説明

キャップ

【課題】低温になって硬化した場合、或いは比較的硬い合成樹脂によって形成された場合でも、中栓の注出口の開口にあたって、切断溝が容易に切断でき、除去部を抜栓することができるキャップを提供する。
【解決手段】容器本体Aの口筒部1に被嵌される中栓Bと外キャップDとからなるキャップであって、中栓は、注出口を開口する切断溝12を刻設した除去部11に、支柱13を介してプルリング14を立設した底壁6を具備した内周壁5を備え、支柱は下部断面外周が円形に形成されており、除去部は注出口部と支柱連設部とからなり、支柱連設部が、支柱下面外縁を囲んで形成された頭部と、頭部より細巾であって注出口部に連設される接続部とから構成され、切断溝が支柱下面外縁に近接して刻設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ、とくにプルリングを引き上げて切断溝を切断して除去部を抜栓し、注出口を開口するようにしたキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
食用液などを収納する容器本体の口筒部に、注出筒を設けた中栓と蓋体とからなるキャップを被嵌し、中栓の注出口の開口にあたって、支柱を介して除去部に連設したプルリングを引張り上げ、切断溝を切断して除去部を抜栓し、注出口を形成するようにした容器は従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−104417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の容器の構成では、使用場所が寒冷地であったり、使用直前まで低温保存していたりすると、キャップが低温により硬化するので、切断溝の切断に強い力が必要となり、簡単に切断できないという問題があった。
さらに、除去部の抜栓方向が、プルリングを支柱がキャップ中心側へ倒れる方向に引張る場合には、簡単に切断できるが、他の方向に引張ったときには、切断溝を容易に切断できないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決することを課題とし、中栓が、低温になって硬化した場合、或いは比較的硬い合成樹脂によって形成された場合でも、中栓の注出口の開口にあたって、切断溝が容易に切断でき、除去部を抜栓することができるキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、キャップとして、容器本体の口筒部に被嵌される中栓と、外キャップとからなるキャップであって、中栓は、注出口を開口する切断溝を刻設した除去部に、支柱を介してプルリングを立設した底壁を具備した内周壁を備え、前記支柱は、下部断面外周が円形に形成されており、除去部は、注出口部と支柱連設部とからなり、支柱連設部が、支柱下面外縁を囲んで形成された頭部と、該頭部より細巾であって注出口部に連設される接続部とから構成され、切断溝が支柱下面外縁に近接して刻設されていることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、注出口を開口する切断溝を刻設した除去部に支柱を介してプルリングを立設した底壁を具備した内周壁を備えた中栓において、支柱の下部断面が円形で形成され、円形の支柱に近接し、支柱下面外縁に沿って切断溝を刻設して、円形に形成された支柱連設部を具えていることにより、除去部の抜栓時に、プルリングの引張り力を、円形支柱連設部の周りの切断溝部に集中させることができ、引張り初期時に、切断溝を簡単に切断することができ、中栓が低温になり硬化している場合でも、除去部を取除き抜栓することが容易にできるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明のキャップの実施形態について、図面を参照して説明する。
図1において、Aは容器本体、Bは容器本体Aの口筒部に装着される中栓、Cは中栓Bの内周壁上部に脱着可能に装着される内キャップ、Dは容器内を密封する外キャップである。
容器本体Aは、口筒部1と肩部2とを具えており、口筒部1には、上部外周に、係合突条3が設けられ、その下方にネックリング4が設けられている。
【0008】
図1、2に示すように、中栓Bは、内周壁5と、内周壁5の下端内周に連設される底壁6と、内周壁5の中間部外周に連設される上壁7と、上壁7の外縁下面に垂設される外筒8とを具えている。
内周壁5の外周上部には、内キャップCと係合する係止部9が設けられ、外筒8の内周下部には、容器本体Aの口筒部1の係合突条3と係合する係合部10が設けられている。
【0009】
底壁6には、注出口を形成する除去部11を切断する切断溝12が刻設されている。
除去部11は、注出口部11aと、上面に円形の支柱13を連設した支柱連設部11bとから形成され、支柱連設部11bの上面には、下方部の断面形状が内方に肉抜き凹部13aを凹設し、円形に形成された支柱13が立設され、支柱13の先端にはプルリング14が連設されている。
【0010】
支柱連設部11bは、円形の支柱13に沿って形成された円形の頭部11b1と、該頭部11b1より細巾で注出口部11aに連設される接続部11b2とからなり、円形の支柱13に、近接して切断溝部12aが支柱連設部11bの外縁に刻設され、注出口部11aの外縁には、切断溝部12bが刻設されている。
【0011】
内キャップCは、注出筒15と、注出筒15下端外周に連設された上壁16と、上壁16下面に垂設され、外周が中栓Bの内周壁5内周に係合する内筒17と、上壁16外縁に垂設され、内周が中栓Bの内周壁5に装着される係合筒18とを具えている。
係合筒18には、内周に中栓Bの内周壁5外周の係止部9と係合する係止突部19が設けられ、外周につまみ部20が設けられている。
【0012】
外キャップDは、頂壁25と、頂壁25の中央下面に垂設され、外周が内キャップCの注出筒15内周に係合する係合筒26と、頂壁25下面の所定の位置に垂設され、内周が容器本体Aの口筒部1のネックリング4に係合し、外キャップDを容器本体Aに装着する内筒27と、頂壁25外縁に垂設された外筒28とを具えている。
【0013】
次に、本実形態のキャップの作用効果について説明する。
キャップの使用にあたって、容器本体Aから外キャップDを外し、開蓋した後、中栓Bの上部から内キャップCを外す。
次に、中栓Bのプルリング14に手指などを掛けて上方に引張り、除去部11を切断溝12を介して底壁6から抜栓し、注出口を形成させる。
【0014】
中栓Bの抜栓の際には、除去部11の円形の支柱連設部11bが、支柱13下面に近接して、外縁を囲むように切断溝部12aが刻設されているため、図3に示すように、プルリング14を注出口部11a側上方に引上げた時に、支柱13に対する力Fが支柱連設部11bに伝わり、切断溝部12aに直接作用させ、切断溝12の薄肉部を簡単に切断することができる。
さらに、支柱連設部11bが円形に形成され、切断溝部12aが支柱13に近接して設けられているので、周長が短くなり、単位長さ当たりにかかる力を大きくすることができる。
【0015】
また、支柱13とともに、支柱連設部11bが円形に形成されているため、抜栓の際に、プルリング14を横斜め方向に引張ったとしても、支柱13に対する横斜め方向の力が支柱連設部11bに伝わり、切断溝部12aの対応する部分に直接作用させることができる。
【0016】
本発明の中栓Bは、除去部11の抜栓時に、プルリング14を引張ることで、支柱13および支柱連設部11bの形状により、引張り力を支柱連設部11bの周りの切断溝部12aに集中させることができ、従来のものに比べ、簡単に切断溝12を切断することができ、除去部11を取り除き抜栓することができる。
抜栓後には、中栓Bに内キャップCを被嵌し、その上から、外キャップDを被嵌しておく。
【0017】
内容液の注出にあたっては、外キャップDを取外して容器を傾け、内キャップCの注出筒15より注出する。
その際、内容液を、内周壁5と内キャップCの内筒17内周と上壁16下面の内方に溜めることができるので、内キャップCの注出筒15から一定量の内容液を注ぐことができる。
また、容器本体Aが押圧可能なものである場合には、容器本体Aの胴部を押圧して、注出筒15から勢いよく注出することもできる。
【0018】
また、内キャップCを取外し、中栓Bの内周壁5内周を通じて注出することもできるが、その際には、容器の傾きを手加減により調節し、所望する注出量を得ることができる。
【0019】
前記実施形態では、中栓Bと内キャップCとを別体で形成したが、中栓Bの上部にヒンジを介して内キャップCを連設して一体成形するようにしてもよい。
内キャップCを中栓Bから外した際に、ヒンジで連設されているため、内キャップのみが紛失してしまうことを防止することができる。
【0020】
本発明は、中栓Bの底壁6に関する発明であり、前記実施形態では、中栓Bの上部に内キャップCを装着しているが、必要でなければ内キャップを設けなくてもよい。
また、外キャップDの容器への装着方法も、例えば、中栓Bの外周にねじを設け、外キャップDの内周と螺合させたり、中栓と外キャップとをヒンジを介して連設し、装着されるようにしてもよい。
中栓の底壁に関する構成以外は、前記実施形態に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、プルリングの支柱を一定の径を有する円形とし、プルリングを垂直に引張ることで、底壁から注出口の除去部を、切断溝を介して簡単に切断して取り除くことができる。
また、プルリングを引張り除去部を抜栓する容器であれば、内容液の如何にかかわらず、どのような容器にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の容器の縦断正面図である。
【図2】中栓の説明図で、(a)は上面図、(b)は縦断正面図、(c)は下面図である。
【図3】中栓の抜栓時の説明図である。
【符号の説明】
【0023】
A 容器本体
B 中栓
C 内キャップ
D 外キャップ
1 口筒部
2 肩部
3 係合突条
4 ネックリング
5 内周壁
6 底壁
7、16 上壁
8、28 外筒
9 係止部
10 係合部
11 除去部
11a 注出口部
11b 支柱連設部
11b1 頭部
11b2 接続部
12 切断溝
12a、12b 切断溝部
13 支柱
13a 凹部
14 プルリング
15 注出筒
17、27 内筒
18、26 係合筒
19 係止突部
20 つまみ部
25 頂壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口筒部に被嵌される中栓と、外キャップとからなるキャップであって、
中栓は、注出口を開口する切断溝を刻設した除去部に、支柱を介してプルリングを立設した底壁を具備した内周壁を備え、
前記支柱は、下部断面外周が円形に形成されており、
除去部は、注出口部と支柱連設部とからなり、
支柱連設部が、支柱下面外縁を囲んで形成された頭部と、該頭部より細巾であって注出口部に連設される接続部とから構成され、切断溝が支柱下面外縁に近接して刻設されていることを特徴とする中栓を具えたキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−207854(P2008−207854A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48110(P2007−48110)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】