説明

キトサンのアセチル化

変性N−アセチル化キトサンを製造する方法であって、a)酸水溶液中でキトサンの水溶液を形成する工程と、b)工程a)で得た溶液とアセチル化剤を、キトサン対アセチル化剤の準化学量論的な量で混合する工程と、c)アセチル化反応の実質的な終了に充分なの時間でキトサン及びアセチル化剤を反応させる工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキトサンをアセチル化する工程、特にN−アセチル化キトサンの工程に関する。本発明は、工程に準じて入手できるキトサンを含む洗剤製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
キチンは甲殻類の外殻の主要構成成分であり、セルロースを除いて、最も豊富に天然に発生する生物高分子である。キトサンはキチンから誘導され、キチンの脱アセチル化により形成することができる。キトサンは多種多様な分子量(例えば、10〜1,000kDa)及び脱アセチル化の程度で市販されている。キトサンは、植物の手入れ、化粧品添加物、洗浄製品、食品と栄養補助製品、そして医療を含む、多種多様な目的に用いられる。
【0003】
キトサンの特性と用途はその形態、構造、そして大きさに強く関連し、これらはキトサンの入手に用いられる工程に直接関連している。明確性を理由とし、本明細書では、キチンから初期製品として入手するキトサンを一次キトサンといい、この一次キトサンをその後処理して入手するキトサンを変性キトサンという。
【0004】
従来の一次キトサン及び変性キトサンは、限定された溶解度を有する。キトサンは通常、酸性媒質、典型的に水素イオン指数(pH)が1〜5の範囲でのみ溶解可能であるため、用途はこれによって限定される。文献は、キトサンの溶解度はアセチル化、すなわち化学的改良(「Chemical modification of chitin and chitosan 2:preparation and water soluble property of N−acetylated or N−alkylated partially deacetylated chitins」H.Sashiwa and Y.Shigemasa,Carbohydrate Polymers 39(1999)127〜138)によって改善が可能であることを認めている。
【0005】
研究論文「A simple preparation of half N−acetylated chitosan highly soluble in water and aqueous organic solvents」N.Kubota et al.Carbohydrate Research 324(2000)268〜274も、置換の程度を調整することによってキチンとキトサンの溶解度が増大することに同意している。この研究論文では、キトサンをペルオキソホウ酸ナトリウムで処置して分解し、その後、水性酢酸中の無水酢酸によってN−アセチレン化して、半−Nアセチル化キトサンを調製した。反応は、過度の無水酢酸中で発生し、水酸化ナトリウムで終了した。反応混合物を透析し、その後アセチレン化キトサンをメタノール水酸カリウムで5時間処置して、遠心分離機を用いてメタノールで繰り返し洗浄した。最終的に、水に溶解させた。
【0006】
H.SashiwaとY.Shigemasaの研究論文でも、キトサンは過度の塩化アセチルを用いて、氷で反応を終了させ、続いて透析と炭酸水素ナトリウムとを中和させることによってアセチル化された。
【0007】
この文献で提案されるアセチル化の方法は、大量の反応物質と分離工程を要し、商業的加工で使用するにはあまりにも煩雑である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「Chemical modification of chitin and chitosan 2:preparation and water soluble property of N−acetylated or N−alkylated partially deacetylated chitins」H.Sashiwa and Y.Shigemasa,Carbohydrate Polymers 39(1999)127〜138
【非特許文献2】「A simple preparation of half N−acetylated chitosan highly soluble in water and aqueous organic solvents」N.Kubota et al.Carbohydrate Research 324(2000)258〜274
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、工業規模で容易に実施することができる、キトサンをアセチル化する簡略方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、キトサンをアセチル化する工程を提供する。本明細書で使用するとき、用語「キトサン」は、キチンの脱アセチル化又は菌類の直接単離によって入手される天然の多糖類β−1,4−ポリ−D−グルコサミンだけではなく、合成的に製造されたβ−1,4−ポリ−D−グルコサミン及びキトサンと同等の構成であるその誘導体をも含む。「キトサンのアセチル化の工程」(本明細書でときには「キトサンのアセチル化」ともいう)は、初期のキトサンに関して、キトサンN−基中のアセチル基の数の増大をもたらす工程であることが理解される。キトサンの分子は、N−基とO−基という、アセチル化が可能である2種類の基を有する。本発明はN−基のアセチル化、すなわちN−アセチル化に関するが、特定量のO−アセチル化が発生する場合があることを理解されるべきである。本発明の工程におけるO−アセチル化は、N−アセチル化と比較して無視できる又は少量であると考えられる。
【0011】
本発明の第1工程は、キトサンを酸水溶液に添加して水性キトサンの溶液又は分散液(本明細書で概して「キトサン溶液」という)を形成することである。その後、アセチル化剤を酸水溶液キトサン溶液に添加するが、好ましくは、キトサンが充分に分散した時点でアセチル化剤を添加する。アセチル化剤は、望ましい程度のアセチル化、すなわちキトサンがアセチル化剤以上のモルで存在するようにするため、キトサンN−基に関して準化学量論的なモル量でキトサン溶液に添加される。要するアセチル化剤の分量を、開始時のキトサンの分子量とN−アセチル化の程度、そして最終的な変性キトサンの望ましいアセチル化の程度を知ることによって、理論上算出することができる。
【0012】
開始時キトサンの分子量とN−アセチル化の程度は、製造業者の仕様から知る、あるいは分析法によって決定することができる。分子量は、プルランを基準とする多角度光散乱法を用いた分子篩クロマトグラフィーと、「Chitin Handbook」(Muzzarelli et.al,ISBN 88−86889−01−1)、109〜114ページに公開される方法を用いた、アセチル化の程度によって決定することができる。この方法は、一次導関数紫外線分光測光法を用いて、アセチル化の程度対N−アセチル−D−グルコサミンの較正曲線を定量化する。この方法の詳細を、本明細書で以下に記す。
【0013】
所定の程度のアセチル化(DAfinal)を達成するために要するアセチル化剤(MAct)の理論上のモル数は、
1)キトサンの初期のN−アセチル化(DAinitial)の程度と所定の重量のキトサン中のN基の総数(MN)を決定することと、
2)使用できるアミン基の数量(AvN=MAct)を、初期のN−アセチル化の程度から要する最終的なアセチル化の程度を差し引いて、アセチル化されるアミン基の数で乗じた差として算出する:AvN=(DAfinal−DAinitial)×MN、ことと、
3)モル数を、分子量で乗じることによってアセチル化剤のグラムに変換することとにより、算出することができる。
【0014】
あるいは、所与の反応条件の下で、アセチル化剤の量とキトサンのアセチル化の程度を相互に関連付ける較正曲線を構築することができる。この曲線は、決定した程度のアセチル化を達成するために要するアセチル化剤の数量を容易に決定することができる。
【0015】
要するアセチル化剤の量は、キトサンの溶解度を用いて間接的に決定することができる。所定の分子量のキトサンについて、決定されたpHにおける溶解度は、アセチル化の程度により左右される。アセチル化の程度が高ければ高いほど、キトサンが溶解するpHは高くなる。較正曲線は、所定のpHにおけるアセチル化の程度を相互に関連付けて構築することができる。
【0016】
本発明の工程に関連する大きな利点は、得られるキトサンは水溶液中にあり、そのままで直接使用若しくは処理する、又はより濃縮された溶液を必要とする場合には、一部の水を蒸発させることができ、複雑な分離工程の必要性と大量の危険な溶媒の取り扱いを回避できることである。これは、商業的規模での使用のために本発明の工程を理想的なものとする。
【0017】
キトサン溶液の調製に用いる酸は、好ましくは、酢酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、サリチル酸、塩酸、及びそれらの混合物から選択する。本明細書での使用に好ましいものは、pHの大きな低下を回避する緩衝能力により、酢酸である。希釈酸性溶液中の好ましいキトサンの濃度は約0.1〜約10重量%、より好ましくは約0.5〜約3重量%であり、これらの値は、処置を容易にするレオロジーを持つ溶液を提供するために、工程の見地から好ましい。好ましくは、pHは約1〜約5の範囲にある。反応物質は、実質的にアセチル化剤がなくなるまで、すなわち、アセチル化剤の少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%がキトサンのアセチル化に消費される(本明細書で、「アセチル化反応の実質的な完了」という)まで反応させることができる。
【0018】
アセチル化反応は水性媒質中で行われる。これは、安全と環境の見地から工程を単純化する、すなわち、有害溶媒を取り扱う必要が存在せず、したがって費用を大幅に削減する。
【0019】
好ましい実施形態では、アセチル化剤は無水酢酸である。本明細書に用いるのに好適な他のアセチル化剤としては、アセチルハライド、具体的には塩化アセチルが挙げられる。
【0020】
一部のアセチル化剤、特には無水酢酸は、加水分解のために水性環境中で不安定な傾向があり、キトサンのアセチル化に使用できるアセチル基の数を減少させる。これは、キトサン溶液に加水分解低減剤を、好ましくはアセチル化剤を添加する前に添加することによって改善することができることが今では判明している。これは、加水分解反応に対してアセチル化反応の促進を援助する。加水分解低減剤の追加によって、生じるキトサンのアセチル化の最終的な程度に関する反応の再現性が改善されることも判明している。
【0021】
好ましい実施形態では、加水分解低減剤はアルコール、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、及びこれらの混合物を含む、低分子アルコール(すなわちC1〜C6)である。
【0022】
好ましい実施形態では、キトサンは約50,000〜約500,000Da、好ましくは約100,000〜300,000Daの分子量を有する。好ましい実施形態では、初期キトサンのアセチル化の程度は約0〜約30%、好ましくは約10%〜約25%である。
【0023】
好ましい実施形態では、最終的なキトサンのアセチル化の程度は約30%〜約80%、より好ましくは約40〜約70%、そしてなお好ましくは約42〜約52%である。
【0024】
本発明の工程は、異なるpHで溶解する様々な範囲のキトサン製品を製造することができ、キトサンの潜在的用途の数を拡大する。キトサン製品は、多種多様な製品における用途用のpH誘発性水溶性被膜、塗装膜、そして高分子基材の製造において特に有益である。「pH誘発性」は、被膜又は基材が特定のpH状態の下でのみ水性媒体中で溶解し、それ以外では水性媒体中で溶解しないことを意味するこれらの用途の1つとしては、洗剤用途におけるキトサンの使用、特には1回用量形態の洗剤製品の製造が挙げられる。製品は、洗浄工程中に決定されたpHで溶解するように設計することができる。
【0025】
製品の態様に応じ、本発明の工程に従って入手することができる、あるいは入手されたアセチル化キトサンを含む被包物質とそれに包含される洗浄組成物を含む、1回用量洗剤製品を提供する。好ましい実施形態では、1回用量製品は2つ以上の区画を備え、少なくともそれらの1つは、本発明の工程に準じて入手することができるキトサンを含む被包物質から調製される。これにより、異なる区画が異なるpHで溶解することが可能となる。例えば、製品を自動食器洗い機で使用する場合、1つの区画を主要洗浄サイクル中に溶解させて別の区画をすすぎの際に溶解させることができる。
【0026】
2つ以上の区画を備える製品の少なくとも1つの区画に使用するために好ましい被包物質は、約42〜約52%のアセチル化の程度を有するキトサンである。このキトサンは約8.5〜約9.5のpHで溶解し、それによって主要洗浄中での被包物質の溶解を遅らせて、すすぎ中に溶解させる。
【0027】
1回用量洗剤製品は錠剤、小袋、カプセル、又は同等物の形態であることができる。本明細書では小袋、具体的には複数区画、特に二重区画の小袋であることが好ましい。本発明の1回用量洗剤製品の好ましい使用は、洗濯及び自動食器洗い、特に自動食器洗いである。
【0028】
本発明の別の態様に従って、本発明に準じて入手することができる、又は入手されたアセチル化キトサンを洗剤製品中の放出制御剤として使用することを提示する。上述のように、キトサンのN−アセチル化の程度は、水溶液中でキトサンが溶解するpHを決定する。決定されたアセチル化の程度を有するキトサンは、洗剤構成成分若しくは洗剤が好ましいpHで放出され、かつその他のpHで放出されることを抑制若しくは防止するために、被覆、封入、又は洗剤構成成分若しくは洗剤と混合して使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明はキトサンのアセチル化の工程、具体的にはN−アセチル化の工程に関する。必要なアセチル化の程度を先験的に決定し、このアセチル化の程度を達成するために必要なアセチル化剤をしかるべく添加する。本発明の工程に準じて入手することができる又は入手したキトサンを含む1回用量洗剤包装物と、洗剤製品の放出制御剤としてのアセチル化キトサンの使用も、本発明は構想する。製品が溶解するpHは、キトサンのアセチル化の程度によって決定される。
【0030】
開始時キトサンは市販されているキトサンのいずれかであることができる。好適なキトサンの供給源は甲殻類、昆虫に由来するものである場合があり、又は菌類に由来する場合がある。本明細書での使用に好ましいのは、約10,000〜約500,000Daの分子量を有するキトサン物質である。
【0031】
本発明の工程の第1段階は酸水溶液にキトサンを導入することである。通常、粉末状のキトサンを添加したら、キトサンが溶液中に分散して粉末が良好に湿潤するように、溶液を攪拌、あるいは別の方法で混合するべきである。粉末が溶解することは必須ではなく、通常、この段階では、粉末が良好な分散状態にあることで充分である。
【0032】
この第1段階で使用する酸は、好ましくは酢酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、サリチル酸、塩酸、及びそれらの混合物から選択される。本明細書での使用に好ましいのは酢酸である。希釈酸性溶液中の好ましいキトサンの濃度は約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約2重量%であり、これらの値は、適切な濃度と処置が容易な溶液を提供するために工程の見地から好ましい。好ましくは、pHは約1〜約5の範囲内にある。例えば、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン)酸などの結晶化阻害物質を溶液に添加し、結晶成長の中心となることがある種晶が早期に形成することを回避する。得られる酸性キトサン溶液は必要に応じて濾過して不溶性不純物を除去することがある。
【0033】
反応、すなわち、a)、b)、及びc)段階は1台の反応器で発生することができ、あるいは、a)段階は第1反応器で、そしてb)とc)段階は第2反応器で発生することができる。いかなる攪拌反応器も本発明の目的に使用することができる。工程は連続してあるいはバッチ方式で実施することがある。好ましくは、工程は室温(すなわち約23℃)と大気圧で実施する。滞留時間を減少するため、反応の温度と圧力の両方又はいずれかを増大させることがある。
【0034】
アセチル化の程度の測定
約0.01、0.02、及び0.003Mの3つの酢酸溶液を調製し、水に対して240〜190ナノメートルの第1微分スペクトラムを記録する。3つのスペクトラムの重畳が酸の零交差点を示す。
【0035】
0.01Mの100mLの酢酸中のN−アセチルグルコサミンが0.5〜3.5mgの範囲である4つ又は5つの基準溶液を調製し、前回と同様にスペクトラムを記録する。
【0036】
記録した全てのスペクトラムを重ね合わせて、零交差点上部のそれぞれの基準濃度について高さH(mm)を測定する。較正曲線(H対N−アセチルグルコサミンの濃度)を引く。曲線等式H=f(C)を決定する。
【0037】
乾燥キトサン(すなわち、以前凍結乾燥したもの)500mgを0.1Mの酢酸50mLに溶解させてから水で500mLに希釈する。アセチル化の程度が高い場合は、10倍の希釈を更に必要とする。
【0038】
溶液を10mm経路長の遠紫外線キュベットに移す。
【0039】
例えば、Beckman DU 640、Kontron Uvikov 810、そしてPerkin Elmer 550 SEなど、異なる分光光度計を使用することができる。誘導スペクトルを、光幅1nm、走査速度30nm/分、そして時定数4秒、記録紙送り速度10cm/分で入手する。
【0040】
0.11より低いアセチル化の程度については、補正曲線から推定する係数で最終結果を補正する必要がある。
【0041】
被包物質
被包物質は追加高分子物質を更に含むことがある。高分子物質として用いるのに好適な好ましい重合体、共重合体、又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及びその塩、ポリアミノ酸若しくはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸の共重合体、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン及びカラゴムなどの天然ゴム類から選択される。より好ましい重合体は、ポリアクリレート並びに水溶性アクリレート共重合体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール共重合体並びにヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0042】
重合体混合物は、被包物質の用途と必要性に応じて機械的特性と溶解特性の両方又はいずれかを制御するために有益であることがある。好適な混合物としては、例えば、一方の重合体がもう一方の重合体より高い水溶解度を有する混合物と、一方の重合体がもう一方の重合体より高い機械的強度を有する混合物の両方又はいずれかが挙げられる。異なる平均分子量を有する重合体混合物も好適である。
【0043】
最も好ましい重合体物質は、好ましくは1,000Da〜1,000,000Da、より好ましくは10,000Da〜300,000Da、そして最も好ましくは、Chris−Craft Industrial Products(米国インディアナ州ゲイリー)から販売されている商品名Monosol M8630などの、20,000Da〜150,000Daを有するPVAである。
【0044】
そのような重合体物質、具体的にはPVAがアセチル化キトサンと一緒に被包物質に更に含まれる場合、追加重合物質に対するキトサンの重量比は0.1:100〜50:100であることが好ましく、好ましくは1:100〜10:100である。
【0045】
本明細書で用いる被包物質は1つ以上の添加物成分を含むこともある。例えば、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びこれらの混合物などの可塑剤を添加することは有益であることがある。その他の添加物としては、洗浄水に放出する機能性洗剤添加物、例えば、有機重合体分散剤が挙げられる。
【0046】
被包物質は被膜、被覆、射出成形物、又は等価物の形状であることができる。好ましくは、被包物質は、洗剤の錠剤、又はボール、麺様物、円盤様物など、洗剤に用いられる他の挿入物を被覆するために用いられる。挿入物は、それ自体で、あるいは洗剤製品の一部として用いることができる。
【0047】
被包物質を、粉末又は圧縮形態で、洗剤上に、(すなわち、錠剤及び他の固形物)に噴霧することができる。
【0048】
本発明の工程に準じて入手されるN−アセチル化キトサンを含む洗浄組成物を製造する工程は、
(a)洗浄組成物を調製する工程と、
(b)N−アセチル化キトサンを含む被膜又は組成物と、例えば、被覆、噴霧、封入、小袋形成、射出成形などによって多量の洗浄組成物を封入する工程と、からなる。
【0049】
洗浄組成物は、錠剤被覆について既知のものなど従来の手順を用いて被覆されてもよい。本発明のN−アセチル化キトサンを、溶解物から、又は溶液若しくは分散液からの組成物上に噴霧することができる。この場合、被覆される組成物は流動床上又は錠剤被覆皿内に位置する。被覆される組成物は、後の処置によって噴霧による顆粒状物質を形成するため、溶融N−アセチル化キトサン中に分散することもできる。この目的のため、既知の噴霧冷却手順、噴霧凍結手順、又は回転ディスク手順を用いることができる。N−アセチル化キトサンの層は、水性溶媒、又は噴霧被覆された別の溶媒から適用することができる。この場合、被覆される組成物は錠剤被覆皿内又は流動床上に位置する。被覆される洗浄組成物をアミノアセチル化多糖類と一緒に溶液中に分散させてから、この分散液を噴霧乾燥することもできる。あるいは、コアセルベーション技術によってN−アセチル化キトサンを適用することもできる。
【0050】
好ましくは、本発明に準じる1回用量洗剤製品は小袋の形状にある。小袋は国際公開第02/42408号に記載される工程に準じて製造することができる。
【0051】
洗浄組成物
本明細書での洗浄組成物は従来の洗浄性成分を含むことがあり、また洗浄機能を有する有機溶媒と、担体又は希釈機能若しくは他の何らかの特化機能を有する有機溶媒を含むこともある。組成物は通常、漂白剤、界面活性剤、アルカリ度供給物質、酵素、増粘剤(液体、ペースト、クリーム、又はゲルの組成物の場合)、腐食防止剤(例えば、ケイ酸ナトリウム)、そして破壊剤並びに結合剤(粉末、顆粒、若しくは錠剤の場合)から選択される1つ以上の洗剤活性成分を含んで構築される。極めて好ましい洗剤構成成分としては、原材料化合物、アルカリ度供給源、界面活性剤、酵素、及び漂白剤が挙げられる。
【0052】
界面活性剤
本発明の洗剤製品には、洗剤界面活性剤自体又は他の構成要素との組み合わせ(すなわち、石鹸泡抑制剤)において低気泡性であることが好ましい。本明細書において好適な界面活性剤としては、アルキル、アルケニル、又はアシル部分がC5〜C20、好ましくはC10〜C18の直鎖若しくは分枝鎖である、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルグリセリルスルホネート、アルキル、並びにアルケニルスルホネート、アルキルエトキシカルボキシレート、N−アシルサルコシネート、N−アシルタウレート、及びアルキルサクシネート並びにスルホサクシネートなどのアニオン性界面活性剤、クロリンエステル(米国特許第A−4228042号、同第A−4239660号、及び同第A−4260529号)、及び残りのN位がメチル基、ヒドロキシエチル基、若しくはヒドロキシプロピル基で置換されるモノC6〜C16N−アルキル若しくはアルケニルアンモニウム界面活性剤などのカチオン性界面活性剤、非イオン性アルコキシル化界面活性剤(特に、C6〜C18の第一級アルコールから誘導されるエトキシレート)、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、BASF Poly−Tergent(登録商標)SLF18)、エポキシ末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、BASF Poly−Tergent(登録商標)SLF18B、国際公開第A−94/22800号参照)、エーテル末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、及びBASF−Wyandotte Corp.(ミシガン州ワイアンドット)のPLURONIC(登録商標)、REVERSED PLURONIC(登録商標)、及びTETRONIC(登録商標)などのブロックポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン高分子化合物を含む、低曇点並びに高曇点の非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物、C12〜C20アルキルアミンオキシド(本明細書での使用に好ましいアミンオキシドとしては、C12ラウリルジメチルアミンオキシド、C14、並びにC16ヘキサデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる)、及びMiranol(商標)C2Mなどのアルキル両性カルボン酸界面活性剤などの両性界面活性剤、及びベタイン並びにスルタインなどの双極性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書で好適な界面活性剤は、例えば、米国特許A−3,929,678号、同第A−4,259,217号、欧州特許第A−0414549号、国際公開第A−93/08876号、及び同第A−93/08874号に開示されている。界面活性剤は、典型的には組成物の約0.2重量%〜約30重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、最も好ましくは約1重量%〜約5重量%の濃度で存在する。本明細書での使用に好ましい界面活性剤は低気泡性であり、低曇点非イオン性界面活性剤と、より高い気泡性界面活性剤と、石鹸泡抑制剤として作用する低曇点非イオン性界面活性剤との混合物が挙げられる。
【0053】
原材料
本明細書の洗浄組成物での使用に好適な原材料としては、クエン酸塩、炭酸塩、並びにポリリン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウムとトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム塩、及び混合ナトリウムとトリポリリン酸カリウム塩)などの水溶性原材料、及び結晶性層状ケイ酸塩(欧州特許第A−0164514号及び同第A−0293640号)、並びにゼオライトA、B、P、X、HS、及びMAPを含むアルミノケイ酸塩などの部分的水溶性又は不溶性原材料が挙げられる。原材料は、典型的には、組成物の約1重量%〜約80重量%、好ましくは約10重量%〜約70重量%、最も好ましくは約20重量%〜約60重量%の濃度で存在する。
【0054】
二酸化ケイ素対酸化ナトリウムの比が1.8〜3.0、好ましくは1.8〜2.4、最も好ましくは2.0である非晶性ケイ酸ナトリウムも本明細書において使用することができるが、長期保存安定性の観点から、非常に好ましいのは、約22%未満、望ましくは約15%未満の全ケイ酸塩(非晶性及び結晶性)を含有する組成物である。
【0055】
酵素
本明細書で好適な酵素としては、CarezmeとCelluzyme(Novo Nordisk A/S)などの細菌と菌類セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、Amano−P(Amano Pharmaceutical Co.)、M1Lipase(登録商標)とLipomax(登録商標)(Gist−Brocades)などのリパーゼ、そしてLipolase(登録商標)とLipolase Ultra(登録商標)(Novo)、クチナーゼ、Esperase(登録商標)、Alcalase(登録商標)、Durazym(登録商標)、並びにSavinase(登録商標)(Novo)、そしてMaxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Properase(登録商標)とMaxapem(登録商標)(Gist−Brocades)などのプロテアーゼ、α及びβPurafect Ox Am(登録商標)(Genencor)並びにTermamyl(登録商標)、Ban(登録商標)、Fungamyl(登録商標)、Duramyl(登録商標)、そしてナタラーゼ(登録商標)(Novo)などのアミラーゼ、ペクチナーゼ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。酵素は、本明細書では好ましくは顆粒状、粒状、又は混合粒状として添加し、典型的に組成物の約0.0001〜約2重量%の範囲内の濃度の純粋酵素である。
【0056】
漂白剤
本明細書での好適な漂白剤としては、塩素と酸素漂白剤、特に過ホウ酸ナトリウムの水和物と四水和物、そして制御放出速度を提供するため、任意で被覆した過炭酸ナトリウム(例えば、硫酸塩/炭酸塩被覆に関する英国特許第A−1466799号を参照)などの無機過水和物塩、予備形成有機ペルオキシ酸と、有機ペルオキシ酸漂白剤前駆体を有するこれらの混合物、そして遷移金属含有漂白剤触媒(特に亜鉛又はコバルト)の全て又はいずれかが挙げられる。無機過水和物塩は典型的に組成物の約1重量%〜約40重量%、好ましくは約2重量%〜約30重量%、なお好ましくは約5重量%〜約25重量%の範囲の濃度で取り入れられる。本明細書での使用に好ましいペルオキシ酸漂白剤前駆体としては、過安息香酸と置換過安息香酸前駆体、カチオン性ペルオキシ酸前駆体、TAED、アセトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、並びにペンタアセチルグルコースなどの過酢酸前駆体、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(イソ−NOBS)並びにノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(NOBS)などの過ノナン酸前駆体、アミド置換アルキルペルオキシ酸前駆体(欧州特許第A−0170386号)、及びベンゾオキサジンペルオキシ酸前駆体(欧州特許A−0332294号と同第A−0482807号)が挙げられる。典型的には漂白剤前駆体は、組成物の約0.5重量%〜約25重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%の範囲の濃度で取り入れられ、一方、予備形成有機ペルオキシ酸自体は典型的には、組成物の0.5重量%〜25重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の範囲の濃度で取り入れられる。本明細書での使用に好ましい漂白触媒としては、トリアザシクロノナンマンガンと関連錯体(米国特許第A−4246612号及び同第A−5227084号)、ビスピリジルアミンコバルト、ビスピリジルアミン銅、ビスピリジルアミンマンガン、そしてビスピリジルアミン鉄、並びに関連錯体(米国特許第A−5114611号)、及びペンタミンアセテートコバルト(III)並びに関連錯体(米国特許第A−4810410号)が挙げられる。
【0057】
低曇点非イオン性界面活性剤及び石鹸泡抑制剤
本明細書での使用に好適な石鹸泡抑制としては、低雲点を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書で用いられる「雲点」は、よく知られる非イオン性界面活性剤の特性であり、温度の上昇と共に界面活性剤がより溶解しにくくなる結果、二次位相の出現が観察される温度を「雲点」という(Kirk Othmer,pp.360〜362参照)。本明細書で使用するとき、「低曇点」非イオン性界面活性剤は、30℃未満、好ましくは約20℃未満、更に好ましくは約10℃未満、最も好ましくは約7.5℃未満の曇点を有する非イオン性界面活性剤系成分として定義される。典型的な低曇点非イオン性界面活性剤としては、非イオン性アルコキシル化界面活性剤、特に第一級アルコールから誘導されるエトキシレート、及びポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(PO/EO/PO)逆ブロックポリマーが挙げられる。また、このような低曇点の非イオン性界面活性剤としては、例えば、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、BASFのPoly−Tergent(登録商標)SLF18)とエポキシ末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、米国特許第A−5,576,281号に記載される、非イオン性のBASFのPoly−Tergent(登録商標)SLF18Bシリーズ)が挙げられる。
【0058】
好ましい低曇点界面活性剤は、次式を有するエーテル末端処理ポリ(オキシアルキル化)石鹸泡抑制剤である。
【0059】
【化1】

式中、R1は平均約7〜約12個の炭素原子を有する直鎖アルキル炭化水素であり、R2は約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖アルキル炭化水素であり、R3は約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖アルキル炭化水素であり、xは約1〜約6の整数であり、yは約4〜約15の整数であり、そしてzは約4〜約25の整数である。
【0060】
他の低曇点非イオン性界面活性剤は、次式を有するエーテル末端処理ポリ(オキシアルキル化)である。
IO(RIIO)nCH(CH3)ORIII
式中、RIは約7〜約12個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換、脂肪族又は芳香族の炭化水素ラジカルからなる群から選択され、RIIは同一又は異なる、所定のいずれかの分子量を有する、分枝状又は直鎖C2〜C7アルキレンからなる群から独立して選択され、nは1〜約30の数であり、そしてRIIIは、
(i)1〜3個のヘテロ原子を含む4〜8員環置換又は非置換複素環と、
(ii)約1〜約30個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換、環状又は非環状、脂肪族又は芳香族の炭化水素ラジカルからなる群から選択され、
(b)R2が(ii)である場合は、(A)少なくとも1つのR1はC2又はC3アルキレン以外である、あるいは(B)R2は6〜30個の炭素原子を有し、更にR2が8〜18個の炭素原子を有する場合は、RはC1〜C5アルキルである。
【0061】
本明細書において好適なその他の構成成分としては、組成物の約0.1重量%〜約30重量%、好ましくは約0.5重量%〜約15重量%、最も好ましくは約1重量%〜約10重量%の濃度の、分散性、再付着防止性、汚れ放出性、又は発明されたその他の洗浄特性を有する有機重合体が挙げられる。本明細書において好ましい再析出防止重合体としては、Sokalan PA30、PA20、PA15、PA10、並びにSokalan CP10(BASF GmbH)、Acusol 45N、480N、460N(Rohm and Haas)、Sokalan CP5などのアクリル酸/マレイン酸共重合体、及びアクリル/メタクリル共重合体などのアクリル酸含有重合体が挙げられる。本明細書おいて好ましい汚れ放出重合体としては、アルキル並びにヒドロキシアルキルセルロース(米国特許第A−4,000,093号)、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン並びにこれらの共重合体、及びエチレングリコール、プロピレングリコール並びにこれらの混合物のテレフタレートエステルをベースとする、非イオン性並びにアニオン性共重合体が挙げられる。
【0062】
重金属イオン封鎖剤及び結晶成長阻害剤は、一般に組成物の約0.005重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.25重量%〜約7.5重量%、最も好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の濃度で本明細書で用いるのに好適であり、例えば、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、エチレンジホスホネート、ヒドロキシ−エチレン−1、1−ジホスホネート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミノテトラアセテート、エチレンジアミン−N,N’−ジスクシネートは、これらの塩及び遊離酸の形態である。
【0063】
本明細書における組成物は、例えば、組成物の約0.05重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の濃度の有機銀被覆剤(特に、Wintershall(ドイツ、ザルツベルゲン)から販売されているWinog70などのパラフィン類)、窒素含有腐食防止化合物(例えば、ベンゾトリアゾール並びにベンズイマダゾール、英国特許第A−1137741号参照)、及び組成物の約0.005重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.02重量%〜約0.4重量%の濃度のマンガン(II)化合物、特に有機配位子のマンガン(II)塩などの不織防止剤を含有することができる。
【0064】
本明細書において好適なその他の構成成分としては、着色剤、約0.01重量%〜約5%の濃度の水溶性ビスマス化合物(例えば、酢酸ビスマス並びにクエン酸ビスマス)、約0.01重量%〜約6%の濃度の酵素安定剤(例えば、カルシウムイオン、ホウ酸、プロピレングリコール並びに塩素漂白剤スカベンジャー)、石灰石鹸分散剤(国際公開第A−93/08877号参照)、石鹸泡抑制剤(国際公開第93/08876号、並びに欧州特許第A−0705324号参照)、ポリマー染料移行阻害剤、蛍光増白剤、香料、充填剤、及び粘土が挙げられる。
【0065】
液体洗剤組成物は少量のメタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノールなどの低分子量第一級又は第二級アルコールを含有することがある。本明細書において好適なその他の担体溶媒としては、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ソルビトール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【実施例】
【0066】
(実施例1)
約135,300DAの分子量と約17%のアセチル化の程度を有する、2gのキトサンChitoclear ex Primexを、攪拌ビーズを備えた250mL3つ首丸底フラスコに移した。90mLの脱イオン水を攪拌しながらフラスコに添加した。0.53gの酢酸を5gの脱イオン水に溶解して、激しく攪拌しながらその一部を反応混合物に添加した。攪拌を約15時間続けた。その後、4gのエタノールを反応物に添加して、約2時間混合物を攪拌した。
【0067】
0.35gの無水酢酸を1gのエタノールに溶解して、激しく攪拌しながら液滴添加した。1時間後、約178,000DAの分子量と48%のアセチル化の程度を有するキトサン含有溶液を得た。反応混合物の温度は、添加前と添加中、23℃であった。
【0068】
(実施例2)
実施例1に記載する、入手した溶液を、例えば0.076cm(0.03インチ)〜0.152cm(0.06インチ)の必要な厚さまでA4サイズのガラス薄板状に流し入れて、キトサン被膜を形成するために用いる。一晩室温に放置して被膜を乾燥させる。
【0069】
(実施例3)
実施例1に記載した通り入手した溶液を用いて、PVA/キトサン被膜を以下のように形成する。
1)20gのPVAを100gの脱イオン水に溶解してから100gのキトサン溶液(2%)を混合する。
2)溶液をガラス又はA4サイズのプラスチック薄板上に必要な厚さまで流し入れる。被膜は0.076cm(0.03インチ)〜0.152cm(0.06インチ)で流し入れた。
3)被膜を一晩室温で乾燥させる。
【0070】
実施例2と3に記載する、入手した被膜を用いて二重区画被膜を以下のように形成する。PVA被膜を型に入れて、一次洗浄組成物を導入し、実施例2と3に準じて得た第二被膜を配置し、二次洗浄組成物を導入し、実施例2と3に準じて得た第三被膜を配置し、熱又は溶媒密封した。
【0071】
実施例1の組成物は、小袋又は錠剤に配置することができる被覆挿入物に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)酸水溶液中でキトサンの水溶液を形成する工程と、
b)工程a)で得た溶液とアセチル化剤を、キトサン対アセチル化剤の準化学量論的な量で混合する工程と、
c)アセチル化反応の実質的な終了に充分な時間でキトサン及びアセチル化剤を反応させる工程と、
を含む、変性N−アセチル化キトサンを製造する方法。
【請求項2】
工程a)の前記溶液が、酢酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、サリチル酸、塩酸、及びこれらの混合物から選択される酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)の前記溶液中のキトサンの濃度が約0.1〜約5重量%であって、pHが約1〜5の範囲にある、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アセチル化剤が無水酢酸である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
アセチル化反応がキトサン溶液の約0.1〜10重量%の加水分解低減剤の存在下で行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記加水分解低減剤がアルコールである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記キトサンが約50,000〜約500,000Daの分子量を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程a)で添加した開始キトサンのアセチル化の程度が約0〜約30%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
変性N−アセチル化キトサンのアセチル化の程度が約40〜約80%である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
被包物質と前記被包物質に含まれる洗浄組成物を含む1回用量洗剤製品であって、前記被包物質は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法で得ることができる変性N−アセチル化キトサンを含む、1回用量洗剤製品。
【請求項11】
包装物は2つ以上の区画を備え、少なくとも1つの区画が請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法で得ることができるキトサンを含む被包物質から調製される、請求項10に記載の1回用量洗剤。
【請求項12】
前記キトサンのアセチル化の程度が約40〜約80である、請求項10又は11に記載の1回用量洗剤。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法で得ることができるキトサンの、洗剤製品中での放出制御剤としての使用。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法で得ることができる変性N−アセチル化キトサンを含む、pH誘発水溶性被膜又は高分子基材。

【公表番号】特表2011−511123(P2011−511123A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544821(P2010−544821)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【国際出願番号】PCT/IB2009/050220
【国際公開番号】WO2009/095816
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】