説明

キーボードユニット

【課題】 在庫の削減及び製造コストの削減を図りつつ、多種多様なキーボードの開発要求に応じることができるキーボードユニットを提供する。
【解決手段】 キーボード部材Aをコントロール基板a,bに接続し、キーボード部材Aが接続された複数のコントロール基板a,b間をデータ接続手段10,11を介して接続する。これにより、キーボード部材Aを組み合わせることによって複数種類のキーボードを作成することができるので、在庫の削減及び製造コストの削減を図りつつ、多種多様なキーボードの開発要求に応じることができるキーボードユニットを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POS(Point of Sales)端末、ECR(Electric Cash Register)あるいはパーソナルコンピュータなどの電子機器で用いられるキーボードを構成するキーボードユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、POS端末等の電子機器では、キャッシャ等の操作者の入力操作を受け付ける領域として機器本体の手前等にキーボードを備えている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
例えば、POS端末は入力部としての作業性が良いことから、ほとんどの場合、キーボードが装備されている。最近のPOS端末においては、タッチパネルを使用するものも多くなってきてはいるが、入力感覚の問題や入力速度の問題より、タッチパネルを使用するPOS端末は一部の業種に限定されている。このようにキーボードは、入力装置として依然として重要なパーツとなっている。
【0004】
ところで、このような電子機器、特にPOS端末等においては、業種業態により要求される仕様が異なる。例えば、スペース重視のものは筐体サイズを小さくするため、出来る限りキーボードのキー数を減らして小さくする必要がある。また、筐体のデザインにより横長のキーボード、縦長のキーボード、操作重視の視点からキー数の多いキーボードなどというように多種多様なキーボードを取り揃えていく必要がある。
【0005】
【特許文献1】特開平07−175975号公報
【特許文献2】特開平09−147236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述したような各種の電子機器(特にPOS端末)に合わせて多種多様なキーボードを設計・開発するのでは、コスト高になり安価に機器を提供できなくなるとともに、キーボード関連の部品が多種に渡るために数多くの在庫を抱えなければならないという問題がある。
【0007】
本発明は、在庫の削減及び製造コストの削減を図りつつ、多種多様なキーボードの開発要求に応じることができるキーボードユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のキーボードユニットは、所定のキー数で構成されるキーボード部材と、前記キーボード部材に接続可能であって、接続された前記キーボード部材に配列される多数のキーのキーコード設定を書き込み可能な記憶部と接続可能なデータ接続手段とを有し、前記キーボード部材を制御するコントロール基板と、で構成され、前記キーボード部材を前記コントロール基板に接続し、前記キーボード部材が接続された複数の前記コントロール基板間を前記データ接続手段を介して接続することにより、複数種類のキーボードを作成可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キーボード部材をコントロール基板に接続し、キーボード部材が接続された複数のコントロール基板間をデータ接続手段を介して接続することにより、キーボード部材を組み合わせることによって複数種類のキーボードを作成することができるので、在庫の削減及び製造コストの削減を図りつつ、多種多様なキーボードの開発要求に応じることができるキーボードユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の一形態を図1ないし図10に基づいて説明する。
【0011】
本実施の形態は、2種類のキーボード部材をそれぞれ組み合わせることによって、複数種類のキーボードを作成することができるようにしたものである。
【0012】
ここで、図1は本実施の形態のキーボードユニットを構成するキーボード部材を示す平面図である。図1に示すように、本実施の形態においては、2種類の矩形状のキーボード部材A,Bを用いて複数種類のキーボードを作成する。図1(a)に示すキーボード部材Aは4行×5列の20個のキーKで構成されており、図1(b)に示すキーボード部材Bは6行×10列の60個のキーKで構成されている。このようなキーボード部材A,Bに配列されているキーKの構造は、周知であるため、ここでの説明は省略する。ただし、キーボード部材A,Bにおいては、特に図示しないが、キーボード部材の4辺のいずれの辺においても他のキーボード部材と連結可能な構造を有している。
【0013】
上述したようなキーボード部材A,Bには、これらを制御するためのコントローラが接続される。ここで、図2はキーボード部材Aまたはキーボード部材Bを制御するコントロール基板を示すブロック図である。
【0014】
図2(a)に示すコントロール基板aには、制御の主体となるマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)1が搭載されており、このマイコン1には、記憶部として機能するEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)2やブザー3が接続されている。EEPROM2には、接続するキーボード部材Aまたはキーボード部材Bの各キーに対応するキーコード設定が書き換え自在に書き込まれる。また、マイコン1には、キーボード部材A,Bとのデータ接続のためのキーボードインタフェース(以下、キーボードI/Fという)4や、ホスト機(例えば、POS端末等の電子機器の制御部)とのデータ接続のためのホストインタフェース(以下、ホストI/Fという)5が接続されている。本実施の形態のホストI/F5は、USB(Universal Serial Bus)ポートである。
【0015】
一方、図2(b)に示すコントロール基板bには、制御の主体となるマイコン10が搭載されており、このマイコン10には、EEPROM2やブザー3が接続されている。EEPROM2には、接続するキーボード部材Aまたはキーボード部材Bの各キーに対応するキーコード設定が書き換え自在に書き込まれる。また、マイコン10には、キーボード部材A,Bとのデータ接続のためのキーボードI/F4や、ホスト機(例えば、POS端末等の電子機器の制御部)とのデータ接続のためのホストI/F5が接続されている。このマイコン10には前述したコントロール基板aのホストI/F5やコントロール基板bのホストI/F5を接続するためのUSBポート11が設けられており、マイコン10はUSB HUB機能を備えている。すなわち、USBポート11及びマイコン10のUSB HUB機能によってデータ接続手段が構成されており、コントロール基板a,bの多段接続、つまりキーボード部材A,Bの多段接続が可能になっている。なお、図2(b)に示すコントロール基板bには、2つのUSBポート11が設けられているが、これに限るものではなく、USBポート11をいくつ設けても良い。
【0016】
次に、このようなキーボード部材A、キーボード部材B、コントロール基板a及びコントロール基板bを用いたキーボードの構成例について説明する。
【0017】
まず、図3に示すような表示付縦型スキャナ100に設けられるキーボード101を構成する場合について説明する。図3に示すように、表示付縦型スキャナ100に設けられるキーボード101は、4行×10列のキーレイアウトである。このようにキーレイアウト4行×10列のキーボードを構成する場合のキーボードユニットとしては、図4に示すように、2つのキーボード部材Aを用い、一方のキーボード部材Aのコントローラとしてコントロール基板aを使用し、他方のキーボード部材Aのコントローラとしてコントロール基板bを使用し、コントロール基板aのホストI/F5とコントロール基板bのUSBポート11とをUSB接続する。なお、この場合、コントロール基板aとコントロール基板bとでは、同じキーコードがホスト機(表示付縦型スキャナ100の制御部)に出力されないように、それぞれ異なったキーコード設定をEEPROM2に書き込んでおく必要がある。
【0018】
ここで、図4に示すキーボード101上の位置XのキーKを入力した場合、コントロール基板aにてキー入力を検知し、コントロール基板bのHUB経由でホスト機(表示付縦型スキャナ100の制御部)にデータが出力される。また、図4に示すキーボード101上の位置YのキーKを入力した場合には、コントロール基板bからホスト機(表示付縦型スキャナ100の制御部)にデータが出力されることになる。
【0019】
次に、図5に示すような省スペース型POS端末200に設けられるキーボード201を構成する場合について説明する。図5に示すように、省スペース型POS端末200に設けられるキーボード201は、6行×10列のキーレイアウトである。このようにキーレイアウト6行×10列のキーボードを構成する場合のキーボードユニットとしては、図6に示すように、6行×10列のキーボード部材Bをそのまま使用することになる。この場合、HUB機能は必要ないので、コントロール基板aを使用する。
【0020】
次に、図7に示すような量販店等で利用される大型のPOS端末300に設けられるキーボード301を構成する場合について説明する。図7に示すように、POS端末300に設けられるキーボード301は、12行×10列のキーレイアウトである。このようにキーレイアウト12行×10列のキーボードを構成する場合のキーボードユニットとしては、図8に示すように、2つのキーボード部材Bを用い、一方のキーボード部材Bのコントローラとしてコントロール基板aを使用し、他方のキーボード部材Bのコントローラとしてコントロール基板bを使用し、コントロール基板aのホストI/F5とコントロール基板bのUSBポート11とをUSB接続する。なお、この場合、コントロール基板aとコントロール基板bとでは、同じキーコードがホスト機(POS端末300の制御部)に出力されないように、それぞれ異なったキーコード設定をEEPROM2に書き込んでおく必要がある。
【0021】
ここで、図8に示すキーボード301上の位置XのキーKを入力した場合、コントロール基板aにてキー入力を検知し、コントロール基板bのHUB経由でホスト機(POS端末300の制御部)にデータが出力される。また、図8に示すキーボード301上の位置YのキーKを入力した場合には、コントロール基板bからホスト機(POS端末300の制御部)にデータが出力されることになる。
【0022】
次に、図9に示すようなキーレイアウトが特殊なPOS端末400に設けられるキーボード401を構成する場合について説明する。図9に示すように、POS端末400に設けられるキーボード401は、左側が4行×5列のキーレイアウトであり、右側が10行×6列のキーレイアウトである。このようにキーレイアウトのキーボードを構成する場合のキーボードユニットとしては、図10に示すように、キーボード部材Aとキーボード部材Bとを用い、キーボード部材Aのコントローラとしてコントロール基板aを使用し、キーボード部材Bのコントローラとしてコントロール基板bを使用し、コントロール基板aのホストI/F5とコントロール基板bのUSBポート11とをUSB接続する。なお、この場合、コントロール基板aとコントロール基板bとでは、同じキーコードがホスト機(POS端末400の制御部)に出力されないように、それぞれ異なったキーコード設定をEEPROM2に書き込んでおく必要がある。
【0023】
ここで、図10に示すキーボード401上の位置XのキーKを入力した場合、コントロール基板aにてキー入力を検知し、コントロール基板bのHUB経由でホスト機(POS端末400の制御部)にデータが出力される。また、図10に示すキーボード401上の位置YのキーKを入力した場合には、コントロール基板bからホスト機(POS端末400の制御部)にデータが出力されることになる。
【0024】
このように本実施の形態によれば、キーボード部材A,Bをコントロール基板a,bに接続し、キーボード部材A,Bが接続された複数のコントロール基板a,b間をデータ接続手段を介して接続することにより、キーボード部材A,Bを組み合わせることによって複数種類のキーボードを作成することができるので、在庫の削減及び製造コストの削減を図りつつ、多種多様なキーボードの開発要求に応じることができるキーボードユニットを提供することができる。
【0025】
なお、本実施の形態においては、キーボードユニットを構成するキーボード部材として2種類のキーボード部材A,Bを適用したが、これに限るものではなく、単一種類のキーボード部材やキーレイアウトが異なる3種以上のキーボード部材を適用するようにしても良い。
【0026】
また、本実施の形態においては、キーボードユニットを構成するコントロール基板として2種類のコントロール基板a,bを適用したが、これに限るものではなく、コントロール基板bのみで構成するようにしても良い。この場合、コントロール基板aよりもコントロール基板bのほうがコスト高になるが、コントロール基板aを不要とする分だけ在庫の削減及び製造コストの削減を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の一形態のキーボードユニットを構成するキーボード部材を示す平面図である。
【図2】キーボード部材を制御するコントロール基板を示すブロック図である。
【図3】表示付縦型スキャナを概略的に示す斜視図である。
【図4】表示付縦型スキャナのキーボードを構成するキーボードユニットを示す模式図である。
【図5】省スペース型POS端末を概略的に示す斜視図である。
【図6】省スペース型POS端末のキーボードを構成するキーボードユニットを示す模式図である。
【図7】量販店等で利用される大型のPOS端末を概略的に示す斜視図である。
【図8】量販店等で利用される大型のPOS端末のキーボードを構成するキーボードユニットを示す模式図である。
【図9】キーレイアウトが特殊なPOS端末を概略的に示す斜視図である。
【図10】キーレイアウトが特殊なPOS端末のキーボードを構成するキーボードユニットを示す模式図である。
【符号の説明】
【0028】
2…記憶部、10,11…データ接続手段、101,201,301,401…キーボード、A,B…キーボード部材、a,b…コントロール基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のキー数で構成されるキーボード部材と、
前記キーボード部材に接続可能であって、接続された前記キーボード部材に配列される多数のキーのキーコード設定を書き込み可能な記憶部と接続可能なデータ接続手段とを有し、前記キーボード部材を制御するコントロール基板と、
で構成され、
前記キーボード部材を前記コントロール基板に接続し、前記キーボード部材が接続された複数の前記コントロール基板間を前記データ接続手段を介して接続することにより、複数種類のキーボードを作成可能である、
ことを特徴とするキーボードユニット。
【請求項2】
前記キーボード部材としては、キー配列が1種類以上用意されている、
ことを特徴とする請求項1記載のキーボードユニット。
【請求項3】
前記キーボード部材は、四辺のどの位置でも互いに連結可能な構造を有している、
ことを特徴とする請求項1または2記載のキーボードユニット。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−133821(P2006−133821A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318682(P2004−318682)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】