説明

キャップ

【課題】容器本体の口部に装着される本体キャップと、それに被さり螺合する外側キャップとを組み合わせたキャップにおいて、外側キャップが本体キャップに対して傾いたまま螺合されることを防止する。
【解決手段】液体を収容する容器本体2の口部に装着されるキャップ1が、本体キャップ20と外側キャップ10を備える。本体キャップ20が、容器本体2の口部に挿入される筒状部21と、該筒状部21の内側に形成された注出口22を有し、外側キャップ10が、前記注出口22を覆う有底筒状部11と、該有底筒状部11の外側で本体キャップ20の外周面と螺合する外側筒状部12を有する。外側キャップ10と本体キャップ20が螺合した状態で、外側キャップ10の有底筒状部11と対向する位置の本体キャップ20の筒状部内周面21aに好ましくは6個以上の凸状ガイド26が周方向に分散して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容する容器本体の口部に装着されるキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤、液体柔軟剤、液体漂白剤等の液体を収容した容器本体のキャップとして、容器本体の口部に装着される本体キャップと、それに被さる外側キャップとを組み合わせたものであって、本体キャップが、容器本体内の液体を少量ずつ注出し易いようにスパウト形の注出口を有し、外側キャップが液体の計量カップの機能を有するものが知られている。
【0003】
ここで、本体キャップは、容器本体の口部に挿入される筒状部を有し、筒状部の内側に注出口を有している。外側キャップは、計量カップとして使用される有底筒状部と、その外側で本体キャップの外周面と螺合する外側筒状部を有している。
【0004】
また、外側キャップで所定量の液体を計り取り、その液体を注出した後、外側キャップを本体キャップに被せたときに、外側キャップに付着していた液体が速やかに本体キャップ内に流れ落ち、容器本体内に戻るように、外側キャップを本体キャップに被せた状態での外側キャップの有底筒状部と、本体キャップの筒状部内周面とのクリアランスが大きくとられている。さらに、液体の粘度と表面張力が高く、液体が流れ落ち難い場合でも、外側キャップに付着した液体が容器本体側へ流れ落ち易いように、互いに対向する外側キャップの筒状部と本体キャップの筒状部とのいずれかに縦リブを形成し、縦リブに沿って液体を流下させることが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許38110571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図7(a)に示すように、上述した従来のキャップ1Xでは、外側キャップ10を本体キャップ20に螺合させようとするとき、外側キャップ10の有底筒状部11と、その外側に位置する本体キャップ20の筒状部内周面21aとのクリアランスが大きいため、外側キャップ10の有底筒状部11が本体キャップ20の筒状部21に挿入されたときに、外側キャップ10の中心軸L1が本体キャップ20の中心軸L2に対して傾いている場合がある。そして、この傾き角θが数度以上で図7(b)に示すように、傾いたままの外側キャップ10と本体キャップ20とが正規の状態でない位置で螺合し、液シールが不完全になるという問題があった。
【0007】
これに対し、本発明は、外側キャップを本体キャップに螺合させる際の外側キャップの筒状部と本体キャップの筒状部とのクリアランスが大きくても、外側キャップが本体キャップに対して傾いたまま螺合されることのないキャップの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、容器本体の口部に装着される本体キャップの筒状部と、本体キャップに螺合する外側キャップの有底筒状部とのクリアランスが大きくても、外側キャップの筒状部が本体キャップの筒状部に対して傾いて挿入されたときには、その傾きを矯正するガイドを本体キャップに設けることにより、外側キャップが傾いたまま本体キャップと螺合することを防止できることを見出した。
【0009】
即ち、本発明は、液体を収容する容器本体の口部に装着されるキャップであって、本体キャップと外側キャップを備え、
本体キャップが、容器本体の口部に挿入される筒状部と、該筒状部の内側に形成された注出口を有し、
外側キャップが、前記注出口を覆う有底筒状部と、該有底筒状部の外側で本体キャップの外周面と螺合する外側筒状部を有し、
外側キャップと本体キャップが螺合した状態で外側キャップの有底筒状部と対向する位置の本体キャップの筒状部内周面に凸状ガイドが周方向に複数設けられ、かつ、該筒状部内周面を、該筒状部の周方向の長さが4等分される4つの領域に分割した場合に、各領域に凸状ガイドが存在するキャップを提供する。
【0010】
また、本発明は、頂部に口部を有する容器本体の該口部に、上述のキャップが装着されたキャップ付き容器を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のキャップによれば、容器本体の口部に装着される本体キャップと、本体キャップに被さり螺合する外側キャップを備えたキャップにおいて、外側キャップを本体キャップに螺合させるにあたり、外側キャップが本体キャップに対して傾いていると、凸状ガイドがその傾きを矯正するので、外側キャップを本体キャップに対して傾くことなく、正しく螺合させることができる。したがって、外側キャップと本体キャップが螺合している状態で、液シールが不完全になることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例のキャップの断面図である。
【図2A】図2Aは、実施例のキャップの本体キャップの上面図である。
【図2B】図2Bは、実施例のキャップの本体キャップの断面図である。
【図3】図3は、実施例のキャップの作用を示す断面図である。
【図4】図4は、異なる実施例の本体キャップの断面図である。
【図5】図5は、異なる実施例の本体キャップの断面図である。
【図6】図6は、異なる実施例の本体キャップの断面図である。
【図7】図7は、従来のキャップの問題点を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0014】
図1は、本発明の一実施例のキャップ1であって、外側キャップ10が本体キャップ20に螺合している状態の断面図である。
【0015】
このキャップ1は、液体洗剤、液体柔軟剤、液体漂白剤等の液体を収容する容器本体の口部に装着されるもので、本体キャップ20と外側キャップ10を備えている。
【0016】
図2Aの上面図と図2Bの断面図に示すように、本体キャップ20は、容器本体2の口部に挿入される筒状部21と、筒状部21の内側に形成された嘴形の注出口(スパウトともいう)22を有する。筒状部21の上部周壁23の外周面にはネジが形成されており、ここで外側キャップ10と螺合する。また、上部周壁23の下端部からは、筒状部21と二重筒構造となるように外側筒状部24が延設されている。この外側筒状部24と筒状部21との間に、容器本体2の口部を形成する口部壁3が嵌め込まれ、口部壁3の上部内側と筒状部21の外周面との接触部が、液シールを担う液シール部25となっている。
【0017】
また、外側キャップ10は、本体キャップ20に螺合した状態で注出口22を覆う有底筒状部11を有する。この有底筒状部11は、計量カップとして使用される。有底筒状部11の外側には、本体キャップ20の筒状部21の上部周壁23と螺合する外側筒状部12が設けられている。ここで、外側筒状部12は、有底筒状部11の外周面から延設されたフランジ13の端部に起立している。
【0018】
この実施例のキャップ1において、外側キャップ10と本体キャップ20を螺合させた状態で、外側キャップ10の有底筒状部11と本体キャップ10の筒状部21とのクリアランスpは一般的な0.6〜1.5mmであり、このようなクリアランスpが設けられていても、実施例のキャップ1によれば、後述するように外側キャップ10を本体キャップ20に対して傾くことなく、正しく螺合させることができる。
【0019】
一方、この実施例のキャップ1には、図2A、図2Bに示すように、本体キャップ20の筒状部内周面21aに、凸状ガイド26として、畝形の凸状部が軸方向に延びた縦リブ26aが複数個、周方向に分散して設けられている。この周方向の分散状態としては、図2Aに示すように、筒状部内周面21aを、その周方向の長さが4等分される4つの領域、A2、A3、A4に分割した場合、より具体的には、例えば筒状部21の軸(即ち、本体キャップ20の中心軸L2)を通る互いに垂直な平面P1、P2で筒状部内周面21aを4つの領域A1、A2、A3、A4に分割した場合、いずれの領域にも縦リブ26aが存在している。この場合、隣り合う領域に跨って縦リブ26aが存在してもよく、本発明においては、そのような縦リブ26aも含めて、4つの領域A1、A2、A3、A4のいずれにも縦リブ26aが存在する。
【0020】
なお、筒状部内周面21aが図2Aの二点鎖線で分割される場合のように、4つの領域A1、A2、A3、A4が周方向にずれていても、4つの各領域には、縦リブ26aが存在する。これにより、本体キャップ20に外側キャップ10を任意の方向から被せた場合でも、外側キャップの傾きを矯正することができる。
【0021】
複数の縦リブ26aの分散状態としては、好ましくは、筒状部内周面21aの周方向に等間隔に設ける。
【0022】
筒状部内周面21aにおける縦リブ26aの個数は、6個以上が好ましく、より好ましくは8〜12個である。これにより、本体キャップ20に対する外側キャップ10の傾きの矯正を、より確実に行うことができる。
【0023】
筒状部内周面21aにおける縦リブ26aの形成位置は、外側キャップ10と本体キャップ20とが螺合した状態で、外側キャップ10の有底筒状部11と対向する位置であり、好ましくは、容器本体2と本体キャップ20との液シール部25よりも筒状部21の基部側(容器本体側)である。このように、縦リブ26aを、液シール部25よりも容器本体側に形成することにより、液シール部25での樹脂厚が増加することによる成型時のひけを防止し、液シール部25で漏れが生じることを防止できる。
【0024】
また、縦リブ26aの厚さtは、クリアランスpに対して、0.05〜0.5mm小さく設定することが好ましい。縦リブの形状は、外側キャップ10の有底筒状部の先端部が、凸状ガイド26上をスムーズに移動していくように、上端部を滑らかにすることが好ましい。
【0025】
このキャップ1は、容器本体2から所定量の液体を注出させる場合に、次のように使用される。まず、本体キャップ20と外側キャップ10との螺合を外し、外側キャップ10の有底筒状部11に注出口22から液体を注出し、有底筒状部11で所定量の液体を計り取り、液体を使用する。次に、外側キャップ10を本体キャップ20に再度螺合させるときには、外側キャップ10の有底筒状部11と本体キャップ20の筒状部21とにクリアランスpがあるために、図3に示すように、外側キャップ10の有底筒状部11を本体キャップ20の筒状部21内に挿入し始めた最初の段階で有底筒状部11の先端が本体キャップ20の筒状部内周面21aの縦リブ26aに当たる。このとき、外側キャップ10の中心軸L1が、本体キャップ20の中心軸L2に対し、傾き角θが2〜6°程度で傾く場合があるが、外側キャップ10が傾いていても、筒状部内周面21aに形成されている縦リブ6個のうち半数の3個と、有底筒状部11の先端が当接する。したがって、さらに外側キャップ10の挿入を深めていくと、縦リブ26aによって外側キャップ10の傾きが矯正されていき、外側キャップ10を本体キャップ20に螺合させるときにはほぼθ=0°となり、正しく螺合させることができる。よって、螺合させた後に、液シール部25がシール不良になることが防止される。
【0026】
本発明のキャップは、種々の態様をとることができる。例えば、凸状ガイド26としては、図4に示すように、三角板状のリブ26bを設けてもよく、図5に示すように、四角板状のリブ26cを設けてもよい。さらに、凸状ガイドはアンダーカットとなっていてもよく、図6に示すように、周方向に延びた複数段の畝形のリブ26dを設けてもよい。これらの凸状ガイドの中でも傾きの矯正効果の点から図5の形状が好ましい。
【0027】
一方、本発明のキャップ付き容器は、上述した本発明のキャップが容器本体2の口部に装着されているものである。ここで、容器本体は合成樹脂製とすることができる。また、容器本体2に、キャップ1の本体キャップ20を装着させる態様としては、図1に示したように、嵌め込みによってもよく、螺合によってもよい。
【符号の説明】
【0028】
1、1X キャップ
2 容器本体
3 口部壁
10 外側キャップ
11 有底筒状部
12 外側筒状部
13 フランジ
20 本体キャップ
21 筒状部
21a 筒状部内周面
22 注出口
23 筒状部の上部周壁
24 外側筒状部
25 液シール部
26 凸状ガイド
26a 縦リブ
26b 三角形凸状のリブ
26c 四角形凸状のリブ
26d 複数段の畝形のリブ
A1、A2、A3、A4 四つの領域
L1 外側キャップの中心軸
L2 本体キャップの中心軸
θ 本体キャップに対する外側キャップの傾き
p クリアランス
P1、P2 平面
t 縦リブの厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器本体の口部に装着されるキャップであって、本体キャップと外側キャップを備え、
本体キャップが、容器本体の口部に挿入される筒状部と、該筒状部の内側に形成された注出口を有し、
外側キャップが、前記注出口を覆う有底筒状部と、該有底筒状部の外側で本体キャップの外周面と螺合する外側筒状部を有し、
外側キャップと本体キャップが螺合した状態で外側キャップの有底筒状部と対向する位置の本体キャップの筒状部内周面に凸状ガイドが周方向に複数設けられ、かつ、該筒状部内周面を、該筒状部の周方向の長さが4等分される4つの領域に分割した場合に、各領域に凸状ガイドが存在するキャップ。
【請求項2】
凸状ガイドが、本体キャップの筒状部内周面の周方向に6個以上設けられている請求項1記載のキャップ。
【請求項3】
凸状ガイドが、四角板状のリブである請求項1又は2記載のキャップ。
【請求項4】
容器本体の口部を形成する口部壁の内側上端部と、容器本体の口部に装着された本体キャップの筒状部との接触部が液シール部をなし、本体キャップ筒状部の液シール部形成部位よりも筒状壁の基部側に凸状ガイドが設けられている請求項1〜3のいずれかに記載のキャップ。
【請求項5】
頂部に口部を有する容器本体の該口部に、請求項1〜4のいずれかに記載のキャップが装着されたキャップ付き容器。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−18512(P2013−18512A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152181(P2011−152181)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】