説明

キーボタン

【課題】光を透過する材料で文字部を形成し、光をほぼ遮蔽する材料を用いて文字部の周りを覆っても、文字を認識しやすい、キーボタンを提供する。
【解決手段】本発明のキーボタン4は、文字部Aが設けられた表示面と、表示面に対して交差する方向に延びる側面とを有する。さらに、表示面と側面を形成する、光を透過させる材料で形成された透過部6と、透過部の、表示面の文字部以外の部分のみを覆っている、光を遮蔽する材料で形成された遮蔽部7とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器などに使われるキーボタンに関する。
【背景技術】
【0002】
通信機器、特に電話機やFAXなど、家庭で使われる通信機器などは、通信機器自体の機能や性能だけではなく、そのデザイン性も重要視される。電話機を一例にすると、電話を掛けるときに押すキーボタンは、デザイン性を向上させるためにさまざまな工夫がなされている。その一例として、キーボタンの、1、2、・・・などの数字を表記する文字部に光を透過させる材料を使用し、文字部の周りには光を透過させづらい材料を使用して二色射出成形により透過部と遮蔽部をそれぞれ成形する。このようにすることで、キーボタンの内側からバックライトの光を照射すると、キーボタンの内側から文字部を透過して光が外部に放射されるので、文字部を浮き上がらせることができる(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−338183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法などで二色射出成形されたキーボタンでは、遮蔽部として黒色の材料など、光をほぼ遮蔽する材料が用いられると、バックライトを使用していない状態では問題が生じる。この問題について、図2に示す関連技術を参照して以下に説明する。
【0005】
図2は、関連技術の一例のキーボタンの概略構成図である。図2(a)は上面図、図2(b)は図2(a)のYY’断面の概略図である。
【0006】
基板11上にラバーコンタクトスイッチ12が設けられ、ラバーコンタクトスイッチ12のスイッチ部13上に、キーボタン14が設けられている。キーボタン14はハウジング15に囲まれている。キーボタン14は、中空であり、外部に向かって(中空部とは逆向きに)突出する文字部Bを有し、光を透過する材料からなる立体である透過部16と、透過部16の周りを、文字部Bを除いて覆っている遮蔽部17とを有する。ここで、遮蔽部17として、光をほぼ遮蔽する色、例えば黒い色の材料を用いると、キーボタン14の外部からの光は、遮蔽部17に遮られ、キーボタン14の内部に進入できない。そのため、キーボタン14の外部から内部に進入し、キーボタン14の内部で反射し、文字部Bから外部に放出される光がほとんどない。その結果、バックライト18を使用していない場合は、文字部Bが周りの黒色の遮蔽部17と同化してしまい、文字部Bを認識しにくいという問題があった。
【0007】
本発明は、上述した課題である、光を透過する材料で文字部を形成し、光をほぼ遮蔽する材料を用いて文字部の周りを覆うと、文字認識がしづらいという問題を解決する、キーボタンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のキーボタンは、文字部が設けられた表示面と、表示面に対して交差する方向に延びる側面とを有する。また、表示面と側面を形成する、光を透過させる材料で形成された透過部と、透過部の、表示面の文字部以外の部分のみを覆っている、光を遮蔽する材料で形成された遮蔽部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、バックライトを使用していないときでも、キーボタンの文字を認識しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るキーボタンの一実施形態の概略構成図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のXX’断面の断面図である。
【図2】関連技術の一例のキーボタンの概略構成図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のYY’断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0012】
図1は、本発明に係るキーボタンの一実施形態を示す概略構成図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のXX’断面の断面図である。
【0013】
基板1上には、ラバーコンタクトスイッチ2が設けられている。ラバーコンタクトスイッチ2は、基板1とは逆の方向に突出するスイッチ部3を有している。そして、スイッチ部3の上には、中空の立体であり、スイッチ部3とは逆方向、つまり外部に向かって(中空部とは逆向きに)突出する文字部Aを有し、光を透過する材料で構成された透過部6と、光をほぼ遮断する材料で構成され、透過部6の文字部Aが形成された面の、文字部A以外の部分を覆う、遮蔽部7とで構成されるキーボタン4が設けられている。キーボタン4はハウジング5により囲まれている。この文字部Aが設けられた面が、ユーザに文字を認識させるための表示面となる。また、キーボタン4の内部には、LED(Light Emitting Diode)などのバックライト8が設けられている。
【0014】
キーボタン4は、ハウジング5に囲まれているため、キーボタン4の文字部Aを有する面に対して水平方向の動きが制限され、垂直方向に移動可能となっている。キーボタン4がユーザに押されると、キーボタン4がラバーコンタクトスイッチ2のスイッチ部3を基板1側に押し込むことになる。そして、図示しないが、スイッチ部3内のコネクタと基板1のコネクタとが接触し、信号が送られる。
【0015】
次に、キーボタン4について詳細に説明する。
【0016】
上述したように、関連技術のキーボタン14は中空であり、かつ外部に向かって突出した文字部Bを有する立体の透過部16の周りを、文字部Bを除いて遮蔽部17で覆われていた。
【0017】
それに対し本発明のキーボタン4の遮蔽部7は、透過部6の文字部Aが形成されている面の、文字部A以外の部分を覆うようにする。従って、透過部6の文字部Aが形成されている面以外の面は、遮蔽部7に覆われていない。また、透過部6の遮蔽部7と接している面は、ハウジング5の基板1とは反対側の面、つまり外面よりも高い位置にする。従って、表示面に対して交差する方向(図1に示す例では直交する方向)に延びる側面の一部が、遮蔽部7にもハウジング5にも覆われずに露出している。この部分がキーボタン4の透過部6の内部に外部から光が進入する入り口となる。
【0018】
遮蔽部7の、透過部6と接している面(下面)と、透過部6と接している面と反対の面(上面)とが平行になるようにしてもよいが、図1(b)のC部に示すように、遮蔽部7の外周側の端部においては、遮蔽部7の下面が上面側に屈折している方がより好ましい。
【0019】
なお、光を透過する材料は、透明な樹脂材料でよく、光をほぼ遮蔽する材料とは、黒色の樹脂材料でよい。ただし、これに限定されることはない。
【0020】
以上で説明した構成を有するキーボタン4では、前記した透過部6の側面の一部、すなわち、表示面と直交する方向において、透過部6の遮蔽部7の接している面と、ハウジング5の外面との間に、キーボタン4の外部から光が進入可能な部分が形成されている。
【0021】
図1(b)の矢印で示すように、キーボタン4の外部から内部に光が進入することができ、キーボタン4の内部で反射した光を、文字部Aからキーボタン4の外部に放出することができる。したがって、バックライト8を使用していないときでも、上述の関連技術のキーボタン14のように、バックライト18を使用していないと文字部Bを認識するのが困難になるという問題を防止することができる。さらに、遮蔽部7の文字部Aとは反対側の端部において、遮蔽部7の下面が上面側に屈折するようにすると、キーボタン4の外部からの光がよりキーボタン4の内部に進入しやすくなっているため、バックライト8を使用していないときでも、文字部Aをさらに認識しやすくなる。
【0022】
以上の構成により、本発明のキーボタン4は、遮蔽部7が黒色などの光を大幅に遮蔽する色を有していても、キーボタン4の外部から内部に光が進入し、キーボタン4の内部で反射した光を文字部Aから放出させることができるので、バックライト8を使用していないときでも、文字部Aを認識することが可能となる。
【0023】
なお、本実施形態の説明ではキーボタン4の透過部6は中空の構造であったが、中実にし、バックライト8をキーボタン4の内部ではなく背後に設けるようにしてもよい。また、文字部Aを透過部6の表面から突出させるのではなく、透過部6の文字部Aを設ける面も平面にし、文字部Aの部分のみ遮蔽部7で覆わないようにし、文字部Aを形成してもよい。
【0024】
また、本発明のキーボタン4は、特殊な製造装置を用いることはなく、通常の射出成形機で、二色成形を行い、成形することが可能なので、製造コストが大幅に増加することがない。さらに、本発明のキーボタン4を、二色成形以外の方法で形成しても構わない。
【0025】
本発明のキーボタン4は、電話機などの通信機器用のキーボタンに限定されるものではなく、本発明のキーボタン4を適用できるものであるならばいずれであっても構わない。
【符号の説明】
【0026】
1 基板
2 ラバーコンタクトスイッチ
3 スイッチ部
4 キーボタン
5 ハウジング
6 透過部
7 遮蔽部
8 バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの面に文字部が設けられたキーボタンであり、
前記文字部が設けられた表示面と、表示面に対して交差する方向に延びる側面とを有し、
前記表示面と前記側面を形成する、光を透過させる材料で形成された透過部と、
前記透過部の、前記表示面の前記文字部以外の部分のみを覆っている、光を遮蔽する材料で形成された遮蔽部と、を有する、キーボタン。
【請求項2】
前記キーボタンの前記透過部は、内部にバックライトが設けられた中空部を有し、前記文字部は前記中空部とは逆向きに前記透過部の表面から突出して形成されている、請求項1に記載のキーボタン。
【請求項3】
前記文字部の設けられている面の外周端部において、前記遮蔽部の前記透過部と接している面は、前記透過部と接している面と反対の面側に屈折している、請求項1または2に記載のキーボタン。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のキーボタンを有する機器であって、
前記キーボタンは、ハウジングに囲まれており、
前記表示面に対して直交する方向において、前記透過部の前記遮蔽部と接している面が、前記ハウジングの外面よりも外側に位置している、キーボタンを有する機器。
【請求項5】
表示面と、表示面に対して交差する方向に延びる側面とを有し、文字部が前記表示面に設けられているキーボタンの文字表示方法であって、
前記表示面に設けられた前記文字部と前記側面とを、光を透過させる材料で形成しておき、前記表示面の前記文字部以外の部分を、光を遮蔽する材料で覆い、
前記キーボタンの外部の光を、前記側面の透過部から進入させて、前記表示面の前記文字部から放出させる、キーボタンの文字表示方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−171106(P2011−171106A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33592(P2010−33592)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】