キーボードおよび電子機器
【課題】 部品点数を少なくしてキーボードの組立性の向上を図ることができ、また、キー押下圧を小さくすることができ、さらに、キー押下圧のばらつきを小さくして、スカート部分を偏心構造にしなくて済むキーボードおよびそのキーボードを有する電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】 ケース9に回動自在に支持されたキートップ14を有するキーボードであって、キートップ14を軸支させる軸芯13と、ケース9に軸芯13を固定するためにケース9に配置した複数の固定部11,12と、キートップ14を軸芯13に軸支させるためキートップ14に配置したつめ部18,19と、を有し、軸芯13に複数のキートップ14を軸支しており、被押圧部6に接触する押圧部20の接触部21、或いは押圧部に接触する被押圧部の接触部を半球状または半円柱状に形成する。
【解決手段】 ケース9に回動自在に支持されたキートップ14を有するキーボードであって、キートップ14を軸支させる軸芯13と、ケース9に軸芯13を固定するためにケース9に配置した複数の固定部11,12と、キートップ14を軸芯13に軸支させるためキートップ14に配置したつめ部18,19と、を有し、軸芯13に複数のキートップ14を軸支しており、被押圧部6に接触する押圧部20の接触部21、或いは押圧部に接触する被押圧部の接触部を半球状または半円柱状に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキーボードおよびキーボードを有する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器などに用いられている薄型のキーボードは、現在パンタグラフ構造のキーボードが主流である。しかし、パンタグラフ構造のキーボードは、ストロークが大きく携帯機器に使用されているもので2.5mm程度ある。また、構造が複雑なので、部品点数が多くなり、組み立て性が悪い。パンタグラフ構造のキーボードに比べ部品点数を減らしたキーボードとして、基板に回動自在に軸支されたスタビライザーにキートップを取り付けた構造のピアノタッチ式のキーボードが開示されている(特許文献1参照)。このようなキーボードでは、キートップを押して回動させることで、キートップに形成された押圧部(垂設部)がその下の弾性変形部を押圧し、弾性変形部の下に配置されたスイッチ回路が接続される。
【特許文献1】特開2005−93129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の技術では、キーボードの各キーごとに独立した部品を用いて構成しているので、キーの数が増れば増るほど部品点数が多くなる。部品点数が多ければ、そのキーボードの組み立て工数が多くなり、組み立て性が悪くなる。
【0004】
また、従来の技術では、キートップに形成された押圧部と被押圧部である弾性変形部が面接合されており、押圧部と弾性変形部との接触面積が広いため、キートップを押して回動させるときのキー押下圧が大きくなる。これは、押圧部と弾性変形部との接触面積が広いと、その接触面での摩擦が大きくなることによるものである。
【0005】
さらに、キートップを回動させる構成のキーボードでは、キートップの押圧部が弾性変形部を平行に押すわけではないため、キートップを押し下げる際のキー押下圧にばらつきが生じる。特に、キートップに形成された押圧部と弾性変形部とが面接合されている場合、キー押下圧のばらつきは大きくなる。このように、キー押下圧のばらつきが大きい場合、弾性変形部の接触面の周囲に形成されたスカート部分を偏心構造にする必要がある。つまり、キートップ回転軸に近い側のスカート部分の幅を広くし、その反対側(回転軸に遠い側)の幅を狭くする必要がある。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、部品点数を少なくしてキーボードの組み立て性の向上を図ることができ、また、キー押下圧を小さくすることができ、さらに、キー押下圧のばらつきを小さくして、スカート部分を偏心構造にしなくて済むキーボードおよびそのキーボードを有する電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、ケースに回動自在に支持されたキートップを有し、該キートップを押して回動させることで、該キートップの裏面に垂設された押圧部で、該押圧部の下方に配置された被押圧部を押圧し、該被押圧部の下方に配置されたスイッチ回路を接続させるキーボードであって、前記キートップを軸支させる軸芯と、前記ケースに前記軸芯を固定するために前記ケースに配置した複数の固定部と、前記キートップを軸芯に軸支させるため前記キートップに配置したつめ部と、を有し、前記軸芯に複数のキートップを軸支しており、前記被押圧部に接触する前記押圧部の接触部を半球状または半円柱状に形成することを特徴とするキーボードである。
【0008】
請求項2記載の発明は、ケースに回動自在に支持されたキートップを有し、該キートップを押して回動させることで、該キートップの裏面に垂設された押圧部で、該押圧部の下方に配置された被押圧部を押圧し、該被押圧部の下方に配置されたスイッチ回路を接続させるキーボードであって、前記キートップを軸支させる軸芯と、前記ケースに前記軸芯を固定するために前記ケースに配置した複数の固定部と、前記キートップを軸芯に軸支させるため前記キートップに配置したつめ部と、を有し、前記軸芯に複数のキートップを軸支しており、前記押圧部に接触する前記被押圧部の接触部を半球状または半円柱状に形成することを特徴とするキーボードである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のキーボードにおいて、前記押圧部に接触する前記被押圧部の接触部にプレートを設けることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項3に記載のキーボードにおいて、前記押圧部に接触する前記被押圧部の接触部は、前記押圧部の接触部が当接する平面を有し、該平面は、前記スイッチ回路が形成された基板面に対して傾斜されていることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項2に記載のキーボードにおいて、前記被押圧部に接触する前記押圧部の接触部は、前記被押圧部の接触部が当接する平面を有し、該平面は、前記スイッチ回路が形成された基板面に対して傾斜されていることを特徴としている。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のキーボードを有することを特徴とする電子機器である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るキーボードおよび電子機器によれば、部品点数を少なくしてキーボードの組み立て性の向上を図ることができ、また、キー押下圧を小さくすることができ、さらに、キー押下圧のばらつきを小さくして、スカート部分を偏心構造にしなくて済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るキーボードおよび電子機器の第1,第2の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態におけるキーボードの断面図である。
【0016】
図1に示すように、基板1は電子回路基板であり、基板1にはスイッチパターン2や電子回路が実装されている。基板1は、ゴム製のラバースイッチ3によって覆われている。ラバースイッチ3は、スカート部4と、導通部5と、被押圧部6と、板部7とから構成されている。被押圧部6に矢印8で示す方向に力が加わると、スカート部4が変形し被押圧部6が矢印8で示す方向に移動する。導通部5はカーボン印刷がされ、導電性の膜が形成されている。被押圧部6が基板1に当接する部分には、スイッチパターン2が形成されていて、導通部5がこのスイッチパターン2をショートさせ信号を変化させる。スカート部4は被押圧部6に連続して設けられ、肉薄になっている。スカート部4は弾性があり、定常状態では被押圧部6と基板1との間に空間ができている。被押圧部6に力が加わり、被押圧部6が移動するとスカート部4は変形し、被押圧部6に加わる力がなくなるとスカート部4は元の形状に戻る。ラバースイッチ3は、ケース9と基板1により挟まれ、特に板部7が押さえられ固定されている。
【0017】
ケース9には、ストッパー受け部10、第一の固定部11、第二の固定部12がある。第一の固定部11、第二の固定部12は対になって軸芯13を挟みつけ固定する。軸芯13は金属製又は、硬質材料で、断面が円の柱状体、またはワイヤーを用いる。キートップ14にはストッパー15が設けられている。このストッパー15はストッパー受け10と対向するように設け、キートップ14がラバースイッチ3の力で押し戻されると当接する。第一端部16と第二端部17はキートップ14の端部に位置し、キーの押し易さのために、軸芯13からの距離が遠い第一端部16の方が第二端部17より凸状に高くなっている。又は、第一部端と第二部端が、同じ高さである平坦なキーでも良い。第一のつめ部18と第二のつめ部19はキートップ14の裏側に設けられ、軸芯13を挟み込んで軸支する。
【0018】
図2は、第1の実施の形態におけるキーボードの押圧部20の斜視図である。図2において、図1と同じものには同じ符号をつけている。
図1,図2に示すように、押圧部20はキートップ14の裏側に凸状に垂設された部位であり、その先端面(下端面)には、半球状の突起21(接触部)が形成されている。半球状の突起21は、押圧部20の先端面の中央に形成されており、キートップ14(押圧部20)と一体成形されてなるものである。一方、半球状の突起21に接触する被押圧部6の接触部(上端)には、平坦なプレート22が設けられている。プレート22は、ラバースイッチ3と比較して硬い材質の材料からなり、例えばプラスチックなどからなる。また、被押圧部6の先端、つまりプレート22の上面は、平らな平面(被接触面)になっており、キートップ14がストッパー15とストッパー受け10が当接して止まる位置にあるとき、半球状の突起21は被押圧部6の被接触面に接触する。このとき、ラバースイッチ3の反発力により矢印8とは逆向きに力が加わっている。また、このとき、なるべく力の加わり方を均等にするために、被押圧部6(プレート22)の被接触面は、スイッチパターン2が形成された基板1の平面(基板面)に対して傾斜されている。具体的には、被押圧部6の被接触面の傾き角度は、軸13を中心とした法線の角度とする。
【0019】
また、ケース9に停止台25、キートップ14の端部に停止面26、を設けることで、ストッパー15とストッパー受け10の代わりにすることができる。つまり、所定の位置まで角度が戻ると停止台25と停止面26が当接して停止する。こうすると、かぎ状のストッパー15より肉厚を厚くとることができるので、丈夫に作ることができる。
【0020】
このような形態にすることで、キーストロークを小さくすることができる。例えば、本実施の形態では、キーストロークが0.6mmから0.8mmのキーボードを実現した。
【0021】
図3は、第1の実施の形態におけるキーボードのキーの正面方向からの断面図である。図3において、図1,図2と同じものには同じ符号をつけている。
【0022】
図3に示すように、第二の固定部12は、図1に示す第一の固定部11と対を成す部位であり、第一の固定部11と対になってケース9に軸芯13を固定するものである。第二のつめ部19は、図1に示す第一のつめ部18と対を成す部位であり、第一のつめ部18と対になって軸芯13に取り付けるためのつめである。また、第二のつめ部19は、第二の固定部12の両側にそれぞれ設けられている。なお、第二のつめ部19は第二の固定部12の内側又は外側の何れか一方に設けられていても良く、第二のつめ部19を第二の固定部12の外側に設けることでキーの外側方向のがたつきが少なくなる。なお、第一の固定部11と第一のつめ部18についても、上記した第二の固定部12と第二のつめ部19の構成と同様である。また、これら第一、第二のつめ部18,19はキーの位置あわせの効果ももつ。
【0023】
図4は、第1の実施の形態におけるキーボードのケースの斜視図である。図4において、図1〜図3と同じものには同じ符号をつけている。また、説明のため本来複数あるケース9の固定部を1対のみ図示し説明する。
【0024】
図4に示すように、ケース9に穴27をキーボードの列だけ設ける。この穴は軸芯13を固定するための穴である。スイッチ窓28は貫通孔である。このスイッチ窓28の貫通孔にラバースイッチ3の被押圧部6やスカート部4を通す。軸下窓29は第一の固定部11と第二の固定部12の間にある貫通孔である。この軸下窓29から軸芯13があるかないか確認ができる。ケース9の裏返の作業する工程で、軸芯の有無を確認する事が出来る。枕部30は軸芯13をケース9から少し浮かせた状態にするための凸部であり、枕部30の上面に軸芯13が当接し、軸芯13を安定して押さえることができるようになる。
【0025】
また、枕部30を設けず、ケース9にキートップ14のつめ部が当たるところに穴を設けることでも対応できる。そうすると、軸芯13はケース9に接することになり、薄型化がさらに可能となる。さらにはケース9の中に軸芯13を埋め込み、つめ部で軸芯13を軸支する場所に貫通工を設けることもできる。そうするとさらに薄型化ができる。
【0026】
図5は、第1の実施の形態におけるキーボードのケースの断面図であり、図4の一点鎖線XYで切断したときの断面図である。図5において、図1から図4と同じものには同じ符号をつけている。
【0027】
図5に示すように、キーの高さt1は、ケース9からキートップ14の頂上までの高さであり、約1.0mmである。なお、キーの高さt1は、0.5mmから1.5mm程度が使いやすい高さである。脇から見てもキーがあることが確認でき、あまり飛び出していないので、落としたときなどにも、ぶつかることも少ないのでキートップが外れにくい。
【0028】
図6は、第1の実施の形態におけるキーボードのキー構造を模式的にした斜視図である。図6において、図1から図5と同じものには同じ符号をつけている。
【0029】
図6に示すように、ケース9上に第一の固定部11と第二の固定部12の対が2組ある。ここに軸芯13を挿入方向33の矢印で示した方向に押し入れる。第一の固定部11と第二の固定部12は双方一時的にたわんで軸芯13を挟み込む。キートップ組み方向34の矢印の方向にキートップ14をケース9に固定された軸芯13にはめ込む。第一のつめ部18と第二のつめ部19は一時的にたわんで軸心13を挟み込む。このようにして簡単にキートップ14を取り付けることができる。スタビライザーなどを各キーごとにセットしなくてすむので組み込み性が改善されている。
【0030】
図7は、第1の実施の形態におけるキーボードのキートップの斜視図である。図7において、図1から図6と同じものには同じ符号をつけている。
【0031】
図7に示すように、キートップ14の端部にストッパー15を設けてある。このストッパー15によりキートップ14の回動の角度が制限される。ストッパー15の幅は、キートップ14の幅に合わせることもできる。キー凸部35はキートップの上面端部に設けた軸芯13と略平行な凸部である。軸芯と略平行にすることで、キートップ14の回動方向に指を先導しやすくなる。また、部分的に凸部を設けることで、キーを認識しやすくなるので、隣り合うキーを重複して押すことが少なくなる。
【0032】
上記した構成からなるキーボードによれば、キーボードを構成する部品点数が少ないので小型化に好適である。従来の技術のキーボードでは部品点数が多く、小型化した場合、部品自体も小型化するので、プラスチックの成型や組み立てが難しくなる。小型化した場合、なるべく部品点数の削減が望まれる。また、軸芯13にキートップ14を系合させるのに、固定部11,12を挟み込むようにつめ部18,19を設けることでキートップ14の位置が固定され、また、部品点数が少なくなる事で、部品同士の結合箇所が減る為、各部品の取付クリアランスが少なくなる事で、ぐらつきの防止にもなる。また、ストッパー15を設けることで、ラバースイッチ3からの反発力とストッパー15での当接とでキーのぐらつきの防止にもなっている。
【0033】
また、上記した構成からなるキーボードによれば、押圧部20の下端面に半球状の突起21があり、被押圧部6に接触する押圧部20の接触部が半球状に形成された構成になっているため、押圧部20と被押圧部6との接触が点接触になる。これによって、押圧部20と被押圧部6との接触部における摩擦が小さくなり、キー押下圧が小さくなる。また、押圧部20と被押圧部6との接触が点接触になると、キートップ14を回動させて押し下げる際のキー押下圧のばらつきが小さくなるため、スカート部4を偏心構造にしなくて済む。これによって、ラバースイッチ3の単価が高くなることがなく、コストアップを抑えることができる。
【0034】
さらに、上記した構成からなるキーボードによれば、押圧部20の半球状の突起21に接触する被押圧部6の接触部に、硬い材質の材料からなるプレート22を設けた構成になっているため、押圧部20の半球状の突起21が、被押圧部6の被接触面を押圧する際、被押圧部6は、突起21に接触した箇所が陥没せず、確実に押し下げられる。これによって、キートップ14が押されたときに、導通部5を確実にスイッチパターン2に接続させることができる。
【0035】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する第2の実施の形態のうち上記した第1の実施の形態と同様な構成についてはその説明を省略する。
図8は、第2の実施の形態におけるキーボードの断面図であり、図9は第2の実施の形態における被押圧部の斜視図である。図8において、図1と同じものには同じ符号をつけている。
【0036】
図8,図9に示すように、押圧部20の先端面22´(下端面)は平坦である。一方、平坦な押圧部20の先端面に接触する被押圧部6の接触部(上端)には、半球状の突起21´が形成されている。押圧部20の先端(下端)は、平らな平面(先端面22´)になっており、キートップ14がストッパー15とストッパー受け10が当接して止まる位置にあるとき、半球状の突起21´は押圧部20の先端面22´に接触する。また、このとき、なるべく力の加わり方を均等にするために、押圧部20の先端面22´は、スイッチパターン2が形成された基板1の平面(基板面)に対して傾斜されている。具体的には、押圧部20の先端面22´の傾き角度は軸13を中心とした法線の角度とする。
【0037】
上記した構成からなるキーボードによれば、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0038】
次に、上記した構成からなるキーボードを有する電子機器について説明する。
図10は、本発明のキーボードを有する電子機器の斜視図である。
【0039】
図10に示すように、電子機器の筐体は、第一の筐体45、第二の筐体46の2体構造で、ヒンジ部47で二つに折れるような構造である。第一の筐体45内には表示部48や電子回路が収められ、第二の筐体46にはキーボード49や電子回路や電池が収められている。このような、PDA、パソコン、携帯電話、電子辞書などのキーボードとして用いることができる。
【0040】
以上、本発明に係る第1、第2の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した第1の実施の形態では、押圧部20の先端面に半球状の突起21が形成されており、上記した第2の実施の形態では、被押圧部6の先端面に半球状の突起21´が形成されているが、本発明は、半球状の突起21,21´に代えて半円柱状の突起を形成してもよい。
【0041】
図11は、本発明の押圧部の他の例を示す斜視図であり、図12は、本発明の被押圧部の他の例を示す斜視図である。
図11,図12に示すように、押圧部6の先端面、或いは被押圧部6の先端面には、半円柱状の突起121,121´が形成されている。この突起121,121´は、キートップ14の回動軸(軸芯13)と平行に延在されている。このような半円柱状の突起121,121´が形成されたキーボードによれば、押圧部20と被押圧部6との接触が線接触になる。これによって、押圧部20と被押圧部6との接触部における摩擦が小さくなり、キー押下圧が小さくなる。また、押圧部20と被押圧部6との接触が線接触になると、キートップを回動させて押し下げる際のキー押下圧のばらつきが小さくなるため、スカート部分を偏心構造にしなくて済む。さらに、半円柱状の突起121,121´は、半球状の突起21,21´と比較して潰れ難い形状であるため、キートップ14が押されたときに、突起121,121´が潰れて被押圧部6が下方に移動しないという不具合を防止することができ、キートップ14が押されたときに、被押圧部6が確実に押し下げられ、スイッチ回路を確実に接続させることができる。
【0042】
また、上記した第1の実施の形態では、押圧部20の先端面に半球状の突起21が形成されており、上記した第2の実施の形態では、被押圧部6の先端面に半球状の突起21´が形成されているが、本発明は、押圧部20の先端面や被押圧部6の先端面に突起21,21´を形成することなく、押圧部20の先端面や被押圧部6の先端面を半球状或いは半円柱状に形成してもよい。
【0043】
また、本発明は、軸芯13をケース9に固定する固定部材が上記した実施の形態の構成と異なる構成であってもよい。図13は、本発明のキートップの軸支構造の他の例を示す図である。図13に示すように、かぎ状の対である固定部材を一体にしたもので、第三の固定部37に貫通孔36を設けた形状とした。このようにすることで、枕部30のようにケース9との隙間を確保する部材が不要になる。また、いったんセットすれば外れなくなる。
【0044】
また、本発明は、キートップ14の構成が上記した実施の形態の構成と異なる構成であってもよい。図14は、本発明のキートップの構造の他の例を示す斜視図である。図14に示すように、キートップ14の上面に凸面38を設けた構造である。凸面38を設けることで、キーピッチが短くなっても隣り合うキーを同時に押しにくできる。キーを押すときに、凸のトップに指の腹が当たるので、凸面38のトップと隣のキーまでの間隔は、キー同士の間隔より大きいので、隣り合うキーを同時に押しているか判別しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1の実施の形態を説明するためのキーボードの断面図である。
【図2】第1の実施の形態を説明するための押圧部の斜視図である。
【図3】第1の実施の形態を説明するためのキーボードの正面方向からの断面図である。
【図4】第1の実施の形態を説明するためのケースの斜視図である。
【図5】第1の実施の形態を説明するためのケースの断面図である。
【図6】第1の実施の形態を説明するためのキーボードのキー構造の斜視図である。
【図7】第1の実施の形態を説明するためのキートップの斜視図である。
【図8】第2の実施の形態を説明するためのキーボードの断面図である。
【図9】第2の実施の形態を説明するための被押圧部の斜視図である。
【図10】第1,第2の実施の形態を説明するための電子機器の斜視図である。
【図11】他の実施の形態を説明するための押圧部の斜視図である。
【図12】他の実施の形態を説明するための被押圧部の斜視図である。
【図13】他の実施の形態を説明するためのキートップの軸支構造の斜視図である。
【図14】他の実施の形態を説明するためのキートップの斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 基板
2 スイッチパターン(スイッチ回路)
6 被押圧部
9 ケース
11 第一の固定部(固定部)
12 第二の固定部(固定部)
13 軸芯
14 キートップ
18 第一のつめ部(つめ部)
19 第二のつめ部(つめ部)
20 押圧部
21,21´,121,121´ 突起(接触部)
22 プレート
【技術分野】
【0001】
本発明はキーボードおよびキーボードを有する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器などに用いられている薄型のキーボードは、現在パンタグラフ構造のキーボードが主流である。しかし、パンタグラフ構造のキーボードは、ストロークが大きく携帯機器に使用されているもので2.5mm程度ある。また、構造が複雑なので、部品点数が多くなり、組み立て性が悪い。パンタグラフ構造のキーボードに比べ部品点数を減らしたキーボードとして、基板に回動自在に軸支されたスタビライザーにキートップを取り付けた構造のピアノタッチ式のキーボードが開示されている(特許文献1参照)。このようなキーボードでは、キートップを押して回動させることで、キートップに形成された押圧部(垂設部)がその下の弾性変形部を押圧し、弾性変形部の下に配置されたスイッチ回路が接続される。
【特許文献1】特開2005−93129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の技術では、キーボードの各キーごとに独立した部品を用いて構成しているので、キーの数が増れば増るほど部品点数が多くなる。部品点数が多ければ、そのキーボードの組み立て工数が多くなり、組み立て性が悪くなる。
【0004】
また、従来の技術では、キートップに形成された押圧部と被押圧部である弾性変形部が面接合されており、押圧部と弾性変形部との接触面積が広いため、キートップを押して回動させるときのキー押下圧が大きくなる。これは、押圧部と弾性変形部との接触面積が広いと、その接触面での摩擦が大きくなることによるものである。
【0005】
さらに、キートップを回動させる構成のキーボードでは、キートップの押圧部が弾性変形部を平行に押すわけではないため、キートップを押し下げる際のキー押下圧にばらつきが生じる。特に、キートップに形成された押圧部と弾性変形部とが面接合されている場合、キー押下圧のばらつきは大きくなる。このように、キー押下圧のばらつきが大きい場合、弾性変形部の接触面の周囲に形成されたスカート部分を偏心構造にする必要がある。つまり、キートップ回転軸に近い側のスカート部分の幅を広くし、その反対側(回転軸に遠い側)の幅を狭くする必要がある。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、部品点数を少なくしてキーボードの組み立て性の向上を図ることができ、また、キー押下圧を小さくすることができ、さらに、キー押下圧のばらつきを小さくして、スカート部分を偏心構造にしなくて済むキーボードおよびそのキーボードを有する電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、ケースに回動自在に支持されたキートップを有し、該キートップを押して回動させることで、該キートップの裏面に垂設された押圧部で、該押圧部の下方に配置された被押圧部を押圧し、該被押圧部の下方に配置されたスイッチ回路を接続させるキーボードであって、前記キートップを軸支させる軸芯と、前記ケースに前記軸芯を固定するために前記ケースに配置した複数の固定部と、前記キートップを軸芯に軸支させるため前記キートップに配置したつめ部と、を有し、前記軸芯に複数のキートップを軸支しており、前記被押圧部に接触する前記押圧部の接触部を半球状または半円柱状に形成することを特徴とするキーボードである。
【0008】
請求項2記載の発明は、ケースに回動自在に支持されたキートップを有し、該キートップを押して回動させることで、該キートップの裏面に垂設された押圧部で、該押圧部の下方に配置された被押圧部を押圧し、該被押圧部の下方に配置されたスイッチ回路を接続させるキーボードであって、前記キートップを軸支させる軸芯と、前記ケースに前記軸芯を固定するために前記ケースに配置した複数の固定部と、前記キートップを軸芯に軸支させるため前記キートップに配置したつめ部と、を有し、前記軸芯に複数のキートップを軸支しており、前記押圧部に接触する前記被押圧部の接触部を半球状または半円柱状に形成することを特徴とするキーボードである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のキーボードにおいて、前記押圧部に接触する前記被押圧部の接触部にプレートを設けることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項3に記載のキーボードにおいて、前記押圧部に接触する前記被押圧部の接触部は、前記押圧部の接触部が当接する平面を有し、該平面は、前記スイッチ回路が形成された基板面に対して傾斜されていることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項2に記載のキーボードにおいて、前記被押圧部に接触する前記押圧部の接触部は、前記被押圧部の接触部が当接する平面を有し、該平面は、前記スイッチ回路が形成された基板面に対して傾斜されていることを特徴としている。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のキーボードを有することを特徴とする電子機器である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るキーボードおよび電子機器によれば、部品点数を少なくしてキーボードの組み立て性の向上を図ることができ、また、キー押下圧を小さくすることができ、さらに、キー押下圧のばらつきを小さくして、スカート部分を偏心構造にしなくて済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るキーボードおよび電子機器の第1,第2の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態におけるキーボードの断面図である。
【0016】
図1に示すように、基板1は電子回路基板であり、基板1にはスイッチパターン2や電子回路が実装されている。基板1は、ゴム製のラバースイッチ3によって覆われている。ラバースイッチ3は、スカート部4と、導通部5と、被押圧部6と、板部7とから構成されている。被押圧部6に矢印8で示す方向に力が加わると、スカート部4が変形し被押圧部6が矢印8で示す方向に移動する。導通部5はカーボン印刷がされ、導電性の膜が形成されている。被押圧部6が基板1に当接する部分には、スイッチパターン2が形成されていて、導通部5がこのスイッチパターン2をショートさせ信号を変化させる。スカート部4は被押圧部6に連続して設けられ、肉薄になっている。スカート部4は弾性があり、定常状態では被押圧部6と基板1との間に空間ができている。被押圧部6に力が加わり、被押圧部6が移動するとスカート部4は変形し、被押圧部6に加わる力がなくなるとスカート部4は元の形状に戻る。ラバースイッチ3は、ケース9と基板1により挟まれ、特に板部7が押さえられ固定されている。
【0017】
ケース9には、ストッパー受け部10、第一の固定部11、第二の固定部12がある。第一の固定部11、第二の固定部12は対になって軸芯13を挟みつけ固定する。軸芯13は金属製又は、硬質材料で、断面が円の柱状体、またはワイヤーを用いる。キートップ14にはストッパー15が設けられている。このストッパー15はストッパー受け10と対向するように設け、キートップ14がラバースイッチ3の力で押し戻されると当接する。第一端部16と第二端部17はキートップ14の端部に位置し、キーの押し易さのために、軸芯13からの距離が遠い第一端部16の方が第二端部17より凸状に高くなっている。又は、第一部端と第二部端が、同じ高さである平坦なキーでも良い。第一のつめ部18と第二のつめ部19はキートップ14の裏側に設けられ、軸芯13を挟み込んで軸支する。
【0018】
図2は、第1の実施の形態におけるキーボードの押圧部20の斜視図である。図2において、図1と同じものには同じ符号をつけている。
図1,図2に示すように、押圧部20はキートップ14の裏側に凸状に垂設された部位であり、その先端面(下端面)には、半球状の突起21(接触部)が形成されている。半球状の突起21は、押圧部20の先端面の中央に形成されており、キートップ14(押圧部20)と一体成形されてなるものである。一方、半球状の突起21に接触する被押圧部6の接触部(上端)には、平坦なプレート22が設けられている。プレート22は、ラバースイッチ3と比較して硬い材質の材料からなり、例えばプラスチックなどからなる。また、被押圧部6の先端、つまりプレート22の上面は、平らな平面(被接触面)になっており、キートップ14がストッパー15とストッパー受け10が当接して止まる位置にあるとき、半球状の突起21は被押圧部6の被接触面に接触する。このとき、ラバースイッチ3の反発力により矢印8とは逆向きに力が加わっている。また、このとき、なるべく力の加わり方を均等にするために、被押圧部6(プレート22)の被接触面は、スイッチパターン2が形成された基板1の平面(基板面)に対して傾斜されている。具体的には、被押圧部6の被接触面の傾き角度は、軸13を中心とした法線の角度とする。
【0019】
また、ケース9に停止台25、キートップ14の端部に停止面26、を設けることで、ストッパー15とストッパー受け10の代わりにすることができる。つまり、所定の位置まで角度が戻ると停止台25と停止面26が当接して停止する。こうすると、かぎ状のストッパー15より肉厚を厚くとることができるので、丈夫に作ることができる。
【0020】
このような形態にすることで、キーストロークを小さくすることができる。例えば、本実施の形態では、キーストロークが0.6mmから0.8mmのキーボードを実現した。
【0021】
図3は、第1の実施の形態におけるキーボードのキーの正面方向からの断面図である。図3において、図1,図2と同じものには同じ符号をつけている。
【0022】
図3に示すように、第二の固定部12は、図1に示す第一の固定部11と対を成す部位であり、第一の固定部11と対になってケース9に軸芯13を固定するものである。第二のつめ部19は、図1に示す第一のつめ部18と対を成す部位であり、第一のつめ部18と対になって軸芯13に取り付けるためのつめである。また、第二のつめ部19は、第二の固定部12の両側にそれぞれ設けられている。なお、第二のつめ部19は第二の固定部12の内側又は外側の何れか一方に設けられていても良く、第二のつめ部19を第二の固定部12の外側に設けることでキーの外側方向のがたつきが少なくなる。なお、第一の固定部11と第一のつめ部18についても、上記した第二の固定部12と第二のつめ部19の構成と同様である。また、これら第一、第二のつめ部18,19はキーの位置あわせの効果ももつ。
【0023】
図4は、第1の実施の形態におけるキーボードのケースの斜視図である。図4において、図1〜図3と同じものには同じ符号をつけている。また、説明のため本来複数あるケース9の固定部を1対のみ図示し説明する。
【0024】
図4に示すように、ケース9に穴27をキーボードの列だけ設ける。この穴は軸芯13を固定するための穴である。スイッチ窓28は貫通孔である。このスイッチ窓28の貫通孔にラバースイッチ3の被押圧部6やスカート部4を通す。軸下窓29は第一の固定部11と第二の固定部12の間にある貫通孔である。この軸下窓29から軸芯13があるかないか確認ができる。ケース9の裏返の作業する工程で、軸芯の有無を確認する事が出来る。枕部30は軸芯13をケース9から少し浮かせた状態にするための凸部であり、枕部30の上面に軸芯13が当接し、軸芯13を安定して押さえることができるようになる。
【0025】
また、枕部30を設けず、ケース9にキートップ14のつめ部が当たるところに穴を設けることでも対応できる。そうすると、軸芯13はケース9に接することになり、薄型化がさらに可能となる。さらにはケース9の中に軸芯13を埋め込み、つめ部で軸芯13を軸支する場所に貫通工を設けることもできる。そうするとさらに薄型化ができる。
【0026】
図5は、第1の実施の形態におけるキーボードのケースの断面図であり、図4の一点鎖線XYで切断したときの断面図である。図5において、図1から図4と同じものには同じ符号をつけている。
【0027】
図5に示すように、キーの高さt1は、ケース9からキートップ14の頂上までの高さであり、約1.0mmである。なお、キーの高さt1は、0.5mmから1.5mm程度が使いやすい高さである。脇から見てもキーがあることが確認でき、あまり飛び出していないので、落としたときなどにも、ぶつかることも少ないのでキートップが外れにくい。
【0028】
図6は、第1の実施の形態におけるキーボードのキー構造を模式的にした斜視図である。図6において、図1から図5と同じものには同じ符号をつけている。
【0029】
図6に示すように、ケース9上に第一の固定部11と第二の固定部12の対が2組ある。ここに軸芯13を挿入方向33の矢印で示した方向に押し入れる。第一の固定部11と第二の固定部12は双方一時的にたわんで軸芯13を挟み込む。キートップ組み方向34の矢印の方向にキートップ14をケース9に固定された軸芯13にはめ込む。第一のつめ部18と第二のつめ部19は一時的にたわんで軸心13を挟み込む。このようにして簡単にキートップ14を取り付けることができる。スタビライザーなどを各キーごとにセットしなくてすむので組み込み性が改善されている。
【0030】
図7は、第1の実施の形態におけるキーボードのキートップの斜視図である。図7において、図1から図6と同じものには同じ符号をつけている。
【0031】
図7に示すように、キートップ14の端部にストッパー15を設けてある。このストッパー15によりキートップ14の回動の角度が制限される。ストッパー15の幅は、キートップ14の幅に合わせることもできる。キー凸部35はキートップの上面端部に設けた軸芯13と略平行な凸部である。軸芯と略平行にすることで、キートップ14の回動方向に指を先導しやすくなる。また、部分的に凸部を設けることで、キーを認識しやすくなるので、隣り合うキーを重複して押すことが少なくなる。
【0032】
上記した構成からなるキーボードによれば、キーボードを構成する部品点数が少ないので小型化に好適である。従来の技術のキーボードでは部品点数が多く、小型化した場合、部品自体も小型化するので、プラスチックの成型や組み立てが難しくなる。小型化した場合、なるべく部品点数の削減が望まれる。また、軸芯13にキートップ14を系合させるのに、固定部11,12を挟み込むようにつめ部18,19を設けることでキートップ14の位置が固定され、また、部品点数が少なくなる事で、部品同士の結合箇所が減る為、各部品の取付クリアランスが少なくなる事で、ぐらつきの防止にもなる。また、ストッパー15を設けることで、ラバースイッチ3からの反発力とストッパー15での当接とでキーのぐらつきの防止にもなっている。
【0033】
また、上記した構成からなるキーボードによれば、押圧部20の下端面に半球状の突起21があり、被押圧部6に接触する押圧部20の接触部が半球状に形成された構成になっているため、押圧部20と被押圧部6との接触が点接触になる。これによって、押圧部20と被押圧部6との接触部における摩擦が小さくなり、キー押下圧が小さくなる。また、押圧部20と被押圧部6との接触が点接触になると、キートップ14を回動させて押し下げる際のキー押下圧のばらつきが小さくなるため、スカート部4を偏心構造にしなくて済む。これによって、ラバースイッチ3の単価が高くなることがなく、コストアップを抑えることができる。
【0034】
さらに、上記した構成からなるキーボードによれば、押圧部20の半球状の突起21に接触する被押圧部6の接触部に、硬い材質の材料からなるプレート22を設けた構成になっているため、押圧部20の半球状の突起21が、被押圧部6の被接触面を押圧する際、被押圧部6は、突起21に接触した箇所が陥没せず、確実に押し下げられる。これによって、キートップ14が押されたときに、導通部5を確実にスイッチパターン2に接続させることができる。
【0035】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する第2の実施の形態のうち上記した第1の実施の形態と同様な構成についてはその説明を省略する。
図8は、第2の実施の形態におけるキーボードの断面図であり、図9は第2の実施の形態における被押圧部の斜視図である。図8において、図1と同じものには同じ符号をつけている。
【0036】
図8,図9に示すように、押圧部20の先端面22´(下端面)は平坦である。一方、平坦な押圧部20の先端面に接触する被押圧部6の接触部(上端)には、半球状の突起21´が形成されている。押圧部20の先端(下端)は、平らな平面(先端面22´)になっており、キートップ14がストッパー15とストッパー受け10が当接して止まる位置にあるとき、半球状の突起21´は押圧部20の先端面22´に接触する。また、このとき、なるべく力の加わり方を均等にするために、押圧部20の先端面22´は、スイッチパターン2が形成された基板1の平面(基板面)に対して傾斜されている。具体的には、押圧部20の先端面22´の傾き角度は軸13を中心とした法線の角度とする。
【0037】
上記した構成からなるキーボードによれば、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0038】
次に、上記した構成からなるキーボードを有する電子機器について説明する。
図10は、本発明のキーボードを有する電子機器の斜視図である。
【0039】
図10に示すように、電子機器の筐体は、第一の筐体45、第二の筐体46の2体構造で、ヒンジ部47で二つに折れるような構造である。第一の筐体45内には表示部48や電子回路が収められ、第二の筐体46にはキーボード49や電子回路や電池が収められている。このような、PDA、パソコン、携帯電話、電子辞書などのキーボードとして用いることができる。
【0040】
以上、本発明に係る第1、第2の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した第1の実施の形態では、押圧部20の先端面に半球状の突起21が形成されており、上記した第2の実施の形態では、被押圧部6の先端面に半球状の突起21´が形成されているが、本発明は、半球状の突起21,21´に代えて半円柱状の突起を形成してもよい。
【0041】
図11は、本発明の押圧部の他の例を示す斜視図であり、図12は、本発明の被押圧部の他の例を示す斜視図である。
図11,図12に示すように、押圧部6の先端面、或いは被押圧部6の先端面には、半円柱状の突起121,121´が形成されている。この突起121,121´は、キートップ14の回動軸(軸芯13)と平行に延在されている。このような半円柱状の突起121,121´が形成されたキーボードによれば、押圧部20と被押圧部6との接触が線接触になる。これによって、押圧部20と被押圧部6との接触部における摩擦が小さくなり、キー押下圧が小さくなる。また、押圧部20と被押圧部6との接触が線接触になると、キートップを回動させて押し下げる際のキー押下圧のばらつきが小さくなるため、スカート部分を偏心構造にしなくて済む。さらに、半円柱状の突起121,121´は、半球状の突起21,21´と比較して潰れ難い形状であるため、キートップ14が押されたときに、突起121,121´が潰れて被押圧部6が下方に移動しないという不具合を防止することができ、キートップ14が押されたときに、被押圧部6が確実に押し下げられ、スイッチ回路を確実に接続させることができる。
【0042】
また、上記した第1の実施の形態では、押圧部20の先端面に半球状の突起21が形成されており、上記した第2の実施の形態では、被押圧部6の先端面に半球状の突起21´が形成されているが、本発明は、押圧部20の先端面や被押圧部6の先端面に突起21,21´を形成することなく、押圧部20の先端面や被押圧部6の先端面を半球状或いは半円柱状に形成してもよい。
【0043】
また、本発明は、軸芯13をケース9に固定する固定部材が上記した実施の形態の構成と異なる構成であってもよい。図13は、本発明のキートップの軸支構造の他の例を示す図である。図13に示すように、かぎ状の対である固定部材を一体にしたもので、第三の固定部37に貫通孔36を設けた形状とした。このようにすることで、枕部30のようにケース9との隙間を確保する部材が不要になる。また、いったんセットすれば外れなくなる。
【0044】
また、本発明は、キートップ14の構成が上記した実施の形態の構成と異なる構成であってもよい。図14は、本発明のキートップの構造の他の例を示す斜視図である。図14に示すように、キートップ14の上面に凸面38を設けた構造である。凸面38を設けることで、キーピッチが短くなっても隣り合うキーを同時に押しにくできる。キーを押すときに、凸のトップに指の腹が当たるので、凸面38のトップと隣のキーまでの間隔は、キー同士の間隔より大きいので、隣り合うキーを同時に押しているか判別しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1の実施の形態を説明するためのキーボードの断面図である。
【図2】第1の実施の形態を説明するための押圧部の斜視図である。
【図3】第1の実施の形態を説明するためのキーボードの正面方向からの断面図である。
【図4】第1の実施の形態を説明するためのケースの斜視図である。
【図5】第1の実施の形態を説明するためのケースの断面図である。
【図6】第1の実施の形態を説明するためのキーボードのキー構造の斜視図である。
【図7】第1の実施の形態を説明するためのキートップの斜視図である。
【図8】第2の実施の形態を説明するためのキーボードの断面図である。
【図9】第2の実施の形態を説明するための被押圧部の斜視図である。
【図10】第1,第2の実施の形態を説明するための電子機器の斜視図である。
【図11】他の実施の形態を説明するための押圧部の斜視図である。
【図12】他の実施の形態を説明するための被押圧部の斜視図である。
【図13】他の実施の形態を説明するためのキートップの軸支構造の斜視図である。
【図14】他の実施の形態を説明するためのキートップの斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 基板
2 スイッチパターン(スイッチ回路)
6 被押圧部
9 ケース
11 第一の固定部(固定部)
12 第二の固定部(固定部)
13 軸芯
14 キートップ
18 第一のつめ部(つめ部)
19 第二のつめ部(つめ部)
20 押圧部
21,21´,121,121´ 突起(接触部)
22 プレート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに回動自在に支持されたキートップを有し、
該キートップを押して回動させることで、該キートップの裏面に垂設された押圧部で、該押圧部の下方に配置された被押圧部を押圧し、該被押圧部の下方に配置されたスイッチ回路を接続させるキーボードであって、
前記キートップを軸支させる軸芯と、
前記ケースに前記軸芯を固定するために前記ケースに配置した複数の固定部と、
前記キートップを軸芯に軸支させるため前記キートップに配置したつめ部と、
を有し、
前記軸芯に複数のキートップを軸支しており、
前記被押圧部に接触する前記押圧部の接触部を半球状または半円柱状に形成することを特徴とするキーボード。
【請求項2】
ケースに回動自在に支持されたキートップを有し、
該キートップを押して回動させることで、該キートップの裏面に垂設された押圧部で、該押圧部の下方に配置された被押圧部を押圧し、該被押圧部の下方に配置されたスイッチ回路を接続させるキーボードであって、
前記キートップを軸支させる軸芯と、
前記ケースに前記軸芯を固定するために前記ケースに配置した複数の固定部と、
前記キートップを軸芯に軸支させるため前記キートップに配置したつめ部と、
を有し、
前記軸芯に複数のキートップを軸支しており、
前記押圧部に接触する前記被押圧部の接触部を半球状または半円柱状に形成することを特徴とするキーボード。
【請求項3】
請求項1記載のキーボードにおいて、
前記押圧部に接触する前記被押圧部の接触部にプレートを設けることを特徴とするキーボード。
【請求項4】
請求項1又は請求項3に記載のキーボードにおいて、
前記押圧部に接触する前記被押圧部の接触部は、前記押圧部の接触部が当接する平面を有し、該平面は、前記スイッチ回路が形成された基板面に対して傾斜されていることを特徴とするキーボード。
【請求項5】
請求項2に記載のキーボードにおいて、
前記被押圧部に接触する前記押圧部の接触部は、前記被押圧部の接触部が当接する平面を有し、該平面は、前記スイッチ回路が形成された基板面に対して傾斜されていることを特徴とするキーボード。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のキーボードを有することを特徴とする電子機器。
【請求項1】
ケースに回動自在に支持されたキートップを有し、
該キートップを押して回動させることで、該キートップの裏面に垂設された押圧部で、該押圧部の下方に配置された被押圧部を押圧し、該被押圧部の下方に配置されたスイッチ回路を接続させるキーボードであって、
前記キートップを軸支させる軸芯と、
前記ケースに前記軸芯を固定するために前記ケースに配置した複数の固定部と、
前記キートップを軸芯に軸支させるため前記キートップに配置したつめ部と、
を有し、
前記軸芯に複数のキートップを軸支しており、
前記被押圧部に接触する前記押圧部の接触部を半球状または半円柱状に形成することを特徴とするキーボード。
【請求項2】
ケースに回動自在に支持されたキートップを有し、
該キートップを押して回動させることで、該キートップの裏面に垂設された押圧部で、該押圧部の下方に配置された被押圧部を押圧し、該被押圧部の下方に配置されたスイッチ回路を接続させるキーボードであって、
前記キートップを軸支させる軸芯と、
前記ケースに前記軸芯を固定するために前記ケースに配置した複数の固定部と、
前記キートップを軸芯に軸支させるため前記キートップに配置したつめ部と、
を有し、
前記軸芯に複数のキートップを軸支しており、
前記押圧部に接触する前記被押圧部の接触部を半球状または半円柱状に形成することを特徴とするキーボード。
【請求項3】
請求項1記載のキーボードにおいて、
前記押圧部に接触する前記被押圧部の接触部にプレートを設けることを特徴とするキーボード。
【請求項4】
請求項1又は請求項3に記載のキーボードにおいて、
前記押圧部に接触する前記被押圧部の接触部は、前記押圧部の接触部が当接する平面を有し、該平面は、前記スイッチ回路が形成された基板面に対して傾斜されていることを特徴とするキーボード。
【請求項5】
請求項2に記載のキーボードにおいて、
前記被押圧部に接触する前記押圧部の接触部は、前記被押圧部の接触部が当接する平面を有し、該平面は、前記スイッチ回路が形成された基板面に対して傾斜されていることを特徴とするキーボード。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のキーボードを有することを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−220405(P2007−220405A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37837(P2006−37837)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]