説明

キャビティを備えたロータを有する蒸気タービン

【課題】内部通路を用いた蒸気タービンロータの循環及び冷却を提供すること。
【解決手段】ロータ(102)の少なくとも一部に沿って蒸気(107)を内部に提供する蒸気タービン(100、200)及びロータ(102)が開示される。ロータ(102)は、境界部(165)と、ロータ(102)内に形成された蒸気通路システム(300)とを含み、該通路システム(300)が、ロータの外側表面の第1の領域(131)から蒸気(170)を受け取るよう構成された、境界部(165)への第1の入口流路(114)と、ロータの第2の領域(182)に蒸気(170)を通過させるよう構成された、境界部(165)からの第1の出口流路(108)と、ロータの外側表面の第3の領域(184)から蒸気(170)を受け取るよう構成された、境界部(165)への第2の入口流路(115)と、ロータの第4の領域(186)に蒸気(170)を通過させるよう構成された、境界部(165)からの第2の出口流路(109)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に、蒸気タービン及びロータに関し、より具体的には、内部通路を用いた蒸気タービンロータの循環及び冷却に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許第7267525号明細書
【発明の概要】
【0003】
ロータの少なくとも一部に沿って蒸気を内部に提供する蒸気タービン及びロータが開示される。
【0004】
ロータは、境界部と、ロータ内に形成された蒸気通路システムとを含み、該通路システムが、ロータの外側表面の第1の領域から蒸気を受け取るよう構成された、境界部への第1の入口流路と、ロータの第2の領域に蒸気を通過させるよう構成された、境界部からの第1の出口流路と、ロータの外側表面の第3の領域から蒸気を受け取るよう構成された、境界部への第2の入口流路と、ロータの第4の領域に蒸気を通過させるよう構成された、境界部からの第2の出口流路とを含む。
【0005】
本発明の第1の態様はロータを有する蒸気タービンを提供し、該蒸気はロータの少なくとも一部に沿って内部に広がり、ロータは、第1の流路及び別個の第2の流路を備えた第1の軸方向端面を有する第1のロータセクションと、第1の流路及び別個の第2の流路を備えた第2の軸方向端面を有する第2のロータセクションとを含み、第2のロータセクションが、第1のロータセクションに軸方向に隣接して配置されて且つ円周方向に回転され、その結果、第2の軸方向端面が第1の軸方向端面に面するようになり、2つのロータセクションの第1の流路の各々が、連続した通路を形成するよう整列し、2つのロータセクションの第2の流路の各々が、連続した通路を形成するよう整列するようになり、ロータが更に、ロータの外側表面の第1の領域から蒸気を受け取るよう構成された、境界部への第1の入口流路と、ロータの第2の領域に蒸気を通過させるよう構成された、境界部からの第1の出口流路と、ロータの外側表面の第3の領域から蒸気を受け取るよう構成された、境界部への第2の入口流路と、ロータの第4の領域に蒸気を通過させるよう構成された、境界部からの第2の出口流路とを含む。
【0006】
本発明の第2の態様は、その少なくとも一部に沿って蒸気が内部に広がるロータを提供し、該ロータは、第1の流路及び別個の第2の流路を備えた第1の軸方向端面を有する第1のロータセクションと、第1の流路及び別個の第2の流路を備えた第2の軸方向端面を有する第2のロータセクションとを備え、第2のロータセクションが、第1のロータセクションに軸方向に隣接して配置されて且つ円周方向に回転され、その結果、第2の軸方向端面が第1の軸方向端面に面するようになり、2つのロータセクションの第1の流路の各々が、連続した通路を形成するよう整列し、2つのロータセクションの第2の流路の各々が、連続した通路を形成するよう整列するようになり、ロータが更に、ロータの外側表面の第1の領域から蒸気を受け取るよう構成された、境界部への第1の入口流路と、ロータの第2の領域に蒸気を通過させるよう構成された、境界部からの第1の出口流路と、ロータの外側表面の第3の領域から蒸気を受け取るよう構成された、境界部への第2の入口流路と、ロータの第4の領域に蒸気を通過させるよう構成された、境界部からの第2の出口流路とを含む。
【0007】
本発明のこれら及び他の特徴は、本発明の種々の態様を表した添付図面を参照しながら本発明の種々の態様に関する以下の詳細な説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は1つの蒸気タービンセクション内の通路に蒸気の循環を含む、蒸気タービンの長手方向断面図(図4の線B−Bに沿った断面)。
【図2】図2は2つの蒸気タービンセクションのロータ間の通路における蒸気の移動を示す隣接ロータの長手方向断面図。
【図3】図3は図1の線A−Aに沿った、2つのロータセクションの境界部の断面図。 図4は図1の線A−Aに沿った、2つのロータセクションの境界部の断面図。
【図4】図5はロータ端部が互いに同一平面に整列できるように通路を分離するのにシールが使用された、2つのロータセクション間の境界部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の図面は縮尺通りではない点に留意されたい。当該図面は、本発明の典型的な態様のみを描くことを意図しており、従って、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。図面において、同じ参照符号は各図面間で同じ要素を示す。
【0010】
蒸気タービンの作動温度は、タービン性能に大きな影響を及ぼすが、タービンを構成するのに使用される材料の能力によって制限される。蒸気タービンの効果的な冷却は、ロータ材料の熱容量を改善してより高い蒸気温度を許容し、蒸気タービン及び/又は蒸気プラントのより優れた効率を達成することができる。タービン効率に大きな影響を及ぼす別の要因は、タービン及びロータ端部付近のエンドパッキン漏出である。シール前後の圧力降下を調節することにより、限定的な圧力性能を有するより緊密なシールを用いることができる。
【0011】
以下で検討するように、本発明の1つの実施形態は、エンドパッキン領域内の異なるシールゾーンを蒸気タービンの主流路内の異なる段に接続するものである。タービン段が明確に定義された圧力を有するので、これらの接続を通じて、エンドパッキン領域は、明確に定義された圧力降下を伴うゾーンに分割される。更に、代替の実施形態において、各ゾーン内の圧力差がブラシシールの圧力性能よりも小さい場合、ブラシシールを用いて蒸気漏出(すなわちエネルギー損失)を低減し、タービン効率を改善することができる。圧力荷重が段圧力により調節されると、エンドパッキン領域の全圧力降下が複数のブラシシールの圧力限度を超えても、ブラシシールが過荷重になることはない。別の利点は、ロータ通路を流れる蒸気が、同時にロータの高温領域を冷却することである。
【0012】
蒸気タービンのエンドパッキン領域を異なる圧力ゾーンに分割し、各圧力ゾーン内を一定の圧力荷重に維持することは有利である。本明細書で記載される1つの実施形態は、ブラシシールを用いて、エンドパッキン領域を異なるゾーンに分割するものである。ブラシシールは、極めて有効なシールデバイスであるが、圧力降下容量が限定されている。しかしながら、大きな圧力降下に耐えるよう複数のブラシシールが直列に配列されている場合には、蒸気の圧縮性質によりブラシシール間の不均一な荷重をもたらすことになる。その結果、一連の最後のシールが過荷重になり、損傷を受ける可能性がある。従って、最後から2番目のシールが過荷重になる可能性があり、これもまた損傷を受ける場合がある。順次的に1つずつ、ブラシシールの全てが損傷を受ける可能性がある。その結果、タービンは、漏出の増大に起因した効率低下を生じることになる。シールパッキンリングにわたる調節された一定の蒸気圧力降下は、ブラシシールの使用を最大限にし、非線形圧力分布による過荷重が回避される。このようなゾーンシール手法は、蒸気タービンの性能を向上させ、メンテナンス及び他の補修の必要性及び頻度を低減する。更に、これは、蒸気タービンのロータを冷却できる有利な状況を提供できる。ロータを冷却する能力によって、蒸気タービンは、(クリープ機構によるなど)構成部品の作動寿命を短縮することなく高温で作動できるようになる。高温での蒸気タービンの作動は、効率を向上させることができる。
【0013】
図1を参照すると、蒸気タービン100は、ロータ102内の2つのロータセクションの境界部で2以上の通路を有することができる。境界部における各ロータセクションの構成は、ロータ102に組み込むことができ、或いは、蒸気タービン100の組み立て後に形成することができる。蒸気タービン100は、第1の流路112及び別個の第2の流路113を備えた第1の軸方向端面152を有する第1のロータセクション150と、第1の流路112及び別個の第2の流路113を備えた第2の軸方向端面160を有する第2のロータセクション158とを含み、第2のロータセクション158が、第1のロータセクション150に軸方向に隣接して配置されて円周方向に回転されて、第2の軸方向端面160が第1の軸方向端面152に面するようになり、2つのロータセクション150/158の第1の流路112の各々が、連続した通路129/136を形成するよう整列し、2つのロータセクション150/158の第2の流路113の各々が、連続した通路127/137を形成するよう整列するようになる。
【0014】
蒸気タービン100はまた、ロータ102内に形成された通路システム300(図3)を含むことができ、該通路システム300は、ロータの外側表面の第1の領域131から蒸気を受け取るよう構成された、境界部265(図1)までの第1の入口流路114と、ロータの第2の領域182に蒸気を送るよう構成された、境界部165からの第1の出口流路108と、ロータの外側表面の第3の領域184から蒸気を受け取るよう構成された、第2の境界部167までの第2の入口流路115と、ロータの第4の領域186に蒸気を送るよう構成された、第2の境界部167からの第2の出口流路109とを含む。1つの実施例において、第1の出口流路108及び第2の入口流路115は、どのようなブレード110も存在しないロータ102の領域にある。
【0015】
第1の軸方向端面152と第2の軸方向端面160との結合は、溶接及び/又は機械的結合によるものとすることができる。加えて、第1の流路112及び第2の流路113は区切ることができる。例示的な実施例として、第1の流路112及び第2の流路113の少なくとも1つは、第1の流路112及び第2の流路113をより小さな通路に区切るために半径方向に延びる壁121(図3)又は機械的シール122(図5)を含むことができる。これらの通路は、複数の目的で使用することができる。以下でより詳細に説明するように、通路を用いて、高圧(「HP」)タービン100のある領域(例えば、150、158)からHPタービンの別の領域に、又は中圧(「IP」)タービン200(図2)もしくは低圧(LP)タービンに蒸気を移送することができる。1つの実施例において、蒸気がロータ102全体を移動して、エンドパッキン領域182の圧力を調節し、漏出分をタービン流路に送り返して追加のロータトルク及び出力を発生するリークオフラインとして機能させることができる。加えて、蒸気の移動を利用して、入口マニホルド105付近の高温領域全体に低温の蒸気を通すことによってロータ102を冷却することができる。更に、蒸気は、高価な外部配管を排除するため、ある蒸気タービン100から第2の蒸気タービンロータ202(図2)に移動させることができる。また、蒸気タービン100のロータ102内には2以上の通路129/136があってもよく、各通路は異なる圧力を有することができる。更に、通路129/136並びに第1の流路112及び第2の流路113は、ケーブル又はワイヤを移送するのに用いることができる。ケーブル又はワイヤは、蒸気タービン100又は200の作動、監視、及び/又は制御に用いることができる。蒸気を移送するのに用いられる通路は、ケーブル又はワイヤを移送するのに用いてもよい。
【0016】
蒸気タービン100のある領域(例えば、150、158)から別の領域への移動の1つの例証として、異なる圧力を有する蒸気タービン100の領域が存在することができる。1つの実施例において、第1のロータセクション150及び第2のロータセクション158は、蒸気タービン100の同じ圧力セクションにあってもよい。代替の実施形態において、第1のロータセクション150及び第2のロータセクション158は、「HP」及び「IP」など蒸気タービンシステムの異なる圧力セクション間に延びることができる。別の実施形態では、第1の流路112、第1の入口流路114、及び第1の出口流路108は、第1の圧力状態にあり、第2の流路113、第2の入口流路115、及び第2の出口流路109の各々は、第1の圧力とは異なる第2の圧力状態にある。
【0017】
例証として、より前方の段の圧力は、より後方の段の圧力よりも高い(例えば、図1の右から左まで)。蒸気がより前方の段を通って膨張すると、蒸気温度は、入口マニホルド730での入口温度よりも有意に低くなる。段スペース131の圧力は、後段186の圧力よりも高いので、段スペース131の蒸気は、入口流路114に入り、通路136/129を通って中圧領域182に向かって流れると共に、高温の入口領域104の傍を通過するときにロータ102を冷却する。次に、蒸気は、シールパック141を通過し、第2の入口流路115を介して再度第1のロータセクション150に流入する。次いで、蒸気は通路127/137を介して第2のロータセクション158に環流すると共に、高温の入口領域104の傍を通過するときにロータ102を再び冷却する。このような二重冷却ルートは、冷却流を最大限に活用する。更に、シール141の下流側に位置付けられた第2のシール142及び第3のシール143が存在する場合もある。シール142を通って漏出する可能性があるあらゆる蒸気は、蒸気タービン100のシェル間ギャップ領域132を通って戻すことができる。シール143から生じる可能性のある更なる漏出は。図2の通路137を通って低圧タービン200に移送することができる。例えば、図2の通路136/129内の冷却蒸気は、蒸気タービン200内のロータセクション境界部118の端部に向かって流れ、次いで、複数のルートに分割されて入口104付近の高温域を冷却する。タービン100からタービン200への蒸気の移動は、エンドパッキンからの蒸気漏出分の利用を改善することができ、これにより蒸気タービンの性能及び効率を改善し、ロータ102/101全体にわたって低温で作動できるようにすることにより蒸気タービン及び構成部品寿命を延ばすことができる。更に、これにより高価な外部配管が排除され、タービン100周囲のプラントで必要とされるスペースが低減されることになる。
【0018】
本発明の実施形態による蒸気タービン100は、中心回転軸103の周りを回転することができるように公知の方法で軸方向端部101及び190に装着されるロータ102を含むことができる。加えて、ロータ102は、ハウジング106内に密閉され、公知の方法でロータ102に接続されるブレード110を含む。入口マニホルド105の開口104は、蒸気がハウジング106に流入し、ブレード110の移動を引き起こすことを可能にする。すなわち、蒸気が入口マニホルド105に流入すると、ハウジング106内に移動し、次いでブレード110を通過する。蒸気がブレード110を越えて移動すると、この蒸気により、ブレード110がロータ102を回転させるようになる。第1の入口流路114は、ロータ102内に位置付けられ、既に冷却された蒸気を通路136に流入させ、エンドパッキン領域182に流すことを可能にする。第1の入口流路114は、シール及び冷却の目的で圧力及び温度に応じて、ロータ102内のあらゆる場所に位置付けることができる。第1の入口流路114は通路136に接続される。
【0019】
蒸気170が通路136内にあると、第1の出口流路108を通じてロータ102の別の部分又は別のタービンセクション200(図2)の第2のロータに移動することができる。別の実施形態では、蒸気170を移送する代替の方法がある。すなわち、蒸気は、第1の流路112から、第2の入口流路115及び通路127を介してシール141を通すことにより第2の流路113に戻すことができる。蒸気は、第2の入口流路113から下流側段に連続して流れ、低圧位置以外のハウジング106内のあらゆる場所に接続できる第2の出口流路109を通って流出する。本明細書で検討するように、蒸気170は、第2のロータセクション158から第1のロータセクション150に移動して、開口104付近のハウジング106の高温セクションを冷却し、次いで、第1のロータセクション150から戻って、蒸気タービン100内の第2のロータセクション158に流れることができる。蒸気の移動を完了するために、通路129/136は、第1の入口流路114を通じて段スペース131に接続され、第1の出口流路108を通じてエンドパッキン区域182に接続される。通路127/137は、第2の出口流路109を通じて段スペース186に接続され、第2の入口流路115を通じてエンドパッキン区域184に接続される。第1の入口流路114は、蒸気170を通路136から通路システム300(図3)内に移動させることを可能にする。通路300は、通路300は、第1の流路112又は第2の流路113、或いは2つよりも多い流路を含むことができる。蒸気170が通路システム300内にあると、第1の出口流路108及び第2の出口流路109を通ってハウジング106内に戻る。加えて、蒸気170は、蒸気タービン100から蒸気タービン200(図2)に移動することができる。蒸気の移動を完了するために、通路136及び137は、ロータ102全体にわたって存在し、境界部116(図2において機械的に結合された境界部として示された別の通路システム)に合流する。蒸気は、境界部116からロータ202に流入し、通路129内の冷却流として、又は通路127を介した蒸気シール供給源として機能する。図2の左側はまた、タービン100のエンドパッキン区域における代替の実施形態を示しており、ここで内部通路は、漏出分をタービン流路に戻すリークオフラインとして用いられる。
【0020】
図1の1つの実施例において、第1の入口流路114は、ハウジング106内の高圧領域126に開放し、出口流路108は、中圧領域1238又は低圧(すなわち排気)領域130に開放する。図2に示す代替の実施形態では、第1の入口流路114は、ロータ102の領域内にあって、あらゆるロータエンドパッキン漏出を収集することができる。上記で検討したように、1以上の通路(例えば、図4における第1の流路112、第2の流路113、第3の流路123、及び第4の流路124)が存在してもよく、各流路は、異なる長さ、直径、及び蒸気圧力を有することができる。本明細書で記載されるように、蒸気の移動は、複数の目的のために用いることができる。例えば、上述のように、蒸気は、ロータ102を通って移動し、該ロータを更に冷却することができる。一般に、第1の流路112、第1の入口流路114、及び第1の出口流路108は、第1の圧力を有することができ、第2の流路113、第2の入口流路115、及び第2の出口流路109の各々は、第1の圧力とは異なる第2の圧力を有することができる。蒸気の移動を完了するために、第1の流路112の圧力は、第2の流路113の圧力よりも高くすることができる。但し、温度はその反対になる。すなわち、第2の流路113の戻り温度は、第1の流路112の温度よりも高くすることができる。この理由は、入口領域104を冷却している間に加熱されることにより、戻り蒸気がより高いエンタルピー(すなわち、より高い温度)を有することが原因となって引き起こされる可能性がある。
【0021】
蒸気はまた、ピーク時及びオフピーク時間帯に種々の出力需要要件に適合するよう、2つの蒸気タービンセクション間を移動することができる。例えば、高圧セクション(例えば、エンドパッキン領域184)からの蒸気抽出及び低圧タービンセクション200への放出は、エネルギーコストを最小限にするために蒸気タービン100にて行うことができる。従来では、蒸気抽出及び最流入は、高価でスペースを要する外部配管によって行われる。本明細書で記載されるように、内部通路及び接続を利用すると、利用する全体蒸気が少なく且つ少ない運用トータルコストで達成することができる。
【0022】
代替の実施形態では、蒸気の移動はまた、蒸気タービン100及び/又はロータ102を冷却するのに用いることができる。蒸気は膨張して冷却するので、蒸気タービン100及びロータ102の種々の部品を冷却するのに用いることができる。蒸気は、第1の流路112及び第2の流路113を介して、冷却蒸気が位置する場所から、冷却を必要とする場所まで移動させることができる。付加的な実施形態では、シール141は、シールを開閉して流れ抵抗が変わるようにする機構125を含むことができる。例証として、機構125を用いて、第1の流路112及び第2の流路113に流入する蒸気の量を調節することができる。更に、機構125は、あらゆる数の要因に基づいて蒸気量を調節することができる。例えば、機構125は、該機構125が開いて、追加の冷却流が高温領域を通過できるようにすることにより、蒸気タービン100内の種々の区域の温度に基づいて蒸気を調節することができる。或いは、機構125は、シールを開放し、比較的低温の区域を加熱/予熱して、構成部品の寿命に悪影響を及ぼすことなく低温又は高温の蒸気タービンのより高速な始動を可能にすることができる。1つよりも多くの通路が利用可能である場合、どのキャビティ蒸気170が流入するか(複数の通路に同時に流入することも含めて)を選択する際に複数の機構125を利用することができる。
【0023】
第1の流路112は、溶接されたロータ境界部152/160(図1)もしくは結合されたロータ境界部116(図2)によってロータ102内に形成することができる。加えて、第1の流路112は、半径方向壁120により区切る、又は閉鎖することができる。更に、機械的シール122は、第1の流路112(図5)を閉鎖又は区切ることができる。
【0024】
図2は、蒸気タービン100と、ロータ102から第2のロータ202への蒸気170の移動を示している。図1と同様に、ロータ102及び202は、入口マニホルド105を含み、該マニホルドは、シェル106とロータ表面107との間のスペースに蒸気170が流入できるようにする開口104を有する。蒸気170は、ブレード列131間のスペースから、第1の流路112に接続された第1の入口流路114に流入することができる。蒸気170は、第1の流路112から、ロータ102(図1)内の別の場所又は第2のロータ202に移動することができ、ここで蒸気170は、第1の出口流路108及びブレード列131間のスペースに流入する。全体を通じて説明したように、第1の流路112を通る蒸気170の移動は、2以上のロータへの蒸気の移動にも適用することができる点は予期される。加えて、蒸気170は、1以上の蒸気タービン100(図示せず)に由来することができる。
【0025】
図3は、内側アイランド304と外側直径縁部306を備えた半径方向隔壁121により形成された壁302で密閉される第1の流路112及び第2の流路113を含む、通路システム300の1つの実施形態を示す。各第1の流路112及び第2の流路113内では、通路129/136は様々な場所に位置付けられ、異なる直径を有することができる。加えて、図4は、ロータ端面152/160上に8つの通路を含む通路システム300の1つの実施形態を示す。通路129/136の各々を通過する流路が存在する。
【0026】
図5は、2つのロータ102(図1)を共に溶接することができる追加の実施形態を示している。2つのロータ102が共に溶接される場合、シールリング122の1つ又は2つのセットは、一方の端面上に置かれ、他方の端面には何も特徴部が無い状態に維持することができる。これによりロータ端部を互いに同一平面に整列させることが可能になる。溶接の実施形態では、シールリング122の2つのセットの1つは、通路間の漏出又は境界部の漏出を引き起こすことなくロータ12から取り外すことができる。
【0027】
蒸気タービンに加えて、本発明は、ロータを含むあらゆる機械に適用することができる。蒸気タービン以外の機械のロータが利用される場合、本明細書で記載される開示事項の全ての態様は、機械を作動させるのに使用される燃料に適用される。本発明は、蒸気タービン、並びにロータを含むあらゆる機械に等しく適用することを意図している。上述のように、本発明の態様は、蒸気タービン及びロータの動作、性能及び効率の改善を提供する。
【0028】
本発明の種々の態様の上記の説明は、例証及び説明の目的で提示されている。これは、網羅的なものではなく、又は本発明を開示された厳密な形態に限定するものではなく、明らかに多くの修正形態及び変形形態が実施可能である。当業者には理解することができるこのような修正形態及び変形形態は、添付の請求項によって定義される本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
100,200 蒸気タービン
101,190 軸方向端部
102 ロータ
103 中央回転軸線
104 入口領域
105 入口マニホルド
106 ハウジング
108 第1の出口流路
109 第2の出口流路
110 ブレード
112 第1の流路
113 第2の流路
114 第1の入口流路
115 第2の入口流路
116 ロータ境界部
118 ロータセクション境界部
120 半径方向壁
121 半径方向に延びる壁,半径方向隔壁
122 機械的シール,シールリング
123 第3の流路
124 第4の入口流路
125 機構
126 高圧セクション
127,129,136,137 通路
128 中圧領域
131 ロータの外側表面,段スペース,ブレード列
132 シェル間ギャップ領域
141 シール
142 第2のシール
150 第1のロータセクション
152 第1の軸方向端面
158 第2のロータセクション
160 第2の軸方向端面
165 境界部
167 第2の境界部
170 蒸気
182 ロータの第2の領域,エンドパッキン領域,中圧領域
184 ロータの外側表面の第3の領域
186 ロータの第4の領域
300 通路システム
302 壁
304 内側アイランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービン(100、200)であって、
第1の流路(108)及び別個の第2の流路(109)を備えた第1の軸方向端面(152)を有する第1のロータセクション(150)と、第1の流路(112)及び別個の第2の流路(113)を備えた第2の軸方向端面(160)を有する第2のロータセクション(158)とを含むロータ(102)を備え、
第2のロータセクション(158)が、第1のロータセクション(150)に軸方向に隣接して配置されて且つ円周方向に回転され、その結果、第2の軸方向端面(160)が第1の軸方向端面(152)に面するようになり、前記2つのロータセクションの第1の流路(112)の各々が、連続した通路(127、129、136、137)を形成するよう整列し、前記2つのロータセクションの第2の流路(109)の各々が、連続した通路(127、129、136、137)を形成するよう整列するようになり、
前記蒸気タービンが更に、ロータ(102)内に形成された通路システム(300)を備え、該通路システム(300)が、
前記ロータの外側表面の第1の領域(131)から蒸気(170)を受け取るよう構成された、境界部(165)への第1の入口流路(114)と、
前記ロータの第2の領域(182)に蒸気(170)を通過させるよう構成された、前記境界部(165)からの第1の出口流路(108)と、
前記ロータの外側表面の第3の領域(184)から蒸気(170)を受け取るよう構成された、前記境界部(165)への第2の入口流路(115)と、
前記ロータの第4の領域(186)に蒸気(170)を通過させるよう構成された、前記境界部(165)からの第2の出口流路(109)と
を含む、蒸気タービン(100、200)。
【請求項2】
第1及び第2の流路(108、109)の少なくとも1つが、第1及び第2の流路(113)を隔てる半径方向に延びる壁(121)又は機械的シール(122)を含む、請求項1記載の蒸気タービン(100、200)。
【請求項3】
第1及び第2のセクション(150、158)が、前記蒸気タービン(100、200)の同じ圧力セクションにある、請求項1記載の蒸気タービン(100、200)。
【請求項4】
第1及び第2のセクション(150、158)が、前記蒸気タービン(100、200)の異なる圧力セクション間に延びる、請求項1記載の蒸気タービン(100、200)。
【請求項5】
第1及び第2の入口流路(114、115)が、前記ロータ(102)内のブレード(110)が存在しない領域にある、請求項1記載の蒸気タービン(100、200)。
【請求項6】
第1の流路(112)、第1の入口流路(114)、及び第1の出口流路(108)が第1の圧力であり、第2の流路(113)、第2の入口流路(115)、第2の出口流路(109)が、第1の圧力とは異なる第2の圧力である、請求項1記載の蒸気タービン(100、200)。
【請求項7】
第1及び第2の入口流路(114、115)への流れを調節するためにシール(141)を開閉する機構(125)を更に備える、請求項1記載の蒸気タービン(100、200)。
【請求項8】
蒸気(170)の高圧領域と、前記蒸気タービン(100、200)セクションの漏出から前記蒸気の高圧領域をシール(141)するためのシール機構(125)とを更に備える、請求項1記載の蒸気タービン(100、200)。
【請求項9】
前記蒸気(170)が第1及び第2の流路(112、113)を通って移動し、前記ロータ(102)を冷却する、請求項1記載の蒸気タービン(100、200)。
【請求項10】
第1の流路(112)及び別個の第2の流路(113)を備えた第1の軸方向端面(152)を有する第1のロータセクション(150)と、
第1の流路(112)及び別個の第2の流路(113)を備えた第2の軸方向端面(160)を有する第2のロータセクション(158)と
を備えるロータ(102)であって、
第2のロータセクション(158)が、第1のロータセクション(150)に軸方向に隣接して配置されて且つ円周方向に回転され、その結果、第2の軸方向端面(160)が第1の軸方向端面(152)に面するようになり、前記2つのロータセクションの第1の流路(112)の各々が、連続した通路(127、129、136、137)を形成するよう整列し、前記2つのロータセクションの第2の流路(113)の各々が、連続した通路を形成するよう整列するようになり、
前記ロータが更に、ロータ(102)内に形成された通路システム(300)を備え、該通路システム(300)が、
前記ロータの外側表面の第1の領域(131)から蒸気(170)を受け取るよう構成された、境界部(165)への第1の入口流路(114)と、
前記ロータの第2の領域(182)に蒸気(170)を通過させるよう構成された、前記境界部(165)からの第1の出口流路(108)と、
前記ロータの外側表面の第3の領域(184)から蒸気(170)を受け取るよう構成された、前記境界部(165)への第2の入口流路(115)と、
前記ロータの第4の領域(186)に蒸気(170)を通過させるよう構成された、前記境界部(165)からの第2の出口流路(109)と
を含む、ロータ(102)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−69365(P2011−69365A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211477(P2010−211477)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】