説明

キャリーバッグ

【課題】車輪は取付斜面部を設けたことにより形成された空間内に配置されることになり、車輪がバッグ本体の底面から大きく突出することがなく、引き回し走行性などの走行性能を高めることができると共に機内持込みサイズにおけるバッグ本体の収容量を多く確保することができる。
【解決手段】バッグ本体1の前部に蓋部材2を開閉自在に設け、バッグ本体の背部に主体枠3を配設し、主体枠にハンドル4を伸縮調節自在に設け、バッグ本体の底部に車輪を設けてなり、バッグ本体の背部の背面と底面との交差角部Qに取付斜面部5を設け、取付斜面部に車輪6dを取り付けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、国内旅行や海外旅行、温泉旅行、買い物などにおいて各種の荷物を運搬する際に用いられるキャリーバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャリーバッグとして、バッグ本体の前部に蓋部材を開閉自在に設け、バッグ本体の背部に主体枠を配設し、主体枠にハンドルを伸縮調節自在に設け、バッグ本体の底部に車輪を設けてなる構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−304921号公報
【特許文献2】特開2004−73534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこれら従来構造の場合、上記車輪は上記バッグ本体の底部の底面に設けられており、このため、車輪がバッグ本体の底面から突出することになり、それだけ、引き回し走行性などの走行性能が低下することがあると共に機内持込みサイズの制約によってバッグ本体の収容量が小さくなることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、バッグ本体の前部に蓋部材を開閉自在に設け、バッグ本体の背部に主体枠を配設し、該主体枠にハンドルを伸縮調節自在に設け、該バッグ本体の底部に車輪を設けてなるキャリーバッグにおいて、上記バッグ本体の背部の背面と底面との交差角部に取付斜面部を設け、該取付斜面部に上記車輪を取り付けてなることを特徴とするキャリーバッグにある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記取付斜面部の傾斜角度は上記バッグ本体の背面及び底面に対して略45度であることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記蓋部材に上記バッグ本体を部分開閉可能な小蓋部材を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項4記載の発明は、上記取付斜面部に取り付け可能な座部と、該座部に緩衝部材を介して取り付けられた支持部材と、該支持部材の左右両側部に取り付けられた上記一対の車輪とからなるキャスターセットを形成し、該キャスターセットの該座部を上記取付斜面部に取替自在に取り付けてなることを特徴とするものであり、又、請求項5記載の発明にあっては、上記バッグ本体及び上記蓋部材の面板材は板紙材からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、バッグ本体内に例えば旅行用品などの各種の荷物を収納して蓋部材により閉口することができ、バッグ本体の背部の主体枠に設けられたハンドルを引き出し、ハンドルを持ってバッグ本体を斜めに倒した状態で車輪により引き回し走行して荷物を運搬することができ、この際、上記バッグ本体の背部の背面と底面との交差角部に取付斜面部を設け、この取付斜面部に上記車輪を取り付けてなるから、車輪は取付斜面部を設けたことにより形成された空間内に配置されることになり、車輪がバッグ本体の底面から大きく突出することがなく、それだけ、引き回し走行性などの走行性能を高めることができると共に機内持込みサイズにおけるバッグ本体の収容量を多く確保することができ、斜め引き回し状態において、取付斜面部の底面は接地面にほぼ平行となるので、バッグ本体内の荷重を確実に受けることができ、一層走行性能を高めることができる。
【0008】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記取付斜面部5の傾斜角度は上記バッグ本体1の背面及び底面に対して略45度であるから、車輪は取付斜面部を設けたことにより形成された三角形状の空間内に配置されることになり、車輪がバッグ本体の底面から大きく突出することがなく、それだけ、引き回し走行性などの走行性能を高めることができると共に機内持込みサイズにおけるバッグ本体の収容量を多く確保することができ、斜め引き回し状態において、取付斜面部の底面は接地面にほぼ平行となるので、バッグ本体内の荷重を確実に受けることができ、一層走行性能を高めることができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記蓋部材に上記バッグ本体を部分開閉可能な小蓋部材を設けてなるから、蓋部材を全開口せず小蓋部材のみを開口することができ、使用の利便性を高めることができ、又、請求項4記載の発明にあっては、上記取付斜面部に取り付け可能な座部と、座部に緩衝部材を介して取り付けられた支持部材と、支持部材の左右両側部に取り付けられた上記一対の車輪とからなるキャスターセットを形成し、キャスターセットの座部を上記取付斜面部に取替自在に取り付けてなるから、使用の耐久性を高めることができ、車輪の故障等においてキャスターセットを取り替えることで対応することができ、又、請求項5記載の発明にあっては、上記バッグ本体及び上記蓋部材の面板材は板紙材からなるので、軽量化を図ることができると共に廃棄処理時においても環境に優しいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の第一形態例の全体斜視図である。
【図2】本発明の実施の第一形態例の全体側面図である。
【図3】本発明の実施の第一形態例の部分断面図である。
【図4】本発明の実施の第一形態例の部分断面図である。
【図5】本発明の実施の第一形態例の部分背面図である。
【図6】本発明の実施の第一形態例の使用状態の部分側面図である。
【図7】本発明の実施の第一形態例の平面図である。
【図8】本発明の実施の第一形態例の側面図である。
【図9】本発明の実施の第一形態例の使用状態図である。
【図10】本発明の実施の第二形態例の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図10は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図9は第一形態例、図10は第二形態例である。
【0011】
図1乃至図9の第一形態例において、1はバッグ本体であって、この場合、板紙材Wを折曲して背面板1a、左右の側面板1b・1b、上面板1c及び底面板1dからなる前面が開口する箱状に形成し、各板紙材の重ね合わせ部分を複数個のリベットRを用いて止着し、角部には板紙製の補強板をリベットRで止着し、一方の側面板1b及び上面板1cに取手部1e・1eを取り付けている。
【0012】
2は蓋部材であって、この場合、板紙材Wを折曲して前面板2a、左右の側面板2b・2b、上面板2c及び底面板2dからなる背面が開口する箱状に形成し、各板紙材の重ね合わせ部分を複数個のリベットRを用いて止着し、角部には板紙製の補強板をリベットRで止着し、この蓋部材2の一方の側面板2bをバッグ本体1の一方の側面板1bに蝶番Fにより開閉自在に枢着し、蓋部材2の他方の側面板2bをバッグ本体1の他方の側面板1bに尾錠Gにより開閉自在に止着して構成している。
【0013】
3は主体枠であって、上記バッグ本体1の背部にリベットRにより取り付けられ、主体枠3にハンドル4を伸縮調節自在に設けて構成している。
【0014】
5は取付斜面部であって、この場合、上記バッグ本体1の背部の背面板1aの背面と底面板1dの底面との交差角部Qに取付斜面部5が設けられ、一方、取付斜面部5に取り付け可能な座部6aと、座部6aに弾性樹脂などの緩衝部材6bを介して取り付けられた支持部材6cと、支持部材5cの左右両側部にベアリング6eを介して車軸6fにボルト6g及びナット6hにより取り付けられた樹脂製の一対の車輪6d・6dとからなるキャスターセット6を形成し、このキャスターセット6の座部6aを上記取付斜面部5にボルトDにより取替自在に取り付け構成している。
【0015】
この場合、上記取付斜面部5の傾斜角度θは上記バッグ本体1の背面及び底面に対して略45度に形成され、かつ、上記蓋部材2の底部にゴムからなる接地足2e・2eを取り付け、バッグ本体1が立設状態のとき、接地足2e・2eと上記車輪6d・6dとにより立設状態を保持するように構成され、又、この場合、上記蓋部材2に上記バッグ本体1を部分開閉可能な小蓋部材7が設けられ、この場合、小蓋部材7は、板紙材Wを折曲して前面板7a、左右の側面板7b・7b及び上面板7cからなる背面及び底面が開口する箱状に形成し、各板紙材の重ね合わせ部分を複数個のリベットRを用いて止着し、角部には板紙製の補強板をリベットRで止着し、この小蓋部材7の前面板7aの下縁部を蓋部材2の前面板2aに蝶番Fにより開閉自在に枢着し、小蓋部材7の上面板7cをバッグ本体1の上面板1cに尾錠Gにより開閉自在に止着して構成している。
【0016】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、バッグ本体1内に例えば旅行用品などの各種の荷物を収納して蓋部材2により閉口することができ、バッグ本体1の背部の主体枠3に設けられたハンドル4を引き出し、使用者Eがハンドル4を持ってバッグ本体1を斜めに倒した状態で車輪6d・6dにより引き回し走行して荷物を運搬することができ、この際、上記バッグ本体1の背部の背面と底面との交差角部Qに取付斜面部5を設け、この取付斜面部5に上記車輪6dを取り付けてなるから、図3の如く、車輪6d・6dは取付斜面部5を設けたことにより形成された三角形状の空間S内に配置されることになり、車輪6d・6dがバッグ本体1の底面から大きく突出することがなく、それだけ、引き回し走行性などの走行性能を高めることができると共に機内持込みサイズにおけるバッグ本体1の収容量を多く確保することができ、斜め引き回し状態において、取付斜面部5の底面は接地面にほぼ平行となるので、バッグ本体1内の荷重を確実に受けることができ、一層走行性能を高めることができる。
【0017】
この場合、上記取付斜面部5の傾斜角度θは上記バッグ本体1の背面及び底面に対して略45度であるから、図6、図9の如く、斜め引き回し状態において、取付斜面部5の底面は接地面にほぼ平行となるので、バッグ本体1内の荷重を確実に受けることができ、一層走行性能を高めることができ、又、この場合、上記蓋部材2に上記バッグ本体7を部分開閉可能な小蓋部材7を設けてなるから、蓋部材2を全開口せず小蓋部材7のみを開口することができ、使用の利便性を高めることができ、又、この場合、上記取付斜面部5に取り付け可能な座部6aと、座部6aに緩衝部材6bを介して取り付けられた支持部材6cと、支持部材6cの左右両側部に取り付けられた上記一対の車輪6d・6dとからなるキャスターセット6を形成し、キャスターセット6の座部6aを上記取付斜面部5に取替自在に取り付けてなるから、使用の耐久性を高めることができ、車輪6d・6dの故障等においてキャスターセット6を取り替えることで対応することができ、又、この場合、上記バッグ本体1及び上記蓋部材2の面板材は板紙材からなるので、軽量化を図ることができると共に廃棄処理時においても環境に優しいものとなる。
【0018】
又、この場合、キャスターセット6は、取付斜面部5に取り付け可能な座部6aと、座部6aに弾性樹脂などの緩衝部材6bを介して取り付けられた支持部材6cと、支持部材5cの左右両側部にベアリング6eを介して車軸6fにボルト6g及びナット6hにより取り付けられた一対の車輪6d・6dとからなるので、緩衝部材6bにより地面の凹凸や障害物に対して緩衝作用を得ることができ、運搬を容易に行うことができ、かつ、キャスターセット6の座部6aを上記取付斜面部5にボルトDにより取替自在に取り付け構成しているから、ボルトDにより容易に交換することができ、更に、ボルト6g及びナット6hによりキャスタ6d・6dを取り付けているので、キャスタ6d・6dを容易に交換することができ、さらに、車輪6d・6dはベアリング6eを介して車軸6fに取り付けられているので、車輪6d・6dの回転が良好になされ、それだけ引き回し走行性能を向上することができる。
【0019】
図10の実施の第二形態例にあっては、上記小蓋部材7が存在しない蓋部材2とした別例構造を示すものである。
【0020】
これら第二形態例にあっても、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができる。
【0021】
尚、本発明は上記の形態例に限られるものではなく、バッグ本体1、蓋部材2、主体枠3、ハンドル4、取付斜面部5、車輪6d、小蓋部材のの形態や構造は適宜変更して設計されるものである。
【0022】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0023】
W 板紙材
Q 交差角部
S 空間
θ 傾斜角度
1 バッグ本体
2 蓋部材
3 主体枠
4 ハンドル
5 取付斜面部
6 キャスターセット
6a 座部
6b 緩衝部材
6c 支持部材
6d 車輪
7 小蓋部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッグ本体の前部に蓋部材を開閉自在に設け、バッグ本体の背部に主体枠を配設し、該主体枠にハンドルを伸縮調節自在に設け、該バッグ本体の底部に車輪を設けてなるキャリーバッグにおいて、上記バッグ本体の背部の背面と底面との交差角部に取付斜面部を設け、該取付斜面部に上記車輪を取り付けてなることを特徴とするキャリーバッグ。
【請求項2】
上記取付斜面部の傾斜角度は上記バッグ本体の背面及び底面に対して略45度であることを特徴とする請求項1記載のキャリーバッグ。
【請求項3】
上記蓋部材に上記バッグ本体を部分開閉可能な小蓋部材を設けてなることを特徴とする請求項1又は2記載のキャリーバッグ。
【請求項4】
上記取付斜面部に取り付け可能な座部と、該座部に緩衝部材を介して取り付けられた支持部材と、該支持部材の左右両側部に取り付けられた上記一対の車輪とからなるキャスターセットを形成し、該キャスターセットの該座部を上記取付斜面部に取替自在に取り付けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のキャリーバッグ。
【請求項5】
上記バッグ本体及び上記蓋部材の面板材は板紙材からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のキャリーバッグ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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