤が注入される空隙G1、G2を隔てて配設する構成としているので、該硬質接着剤が注入される流路を阻害することなく、十分に全周に行き亘らせることができる。
【0040】
さらに、桟木40をカウンタ10の裏面16に固着させていることにより、前記第1硬質接着剤及び前記第2硬質接着剤が注入される際、カウンタ10の裏面16に固着された桟木40により堰き止められ、カウンタ10の裏面16の他部位にそれら硬質接着剤が流れ出ることを防止できる。
さらにまた、桟木40をカウンタ10の裏面16に固着させていることにより、本実施形態のように人造大理石で構成されたカウンタ10でも、人造大理石を肉厚とせずとも、硬質接着剤で接合される接着面積が増え、カウンタ10とシンク20との接合強度を阻害することなく、十分な接合強度が得られる。この場合において、桟木40を前記したような木製のものとすれば、各硬質接着剤が桟木40に含浸するように接着し、カウンタ10とシンク20との接合強度をより一層、高めることが出来る。
【0041】
また、本実施形態では、カウンタ10とシンク20との表面側14、24aは、目地Jを挟んで、略面一となるように形成しているので、カウンタ10とシンク20とに段差が殆ど形成されず、汚れが付着し難くなるとともに、外観がフラットな形状となり意匠性に優れたものとなる。
さらに、本実施形態では、折返し片25には、全周に亘って間隔を空けて複数箇所に保持孔25bが開設されているので、保持孔25bにも前記硬質接着剤が充填され、保持孔25bに充填された硬質接着剤によりアンカー効果が奏され、よりカウンタ10とシンク20との接合強度が高められる。
さらにまた、フランジ部22は、テーパ部23を有しており、テーパ部23が内方にやや傾斜した形状とされているので、シンク20の周囲に飛散した水等も目地J近傍に溜まることなく、シンク20の内方へ容易に誘導でき、使い勝手が良い。並びに、テーパ部23の形成により、前記した折返し片25と同様に、フランジ部22の強度が向上し、波打ちや変形が生じにくいものとなり、シンク20の成型後の変形が低減できることからフランジ部22の表面をフラットな形状とすることができる。
【0042】
尚、前記第1硬質接着剤を低粘性とするための各樹脂剤の混合比には、温度等の外部環境が左右することから、ここでの詳述を省略するが、前記第1硬質接着剤は、前記第2硬質接着剤よりも低粘性かつ高品質、すなわち、耐候性、耐光性、耐熱性、耐水性、耐摩耗性、耐衝撃性、対薬品性などに優れたものとすることが好ましい。
これにより、従来のように、接合部が表面側に露出しないものと比し、清掃性が向上するとともに、意匠性にも優れたものとなる。
また、前記第2硬質接着剤は、表面側には露出しないため、第1硬質接着剤や桟木40、シンク20との接着強度や収縮率などを考慮して、安価なものとしてもよい。
これにより、カウンタ10とシンク20との固着力を妨げることなく、総合的に安価なものとできる。
【0043】
さらに、前記第1硬質接着剤には、抗菌剤、防カビ剤のうち少なくともいずれか一方を混合してもよい。これにより、表面側に露出する目地Jの抗菌、防カビ性に優れたものとなるとともに、表面側に露出しない前記第2硬質接着剤には、それらを混合する必要がないので、低コストとなる。
さらにまた、前記第1硬質接着剤に、カウンタ10またはシンク20のいずれかの色、柄に合わせて、着色剤(顔料、染料等)、柄材などを混合してもよい。これにより、表面側に露出する目地Jが目立たず、より意匠性に優れたものとなる。この場合にも、本実施形態のように、2種類の硬質接着剤により接合部を形成する構成においては、前記したような着色剤(顔料、染料等)、柄材などを、表面側に露出する第1硬質接着剤にのみ混合すれば良いため、低コストとなる。
【0044】
また、本実施形態では、カウンタ10として、外観に高級感が出ることから人造大理石を適用したが、合板やパーチクルボードなどの木製ボードにメラミン化粧板を貼着した木製のカウンタにも適用可能であり、この場合には、前記したようにカウンタとシンクとが目地を挟んで略面一で形成されるので、木製カウンタの開口部の木口面(内周縁)が見えず、木口面の処理をする必要がないものとなるとともに、木口面の全体が硬質接着剤で覆われるため、木口面が水や湿気に晒されることがなく、カウンタが膨張変形することもない。
【0045】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図5(a)、(b)は、それぞれ第2実施形態、第3実施形態に係るキッチンカウンタを示す、図1と同様図である。
第1実施形態との相違点は、接合部及び圧締部材の構成であり、他の構成は、いずれも第1実施形態と同様であるため、同一符号を付し、説明を省略する。
【0046】
図5(a)に示す第2実施形態では、シンク20を、カウンタ10よりやや下方に位置するようにして、それらを接合固着している。
すなわち、カウンタ10の表面側14と、シンク20のフランジ部22の水平部24の表面側24aとに僅かな高低差が出来るように配置し、目地JAをシンク20に向けてやや傾斜するように形成している。
これによれば、カウンタ10の開口部13近傍の表面側14に付着した水分などを、シンク20の内方へより容易に誘導することができ、使い勝手が良いものとなる。
【0047】
また、本実施形態では、圧締部材50Aは、フランジ部22の水平部裏面24bの周方向と直交する方向の幅が、第1実施形態で示した圧締部材50よりも大きく形成され、同周方向に沿って、前記硬質接着剤が流通し得る空所を構成する穿孔53が開設されている。
すなわち、前記第1実施形態で示した、折返し片25及びシンク20の側壁26と圧締部材50との間に形成された空隙G1、G2よりも空隙G1A、G2Aがそれぞれ幅狭となるように構成されている。
これによれば、フランジ部22の水平に形成された水平部24の幅方向の略全域に亘って、圧締部材50Aにより圧締することができるので、水平部24の表面側24aの平滑性をより高められるとともに、穿孔53が開設されていることから、前記したように幅を大きく形成した場合にも、前記硬質接着剤が注入される流路を阻害することなく、十分に全周に行き亘らせることができる。
尚、圧締部材50Aの配設箇所、カウンタ10とシンク20との前記硬質接着剤注入前の位置決め、各圧締部材50Aの圧締等は、前記した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
また、空所の開設箇所、大きさ、形状等は、圧締部材50Aの幅や、圧締部材50Aと折返し片25及びシンク20の側壁26との空隙G1A、G2Aの幅、フランジ部22の水平部24の幅、前記各硬質接着剤の粘度等により、該各硬質接着剤の注入を阻害しない範囲で適宜、選択可能である。
【0048】
一方、図5(b)に示す第3実施形態では、シンク20を、カウンタ10よりやや上方に位置するようにして、それらを接合固着している。
すなわち、カウンタ10の表面側14と、シンク20のフランジ部22の水平部24の表面側24aとに僅かな高低差が出来るように配置し、目地JBがカウンタ10の開口部13の内周縁15上端からシンク20の折返し片25の角RのRエンドに向けて水平となるように形成している。
これによれば、目地JBの幅が、前記第1実施形態で説明した目地Jに比べて僅かに幅狭に形成でき、目地JBが目立たず、より意匠性に優れたものとなる。
【0049】
また、本実施形態では、圧締部材50Bは、第2実施形態と同様に、フランジ部22の水平部裏面24bの周方向と直交する方向の幅が、第1実施形態で示した圧締部材50よりも大きく形成されるとともに、第2実施形態の前記空所とは異なり、前記硬質接着剤が流通し得る凹所を構成する切欠54が形成されている。
切欠54は、周方向側面が凹形状となるように、一端51側を切り欠いて形成されており、凹部側、すなわち一端51側を、水平部裏面24bに当接させて配設するようにしている。
これによれば、前記第2実施形態同様の効果が得られるとともに、凹部を水平部裏面24bに当接する一端51側に形成しているので、前記硬質接着剤の流路を阻害することなく、よりスムーズに該硬質接着剤を全周に行き亘らせることが可能となる。
【0050】
尚、切欠54は、圧締部材50Bの強度の観点、前記各硬質接着剤をスムーズに注入可能とする観点等から、本実施形態のように、水平部裏面24bへ当接する一端51側を切り欠いて、形成することが好ましいが、圧締部材50Bの前記した幅や、切欠54の形状等は、前記第2実施形態同様、適宜、選択可能である。
また、前記第2実施形態及び前記第3実施形態において、第1接合層31A、31Bを形成する前記第1硬質接着剤を注入する際には、図4を参照して説明した台座60及びシリコンゴム冶具61を目地JA、JB及びカウンタ10及びシンク20のフランジ部22の高低差に合わせて形成、配置することは当然である。
さらに、カウンタ10とフランジ部22との前記した高低差は、両実施形態ともに1mm前後とすることが好ましい。これによれば、外観上は、略面一で、フラットな形状となり、意匠性に優れたものとなる。
【0051】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図6(a)、(b)は、それぞれ第4実施形態、第5実施形態に係るキッチンカウンタを示す、図1と同様図である。
第1実施形態との相違点は、圧締部材の構成であり、他の構成は、いずれも第1実施形態と同様であるため、同一符号を付し、説明を省略する。
【0052】
図6(a)に示す第4実施形態では、圧締部材50Cは、前記第1実施形態同様に略角柱状に形成された圧締部55の桟木側側面から、桟木40に向けて圧締部取付片56が延出して連成されている。
また、圧締部材50Cは、桟木40に固着させた状態で、圧締部55の一端51がフランジ部22の水平部裏面24bに当接する高さに形成されており、圧締部取付片56の桟木40に対応する箇所には、ネジ挿通孔56aが穿設されている。
このように構成された圧締部材50Cを適用して、カウンタ10とシンク20とを接合する際には、前記した台座60の上面60aにカウンタ10及びシンク20を上下反転させて、前記のように位置決めを行った後、圧締部材50Cの圧締部取付片56を、桟木40の上面(上下反転時における上面を指す)に載置し、ネジ挿通孔56aを介して、木ネジSを桟木40に螺入して、圧締部材50Cを桟木40に固着させる。
次いで、前記第1実施形態同様、前記硬質接着剤を注入することによりなされる。
【0053】
これによれば、桟木40及び圧締部55の高さを均一にして、水平部裏面24bの周方向に沿って、前記したように複数個、圧締部材50Cを配設することで、水平部24の表面側24aの平滑性を、容易に高められる。
すなわち、圧締部材50Cを桟木40に固着させることで、フランジ部22の水平部24を、台座60及びシリコンゴム冶具61に対して圧締、つまり、水平部24に波打ちや変形等が生じている場合にも、圧締部材50Cを木ネジSの螺入により桟木40へ固着させることにより、水平部裏面24bに一端51が圧接して、水平部24の表面側24aを平滑に保持することができる。
尚、本実施形態では、圧締部材50Cを側面視略倒L字状に形成しているが、他の形状としてもよく、例えば、側面視略T字状、すなわち、圧締部55の途中から圧締部取付片56を延出させて、他端52が圧締部取付片56よりも突出するような形状としてもよい。
また、桟木40への固着による水平部裏面24bへの圧接のみならず、前記第1実施形態同様、他端52を上方から押圧する構成としてもよい。
さらに、圧締部材50Cの少なくとも圧締部取付片56は、剛性の金属等で形成することが好ましい。
【0054】
図6(b)に示す第5実施形態では、圧締部材50Dは、接合部30を形成する際に、開口部13の内周縁15と折返し片25との間に介在させて位置決めを行う位置決め部58と連結部57を介して連結されている。
位置決め部58は、開口部13の内周縁15と折返し片25の外周面25aとの間に形成された前記隙間の幅に応じて、周方向と直交する方向の幅が形成され、圧締部55の一端51を水平部裏面24bに当接させた状態で、上端(連結部57に連結されていない側の端を指す)がカウンタ10及びシンク20の表面側に露出しないような長さに形成されている。
このように構成された圧締部材50Dを適用して、カウンタ10とシンク20とを接合する際は、前記した台座60の上面60aにカウンタ10及びシンク20を上下反転させて、前記のように位置決めを行う際に、位置決め部58の折返し片側面58aと折返し片25の外周面25aとを、また、カウンタ側面58bと開口部13の内周縁15とを、それぞれ当接させるようにして位置決め、すなわち、開口部13の内周縁15と折返し片25の外周面25aとの間に形成される前記隙間の幅調整を行う。
【0055】
この場合において、前記第1実施形態で説明したように周方向に沿って複数個配設された各圧締部材50Dの位置決め部58のそれぞれが、前記したように内周縁15及び外周面25aに当接するようにすることが好ましいが、成型誤差等により全てを当接させることが出来ない場合は、少なくとも前側に配設される各圧締部材50Dの位置決め部58を、それぞれ当接させるとともに左右に形成された前記隙間の幅を左右ともに略同幅となるようにして、位置決めを行うことが好ましい。
これによれば、使用時において、特に目立ちやすい前側に形成される目地Jの幅を、容易に略同幅とすることができ、より意匠性に優れたものとなる。
次いで、前記第1実施形態同様、圧締部55の他端52を上方から押圧し、前記のように硬質接着剤を注入して接合部30を形成して、カウンタ10とシンク20とを接合固着する。
尚、本実施形態において、前側のみに圧締部材50Dを介在させて、他の後側及び左右側には、位置決め部58を有しない圧締部材50、50A、50B、50C等を介在させる構成としてもよい。
【0056】
また、第1実施形態乃至第5実施形態のそれぞれで適用した各圧締部材50、50A、50B、50C、50Dを他の実施形態に適用可能なことはいうまでもない。
さらに、それぞれの圧締部材50、50A、50B、50C、50Dを、水平部裏面24bの周方向に沿って、適宜組み合わせて配設するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 カウンタ
13 開口部
14 表面側(カウンタ)
15 開口部の内周縁
16 開口部近傍裏面
20 シンク
22 フランジ部
24a 表面側(フランジ部)
24b 水平部裏面(フランジ部)
25 折返し片
26 シンク側壁
30、30A、30B 接合部
40 桟木
50、50A、50B、50C、50D 圧締部材
53 穿孔(空所)
54 切欠(凹所)
56 圧締部取付片
58 位置決め部
A キッチンカウンタ
J、JA、JB 目地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンタに形成した開口部に、接合部を介してシンクを接合固着させてなるキッチンカウンタであって、
前記シンクは、その周縁に、床面に対し略垂直に延びる折返し片を周設したフランジ部を有した形状とされ、
前記接合部は、前記開口部の内周縁の全体に対して前記折返し片の開口部内周縁側の面を対向させ、前記カウンタと前記シンクとの表面側を、隙間を介して整合させた状態に保持し、その状態で、前記折返し片と前記シンク側壁との間の前記フランジ部裏面に、該フランジ部を裏側から表側に圧締するための圧締部材を、前記折返し片及び前記シンク側壁から硬質接着剤が注入される空隙を隔てて、かつ、前記カウンタと離間させて介在させて、前記カウンタ及び前記シンクの裏面側から前記硬質接着剤を注入することにより形成され、前記接合部の一部が目地を形成するように前記隙間の表面側に露出する構成とされていることを特徴とするキッチンカウンタ。
【請求項2】
請求項1において、
前記圧締部材は、一端が前記フランジ部の水平部の裏面に当接する略角柱状あるいは略円柱状とされ、かつ、前記フランジ部裏面に、周方向に沿って、間隔を隔てて複数個、介在されていることを特徴とするキッチンカウンタ。
【請求項3】
請求項2において、
前記圧締部材には、前記硬質接着剤が流通し得る空所または凹所が形成されていることを特徴とするキッチンカウンタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記カウンタの開口部近傍裏面には、桟木が周設されており、
前記圧締部材には、前記桟木に向けて延出する圧締部取付片が形成され、該圧締部取付片を該桟木に固着させて、前記フランジ部を裏側から表側に圧締する構成としていることを特徴とするキッチンカウンタ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記圧締部材は、前記接合部を形成する際に、前記開口部の内周縁と前記折返し片との間に介在させて位置決めを行う位置決め部と連結されていることを特徴とするキッチンカウンタ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記カウンタと前記シンクとの表面側は、前記目地を挟んで、略面一に形成されていることを特徴とするキッチンカウンタ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項において、
前記カウンタは、人造大理石で構成されていることを特徴とするキッチンカウンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−256703(P2011−256703A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168010(P2011−168010)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【分割の表示】特願2007−14799(P2007−14799)の分割
【原出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】