説明

キラルなアミノカルボニル化合物の製造方法

一般式(I)[式中、R1とR2は同一であるか、または異なっていてもよく、かつ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールであり、Xは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール、またはOR3(R3は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールを意味する)である]のアミノカルボニル化合物の製造方法が権利主張されており、この際、一般式(II)R1CO[式中、R1は先に記載した意味を有する]を有するアルデヒドを、触媒の存在下、一般式(III)[式中、R2とXは先に記載した意味を有する]のイミンと反応させる。触媒によるアルデヒドとのマンニッヒ反応によって、アミノカルボニルが得られる。例えば触媒として(S)−プロリンの存在下、α−非分枝状のアルデヒドを事前に調製したN−Bocのイミンと反応させると、所望のβ−アミノアルデヒドが、高収率、高ジアステレオ選択性、および高エナンチオ選択性で生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒の存在下、アルデヒドとイミンからアミノカルボニル化合物を製造する方法に関する。
【0002】
カルボニル化合物と(その場で生成された)イミンとの間の、プロリン触媒によるマンニッヒ反応は、効率の高い、かつ高エナンチオ選択性の、キラルな、非ラセミ体のβ−アミノカルボニル化合物の合成方法である(Listら、JACS 2000、2002、Synlett 3003)。とりわけこの方法は、薬理学的に活性な作用物質の合成のために必要となる、α−アミノ酸の、およびβ−アミノ酸の合成において実証されている(Barbas JACS 2002、2002、Hayashi Angew.、Barbas 2006、Maruoka 2006)。この反応においては、アルデヒドとアミンからイミンがその場で生成した(式1)か、または別の工程で事前に調製した(式2)かという、2の異なる変法が区別される(図1)。
【化1】

【0003】
これまでこの方法においては、芳香族のアミン(アニリン)から誘導されるイミンを主に使用することができた。しかしながら、窒素から芳香族基を除去することは、問題になり得る。典型的に使用されるp−メトキシフェニル(PMP)基は例えば、毒性のある、または高価な試薬を必要とする、比較的激しい酸化法によってのみ除去することができ、副生成物につながるか、または敏感な基質については実施できない。従って、窒素から容易に除去可能な基の使用が望ましいだろう。例えば、窒素をカルバマートまたはアミドの形態で置換した変法は、非常に価値があるだろう。そこで例えばベンジルオキシカルボニル基(Cbz、またはZ)、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ならびにフルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)がルーチン的に使用され、かつとりわけアミノ酸において、およびペプチド合成においては標準である。従って本発明は、容易に脱離可能な基で窒素が置換されている、事前に、またはその場で形成されるイミンを使用する、プロリン触媒によるマンニッヒ反応を開発するという課題に基づく。
【0004】
相応するイミンは、すでに文献で公知であるか、または公知の方法と同じように製造することができる。通常の合成は2の単純な工程を含む(図2)。そこではまずアルデヒドを、NH2−カルバマートで、およびアリールスルフィン酸のナトリウム塩で処理する。この3成分反応では、相応するアルキルオキシカルボニル−α−(アリールスルホニル)アミンが形成され、これが第二の工程で塩基と反応して、所望のイミンになる。
【化2】

【0005】
従って本発明の対象は、式I
【化3】

[式中、
1とR2は同一であるかまたは異なっていてもよく、かつ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールであり、
Xは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール、またはOR3(式中、R3は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールを意味する)である]
のアミノカルボニル化合物の製造方法であって、
この際一般式II
【化4】

[式中、R1は先に記載した意味を有する]
を有するアルデヒドを、
触媒の存在下、一般式III
【化5】

[式中、R2およびXは先に記載した意味を有する]
のイミンと反応させる。
【0006】
例えば上記の式IIIのイミンの使用が、アミノカルボニルが得られる、プロリン触媒によるアルデヒドとのマンニッヒ反応に非常に適していることが判明した。例えば触媒として(S)−プロリンの存在下、α−非分枝状のアルデヒドを事前に調製したN−Bocのイミンと反応させると、所望のβ−アミノアルデヒドが、高収率、高ジアステレオ選択性、および高エナンチオ選択性で生成する。
【0007】
本発明による方法の実施のために、反応成分を触媒の存在下で反応させる。アルデヒドとイミンとの間の反応を促進させる、任意の触媒を使用することができる。反応生成物としてキラルなアミノカルボニルを製造すべき場合、好適には不斉の、とりわけ不斉有機触媒を使用する。特に適しているのは、1または複数のヘテロ原子、例えば窒素、酸素、硫黄、またはリン(この際、窒素が好ましいヘテロ原子である)を含む触媒であると証明されている。酸素含有、または硫黄含有触媒は、例えばアルコールとチオールであり、またリン含有触媒は通常ホスフィンである。分子中に1または複数の窒素原子を有する触媒は、第一級、または第二級アミン、または窒素含有ポリマーである。好ましいアミンは一般式IV
【化6】

[式中、R5とR6は同一であっても異なっていてもよく、かつその都度適切な置換基、または1または複数のヘテロ原子を基の中に有することができる、水素、炭化水素、とりわけアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはアルキルアリールから選択されているか、またはR5とR6がともに、式IVにおけるN−原子に対して付加的に、場合によってはさらなる1のヘテロ原子を含むことができる、1の環構造を形成する]
を有する構造を有する。R5とR6がお互いに結合されている場合、これらは例えば5員環の、または6員環の脂肪族環、または芳香族環を形成することができる、すなわちR5とR6は非置換の、または置換されたシクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジニル、イミダゾリルなどを形成することができる。好ましいのは、R5とR6が相互に独立してメチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、フェニル、ナフチル、ベンジル、およびトリメチルシリルなどから選択されており、その結果3〜15員環の、場合によっては置換された、一般式V
【化7】

[式中、nは0または1であり、Xは最大50の原子を有する基であり、かつヘテロ原子を含むこともできる置換された、または非置換のアルキレンの基から選択されており、かつX1とX2はその都度相互に独立して1の非置換の、または置換されたメチレン基である]
を有する環状基を形成する化合物である。式Vを有する第二級アミンの例は、一般式VI
【化8】

[式中、R7、R8、R9、およびR10は同一であっても異なっていてもよく、かつ相互に独立して、水素、OH、SH、カルボキシル、アミノ、モノ−C1〜C24のアルキルアミノ、ジ−C1〜C24のアルキルアミノ、モノ−C5〜C24のアリールアミノ、ジ−C5〜C24のアリールアミノ、ジ−N−置換されたC1〜C24のアルキル−C5〜C24のアリールアミノ、C2〜C24のアルキルアミド、C6〜C24のアリールアミド、イミノ、C2〜C24のアルキルイミノ、C6〜C24のアリールイミノ、ニトロ、ニトロソ、C1〜C24のアルコキシ、C5〜C24のアリールオキシ、C6〜C24のアラルキルオキシ、C2〜C24のアルキルカルボニル、C6〜C24のアリールカルボニル、C2〜C24のアルキルカルボニルオキシ、C6〜C24のアリールカルボニルオキシ、C2〜C20のアルコキシカルボニル、C6〜C24のアリールオキシカルボニル、ハロゲンカルボニル、カルバモイル、モノ置換されたC1〜C24のアルキルカルバモイル、ジ−N−置換されたC1〜C24のアルキルカルバモイル、ジ−N−置換されたN−C1〜C24のアルキル−N−C5〜C24のアリール−カルバモイル、モノ置換されたC5〜C24のアリールカルバモイル、ジ−N−置換されたC5〜C24のアリール−カルバモイル、チオカルバモイル、モノ置換されたC1〜C24のアルキルチオカルバモイル、ジ−N−置換されたC1〜C24のアルキルチオカルバモイル、ジ−N−置換されたN−C1〜C24のアルキル−N−C5〜C24のアリール−チオカルバモイル、モノ置換されたC5〜C24のアリールチオカルバモイル、ジ−N−置換されたC5〜C24のアリールチオカルバモイル、カルバミド、ホルミル、チオホルミル、スルホ、スルホナート、C1〜C24のアルキルチオ、C5〜C24のアリールチオ、C1〜C24のアルキル、置換されたC1〜C24のアルキル、C1〜C24のヘテロアルキル、置換されたC1〜C24のヘテロアルキル、C5〜C24のアリール、置換されたC5〜C24のアリール、C5〜C24のヘテロアリール、置換されたC5〜C24のヘテロアリール、C2〜C24のアラルキル、置換されたC〜C24のアラルキル、C2〜C24のヘテロアラルキル、およびC2〜C24のヘテロアラルキル、またはR7とR8、および/またはR9とR10がともに基=Oを形成する]
を有する化合物である。
【0008】
Xは例えば、基−(CR1112)−(X3q−(CR1314tであり、その結果アミンは一般式VII
【化9】

[式中、X3はO、S、NH、NR15、またはCR1617であり、qは0または1であり、tは0または1であり、かつR11、R12、R13、R14、R16、およびR17は相互に独立して水素、OH、SH、カルボキシル、アミノ、モノ−C1〜C24のアルキルアミノ、ジ−C1〜C24のアルキルアミノ、モノ−C5〜C24のアリールアミノ、ジ−C5〜C24のアリールアミノ、ジ−N−置換されたC1〜C24のアルキル−C5〜C24のアリールアミノ、C2〜C24のアルキルアミド、C6〜C24のアリールアミド、イミノ、C2〜C24のアルキルイミノ、C6〜C24のアリールイミノ、ニトロ、ニトロソ、C1〜C24のアルコキシ、C5〜C24のアリールオキシ、C6〜C24のアラルキルオキシ、C2〜C24のアルキルカルボニル、C6〜C24のアリールカルボニル、C2〜C24のアルキルカルボニルオキシ、C6〜C24のアリールカルボニルオキシ、C2〜C20のアルコキシカルボニル、C6〜C24のアリールオキシカルボニル、ハロゲンカルボニル、カルバモイル、モノ置換されたC1〜C24のアルキルカルバモイル、ジ−N−置換されたC1〜C24のアルキルカルバモイル、ジ−N−置換されたN−C1〜C24のアルキル−N−C5〜C24のアリール−カルバモイル、モノ置換されたC5〜C24のアリールカルバモイル、ジ−N−置換されたC5〜C24のアリール−カルバモイル、チオカルバモイル、モノ置換されたC1〜C24のアルキルチオカルバモイル、ジ−N−置換されたC1〜C24のアルキルチオカルバモイル、ジ−N−置換されたN−C1〜C24のアルキル−N−C5〜C24のアリール−チオカルバモイル、モノ置換されたC5〜C24のアリールチオカルバモイル、ジ−N−置換されたC5〜C24のアリールチオカルバモイル、カルバミド、ホルミル、チオホルミル、スルホ、スルホナート、C1〜C24のアルキルチオ、C5〜C24のアリールチオ、C1〜C24のアルキル、置換されたC1〜C24のアルキル、C1〜C24のヘテロアルキル、置換されたC1〜C24のヘテロアルキル、C5〜C24のアリール、置換されたC5〜C24のアリール、C5〜C24のヘテロアリール、置換されたC5〜C24のヘテロアリール、C6〜C24のアラルキル、置換されたC6〜C24のアラルキル、C2〜C24のヘテロアラルキル、および置換されたC2〜C24のヘテロアラルキルから選択されているか、またはR11とR12、および/またはR13とR14がともに1の基=Oを形成し、かつR15は、1または複数のヘテロ原子を含むこともできる、1〜12の炭素原子を有する、置換された、または非置換の、飽和または不飽和炭化水素から選択されている]
を有する化合物である。
【0009】
好ましいのは、qが0、tが1、およびR7〜R10のうち少なくとも1の基が酸性の置換基、例えば1のカルボキシル基である、式VIを有する触媒であり、このような実施においては、式VIIを有する化合物がプロリン、または置換されたプロリンである。適切な触媒は、R7〜R9、およびR11〜R14が水素であり、かつR10がβ−カルボキシルである場合、式VIIを有する化合物に相応する、文献から公知の化合物、L−プロリンそのものである。
【0010】
さらに好ましく使用される触媒の基は、qが1、X3がNR15、tが0、R7とR9が水素、かつR8がCR181920であり、その結果第二級アミンが、一般式VIIIA、またはVIIIB
【化10】

[式中、R10は先に定義した意味を有し、かつ好ましくは基−(L)m−CR192023(式中、mは0または1であり、LはC1〜C6のアルキレンであり、かつR21、R22、およびR24は1〜12の炭素原子を有する炭化水素である)である]
を有する化合物である。好ましいのは、mが0であり、かつR21、R22、R23がC1〜C12のアルキルである置換基R8である。特に好ましくは、R21、R22、およびR23がC1〜C6のアルキル、とりわけメチルであり、その結果R8がt−ブチル基である。
【0011】
15は、1〜12の炭素原子を有する、置換された、または非置換の炭化水素、例えば1または複数のヘテロ原子を含むことができる、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、アラルキルなどから選択されている。好ましくはR15は1〜12の炭素原子を有する炭化水素、例えばC1〜C12のアルキルであり、この際C1〜C6のアルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルが好ましい。
【0012】
18とR19は相互に独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、1または複数のヘテロ原子を含むことができ、1〜12の炭素原子を有する、置換された、または非置換の炭化水素から選択されている。R18とR19は、水素、または1〜12の炭素原子を有する炭化水素であるのが好ましく、この際R18とR19が特に好ましい。
【0013】
20は、1〜4の置換基、およびN、O、およびSから選択される0〜3のヘテロ原子を有することができる環(Cyclus)であることができる。好ましい実施形態においては、R20は単環のアリール、またはハロゲン、ヒドロキシ、および1〜12の炭素原子を有する炭化水素から選択されている、最大4の置換基を有するヘテロアリールである。特に好ましくは、R20は1または2の置換基を有するフェニル基、例えばハロゲン、ヒドロキシ、またはC1〜C6のアルキルを有することができ、この際R20は極めて特に好ましくは、非置換のフェニル基である。
【0014】
先に記載したあらゆる化合物は、酸付加塩の形態でも使用することができ、この際付加塩をそのまま使用するか、または反応の過程で形成することもできる。
【0015】
特に好ましい触媒は、以下に記載されている:
【化11】

【0016】
触媒は通常、出発化合物に対して0.1〜200mol%の量、好適には1〜30mol%の量で使用する。
【0017】
一般式IIIを有するイミンは、本発明による方法に従って、直接、または反応の間にイミンがその場で形成される前駆体の形で使用することができる。
【0018】
ここで使用する「アルキル」という概念は、通常1〜30の、好適には1〜24の炭素原子、およびとりわけ1〜6の炭素原子を有する、線状の、分枝状の、または環状の炭化水素基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、デシルなどを意味し、またシクロアルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシルなども意味する。好適には炭化水素基は1〜18の、とりわけ1〜12の炭素原子を有する。
【0019】
本発明の範囲において「アルケニル」とは、1または複数の二重結合を有し、通常2〜30の、好適には2〜24の、およびとりわけ2〜6の炭素原子を有する、不飽和の、線状の、分枝状の、または環状の炭化水素基、例えばエテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、デセニルなどを意味し、またシクロアルケニル基、例えばシクロペンテニル、シクロヘキセニルなども意味する。
【0020】
本発明の範囲において「アルキニル」とは、1または複数の三重結合を有し、通常2〜30の、好適には2〜24の、およびとりわけ2〜6の炭素原子を有する、不飽和の、線状の、分枝状の、または環状の炭化水素基、例えばエチニル、n−プロピニル、イソプロピニル、n−ブチニル、イソブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニル、デシニルなどを意味し、またシクロアルキニル基、例えばシクロペンチニル、シクロヘキシニルなども意味する。
【0021】
本発明の範囲においてはアリール基として、5〜30の炭素原子を有する芳香族の環系列、および場合によっては環内でヘテロ原子、例えばN、O、S、P、Siを使用し、この際、環は単環の、または複素環の環系列、例えば縮合された環系列、または単結合、または多重結合によって相互に結合された環であることができる。芳香族環の例は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン、ベンゾフェノンなどである。置換されたアリール基は、1または複数の置換基を有する。ヘテロアルキル基の例は、アルコキシアリール、アルキルスルファニルで置換されたアルキル、N−アルキル化されたアミノアルキルなどである。ヘテロアリール置換基の例は、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、キノリニル、インドリル、ピリミジニル、イミダゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリルなどである。ヘテロ原子を含む脂環式基の例としては、ピロリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、ピペリジノなどを挙げることができる。
【0022】
先に挙げた基を有することができる置換基としては、OH、F、Cl、Br、J、CN、NO2、NO、SO2、SO3-、アミノ、−COOH、−COO(C1〜C6のアルキル)、モノ−(C1〜C24のアルキル)で置換されたアミノ、およびジ−(C1〜C24のアルキル)で置換されたアミノ、モノ−(C5〜C20のアリール)で置換されたアミノ、およびジ−(C5〜C20のアリール)で置換されたアミノ、イミノが考慮され、これらの基は再度置換されていることができ、その例はC1〜C6のアルキル、アリール、およびフェニルである。とりわけ環状基は、C1〜C6のアルキル基も置換基として有することができる。
【0023】
本発明による方法は、好適には溶液中で実施する。このために少なくとも1の出発物質、または触媒を適切な溶剤中に溶解し、さらなる成分を純粋な物質として、または溶液に添加する。溶剤としては、反応成分に対して不活性であり、かつ反応に関与しない、任意の有機溶剤を使用することができる。適切な溶剤の例は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、トルエン、キシレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、塩化メチル、クロロホルム、四塩化炭素、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、ジオキサン、スルホラン、1,2−ジクロロエタン、200〜1450の、好適には200〜600の分子量を有するポリ(エチレングリコール)、イオン性の液体、水、および上記の物質の任意の混合物であり、この際有機溶剤が好ましい。
【0024】
本発明による方法は広い温度範囲で実施することができ、反応温度は通常−20℃〜50℃の間である。反応時間は1時間〜24時間である。得られる反応生成物を、通常反応混合物から単離し、かつ精製する。可能な実施形態においては、反応混合物を水中に入れ、かつ引き続き有機溶剤で抽出する。
【0025】
実施例
一般工程:
【化12】

【0026】
N−Bocのイミン(0.5mmol)を無水のアセトニトリル(5ml)に溶解させ、かつ0℃でアルデヒド(1mmol、2当量)、ならびに(L)−プロリン、または(D)−プロリン(0.1mmol、20mol%)を加えた。2〜12時間後に、0℃で純粋な生成物を沈殿物として析出させ、かつ濾過によって、および冷ヘキサンによる洗浄によって単離することができる。生成物が析出しない、または不完全にしか析出しない場合は、反応混合物を水中に入れ、かつエーテルで抽出する。一つにまとめた有機相を乾燥させ、濃縮させ、かつ純粋な生成物を粉砕(Trituration)によって冷ヘキサンを用いて単離する。エナンチオマー純度を、HPLCを用いて(結晶化の前の)未精製混合物について測定した(図3参照)。
【化13】

【0027】
アセトアルデヒドの使用
【化14】

【0028】
N−Bocのイミン(287.4mg、1.4mmol)を、無水アセトニトリル中のアセトアルデヒド(5当量)の0.74M溶液9.5ml中に溶解させ、0℃に冷却し、かつ引き続き(L)−プロリン(32.2mg、0.28mmol、20mol%)を加えた。4時間後に0℃で反応混合物を水中に入れ、かつジエチルエーテルで三回抽出した。一つにまとめた有機相を塩化ナトリウムの飽和水溶液で一回洗浄し、かつMgSO4で乾燥させた。この生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、溶離剤として酢酸エチル/ヘキサン(まず10/90、その後20/80、体積/体積)を使用して精製した。生成物を52%の収率で得た。生成物のエナンチオマー比は、ガスクロマトグラフィーによって>99:1と測定された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

[式中、
1とR2は同一であるか、または異なっていてもよく、かつ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールであり、
Xは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール、またはOR3(式中、R3は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールを意味する)である]
のアミノカルボニル化合物の製造方法であって、
この際、一般式II
【化2】

[式中、R1は先に記載した意味を有する]
を有するアルデヒドを、
触媒の存在下、一般式III
【化3】

[式中、R2とXは先に記載した意味を有する]
のイミンと反応させる、一般式Iのアミノカルボニル化合物の製造方法。
【請求項2】
前記触媒が不斉有機触媒、とりわけキラルなアミンから選択されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記触媒がキラルなアミノ酸、好適にはプロリンであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Xが基OR3[式中、R3は1〜6の炭素原子を有するアルキル基を意味する]であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−543815(P2009−543815A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519789(P2009−519789)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【国際出願番号】PCT/DE2007/001281
【国際公開番号】WO2008/009275
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(591091515)シュトゥディエンゲゼルシャフト・コーレ・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (18)
【氏名又は名称原語表記】Studiengesellschaft Kohle mbH
【住所又は居所原語表記】Kaiser−Wilhelm−Platz 1, D−45470 Muelheim an der Ruhr, Germany
【Fターム(参考)】