説明

キャビネット

【課題】シャワー水栓のホースのガイドを兼ねる配管カバーを有するキャビネットを提供することを目的とする。
【解決手段】側端に立設された側板(12)、(12)と、背板(13)及び底板(11)とから成る上方及び前方が開放したキャビネットにおいて、配管スペース部(14)を上方から隠蔽する配管カバーは、水平な板部(21)と、該配管カバー手前にはカバープレート(3)と着脱自在な勘合部(213)と、該配管カバー奥部にはキャビネット背板(13)に固定される突片(221)とを有するとともに、該配管カバー手前には垂直な板部(231)が立設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面化粧台や流し台など、キャビネット内に垂下された水栓のシャワーホースのガイドを兼ねる配管カバーを有するキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシャワーホースの挙動をガイドするものとしては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。すなわち、当該ホースガイドは、キャビネットの背板に固定される取付部と、取付部の前方に円弧状に突出し、上方が拡開した正面視、漏斗状の挿通部とからなり、シャワーヘッドの取付位置に係わらず、ホースの出し入れが円滑に案内されるようになされたものであることを特徴とするシャワーヘッドのホースガイド、となっている。
また、特許文献2に記載されているものは、ホースガイドがホースを収納可能な筒状に形成され、当該ホースガイドの内周面に、ホースの外径よりも幅寸法が狭い入り口部とホースの外径よりも内径が大きく形成された係止部とから成る抜け止め部が設けられ、当該抜け止め部は、入り口部が幅方向に弾性的に拡縮して、前記ホースの着脱が可能に構成されていることを特徴とするシャワー水栓のホースガイドとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−339827号公報
【特許文献2】特開2002−235349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載のホースガイドを有するキャビネットはキャビネットの高い位置にガイドを取り付けるため、ホースの下側の挙動を規制しにくく、ホースが引き出しの背板などに干渉することがあった。
【0005】
また、前記特許文献1,2に記載のホースガイドを有するキャビネットは、ホースガイドをキャビネットの背板部に係止具などで固定しなければならず、取り付け工数を要していた。
【0006】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたもので、流し台などキャビネット内に垂下されたシャワー水栓のホースをガイドする機能を配管カバーに付与し、ホース下側の挙動を規制できるようにしたことで引き出しの背板などとの干渉を防止し、且つホースガイドを取り付ける工数を軽減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のキャビネットは、
側端に立設された側板と、背板及び底板とから成る上方及び前方が開放したキャビネットにおいて、配管スペース部を上方から隠蔽する配管カバーは、水平な板部と、該配管カバー手前にはカバープレートと着脱自在な勘合部と、該配管カバー奥部にはキャビネット背板に固定される突片とを有するとともに、該配管カバー手前には垂直な板部が立設されていることを特徴とする。
この発明によれば、該配管カバーの手前に垂直な板部が立設されているために、該板部と水平な板部が、シャワー水栓のホースを捕獲し、ホースが手前側にはみだすことを防止できる。また、別途シャワーホースガイドなどの部品を取り付ける必要がなくなり、工数とコストを大幅に削減できる。
【0008】
本発明の請求項2に記載のキャビネットは、請求項1に記載の発明に加えて、
前記配管カバー奥部の突片は、上方に向け立設され、下方から上方にかけ奥側に傾斜させたことを特徴とする。
この発明によれば、配管カバー奥部をネジなどの係止具で固定する際に、奥部突片が傾斜しているため、該配管カバー手前に立設した垂直な板部を回避しながら上方より傾斜角度をつけた状態で係止具取付具などを挿入できる。
【0009】
本発明の請求項3に記載のキャビネットは、請求項1に記載の発明に加えて、キャビネットの背板下部には背板当て板が手前方向に突設してなり、前記配管カバーの水平部の奥部をキャビネット背板当て板に当設しネジなどで固定できることを特徴としている。
この発明によれば、配管カバー奥部をネジなどの係止具などで固定する際に、固定部を水平な形態で背板当て板に当設できるため、該配管カバー手前に立設した垂直な板部を回避しながら上方より垂直な角度で係止具取付具などを挿入できる。
【0010】
本発明の請求項4に記載のキャビネットは、請求項1に記載の発明に加えて、キャビネットの背板下部には凹状溝が付設され、該配管カバー奥部には係合爪が突設され、前記係合爪を背板下部に設けた凹状溝に係合させ、配管スペース上方を隠蔽できることを特徴としている。
この特徴によれば、該配管カバー奥部の係合爪を背板凹状溝に係合させるだけでよく、取り付けに要する工数を更に削減できる。
【0011】
本発明の請求項5に記載のキャビネットは、請求項1から4のいずれかに記載の発明に加えて、
配管カバー手前に立設された垂直な板部上方は、下方から上方にかけ手前側に傾斜したことを特徴とする。
この発明によれば、垂直な板部のホース捕獲領域を拡大できるため、シャワー水栓のホースを捕獲しやすく且つ奥側へ誘導でき、ホースが手前にはみだすことを更に防止できる。
【0012】
本発明の請求項6に記載のキャビネットは、請求項1から5のいずれかに記載の発明に加えて、
水平な板部と配管カバー手前に立設された垂直な板部の連接部近傍には、少なくとも片方の面に凹状溝部を付与したことを特徴とする。
この発明によれば、浄水器のカートリッジなどを配管カバーの上に載置する場合に障害となる前記垂直な板部を、凹状溝部が付与されたため板厚が薄くなり強度が低くなったために、前記溝から容易に切除できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例を示すキャビネットの内部斜視図である。
【図2】図1の配管カバー側面図である。
【図3】実施例1における配管カバー奥部固定部を説明する図である。
【図4】実施例2における配管カバー奥部固定部を説明する図である。
【図5】実施例3における配管カバー奥部係合部を説明する図である。
【図6】一実施例である切除可能な配管カバーの手前部拡大側面図である。
【図7】図6の配管カバーの垂直な板部の一部を切除したキャビネットを示す内部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るキャビネットを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。尚、図1、図7においては紙面左下方側をキャビネットの前面側(手前側)とし、紙面右上方側をキャビネットの後面側(奥側)とし、また、図2、図3、図4、図5、図6においては紙面左側をキャビネットの前面側(手前側)とし、紙面右側をキャビネットの後面側(奥側)として説明する。
【実施例】
【0015】
実施例に係るキャビネットを、図1から図7を参照して説明する。図1は、実施例におけるキャビネットの内部斜視図であり、例として水道配管5は配管カバー2を貫通し立設し図示しないシャワー水栓の配管と接続され、シャワー水栓のホース4が垂下された状態をあらわしている。図2は実施例における配管カバーの側面図である。図3は実施例1における配管カバー奥部固定部である。図4は実施例2における配管カバー奥部固定部である。図5は実施例3における配管カバー奥部係合部である。図1の符号1は、家庭内のキッチン等に設けられるシステムキッチンのベースキャビネットである。ベースキャビネット1は底板11、左右の側板12、12、背板13を備え、図示しないが例えば、前面を開閉する扉、または引き出しを複数列で一ないし多段に収納するよう構成されている。
【0016】
底板11の後端はキャビネット後端より手前に位置し、前記底板11後端からキャビネットの後端にわたり、キャビネット下方の横の長さはキャビネットの内法に略等しい大きさで下方に底開口部16が設けられている。
【0017】
背板13の下端はキャビネット下端より上方に位置し、前記背板13下端からキャビネットの下端にわたり、キャビネット奥側の横の長さはキャビネットの内法に略等しい大きさで後方に奥開口部15が設けられている。
【0018】
キャビネットの底隅部に、前記奥開口部15と略等しい高さで、且つ前記底開口部16と略等しい奥行き寸法で、側面視略長方形状で配管スペース部14を形成し、前記配管スペース前面をカバープレート3で、上方を配管カバー2で隠蔽している。
【0019】
前記配管カバー2の手前は、カバープレート3と着脱自在に勘合され、奥部は背板13に固定具などで固定されている。配管カバー2の手前には垂直な板部231が立設されているため、垂下されたシャワー水栓のホース4を配管カバー2が捕獲し、配管カバー上に維持させることができる。したがって、配管カバー2やカバープレート3近傍に引き出しの背板(図示せず)が位置する場合、ホース4が配管カバー2からはみだし、引き出しの背板とカバープレート3との間にはさまれて、引き出しが閉まらないなどの不具合を発生させない。
【0020】
次に配管カバー奥部の固定または係合方法について説明する。
図3は実施例1における固定方法である。前記配管カバー奥部には突片221が、上方に向け立設され、下方から上方にかけ奥側に傾斜している。これにより、配管カバー手前の垂直な板部231を回避しながらドライバーなどを挿入しネジ6を螺着できるばかりではなく、ネジ頭部を均一に前記配管カバー奥部突片221に押圧でき、強固に取り付けることができる。
【0021】
図4は実施例2における固定方法である。キャビネットの背板13下部には背板当て板17が手前方向に突設してなり、前記配管カバー2の水平部に当接させる。これにより、配管カバー手前の垂直な板部231を回避しながらドライバーなどを挿入しネジ6を螺着できるばかりではなく、ネジ頭部を均一に前記配管カバー水平部21に押圧でき、強固に取り付けることができる。
【0022】
図5は実施例3における固定方法である。配管カバー奥部には垂直な板部222と奥方向に突設される係合爪223からなり、前記係合爪223を背板13下部に設けた凹状溝131に係合又は嵌合させる。これにより、ドライバーなどの工具を使用しなくとも配管カバーを保持できる。
【0023】
次いで、配管カバー2の手前に立設されている垂直な板部231について説明する。
図2において、配管カバー手前に立設された垂直な板部231上方は、下方から上方にかけ手前側に傾斜させているので、シャワー水栓のホースを捕獲しやすく且つ奥側へ誘導でき、ホースが手前にはみだすことを防止できる。
【0024】
次いで配管カバー上に浄水器のカートリッジなどを載置するときに障害となる配管カバーの垂直な板部を切除する方法を図6、7を用いて述べる。
【0025】
前記配管カバー2の水平な板部21と、配管カバー手前に立設された垂直な板部231の連接部241の近傍には、少なくとも片方の面に溝部242を設け板厚を薄くし、この部位の曲げ強度を低下せしめている。
【0026】
浄水器のカートリッジ7が載置される位置の配管カバーの垂直な板部231に前記連接部241まで縦方向に刃物などで切断する。そして2つ以上に分離された、前記垂直な板部231のカートリッジ7が置かれる部位を手前または奥方向に力を加えることで、板厚が薄くなっている前記垂直な板部231の連接部241から切り離せ、浄水器のカートリッジが載置される位置の配管カバーの垂直な板部を切除することができ、カートリッジ7などの載置が可能になる。
【符号の説明】
【0027】
1 キャビネット(厨房キャビネット、ベースキャビネット)
11 底板
12 側板
13 背板
131 凹状溝
14 配管スペース
15 奥開口部
16 底開口部
17 当て板
2 (ホースガイド兼用)配管カバー
21 水平な板部
213 勘合部
221 突片
222 垂直な板部
223 係合爪
231 垂直な板部
241 連接部
242 凹状溝部
3 カバープレート
4 (シャワー水栓)ホース
5 水道配管
6 ネジ
7 (浄水器)カートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側端に立設された側板(12)、(12)と、背板(13)及び底板(11)とから成る上方及び前方が開放したキャビネット(1)において、配管スペース部(14)を上方から隠蔽する配管カバーは、水平な板部(21)と、該配管カバー手前にはカバープレート(3)と着脱自在な勘合部(213)と、該配管カバー奥部にはキャビネット背板(13)に固定される突片(221)とを有するとともに、該配管カバー手前には垂直な板部(231)が立設されていることを特徴とするキャビネット。
【請求項2】
前記配管カバー(2)奥部の突片(221)は、上方に向け立設され、下方から上方にかけ奥側に傾斜させたことを特徴とする請求項1記載のキャビネット。
【請求項3】
キャビネットの背板(13)下部には背板当て板(17)が手前方向に突設してなり、前記配管カバー(2)の水平部(21)の奥部をキャビネット背板当て板(17)に当設しネジ(6)などで固定できることを特徴とする請求項1記載のキャビネット。
【請求項4】
キャビネットの背板(13)下部には凹状溝(131)が付設され、該配管カバー奥部には係合爪(223)が突設され、前記係合爪(223)を背板下部に設けた凹状溝(131)に係合させ、配管スペース(14)上方を隠蔽できることを特徴とする請求項1記載のキャビネット。
【請求項5】
配管カバー手前に立設された垂直な板部(231)上方は、下方から上方にかけ手前側に傾斜したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項6】
水平な板部(21)と配管カバー手前に立設された垂直な板部(231)の連接部(241)近傍には、少なくとも片方の面に凹状溝部(242)を付与したことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のキャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−284387(P2010−284387A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141758(P2009−141758)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】