説明

キーシート

【課題】薄型であってソフトタッチ感という優しい触感を有し、さらに立体的で漸次的に変化する色合いの外観を有するキーシートの提供。
【解決手段】操作面をソフトフィール層3の表皮層4で構成し、この表皮層4の裏面側に多孔層7を有するため、押圧操作の際に柔らかな触感の表皮層4と僅かに窪む多孔層7との組み合わせにより、ソフトタッチ感を有する。そして、第1加飾層5の層厚が、表皮層4の凹部の底付近が厚く、凸部に向かって次第に薄く形成され、この第1加飾層5の裏面に、第1加飾層5と異色の第2加飾層6が施されているため、外観上は立体感に加え、第1加飾層5の色調から第2加飾層6の色調へ傾斜的に変化する色合いの外観を有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報端末機器や、PDA、AV機器、各種リモコン、各種キーボードなどの各種電子機器の操作部に用いられ、入力操作の際に操作者の指が触れると柔らかな手触り感(以下「ソフトタッチ感」ともいう)を有するキーシートに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯情報端末やPDAなどの電子機器は、小型化、薄型化されてきており、電子機器に用いられるキーシートについても、小型化、薄型化が要請されている。こうした要請に応えるキーシートとして、例えば金属製や硬質樹脂製の操作板を備える薄型のキーシートが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、キーシートには、デザイン価値を高めて差別化するため、操作時にソフトタッチ感を有するような加飾を施すことが検討されているが、樹脂成形品の表面に合成皮革を積層した加飾シートが知られている(特許文献2)ので、この加飾シートをキーシートに転用すれば、押圧操作時にソフトタッチ感がある薄型のキーシートを実現することができる。
【特許文献1】特開2006−156333号公報
【特許文献2】特開2003−71956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の金属製や硬質樹脂製の操作板の表面に、特許文献2に記載の加飾シートを利用すれば優しい触感のキーシートを実現することができる。しかしながら、視覚的には単調で面白みに欠け、外観のデザイン価値が低いという課題がある。
【0005】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。すなわち本発明の目的は、薄型であってソフトタッチ感という優しい触感を有し、さらに立体的で漸次的に変化する色合いの外観を有するキーシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく本発明は、基材シートと、該基材シートの表面側に積層され柔らかな手触り感を有するソフトフィール層と、を備えるキーシートについて、ソフトフィール層が、柔らかな触感の表面と、傾斜面で構成される凹凸形状の裏面と、を有する透光性の表皮層と、該表皮層の裏面側に施され、前記凹凸形状における凹部内の層厚が不均一な第1加飾層と、該第1加飾層の裏面側に施され、その第1加飾層とは異色の第2加飾層と、該第2加飾層の裏面側に施される軟質層と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、基材シートの表面側にソフトフィール層を備え、操作面をソフトフィール層の表皮層で構成するため、押圧操作の際に柔らかな触感の表皮層と僅かに窪む軟質層との組み合わせにより、ソフトタッチ感を有するキーシートを実現することができる。
そして、ソフトフィール層では、表皮層の裏面側に第1加飾層を施している。表皮層の裏面は傾斜面で構成される凹凸形状であり、第1加飾層はその凹部内に不均一な層厚で形成されている。即ち、第1加飾層の層厚は、凹部の底付近が厚く、凸部に向かって次第に薄く形成されている。このため第1加飾層の色合いは、表皮層における裏面の凹凸形状に沿って漸次的に変化しているように視認することができる。この色合いの変化が色調の濃淡であれば、外観上の立体感を強調することができる。さらに表皮層の表面が裏面の凹凸形状に沿うように凹凸形状に形成されていれば、深みのある立体感を実現することができる。
このような第1加飾層の裏面側に、第1加飾層と異色の第2加飾層が施されている。このため第1加飾層における層厚の薄い部分は第2加飾層の色調が表れ易く、外観上は第1加飾層における色調の濃淡だけではなく、異色への傾斜的変化を実現することができる。例えば、青色の第1加飾層と赤色の第2加飾層を組み合わせれば、青色、青紫色、赤紫色、赤色と徐々に変化する色調を実現することができる。
【0008】
本発明の前記キーシートについては、表皮層の裏面に、前記凹凸形状の起伏の高低差を小さくする透明で軟質なメジウム層を設けることができる。このように表皮層の裏面が凹凸面であってもその起伏の高低差が小さければ、表皮層の裏面側に第1加飾層の縁部を滲み難くすることができ、第1加飾層を正確に設けることができる。そしてメジウム層を設けても、メジウム層が透明であるため第1加飾層の色合いが惚けることがなく、またメジウム層が軟質であるためソフトタッチ感が損なわれることもない。
【0009】
本発明の前記キーシートについては、第1加飾層が、文字、数字、記号などの表示要素を示す表示層であり、ソフトフィール層が、表示要素を区切る仕切線としての貫通孔を有するものとすることができる。このようにすれば、表示要素を貫通孔によって区切ることができ、隣接する表示要素を区切ることや押圧操作部分を明確に視認することなどができる。さらに「仕切線」を触感でも区別することができる。
【0010】
本発明の前記キーシートについては、第2加飾層を、金属を備える金属光沢層とすることができる。このようにすれば、外観上は金属調を表し、押圧操作の際にはソフトタッチ感が得られる斬新なデザインのキーシートを実現することができる。なお、金属を備える金属光沢層とは、アルミニウムや金などの金属箔を含有する光沢塗層、アルミニウムやニッケルなどの金属粉を含有するメタリック塗層、アルミニウムやインジウムなどの乾式めっき層を意味する。
【0011】
本発明の前記キーシートについては、軟質層が、多孔層であり、該多孔層における縁部の側面に、該側面を被覆する保護部を設けることができる。このようにすれば、多孔層が外部に露出せず、多孔層の耐久性を高めることができる。
また、ソフトフィール層に設けられた仕切線としての貫通孔にも保護部を設ければ、その貫通孔から多孔層の側面が露出せず、多孔層の耐久性を高めることができる。
【0012】
本発明の前記キーシートについては、基材シートと第2加飾層が透光性であり、基材シートの裏面に、さらにEL部材を備えることができる。このようにすれば、第2加飾層を面発光によって照光することができ、暗所でもキーシートの視認性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のキーシートによれば、押圧操作の際に柔らかな触感の表皮層と僅かに窪む軟質層との組み合わせにより、ソフトタッチ感を有するキーシートを実現することができる。そして、第1加飾層の色合いは、表皮層における裏面の凹凸形状に沿って漸次的に変化しているように視認することができ、この色合いの変化が色調の濃淡であれば、外観上の立体感を強調することができる。さらに第1加飾層における層厚の薄い部分は第2加飾層の色調が表れ易く、外観上は第1加飾層における色調の濃淡だけではなく、異色への傾斜的変化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各実施形態で共通する部材、材質、構成、製造方法、作用効果については重複説明を省略する。
【0015】
第1実施形態〔図1〜図3〕
第1実施形態のキーシート1を図1〜図3に示す。図1はキーシート1の平面図、図2はキーシート1のSA−SA線断面図、図3はキーシート1のSB−SB線断面図を示す。第1実施形態のキーシート1は、基材シート2とソフトフィール層3とを備えており、ソフトフィール層3は、表皮層4、第1加飾層5、第2加飾層6、「軟質層」としての多孔層7が操作面(表面)側からこの順に積層している。
【0016】
表皮層4は最表面で柔らかな手触り感を与える層であり、透光性の高分子材料でシート状に形成されている。この表皮層4の表面と裏面は傾斜面で構成される凹凸形状に形成され、その凹凸形状のパターンは平面視で格子柄を表している。そしてこの凹凸形状における凹部の深さは、5μm〜500μmが好ましい。5μmより浅いと視覚的に凹凸形状のパターンが見え難く、さらに第1加飾層はほぼ平坦な層に形成されて第1加飾層の色合いが漸次的に変化するように見え難い。500μmより深いと凹凸形状の凹部に対する第1加飾層の形成が難しくなる。
【0017】
第1加飾層5は表皮層4の裏面に印刷形成されたキーシート1を主だって加飾する層であり、文字、数字、記号など表示要素の周囲を象る背景部8aを表している。即ち、表示要素を表す表示部8b及び押圧操作部9を囲む仕切線8cを透孔状に抜いて形成されている(図3)。そしてこの第1加飾層5は表皮層4の裏面に不均一な層厚で形成されている。つまり第1加飾層5の膜厚は、表皮層4の凹部の底付近が厚く、凹部から凸部に向かって次第に薄くなり、そして凸部を覆う膜厚が最も薄く形成されている。このような第1加飾層5の裏面は凹凸形状に形成されている。
【0018】
第2加飾層6は第1加飾層5の裏面に印刷形成されたキーシート1を補完的に加飾する層であり、さらに第1加飾層5の透孔を埋めて表示部8bと仕切線8cを表している。そしてこの第2加飾層6は第1加飾層5とは異色に形成されている。なお、図面では第2加飾層6の裏面が平坦面に形成されているが、凹凸面とすることもできる。このように第2加飾層の裏面が凹凸面に形成されている変形例については、後に説明する。
【0019】
多孔層7は第2加飾層6の裏面側に積層された窪み易い層であり、圧縮弾性率が小さい発泡体で形成されている。この多孔層7の表面は接着層10によって第2加飾層6の裏面に固着され、裏面は接着層10によって基材シート2の表面に固着されている。
【0020】
基材シート2はキーシート1の定形性を付与する機能を有する部材であり、透光性の樹脂で形成されている。なお、基材シート2の裏面に押し子を設けると、押圧操作性を高めることができる。
【0021】
ここでキーシート1の材質について説明する。
表皮層4の材質には、耐摩耗性、耐水性、耐薬品性に優れる樹脂あるいはエラストマーを用いることができる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。なかでもポリウレタン系樹脂を用いるとよりすぐれた皮革調触感を得ることができる。これら樹脂やエラストマーには、顔料、染料などの着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの種々の添加剤を配合することができる。
表皮層4の厚さは5μm〜200μmが好ましい。5μm未満では耐久性が低く破損し易くなり、200μmを超えると剛性が高まって操作者に対する触感が悪くなり皮革調触感が得られにくくなるからである。
【0022】
第1加飾層5及び第2加飾層6の材質は、表皮層4に対し塗工できるインキや塗料、乾式めっきできる金属を使用することができる。なお、第2加飾層6の性質としてホットメルト接着剤のように塗布成形した後に接着性を発現するものであれば、多孔層7と固着する接着層10を省くことができる。また、これら第1加飾層5及び第2加飾層6を透光性とすれば、いわゆるバックライト照光とした場合に、表示要素を明るく照光することができる。
【0023】
多孔層7の材質は発泡成形できる樹脂やエラストマーであり、これらの材質には表皮層4の材質と同様に、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。なお、多孔層7は層厚を薄くするか、発泡の程度を低くすすれば、透光性を有するようにすることできる。
【0024】
接着層10は、接着剤や粘着剤で形成されている。接着フィルム、粘着フィルム、ホットメルト接着剤などを用いることができる。
【0025】
基材シート2の材質には、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いる。例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。基材シート2の厚さは100μm〜500μmが好ましい。100μm未満では強度が小さく、後加工にて破損するおそれがあり、さらに剛性も小さくキーシート1の形状を保持することが難しい。500μmを超えると剛性が大きく撓み難くなるため、押圧入力操作を行うキーシートの場合、押圧荷重が高くなり操作性が悪くなる。
【0026】
次に、キーシート1の製造方法について説明する。
先ず、離型シートや金型を用いて表皮層4の表裏面に凹凸形状を転写成形する。この表皮層4の裏面に第1加飾層5を印刷形成した後、さらに第2加飾層6を印刷形成する。最後に、第2加飾層6の裏面と多孔層7の表面、及び多孔層7の裏面と基材シート2の表面を接着層10で固着する。こうして、キーシート1を製造する。
【0027】
キーシート1によれば、操作面をソフトフィール層3の表皮層4で構成し、この表皮層4の裏面側に多孔層7を有するため、押圧操作の際に柔らかな触感の表皮層4と僅かに窪む多孔層7との組み合わせにより、ソフトタッチ感を有するキーシート1を実現することができる。
そして、第1加飾層5の層厚が、表皮層4の凹部の底付近が厚く、凸部に向かって次第に薄く形成されているため、凹部の底付近では第1加飾層5の色調を強く表すことができ、凸部付近では第1加飾層5の色調を弱く表すことができる。このような第1加飾層5の裏面に、第1加飾層5と異色の第2加飾層6が施されているため、凹部の底付近では第1加飾層5の色調が強く表れ、凸部付近では第1加飾層5の弱い色調の裏側から第2加飾層6の色調が強く表れる。よって外観上は立体感に加え、第1加飾層5の色調から第2加飾層6の色調へ傾斜的に変化する色合いの外観を有するキーシート1を実現することができる。
【0028】
第1実施形態の変形例
第1実施形態のキーシート1における表皮層4、第1加飾層5については、次に説明するように変更することができる。なお、後に述べる他の実施形態においても本実施形態と同様に変形例として用いることができる。
【0029】
表皮層4の変形例
第1実施形態のキーシート1では、表皮層4は、凹凸形状のパターンが平面視で格子柄を表す例を示したが、平面視で縞柄を表すことができる。このようにすれば、表皮層は、デニム調、コーディロイ調などの生地の外観を有することができる。例えば、平面視で縞柄を表す表皮層の裏面に、青色の第1加飾層と白色の第2加飾層を施せば、ブルージーンズ調の外観を実現することができる。その他にも凹凸形状のパターンを変更することで皮革調や木目調なども表すことができ、模様だけでなく素材をデザインすることができる。
【0030】
第1加飾層5の変形例〔図4(B)〜図4(E)〕
第1実施形態のキーシート1では、図4(A)で示すように、第1加飾層5は、表皮層4の全裏面に施されており、膜厚が表皮層4の凹部における底付近で厚く表皮層4の凸部に向かって次第に薄くなり凸部を覆う部分で最も薄く形成され、裏面が凹凸面である例を示したが、次に説明するように、第1加飾層を変形することができる。
【0031】
第1加飾層の第1変形例〔図4(B)〕
図4(B)で示すように、第1変形例の第1加飾層11は、表皮層4の凹部内に施されており、膜厚が表皮層4の凹部における底付近で厚く表皮層4の凸部に向かって次第に薄く形成され、裏面を凹面とすることができる。
【0032】
第1加飾層の第2変形例〔図4(C)〕
図4(C)で示すように、第2変形例の第1加飾層12は、表皮層4の全裏面に施されており、膜厚が表皮層4の凹部における底付近で厚く表皮層4の凸部に向かって次第に薄くなり凸部を覆う部分で最も薄く形成され、裏面を平坦面とすることができる。
【0033】
第1加飾層の第3変形例〔図4(D)〕
図4(D)で示すように、第3変形例の第1加飾層13は、表皮層4の凹部内を埋めるように施されており、膜厚が表皮層4の凹部における底付近で厚く表皮層4の凸部に向かって次第に薄く形成され、裏面を平坦面とすることができる。
【0034】
第1加飾層の第4変形例〔図4(E)〕
図4(E)で示すように、第3変形例の第1加飾層14は、表皮層4の凹部内に施されており、膜厚が表皮層4の凹部における底付近で厚く表皮層4の凸部に向かって次第に薄く形成され、裏面を平坦面とすることができる。
【0035】
第2加飾層6の変形例〔図4(F)〕:
第1実施形態のキーシート1では、第2加飾層6の裏面を平坦面に形成する例を示したが、図4(F)で示すように、変形例の第2加飾層15は裏面を凹凸面とすることができる。本変形例は第1加飾層5と第2加飾層15とを薄く形成したもので、接着層16の表裏面及び多孔層17の表面も凹凸面に形成される。このようにすれば、ソフトッフィール層を薄くすることができ、薄型のキーシートを実現することができる。
【0036】
第2実施形態〔図5〕
第2実施形態のキーシート18を図5に示す。図5はキーシート18の断面図を示す。第2実施形態のキーシート18が第1実施形態のキーシート1と異なるのは、ソフトフィール層19の構成である。即ち、ソフトフィール層19では、表皮層4と第1加飾層5との間にメジウム層20が施されている。残余の構成はキーシート1と同じである。
【0037】
メジウム層20は表皮層4の裏面に印刷形成され、表皮層4の裏面に形成されている凹凸形状の起伏の高低差を小さくする層である。このメジウム層20は透明で軟質な高分子材料によって、不均一な層厚に形成されている。つまりメジウム層20の膜厚は、表皮層4の凹部の底付近が厚く、凹部から凸部に向かって次第に薄くなり、そして凸部を覆う膜厚が最も薄く形成されている。このようにメジウム層20の裏面は凹凸形状に形成されているが、前述のような層厚構成であるため、メジウム層20における起伏の高低差tは表皮層4における起伏の高低差tより小さい(図6)。
メジウム層20の材質は、表皮層4に対し塗工できるインキや塗料を使用することができる。
【0038】
キーシート18の製造は、先ず、離型シートや金型を用いて表皮層4の表裏面に凹凸形状を転写成形する。この表皮層4の裏面に、メジウム層20、第1加飾層5、第2加飾層6を順次に印刷形成する。最後に、第2加飾層6の裏面と多孔層7の表面、及び多孔層7の裏面と基材シート2の表面を接着層10で固着する。こうして、キーシート18を得る。
【0039】
キーシート18によれば、メジウム層20が表皮層4の裏面側に形成される凹凸面の起伏の高低差を小さくするため、第1加飾層5の縁部を滲み難くすることができ、第1加飾層5を正確に設けることができる。そしてメジウム層20が透明であるため第1加飾層5の色合いが惚けることがなく、またメジウム層20が軟質であるためソフトタッチ感が損なわれることも回避することができる。
【0040】
第3実施形態〔図7〕
第3実施形態のキーシート21を図7に示す。図7はキーシート21の断面図を示す。第3実施形態のキーシート21が第2実施形態のキーシート18と異なるのは、ソフトフィール層22における第1加飾層23と第2加飾層24との構成である。残余の構成はキーシート18と同じである。
【0041】
第1加飾層23は表示要素を表す表示部8b及び押圧操作部9を囲む仕切線8cを表している。そしてこの第1加飾層23はメジウム層20の裏面に不均一な層厚で形成されている。つまり第1加飾層23の膜厚は、メジウム層20の凹部の底付近が厚く、凹部から凸部に向かって次第に薄くなり、そして凸部を覆う膜厚が最も薄く形成されている。
【0042】
第2加飾層24は背景部8aを表している。そして本実施形態の第2加飾層24は金属箔を含有する塗料で形成された「金属光沢層」としてある。
【0043】
キーシート21の製造は、先ず、離型シートや金型を用いて表皮層4の表裏面に凹凸形状を転写成形する。この表皮層4の裏面に、メジウム層20、第1加飾層23、第2加飾層24を順次に印刷形成する。最後に、第2加飾層24の裏面と多孔層7の表面と、多孔層7の裏面、及び基材シート2の表面を接着層10で固着する。こうして、キーシート21を得る。
【0044】
キーシート21によれば、第2加飾層24が「金属光沢層」であるため、外観上は金属調を表し、押圧操作の際にはソフトタッチ感が得られる斬新なデザインを実現することができる。
【0045】
第4実施形態〔図8〕
第4実施形態のキーシート25を図8に示す。図8はキーシート25の断面図を示す。第4実施形態のキーシート25が第2実施形態のキーシート18と異なるのは、ソフトフィール層26の構成である。即ち、本実施形態では仕切線を第1加飾層や第2加飾層で表すのではなく、ソフトフィール層26の肉厚を貫通する貫通孔27としている点である。このソフトフィール層26は、表面側から表皮層28、メジウム層29、第1加飾層30、第2加飾層31、多孔層32が順次に積層している。残余の構成はキーシート18と同じである。
【0046】
キーシート25の製造は、第2実施形態のキーシート18と同様に、貫通孔27の無いソフトフィール層26と基材シート2を形成し、次に、表皮層28の上から刃を当てて、表皮層28、メジウム層29、第1加飾層30、第2加飾層31、多孔層32、接着層33とを貫く貫通孔27を形成する。こうしてキーシート25を得る。
【0047】
キーシート25によれば、仕切線としての貫通孔27を有するため、表示要素を貫通孔27によって区切ることができ、隣接する表示要素を区切ることや押圧操作部分を明確に視認することができる。さらに「仕切線」を触感でも区別することができる。
【0048】
第5実施形態〔図9〕
第5実施形態のキーシート34を図9に示す。図9はキーシート34の断面図を示す。第5実施形態のキーシート34が第4実施形態のキーシート25と異なるのは、ソフトフィール層35の構成である。即ち、本実施形態では表皮層36の縁部分が延伸し、メジウム層29、第1加飾層30、第2加飾層31、多孔層32、接着層33の各縁部の側面を被覆する保護部36aが設けられている。残余の構成はキーシート25と同じである。
【0049】
キーシート34の製造は、第4実施形態のキーシート25と同様に、貫通孔27の無いソフトフィール層35と基材シート2を形成し、その後、表皮層36側から熱圧着法又は超音波融着法を用いてソフトフィール層35を押圧し、メジウム層29と、第1加飾層30、第2加飾層31、多孔層32、接着層33を切断しつつ、これらの層の縁を表皮層36の保護部36aで覆わせながら貫通孔27を形成する。こうしてキーシート34を得る。
【0050】
キーシート34によれば、多孔層32における縁部の側面に、保護部36aを有するため、多孔層32が外部に露出せず、多孔層32の耐久性を高めることができる。
【0051】
第6実施形態〔図10〕
第6実施形態のキーシート37を図10に示す。図10はキーシート37の断面図を示す。第6実施形態のキーシート37が第4実施形態のキーシート25と異なるのは、基材シート2の裏面にEL部材38を備える構成である。そして本実施形態では、基材シート2と第2加飾層31が透光性を有している。残余の構成はキーシート25と同じである。
【0052】
キーシート37の製造は、第4実施形態のキーシート25と同様に、基材シート2とソフトフィール層26とを備えるキーシートを形成し、その後、基材シート2の裏面にEL部材38を図外の透光性接着剤で固着する。こうしてキーシート37を得る。なお、本実施形態では接着剤でEL部材38を基材シート2の裏面に固着しているが、基材シート2の裏面に直接EL部材38を印刷形成することもできる。
【0053】
キーシート37によれば、バックライト光で照光させると、基材シート2と貫通孔27を通じての透過光の輝度と第2加飾層31の表示部8aからの透過光の輝度とに差異を設けることができる、そのため、照光性に特徴のあるデザインを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1実施形態のキーシートを示す平面図。
【図2】図1のSA−SA線断面図。
【図3】図1のSB−SB線断面図。
【図4】第1加飾層、第2加飾層を説明する部分拡大断面図。
【図5】第2実施形態のキーシートを示す図4相当の断面図。
【図6】メジウム層、第1加飾層、第2加飾層を説明する部分拡大断面図。
【図7】第3実施形態のキーシートを示す図4相当の断面図。
【図8】第4実施形態のキーシートを示す図4相当の断面図。
【図9】第5実施形態のキーシートを示す図4相当の断面図。
【図10】第6実施形態のキーシートを示す図4相当の断面図。
【符号の説明】
【0055】
1 キーシート(第1実施形態)
2 基材シート
3 ソフトフィール層
4 表皮層
5 第1加飾層
6 第2加飾層
7 多孔層(軟質層)
8a 背景部
8b 表示部
8c 仕切線
9 押圧操作部
10 接着層
11 第1加飾層(第1変形例)
12 第1加飾層(第2変形例)
13 第1加飾層(第3変形例)
14 第1加飾層(第4変形例)
15 第2加飾層(変形例)
16 接着層(変形例)
17 多孔層(変形例)
18 キーシート(第2実施形態)
19 ソフトフィール層
20 メジウム層
21 キーシート(第3実施形態)
22 ソフトフィール層
23 第1加飾層
24 第2加飾層
25 キーシート(第4実施形態)
26 ソフトフィール層
27 貫通孔(仕切線)
28 表皮層
29 メジウム層
30 第1加飾層
31 第2加飾層
32 多孔層
33 接着層
34 キーシート(第5実施形態)
35 ソフトフィール層
36 表皮層
36a 保護部
37 キーシート(第6実施形態)
38 EL部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートと、該基材シートの表面側に積層され柔らかな手触り感を有するソフトフィール層と、を備えるキーシートにおいて、
ソフトフィール層が、
柔らかな触感の表面と、傾斜面で構成される凹凸形状の裏面と、を有する透光性の表皮層と、
該表皮層の裏面側に施され、前記凹凸形状における凹部内の層厚が不均一な第1加飾層と、
該第1加飾層の裏面側に施され、その第1加飾層とは異色の第2加飾層と、
該第2加飾層の裏面側に施される軟質層と、
を備えることを特徴とするキーシート。
【請求項2】
表皮層の裏面に、前記凹凸形状の起伏の高低差を小さくする透明で軟質なメジウム層を設ける請求項1記載のキーシート。
【請求項3】
第1加飾層が、文字、数字、記号などの表示要素を示す表示層であり、
ソフトフィール層が、表示要素を区切る仕切線としての貫通孔を有する請求項1または請求項2記載のキーシート。
【請求項4】
第2加飾層が、金属を備える金属光沢層である請求項1〜請求項3何れか1項記載のキーシート。
【請求項5】
軟質層が多孔層であり、
該多孔層における縁部の側面に、該側面を被覆する保護部を設ける請求項1〜請求項4何れか1項記載のキーシート。
【請求項6】
基材シート及び第2加飾層が透光性であり、
基材シートの裏面に、さらにEL部材を備える請求項1〜請求項5何れか1項記載のキーシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−10019(P2010−10019A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169946(P2008−169946)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000237020)ポリマテック株式会社 (234)
【Fターム(参考)】