説明

キャップ

【課題】開栓時の内容液の飛び出しを防止することができるキャップを提供する。
【解決手段】金属製シェル2と、該金属製シェルの内側に嵌合された弾性材からなる中栓3からなり、中栓3は天面部15、インナーリング17、アウターリング16を有し、前記インナーリング17と前記アウターリング16の頂部間が天面環状部18に形成され、インナーリング17、アウターリング16及び天面環状部18でボトル口端部が当接嵌合するボトル口は二次リーク時までボトル口端部と当接はしているが、密封は破壊されヘッドスペースの内圧は二次リークまで次第に低下するが、泡の外部への飛び出しをインナーリングで阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ本体の天壁内面に弾性材料から形成された中栓を有するキャップ、特に前記キャップ本体が金属製シェルからなる金属製キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばコーヒー飲料などの容器として薄肉のボトル状金属缶が多用されてきており、そのキャップとして金属製シェルの天壁内面に中栓を有する金属製キャップが用いられている。なお、本願で「中栓」とは、別途成形されて金属製シェルの天壁内面に装着されるライナー、又は金属シェルの天壁内面で成形されたライナーを含めて意味している。一方、コーヒー飲料や果汁飲料等内容物に沈殿が生じる恐れのある内容液の場合、消費者は開栓に際して容器を振ってから開栓する傾向にあるが、炭酸飲料等泡立ち易い製品やコーヒー飲料等に巻締時の容器変形防止のため充填時に液体窒素を封入することで陽圧状態となっている製品等の容器を振ってから開栓すると、内容液(泡)が開栓初期(一次リーク発生時)に一気に外部に噴出して手や衣服を汚してしまうことがある。このような事故を防止するためのライナー付き金属製キャップとして、例えば特許文献1、2に示すような工夫をしたものが提案されている。これら提案されているものは、たとえば特許文献1では、ライナーの下面に容器端部が当接する開口端部より内方に、開口端当接部に沿って、ライナー下面に付着した液滴の外方への移動を妨げる環状の移動阻止壁部を形成している。また、特許文献2では、ライナーの環状厚肉周縁部に囲繞された中央域に半径方向及び/又は外方に向かって下方に傾斜する環状傾斜面を形成している。
【特許文献1】特開2006−206188号公報
【特許文献2】特開2006−219166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記提案されているものは、何れも容器の振動等によりライナー面に付着した液滴が開栓に際して、容器口端部とライナーとの当接位置に移動して外方に吹き出すのを阻止するものであり、ライナ−の中央面に付着した液滴が外方に移動するのを阻止するのに効果を有するものであるが、内圧が高くなっている容器を振って開栓した場合の内容液の飛び出しを確実に防止できない点で、未だ満足するものではない。また、従来の缶蓋のライナーの内面形状は、通常ボトルのボトル口端部(カール部)に適合するように最適形状及び寸法に形成されているが、同一容量のボトルであってもボトル口端部の形状や寸法がボトルメーカーによって相違しているので、最適密封性を確保するためにはその都度巻締装置を型替え等微調整をする必要があった。さらに、従来の金属製キャップは、落下によりキャップ肩部が当るとその部が変形して漏洩経路が形成され易く、落下衝撃に弱いという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明は、陽圧充填ボトルや泡立ち易い内容物充填ボトルを振って開栓しても内容液の飛び出しを確実に防止することができるキャップを提供することを第1の目的とし、且つメーカーによるボトル口の形状の違いに左右されず常に密封性を確保でき、さらに落下衝撃に対する耐性を向上させる金属製キャップを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために、種々実験した結果次のような事実が判明した。金属製キャップにおいては、キャッピング時にキャップシェルの肩部成形によって、中栓と容器口端部頂端とを圧接させてシール部を形成する構造であるため、たとえ中栓に合成樹脂キャップのようにインナーリングに相当する環状突起が垂下形成されていても、主シールはライナーと容器口端部天面(特に外方寄り天面)との当接で図られている。そのため、前記引用文献1における移動阻止壁部、特許文献2における環状リングは、容器の密封に対しては殆ど寄与していない。一方、開栓時の液滴の飛び出しは、例えばミルク入りコーヒー飲料等の場合、容器を振ることによって泡が発生し易く、密閉されたヘッドスペース内に小さい泡が多数発生する。その状態で容器を開栓するとシールブレークが起きた段階でヘッドスペースの圧力が一気に低下するため、泡が急激に膨張して液滴となって飛び出してしまうことにある。従って、泡の吹き出しを防止するには、泡が急激に膨張しないように、容器ヘッドスペースの圧力を漸次低下させながら開栓することによって泡の吹き出しを効果的に防止できることを見出し、本発明に到達したものである。
【0006】
即ち、上記課題を解決する請求項1に係る本発明のキャップは、キャップ本体と、該キャップ本体の内側に嵌合された弾性材で形成された中栓からなり、前記中栓は天面部、インナーリング、アウターリングを有し、前記インナーリングと前記アウターリングの頂部間が環状に形成された天面環状部となっており、前記インナーリング、前記アウターリング及び前記天面環状部でボトル口端部が嵌合当接するボトル口端部嵌合環状溝を形成してなることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載のキャップにおいて、前記中栓のインナーリングは、上方の肉厚の厚い大インナープラグと該大インナープラグの下方に段差部を介して肉厚の薄い小インナープラグからなることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のキャップにおいて、前記大インナープラグは天面根元から1.5mm〜2.5mm長さ、0.6mm〜1.5mm幅とし、前記小インナープラグは前記大インナープラグ下部から下方に1.5mm〜3mm長さで延びていて、幅は前記大インナープラグの1/5〜4/5であることを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れかに記載のキャップにおいて、前記キャップは、前記キャップ本体が金属製シェルで形成された金属製キャップであり、前記金属製シェルの内側に前記中栓が嵌合された状態でボトル口に、ヘッド圧による押圧、シェル肩部の絞り加工、およびネジ成形により密封装着されることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項5に係る発明は、請求項4に記載のキャップにおいて、前記アウターリングは、アウターリング本体とその下端から外方斜め上方に延びた足からなり、前記金属製キャップは、ボトルに装着された状態で、前記金属シェル肩部の絞り加工時に、前記アウターリングの前記足がアウターリング下部を軸として径方向内側へ倒れ込むことにより、該金属製キャップをボトル口に密封装着した状態で前記アウターリング本体と前記足がボトル口端部外壁と前記キャップ本体肩部内壁間に挟まった状態になっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明のキャップによれば、中栓にボトル口端部嵌合環状溝を有し、密封状態で容器口端部が中栓のインナーリング、アウターリング及び天面環状部と当接しているので、シール性が高い。そして、開栓に際してキャップを回転するにつれて、容器口端部頂面と天面環状部との間に陰圧の環状空間が形成されるため、インナーリングと容器口端部との当接面から前記陰圧の環状空間へガスが徐々に移動し、ヘッドスペース内圧は次第に低くなるが、泡は容器口端部と当接関係を保っているインナーリングによってその飛び出しを阻止されるので、ヘッドスペース内に保持される。そして、二次リークが起きるまで、その状態を保ち、二次リーク発生時までにはヘッドスペース圧は大気圧と略等圧になっているので、以後キャップを完全に開けても泡の吹き出しは起こらない。したがって、請求項1の発明によれば、開栓時の内容液の吹き出しを効果的に防止できる。
【0010】
請求項2及び3の発明によれば、上記インナーリングによる内圧制御がより効果的に行われる。特に、請求項3の発明によれば、インナーリングを肉厚の厚い大インナープラグ部と肉厚の薄い小インナープラグ部が段差を介して構成しているので、シーリング状態では、大インナープラグ部で密封性を向上させ、開口につれて小インナープラグが適正に変形してヘッドスペース部の圧力を適正にコントロールすることができ、泡の吹き出しをより効果的に防止することができる。そして、本発明は、特に請求項4に記載のように、ヘッド圧による押圧、シェル肩部の絞り加工、およびネジ成形によりボトルに密封装着される金属製キャップに適用することによって、その密封性及び落下衝撃性をより効果的に向上させることができる。
【0011】
また、請求項5に記載の金属製キャップによれば、アウターリング本体の下端に外方斜め上方に延びた足を有しているので、ボトル落下時に該足が衝撃緩衝材として機能し、落下衝撃に対する耐性を向上させることができる。また、該足が肩部絞り成形時に屈曲変形して、ボトル口端部の形状変化を吸収するので、ボトル口端部外周面の多少の寸法バラツキに対しても吸収し対応することができ、第2の目的を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るキャップの実施形態を図面を基に詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る金属製キャップ(以下、単にキャップという)1のボトル装着前の状態を表す一部破断正面図であり、図2は装着後の状態を表す一部破断正面図である。本実施形態のキャップは、キャップ本体となる金属製シェル(以下、単にシェルという。)2と、その天壁裏面に嵌合された弾性材で形成された中栓3とからなる。シェル2は、天壁4とスカート壁5とからなり、ボトル口へのシーリング前の状態では、図1に示すように、スカート壁下端部に容器の顎部を覆う環状凸部6が形成されて下方に延び、その途中にタンパーエビデントバンド7を区画形成するためのスリットとブリッジとからなる弱化線8が形成されている。また、天壁4の近傍には周方向に凹凸が交互に存在するナール10が形成され、その凹部上端縁が切断されてガス抜き穴を形成するとともに、切断端縁が半径方向内側に屈曲して、天壁裏面に装着される中栓3が落下するのを防止する係止片11として機能する。
【0013】
中栓3は、比較的軟質の適宜の合成樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン系エストラマー、及びそれらのブレンド材等で成形され、シェルの天壁内面に装着される。
中栓3は、天面部15に外周から順にアウターリング16、インナーリング17が垂下して設けられ、アウターリング16とインナーリング17の頂部間に天面が環状円弧部となっている天面環状部18を形成し、アウターリング16、天面環状部18、インナーリング17とで同図(b)に拡大して示すように、ボトル口端部(本実施形態ではカール部)31が嵌合する断面略U字状のボトル口端部嵌合環状溝19を形成している。該ボトル口端部嵌合環状溝19は、後述するように開栓時の液吹き出し防止機能と密封機能を果たすために、インナーリング17がボトル口端部内周面33に当接し、且つアウターリング16がボトル口端部外周面32に当接する関係を保つように形成されていることが重要である。
【0014】
アウターリング16は、図示のようにアウターリング本体部20の下端から外方斜め上方に延びた足21を有して断面略V字状に形成され、足21が後述するボトル口へのキャップ装着に際してシェル2の肩部12を絞り成形加工する時に、アウターリング本体部20下部を軸として径方向内側に倒れこむことができるように形成されている。足部先端は、図示のように、シェル2の係止片11の上方に位置して、キャップを開栓する際に、中栓3が係止片11と係合することによって、金属製シェル2(キャップ本体)と共にボトル口端部から外れることが可能となる。
このように、アウターリング16を略V字状に形成することによって、アウターリングを単に樹脂の塊状に肉厚に形成する場合と比べて、シェル肩部の絞り成形が容易となり、ボトル口端部外周面との密着性が向上して、密封性を高めると共に、後述するように落下時に衝撃を吸収し、密封が破壊されるのを防止する機能が向上する。
【0015】
一方、インナーリング17は、特に、同図(b)に拡大して示すように、上方の肉厚の厚い大インナープラグ25と該大インナープラグの下方に段差部28を介して大インナープラグより肉厚の薄い小インナープラグ26とで構成され、大インナープラグ25は天面根元から1.5mm〜2.5mm長さ、0.6mm〜1.5mm肉厚とし、小インナープラグ26は大インナープラグ25下部から下方に1.5mm〜3mm長さで延びていて、肉厚は前記大インナープラグの1/5〜4/5に形成してある。また、インナーリングの下方を内側に屈曲して屈曲部27を形成している。インナーリングをこのように形成することによって、キャップをボトルに嵌合時に下方の屈曲部27の内周面がボトル口のガイドの役割を果たし、且つ小インナープラグ26が肉薄で容易に変形するので、キャップの装着が容易であり、且つ最後に厚肉の大インナープラグ25がボトル口上端内周面に強固に接触するので、長期間にわたってもへたることなく、高度の密封性を維持することができる。また、インナーリングを上記のように形成することによって、アウターリングの機能と相まって後述する開栓時の液吹き出し防止に重要な機能を果たす。
【0016】
そのため、前記大インナープラグ25の長さは、開栓に際して後述する図4に示すようにブリッジブレイクまではボトル口端部内周面33に接触し、内圧に抗してボトル口端部内周面33との間に密着し、且つブリッジブレイク後は小インナープラグ26がボトル口端部内周面33と接触して内圧が徐々に抜けるようにするために、上記範囲の長さ及び厚みを有していることが望ましい。同様に、小インナープラグ26は、ブリッジブレイク後、一次リークを経て二次リークまで、ボトル口端部内周面33と接触してボトルヘッドスペースの内圧を徐々に減少させる内圧制御機能を効果的に果たすのに、上記範囲の長さ及び厚さを有することが望ましい。
【0017】
次に以上のように形成されたキャップ1をボトル口に密封装着する工程を図3に基づいて説明する。
図3(a)は、キャップ1をボトル30に被せ、その天面を押圧することによって、ボトル開口部のカール部31が、中栓3のボトル口端部嵌合環状溝19に嵌合した状態である。該状態では図1(b)に拡大して示すように、ボトル口端部嵌合環状溝19の内周面がカール部外周面の断面半分以上に亘って当接した状態となっている。この状態で、ショルダー成形型35が下降して、シェルの肩部を押圧して絞り成形する。ショルダー成形型35は、従来と同様に、シェル2の肩部に環状段差面を形成するショルダー成形型面36を有し、ショルダー成形型35が下降することによって、成形型面36の内周角部が同図(b)〜(c)に示すように、中栓3の略V字状になっているアウターリング16のアウターリング本体部20と足部21とのV状空間22の上方でシェルを押圧する。その結果、成形型面36の下降によりシェル2の肩部12がV状空間22方向に変形するにつれて、アウターリング本体部20と足部21にそれらを半径方向内側に倒す斜めの分力が作用し、同図(c)に示すように、アウターリング本体部20の内側側面がボトル口端部外周面32に圧接して密封すると共に、足21も内向きに変位して、アウターリング本体部20の外周面と当接し、その状態をシェル肩部の絞り成形により維持する。次いで、同図(d)に示すようにショルダ−成形型35の中央部に位置する押圧板37が下降し、シェルの天壁4を押圧することによって、シェルの天壁4と中栓の天面部15が密接する。
【0018】
このように、キャップ1をボトル口に密封装着した状態で、従来と同様な方法により、ボトル口部とシェルのスカート壁外周面間に一体にネジ成形することによって、図2に示すようなボトル口にキャップが螺合密封したキャップ付き密封ボトル34が得られる。
【0019】
次に、上記実施形態に係るキャップ付き密封ボトル34の開栓時の内容液(泡)吹き出し阻止効果について、図4を基に説明する。
図4は開栓時のキャップを開栓方向に回転させた時の開栓角度毎の状態を示し、(a)は0゜つまり密封状態、(b)は開栓角度100゜の状態、この角度でブリッジの破断が起こる。(c)は開栓角度180゜で一次リークが起こっている状態になっている。(d)は開栓角度230゜で、この状態では2次リークが起こっている状態を示している。
【0020】
今、例えばコーヒー飲料等を充填したボトルに液体窒素を封入して陽圧化した泡の発生し易いボトルを開栓前に振ると、図4(a)に模式的に示すようにヘッドスペース40内に多数の小さな泡41が発生する。この状態から開栓すると従来のキャップの場合は、一次リークが発生すると同時にヘッドスペースの内圧の急速な低下により泡が急激に成長してナール部10に形成されたガス抜き穴から内容液が吹き出す現象が生じるが、本実施形態ではそれを防ぐことができる。その原因は次のような点にあるものと考えられる。
(a)の状態、つまり未開栓状態では、ボトルのカール部31の断面略全周がボトル口端部嵌合溝19の内周部と接触して密封状態になっているが、基本的なシールはアウターリング本体部20とボトル口端部外周面32との圧接によって図っている。この状態からキャップを開栓方向に回転させることよって、ネジのリード角に沿ってキャップが上昇し、カール部31の頂面とボトル口端部嵌合溝の天面環状溝との間に空間42ができ、その空間は次第に大きくなることによって空間内が負圧になる。そのため、ヘッドスペースの陽圧によって、弱当接状態にある比較的変形し易いインナーリングとボトル口端部内周面33との密封が破壊されて、ヘッドスペース40と空間42とがガス導通状態となり、インナーリング17でのシール性は殆どなくなり、シールはアウターリング16によって維持される。この状態は、一次リークが発生するまで維持される。略100゜まで回転すると、弱化線8のブリッジの破断が起こるが、その時点ではまだ、密封は破壊されていない。
【0021】
そして、ブリッジブレイクからさらにキャップを回転させて略180゜を超えるとアウターリング16とボトル口端部外周面32との間の接触が緩み一次リークが起こる。一次リークが起こるとヘッドスペースの内圧が低下し泡が成長するが、この状態ではボトル口端部とインナーリングとは接触状態を保っているので、泡は同図(c)に示すように、インナーリング17に阻止されて、ヘッドスペース内に保持され、外部に噴出することがない。そして、ヘッドスペースの内圧は、二次リークまでに徐々に低下する。アウターリングとカール部外周面と接触部から洩れたガスは、キャップの頂部近傍に形成されたガス抜き穴から外部に放出される。キャップが略230゜まで達すると、アウターリング16とカール部外周面との接触が離れ、この時点でヘッドスペースのシールは解除されるが、容器内圧はその時点では大気圧と同等にまで低下しているので、それ以降キャップを回して開けても泡が外部に吹き出すことがなく、安全に開栓することができる。
なお、以上のブリッジブレイク角度、一次リーク角度、二次リーク角度は、必ずしも一様でなく、金属シェル及び中栓の材質や肉厚、及び内圧等によって左右されるので、それらの条件に合わせて前記インナーリングの大インナープラグ及び小インナープラグの寸法を設計すればよい。
【0022】
以上のように、本発明の蓋によれば、炭酸飲料等内圧の高い内容液や陽圧充填ボトル等泡の発生しやすい内容品であっても、開栓時に泡や液の吹き出しを防止でき、開栓時に衣服や手を汚してしまうという事態を解消することができる。
【0023】
また、本実施形態の蓋は、アウターリングの本体の下端に外方斜め上方に延びた足を有しているので、図2示すボトル34が倒立斜め状態で落下して絞り成形された肩部12が衝撃を受けると、V字状になっているアウターリングの足部21が変位して衝撃を吸収する。したがって、足部21が衝撃緩衝材として機能し、落下衝撃に対する耐性を向上させることができる。また、該足が肩部絞り成形時に屈曲変形するので、ボトルカール部31の外周面32の多少の寸法バラツキに対しても吸収し、対応することができる。
したがって、アウターリングの上記形状は、開栓時の液飛び出しの防止を目的としたインナーリングとアウターリングの組み合わせに関わらず、インナーリングを有しない従来の金属キャップのライナーにおけるアウターリング形状としても有効に採用できる。
【0024】
また、本実施形態では、インナーリングを肉厚の厚い大インナープラグ部と肉厚の薄い小インナープラグで構成しているので、シーリング状態では、大インナープラグ部で密封性を向上させ、開口につれて小インナープラグが適正に変形してヘッドスペース部の圧力を適正にコントロールすることができ、泡の吹き出しをより効果的に防止することができ、さらに、インナーリング下方の傾斜部が、該金属キャップをボトルに嵌合する時にボトル口端部のガイドとして機能し、確実に金属キャップをボトル口に装着できるという効果を奏する。このようなインナーリングの形状は、金属製キャップに限らずインナーリングを有する合成樹脂製キャップのインナーリング形状として有効に採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のキャップは、特に内圧発生内容品や泡立ち易い内容品を充填したボトルのキャップとして特に有用であるが、キャップは金属製キャップに限らず、合成樹脂製キャップにも適用でき、またボトルも金属製ボトルに限らず、ガラスボトルにも適用可能である。さらに、内容品は上記内容品に限らず、その他の内容品充填ボトルにも有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の金属製キャップの実施形態を示し、(a)はボトルに装着前の状態の一部破断正面図、(b)はボトルに装着したネジ成形前の状態での要部拡大断面図である。
【図2】図1に示す金属製キャップをボトルに密封装着した状態の一部破断正面図である。
【図3】図1に示す実施形態に係る金属製キャップをボトルに装着する工程を示す要部断面図である。
【図4】図1に示す実施形態に係る金属製キャップで密封したボトルの開栓時における泡の吹き出し防止効果を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 金属製キャップ 2 金属製シェル
3 中栓 4 天壁
5 スカート壁 6 環状凸部
7 タンパーエビデントバンド 8 弱化線
12 肩部 15 天面部
16 アウターリング 17 インナーリング
18 天面環状部 19 ボトル口端部嵌合環状溝
20 アウターリング本体部 21 足
22 空間 25 大インナープラグ
26 小インナープラグ 27 屈曲部
28 段差部 30 ボトル
31 カール部 32 ボトル口端部外周面
33 ボトル口端部内周面 34 キャップ付き密封ボトル
35 ショルダー成形型 36 成形型面
37 押圧板 40 ヘッドスペース
41 泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ本体と、該キャップ本体の内側に嵌合された弾性材で形成された中栓からなり、前記中栓は天面部、インナーリング、アウターリングを有し、前記インナーリングと前記アウターリングの頂部間が環状に形成された天面環状部となっており、前記インナーリング、前記アウターリング及び前記天面環状部でボトル口端部が嵌合当接するボトル口端部嵌合環状溝を形成してなることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記中栓のインナーリングは、上方の肉厚の厚い大インナープラグと該大インナープラグの下方に段差部を介して肉厚の薄い小インナープラグからなることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記大インナープラグは天面根元から1.5mm〜2.5mm長さ、0.6mm〜1.5mm幅とし、前記小インナープラグは前記大インナープラグ下部から下方に1.5mm〜3mm長さで延びていて、幅は前記大インナープラグの1/5〜4/5であることを特徴とする請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記キャップは、前記キャップ本体が金属製シェルで形成された金属製キャップであり、前記金属製シェルの内側に前記中栓が嵌合された状態でボトル口に、ヘッド圧による押圧、シェル肩部の絞り加工、およびネジ成形により密封装着されることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載のキャップ。
【請求項5】
前記アウターリングは、アウターリング本体とその下端から外方斜め上方に延びた足からなり、前記金属製キャップは、ボトルに装着された状態で、前記金属シェル肩部の絞り加工時に、前記アウターリングの前記足がアウターリング下部を軸として径方向内側へ倒れ込むことにより、該金属製キャップをボトル口に密封装着した状態で前記アウターリング本体と前記足がボトル口端部外壁と前記キャップ本体肩部内壁間に挟まった状態になっていることを特徴とする請求項4に記載のキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−184208(P2008−184208A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21221(P2007−21221)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【Fターム(参考)】