説明

キャップ

【課題】容器を振った後、蓋体に設けた円環状壁部で囲まれた内側への内容液の付着を抑制するキャップを提供する。
【解決手段】本キャップ1aでは、蓋体3に設けた円環状壁部31で囲まれた内側に球状凹部32aを設けているので、キャップ本体2に蓋体3を螺合装着して容器4を振った後蓋体3をキャップ本体2から取り外した際、蓋体3に設けた円環状壁部31で囲まれた内側へのドレッシング等の内容液の付着量を極力低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレッシングやソースなど粘性のある内容液が充填される容器の口部に被冠されるキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に内容液がドレッシング等である場合には、使用する直前にキャップを容器の口部に被冠した状態で容器をよく振って内容液を攪拌した後、キャップを取り外して内容液を使用することが多い。その際、従来のキャップにおいては、容器を振った後キャップを取り外すと、キャップの天面部に円環状壁部が突設されているため、その天面部の裏面と円環状壁部とで囲まれるエリア、特に、両者の境目付近に内容液が付着していた。この状態で、該キャップを開いて内容液を使用しようとすると、キャップの裏面に付着した内容液がぼた落ちしたり、手に付着したりする虞があった。また、内容液が付着したキャップを再び容器の口部に被冠すると、キャップに付着した内容液が容器の口部に付着して液だれすることがあった。
【0003】
上述した問題を解決すべく提案された特許文献1には、容器本体の口部に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体に螺合装着される上蓋とを備えるキャップであって、キャップ本体は、上面に突設された注出筒を有し、上蓋は、その天面内側に、上蓋をキャップ本体に装着した状態で注出筒の上端部内壁に圧接される環状筒と、環状筒に囲まれた領域に半球状又は錐形状の突出部と、環状筒と突出部との間で環状筒の基部と突出部の基部とを繋ぐ放射状リブとを有するキャップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−145353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係るキャップは、内容液がキャップの外壁や容器本体の外壁に液だれすることを防止するために提案されたものであるが、突出部を上蓋天面の内側(裏面)に形成することにより、容器を振ったときに付着する内容液を速やかに中心に寄せて振り落として使用するもので、また、開蓋においては、突出部上に残留した内容液は外周方向に流れ、最終的には突出部周辺に配置した複数の放射状リブに至り、このリブよって内容液を保持して開蓋したときの液だれを防止しようとするものであるが、上蓋側への内容液の付着を抑制しようとするものではない。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、容器を振った後、蓋体に設けた円環状壁部で囲まれた内側への内容液の付着を抑制するキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、容器の口部に取り付けられるキャップ本体と、該キャップ本体に装着される蓋体とを備えるキャップであって、前記キャップ本体は、注出口周辺から上方に突設される円筒状注出部を備え、前記蓋体は、前記円筒状注出部の内周面に外周面が当接して該円筒状注出部を閉塞する円環状壁部を備え、該円環状壁部で囲まれた内側に、該円環状壁部の周縁から蓋体の中心に向かう湾曲状または錐状の面を有する凹部を備えてなることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、例えば、容器内の内容液がドレッシング等の場合、使用直前に容器を振って使用するが、キャップ本体に蓋体を装着して容器を振った際、容器の口部に嵌合されたキャップ本体の注出口から飛び散った内容液は、蓋体の円環状壁部に囲まれた内側に設けた凹部の、円環状壁部の周縁から蓋体の中心に向かう湾曲状または錐状の面に沿い、更にキャップ本体の円筒状注出部の内壁面に沿って速やかに容器内に流れ落ちるので、容器を振った後蓋体をキャップ本体から取り外した際、蓋体の円環状壁部で囲まれた内側へのドレッシング等の内容液の付着量または残存量を極力低減することができる。
【0008】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記凹部は球状凹部であることを特徴とするものである。
請求項2の発明では、蓋体の円環状壁部で囲まれた内側への内容液の付着量をさらに低減することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のキャップによれば、キャップ本体に蓋体を装着して容器を振った後、蓋体をキャップ本体から取り外した際、蓋体の円環状壁部で囲まれた内側へのドレッシング等の内容液の付着が極力抑えられるので、蓋体を開いて内容液を使用しようとする際、内容液がぼた落ちしたり、手に付着したりすることを防止することができる。また、蓋体を再度キャップ本体に装着した際、蓋体に付着した内容液がキャップ本体に付着するなどの不都合が発生することもない。
しかも、本キャップでは、蓋体の円環状壁部で囲まれた内側に、該円環状壁部の周縁から蓋体の中心に向かう湾曲状または錐状の面を有する凹部、好ましくは球状凹部を形成しているだけであるので、形状が簡素化され製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係るキャップが容器の口部に装着された状態を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係るキャップの構成である蓋体の断面図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施形態に係るキャップの蓋体の要部を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第3の実施形態に係るキャップの蓋体の要部を示す図である。
【図5】図5は、蓋体がヒンジ部を介してキャップ本体に連結されたキャップの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を図1〜図5に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1の実施形態に係るキャップ1aは、図1に示すように、合成樹脂製からなり、容器4の口部5に取り付けられるキャップ本体2と、該キャップ本体2に螺合装着される蓋体3とから構成される。
【0012】
本キャップ1が取り付けられる容器4内には、比較的粘性が高いドレッシング等の内容液が充填される。容器4の口部5には、断面台形状の係合部6が外方に突設されている。
【0013】
キャップ本体2は、図1に示すように、略円筒状を呈し、その下部に容器4の口部5に装着するための環状嵌合部10と、その上部に設けた内容液を注ぎ出すための円筒状注出部19とを備えている。以下に、これを詳細に述べる。
キャップ本体2には、円筒状下側壁部9の外側に取り巻く環状の肩部7が突設され、該肩部7の外周端から円筒状の胴部8が垂設される。胴部8と円筒状下側壁部9との間に環状嵌合部10が設けられる。円筒状下側壁部9は胴部8より若干短く形成される。胴部8の下部内周面には内方に突設される係合突部11が形成される。一方、円筒状下側壁部9の外周面にも外方に突設する係合突部12が形成される。胴部8と円筒状下側壁部9との間には肩部7から同心状に垂設される円筒状係合部13が設けられる。円筒状係合部13は胴部8や円筒状下側壁部9より大幅に短く形成される。
【0014】
また、キャップ本体2には、円筒状下側壁部9から連続してその上方に位置する円筒状上側壁部15が形成される。円筒状上側壁部15の外周面に、蓋体3の円筒状壁部27の内周面に設けたねじ部30に螺合するねじ部18が形成される。円筒状上側壁部15の内側には円筒状注出部19が同心状に配置される。該円筒状注出部19の上下方向略中間位置の外周面に円筒状上側壁部15の上端が一体的に接続される。円筒状注出部19の下端開口は内容物の注出口20であり、円筒状注出部19の下端内周面には、該注出口20を塞ぐ栓21が周方向に延びる弱化部22により接続される。なお、円筒状注出部19は注出口20から注出された内容液を注出方向に案内するものである。また、栓21には弱化部22を切断して注出口20を開放するためのリング状の把持部23が一体的に形成される。栓21は若干下方凸となるように湾曲している。これは、リング状の把持部23に使用者が指を入れた際、その指が栓21の上面に干渉しないようにするためである。
【0015】
蓋体3には、図1及び図2に示すように、円板状の天頂部25の外周端から垂設される円筒状の胴部26が設けられる。胴部26は、天頂部25から胴部26の全高に対して略2/3の高さまでは次第に拡径するように湾曲し、それから下方は略直線状に垂設される。胴部26の内側には天頂部25から同心状に垂設される円筒状壁部27が設けられる。円筒状壁部27の高さは、胴部26の高さの略1/3程度に設定される。円筒状壁部27の内周面にはキャップ本体2の円筒状上側壁部15の外周面に設けたねじ部18と螺合するねじ部30が形成される。また、円筒状壁部27の内側には、天頂部25から同心状に垂設される円環状壁部31が設けられる。キャップ本体2に蓋体3が螺合装着されると、蓋体3の円環状壁部31の外周面がキャップ本体2の円筒状注出部19の上部内周面に当接して該円筒状注出部19を閉塞するようになる。また、円環状壁部31で囲まれた内側には下方を向いた球状凹部32aが円環状壁部31と一体に形成される。
【0016】
そして、キャップ本体2を容器4の口部5に打設する際には、図1に示すように、キャップ本体2の胴部8と円筒状下側壁部9との間の環状嵌合部10内に容器4の口部5を嵌合する。この結果、キャップ本体2の胴部8に設けた係合突部11と、口部5に設けた係合突部6とが係合すると共にキャップ本体2の円筒状下側壁部9に設けた係合突部12が口部5を外方に押圧し、さらには、口部5の係合突部6の先端がキャップ本体2の円筒状下側壁部9と円筒状係合部13との間に嵌合して、キャップ本体2が容器4の口部5に強固に取り付けられる。
【0017】
その後、蓋体3の円筒状壁部27の内周面に設けたねじ部30と、キャップ本体2の円筒状上側壁部15の外周面に設けたねじ部18とを螺合することによってキャップ本体2に蓋体3を螺合装着する。その結果、蓋体3の円環状壁部31の外周面がキャップ本体2の円筒状注出部19の上部内周面に当接されて、蓋体3の円環状壁部31によりキャップ本体2の円筒状注出部19が閉塞され、また、キャップ本体2の注出口20が開放された後は、蓋体3の円環状壁部31で囲まれた内側に設けた球状凹部32aとキャップ本体2の注出口20とが対向するようになる。
【0018】
なお、容器4内の内容液を最初に使用する際には、蓋体3をキャップ本体2から取り外し、リング状の把持部23を上方に引き上げることで、栓21と円筒状注出部19の下端内周面との間の弱化部22を切断して注出口20を開放してから容器4内の内容液を使用する。
【0019】
その後容器4内の内容液を使用する際には、内容液が、例えばドレッシングである場合、キャップ本体2に蓋体3を螺合装着した状態で容器4をよく振って容器4内の内容液を攪拌して使用するようになる。この時、容器4を振ることにより容器4内の内容液がキャップ本体2の注出口20を経由して蓋体3の円環状壁部31で囲まれた内側に設けた球状凹部32aに飛散して付着するが、内容液は球状凹部32aの内面に留まることなく直接、または球面に沿って放射状に流れ球状凹部32の最外周縁部からキャップ本体2の円筒状注出部19の内壁面に至り容器4内に速やかに流れ落ちる。その結果、容器4を振った後キャップ本体2から蓋体3を取り外しても、蓋体3の円環状壁部31で囲まれた内側(球状凹部32aの表面)への内容液の付着量または残存量が極力少なくなる。
なお、本実施の形態では、粘性の低い内容液は勿論のこと、ドレッシング等の比較的粘性の高い内容液において上述の作用効果を奏することができるものである。
【0020】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係るキャップ1aでは、蓋体3の円環状壁部31で囲まれた内側に球状凹部32aを設け、円環状壁部31の最外周縁部が円筒状注出部19の内壁面に当接しているので、内容液の流下を促進することになり、キャップ本体2に蓋体3を螺合装着して容器4を振った後蓋体3をキャップ本体2から取り外した際、蓋体3の円環状壁部31で囲まれた内側へのドレッシング等の内容液の付着量または残存量を極力低減することができる。
これにより、蓋体3を開いて内容液を使用しようとする際、内容液がぼた落ちしたり、手に付着したりすることを防止することができる。また、蓋体3を再度キャップ本体2に装着した際、蓋体3に付着した内容液がキャップ本体2に付着して液ダレするなどの不都合が発生することはない。
【0021】
次に、本発明の第2の実施形態に係るキャップ1bを図3に基づいて説明する。
該第2の実施形態に係るキャップ1bを説明する際には、第1の実施形態に係るキャップ1aとの相違点だけを説明する。
該第2の実施形態に係るキャップ1bでは、蓋体3に設けた円環状壁部31で囲まれた内側に、該円環状壁部31の周縁から蓋体3の中心に向かう湾曲状の面を有する凹部32bを形成している。本実施形態では、蓋体3の天頂部25の下面で、該天頂部25の略中心を中心とする直径D1で設定される円形状の範囲に平坦面35が形成される。該平坦面35の直径D1は、円環状壁部31で囲まれる天頂部25の円形状範囲の直径D2の1/3程度に設定される。また、凹部32bの内周面が湾曲状に延びる範囲における径方向長さL((D2−D1)/2)は、円環状壁部31の高さHよりも大きく設定される。
【0022】
次に、本発明の第3の実施形態に係るキャップ1cを図4に基づいて説明する。
該第3の実施形態に係るキャップ1cを説明する際には、第1の実施形態に係るキャップ1aとの相違点だけを説明する。
該第3の実施形態に係るキャップ1cでは、蓋体3に設けた円環状壁部31で囲まれた内側に、該円環状壁部31の周縁から蓋体3の中心に向かう錐状の面を有する凹部32c、すなわち、截頭円錐状の凹部32cを形成している。本実施形態では、蓋体3の天頂部25の下面で、天頂部25の略中心を中心とする直径D3で設定される円形状の範囲に平坦面35が形成される。
なお、平坦面35を設けず蓋体3の円環状壁部31で囲まれた内側に、円錐状の凹部32cを設けてもよい。
【0023】
そして、本発明の第2及び第3の実施形態に係るキャップ1b、1cにおいても、第1の実施形態に係るキャップ1aと同様の作用効果を奏することができる。
【0024】
なお、本発明の第1〜第3の実施形態に係るキャップ1a〜1cは、容器4の口部5に取り付けられるキャップ本体2と、該キャップ本体2に螺合装着される蓋体3とから構成されるが、図5に示すように、キャップ本体2と、該キャップ本体2にヒンジ部37を介して連結した蓋体3とから構成してもよい。
【符号の説明】
【0025】
1a〜1c キャップ,2 キャップ本体,3 蓋体,4 容器,5 口部,19 円筒状注出部,20 注出口,31 円環状壁部,32a 球状凹部,32b、32c 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に取り付けられるキャップ本体と、該キャップ本体に装着される蓋体とを備えるキャップであって、
前記キャップ本体は、注出口周辺から上方に突設される円筒状注出部を備え、
前記蓋体は、前記円筒状注出部の内周面に外周面が当接して該円筒状注出部を閉塞する円環状壁部を備え、該円環状壁部で囲まれた内側に、該円環状壁部の周縁から蓋体の中心に向かう湾曲状または錐状の面を有する凹部を備えてなることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記凹部は球状凹部であることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−91845(P2012−91845A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242112(P2010−242112)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000220206)東京ライト工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】