説明

キャンスコラ・ディフューサ含有医薬組成物

本発明は、リンドウ科のCanscora種の植物から得られる活性物質、特に、キャンスコラ・ディフューサ種の植物から得られる物質を含有する医薬組成物に関する。本発明のCanscora含有組成物は、種々の中枢神経系の障害、特に、集中障害や学習障害、登校困難、登校拒否、失読症、記憶遅滞、発達遅滞、言語発達遅滞、混乱状態、認知症、老人性認知症、アルツハイマー病、記憶障害、脆弱(X)症候群、精神病、うつ病、統合失調症、情動精神病、躁病、恐怖状態およびパニック状態、子供および大人の多動性行動、幻覚、強迫行為例えば洗浄強迫、異常行動、神経性食欲不振症、意欲欠如、境界線症候群、自閉症、双極性情動障害、知的障害、おびえ状態、悪夢、チック、自信欠陥を治療するために投与可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンドウ科のキャンスコラ・ディフューサ(Canscora diffusa)植物の含有物を含む医薬組成物、この組成物を含む投与形態、この医薬組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
熱帯気候で存在するキャンスコラ・ディフューサ植物は、強壮剤として、また胃痛に対する薬剤として、植物の煎じ薬の形でフィリピンにおいて使用されていることが知られている(Lemmens,R.H.M.J.:キャンスコラ・ディフューサ(Valh)R.Br.ex Roemer&Schultes)。キャンスコラ・デクスサタ(Canscora decussata)は、下剤として、健康状態の全般的改善のための薬剤として、また、より詳細には特定されていない一般的な神経強壮剤として使用される。キャンスコラ・ルシディシマ(Canscora lucidissima)は、中国やベトナムにおいて薬草として使用されるとされているが、何のために使用されるのか情報は入手可能ではない。キャンスコラ・ディフューサに関しては、学術論文が1つだけ存在し、この論文は、活性成分ディフューチン(Diffutin)、グリコサイロキシフラバン(glycosyloxyflavan)の分離を記載している。この活性成分ディフューチンは、「アダプトゲニック(adaptogenic)」作用に寄与している。この作用は、ストレスや不安に対する作用と解釈される。キャンスコラ・デクスサタはキサントンC−グリコシドを含有し、そのうちの1つ、マグニフェリン(magniferin)は、抗炎症作用と「中枢神経抑制」作用を有する。しかしながら、後者の効能の解釈の仕方は不明である。加えて、このマグニフェリンは殺菌作用を有し、またヒト型結核菌に対してわずかな作用を有する。さらに、動物実験においては殺精子作用を有していた。
【0003】
Ghosal,S.らは、キャンスコラ・ディフューサ植物からの活性成分ディフューチンの分離を説明している(Ghosal,S.ら、「Diffutin,a new adaptogenic glucosyloxyflavan from キャンスコラ・ディフューサ in Journal of Chemical Research」、Synopses、1983年、330頁)。また、この論文は、この植物の(ストレスと不安に対する)「アダプトゲニック」作用を指摘している。ディフューチンは、キャンスコラの主成分として記載されている。
【0004】
同じ著者(Ghosal,S.)が、論文(Ghosal,S.ら、「Dichotosin and Dichotosinin,2 adaptogenic Glucosyloxyflavans from Hoppea−Dichotoma」、Photochemistry(Oxford)、第24巻、第4号、1985年、831〜833頁)において、Hoppea dichotoma植物の根から得られる2つのグリコサイロキシフラバン、すなわちdichotosinおよびdichotosininの「アダプトゲニック」効果を説明している。同じ著者(Ghosal)によるキャンスコラ・ディフューサ中のディフューチンについての先行文献についても言及している。キャンスコラ・ディフューサについては、新たな研究結果は開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、(リンドウ科の)キャンスコラ・ディフューサ植物からの物質または抽出物の新たな適用可能性を提案することである。
【0006】
優れた効力を示すだけでなく、広範囲にわたる効能を有し、さらには副作用がほとんどないまたはない薬物および/または物質を生成するために、特に知的分野における障害の治療について、治療の質を高めることが大いに必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、驚いたことに、後述するキャンスコラ・ディフューサを含む医薬組成物の提供によって見事に実現された。キャンスコラ・ディフューサ植物からの抽出物は、精神分野や知的分野における病気を治療するために使用することができることがわかった。このことは、精神分野では、統合失調症やうつ病などの精神病の治療に関係し、知的分野では、ADS(注意欠陥症候群)、学生が学科を理解するためのレディネス(readiness)の欠如、認知症やアルツハイマー病になどに伴う記憶喪失などの学習と記憶障害の治療に関係する。
【0008】
精神分野と知的分野におけるキャンスコラ・ディフューサ植物の治療的使用は、今までのところ知られていない。
【0009】
当技術分野の現状を踏まえると、キャンスコラ・ディフューサ植物種が後述の薬理活性を示すという研究結果は、この植物種を中枢神経系の病気の治療手段として特に適したものとするが、予期せぬ結果である。
【0010】
これらの結論を導かずにはいられなかった薬理試験の結果、ならびに精神分野と知的分野における具体的な効能を、本明細書中で詳細に説明し示す。
【0011】
キャンスコラ・ディフューサは、リンドウ科である。多くの枝を有する細い一年生植物であり、通常15〜60cmの高さに成長する。茎は角張っている。葉は互いに反対向きに配列され、より低い位置の葉は楕円形で4×1cmの寸法、上端の葉はより幅広く、2.5×1.6cmの寸法である。この植物は3枚の花弁を有し、花は薄紫色で数が非常に多く、雌雄同体である。これらの花弁は、最大長さ1.5cmである。この植物は、1年間花を咲かせることができる(より詳細な植物の説明については、植物学の本からの同封のコピーを参照のこと)。この植物は、熱帯アフリカ、アジアの熱帯地域、特にネパール、インド、スリランカ、ベトナム、ラオス、タイ、ジャワ、フィリピン、熱帯オーストラリアで広く生育している。
【0012】
本発明による薬物には、好ましくは、茎、葉、花を含むが根はないこの植物の末端部全体を使用する。しかしながら、アルコールまたは水/アルコール溶液(炭素数1〜5の1価、2価または3価アルコール)を用いてこの植物を抽出し、その抽出物を使用するようにしてもよい。
【0013】
薬物の生成に適するためには、この植物をその自然環境から得るべきである。あるいは、この植物をそのように栽培し、得ることもできる。
【0014】
この植物の加工では、清浄、粉砕、乾燥だけでなく安定化法などの従来の方法を使用する。乾燥方法の中でも特に、凍結乾燥について言及すべきである。安定化法の中でも、96%エタノールを用いた保存について言及すべきである。
【0015】
この薬物は長時間の輸送に耐性がないため、上述した96%エタノールを用いた保存法が推奨される。あるいは、さらに良いのは、例えば磁器製の粗いおろし金を用い、ラクトースを用いた粉砕を、植物を得た直後に行う。この粉砕は以下のように行う。新鮮植物の1重量部を、乾燥した粉末状の緑がかった物質が得られるまで、100重量部のラクトースを用いて1時間粉砕する。
【0016】
アルコール抽出物またはラクトースによる粉砕物は、好ましくは単回投与当たり1ナノグラムの濃度で使用する。
【0017】
この用量は、達成された問題改善がどの程度維持されるかに応じて、1〜12カ月、好ましくは2〜4カ月の間隔で単回投与として投与される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
投与の治療的形態
Cansora diffusaの含有物を有する医薬組成物の生成および/または本発明による使用における同医薬組成物の適用は、通常従来の医薬技術の方法を用いて行われる。このため、抽出物またはラクトースによる粉砕物を、適切な医薬的に耐容性のアジュバントや賦形剤と共に、異なる効用と投与位置に適した薬物の形に加工する。
【0019】
重要な全身投与形態は、錠剤、硬質または軟質ゲルカプセル、糖衣錠、粉末、ペレット、マイクロカプセル、楕円形コア(oblong core)、顆粒、咀嚼錠、トローチ剤、チューインガム、小袋(sachets)または小球(globules)としての経口投与である。
【0020】
経口投与用医薬組成物の生成のための補助剤は、例えば、固着防止剤、潤滑剤、離型剤、火炎加水分解によって生成した分散性二酸化ケイ素などの分散剤、異なる種類の澱粉などの崩壊剤、PVP、例えばワックス状造粒剤としてのセルロースエステル、および/またはEuthragit(登録商標)、セルロースまたはCremophor(登録商標)を基剤とする高分子材料である。
【0021】
酸化防止剤、サッカロース、キシリトール、マンニトールなどの甘味料、矯味薬、香料添加剤、防腐剤、色素、緩衝物質、微結晶セルロースなどの直接適用剤、澱粉と澱粉加水分解物(例えば、Celutab(登録商標))、ラクトース、ポリエチレングリコール類、ポリビニルピロリドンとリン酸二カルシウム、潤滑剤、ラクトースや澱粉などの充填剤、ラクトースの形の結合剤、小麦またはトウモロコシまたは米の澱粉などの澱粉類、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体またはシリカ、タルカム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムなどのステアリン酸塩類、タルク、シリコン処理したタルク、ステアリン酸、セチルアルコール、水和脂肪を使用することもできる。
【0022】
皮膚への従来の適用では、通常のエマルション、ゲル、軟膏、クリーム、または、混合層若しくは両親媒性エマルション系(油/水−水/油混合層)だけでなく、リポソームとtransferosomeを挙げることができる。
【0023】
助剤または賦形剤として適しているのは、例えば、適切な基剤を生成するためのゲル形成剤としてのアルギン酸ナトリウム、あるいはグアーやキサンタンガムなどのセルロース誘導体、水酸化アルミニウムやベントナイトなどの無機ゲル形成剤(いわゆるチキソトロープ・ゲル形成剤)、Carbopol(登録商標)などのポリアクリル酸誘導体、ポリビニルピロリドン、微結晶セルロースまたはカルボキシメチルセルロースである。さらに、リン脂質などのアンフィフィリック(amphyphilic)な低分子と高分子化合物も可能である。これらのゲルは、水を基剤とするヒドロゲルとして、あるいは、例えば低分子および高分子パラフィン系炭化水素とワセリンとの混合物に基づく疎水性オルガノゲルとして入手可能である。
【0024】
可能な乳化剤は、陰イオン、陽イオンまたは中性界面活性剤であり、例えば、アルカリ石けん、金属石けん、アミン石けん、硫化化合物とスルホン化化合物、逆性石けん、高級アルコール、ソルビタンやポリオキシエチレンソルビタンの部分脂肪酸エステル、羊毛脂、ラノリン、あるいは油/水および/または水/油エマルションを生成するための他の合成生成物である。
【0025】
親水性オルガノゲルを、例えば高分子ポリエチレングリコールに基づき生成することができる。これらのゲル状形態は、すすぎ洗いできる。軟膏生成用の脂肪状および/または油状および/またはワックス状成分の形の脂質として、クリームまたはエマルション、ワセリン、天然または合成ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、例えばモノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドのような脂肪酸エステル、パラフィン油または植物油、固化したヒマシ油またはヤシ油、ラード、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸を基剤とする脂肪などの合成脂肪、あるいはMiglycol(登録商標)などのトリグリセリド混合物を使用することができる。
【0026】
pH値を調整するために、塩酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、苛性カリ溶液、炭酸水素ナトリウムなど浸透圧効果を示す酸やアルカリを使用することができ、さらには、クエン酸塩、リン酸塩、トリス緩衝液、トリエタノールアミンなどの緩衝系を使用することができる。
【0027】
安定性を増大させるために、安息香酸メチルまたはプロピル(パラベン)あるいはソルビン酸などの防腐剤を添加することができる。
【0028】
言及すべき局所適用のさらなる形式は、ペースト、粉末または溶液である。安定化剤として、ペーストは、固形分が非常に多い親液性や親水性のアジュバントをしばしば含む。粉末または局所適用のための粉末は、例えば、小麦澱粉や米澱粉などの澱粉のタイプ、火炎加水分解によって生成した分散性二酸化ケイ素またはシリカを含むことができ、分散性ならびに流れ挙動と潤滑挙動を高め、かつ凝集を防ぐために希釈剤としても働く。
【0029】
特に経皮システムとしては、適切なアジュバントと賦形剤との様々な層および/または混合物に基づいてより長期間または短期間にわたって制御されたやり方で活性成分を放出することが可能なこう薬を生成することができる。浸透を向上させかつ/または促進するために、このような経皮システムの生成では、オレイン酸、Arzone(登録商標)、アジピン酸誘導体、エタノール、尿素、プロピルグリコールだけでなく、溶媒など適切なアジュバントと賦形剤、Eutragit(登録商標)などに基づく高分子成分など、膜浸透を増大させる物質または浸透促進剤を考慮することができる。
【0030】
これらのこう薬は、好ましくは前腕の内側に貼り付ける。
【0031】
さらに、注射剤とすることもできる。これらの注射剤は、アンプルの形で、あるいは、いわゆるすぐに使用できる(ready−to−use)注射剤として、例えばすぐに使用できる注射器または使い捨て注射器としても、加えて複数回の取出し用に注射バイアルでも生成される。これらの注射剤は、皮下(SC)、筋肉内(IM)、静脈内(IV)または皮膚内(IC)適用の形で投与することができる。これらそれぞれ都合の良い注射形態は、特に溶液、結晶懸濁液、ナノ粒子またはコロイド分散系、例えばヒドロゾルとして生成することができる。
【0032】
これらの注射剤製剤は、濃縮物として生成することもでき、水性等張希釈剤で活性成分を所望の投与量に調整することができる。さらに、これらの注射剤製剤は、粉末、例えば凍結乾燥物(lyophilistate)として生成することもでき、この粉末をその後、好ましくは適用直前に、適切な希釈剤で溶解または分散させる。
【0033】
注射剤製剤の生成において、可能なアジュバントや賦形剤は、滅菌水、有機と無機の酸や塩基およびそれらの塩などpH値に影響を与える物質、pH値を調整するための緩衝物質、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの等張剤、グルコースとフルクトース、界面活性剤または表面活性物質、およびポリオキシエチレンソルビタンの部分脂肪酸エステル(Tween(登録商標))、または、例えばポリオキシエチレンの脂肪酸エステル(Cremophor(登録商標))などの乳化剤、ラッカセイ油、ダイズ油、ヒマシ油などの脂肪油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、中性油(Miglycol(登録商標))などの合成脂肪酸エステル、それに、ゼラチン類、デキストラン、ポリビニルピロリドンなどの高分子アジュバント、さらに、プロピレングリコール、エタノール、N,N−ジメチルアセトアミドなど溶解性を増大させる有機溶媒の添加剤、あるいはクエン酸塩や尿素などの錯体形成剤、安息香酸ヒドロキシプロピルと安息香酸ヒドロキシメチルエステル、ベンジルアルコールなどの防腐剤、亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤、ならびにEBTAなどの安定剤である。
【0034】
この投与は、舌下で行うこともできる。
【0035】
遅延放出用の投与形態を使用することも可能である。
【0036】
薬品物理学の原理に基づく処方規制と手続きに一致するそれぞれ適した形式が、当業者によって容易に認識され、生成されるであろう。
【0037】
効能範囲
キャンスコラ・ディフューサの含有物を含む本発明による組成物は、中枢神経系(CNS)の複数の障害、特に、集中力不足、学習障害、学業不振、登校拒否、失読症、精神遅滞や発達遅滞、言語発達遅滞、精神異常、認知症や老人性認知症、アルツハイマー病、記憶障害、脆弱X症候群、精神病、うつ病、統合失調症、情動精神病、躁病、子供や大人の多動性行動障害、幻覚、洗浄強迫などの強迫性障害、行動異常、神経性食欲不振症、動機欠如、境界性症候群、自閉症、双極性情動障害、精神的欠陥、舞台あがり、悪夢、チック障害、自信欠如に投与することができる。
【0038】
薬理実験部
キャンスコラ・ディフューサ植物の抽出物を含む本発明による医薬組成物を、106人が女性である274人の患者に、約6〜7年にわたって使用した。これら274人の患者の中で、183人には明らかな自覚的および他覚的問題改善が見られた。
【0039】
274人の患者すべてが、個々の投与を受けた。個々の投与の作用持続期間中、作用がキャンスコラ・ディフューサの投与にだけ起因するように、他の薬物は何も(内部にも外部にも、例えば、軟膏であっても)投与せず、またビタミン、微量元素、鉱物、植物療法剤等も投与しなかった。
【0040】
活性成分の量は、常にナノグラムの範囲、またはそれ以下のピコグラムの範囲内であった。
【0041】
大部分の患者が、既存システムが事前に悪化することなく改善した。約5%の事例において、症状のわずかな悪化が観測され、このわずかな悪化は最大5〜14日続いた。10〜20%の事例では、より早期に短期間(数日間)身体的問題が見られたが、この問題は既存の症状とは関係がなく、大部分の患者が頻繁に未解決問題の解決またはより早期の抑制と解釈した。約25%の事例では、最初の投与の後第3週に、明らかに軽い形で元の症状が一時的に再発した。しかしながら、これらの症状は、薬物を新たに投与することなく数日または数時間後に消えた。
【0042】
投与の頻度に関しては、明らかな改善または治癒を体験したこれら183人の患者は、個々の投与を早ければ7週後に繰り返さなければならなかったことを言及すべきである。最長作用持続期間は11カ月であった。このことは、これらの患者が問題を体験せず、11カ月後までキャンスコラ・ディフューサの効能が生じ、そのときになってようやく別の個々の投与が必要であったことを意味する。単回投与の平均作用持続期間は、2〜3カ月に及んだ。単回投与の作用持続期間は、病気の重症度次第である。問題が再発した場合に投与を繰り返せばよい。
【0043】
調査されキャンスコラ・ディフューサで治療されたこれら274人の患者は、だれも副作用を起こさなかった。これは、おそらく注意深い投与のためである。キャンスコラ・ディフューサによる改善を体験しなかった91人の患者においても、悪影響や副作用が患者によって観測されることはなく、報告もされなかった。
【0044】
作用、副作用、作用持続期間、コストに関する他の療法との比較
本発明によるキャンスコラ・ディフューサを含む医薬組成物と比べると、このような範囲の効能とこのような範囲の作用を有する向精神薬は他にない。
【0045】
診療で1回投与された後、早ければ約2〜3カ月後に問題が再発するまで自宅ではさらなる投与は必要とされず、再診中の患者は診療で薬物の新たな投与を受けるため、本発明によるキャンスコラ・ディフューサを含む医薬組成物のコンプライアンスほどコンプライアンスが高い向精神薬は他にない。
【0046】
このような長い作用持続期間を有する向精神薬は他にない。
【0047】
これほど副作用のない向精神薬は他にない。
【0048】
2カ月の最低平均作用持続期間に始まり、単回投与の費用が40.00ユーロであると仮定すると、本発明によるキャンスコラ・ディフューサを含む医薬組成物による治療費は、Ritalin(登録商標)(約4〜6倍高い)、Captagon(登録商標)(約4倍高い)、Dogmatil(登録商標)(約5倍高い)、Pluctin(登録商標)(約10倍高い)、Ludiomil(登録商標)(約2倍高い)、など同程度の比較可能な向精神薬よりも明らかに低い。
【0049】
不安の結果として精神障害患者の間で一般的に遭遇する多病により、従来の薬物の場合には、異なる療法で治療される他の障害についての費用を加算しなければならない。本発明によるキャンスコラ・ディフューサを含む医薬組成物が、患者に投与すべき唯一の薬物であった。(加えて、改善を体験しなかった患者を含めすべての患者が、単独療法(monotherapy)を非常に満足であると歓迎したことを強調すべきである。)その結果、他の治療薬の追加の費用がなくなり、これにより費用の比較は、本発明によるキャンスコラ・ディフューサを含む医薬組成物をより強く支持することになる。
【0050】
本発明は、リンドウ科のCanscora種の植物から得られる活性成分、特にキャンスコラ・ディフューサ種の植物から得られる活性成分を含む医薬組成物に関する。Canscoraの含有物を含む本発明による組成物は、中枢神経系(CNS)の複数の障害、特に、集中力不足、学習障害、学業不振、登校拒否、失読症、精神遅滞や発達遅滞、言語発達遅滞、精神異常、認知症や老人性認知症、アルツハイマー病、記憶障害、脆弱X症候群、精神病、うつ病、統合失調症、情動精神病、躁病、不安状態とパニック状態、子供や大人の多動性行動障害、幻覚、洗浄強迫などの強迫性障害、行動異常、神経性食欲不振症、動機欠如、境界性症候群、自閉症、双極性情動障害、精神的欠陥、舞台あがり、悪夢、チック障害、自信欠如に投与することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャンスコラ・ディフューサ植物の含有物を含む医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物が、前記植物の末端部全体の少なくとも含有物または成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物に含まれている前記キャンスコラ・ディフューサ植物の前記成分または前記組成物に含まれている前記植物の前記含有物が、前記植物の前記末端部の成分または含有物のみ、特に茎、葉、花であることを特徴とする請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記植物の前記成分が、好ましくは極性溶媒を用いて抽出することによって、前記新鮮植物または乾燥植物から得られることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
水、炭素数1〜5のアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、または2種以上のこれらの溶媒の混合物が、前記溶媒として使用されることを特徴とする請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
水/アルコール混合物が前記溶媒として使用されることを特徴とする請求項4または5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記植物の前記成分が、ラクトースを用いた前記植物の一部分の粉砕によって得られたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
経口投与または舌下投与に対する同じ適合性を特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物の投与形態。
【請求項9】
経皮投与に対する同じ適合性を特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物の投与形態。
【請求項10】
前記組成物を含むこう薬を特徴とする請求項9に記載の投与形態。
【請求項11】
注射に対する同じ適合性を特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬組成物の投与形態。
【請求項12】
単回用量が、前記アルコール抽出物またはラクトースによる粉砕物の0.1〜1,000ナノグラム、好ましくは0.5〜100ナノグラム、特に好ましくは1〜10ナノグラムを含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の医薬組成物の投与形態。
【請求項13】
中枢神経系の障害の治療用の薬物生成のための請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項14】
前記中枢神経系の以下の障害、集中障害、記憶障害、学習障害、学業障害、登校拒否、失読症、精神遅滞、精神的欠陥、発達遅滞、言語発達遅滞のうちの1つまたは複数の治療のための請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記中枢神経系の以下の障害、精神異常、認知症、老人性認知症、アルツハイマー病、脆弱X症候群のうちの1つまたは複数の治療のための請求項13または14に記載の使用。
【請求項16】
前記中枢神経系の以下の障害、精神病、うつ病、双極性情動障害、統合失調症、情動精神病、洗浄強迫などの強迫性障害、躁病、幻覚、神経性食欲不振症、自閉症、境界線症候群のうちの1つまたは複数の治療のための請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記中枢神経系の以下の障害、行動異常、子供や大人の多動性行動障害、動機欠如、舞台あがり、悪夢、チック障害、自信欠如のうちの1つまたは複数の治療のための請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
リンドウ科のキャンスコラ・ディフューサ植物を抽出することによって得られる医薬効果組成物。

【公表番号】特表2008−516997(P2008−516997A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537096(P2007−537096)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000620
【国際公開番号】WO2006/042440
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(507134518)
【Fターム(参考)】